山本麻衣

「小さい選手なりにできることがある」を3×3で証明

世代を代表するポイントガードの山本麻衣は、日本代表では予想外の形で頭角を現すことになった。アーリーエントリーで加入した2017-18シーズンにトヨタ自動車アンテロープスで数試合に出場したものの、本格的なWリーグでのデビューを前に3×3のU23日本代表に招集され、翌2019年にはU23ワールドカップで優勝を果たし、山本は大会MVPに選ばれた。コロナ禍で代表活動がほとんどできなかった2020年を経て、1年遅れのオリンピックでは3×3の日本代表としてプレーした。

もともと東京オリンピックへの出場は山本にとって大きな目標だったが、3×3で世界を驚かせることに。ハーフコートで戦う3×3では5人制以上に高さと強さがモノを言うが、身長163cmと小柄でも激しいコンタクトに一歩も引かず、スピードとシュート力で相手を上回った。「小さい選手なりにできることがある」と彼女自身が繰り返してきた言葉をプレーで証明する大会となった。

昨年秋のアジアカップで恩塚亨ヘッドコーチを迎えて新体制になった5人制日本代表に招集された山本は、14.3分のプレータイムを得て5.8得点、2.8アシストを記録して、アジアカップ5連覇に貢献した。そこでは「あまり考えすぎずに自分のやりたいことをやる、それが自分らしさに繋がるプレーだと気付かせてくれたのが恩塚さん」という学びを得ている。

今回のワールドカップ予選に向けた代表合宿には、宮崎早織以外のオリンピック組のポイントガードも招集され、競争は熾烈なものとなっている。それでも山本は「アジアカップとはまた違ったメンバーでお姉さんの方々も入ってきて、良い刺激を受けて毎日成長できていると感じています」と合宿の手応えを語り、「自分が今ここでお姉さん方と競争できていることが楽しい」と前向きにとらえている。

代表合宿は12名のロスター入りを争う場でもある。5人制の日本代表としての実績だと22歳と若い山本は見劣りするが、3×3では若くして世界のトップと渡り合ってきた経験がある。「オリンピックで3×3を経験して、身体の当て方だったりドライブに行った時に大きい選手へのフィニッシュは勉強になった」と語る山本は、「自分の強みである、得点できるポイントガードであることに自信を持って、シュートを打つ時は自信を持って打って決めたい」と続ける。

「チームで結果を出せているので自信を持って来ているんですけど、ここに来ている人たちはすごい技術やポテンシャルを持っているので『自分じゃない』って思っちゃったりすることもあります。でも自分らしさは何かを考えて、自分らしいプレーをすれば大丈夫という自信を持って臨んでいます」

彼女の言う『自分らしさ』は、3×3で世界と戦った裏付けがあるだけに強い。「しっかり自分らしさを出して、絶対に選ばれたいですし、5人制のワールドカップでも活躍したいと思います」と、山本は今度は5人制での日本代表でのチャレンジに燃えている。