取材=鈴木健一郎 写真=野口岳彦

Bリーグ初年度のシーズン、4503人というリーグ最多の平均入場者数を記録した千葉ジェッツ。B1では前年比50%増、リーグ全体でも40%増と観客動員を伸ばしたリーグの盛り上がりを牽引する存在となった。

満員のアリーナがもたらす臨場感はBリーグになってもたらされたエンタテインメントの最たるものだ。もともと集客力のあった千葉だが、Bリーグ効果を存分に生かしたと言っていい。『勝負の2年目』を前に、千葉は観客動員をさらに伸ばすとともに、来場者の満足度をより高めるための取り組みを行っている。チケット担当の岩田真弥さんに話を聞いた。

満員にならないと出ない臨場感が船橋アリーナの売り

──まずは本拠地である船橋アリーナの特長、良さを教えてください。

サイズは決して大きくないのですが、それだけコートに近いのが魅力です。1階席の座席レイアウトについては、当時の担当者が根っからのバスケ好きで、考えに考えたものです。だからどの席でも試合が見やすい、というシンプルな魅力があります。その上で、やっぱり満員にならないと出ない臨場感があるので、これは船橋アリーナの売りだと考えています。

──観客動員は好調だったと思いますが、1年目のシーズンを終えて課題はありましたか?

探せば課題はいくらでもあります。実際は完売になっていない試合も多いし、お客さまが増えることで出てくる運営面での問題もあります。例えば座席の案内が十分ではなくて、お客さまが戸惑ってしまうとか。また一番の問題は開場前の待機列がすごく伸びてしまったこと。ひどい時は船橋アリーナの門を超えるところまで列ができました。暑かったり寒かったり雨が降っている中、アリーナの外で何時間もお待ちいただくのはお客さまにとってストレスでしかないので、これは今回改善しました。

──待機列の問題は改善できるものなんですか?

早い時間から並ばなければいけないのは、自由席で良い場所を確保するためです。それで1階のサイド席はすべてを、そして2階サイド席の中央を指定席にしました。何時間も前に会場に来て席取りをしなければいけない席は最初から指定席にした、ということです。これで試合開始が15時とか16時なのに午前中から並ばなければいけないストレスはなくなると考えています。

2年前は指定席がほとんどなかったんです(コックピットとファーストクラス1列目、ゴールピット1列目だけ)。Bリーグ開幕に際して指定席を増やしたのですが、ここまでの状況は読めませんでした。ただ今は状況が違うので、こうするのがベストだと思います。

──岩田さんの友人が初めて千葉の試合を観戦に来るとして、どの席種をオススメしますか?

セールストークではなくて、どの席も見やすいのが魅力だと本気で思っているので、あとは好みであり、予算との相談ですね。ファーストクラスの1列目、2列目も段差を付けているので見やすいです。あとはゴールピットです。実を言うと結構遅くまで残っている、いまいち人気のない席種なのですが、バスケの魅力が一番伝わる場所だと私は思っているんです。

というのは、やはりゴールのすぐ後ろですから、バスケットボールの魅力である得点シーンが間近で見られます。ゴールの真横だと支柱が邪魔になって反対側のプレーが見えなかったりするのですが、選手はリングに向かって飛び込んでくるので、迫力は段違いです。一番近いところに座れば、数メートル先でダンクが決まり、選手はその勢いで本当に目の前まで来ますから。

それにコートを縦に見るゴールピットからの視界って、選手と同じですよね。一般的にはサイド席のほうが試合展開をよく見ることができるのですが、選手と視野を共有できる一体感、臨場感がゴールピットなどエンド側の席にはあります。

──選手と視野を共有できるってイイですねえ。

これは個人的な考えになってしまうのですが、船橋アリーナは多くのお客さんが入って臨場感があるのですが、『アリーナが一体になって戦っている』という感じはまだまだだと思っています。栃木ブレックスさんのホームゲームの迫力はすごいですよね。まさにお客さまも含めたアリーナ一体で戦っている感じがします。昨シーズン中には琉球ゴールデンキングスさんの試合を視察に行ったのですが、こちらも一緒に戦っている感じが強かったです。そういう盛り上がりを作っていければと思います。

──確かにアリーナの雰囲気は、会場ごとに少なからず違いがありますね。

ジェッツのお客さまの特長としては家庭的というか、穏やかで『初心者ウェルカム』な雰囲気なんです。リーグ全体で若者や女性が多いとされますが、ジェッツはその傾向が特に出ていて、家族連れもたくさんいらっしゃいます。それで『戦っている感』が出づらいのはあります。

ただ、これは良い悪いではなくジェッツというクラブの特色なので、それを生かしつつ盛り上げていきたいですね。それでも例えばゴールピットやエンドの自由席に座るお客さまには、相手のフリースローの際には一緒に戦ってほしいです。みんなで盛り上がって相手の集中を乱すことは、もっとやっていただいてもいいのかなと(笑)。

選手たちの頑張りにフロントが応えなきゃいけない

──今でも船橋アリーナの雰囲気はかなり良いのですが、理想の形として「こうしたい」というイメージはありますか?

頑張ってチケットを売って、船橋アリーナも千葉ポートアリーナも全試合を満員にしたいですね。その上で、ジェッツらしい会場の雰囲気をお客さまと一緒に作っていけたらと思います。今シーズンから指定席が一気に増えるので、その良さを伝えてたくさん買っていただきたいです。理想はNBAやNFLのように全席がシーズンチケットで売れてしまうこと。そうすると新規のお客さまが来れない悩みが出てくるのですが、それで悩んでみたいですね(笑)。

ウチの選手はすごく頑張ってくれているので、フロントもそれに応えなきゃいけません。お金を払って見る価値のある試合を選手はやっています。そんな選手たちのプレーを、一人でも多くのお客さまに見ていただきたいです。

──東地区がさらなる激戦区になって選手たちは大変ですが、試合の面白さは保証付きです。昨シーズン以上にお客さんを増やして盛り上げたいですね。まだ開幕には間がありますが、せっかくなので観戦に行こうかどうか悩んでいる人へのメッセージをお願いします。

はい、おかげさまで多くのお客さまが船橋アリーナ、千葉ポートアリーナに足を運んでくださいました。今はシーズンチケットの発売期間中ですが、私としては絶対にお得だと自信を持ってオススメしています。『自分の席』を年間で確保できるし、次のシーズンにキープできる権利もつきます。シーズンチケットをずっと大事に持ち続けていただければと思います。

チケット販売と同時に、昨シーズン以上に快適に観戦していただける、また家族でも楽しめるアリーナを作っていけるよう準備を進めています。お客さまの満足度を上げるために、まだまだやれることはあります。新シーズンの開幕を楽しみにしていてください。

目指すは『老若男女問わず楽しめるアリーナ』

船橋アリーナは『船橋日大前』駅より徒歩8分か『北習志野』駅より直通バスと、どちらもアクセス良好です。
入場すると選手の等身大タペストリーがお出迎え。外国籍選手のサイズに少々威圧されつつ、高まるワクワク!
アリーナグルメも充実、2Fのホワイエに様々なお店が出店しています。バスケを見ながらのビールも格別!
コートへの入場口の手前には無料で遊ぶことのできるキッズエリアが。いつ来ても大興奮のキッズたちで盛況!
老若男女に大人気のチームマスコット、ジャンボくん。ちなみに職業は「千葉ジェッツ号の整備士」なのです。
船橋アリーナ2階自由席でもコートはかなり近く、入り口から見て左奥は選手入場口が近いのがポイント!
チアリーダーの『STAR JETS』は迫力のダンスパフォーマンスだけでなく、応援をリードする大事な存在。
ゴール裏の『ゴールピット』はこんな感じ。選手が飛び込んでくるかもしれない緊張感とともに観戦できます。
この距離感が船橋アリーナの魅力。他のスポーツに比べ、選手に声が届きます、息遣いまで感じられます!
ブースタークラブ会員限定など制限はあるもののサイン会などのイベントを毎試合実施。これもうれしい!
(C)CHIBA JETS FUNABASHI/TAKE-1
もう一つの会場、千葉ポートアリーナはより大きな会場。5月3日の秋田戦には7327人を集めました。