古川孝敏

前田ヘッドコーチ「チームとして大きく進んだ」

秋田ノーザンハピネッツはホームでの川崎ブレイブサンダース戦で連敗を喫した。これでアルバルク東京との水曜ナイトゲームから3連敗となったが、83-89で敗れた川崎とのGAME2はポジティブな面も見られた。

川崎のビッグラインナップ、そして彼らを操る篠山竜青、藤井祐眞による2ガードに上手くゲームをコントロールされてしまい、前半終了間際にはこの試合で最大となる19点のビハインドを背負った。しかし、前田顕蔵ヘッドコーチが「後半は選手がしっかりカムバックしてくれて、最後まで戦えたことは非常に良かったです」と振り返ったように、後半は前半とは全く違うゲーム内容となった。

後半はディフェンスの強度を挙げて、アップテンポなバスケットを展開すると、コルトン・アイバーソンのバスケット・カウント、そして古川孝敏の連続3ポイントシュートで秋田が9-0 のランを見せた。それでも相手は天皇杯優勝チームの川崎だ。点差を2ポゼッションまで詰めても、それ以上は縮まらない我慢の時間帯が続いた。

特に第1戦ではアレックス・デイビス、ジョーダン・グリン、コルトン・アイバーソンの外国籍選手3人で40得点を挙げたが、川崎の固いディフェンスを前に第2戦はグリンが9得点、デイビスが8得点、アイバーソンが5得点に留まった。

そんな苦しい状況の中で、チームを引っ張ったのが日本人選手たちだ。前田ヘッドコーチが「日本人選手が昨日と違って頑張ってくれたところは非常にうれしく思います」とコメントしたように、古川を筆頭に日本人選手が積極的なプレーを見せて奮闘し、敗れたものの19点のビハインドを覆して、一時は逆転する場面もあった。

秋田にとって平均18.0得点を挙げているグリンの存在は大きい。しかし、前田ヘッドコーチは「ウチのスコアラーとしてジョーダンがいるけど、『彼にボールを渡してスペースを取ることはやめてくれ』と試合中に言いました」と明かす。「そういうバスケをしたいわけじゃない。日本人選手がクリエイトしなさいと。そこが今日は見られたのが良かったですし、チームとして大きく進んだと思います」

古川も後半の追い上げについて、グリンに頼らなかったことが大きいと振り返った。「ジョーダンに頼るって言ったらあれですが、彼が厳しい状況の中でもチームとしてオフェンスができれば他の選手もアタックできます。そこはコーチからも日本人選手が行けと言われていました。その中でジョーダンが空いてくることもあるので、チーム全体的に動きの中でアタックする意識を持ってプレーできたことが良い流れに繋がりました」

秋田ノーザンハピネッツ

「勝ちにこだわる強い気持ちがすごく大事」

クラブ初のチャンピオンシップ進出を目指す秋田にとって連敗は痛手だが、この戦いで得たものは大きい。前田ヘッドコーチは「川崎さん相手に最大19点ビハインドから逆転するところまで持っていけて、選手たちの苦しい時のキャラクターというか、そこはすごくうれしく思いましたし、今後絶対に必要だと思うので選手たちはよくやってくれた」と言う。

ゲームハイの20得点でチームを引っ張った古川も「正直2連敗は自分たちにとって痛いですけど、この2ゲームが無駄になることがないように、自分たちがどう成長していけるか意識しながら次に繋げていきたい」と前を向いている。

第2戦では最終クォーターで逆転したものの、その後の拮抗した試合の中で、勝負どころのシュートを決め切れず、結果的に6点差で敗れた。古川は「大事なところで自分たちが上手くいかないことが多い」と振り返った。「良いところまで行くけど、最終的にやられてしまうのはもったいない。そこで自分たちがどう戦うのか。逆に相手にやりたいことをやられる場面もあるので、この経験を生かさないといけないです」

もちろん、こういった接戦を勝ち切るには、技術や戦術が重要だ。でも、古川はそれ以上に「勝ちにこだわる強い気持ちがすごく大事」と語る。「戦術や技術をどうにかしなきゃいけない部分はありますけど、それ以上に40分、80分を通して、強い気持ちを持ってやらないといけません。それがあった上でいろいろなものが(終盤に)積み重なってくると思うので、そこはすごく大事なのかなと思います」

シーズン終盤戦ともなれば、1勝が非常に大事になってくる。特に現在23勝15敗の東地区5位で、ワイルドカードでのチャンピオンシップ進出圏内にいる秋田にとってはなおさらだ。そんな中で、次の水曜ナイトゲームで宇都宮ブレックスと対戦し、その後も川崎や琉球ゴールデンキングス、千葉ジェッツといった強豪との戦いを控えている。

川崎との2戦を終えて、古川は「間違いなく戦える自信に繋がった」と、シーズン終盤戦に向けて意気込んだ。「試合前のハドルを組む時に僕はいつも『相手がどんなチームであろうと自分たちのパフォーマンスを信じてやれるチームだから、全員で戦って勝ち切ろう』と話すんです。今日は勝ち切れなかったですが、間違いなくやれる部分が多く見られたので、そこは自信を持っていいと思います。川崎とはあと2試合ありますし、まだまだ力のあるチームと当たる機会はあるので、ポジティブに前向きに繋げていけたらと思います」