町田瑠唯の通訳を務める大学院生コーチ、武井樹の数奇な運命(後編)「彼女が思うすべての不安を取り除いていきたい」

町田瑠唯の通訳を務める大学院生コーチ、武井樹の数奇な運命(後編)「彼女が思うすべての不安を取り除いていきたい」

2022/05/03 12:00
武井樹

富士通レッドウェーブの準優勝に貢献した町田瑠唯は、WNBAのワシントン・ミスティクスと合流し、現地5月6日に開幕する新シーズンに向けて準備を進めていく。ただ、新たなチームにアジャストすることは日本代表の町田であっても容易ではない。言葉の壁がある異国のチームであればなおさらだ。そんな町田の心強い味方となるのが、通訳を担当する武井樹だ。飛龍高校から東海大に進み、大学卒業後に単身渡米し、現在はNCAAディビジョン2サザンアーカンソー大学男子バスケットボール部GA(Graduate Assistant=大学院生コーチ)&プレイヤーデベロップメントコーチをしている。そんな武井に夢への近づき方や町田への思いなどを聞いた。

町田は「小柄な選手に夢を与えられる選手」

──渡米し、大学院に入学しました。そこですんなりコーチになれたのでしょうか?

いえ、そもそもコーチができる確証があって来たわけではなく、コーチのオフィスをノックして『やりたいんです!』と言って勝手に回りました。どこかから日本人が来たよと言われて、最初は何回も断られました。その後、メールを送ってレジュメも送りましたが無理と言われました。でも、そこから選手と仲良くなってスキルワークアウトをジムでやるようになったんです。それをアシスタントコーチが見に来てくれて、『ボランティアアシスタントでどう?』と言われ、そこから無給のアシスタントから始まりました。

チームに帯同して、練習で1番声を出すこともあったので、そこからどんどん昇格し、現在のグラジュエイトアシスタントコーチ(GA)になりました。お給料もいただいて、大学院生コーチみたいな感じですね。

──生計はそれで立てているのでしょうか?

そうですね。その月給で授業料を払い、それに足が出るくらいです。あと僕は寮監督というのをやっていて、寮監督は食費と寮費が無料になるんです。今はGAと寮監督を仕事としてやっています。

──あらたな仕事として、町田選手の通訳が舞い込んできました。WNBAのスタッフになった経緯を教えてください。

WNBAの話は今度所属することになったエージェント(シナジー・エンタテインメント)からいただきました。「通訳とか興味ある?」というLINEから始まって、僕は2秒くらいで「あります!」と返信しました。そこから富士通の方、ヘッドコーチと3人で話をして、アシスタントGMとコーチ5人で話をして、その後に僕の通訳のレベルも見てもらって正式に決まりました。

──町田選手の印象を教えてください。

ポイントガードとしてあまりアメリカにはいないタイプですね。アシストファーストだし、ダイナミックでスキルも兼ね備えています。小柄な選手に夢を与えられる選手だなと見た瞬間に思いました。WNBAでプレーできる機会はそうそうないことですから、持ち味をどうやって生かしていくのかをすごく楽しみにしています。

町田選手は東京オリンピックで銀メダルを獲っていますし、素晴らしい人格者でもあります。通訳は基本的に前に出ない職種ですが、彼女が思うすべての不安を取り除いていきたい。バスケだけに完全に集中できるような環境を作っていきたいです。

──オンコートだけでなく、オフコートでも関わっていくということでしょうか?

具体的な話は出ていないですけど、基本的にはオンコートとオフコートの両方をサポートするべきなのではと思っています。コーチにはもし他の選手の手伝いもできるならやってもらうかもしれないと言われたので、それも準備できている状態です。

オンコートでハドルを組んだ時に僕ができることではありません。ハドルの際にどういう言葉をかければいいのかを町田選手は分かっていると思いますが、どの英語を選択するべきかなどは一緒に学んでいきたいです。

武井樹

「誰でもできるようなことを、誰にも真似できないレベルでやっていきたい」

──WNBAの組織に入ることになりました。一番の目標はどこに置いているのでしょうか?

もちろんアシスタントコーチができたらいいですけど、ヘッドコーチにはあまり興味がなくて、プレーヤーデベロップメントコーチだったり個人のスキルコーチになりたいと思っています。ゼネラルマネージャーになりたいですし、WNBA、NBA関係なく、日本人でもゼネラルマネージャーになれるということを証明したいですね。また、日本代表のコーチもやりたいです。ゆくゆくは人の上に立てるようなこともやりたいので、バスケ以外のこともずっと考えていますが、近い目標で言えばNBAのコーチになることです。

──通訳はNBAコーチへの第一歩でもあるということですね。

そうですね、通訳からどこまでいけるかというのは考えています。これまでにやってきたことですが、凡事徹底ですね。誰でもできるようなことを、誰にも真似できないレベルでやっていきたいと思っています。ただ、NBAやWNBA関係なしに、まずは町田瑠唯さんという選手をしっかりサポートしたいです。

──町田選手が加わるミスティクスはどんなチームですか?

2019年に優勝していて、そのメンバーがほとんど残っている良いチームです。素晴らしいポイントガードがいるので、町田選手がどういう立ち位置になるか分かりませんが、ベテランの選手もいて良いメンツが揃っています。コーチ陣も長く指導しているので、ケミストリーがある状態ですし優勝を狙えるチームだと思っています。

──最後にメッセージをお願いします。

町田選手を見る方が多いと思いますが、僕の活躍も一緒に見ていただければうれしいです。僕がどんなことをやっているのかというのは、SNSやYouTubeを使ってシェアしていくので。町田選手の活躍を祈っていただき、応援していただければそれが優勝に繋がります。僕もそういう気持ちで全力で彼女をサポートしていきます!

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