文・写真=鈴木栄一

「日本はこれまでプレーしてきた中でベストの国」

2020年の東京五輪に向けて、新たなスタートを切った日本代表に加わった頼もしい新戦力が、帰化枠のアイラ・ブラウンだ。元々はbjリーグ時代の富山グラウジーズに2011-12シーズンに加入。富山で3シーズンを過ごした後、日立サンロッカーズ(現・サンロッカーズ渋谷)に入団と、今季が日本で6シーズン目となる彼は、フィジカルの強さ、抜群の跳躍力を武器に、攻守ともにパワー満点のプレーで所属チームを牽引している。

国内からアジアに舞台を移しても、その存在感は健在だ。9月に行われた『FIBA ASIAチャレンジ』で強烈なパフォーマンスを見せ、早くも代表に不可欠な存在になってきている。そのブラウンだが、元々は野球選手として活動がメインで、高校卒業後にカンザスシティ・ロイヤルズからドラフト8巡で指名された過去を持つ。

しかし、肘の故障もあって野球のキャリアを断念し、バスケットボールに転向。2005年にフェニックス短大に入学し、そこからアメリカでも有数の強豪校であるゴンザガ大に編入する。そしてメキシコ、フィリピンなどのプレーを経て、前述の通り富山に加入する。

「日本については、かつて東芝(現・川崎ブレイブサンダース)でプレーしていたコーリー・バイオレットから聞いていた。そして当時の富山では、同じ時にゴンザガを卒業した小長井亮兵(現・福島ファイアーボンズ)がマネージャーをやっていた、彼の誘いもあって決めたんだ」

このように日本行きの経緯を振り返るブラウンは、すぐに日本を気に入ったそうだ。「日本はこれまでプレーした中でもベストの国だよ。ちゃんと給与は支払われるし、各チームがトレーナーなどスタッフを揃えている。メキシコではトレーナーがいなかったし、サラリーの心配もあった。時に週4日で試合することもあった。日本は週2日のスケジュール通りに試合が行われる」

また、ブラウンが何よりも感銘を受けたのは、熱狂的なファンだった。「富山では、レギュラーシーズンでカンファレンス1位となり、(ファイナルズの舞台となる)有明(コロシアム)に行けたのは良い思い出だ。そしてファンの熱気が素晴らしかった。チームが勝てば本当に喜んでくれるし、負けたら泣いてくれる。雨の日も雪の日も試合に来て、声援を送ってくれて、チームに愛着を持ってくれるんだ。ファンもビッグファミリーの一員と思っていた」

「青学記念館の建物からエナジーを感じることができた」

そして富山時代と同じく、サンロッカーズ渋谷でも同様のファンのサポートを感じていると強調する。今季からチームは青山学院大学の施設をホームアリーナとして使用しているが、「最初のホームゲームは注目されていて少し緊張したけど、ファンは素晴らしかったね。試合中、ずっと声を出して応援してくれていて、建物からエナジーを感じることができた。(熱い応援で有名な)ゴンザガ大学での試合を思い出したよ」

今シーズンのSR渋谷は、昨季から複数のリーダー格であるベテランが去り、指揮官も変わるなど大きな変化が起こったものの、ブラウンは新しいチームに手応えを感じている。「代表から帰ってくる前は、自分がよりリーダーシップを取る必要があるかもしれないと感じていた。しかし、合流したらすでにチームのシステム、チームの文化ができていた。ケンタ(広瀬健太)、タカ(伊藤駿)がリーダーシップを取ってくれている。彼らは素晴らしいキャプテンだ。僕は自分のやるべきことをやるだけ。チームにエネルギーを与えられる選手として、すべての練習、すべての試合で成長していきたい」

「誰か一人に依存するのではなく、チームとして戦えていることは気に入っている。スーパースターはいないかもしれないけど、相手は僕たち5人全員をマークしなければいけない。ファンには引き続きサポートをお願いしたい。渋谷を新たなホームタウンにするのは、チームにとって大きなことだ。渋谷の人々に、サンロッカーズ渋谷のホームタウンであることを誇りに思ってもらえるようにしていきたいんだ」