桶谷ヘッドコーチ「どんな状況であれ、同じプレーをやり続けられるのか」
琉球ゴールデンキングスは4月3日、滋賀レイクスターズと対戦。ジャック・クーリーの18得点を筆頭に7選手が9得点以上とバランスの取れたオフェンスを展開し、後半は常に2桁リードを保つ危なげない試合運びで94-78の勝利を収めた。
前日、42点差の大勝を収めた琉球だが、この日はヘルプディフェンスを改善した滋賀が激しいプレッシャーをかけたこともあり、互角の立ち上がりとなる。第2クォーターに入ると、琉球は並里成とクーリーのホットラインなど優位に立つインサイドアタックで突き放しにかかる。オフィシャルタイムアウトでリードを2桁に広げると、前半を44-30で折り返す。
そして大事な後半の出だし、滋賀のゾーンディフェンスを琉球は素早いボールムーブで難なく攻略。ドウェイン・エバンスが3ポイントシュートを沈め、開始2分でリードを20点にまで一気に広げた。その後、滋賀もノヴァー・ガドソンの奮闘で点差を縮めるが、試合の流れを変えるまでには至らず、地力で上回る琉球がプレータイムをシェアしながら逃げ切った。
これで琉球は9連勝を達成。3月11日、島根スサノオマジックに敗れて連勝が20で止まったが、ここ30試合で29勝1敗と圧倒的な成績を残している。しかし、チームに慢心はない。この試合も「ただの1つのゲームではなく、チャンピオンシップを見据えて第1戦を勝った後の第2戦で、同じメンタリティでプレーできるかのチャレンジでした」と桶谷大ヘッドコーチは語る。
「一喜一憂せずにどんな状況であれ、同じプレーをやり続けられるのか。どんな相手に対しても20点、1点と点差に関係なく勝った次の試合で同じメンタリティーでプレーできるかは、戦略、戦術以上に自分たちにとって重要と話しました。それでも前半、フワフワしている選手がいて、試合中、ハーフタイムにもメンタリティーを合わそうと伝えていました」
敗戦から学んだボールムーブの重要性
12得点4アシスト3リバウンドを挙げた今村佳太は、現在のチームが取り組んでいることを明かす。「試合後にヘッドコーチが話したようにこの数試合、ボールムーブを強調したオフェンスをしていて、ターンオーバーが少し増えてしまっています。ただ、チャンピオンシップに向けては、こういうバスケットボールを続けていくことが鍵となってきます。自分たちとして手応えがあります。トライ・アンド・エラーを積み重ねてより質の高いバスケットボールができればいいなとすごく感じた試合でした」
何故、琉球がボールムーブをより重視するオフェンスに取り組んでいるのか。それは数少ない、敗れた試合の要因となったからと今村は語る。「天皇杯セミファイナルの千葉戦、連勝記録が止まった島根戦と敗れた試合はともに個に頼ってボールが停滞してしまいました。1人の選手に得点が集中すると相手は的を絞りやすくなってしまいます。それは『自分たちがやりたいバスケではないよね』とすごく全員が感じていた部分でした。チャンピオンシップでは全員でボールをシェアして、コンスタントに得点を挙げることが大事です。それができないと自分たちから崩れてしまいます」
そして、今村個人の手応えをこう続ける。「フォーメーションによって狙いどころが変わってきて、僕の縦へのアタックを強調するものもあれば、早くパスをさばかないといけない時もあります。そこの判断が僕自身もまだまだ良くないと思っていますが改善できます。フィットしていないとは思っていないですが、判断の質の高さをもっと求められています」
また、今村のプレーで言うと、最近はオフェンスで安定感が増しているのが印象深い。3ポイントシュートが入らない時でも得点に絡んでおり、試合から消えることが減ってきている。そこには次の変化がある。
「これまでの自分は3ポイントシュートが調子よく当たった試合は得点が伸びますが、そうでないとなかなか伸びずにいました。3ポイントシュートの出来で、試合の調子を左右されたくないと特に日本代表に選ばれた時期くらいから感じていました。アタックをもっと強調していかないと、チームのためにもならない。アタックをより意識していて、その積み重ねが出ていると思います」
まずは西地区優勝でのチャンピオンシップへのホームコートアドバンテージ獲得へ向け、着実に進んでいる琉球は、3月下旬からキャプテンの田代直希がチームに帯同している。11月に全治10カ月の重症を左膝に負っており、残念ながら今シーズン中の復帰は非現実的だが、彼がベンチにいることはチームにとって大きな助けとなる。
今村は言う。「『正直、お前がいないからこれだけ大変なんだぞ』と常日頃から言っています(笑)。田代選手はチームを俯瞰でよく見ているので、『ここをこうした方がいい』といった話しもよくして、彼がいてくれて安心します。リスペクトもありつつ、いじったりもしています」
地区タイトルは全く意識せず、チャンピオンシップで勝ち進むための進化に貪欲であることがよく分かる琉球の戦いぶりだった。
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