昨季キングスに3年契約で加入も、NBAへの適応に苦しみ本領発揮とならず
ラプターズのサーシャ・ベゼンコフが同チームとの契約解除に合意し、ヨーロッパに帰還することがわかった。
ブルガリア出身のベゼンコフは、2022-23シーズンにギリシャのオリンピアコスBCでユーローリーグMVPの活躍を披露。欧州No.1選手の実績を引っ下げて昨シーズン、最終年がチームオプションとなる3年2000万ドル(約31億円)の契約でキングスに加入した。
しかしNBAスタイルの適応に苦戦し、故障もあって思うようにプレータイムを確保できず、42試合出場、平均12.2分、5.4得点、2.3リバウンドと期待はずれの成績に終わっていた。シーズン終了後には地元メディアに対し、コンディショニングコーチと意見の相違で苦しむなどフラストレーションを感じた1年だったと明かしている。
こうしてキングス側と溝を作ったベゼンコフは6月末、キングスがジェイレン・マクダニエルズを獲得するトレードで、デイビオン・ミッチェル、今年のドラフト2巡指名権とともにラプターズに加入していた。
ラプターズの指揮官はベゼンコフと同じヨーロッパ出身のダーコ・ラジャコビッチで、新天地で出直しを図る選択肢もあった。しかしベゼンコフはNBAでの活動に早々に見切りをつけ、すでに確固たる地位を確立している欧州に戻ることを決断した。ベゼンコフは660万ドル(約10億円)の年俸を破棄し、古巣のオリンピアコスBCへの復帰が濃厚と見られている。
ヤニス・アデトクンボにルカ・ドンチッチ、ニコラ・ヨキッチ、最新ではビクター・ウェンバニャマ。NBAで大活躍している欧州出身選手は若くから才能を高く評価され、20歳前後でNBAに挑戦している。一方で20代中盤まで欧州でプレーし、結果を残した選手が、NBAで中心選手として大成功を収めるケースはかなり少ない。
ベゼンコフの決断は、個々の能力に加え、慣れ親しんだFIBAルールとはまったく違うNBAスタイルへの順応など、欧州出身選手たちが乗り越えるべきハードルの高さを再び実感させられるものとなった。