
『野口大介』の検索結果
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サンロッカーズ渋谷に移籍した野口大介、古巣と初対戦「不思議な感じがしました」「北海道戦ではなんとか勝ちたいという思いでした」 サンロッカーズ渋谷はレバンガ北海道をホームに迎えた水曜ナイトゲームを83-76で勝利した。 この試合で注目を浴びていたのが、昨シーズンまで北海道に所属していた野口大介と関野剛平だ。 野口は移籍後初となる古巣との試合を終えて「不思議な感じがしました」と、素直な感想を口にした。コート上には、昨シーズンまでチームメートだった選手と一緒に、SR渋谷に移籍した関野もいた。そのため、「練習の紅白戦をやっているような感覚になってしまいました。でも向こうの顔を見ていると本気ですし、これはガチな試合なので本当に不思議な感じでした」と語った。 SR渋谷は開幕戦で昨シーズンに1勝もできなかった千葉ジェッツから勝利を挙げた。「開幕で2連勝できたので、チーム状況を上げながら北海道戦でもなんとか勝ちたいという思いでした。それは僕も関野も一緒で、その雰囲気がチームメートにも伝わって今日の勝ちに繋がったと思います」と、野口は開幕戦の勝利が弾みになったと明かす。 SR渋谷は第1クォーターの立ち上がりからオールコートディフェンスを徹底し、主導権を握った。だが、北海道の得点源であるマーキース・カミングスのアタックを止められず、点差を縮められる場面もあった。 それでも、この悪い流れを払拭したのが野口と関野のコンビプレーだった。関野がドライブでディフェンスを引き寄せ、コーナーに居た野口が3ポイントシュートを確実に決めた。元北海道の2人のコンビネーションから生まれたプレーに会場からは大歓声が上がった。 「全然打ち合わせはなかったんですけど、関野がドライブした瞬間に僕のマークマンがヘルプに行っていたので、これは絶対にパスが来るなと思って準備はしていました」と言う。 素晴らしい連携プレーだったが、パスを予測していた野口に対し、関野のほうは少し違っていたようだ。「彼は何も考えずに攻めて、『やばい、どうしよう』と思った時に、『あ!大介さんが空いている』ってパスをしたと言っていました(笑)。でも僕は来ると分かっていたので、それは北海道からの繋がりかなって思います」 「チーム全員で守ることが僕らのスタイル」 ディフェンスのチームと公言しているように、この試合でSR渋谷はスティール11本、ブロックショット4本を記録した。ブロックショット4本のうち2本は野口が決めたもの。「必死で僕らは守っているので誰かがカバーしてくれて、僕もそのカバーに行って、たまたま生まれたブロックショットでした」と、野口は言う。 そう謙遜する野口だが、それでもチームディフェンスに対しては手応えを感じている。「カバーを違う選手もやってくれたり、本当にチーム全員で守ることが僕らのスタイルなので。それを最後まで続けていきたいと思います」 しかし、SR渋谷は20点差までリードを広げたものの、自分たちのリズムが崩れて7点差まで追い詰められた。終盤に失速したが、野口はこの原因を「メンタル」と断定する。 「点差が20点開いて、ヘッドコーチからは、『もっと突き放せ』としきりに言われていました。でもどこかで、20点差があるという油断があったと思います。そこを相手につけ込まれてしまった部分がありました。たとえ20点差をつけても、25点、30点と、もっと離せるようにならないとダメです」 自分たちの気の緩みから相手に勢いを与えてしまったことは課題となった。それでも苦しい時間を耐え抜くことができたことは収穫でもある。 「北海道の時と変わらず3ポイントシュートは打ちながらも、ディフェンスのチームなので、しっかりディフェンスで貢献しながらやっていきたいです」と、野口は言う。新たな役割を受け入れつつ、チームとともに成長していく野口の今後の活躍にこれからも期待したい。2019/10/17Bリーグ&国内
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激しいディフェンスから主導権を握ったSR渋谷、レバンガ北海道に勝利し開幕3連勝いきなりのオールコートディフェンス、北海道を圧倒 サンロッカーズ渋谷がレバンガ北海道をホームに迎えた水曜ナイトゲーム。前半に広げたリードを最後まで保ったSR渋谷が83-76で勝利し、開幕からの連勝を3に伸ばした。 SR渋谷の伊佐勉ヘッドコーチが「4連勝中で勢いに乗っているレバンガさんに対して、出だしで自分たちのディフェンスがどれだけできるかということに重きを置いた」と試合後に語ったとおりのパフォーマンスで、SR渋谷が試合の主導権を握る。 いきなりオールコートディフェンスを行うことで、北海道のトランジションを潰し、ターンオーバーを誘発。開始5分で関野剛平が放ったロング3ポイントシュートが決まり12-4と突き離した。北海道も開幕から絶好調が続くマーキース・カミングスにボールを集めて勢いに乗り始めるが、ここでSR渋谷は5人全員を交代させてディフェンスの強度を上げた。こうして第1クォーターだけで北海道から6本のターンオーバーを誘発。攻めに転じれば昨シーズンまで北海道に所属していた関野と野口大介のセットプレーからの3ポイントシュートなどで得点を重ね、24-14とした。 第2クォーターもSR渋谷が激しいディフェンスを徹底することで主導権を握り続ける。前半はリバウンドで24-15と大きく上回ったSR渋谷が40-28とリードを広げて試合を折り返す。 北海道の追撃を浴びるも、フリースローで耐える 後半の開始から5分で57-37と20点差まで広げたSR渋谷に対し、北海道はリバウンドから立て直して自分たちのペースを取り戻し、セットプレーも噛み合い始めケネディ・ミークスを中心にオフェンスを組み立てて徐々に点差を縮めていく。 点差を付けられてもディフェンスの強度は落とさずに我慢した北海道は、第3クォーター残り3分で橋本竜馬がベンドラメ礼生からオフェンスファウルを誘って相手のペースを乱していく。すると川邉亮平の3ポイントシュートなども決まり、11点差まで縮めて最終クォーターを迎えた。 試合開始から両チームとも激しいディフェンスを続けてきたため、ラスト10分は消耗戦に。特にSR渋谷は第3クォーターまでで26分間出場していたライアン・ケリーに疲れが見え、オフェンスのリズムが崩れ始める。そうするとチーム全体でタフショットも増え悪循環になり、このクォーターでのフィールドゴールはわずか6点に留まった。それでもフリースローを確実に決めていくことで残り1分まで10点のリードを保った。 市岡ショーンのディフェンスリバウンドから走った多嶋朝飛に3ポイントシュートを決められて7点差とされるも、杉浦佑成がファウルゲームのフリースロー4本を確実に決めて、SR渋谷が競り勝っている。 多嶋朝飛は手応え「最後まで戦うことができた」 この試合では北海道の19本中8本成功に対し、SR渋谷は32本中27本成功と、フリースローでの得点に大きな差がついた。特に勝負どころの最終クォーター、良い形でシュートが打てない状況でも全員が攻める姿勢を失わずにフリースローを獲得。ここで17本中14本を決めたことが、北海道の勢いが目立つ中でもリードを保つ要因になった。 一度もビハインドを背負うことがなかったSR渋谷にとっては危なげのない完勝にも見えるが、伊佐ヘッドコーチは「前半は28点に抑えているのに、後半で48点も取られている」と後半にディフェンスの強度を保てなかったことを指摘した。それでも「選手たちがしっかり最初でディフェンスのインテンシティを上げ、自分たちのペースで進むことができた」と手応えを語る。 北海道は開幕からの連勝が4でストップ。それでも多嶋は好調のSR渋谷と競る展開に持ち込めたことをプラスにとらえている。「自分たちがやりたいプレーをできた部分もありましたし、最後まであきらめずに戦うことができたことも含めて、自分たちが日頃から目指しているバスケットを追及して質を高めていけば、勝てない試合ではないとも感じました」 全勝チーム同士の対戦はSR渋谷に軍配が上がった。週末にはSR渋谷が三遠ネオフェニックスと、北海道は新潟アルビレックスBBと、それぞれ敵地で戦う。 10月16日のB1 9試合の結果 秋田65-60A東京 千葉69-76宇都宮 SR渋谷83-76北海道 三遠71-80横浜 三河93-74新潟 大阪59-90京都 島根61-78滋賀 川崎69-73富山 琉球83-73名古屋D2019/10/17Bリーグ&国内
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野口大介と関野剛平、揃ってレバンガ北海道を離れてサンロッカーズ渋谷へと移籍「ファンの皆様をワクワクさせるようなプレーを」 サンロッカーズ渋谷は今日、野口大介と関野剛平と契約を結んだことを発表した。 野口は35歳、関野は今夏で25歳と年齢は異なるが、長くレバンガ北海道でプレーしてきたことに変わりはない。野口は「皆さんが支えてくれたからこそ踏ん張ることができました」と、また関野は「生まれ育った北海道でプレーを続けたい気持ちもありました」と北海道への感謝と愛着を語りながらも、プロ選手として移籍を選択。野口は「36歳という年齢で新しい事にチャレンジ出来る喜びを感じています。声をかけてくれたサンロッカーズ渋谷の熱意に感謝していますし、その熱意に応えたいと思えるチームです」と力強いコメントを寄せている。 野口は日本人ビッグマンとして繋ぎの役割で短い時間でも、その都度チームに何が必要かを判断して攻守を支えられる仕事人。昨シーズンは外国籍選手の起用ルールが変わったこともあり出場機会を減らしたが、そのクレバーな貢献ぶりは損なわれていない。SR渋谷ではライアン・ケリーが3番ポジションで起用できれば強力な武器になるだけに、4番ポジションを支える野口への期待は大きい。 関野は攻守にエネルギッシュなプレーを見せるハードワーカー。Bリーグ1年目の2016-17シーズン途中に東海大から特別指定選手で北海道に加入すると、メキメキと頭角を現してベテランの多いチームに活力を注入する存在となった。「ファンの皆様をワクワクさせるようなプレーをしていきたい」と抱負を語っている。2019/07/03Bリーグ&国内
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レバンガ北海道が成長株の関野剛平、生え抜きの野口大介らを自由交渉選手リストにレバンガ北海道は5月7日、野口大介、関野剛平、山本柊輔、溝口秀人、牧全、内田旦人、バイロン・ミュレンズ、デイビッド・ドブラスを自由交渉選手リストに載せたことを発表した。 中でも主力として活躍してきた野口、関野の公示は驚きが大きい。 レラカムイ時代からの生え抜きである野口は35歳のベテランとはいえプレーに衰えは見られず、今シーズンは残留プレーオフを含む全63試合のうち62試合に出場。残留を懸けたプレーオフ第3戦の終盤には相手の外国籍選手を鬼気迫るディフェンスで封じ、大きな存在感を見せていた。 また24歳の関野はベテランの多いチームをアグレッシブなプレーで盛り立てる存在。こちらも今シーズンはプレーオフを含めて60試合に出場。GAME3にもつれる激闘で競り勝つ上で彼のもたらすインテンシティは欠かせないものだった。 過去2シーズンは23勝、26勝を挙げた北海道だが、今シーズンは10勝と大苦戦。開幕前に震災が直撃、シーズン序盤のヘッドコーチ交代劇にケガ人の続出とマイナス要因が重なった結果ではあるが、激戦の東地区で今後も生き残り、チャンピオンシップ進出など上を目指すためには戦力のテコ入れが必須。観客動員は順調に伸び、経営面ではBリーグのお手本とも言うべき存在になっているだけに、今オフの新チーム編成がどのように進むのかは注目だ。2019/05/08Bリーグ&国内
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『耐える』を知るレバンガ北海道、チーム一丸の戦いで横浜を逆転してB1残留決定辛抱の展開が続く中、仲間の声がミュレンズを救う B1残留プレーオフの横浜ビー・コルセアーズvsレバンガ北海道。昨日の第1戦では横浜が鮮やかな逆転劇で先勝していた。 今日の第2戦では、前夜の勢いを持ち込んだ横浜がスタートダッシュを決める。川村卓也とアーサー・スティーブンソンのピック&ロールを軸に、北海道に分があるはずのリバウンドでも上回って走る展開に持ち込む。川村の当たりが止まった第2クォーターには今度は田渡凌のシュートに当たりが出始める。川村からスティーブンソンへのアリウープも飛び出し、派手なプレーで2601人を集めた平塚総合体育館を沸かせた。 北海道は横浜の勢いに圧倒されながらも、バイロン・ミュレンズとデイビッド・ドプラスのインサイドを軸に食らい付いていたが、それでも41-47でスタートした第3クォーターに試練が訪れる。ビハインドの時間帯が続くことにフラストレーションを溜めていたミュレンズが、自分へのパスがカットされるターンオーバーに腹を立ててゴールの支柱を拳で叩き、テクニカルファウルをコールされたのだ。辛抱の展開が続く中で攻守の柱であるミュレンズが集中力を欠けば、横浜に一気に流れを持っていかれてもおかしくなかった。 「コンタクトがあるのにファウルがコールされず、思ったようなプレーができなかったこともあってフラストレーションを溜めていた」とミュレンズは振り返る。ただ、ここで映像でのジャッジ判定で試合が中断したことが北海道を救った。給水のためにベンチに戻ったミュレンズは、登録外でベンチ裏に控えるマーク・トラソリーニから「落ち着け」と声を掛けられ頭を冷やした。「マークだけじゃなく、牧(全)も松島(良豪)もベンチに戻るたびに声を掛けてくれたことが自分にとっては大きかった」とミュレンズは言う。感情に任せてプレーして良い結果が出ることはまずない。熱い気持ちを保ったまま、冷静にプレーを続けたミュレンズは、この試合と、続くGAME3でも勝利に決定的な働きを見せる。 苦しい時間帯を耐えた北海道、リズムを崩した横浜 北海道の我慢が報われたのは、その後の時間帯だった。ずっと決まらなかったアウトサイドシュートが急に決まり始めたのだ。きっかけとなったのは、関野剛平がファウルを受けながら3ポイントシュートを沈めた4点プレー。横浜ディフェンスがあえてチェックに行かなかった多嶋朝飛が3ポイントシュートを決め、折茂武彦もさすがの勝負強さで続き57-56と逆転に成功する。 その後も貴重な得点を重ねた関野は「今日のシュートタッチはあまり良くなかった。なぜ入ったのかよく分からない」と試合後に笑顔で振り返る。「神様が決めさせてくれたのかもしれない」とは言うものの、東海大出身の関野にとって、この平塚総合体育館は勝手知ったる場所。「体育館もここに来る道も全部知っているので、そういうのがプラスに働いたのかもしれません」と、また笑顔を見せた。 いずれにしても、大一番を勝つのに必要なラッキーボーイは北海道に現れた。そこから抜きつ抜かれつのシーソーゲームになるのだが、北海道が前半の苦しい時間帯を耐え抜いたのとは対照的に、横浜はビハインドを背負ってリズムを崩し、それまでにはなかったイージーなターンオーバーを連発した。 これを北海道は見逃さない。最終クォーターの勝負どころでミュレンズとドブラスだけでなく、ベテランの桜井良太や野口大介が奮起。残り30秒、関野がベースラインをドライブで割ってリバースレイアップを沈め、これが3点プレーに。橋本尚明がタフな3ポイントシュートをねじ込む横浜の反撃を辛うじて振り切り、北海道が91-89で勝利した。 全員がチームを優先する姿勢が生んだ、2つの逆転劇 1勝1敗で、20分のインターバルを挟んで迎えたGAME3は、その前の40分間と非常によく似た展開となった。横浜は第2戦の終盤にファウルトラブルになったブランドン・コストナーが体力を残しており、ここを強調してリードを作る。それでも、この時間帯を北海道はしぶとく耐え、最少限の点差で食らい付いて風向きが変わるのを待った。 後半残り3分半、川村にタフショットをねじ込まれ7-14とされた北海道だが、ミュレンズにうまく合わせる得点が続き、ディフェンスリバウンドから走った関野が速攻を決めて13-14まで詰め寄った。ところがここで、ドブラスがファウルアウトになってしまう。GAME3では個人ファウル3つで退場。せっかくの追い上げムードが帳消しになる手痛いアクシデントだった。 ところが、ここから北海道と横浜で明暗が分かれる。北海道はディフェンスで粘ってスティーブンソンのシュートを落とさせ、リバウンドから桜井が走る。決められたら逆転の場面で止めた川村のプレーがアンスポーツマンライクファウルに。横浜ブースターによる地鳴りのブーイングの中、桜井がこれを確実に2本決めて15-14と逆転に成功した。 ここから横浜は落ち着いてプレーを遂行できず、オフェンスファウルとラインクロスで貴重なポゼッションを失ってしまう。一方で北海道は、ミュレンズが正面からノーマークの3ポイントシュートを沈め、さらには厳しいプレッシャーを受けつつターンアラウンドジャンプシュートをねじ込んで決着。北海道が22-14でGAME3を勝利し、B1残留を勝ち取った。 シーズン途中からチームの指揮を託された内海知秀ヘッドコーチは、難しい2試合をいずれも勝利したことを自分の手柄とはせず「選手たちがよく頑張ってくれた」と繰り返した。また第2戦では28得点、第3戦でも10得点と大活躍したミュレンズも、「今日一番良かったプレーは」と問われてこう答えている。「桜井の3ポイントシュート、関野の3ポイントシュートとエンドワンの4点プレー、そしてGAME3でドブラスがファウルアウトした後の野口のディフェンス。コストナーをよく守ってくれた」 誰も自分の手柄を語らずチームを優先する姿勢こそが、崖っぷちまで追い詰められた2試合を勝ちへと転じさせる原動力となった。震災に始まり、指揮官交代にケガ人続出とアクシデント続きだった北海道だが、何とかB1残留を果たしている。内海ヘッドコーチはそこでようやく「何連敗したかもう分からないけど、ホッとしました」と安堵の笑みを浮かべた。2019/04/27Bリーグ&国内
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満身創痍でも全員バスケを貫いた京都ハンナリーズ、敵地で北海道に貴重な2連勝それぞれが自分の役割を果たす戦いで北海道を破る 京都ハンナリーズはレバンガ北海道とのアウェーゲームで連勝した。この連戦、京都は綿貫瞬に続いて伊藤達哉もケガで離脱とポイントガードを2人欠き、3番手の岸田篤生を先発に据えることに。特別指定の玉木祥護と鶴田美勇士も遠征には不参加で、駒不足で臨まざるを得なかった。 岸田は大阪体育大学から昨夏に加入したルーキーで、意表を突くパスで攻撃にアクセントを加えるガードだが、ここまでは結果を出せずプレータイムも伸びなかった。それでも昨日の1試合目ではリスクの高いパスを封印してボールを運ぶことを優先。北海道は多嶋朝飛や松島良豪が盛んに煽ってミスを誘おうとするも、落ち着いてボールを運んだ。さらに今日の2試合目では自らアタックに行ける機会では迷わず切り込む積極性も見せた。こうして岸田がオフェンスの流れを作り出すと、相手を切り崩す起点はジュリアン・マブンガが担い、チームがうまく回りだす。 一方の北海道は試合開始早々のショットクロックの設定ミスで、最初の攻撃機会で決めたはずの3ポイントシュートを取り消されて肩透かしを食らい、約1カ月ぶりに復帰したエースのマーク・トラソリーニもゲーム勘が戻っていない状況。デイビッド・ドブラスのファウルトラブルも重なり、苦戦を強いられた。 第2クォーター、第3クォーターと、外国籍選手が1人しかコートにいない時間帯に、野口大介がボールへの執着心を、折茂武彦がワンチャンスをモノにする勝負強さを見せて反撃を試みるも、なかなか京都を崩すには至らず。逆にマブンガとデイヴィッド・サイモンの2メンゲームを止められず、第3クォーター残り1分半には34-53と19点のビハインドを背負った。 「やるべきことを全員が同じ意識でやっていかなければ」 それでも少ない人数でローテーションを回さざるを得ない京都は足が止まる。ドブラスが自らのシュートのこぼれ球を押し込み、この日の初得点をようやく挙げると、野口の連続得点で41-53まで押し戻して最終クォーターを迎える。 終盤も追いかける北海道に勢いがある状況は変わらず。残り5分半にはドブラスのバスケット・カウントで4点差に、残り1分13秒ではドブラスのフリースロー2本が決まり3点差と京都を追い詰めるが、逆転の期待に盛り上がる会場の雰囲気に影響されることなく、京都は落ち着きを保つ。残り1分でサイモンが難しいプルアップジャンパーを沈めて突き放すと、ファウルゲームでのフリースロー8本をすべて成功させて最終スコア76-69で逃げ切った。 北海道は4日間でのホームゲーム3連戦でまさかの全敗。シーズンは折り返し地点をすぎたばかりだが、8勝27敗は降格危機を意識しなければならない成績だ。15得点と気を吐いた野口は「ベンチで感じていたのは、コートに出ている選手たちに元気がないところ。自分が出ることになれば積極的に狙っていこうと思っていた」と語る。ドブラスも「野口選手のようなプレーを全員が行なっていかなければならない」とコメント。「チームが良くないときは、言い訳を探したり、良くない循環になってしまいますが、まずは自分たちで何をしなければならないかを見つめ直して、この状況が改善されるよう頑張っていきたい」 指揮官交代でチームの成熟が遅れたことに加え、ケガ人も出た。それでもドブラスの言うように「言い訳を探さない」ことが大事。内海知秀ヘッドコーチは「戦略戦術のところももちろん大事ですが、一番はやるべきことを全員が同じ意識でやっていかなければ」と再起を期す。 逆に京都にとっては大きな大きな連勝。言い訳にできる要素はいくらでもあったが、コートにいるメンバーがそれぞれの仕事を全力でこなすことで、難しい状況での連勝を勝ち取った。年末年始の5連敗を取り戻し、18勝17敗とこれで貯金1。来週はミッドウィークに琉球、週末に川崎とチームの真価が問われる強豪対決が待っている。2019/01/26Bリーグ&国内
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勝負どころでの波状攻撃が光ったレバンガ北海道、大阪を相手に前日のリベンジ成功ピリッとしない展開を救ったハッスルプレー レバンガ北海道がホームの北海きたえーるに大阪エヴェッサを迎えた開幕節の第2戦。一度つかんだ流れを逃さず、怒涛の攻撃でリードを広げた北海道が、70-53で今シーズン初勝利を挙げた。 大阪はエグゼビア・ギブソンが昨日の第1戦で右母指末節骨骨折のケガを負い、第2戦を欠場。外国籍選手が2人しかいない大阪にとっては大きなディスアドバンテージとなった。それでもギブソンに代わって先発を務めたファイ・パプ月瑠がインサイドで踏ん張り、第1クォーターで5得点を記録し互角の展開に持ち込んだ。 大阪の1点ビハインドで迎えた第2クォーター序盤、畠山俊樹がバスケット・カウントを誘発。さらにファウルコールを受けた市岡ショーンが、ボールをゴールの支柱に当て悔しさを表現し、その行為がテクニカルファウルの対象となった。ボーナススローを2投成功させた4点プレーにより、大阪が逆転。その後、北海道はアグレッシブなプレーが裏目となり、関野剛平のファウルで、残り約7分と長い時間を残してチームファウルが4に到達してしまう。 だが、このピンチがチームの集中力を高めることになった。直後、吹っ切れた関野の強気な3ポイントシュートで逆転すると、マーク・トラソリーニの3点プレーとなるバスケット・カウント。さらにトラソリーニのブロックショットから走った関野の速攻で一気に11点のリードを奪った。 北海道が33-29と4点をリードし迎えた後半、デイビッド・ドブラスがハッスルプレーでチームに勢いを与える。ドブラスはオフェンスリバウンド争いから自軍ベンチに飛び込み、マイボールにすることに成功。飛び込んだドブラスを指揮官が抱きかかえるシーンに会場は湧き、北海道の怒涛の攻撃が始まる。ドブラスは直後もオフェンスリバウンドを獲得し、チームにポゼッションをもたらすと、残り7分22秒にはジョシュ・ハレルソンから3つ目のファウルを誘発した。 大阪に立ちはだかった大黒柱トラソリーニ ギブソンを欠く大阪にとってハレルソンのファウルトラブルは痛恨の出来事。大阪はタイムアウトを取り流れを変えようとするが、ここを勝機と見た北海道は止まらない。タイムアウト明けのディフェンスで起点を作らせずにターンオーバーを誘発し、逆に速攻を成功させた。その後もセカンドチャンスから野口大介が3ポイントシュートを沈め、松島良豪のスティールから桜井良太の速攻が飛び出すなど、16点までリードを広げた。 迎えた最終クォーター、劣勢の大阪が意地を見せる。ドライブで突破されても中を絞り、合わせのパスを狙ってターンオーバーを誘発するなどディフェンスからリズムをつかむ。点差を1桁に縮めた大阪に勢いがあったが、大黒柱のトラソリーニが悪い流れを断ち切る。タイム明け後のオフェンスでノーマークを作り、3ポイントシュートを沈め再び点差を2桁に乗せると、その後もショットクロックギリギリから放ったタフショットをねじ込み、チームを救った。 トラソリーニの活躍で落ち着きを取り戻した北海道は、俄然動きが良くなり堅守を披露。オフィシャルタイムアウト後のラスト約5分間、大阪の攻撃をわずか2得点に封じ込め、うれしい今シーズン初勝利を手にした。 「ディフェンスの勝利」でうれしい1勝 勝利した北海道のヘッドコーチ、ジョゼ・ネトは「今日の試合はオフェンスのコントロールをしっかりすることと、まずはディフェンスからしっかりやっていくことを伝えました。そういう意味ではディフェンスの勝利だと思っていますし、チームとして勝利することができるという証明をすぐに示すことができたことは貴重でした」と試合を振り返った。 ゲームハイの25得点を挙げたトラソリーニは「今日は内容も良く、ホームでシーズン初勝利できたことをうれしく思います。やはり、このチームはディフェンスがカギで、相手をロースコアに抑えて、勝っていくチームであることを証明できたと思います」と指揮官と同様にディフェンスを勝因に挙げた。 チームに勢いを与える時間帯を牽引した関野も「昨日は自分の調子が悪く、チームに迷惑をかけて負けてしまいました。チームとしても絶対負けられないという中で、今日は気持ちで勝てた試合だったと思います。ディフェンス面でも相手を53点に抑えられたのは良かったですが、もっと改善できると思っています」と今日の勝利を喜びつつ、さらなる向上を見据えた。 敗れた大阪はハレルソンが15得点、パプが11得点を挙げるが、他の選手の得点が伸び悩んだ。ギブソンの早期復帰を願わずにはいられないが、外国籍選手頼みになるのではなく、チーム全員のステップアップが必要となる。開幕2戦目にして大阪は早くも正念場を迎えた。2018/10/07Bリーグ&国内
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レバンガ北海道、破壊力抜群のオフェンスと変則ディフェンスを武器にA東京を撃破積極的に仕掛けるディフェンスで北海道が優位にアルバルク東京vsレバンガ北海道の第2戦。終盤に一度逆転を許すも、自慢の攻撃力で上回った北海道が87-81で前日のリベンジを果たした。立ち上がりは0-6と先行された北海道だが、その後は強度の高いディフェンスと素早いローテーションでA東京のオフェンスを封じる。野口大介のミドルシュートで10-10と追いつくと、その後も相手のターンオーバーを得点につなげていき、11-0のランで26-21とリードした。互いにオン・ザ・コート「2」の第2クォーターに入ると、連続でミドルシュートを沈めたディジョン・トンプソンの働きで北海道がリードを2桁に乗せる。点差を縮めたいA東京だが、一人ひとりの強度が高く、変則的なゾーンを併用する北海道ディフェンスの前に、ターンオーバーを連発し得点が伸び悩む。残り4分20秒には安藤誓哉がパスカットからワンマン速攻に持ち込むが、ブロックを警戒してこれを落とし、逆速攻を食らうなど波に乗れない。まるでデジャヴ、アンスポーツマンライクファウルで幕46-34とリードして迎えた後半、開始からアレックス・カークの連続得点、田中大貴の3点プレーとなるバスケット・カウントと0-7のランを浴び、流れがA東京に傾きかけるが、北海道は要所でマーク・トラソリーニや野口が3ポイントシュートを沈めて逆転を許さない。指揮官の水野宏太は「東地区1位のチームであるという姿をまざまざと見せつけられた。それでも流れを完全に渡しきらず、自分たちの流れに戻すことができたのが良かった」と第3クォーターの攻防を試合のターニングポイントに挙げた。それでもA東京は第4クォーターに一度は逆転する。7点あった点差をじわじわと詰め、田中大貴の3ポイントシュートで73-72とリードしたところでオフィシャルタイムアウトを迎えた。だが北海道はここでも踏ん張り、リードチェンジを繰り返す展開に持ち込んで、トンプソンを起点としたオフェンスで着実に得点を重ねていく。残り2分10秒に折茂武彦の3ポイントシュート、残り1分24秒にトラソリーニのレイアップと連続得点を奪った北海道が83-77と一歩抜け出した。A東京はファウルゲームに持ち込み点差を詰めていくが、81-85で迎えた残り16秒、ファウルに行ったジャワッド・ウィリアムズがアンスポーツマンライクファウルをコールされて万事休す。多嶋のアンスポで勝敗が決まった第1戦とは逆に、ウィリアムズのアンスポが決定打となり、この試合は北海道の勝利となった。「北海道のアグレッシブさ、意気込みを感じた試合」勝利した水野ヘッドコーチは「継続して向上していくことを目標にしていく中での勝利だったので、この勝利を喜びたい」と語る。「相手に横綱相撲をさせて、自分たちが押し合いで勝てるわけではない」とA東京との力の差を認めつつ、「特に前半は効果的にディフェンスで仕掛けられた」と、自分たちから積極的に仕掛けたディフェンスを勝因に挙げた。敗れたA東京のルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチは「過去にも2勝2敗、タフな試合を想定したがその通りになった。北海道のアグレッシブさ、意気込みを感じた試合でした」と勝者を称えた。「我々はソリッドに守るディフェンスのチーム。責任を持ってプレーし、チームディフェンスでカバーするスタイルだが、北海道のオフェンスを上回れなかった」と87失点を許したディフェンスを敗因に挙げた。激戦の東地区をリードするA東京だが、これで北海道には3勝3敗と勝ち越せず。東地区の首位をキープしているものの、千葉ジェッツに勝率で並ばれた。北海道は勝率5割をキープし、ワイルドカード2位でのチャンピオンシップ出場に望みをつないでいる。レギュラーシーズンは残り14試合、チャンピオンシップをめぐる戦いは、佳境を迎えている。2018/03/25Bリーグ&国内
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前日に続いてのオフェンス爆発、栃木ブレックスが北海道に連勝して5位に浮上北海道のサイズ不足を突き、オン「1」の時間帯に圧倒1月28日、栃木ブレックスが本拠地ブレックスアリーナ宇都宮でレバンガ北海道と対戦。第3クォーターに33得点とビッグクォーターを作るなど、オフェンス爆発により95-80で快勝した。これで昨年から続く連勝を7に伸ばした栃木は、北海道を抜いて東地区5位に浮上している。第1クォーター、ともにオン・ザ・コート「2」でスタートする中、北海道はマーク・トラソリーニ、ダニエル・ミラーの2人で計14得点をマーク。一方、栃木はジェフ・ギブス、ライアン・ロシターで先発。ギブスがファウルトラブルに陥るも、交代出場のセドリック・ボーズマンが奮闘する。第1クォーターは北海道が20-18とリードしたが、第2クォーターに入ると栃木が前半だけで11得点を挙げた遠藤祐亮の3ポイントシュート2本など確実に加点していく。その一方で野口大介を故障で欠くことで日本人4番のサイズ不足を抱える北海道は、第1クォーターとは一変しゴール下での得点が止まり、35-42と逆転されて前半を終える。そして第3クォーター、再びオン・ザ・コート「1」で栃木が優位に。オフェンスリバウンド6本とゴール下で主導権を握ると、さらに強度の高いディフェンスで北海道のミスを誘い、素早い攻守の切り替えから鵤誠司がこのクォーターだけで11得点と大暴れ。第3クォーター終了時点で75-52と大差をつけた栃木が、そのまま余裕を持って逃げ切った。勝利の立役者となった鵤「エナジーを持ってできた」結果的に栃木は、昨日の100点に続く95点とハイスコアを記録。ロシターの17得点を筆頭に、6人が9得点以上とバランスの良いオフェンスを展開するとともに、オフェンスリバウンド20本と自分たちの強みを発揮できたのが大きかった。勝利の立役者となった鵤は、「第3クォーターの出だし、最初に出ていた5人が良い流れを作ってくれ、それに自分も乗れたことで結果が出ました」と、第3クォーターの活躍について語る。そして、難敵揃いの東地区対決で連勝できたことの要因を「エナジーを持ってバスケができたことが、まず一番にあります。北海道さんもすごくエナジーを持ってプレーしていますが、それを上回れた時間帯が多かったのが勝因でした」と締めくくった。安齋竜三ヘッドコーチは、東地区最下位からの脱出について「やるべきことをしっかりやって積み上げていったものが結果として順位に反映された。まだまだ、後半戦始まったばっかりで、これからどういう状況になるか分からないですが、ポジティブにとらえて、チャンピオンシップへの道のりを目指してしっかりプレーしていきたい」と語る。さらに「一人ひとりが自分の役割をしっかり分かっている。チームとしてやるべきことが明確になり、それを全員が共通し、それに向かって一つひとつ積み上げられています。ただ、もっと共有できるところはあるので、そこでステップアップできればいいと思います」と、チームの成長に手応えを感じている。北海道は最下位転落、司令塔の多嶋「フワッと入った」同地区ライバル相手に痛い連敗を喫した北海道は、グレゴリー・ウィッテントンの契約解除、野口の故障欠場によるサイズ不足をカバーすることができなかった。14得点4アシストと奮闘した多嶋朝飛は、「我慢しながらの展開の中で、自分たちがディフェンス、リバウンド、ルーズボールと40分間相手を上回なければいけない中、第3クォーターの出だしでフワッと入ってしまった。これは誰が出ているとか関係なく、チームとしてすぐに修正しないといけなかったですが、できなかった。これから、こういった部分を改善しかないといけない」と反省点を語り、次週への巻き返しを誓っている。2018/01/28Bリーグ&国内
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勢いに乗るレバンガ北海道、マーク・トラソリーニのビッグプレーで『ジェットコースターゲーム』を制し5連勝積極性とバランスの良さで北海道が先行リーグ再開の一戦、レバンガ北海道は川崎ブレイブサンダースを北海きたえーるに迎えた。第1クォーターは点差のつかない均衡が続き、17-16と北海道がわずかにリード。北海道は6選手が得点した一方で川崎は16得点のうち12がニック・ファジーカス、残る4点もジョシュ・デービス。日本人選手は無得点、シュート試投数もわずか6と偏った。ともに外国籍選手オン・ザ・コート「1」の第2クォーター、ファジーカスがベンチに下がると川崎は失速してしまう。5分間で得点は篠山竜青の3ポイントシュート1本のみ。守備の要であるマーク・トラソリーニに加えて野口大介がリバウンドにブロックショットにと奮闘。ファジーカスがコートに戻っても北海道のディフェンスは緩まず、ピック&ロールに対しズレを作らせずにタフショットを打たせ、このクォーターを7失点で切り抜けた。後半の立ち上がり、川崎は最初のプレーで鎌田裕也が多嶋朝飛に当たって突き飛ばす激しさを見せ、プレー強度を高めて打開を図る。しかしファジーカスのポストに入れるパス、ポストから次に展開するパスを狙われて速攻を連続で浴びて流れに乗れない。さらにはファジーカスのゴール下シュートがトラソリーニにブロックされてまた速攻、そのまま駆け上がるトラソリーニを誰も捕まえられずにイージーシュートを許し、開始2分あまりで8失点。後半最初のタイムアウトを早くも取らざるを得なかった。それでも川崎はここで立ち直る。きっかけを作ったのは辻直人だ。自らドライブで仕掛ける動きでトラソリーニをファジーカスから引き離してイージーシュートの機会を作り出すと、今度はファジーカスとのスクリーンプレーにより自らのマークについたトラソリーニをスピンムーブでかわして自らシュートを決める。ここで得たボーナススローも決めて劣勢の雰囲気をはねのけた。ここから川崎は、北海道の攻守を崩しきれないまま中途半端なシュートを打っていた前半とは一変し、日本人選手も含め打ち切る積極性が出て来る。これで北海道は立て続けにファウルをおかしてチームファウルが5に到達。これでハードなディフェンスが次々とフリースローを与える結果となった。第3クォーターの最後は篠山竜青がダブルチームでコーナーに追い込まれた状態から根性でパスを出し、残り1秒でファジーカスがねじ込んで50-53と1ポゼッション差に迫って最終クォーターへ。北海道の勢い、満員のアリーナに飲まれた川崎結果的に北海道が78-75で勝利するのだが、勝因は第3クォーターの終盤から第4クォーターの立ち上がりにかけて、完全な川崎ペースの試合展開にあって選手たちが下を向かなかったことだろう。勝利を決めてトラソリーニは「まるでジェットコースターのような試合」と表現したが、まさにそのとおり。両チームともアグレッシブにプレーしてはいたが、冷静ではなかった。リードチェンジを繰り返す展開、一呼吸置いて落ち着く余裕などなく、毎ポゼッションで決死のプレーが続く。そういう意味ではチームとして経験豊富なはずの川崎が北海道のペースに巻き込まれたとも言えるし、満員のアリーナの雰囲気に飲み込まれたとも言える。第4クォーターは25-25の壮絶な打ち合い。ただ、残り3分に長谷川のフリースローで逆転に成功した川崎が優位にあった。ここからペースを落とし、試合を締めにかかったのだが、北海道の勢いと場の雰囲気がそれを許さない。残り30秒、辻にタフショットを強いてのリバウンドを拾ったダニエル・ミラーが間髪入れず前へと展開。トラソリーニが誰よりも速く走ってこれをダンクで決めて73-74。そして残り13秒、トラソリーニが強引なアタックからレイアップをねじ込んで追い付く。さらに終盤に2本の大きなブロックショットを決めていたアマンドソンのファウルによるボーナススローも決めて76-75と逆転に成功。まだ川崎にはワンチャンスが残されていたが、ここで長谷川がスローインをかっさらわれ、関野剛平にワンマン速攻を浴びるミスを犯す。冷静な長谷川も場の空気に飲まれていた。残り10秒、3点差を追う川崎はファジーカスがファウルを誘いつつ3ポイントシュートを放つが、4点プレーで一気に逆転を狙うビッグプレーは決まらず、最終スコア78-75、北海道が大きな勝利を手にした。水野ヘッドコーチ「やるべきディフェンスのスタイル」北海道の水野宏太ヘッドコーチは「この東地区を戦っていくうえでとても重要な一戦」とこのリーグ再開初戦を定義。「最後に自分たちがゲームをまとめ、必要な時に必要なスコアを取ることができて勝利することができた」と喜ぶ。勝因はやはりディフェンスだ。「相手を80点に抑えるためにどうすべきかというゲームプランを立てて、選手たちが遂行してくれて相手のペースにさせなかった。そこは本当に頑張ってくれました。後半戦、もう一度基本に立ち返ろう、やるべきディフェンスのスタイルというものを出すことにこだわって準備してきた中で、今日のようなディフェンスができたことをうれしく思います」川崎のルー・アマンドソンは9分のプレーで2得点とスタッツは残せなかったが、勝負どころで大きなブロックショットを2本決めていた。最後のトラソリーニの一発を止めればヒーローだったが、結果は逆。彼が与えたボーナススローが致命的な1点となってしまった。「後半に追い付いたが大事なところでミスで終わってしまう形で負けてしまった。こういう負け方が一番悔しい」と悔しがる。これで北海道は年末から続く連勝を5に伸ばした。北海道日本ハムファイターズとのコラボデーで日ハムカラーのジャージーを着用。5097人の観客を集め、ホームでの平均観客数で3755人となり栃木ブレックスを抜いて2位へと浮上した。今日14時5分ティップオフの第2戦でもこの勢いを継続できるか。北海道はこのカードで連勝すると18勝12敗で通算成績で川崎に並ぶことになる。逆に川崎にとっては正念場。優勝を目指すチームに同一カードの連敗は許されない。2018/01/21Bリーグ&国内
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神様とキングの背番号『23』を背負う者たち~Bリーグで『あこがれの背番号』となるのは何番?『23』はBリーガーより学生や女子選手に人気?川崎ブレイブサンダースのルーキー、ジュフ・バンバは、彼にとってのヒーローである『神様』マイケル・ジョーダンと『キング』レブロン・ジェームズと同じ背番号『23』を大学時代から背負ってきた。MJとレブロンにあこがれを抱くのは、バスケットボール選手にとっては至って当然のことである。だがその番号を背負うとなると、ためらわせるに十分な重みがある。この『神様』と『キング』の番号を選択したBリーガーは……と調べたところ、18クラブあるB1にはたった4人しかいない(ちなみにB2でも同じく4人)。『23』に着目したのは、クライマックスを迎えている関東大学リーグや開幕したばかりのWリーグでは頻繁に見かけるからだ。関東大学1部リーグの10チーム中、6人が『23』をつけている。Wリーグでも半数となる6人がレジェンドナンバーを選んでいた。では、Bリーグではどのくらいいるのかと興味を持ち、B1全クラブのロスターを見ていったところ、4人しかいなかったわけである。『1』から『23』へ変更したレバンガ野口の決意先に挙げたバンバの他に野口大介(レバンガ北海道)、ブランデン・ドーソン(サンロッカーズ渋谷)、横江豊(滋賀レイクスターズ)が『23』を背負うB1プレーヤーだ。ドーソンはミシガン州立大学やクリッパーズ時代は『22』をつけてきたが、新天地では迷うことなくレジェンドナンバーをチョイスしている。しかし、張り切りすぎたか開幕前にケガに見舞われ、インジュリーリスト入りしてしまったのは残念。日本体育大学時代から9年に渡って『23』をつけてきた横江にとっては、すでに自分の番号として染みついている。野口は2シーズン前まで『1』をつけていた。北海道の『23』はNBLラストの2015-16シーズン、特例措置により1日限定でロスター入りを果たした38歳のルーキー、佐藤竜弥さんの背番号である。野口にとっては東海大学付属第四高校と日本体育大学での尊敬する先輩が佐藤さんだ。当時、佐藤さんは重い病と戦っていた。その病気に打ち勝つためには強い目標とモチベーションが必要であると考えた北海道が、たった1日ではあったがプロとして契約し、佐藤さんもプロバスケットボール選手のキャリアを刻んだ。だが、北海道の一員となった約1カ月後に訃報が届く。志半ばでこの世を去った佐藤さんの意志を受け継いだ野口は、Bリーグ初年度となった昨シーズンより『23』を背負い、先輩とともに今も戦っている。神様やキングとはまた違った思いが詰まっているこの『23』も非常に重たい。Bリーグ独自のヒーローナンバーを模索せよ!『23』は4人しかおらず、その人気順はズバリ23番目……となればよかったが、一つ違いの22番だった。ちなみに、現在のB1選手がつけている背番号は47パターンある。最も人気がある背番号は『3』と『9』で、18クラブ中12人がつけている。人気があるということはすでに先約がいる可能性が高くなり、今後移籍したときに同じ背番号をつけられないケースが高いとも言える。『0』(00を含む)から『25』まではしっかり埋まっているが、そこから先は歯抜けになっていく。テレビでNBAを頻繁に見られるようになった高校生の頃からずっと気になっていたことがある。今から30年ほど前の話だが、二桁の背番号の下一桁はほとんどが5以下ではないか。漠然とそんな風に思っていたが、実際にB1で集計してみるとそれが立証された。『10』以上の二桁の背番号を背負う選手は130人いる。そのうち、下一桁が6以上となる『X6』から『X9』を背負っているのはたった14人。ほんの1割程度しかいない。『3』『9』がトップにもかかわらず、『39』を選ぶ選手もいなかった。女子では赤穂さくら(デンソーアイリス)が、日本代表時に名前の「さくら」から取った『39』をつけている。このロジックで言えば、ぜひロバート・サクレも背負ってほしい。Bリーガーにあこがれるバスケキッズは増加していることだろう。誰が赤で誰が黄色かを争うヒーローごっこと同じように、背番号を取り合うようになってほしいものだ。「オレは田中大貴選手と同じ24!」、「私はイケメンの宇都直輝選手がいい!」みたいな会話や、練習時のナンバリングを取り合うようなことが起きた時、本当の意味でのBリーグが成功した姿である。そのためにもBリーガーたちは、自らがヒーローとなるオリジナルの背番号を模索していただきたい。『23』は今では、バスケットボールだけの数字ではなく、その番号をデザインしたファッションアイテムも多く見かける。背番号が一人歩きした時も、一つのバスケットボール文化となる。NBAでも人気がない『X6』~『X9』でリーグやクラブを代表するヒーロー誕生が待たれる。今、一人しかつけていない『X6』以降を背負っているのは以下の2人だけであり、注目のヒーロー候補として推しておこう。西宮ストークス『19』梁川禎浩栃木ブレックス『46』生原秀将個人的な意見ではあるが、ニック・ファジーカス(川崎)にはぜひ『29』を背負って欲しいと来日した時から密かに思っている。2017/10/19Bリーグ&国内
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『緊急出動』の伊藤大司に導かれたレバンガ北海道が第4クォーターに大逆転勝利、富山グラウジーズは宇都直輝のケガで失速バランスの良さが光る富山が18点のリードを奪う敵地に乗り込んで富山グラウジーズとの開幕節に臨むレバンガ北海道。土曜に行われた第4クォーターに痛い逆転負けを喫し、さらには主力の野口大介がケガで戦列を離れる苦しい状況で第2戦を迎えた。野口に代わって先発したのはルーキーの川邉亮平、特別指定でチームに加わっていた昨シーズンを含めても初先発。その川邉が第1クォーターに放ったシュートをすべて決める7得点とアグレッシブな守備で野口の穴を埋める。しかし、前日に快勝を収めた富山ではエースの宇都直輝が好調。さらには千葉ジェッツから加入した上江田勇樹もシュートタッチが良く、前半で宇都が13得点、上江田が12得点とオフェンスを引っ張り、富山が46-38とリードする。そして第3クォーターに富山が走る。8-0のランに始まり、内外バランス良く得点を重ねていく。また足を使った守備で北海道に攻めの形を作らせず、フィールドゴール15本中3本(20%)と抑え込んだ。第3クォーター終了時点で69-51と18点差。富山が勝利をほぼ手中にしていた。最終クォーター、あきらめない北海道の猛反撃結論から言えば北海道がここから逆転勝利するのだが、残り10分で18点差という劣勢の中、まずチームを強烈にプッシュしたのは伊藤大司だ。伊藤は先週に期限付き移籍が決まったばかりでチームに帯同しておらず、昨日は北海道に残ってパブリックビュー会場でファンとともに試合を観戦していた。それが野口がケガをしたために急遽チームに合流。まさにぶっつけ本番だった。その伊藤の第4クォーターは、10分間フル出場で得点なし、1アシスト1スティール。それでも、この逆転劇を演出したのは間違いなく彼だった。第4クォーター開始直後にグレゴリー・ウィッティントンの3ポイントシュートをアシストすると、富山のインサイドへの合わせのパスを狙ってスティール、牧全の速攻につなげた。その後はスタッツに表れないが、逆転に向けてチームを引っ張っていく。連携ができていない中でも常に声をかけてディフェンスを引き締め、そして素早く明確なメッセージを込めたパスでオフェンスを演出していく。ドリュー・ヴァイニーがウィッティントンの1on1を止められないと見ればここにボールを集め、富山のチームファウルがかさめばそこを突いていく。こうして残り3分22秒、約6分半で26-8の猛追を見せた北海道が77-77の同点に追い付いた。殊勲のウィッティントン「仲間のおかげ」その直後、強引なドライブを仕掛けた宇都が体勢を崩しながらもジャンプシュートをねじ込み、再び富山にリードをもたらす。関野剛平の執拗なマークに手を焼いていた宇都だが、それでも勝負どころを見極め個人技で仕掛けた。ところが、この強引なプレーで宇都は右足のふくらはぎを痛める羽目に。富山はその後も宇都を強行出場させて劣勢をはねのける役割を託したが、初戦で25得点、この試合でも23得点を奪った宇都が、ラスト3分で得点を奪うことはなかった。これで流れは完全に北海道へ。走れない富山に対し、ディフェンスリバウンドから走ったウィッティントンがそのままダンクをブチ込んで81-79と逆転。ベテランの桜井良太もフリースローを確実に決めてリードを広げ、85-83で北海道が勝利した。第4クォーターの14得点、試合を通じてゲームハイの25得点を挙げたウィッティントンは「今日の得点は自分がノーマークの時に仲間がパスを供給してくれたおかげ」と謙遜するとともに、「誰一人あきらめず気迫を持ってプレーできたことが勝利につながった。その気迫を注入してくれたのは伊藤選手であり、その気迫に自分たちも動かされた」と伊藤を称えた。その伊藤は「急ではありましたが、常に気持ちは準備できていましたし、全く問題ありませんでした」と目を細める。「前半はグレッグとマーク2人と一緒だったので、2人が走れるのはわかっていたので、早い展開を意識してプッシュしていこうと思っていました」と逆転劇を振り返る。「まだまだチームのシステムを全ては理解できていないので、自分がいる時間帯でできること、できないことがありますが、早く理解できるようにしていきたい」と、今後の抱負を語った。2017/10/02Bリーグ&国内
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新潟アルビレックスBBが見せた『ホストチーム』の意地、ダバンテ・ガードナーが主役を演じてレバンガ北海道に競り勝つ負けられない新潟、パワフルなプレーで主導権を握るアーリーカップ『東海・北陸』地区、初日の昨日は新潟アルビレックスBBが信州ブレイブウォリアーズに72-88で敗れる波乱があった。B1のチームがB2に敗れる下剋上、しかもホストチームである新潟が初戦を落としたことで、日曜のアオーレ長岡ではゲームを行わないという、『格好がつかない』形に。それだけに、せめて今日は地元ブースターの前で良いパフォーマンスを見せる必要があった。5位6位決定戦の相手はレバンガ北海道。新潟はディフェンスが緩かった前日の反省を生かし、ダバンテ・ガードナーを中心にインサイドにボールを入れさせない堅守を見せる。北海道に攻撃の形を作らせず、第1クォーターだけで8つのターンオーバーを誘った。そしてオフェンスでは、こちらもガードナー頼みの攻撃から脱却。五十嵐圭のボールプッシュからアップテンポな展開を作り出す。もっとも、ディフェンスは機能したがオフェンスはセカンドユニットになると走る展開が出せなくなり、得点が止まった。リードは保っているものの、引き離せずに33-26で前半を終える。それでも後半の立ち上がりから、遥天翼とガードナーが連続してインサイドの守備を強引にこじ開けて得点。43-33と点差を2桁に広げた。このまま一気に流れに乗るかと思われたが、実際は逆の展開に。4連続でファストブレイクからの得点を許してたちまち1ポゼッション差に詰め寄られと、タイムアウトで流れを切ることができず、多嶋朝飛のバスケット・カウントで47-47の同点に追い付かれる。インサイドを攻略できなかっただけで、ボールと足は動いていた北海道は、牧全、野口大介と難しいプルアップジャンパーを連続して決めて流れを作り、ここから先は追いつ追われつの展開に。それでも終盤、相手に主導権を奪われて大黒柱のガードナーを休ませなければいけない時間帯で、代役のジャレッド・バーグレンが攻守にハッスル。相手ディフェンスの裏を取る動きでパスを呼び込み、高確率で得点を重ねて苦しい時間帯を支えた。ガードナーを軸に城宝や新外国籍選手もフィット最終クォーター残り3分23秒、69-70と1点ビハインドの場面で新潟はガードナーを戻して勝負に出る。他の外国籍選手が踏ん張ったおかげで第3クォーターのラストプレーからここまで休むことのできたガードナーは、スピードとキレを取り戻していた。残り1分55秒、ガードナーが外でフリーになる瞬間、五十嵐がすかさずパスを出す。この好機を逃さずガードナーが3ポイントシュートを決めて74-73と逆転。直後に多嶋の3ポイントシュート、こぼれ球を拾ったグレゴリー・ウィッティントンのゴール下の波状攻撃をバーグレンが辛抱強くしのぎ切る。そして次のポゼッションで、城宝匡史のアシストを受けた五十嵐がトドメの3ポイントシュートを決めた。その後のファウルゲームを無難に乗り切った新潟が、最終スコア84-78で勝利している。最終的には外国籍選手頼りの癖が出てしまった面もあるが、とにもかくにも地元ファンの前で1勝を挙げた。ガードナーを擁する新潟とは対照的に、北海道はエースの西川貴之が抜けた穴が大きく、ここ一番で誰にチャンスを託すかが定まっていない印象。それでもウィッティントンとマーク・トラソリーニの『走れるビッグマン』を使うトランジションバスケットは垣間見られた。第3クォーターには30得点と爆発。司令塔の多嶋は「これぐらいの数字を残す力はチームとしてあります。うまく行かない時にいかにミスをしないか、シュートに持っていけるか、チームとしてどう攻めるかになるので、選手間でコミュニケーションを取って改善していける部分」と収穫を得られた様子だった。2017/09/02Bリーグ&国内
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脅威の粘りで千葉ジェッツを追い詰めたレバンガ北海道、富樫勇樹のクラッチシュートに力尽きるも大観衆の前で『有終の美』一進一退の攻防で同点で最終クォーターに突入レバンガ北海道と千葉ジェッツによる最終戦は最後までもつれる展開となり、レギュラーシーズンの締めくくりにふさわしい試合となった。序盤は多嶋朝飛がボールをプッシュし、北海道が千葉を上回るトランジションを繰り出した。互いにフィニッシュが決まらずロースコアゲームになるが、終盤に折茂武彦のバスケット・カウント、野口大介の3ポイントシュートが決まり、北海道が第1クォーターを15-10で取った。その後も集中したディフェンスで千葉の得意な形を作らせず、第2クォーターのオフィシャルタイムアウトまで北海道は26-18とリードを守る。ここまではリーグ2位を誇る千葉の攻撃力を抑える北海道のペースだった。ところが、転機は意外な形で訪れる。ヒルトン・アームストロングが足を負傷しベンチに下がったことでスピード重視の展開へと切り替えた千葉の攻めに対応できず、ドライブからパスをさばいてオフェンス優位の状況を作られる。石井講祐とタイラー・ストーンの3ポイントシュート、富樫勇樹のバスケット・カウントと反撃を浴び、35-33とリードをほとんど失って前半を終えた。第3クォーターは守り合いの展開に。石井の3ポイントシュートで千葉が逆転するも、折茂がすぐさま3ポイントシュートをお返しするなど一進一退、49-49と同点で最終クォーターを迎えた。残り13秒まで同点、試合を決めたのはまたしても富樫第4クォーターも点差が離れず時間が経過していく。オフィシャルタイムアウトを迎えた時点で60-59と千葉が1点のリード。残り3分22秒、多嶋の3ポイントシュートが決まり64-64と同点に追い付くも、すぐさま富樫に3ポイントシュートを返される。1ポゼッション差で推移していた展開が崩れたのは、桜井良太のパスがスティールされ、そこからストーンが走って66-71とされた残り1分41秒。それでも残り34秒、リバウンドから走った北海道は4対2の場面を作り出し、折茂が3ポイントシュートのファウルを誘発。このフリースローを3本とも決めて、71-71と再び同点に。ここから富樫が3ポイントシュートで突き放すも、ジャマール・ソープがすぐさま3ポイントシュートを決め返し、北海道が三度追い付いた。残り13秒、74-74。この大接戦に終止符を打ったのは富樫だった。パーカーを経由して小野龍猛のスクリーンを受けてボールを受けた富樫は、クロスオーバードリブルで多嶋を抜き去りリングへアタック。ダニエル・ミラーとソープを前にして、ボールを高く上げたフローターシュートがリングに吸い込まれた。残り4秒では北海道に打つ手なし、76-74で千葉がこの接戦を制した。敗れた北海道だが、有終の美を飾るパフォーマンスすでにB1残留を決めている北海道だったが、その状況は関係なく、ホームの観客の前で最高の試合を見せるという目的を果たした。北海きたえーるに集まった5659人の観客に、バスケットボールの楽しさをあらためて伝えた。どれだけ勝ちたかったかは、試合終了とともに座り込んでしばらく立ち上がれなかった多嶋朝飛の素振りからも分かる。多嶋は「今シーズン一度も千葉に勝てていない状況の中、なんとしても勝ちたいと思って最後臨んだ試合でした。出だしもよく粘りながら自分たちらしいゲームができたと思っていたのですが、最終局面で相手にリードを奪われる展開になってしまい、もっともっとコート上で成長しなければいけないなと思いました」と試合を振り返る。北海道はこれでシーズン終了。球団社長にしてリーグ最年長選手の折茂武彦は、激闘のBリーグ初年度をこう振り返る。「今シーズンBリーグがスタートし、初年度をB1で戦うことができ、当初どういう風になっていくのかと思っていましたが、やはり戦ってみて一部残留は簡単なことではなかったですし、序盤、苦しい時期があった中、チームで乗り越えてここまで来れたことがチームの成長につながったのではないかと思います」「今日は、これだけ多くのブースターの皆さんが入ってくださったおかげで、自分たちも本当にそれが力となって頑張れたと思います。また来季このステージで戦えることを、自分自身の去就はわかりませんが、チームとしては楽しみにしていますし、ファンの方も楽しみにしてくださっているのではないかと思います」「来季、また新しいレバンガ北海道を見せることが出来ればと思いますし、残留はしましたが、勝負事なので上を目指していくのが当たり前だと思いますので、さらなる高みを目指していきたいと思っています」北海道はシーズンを23勝37敗で終えた。緊縮財政の影響で選手層が薄く、シーズン前半はケガ人が続出する中、試合よりも選手のやりくりに苦労する有様だったが、この最終戦で敗れたとはいえ地元ファンの前で誇らしい戦いを見せることができた。残留を果たしたこと以上に、来シーズンにつながるパフォーマンスだったと言えるだろう。そして千葉は9連勝でシーズンを終えた。チーム一丸、ディフェンスから走るバスケットが完成の域に達しており、富樫はクラッチシューターとして覚醒した感がある。オールジャパンを制した自信もあり、チャンピオンシップでも波乱を起こす存在になりそうだ。2017/05/07Bリーグ&国内
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エネルギッシュに戦い抜いた秋田ノーザンハピネッツ、残留への意気込みをコートで示す逆転勝利でレバンガ北海道を下す残留を決めてなお、第1戦の課題を修正してきた北海道昨日、第3クォーターを終えて61-48の楽勝ペースをひっくり返され、延長戦の末に敗れた秋田ノーザンハピネッツは、熾烈なB1残留争いの真っ只中にいる。一方、痛快な逆転勝利を収めたレバンガ北海道は、昨日の時点で残留プレーオフ回避が確定した。残留に向け、そして北海道へのリベンジに向け燃える秋田が力強くスタートした……はずだったが、北海道はまだ勝利に飢えており、第1戦の課題をしっかりアジャストしてこの試合に臨んでいた。スコット・モリソンのゴール下で流れを作られた反省から、ダニエル・ミラーがしっかり身体を寄せて自由を与えず、トランジションで秋田を上回る。秋田は出だしから相手の勢いに飲まれてしまった。モリソンを止められ、速攻の機会も与えられず、セットオフェンスでボールを動かせずに停滞する。守備では野口大介を止められない。第1クォーターだけで3ポイントシュート2本を含む15得点と大爆発の野口が牽引する北海道オフェンスは、2点シュートを10本中9本と高確率で決め、第1クォーターで28得点を荒稼ぎした。しかし、秋田はここから踏ん張る。ゾーンディフェンスで北海道オフェンスのリズムを狂わせると、この春に東海大を卒業したばかり、22歳の中山拓哉が停滞していたオフェンスに活力を注入する。第2クォーター、安藤誓哉に代わってコートに入った中山は、迷わず放った3ポイントシュートを沈め反撃開始。レオ・ライオンズとイバン・ラベネルの外国籍選手のマークが厳しいと判断すると、ポイントガードでありながら鋭いカットでゴール下に飛び込み、北海道ディフェンスの裏を突いてオフェンスに流れを生み出した。ボールを持っていてもいなくても、常にアグレッシブに動き続ける中山の働きにより、チーム全体が次第に活気付き、37-41と追い上げて前半を終える。後半に入ると北海道は異常なまでのシュート成功率を維持できなくなるが、ディフェンスで激しくプレッシャーをかけ、リバウンドもチーム全員で取りに行き、容易に秋田に流れを渡さない。それでも安藤がスティールから走ってレイアップを沈め、48-49と1点差まで詰め寄るが、反撃を演出してきた中山のファウルトラブルもあり逆転には至らない。第4クォーター立ち上がり、停滞を打ち破った田口の働き58-59と1点ビハインドで迎えた最終クォーター、エナジーを維持できずしばし停滞してしまう秋田だが、田口成浩が難しいミドルシュートを立て続けに決めてチームに喝を入れるとともに、タクミアリーナのボルテージを一段上げる。残り6分22秒、田口がこの試合4本目となる3ポイントシュートを決めた時点で63-64、北海道はたまらずタイムアウトを要求した。ここで北海道は一つの賭けに出る。秋田に追い上げられた時間帯、多嶋朝飛に続く第2ポイントガードの松島良豪は試合をコントロールできず、秋田に付け入る隙を与えていた。ベンチで休ませていた多嶋を戻す際、そのまま松島と交代させるのではなく、多嶋と松島の2ガードを選択したのだ。司令塔として果敢なパスを狙うもターンオーバーの多かった松島は、組み立て役を多嶋に託して足を使ったディフェンスに奔走。2ガードにすることで秋田の得点源である田口と安藤を抑えにかかった。この試みは当たったかに見えた。「当たりだしたら止まらない」田口を止め、逆に松島がチャンスを得点につなぎ、秋田に傾いた流れを呼び戻す。だが残り1分30秒、ライオンズに2ポゼッション連続で3ポイントシュートを決められ73-73に追い付かれると、リバウンド争いでライオンズに対し松島がファウル。これがアンスポーツマンライクファウルとコールされてしまう。秋田はこのフリースローで、試合開始直後の数十秒を除けば初めてのリードを奪う。残り41秒で西川貴之が狙ったシュートは決まらず、これを拾ったライオンズが落ち着いて展開。右ウイングの位置でフリーでパスを受けた高橋憲一が、迷わず放った3ポイントシュートがネットに吸い込まれて79-75と突き放す。北海道は再びタイムアウトを取るも、タクミアリーナの2000人を超える観客とチームが一体となる時間を与える結果にしかならなかった。2ポゼッション差では挽回は難しい。折茂武彦が強引に3ポイントシュートを狙うも決まらず、79-75で秋田が昨日のリベンジを果たすとともに、残留に向け執念で一歩前進した。残留への道はいまだ険しいが、チーム力は確かにアップ圧倒された立ち上がりの後、追い上げムードを作り上げた中山は、ファウルトラブルに陥り第4クォーターの勝負どころでプレーできなかったが、14得点を記録。初めて2桁得点を挙げた昨日に続き、自己最多得点をマークした。「がむしゃらにやった結果です。入りが悪かったですが、チーム一丸となって戦えた」と激闘を振り返る。実際、追い詰められた秋田が気持ちで上回った試合だった。気持ちが入りすぎて立ち上がりは固くなったが、勢いに乗った後は試合終了のブザーまで全員がハッスルし、流れを明け渡さなかった。北海道の水野宏太ヘッドコーチは「絶対に負けたくないという秋田の気持ちと、ゾーンを長く使われたことによって本来の流れがつかめなかった」ことを敗因に挙げている。秋田はこれで連敗を3で止めたが、残留プレーオフ回避への道はいまだ険しい。残留確定となる全体14位に位置する滋賀レイクスターズとは18勝39敗で並ぶが、滋賀には直接対決が1勝1敗のイーブン、直接対決での得失点で下回るため、滋賀を追い抜いて残留プレーオフを回避するには実質1ゲーム差をひっくり返す必要がある。そして秋田のレギュラーシーズン残り3試合は、5月3日の千葉ジェッツ、来週末のアルバルク東京との連戦と、リーグ屈指の強豪との対戦だ。それでも、安藤と田口だけが得点源だったシーズン半ばまでと比べれば、チームは戦えるようになってきている。モリソンがインサイドで存在感を見せ、ライオンズとラべネルもチームにフィット。そして中山は今日見せたように試合を重ねるごとに本格化しつつある。もちろん安藤と田口も健在だ。長いレギュラーシーズンの最後に迎えた正念場、真の実力が問われる。2017/04/30Bリーグ&国内
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Bリーグ第29節の『BEST of TOUGH SHOT』、5つのスーパープレーを紹介第29節の『BEST of TOUGH SHOT Weekly TOP5 presented by G-SHOCK』が発表された。選出された5つの得点シーンを振り返る。第5位 野口大介(北海道vsA東京)第3クォーター残り2.2秒スローインの場面。A東京ディフェンスはダニエル・ミラーのインサイド、折茂武彦のキャッチ&シュートを警戒する。野口をマークするザック・バランスキーはミラーのケアを考え、出足が遅れる。そのわずかな遅れによりスペースが空き、野口が放った3ポイントシュートが決まった。ボールを出した松島良豪の目線はインサイドを向いたままで、その目線によりバランスキーはインサイドに寄らざるを得なかった。松島の隠れた好プレー。第4位 中山拓哉(秋田vs栃木)田臥勇太を抜き去り、トミー・ブレントンのブロックを回避して決めた中山のダブルクラッチ。田臥をかわす際に態勢を崩すが、すぐさま上体を立て直すボディバランスの良さ、ブレントンのチェックを考慮しリバースに持っていった判断力、そして長い滞空時間を生み出すジャンプ力が噛み合ったタフショット。第3位 ジェフリー・パーマー(横浜vs新潟)3ポイントラインで山田謙治のパスを受けたパーマーがリングにアタック。ゴール下に待ち受けるのは、リーグ3位のブロックショット数を誇るクリント・チャップマン。勢いに乗った状態で突っ込むパーマーはチャップマンのブロックを空中でかわし、ファウルを獲得。さらに体をひねった半身の態勢から、柔らかく冷静にシュートも沈めた。ボーナスショットも決めて、3点プレーとなったバスケット・カウント。第2位 広瀬健太→アイラ・ブラウン(SR渋谷vs川崎)広瀬からのパスをそのまま叩き込んだブラウンの超絶アリウープ。広瀬にボールが渡った時点で、まだ3ポイントラインの手前にいたにもかかわらず、ブラウンは手を挙げアリウープの合図を送る。ライアン・スパングラーをカウンターで抜いた広瀬にはシュートの選択肢もあったが、溜めを作ってゴール前へふわりとしたパスを送る。ゴール下にいた藤井祐眞、栗原貴宏、そして味方のロバート・サクレさえもボールの受け手は分からない。パスミスだと思った瞬間、後方から猛然とブラウンが飛び込んできた。阿吽の呼吸がもたらしたスーパーアリウープ。第1位 中山拓哉(秋田vs栃木)中山が第4位に続きノミネート、説明不要のロングシュート。第1クォーター残り2秒、橋本晃佑のフリースロー直後の場面。素早いリスタートからボールを受けた中山は、あきらめずにゴールを狙う。リングに届かせるために勢いをつけてボールをリリースする。しっかりとしたフォロースルーから放たれたボールは長い滞空時間を経てリングに吸い込まれた。最後に見せた控えめな笑顔がさらに印象を良くする。2017/04/27Bリーグ&国内
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ハッスル&集中で超ロースコアの『守り合い』を我慢強く戦い抜いたレバンガ北海道、栃木ブレックスを破るアップセット!ディフェンスvsディフェンスの重い展開栃木ブレックスとレバンガ北海道の第2戦。リバウンドが原因で敗れた前日の課題を修正し、40分間集中したディフェンスを続けた北海道が首位の栃木を撃破した。北海道の水野宏太ヘッドコーチは勝利のポイントとして、第1クォーターのパフォーマンスを挙げた。「まずは第1クォーターで昨日と違うということを、数字だけの問題ではなくリバウンドへの意識だったり、相手に好きにやらせないというところで身体を張りました」その言葉どおり、北海道は試合開始から強固なディフェンスを見せる。野口大介が遠藤祐亮のシュートをブロックして24秒バイオレーションを誘う。インサイドに目を光らせ、前日の敗因となった栃木のオフェンスリバウンドを第1クォーターは1つに留めた。攻撃では松島良豪がオフェンスリバウンドに積極的に絡み、栃木のお株を奪う形でイージーにセカンドチャンスポイントを獲得する。こうして北海道が第1クォーターを12-8で取った。その後もハイレベルな守り合いが続いていく。栃木の強力インサイドに対してはダブルチーム、時にはトリプルチームに行ってペイントエリアの守りを徹底。ズレを作られてもノーマークを作らせず、スティールにならなくても手を広げることでボールを弾いた。最後までしぶとくディナイすることでボールの軌道を変え、栃木のファンブルを誘いターンオーバーを連発させた。「相手のトランジションをどれだけやらせないようにするかというところで、しっかりオフェンスを遂行すること、相手に簡単に走らせないようにすることでロースコアになった」と水野コーチは語る。丁寧なオフェンスセレクションを徹底し、時間がかかっても良いシュートチャンスを作り出したことが、栃木の得意なトランジションオフェンスを封じた要因になった。果敢にドライブを仕掛けて活路を見いだした北海道第3クォーターを終えて36-36。稀に見るロースコアゲームとなり迎えた最終クォーター、北海道がやはりディフェンスからペースを握った。ジェフ・ギブスのシュートをダニエル・ミラーがブロックし、24秒バイオレーションを誘発。さらにジョーダン・バチンスキーのブロックショットから走った多嶋朝飛が3点プレーとなるバスケット・カウントを決めて41-36と一歩抜け出す。だが栃木も田臥勇太の速攻で流れを切り、ディフェンスのプレッシャーを強めて応戦する。だが、そのアグレッシブなディフェンスが裏目となり、残り4分48秒でチームファウルが4つに到達してしまう。北海道はこの機を逃さず積極的にドライブを仕掛け、シュートファウルを獲得。フリースローで得点を重ねて優位を固めていく。それでも栃木は古川孝敏がシュートファウルを連続で誘い、フリースローを確実に決めて追撃した。残り1分22秒、55-54と北海道1点リードの場面で勝敗を分けるプレーが生まれる。栃木ディフェンスの前にノーマークが作れず、ショットクロックが0に近付いた場面で、ジャマール・ソープが苦しい体勢から値千金の3ポイントシュートを沈める。さらに直後、トランジションを仕掛けるパスを多嶋が弾いてマイボールにすると、そのポゼッションでは松島のオフェンスリバウンドから桜井良太がフリースローを獲得。桜井が落ち着いて2本とも成功させ、残り36秒で60-54とした。50秒間で5点差をつけた北海道がその後のファウルゲームを乗り切り、最終スコア63-57で栃木を退けた。最後の栃木戦で初勝利「一矢報いることができた」敗れた栃木のヘッドコーチ、トーマス・ウィスマンは「北海道のディフェンスがとても素晴らしかった」と相手を称賛。ペイントエリアでのスコア、セカンドチャンスポイントも下回り、インサイドを攻めあぐねたことについては、「彼らの方がハッスルしてアグレッシブに行っていた。際どい場面で決め切れたのはそのハッスルの部分が大きい」と気持ちで相手が上回ったことを認めた。ジェフ・ギブスは「ダブルチームやトリプルチームなどで複数の選手に囲まれてプレッシャーをかけられ、シュートを決めきれなかった。彼らは半分外を捨て気味にしても、中をよく守ってきた」と分析した。水野コーチは「何よりも1歩ずつ進むこと、諦めずにやり続けた結果で、一矢報いることができた」と会見を締めた。シーズン6試合目、最後の対戦で栃木相手に初勝利。まさに『一矢報いた』形だ。これで北海道は21勝32敗。残留プレーオフ回避のマジックを1とした。Bリーグは残り7試合となり、チャンピオンシップ出場権や残留プレーオフ回避をかけた争いがますます過熱していく。2017/04/16Bリーグ&国内
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互いの出方を探りつつハイテンポな打ち合いを演じた千葉ジェッツとレバンガ北海道、最後はバスケIQに勝る千葉が上回る相手の急所を的確に突く富樫のゲームメークが冴える昨日の第1戦は98-88と接戦から抜け出して勝利した千葉ジェッツ。今日の第2戦も、東地区『3強』の一角から勝利を挙げようと燃えるレバンガ北海道の勢いをうまくいなして主導権を握った。素早いパス回しから野口大介の果敢なアタックで先行を許す千葉だが、小野龍猛がタフショット気味の3ポイントシュートを沈め、石井講祐も3ポイントシュートで続いで強引に流れを引き寄せる。アウトサイドの次はインサイド。オフ・ザ・ボールの動きで相手守備を翻弄し、ゴール下での合わせからイージーシュートを次々と決めていく。さらには激しくディフェンスする北海道からファウルを誘い、相手のチームファウルが4つになったところでパスからドライブへと崩しのアプローチを切り替える。相手の嫌がるプレーをきっちりと遂行することで第1クォーターから32点を荒稼ぎ。3ポイントシュートは4分の3(75%)、2ポイントシュートは7分の7(100%)、フリースローは9分の9(100%)という、異常なまでの効率の良い攻めを見せた。この攻めをポイントカードの富樫勇樹はこう振り返る。「出だしから外のシュートが入っていたし、インサイドでも点が取れて良い流れでした。北海道にプレッシャーを結構かけてくる選手が多いのは昨日の試合で分かっていたので、ドライブで行けばファウルがもらえるという考えはありました。狙っていった結果、しっかりファウルが取れて良かったです」北海道は随所に好プレーは見せるものの、ファンブルやイージーなパスミスなどターンオーバーを連発。アグレッシブさが裏目に出る、もったいないミスが続いた。相手の術中に陥りながらも粘り強く食い下がる北海道外国籍選手オン・ザ・コート「2」の第2クォーター、千葉はゴール下で圧倒的なディフェンスを見せていたヒルトン・アームストロングが下がっている間に北海道の追い上げを許すも、要所はしっかりと締める。この『要所』とは北海道の得点源、西川貴之と折茂武彦だ。この2人に3ポイントシュートを打たせる機会を極力与えないことで、『北海道の形』を作らせなかった。西川には主に小野が、折茂には石井がピタリと貼り付いて自由を与えない。ピック&ロールに対してはマイケル・パーカーがスイッチして付き、アームストロングもそのヘルプに行くことを優先。結果としてセンターのダニエル・ミラーへのケアが甘くなり、シーズンハイの27得点を奪われたが、千葉の大野篤史ヘッドコーチは「少々やられすぎ」と苦笑しながらも、「それは向こうの意図する形ではないと思うので」と意に介さない。千葉の術中に陥った北海道だが、その後も粘り強く戦い、特にオフェンスリバウンド(千葉の6に対し12)からのセカンドチャンスポイントで食い下がる。最大22点まで開いたビハインドをコツコツと埋め、第4クォーター残り2分30秒、ミラーのこの試合24点目の得点で82-91とついに差を1桁に。ところがその直後、ゆったりと時間を使って攻める富樫が3ポイントシュートを狙ったところで、ボールを奪いに行った多嶋朝飛が痛恨のファウル。微妙な判定に多嶋とベンチが猛抗議するも覆らず。試合後、多嶋は「あまりプレッシャーをかけると抜かれるので少しずつ詰めて、悪くない間合いで行ったのですがファウルになってしまった」と淡々と振り返ったが、相当に悔しかったはずだ。富樫がここで得たフリースロー3本をすべて決めて94-82。これが決定打となり、最終スコア101-90で千葉が連勝を飾った。100点を奪う勝利にも「自分たちのバスケができていない」クリスマス以来となる100点ゲームで勝利した千葉だが、意外にもヘッドコーチや選手たちの口調は重かった。富樫は言う。「オフェンスリバウンドを与えてしまって、セカンドチャンスポイントで結構やられてしまったのが2試合通してあったのは反省点です」大野ヘッドコーチは、『要所を抑える守備』には評価を与えたものの、リバウンドなどボールへの執着心が出ていなかったことに納得がいかない様子。「昨日も今日も自分たちの目指すバスケットボールはできていないが、オフェンスが上手に回ってくれたおかげで勝てた試合」と語る。この日、東地区2位のアルバルク東京が敗れたことで、その背中が見えてきたが、「あまり順位を意識せず、自分たちのバスケットを追求していかなければ」と強調する。「この2試合でも課題がたくさんあります。まずはディフェンスのマインドセットをもっとやらなきゃならない。そこから今日のオフェンスにつなげていければもっとステップアップできると思います」と緩みを見せなかった。一方、北海道の水野宏太ヘッドコーチは「バスケットIQの高い千葉の選手にいろいろな駆け引きをされ、そこからのターンオーバーが2日間とも多く、速攻につなげられて確率の高いシュートを決められました」と敗因を語る。「非常に悔しい2日間でした。勝つチャンスは2日間ともあり、戦えるところは見せられましたが、『良いチーム』とか『戦えるチーム』でシーズンを終えるのは嫌なので、結果が出なかった以上は次で返すしかないと思います」北海道はここまで千葉を相手に6戦全敗。最終節に最後の千葉との連戦をホームで迎えるが、ここで一矢報いることを誓った。両ヘッドコーチにとって課題の残る試合ではあったが、千葉は2位A東京とのゲーム差を3に縮めた。北海道は粘り強い戦いを40分間継続し、西川を抑えられながらも90点を奪ったオフェンスは評価できる。両者ともここで得た収穫と課題を来週までにどう消化し、チームの血肉と変えていくか。シーズン終盤、一歩も引けない戦いが続く。2017/03/26Bリーグ&国内
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金丸晃輔33得点! チームとしての総合力で上回るシーホース三河、レバンガ北海道を相手に逆転勝利を収める柏木の老獪なゲームメークが三河に流れを呼び込むB1は日本代表のイラン戦を挟んで2週間ぶりの開催。シーホース三河は橋本竜馬、比江島慎、金丸晃輔の3名を代表に送り込んでいた。鈴木貴美一ヘッドコーチは日本代表の3選手の状態をこう説明する。「竜馬くんと比江島くんは試合に出て疲れて帰ってきたという状況。金丸選手は逆に体調を壊して(試合にほとんど出ず)、疲れが取れたなという感じだった」。その3選手が先発に名を連ねた第1クォーターは、レバンガ北海道に流れを持っていかれてしまう。北海道は名古屋ダイヤモンドドルフィンズを退団したジョーダン・バチンスキーが加入して17日が初登場。218㎝というBリーグ最大のビッグマンは、ダニエル・ミラーとともにインサイドの軸として期待されている。練習に加わってまだ2日という連携の浅さはあるが、ベンチで出番を待っていた。外国籍選手のオン・ザ・コート数は両チームとも「1-2-1-2」。北海道は西川貴之、野口大介らが出だしから順調に得点を重ね、26-21と5点リードで出だしの10分を終えた。鈴木ヘッドコーチは「ちょっと出だしで走られた部分があった。リバウンドも本来なら桜木(ジェイアール)がいることでアドバンテージを取らなければいけないのにそこを逆にやられた」と第1クォーターの劣勢を説明する。三河は第2クォーターの頭からポイントガードに柏木真介が入った。35歳の彼は日本代表歴も豊富な選手だが、鈴木ヘッドコーチによれば今のチームにおける位置づけは3番手のポイントガード。ただ鈴木ヘッドコーチはこんな理由で彼と長谷川智也を起用した。「僕自身、控えの選手は練習でアピールしないと使わない。今週は長谷川くんと柏木くんが良かったので、チャンスがあったら早い段階で使おうと思っていたし、彼らもそれに応えた」そして柏木の奮闘をこう称える。「柏木くんはディフェンスでしっかり良いところを出してくれたし、勝負どころで3ポイントを決めてくれた。柏木くんがディフェンスで活躍したことは、竜馬くんが疲れているだけに今日のゲームの中で大きかった」柏木はこのような狙いで第2クォーターからコートに入った。「北海道はアウトサイド中心のチームなので、そこをしっかりディフェンスで抑えること。逆にオフェンスでは向こうの外国人選手がピック&ロールに対してディフェンスができていなかったので、そこを突こうと思った」狙いが奏功して三河は一気に追い上げ、第2クォーター残り6分13秒には柏木の3ポイントシュートで30-29と逆転。その後も攻勢は続き、前半終了時点で11点リードと試合をひっくり返した。柏木が「第2クォーターは金丸と長谷川の調子がずっと良かった。あそこを使おうと決めてやって、それが良い方向に行った」と口にするように、彼は当たっていた2人を徹底的に使った。この10分間で金丸は17得点、長谷川は4得点を挙げ、三河に流れを引き戻した。橋本と比江島のプレータイムを制限、金丸は『大爆発』金丸は風邪の影響で10日、11日のイラン戦にほとんど出ていない。ただ彼は橋本や比江島と違い、体力的な消耗がない状態でチームに戻ってきていた。皮肉なことにイラン戦と17日の北海道戦では、明暗が逆になった。第2クォーターを振り返ると、橋本のプレー時間は11秒で、比江島に至っては全休。鈴木ヘッドコーチはこう説明する。「比江島本人は大丈夫だと言っていましたけれど、シュートのタッチを見ても、ドライブした時にいつも必ず入るシュートが入らないのを見ても、調子の悪い状態だった。今日はあまり使わないようにしようと意識しながら、ゲームプランを立てた」三河が47-36とリードして迎えた第3クォーターは橋本、比江島がコートに戻ったが、試合はなおも三河のペース。金丸の『爆発』が収まっても、桜木やアイザック・バッツ、ギャビン・エドワーズといったインサイドが得点を取っていた。第3クォーターは各選手が均等にスコアを重ねて、70-53とさらにリードを拡げる。三河はそのままリードを保ち、最終スコア89-72で北海道を下した。三河は金丸が33得点を挙げる大活躍。また橋本が19分6秒、比江島は21分54秒とプレータイムを抑えた中で、柏木や長谷川といったセカンドユニットの活躍が光った。北海道では、野口が21得点、折茂武彦が14得点とベテランシューターが奮闘した。名古屋ダイヤモンドドルフィンズを退団したジョーダン・バチンスキーは、この試合が北海道でのデビュー戦。218㎝というBリーグ最大のビッグマンは、ダニエル・ミラーとともにインサイドの軸として期待されたが、練習に加わってまだ2日ということで特にディフェンス面で連携不足を露呈した。水野宏太ヘッドコーチはバチンスキーの出来をこう分析する。「ボールと人の動く連動性というテーマでやっている中で、途中に来てやることは簡単でない。チームとしてどうバチンスキーの良さを出していくかは、まだ半分もできていないと思う。しっかり2日間で覚えた部分があったし、考える力を持っている」今日の第2戦は14時ティップオフとなる。2017/02/18Bリーグ&国内
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Bリーグ第19節の『BEST of TOUGH SHOT』、5つのスーパープレーを紹介第19節の『BEST of TOUGH SHOT Weekly TOP5 presented by G-SHOCK』が発表された。選出された5つの得点シーンを振り返る。第5位 ヒルトン・アームストロング(横浜vs千葉)川村卓也のチェックをかいくぐり、ゴール下でパスを受けるアームストロング。冷静なポンプフェイクでジェイソン・ウォッシュバーンを飛ばし、ファウルをもらいながら沈めたバスケット・カウント。ファウルを獲得することを目的としたプレーだったため、リングを背にした難易度の高いフックシュートを選択するも、これを見事に沈めた。第4位 折茂武彦(北海道vsSR渋谷)第4クォーター残り22秒、3点ビハインドの場面。広瀬健太のマークを振り切り、ゴールに背を向けた状態でボールを受ける折茂。ワンドリブルで反転し広瀬のファウルを受けながら沈めた3ポイントシュート。同点に追いつくビッグショットを決めてチームを延長戦に導いた。第3位 野口大介(北海道vsSR渋谷)オフェンスリバウンドを取ったダニエル・ミラーを確認し、ペイントエリアにトップスピードで飛び込む野口。杉浦佑成のシュートチェックをものともせず叩き込んだ豪快なワンハンドダンク。このダンクで点差を2桁に広げたことで、勝利をグッと引き寄せた。第2位 富樫勇樹(横浜vs千葉)第4クォーター残り5秒、3点ビハインドの場面。5秒を切り3ポイントシュートを打つしかない状況に追い込まれた富樫。細谷将司も3ポイントを警戒したディフェンスでプレッシャーをかける。それでも右斜めへのステップバックでスペースを作り、弾道の高い3ポイントシュートを放つ。これが放物線を描きながらリングを通過し、土壇場で同点に追いついた。第1位 川村卓也(横浜vs千葉)第2位には続きがあった。富樫の3ポイントシュートで追いつかれた横浜、残り1.7秒のラストチャンス。ウォッシュバーンのスクリーンを使い、ゴールに背を向けた状態で高島一貴からのインバウンドパスを呼び込んだ川村は間髪入れずに反転してフェイダウェイシュートを放つ。アームストロングのブロックショットを計算に入れ、少し軌道を高くしたシュートがリングに吸い込まれ、劇的なブザービーターで横浜に勝利をもたらした。2017/02/09Bリーグ&国内
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