「昨年の借りを返せないようでは日本を代表するポイントガードにはなれない」
3月3日、横浜ビー・コルセアーズは会見を開き、河村勇輝と来シーズンのプロ契約を結んだことを発表した。さらに在学中の東海大を中退し、特別指定選手としての活動をシーズン終了まで延長することも同時に発表した。
特別指定選手の制度を活用し、大学在学中にBリーグのコートに立つ選手は増えた。それでも、今回の河村のように大学を中退してまでプロの世界に飛び込む選手は稀だ。かつてはNBA選手を目指す馬場雄大が筑波大在学中にプロへ転向し、小酒部泰暉もアルバルク東京の活動に専念するため大学3年時にバスケ部を退部した。また、信州ブレイブウォリアーズの岡田侑大も、拓殖大を中退してBリーグに挑戦したことで注目を集めた
それぞれ理由は異なるが、彼らが大きな決断を下したのには理由がある。それは河村ももちろん同じだ。河村は「日本を代表するポイントガードになり、2年後のパリオリンピックに出場することが僕の目標です」と、力強く語った。
「特別指定選手として3シーズン目を迎え、プロとしてやっていきたいと思いました。2年後のオリンピックが一番の理由で、2年とは言っても短い期間なので、早くたくさんのことを経験していろんなことを積んでやっていきたいという気持ちになりました。どうすればその目標に近づけるかを考えた結果、この決断に至りました」
高校在学中に三遠ネオフェニックスに特別指定選手として加入した河村は、Bリーグ(B1)史上最年少出場、最年少得点記録(18歳8カ月23日)を更新するセンセーショナルな活躍を見せたが、横浜に加入した昨シーズンはシュートスランプに陥るなど、大きなインパクトを残すことができなかった。その悔しさが残っていることが、横浜を選んだ理由の一つになったとも河村は明かした。
「昨シーズンは学業との両立を考えて、特別指定選手としてビーコルでプレーしましたが、ファン、ブースターのみなさんの期待に応える活躍をすることができず、自分自身すごく悔しい思いをしました。今シーズンに横浜に戻って来た理由の一つが昨シーズンの借りをファンやブースターにお返ししたいという気持ちがあったからです。昨年の借りを返せないようでは日本を代表するポイントガードにはなれないと思います。このクラブで結果を出し、チームの勝利に貢献したいと思います」
今後はプロ選手として戦っていくことになるが、特別な気持ちの変化はないという。それでもシーズン最後までチームに帯同できることになったことで、チームへの思いはより強まっている。「特別指定選手とプロで違うのは1シーズンを通してプレーすることができるということ。チームとして日本一になることは当たり前の目標なので、1シーズンを通して結果を残していけるように、実力をつけて頑張っていきたい」
福岡第一校時代から多くの注目を集めてきた河村は、バスケットファンだけに留まらず多くの人に影響を与えていきたいと意気込んだ。「小さな選手だからこそできることだったり、アグレッシブなスピードあるプレーを目指して、そのスタイルはブラさずにやっていきたいです。小さな子供たちやバスケットファンのみならず、たくさんの国民の方々に希望や夢、目標を与えられるプレーをしていけたらと思っています」
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