エース同士の点の取り合い、打ち勝ったのはサンダー
平均36点を超え歴史的な得点力を発揮しているジェームズ・ハーデン。フィールドゴール成功率は44%とさほど高くないものの、ディフェンス泣かせの「分かっていても打たれてしまう」ステップバック3ポイントシュートとファールをもらう上手さで得点を重ねていきます。
ある意味、ハーデンの最もすごい部分はシュートを打ち続けても確率を落とさない「スタミナ」で、ロケッツのオフェンスはほとんどがハーデンから始まるにもかかわらず、試合終了まで同じようにプレーし続けます。ここまでリーグ最多のシュート数を打つ、リーグで最もタフなスコアラーなのです。
では、そのハーデンに次いでリーグで2番目に多くのシュートを打っているのは誰か。サンダーのポール・ジョージです。今シーズンは得点、リバウンド、スティールでキャリアハイを更新する活躍ぶりでオールスターのスターターにも選出されました。ペイサーズ時代から攻守に優れた選手として認識される一方で、オフェンスでは勝負どころの弱さや安定感を欠く一面があり、良い意味での強引さと継続性が課題でしたが、今シーズンはゲームウィナーも決めており、試合終盤まで得点力を落とさないことが好調の要因になっています。
ジョージもまた3ポイントシュートを打ち続けることで得点を稼ぐタフなスコアラーぶりを発揮しています。リーグで最もタフなスコアラーの2人が直接対決でお互いに40点を超える戦いを見せました。
And. One. #PaulGeorge And we're right back in it. pic.twitter.com/NyH1oZle4i
— OKC THUNDER (@okcthunder) 2019年2月10日
初めに飛び出したのはジョージ。開始7分で13点を奪いリードをもたらしますが、そこからはロケッツの3ポイントショーとなります。4本のハーデンに引っ張られたチームは12本を沈め、前半だけで70得点。コートを広く使うロケッツのオフェンスに対して、サンダーのディフェンスはしっかりと追いかけるものの、プレッシャーを掛けるに至らずサンダーの11ターンオーバーに対してロケッツは2つのみと、ハードなディフェンスから速攻という得意の形を出せませんでした。
ロケッツの22点リードで始まった後半は、ハーデンに対してジョージが高い位置からプレッシャーを掛けて早めにパスを出させるように仕掛けると、そのパスを周囲が素早い反応で追い掛け回し、第3クォーターだけで6つのターンオーバーを誘いました。そこから走ったサンダーが一気に反撃し、同点に追いつきます。ハーデンはスイッチを促してアイソレーションに持ち込むシーンもありましたが、ファウルも辞さずハードに当たってくるサンダーディフェンスに手を焼いただけでなく、肩を痛めてしまいフィールドゴールを決められません。
第4クォーターの後半になって、休みなくプレーし続けるジョージが3ポイントシュートを決めてサンダーが先手を取ります。シュートが外れても全員がルーズボールに食らいつくサンダーに押されていったロケッツは、ハーデンが痛めている肩のアイシングを外して戻ってきます。
サンダーがジョージをベンチに下げたことでラッセル・ウエストブルックに打たせる形をとったロケッツディフェンスが機能し始め、クリス・ポールのアシストからハーデンの3ポイントシュートで再逆転し、終盤の勝負に持ち込みます。ハーデンとジョージ、それぞれの存在感の大きさを強く感じさせる展開になっていきました。
早速コーナーから3ポイントシュートを決めたジョージは、ワンフェイクからハーデンにファールをさせるプレーも見せ、すぐに逆転に導きます。いつも自分がやっているようなプレーをやられてしまったハーデンでしたが、得意のステップバック3ポイントシュートで応戦します。
譲らない両チームの戦いはディフェンスが激しくなり、パスを出してもすぐにヘルプがきて潰されるシーンが増え、エースの個人技に託すしかなくなっていきます。ハーデンのミドルでロケッツがリードを奪うも、ドライブからファウルを引き出したジョージのフリースローでサンダーが逆転。残り1分を切っても1点を巡る拮抗した展開が続きます。
残り32秒でハーデンがドライブからフローターを決めてリードすると、タイムアウトのサンダーが選んだのはジョージを囮にしたウエストブルックのドライブ。ロケッツのラストプレーはスイッチを促してのハーデンのアイソレーションでしたが、厳しく守るジョージとウエストブルックによりシュートチャンスを作れないままショットクロックがなくなり、苦し紛れに打った3ポイントシュートが決まらず、エース同士の点の取り合いに終止符が打たれました。
41分間プレーし、45点を奪ったジョージはあと1つのファールで退場でしたが、最後までハードに守り続けました。驚くべきはその41分でチームは16点のリードを得ていたこと。リーグで最もタフな2人のスコアラーによる直接対決は、ディフェンスでも大きな力を発揮したジョージに軍配が上がりました。
しかし、28本のシュートを放ち42点のハーデンに対して有効なディフェンスができたわけでもありません。プレーオフでの対決もあり得る両チームが、お互いのエースに対してチームでどんなディフェンスをしていくのか。今後も引き続き見どころになりそうです。