文=鈴木健一郎

9月22日のBリーグ開幕戦は、バスケットボールとしては異例の地上波生中継が行われた。フジテレビ系列の生中継番組の視聴率は5.3%。Bリーグ初代チェアマンの川渕三郎は、この数字がまだ出ていなかった昨夜の開幕戦終了後に、「ほとんど90点。100点とは言わないが、かなり良かった」と語っていた。しかし、視聴率についてはもともと「最低でも2桁は欲しい」と10%にこだわっていただけに、今日はもっと辛い点数を付けるものと思われる。

この視聴率を年代別で見てみよう。Bリーグがターゲットとすべき若い男女を見ると、20歳~34歳の男性は5.9%と個人視聴率としてはまずまず良い数字を出している一方で、20歳~34歳の女性となると2.9%に下がる。その上の年代である35歳~49歳では、男性4.0%に対し女性3.8%とほとんど差がないだけに、20歳~34歳の女性に向けてはこれまでとはまた違ったアプローチでの魅力発信が必要だろう。

フジテレビ地上波中継の世代別・年代別での視聴率。
 

いずれにしても、視聴率がすべてではない。昨日の代々木第一体育館はまさに『夢のアリーナ』と化した。昨日の来場者は100%と言ってもいいぐらい大多数の人が、『夢のアリーナ』で繰り広げられる新しいバスケットボールリーグに魅了され、満足して帰って行ったはずだ。そして今日のチケットを持っている人も、大きな期待を胸に会場へと足を運ぶ。まさか視聴率が振るわなかったことで「もうあまり見たくない」という人はいるまい。昨日の試合は、それほどエンタテインメント性に満ちていたのだ。

Bリーグは一発勝負の花火ではない。明日からは地上波中継もLEDコートも広瀬姉妹もなしでの興行が始まる。開幕2daysはあくまで「お祭り」。これからBリーグが10年、20年と続き、ファンを増やし、地域に密着し、歴史を作っていくには、すべてのチームが自分たちの力で『夢のアリーナ』を実現すべく、地道な努力を続けていくしかない。

まずは今日、2日間の「お祭り」を全力で楽しみ、明日から全国各地で始まるリーグ戦がどれだけ盛り上がるか、期待して待ちたい。