シアトル発レポート 渡嘉敷来夢「2年目の挑戦」
2016/04/21

文=アレンまりを 写真=Getty Images

最大限の可能性を秘めた日本人歴代最高のプレイヤー

2015年6月にシアトル・ストームとの契約を交わした渡嘉敷来夢は、日本人女子史上3人目のWNBAプレイヤーとなった。1年目のシーズンは、WNBA新人ベスト5にも選出される文句なしの活躍を見せ、全国紙の『ニューヨーク・タイムズ』から「渡嘉敷は最大限の可能性を秘めた日本人歴代最高のプレイヤー」と称賛された。

その渡嘉敷は今年2月、ストームと新たな複数年契約を結んだ。ストームのヘッドコーチ、ジェニー・ボウセックは、渡嘉敷の身体能力、ゲームメークに対する瞬発的な判断力、バスケットボールに対する熱意を昨年度のプレーで目の当たりにし、今年はさらに単なる一戦力ではなく、チームの中心選手になる人材と高く評価している。

地元紙の『シアトル・タイムズ』ではストームの選手とフロントが渡嘉敷の再契約を歓迎していると報じ、渡嘉敷を中心としたチーム作りの話題で盛り上がっている。

WNBA公式戦デビューを果たした試合で、開始20分で6得点を挙げてチームの勝利に貢献した姿を見た瞬間、渡嘉敷について「天性を感じた」とコメントしたボウセックは、彼女の契約が決まったことで、開幕に向けた戦力整備が大きく前進したと考えている。

アメリカでも「世界で通用する選手」と見られている

昨シーズンの渡嘉敷のパフォーマンスを振り返ってみよう。持ち前のディフェンス力、身体能力の高さを生かし、WNBAで平均得点8.2、平均リバウンド3.3、平均ブロック0.9を記録。ルーキーとしては十分な数字だ。

6月28日のタルサ・ショック戦では自己最高の21得点を記録。女子バスケットボール選手には珍しくダンクまでこなす渡嘉敷の優れた身体能力はジャンプ力だけでなく、その高度なジャンプを可能にさせるスピードが評価されている。アメリカのバスケットボール界でも「世界で通用する選手」として注目されている、ということだ。

成功の背景には、ルーキーらしからぬ豊富な実戦経験があった。WJBLでの圧倒的なパフォーマンスはもちろん、日本代表の一員としてもアジア選手権では2013年大会でチームに43年ぶりの優勝をもたらし、昨年には連覇を果たすとともにリオ五輪の出場権を獲得。2大会連続でMVPに輝いている。まだ24歳だが、ベテランにも劣らぬ経験を積んでいるのだ。

9度のWNBAオールスター選手を果たしているベテランにしてストームの大黒柱であるスー・バードは、チームにやって来たばかりの渡嘉敷のダンクを見たトレーニングキャンプの時点で、その才能を確信したと話している。今では「WNBAで最もスピードのあるポストプレイヤー」と最大級の評価をしている。

新シーズンは5月15日開幕、舞台はステイプルズ・センター!

渡嘉敷は今回のストームとの契約について、日本人選手が世界最高レベルのリーグでどれだけ活躍できるかを自分が証明していきたいと、強い意気込みを見せている。

渡米後に初めて覚えた単語は「Confidence」(自信)だそうだ。勢いが止まることを知らない今の渡嘉敷を表現するには一番の言葉であり、彼女にとってもお気に入りの単語であるようだ。

もっとも、英語はまだ苦手。通訳が入るまでもない話題については、表情とボディランゲージで乗り切っていたそうだ。それでも1年目の挑戦以前から、英会話スクールに通って勉強を続けている。

渡米を前にした渡嘉敷は、ファンに向けてこんなメッセージをおくっている。「いつも応援ありがとうございます。また今年もアメリカに挑戦するので、機会があれば現地で、現地に来れない方はWNBA-TVみたいなものでチェックしてください。それも無理な方はSNSをチェックしたり、メッセージをくれたらすごくうれしいです。皆さんからの応援メッセージは励みになりますので、よろしくお願いします。また日本に帰ってくるので忘れないでください(笑)」

その渡嘉敷は昨日(4月20日)、アメリカに向けて飛び立った。

シアトル・ストームの開幕戦は5月15日、ロサンゼルス・スパークスとの対戦。つい先日、コービー・ブライアントが現役最後の試合をプレーしたロサンゼルスのステイプルズ・センターで、渡嘉敷はWNBA2シーズン目の初戦を迎える。

またホーム初戦は5月22日、昨年のWNBA王者ミネソタ・リンクスと当たる。この2試合が渡嘉敷のWNBA2年目を占う試金石になることは間違いない。

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