
『鹿野洵生』の検索結果
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最大24点差からの劇的な逆転劇、横浜ビー・コルセアーズが滋賀にホームで2連勝第3クォーターまでは完全な滋賀ペース 横浜ビー・コルセアーズと滋賀レイクスターズの第2戦。昨日の第1戦で今シーズン初勝利を挙げ、開幕からの連敗を5で止めた横浜が、最大24点差を覆す劇的な試合を見せた。 横浜は滋賀の強力インサイド陣に対し、ゾーンディフェンスで対抗する。だがディオール・フィッシャーにミドルシュート、ガニ・ラワルにバスケット・カウントを許して先行された。オフェンスでもリズムに乗れずシュート精度を欠くも、インサイド陣を中心にリングにアタックし、このクォーターだけで10本のフリースローを獲得して粘る。それでも滋賀のハーフコートバスケットに苦しみ、24-37とビハインドを背負い前半を終えた。 後半、横浜は帰化選手のエドワード・モリスを使ったビッグラインナップから、バックコートを細谷将司、川村卓也、田渡凌の3人体制に変更し、川村が縦への変化を増やし、アマンゼ・エゲケゼの速攻が出始めるなどオフェンスが一気に活性化。だがその代償としてディフェンスが崩壊する。インサイドをこれまで以上に警戒したのだが、滋賀に余裕をもってボールを回され、フリーから連続で3ポイントシュートを沈められてしまった。第3クォーター4分が経過し、ラワルのバスケット・カウントで32-56とこの日最大となる24点のビハインドを背負った。 横浜の負けパターンは大差がつき集中力が切れてしまうこと。だが今日の横浜はこれまでと違い、最後まで勝負をあきらめなかった。前半は滋賀のタイトなディフェンスの前に自由にプレーさせてもらえなかったが、ピック&ロールからの展開で得点を挙げていく。川村が第3クォーターだけで13得点を挙げ、逆転に望みをつなげたことが最終クォーターに生きてくる。 スコアラーに戻った川村が大逆転劇を演出 47-63と16点のビハインドを背負って迎えた最終クォーター、横浜は気持ちの入ったフィジカルなディフェンスで滋賀オフェンスを停滞させる。ディフェンスでの我慢がディフェンスに繋がりリズムが生まれ、川村を中心とする追い上げが加速する。 ここで滋賀を苦しめたのはファウルトラブルだった。横浜の縦への速い攻めにファウルがかさんだ滋賀は、第4クォーター開始2分で二ノ宮康平と鹿野洵生が4ファウルとなり、その約2分後、二ノ宮はファウルアウト。川村の3ポイントシュートで7点差に迫られてオフィシャルタイムアウトを迎えた。試合後、ヘッドコーチのショーン・デニスが「気持ちの部分で負けてしまった」と悔やむように、ここから終盤の大事な時間帯で滋賀はミスを連発してしまう。 横浜はゾーンディフェンスとマンツーマンを交えたチェンジングディフェンスで滋賀オフェンスを惑わし、24秒バイオレーションを誘発。滋賀はインサイドでの攻めに固執するあまり連続で3秒バイオレーションを取られるミスもあり、最終クォーターだけで10個ものターンオーバーを犯した。 スコアラーに徹した川村がそのオフェンス力を遺憾なく発揮し、横浜はこのクォーターだけで相手のターンオーバーから12得点を記録し猛追した。そして残り49秒、ジャボン・マックレアがオフェンスリバウンドを押し込んで同点に追い付き、さらに残り19秒には川村がこのクォーター10得点目のシュートを沈め、72-70とこの日初めてのリードを奪った。 その後は逆転を狙った狩野祐介の3ポイントシュートが外れ、リバウンド争いからヘルドボールとなり、ポゼッションを得た横浜が劇的な逆転勝利をつかんだ。 トムコーチ「これが楽しいからコーチをやっている」 勝利した横浜のトーマス・ウィスマンヘッドコーチは「今日は楽しかった。先週まで0勝5敗で、『なぜ私はコーチをしているのか』と悩んでいたが、今週の2勝でこれが楽しいからやっているんだと再確認できた」と劇的な勝利にご満悦。「最終クォーターのターンオーバーが1-10ということで、ディフェンスの強度が上がったのが分かると思う。そして川村選手が試合を支配した」と試合を振り返った。 一方、滋賀のデニスコーチは「信じがたい内容になってしまった、とても残念です」と肩を落とした。「最初の3クォーターは良いプレーができていましたが、第4クォーターに精神的にソフトになり、守りに入るような戦い方になってしまった。相手が勢いづき、ホームのファンに後押しされた横浜を止められなかったです」と総括した。 横浜は5連敗からの2連勝で中地区最下位から脱出し、次節はホームに新潟アルビレックスBBを迎える。トムコーチが「こういう試合はホームでしかあり得ない」と語ったように、ホームの声援を力に変え、この勢いを維持したいところだ。2018/10/21Bリーグ&国内
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攻守にチームバスケを徹底した三遠ネオフェニックス、退場者を出した名古屋Dを圧倒する100点ゲームで勝利強度の高いディフェンスで主導権を握った三遠三遠ネオフェニックスが豊橋市総合体育館に名古屋ダイヤモンドドルフィンズを迎えた。ここまで14勝18敗で並ぶ両者だが、三遠は得失点差で順位が下。今シーズンは名古屋Dに4戦全敗を喫しており、後半戦巻き返しのきっかけを作るためにも必勝を期していた。立ち上がりは互いに点を取り合い、リードチェンジを繰り返す展開に。三遠は田渡修人のオープニングショットとなる3ポイントシュートからシュートタッチ良く得点を重ねるが、クレイグ・ブラッキンズにボールを集める名古屋Dのパワフルな攻めを止められない。それでもブラッキンズに押し負けていたモリソンに代わり太田敦也がマークに付くと、そのシュートが落ち始める。残り2分に鈴木達也の3ポイントシュートで18-16と逆転。太田がディフェンスから流れを呼び込み、23-19と三河が第1クォーターを三遠が取った。それでも第2クォーター立ち上がり、笹山貴哉が3ポイントシュートを決め、さらには浮かせたパスでジェロウム・ティルマンの速攻をお膳立てして24-23と名古屋Dが逆転。ここで藤田弘輝ヘッドコーチはタイムアウトを要求。緩みを見せた選手たちに喝を入れた。これで三遠はディフェンスのインテンシティが上がり、ウェンデル・ホワイトが強気のアタックを次々と得点につなげてリードを広げ始める。ブラッキンズ退場を機にワンサイドゲームにそして第2クォーター残り2分20秒、結果的に勝敗を決する出来事が起きる。鹿野洵生とブラッキンズが衝突して両者にテクニカルファウルがコールされた。ブラッキンズはその前にもジャッジへの不満でテクニカルを受けており、テクニカルファウル2回で退場に。三遠はロバート・ドジャーを、名古屋Dはジャスティン・バーレルをケガで欠く状況、試合を通じて残る外国籍選手のファウルを抑えることが勝利の前提条件だったが、ブラッキンズはあまりにもあっさり退場となってしまった。対照的に三遠はホワイトもモリソンも前半をファウルなしで乗り切っている。この差が勝敗を決めてしまった。前半を終えて52-39。後半開始から笹山が7得点2アシストと奮起、3分半で52-60と点差を1桁に縮めるが、ここでも三遠はタイムアウトを機に立ち直る。外国籍選手がティルマンだけになったインサイドばかりを突く単調な攻めを止め、バランスの良いチームオフェンスへと立ち返った。その上で鈴木、岡田慎吾とガードがインサイドで合わせる連続得点で78-58と20点差に。もう名古屋Dに追い上げる力は残っていなかった。最終クォーターも三遠は手を緩めずに、今シーズン初の100点ゲーム。通算成績で並ぶ名古屋Dとは接戦が予想されたが、終わってみれば103-81と大差がついた。手痛い負けを喫した名古屋D、明日に勝機を探る大勝した三遠を率いる藤田ヘッドコーチは「何も変えていません」と、戦術や起用法の変更を否定。守備で踏ん張って勝ちを呼び込む三遠が100点ゲームをした理由を「選手たちが自分たちのオフェンスの大事なところをしっかり遂行してくれた」と説明した。圧勝のように見えてポイントは第2クォーター立ち上がりで、あそこで名古屋Dの勢いに飲み込まれたら結果は逆になっていたかもしれない。「きちんとやろうと話した。選手たちがすぐレスポンスしてくれた」と、回数の限られるタイムアウトを適切に使った指揮官は選手を称えた。結果としてワンサイドゲームにはなったが、藤田ヘッドコーチは「名古屋Dは乗せたら怖いチームです」と気を緩めない。同じく名古屋Dの梶山信吾ヘッドコーチも「決して悪いゲームではありませんでした。JB(バーレル)と中東(泰斗)が不在、CB(ブラッキンズ)も欠く状況で、みんなで最後まで戦い抜いたのは素晴らしいこと」とポジティブな面を強調した。結果的に試合を壊すことになったブラッキンズについても、「みんな一生懸命、勝つためにやっているので、責めようとは思いません」ときっぱり。明日はブラッキンズを出場停止で欠くことになるが、「リバウンドを取って走ること、そして今日やられたワイドオープンをケアする」ことで勝機を見いだす。2018/02/03Bリーグ&国内
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アンソニー・マクヘンリーに『勝者のメンタル』を注入された信州ブレイブウォリアーズ、今大会2度目の『B1狩り』に成功!戦力の揃わぬ三遠にオン・ザ・コート「2」で圧倒アーリーカップ『東海北陸』大会、信州ブレイブウォリアーズが三遠ネオフェニックスを下して3位に食い込んだ。信州は大会初日にホストチームであるアルビレックス新潟BBを撃破。2日目の名古屋ダイヤモンドドルフィンズ戦には力負けを喫したが、それでも攻守両面で積極的にプレーし、今日の三遠ネオフェニックス戦も自分たちのバスケを遂行してB1チームを相手に結果を出した。とはいえ、試合開始から0-9のランを浴びる最悪のスタートに。3日連続の試合とあって三ツ井利也以外のスタメンを入れ替えたことが立ち上がりの失速を招いた。それでも、三遠も新外国籍選手のカルティエ・マーティンが故郷のテキサス州を襲ったハリケーンによる大洪水の影響で来日しておらず、ケガ人も重なりベンチに9選手しかいない苦しい状況。第2クォーターになって信州が外国籍選手オン・ザ・コート「2」になると、その不利は明らかだった。信州の反撃のきっかけを作ったのは、2試合連続で30分近くプレーしたためベンチスタートに回っていたアンソニー・マクヘンリーの投入だ。琉球ゴールデンキングスで9年間プレーした『レジェンド』はこの夏に信州に移籍。新潟戦でも名古屋D戦でも攻守に軸となるプレーを見せていたが、この試合でも本領を発揮。第2クォーター開始とともに投入されると、すぐにインサイドの守備を立て直して反撃の起点となった。マクヘンリーがコートに入ると、チームの動きが見違える。琉球で多くのタイトル獲得に貢献した彼の存在が良い方向に働いていた。第2クォーター開始から7分半、信州が喫した失点は鹿野洵生の3ポイントシュート1本だけ。22-3というビッグランで一気に試合をひっくり返した。登録9選手が一丸となって戦う三遠だが、最後にミス後半に入ると三遠も粘りを見せ、ベンチメンバー9人を目まぐるしく起用して食い下がる。外国籍選手がスコット・モリソン1人しかいない分は太田敦也が、シューター田渡修人の不在は鹿野と大石慎之介が埋めるも、走る展開に持ち込む回数で上回る信州が51-48とリードして最終クォーターへ。終盤はリードチェンジを繰り返す混戦に。残り2分を切ったところで大石が3ポイントシュートを決めて三遠が逆転すれば、その直後に齊藤洋介が3ポイントシュートでお返し。64-62と信州がリードした残り0.8秒の場面、タイムアウトを取った三遠は最後のオフェンスをセットするが、鈴木達也が大石に逆転の3ポイントシュートを打たせる意図で出したスローインが連携ミスでラインを割り、万事休す。64-62で信州が逃げ切った。マクヘンリーは要所での活躍が目立ったものの、プレータイムは19分。30分のプレータイムで太田とモリソンを相手に18リバウンドを記録したティム・デゼルスキ、3ポイントシュート2本を含むフィールドゴール7本中5本成功の高確率に加え4アシストの齊藤洋介も、昨シーズンのチャンピオンシップ出場チームである三遠を大いに苦しめた。武井弘明が試合後に「挑戦者として、でも負ける気はなくやりました」と語ったとおり、カテゴリーの差はあっても臆することなく自分たちのスタイルに徹したことがB1チームから2勝を挙げる結果を呼んだ。昨シーズンは14勝46敗、B2全体でも下から2番目とふるわなかった信州だが、新シーズンは全く別の姿を見せてくれそうだ。2017/09/03Bリーグ&国内
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後半に失速し得点力不足を露呈した横浜ビー・コルセアーズ、三遠ネオフェニックスに敗れて残留プレーオフ参加が決定横浜の堅守をこじ開けたビッグマン太田のポストムーブBリーグ第31節、横浜ビー・コルセアーズはホーム最終戦で三遠ネオフェニックスに61-77で敗れ、残留プレーオフ出場が決まった。序盤は横浜のディフェンスの意識の高さが目立つ。スイッチを多用せず1人で守り、最後までボールマンにプレッシャーをかけ続けた。ゾーンディフェンスでもパスの行き先を読み、オープンな状態を作らせない。ジェフリー・パーマー、川村卓也のブロックショットや、ファイ・パプ月瑠がジョシュ・チルドレスからオフェンスファウルを誘発するなど、フィニッシュまで集中力を切らずに粘り強く守る。それでも三遠はチルドレスや鹿野洵生がオフェンスリバウンドを獲得し、それを高い確率で得点に結び付けてセカンドチャンスポイントで10-2と上回り、31-28とリードして前半を終えた。後半に入ると、三遠は個の力とチームバスケットがうまく融合し、リードを広げていく。横浜のディフェンスをこじ開けるきっかけとなったのが太田敦也だ。多彩なポストムーブで出だしから3連続得点を決め、中に意識が向いたところで外に展開し、理想的なインサイドアウトのチームプレーを体現した。4本のシュートをすべて成功させ、8得点を稼いだ太田は、「1対1の時も周りがしっかり動いてくれたので、中のスペースができてやりやすかった」と流れを作ったインサイドプレーを振り返る。横浜、大事な出だしで踏ん張ることができず横浜もインサイドにボールを入れるが、周りの選手の足が止まってしまい、1対1の状況でタフショットが多くなってしまう。またリングへのアタックからのキックアウトなど良い形もあったが、フィニッシュを決められない。横浜の尺野将太ヘッドコーチは「オフェンスで重たくなってしまい、うまく自分たちのリズムに乗れなかった。そのタイミングで相手にインサイドをやられてしまい、流れを持っていかれてしまった」と劣勢を強いられた第3クォーターを分析。また「少し我慢すればウチの流れがくると思ってタイムアウトを我慢しましたが、最終的にカムバックできなかったので、自分の判断ミスもありました」と振り返る。11点ビハインドで最終クォーターを迎えた横浜は、大事な出だしで踏ん張ることができない。オルー・アシャオルの3点プレーとなるバスケット・カウントを許し、さらには大石慎之介に3ポイントシュートを決められ、開始1分で42-59とこの日最大のリードを許した。ジェイソン・ウォッシュバーンのジャンプショットや湊谷安玲久司朱の1対1で反撃するが、その後もアシャオルの個人技を止めることができず、最後まで流れをつかめないままホーム最終戦を落とした。三遠は試合終盤にチャンピオンシップ用の布陣をテスト「日本人選手で分があるところがいくつかあったので、そこでなんとか起点を作ろうと思ってメンバー構成の中でうまくミスマッチができるようにやってみたが、なかなか点数が伸びなかった」と尺野コーチが振り返るように、川村や湊谷が高さのミスマッチを突いたが、思うような効果が得られずリズムが生まれなかった。「良いオフェンスを展開できずに20点を超えるクォーターがなかった」と言うように、横浜はインサイドでの得点が伸びず、アウトサイドシュートを多用せざるを得ない形となり、シュート成功率は38%と低調な結果に終わった(三遠は47.7%)。細谷は「前半はいつもどおり。どのチームにもここまではできるんです」と前置きし、「後半の出だしで我慢しきれず崩れてしまった。今日も含めて外のシュートの確率が悪く、チームとして一つになれなかったです。苦しいバスケットでしたね」と踏ん張りきれなかった後半を振り返り肩を落とした。三遠の藤田弘輝ヘッドコーチは「前半は横浜さんのペースで重たいバスケットだったんですけど、後半は良いチームバスケットができて、セカンドユニットもすごく頑張って、チーム全員で勝ち取った勝利だと思います」と充実した表情を浮かべた。試合の終盤にはチルドレス、ロバート・ドジャー、太田の3人のビッグマンを同時に起用した。指揮官は「チャンピオンシップでは大きなラインナップと当たる可能性が高いので絶対に持っておくべきカード」とこの起用の意図を説明。「100の練習より1の試合」という言葉を用い、「ゲームの終わりに使えたのは収穫になりました」と手応えを語った。残留プレーオフ行きが決定した横浜だが、最終節の新潟アルビレックス戦に勝利し、ホームコート開催を勝ち取りたいところだ。三遠も地区2位でのチャンピオンシップ出場を死守するために、最後まで気が抜けない。Bリーグ最終節を迎え、それぞれの思惑が交差する。2017/05/03Bリーグ&国内
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『元NBA』のチルドレスと日本人シューター陣、攻守が噛み合った三遠ネオフェニックスが横浜ビー・コルセアーズにリベンジ前日の敗戦のショックを振り払う、チルドレスの大仕事横浜ビー・コルセアーズと三遠ネオフェニックスの第2戦。土曜の初戦は横浜の完勝に終わったが、この試合は全く逆の展開となった。前日の敗戦を受け、三遠はスタートから気持ちが入っていた。鈴木達也はこう振り返る。「試合前に『プライドを懸けて戦おう』とチームで話しました。最初のパスエントリーからスピード感のあるプレーを心掛けました」ジョシュ・チルドレスという強烈な『個』の加入は、フィニッシュまで素早く持ち込む三遠のスピードを削ぐという弊害もある。チルドレスはまだ、どことなく遠慮してプレーしている印象。それでも前日とはキレが違うパスワークで横浜を振り回すと、チルドレスの『個』が炸裂する。開始早々にトラベリングの笛を吹かれたチルドレスだが、すぐにアジャスト。3ポイントシュートで初得点を記録すると、無駄のない動きで横浜ディフェンスの間にスルリと割って入り、高確率でレイアップを沈めていく。鈴木の3ポイントシュートをアシストした直後、スティールからそのままダンクを決め、タイムアウトを挟んで再びスティールからのダンク。さらにはリバウンドを奪ってからの攻撃が田渡修人の3ポイントシュートにつながり、一気に10点差まで突き放した。まだ合わせなどの連携が全くと言っていいほど見られない状態でも、存在感は十分。チルドレスは力強いプレーで前日の敗戦のショックを振り払い、チームに勢いをもたらす大仕事をやってのけた。キャプテンの負傷退場がチームメートを奮い立たせた第2クォーターに入ると、体調不良でスタメンから外れていた川村卓也がコートに入って横浜が本来の勢いを取り戻し、今度は三遠が受け身に回る。ジェフリー・パーマーとの連携を止められずに川村の得点を許し、10点のリードがあっという間になくなり29-29と追い付かれる。第2クォーター半ばには、岡田慎吾がスティールから得点を狙ったプレーでディフェンスされ、ゴールの支柱に激突。そのままプレー続行不能となるアクシデントも。ただ、キャプテンの負傷退場がチームメートをさらに奮い立たせた。42-36と三遠の6点リードで後半開始。大石慎之介、田渡が外から3ポイントシュートを決めれば、中ではロバート・ドジャーが強引なショットを次々と沈める。横浜も細谷将司が外、ファイ・パプ月瑠が中と得点するが、三遠のオフェンスを止められず差を詰められない。第4クォーター、逆転を狙って川村にボールを集め、川村が期待に応えて得点を重ねていく横浜だが、三遠はチルドレスを休ませながらオルー・アシャオル、並里祐といったセカンドユニットが踏ん張り、2桁のリードを保って時計を進めていく。残り3分を切り、チーム11本目となる3ポイントシュートを田渡が沈め、85-68とリードを広げたところで勝敗はほぼ決した。その後も三遠は攻め手を緩めず、鈴木と鹿野洵生も3ポイントシュートを決めて、最終スコア95-76で勝利した。「今日はしっかり打てて、決めることができました」三遠は26本の3ポイントシュートを放ち13本を沈め、実に成功率50%。第1クォーターに相手のターンオーバーから9点を奪う『足を生かした攻め』で主導権を握り、その後は高確率の3ポイントシュートを軸にしつつ、バランス良く得点を重ねた。得点95は今シーズン2番目の数字。ここからチルドレスを含むケミストリーが出来上がってくると考えると、末恐ろしいオフェンス能力を秘めていると言えよう。鈴木はアップテンポな攻撃を演出しつつ、自らも4本の3ポイントシュートを含む20得点を記録。「いつも『コースが空いたら打つ』というのは意識しています。今日はしっかり打てて、決めることができました」と胸を張る。三遠の藤田弘輝ヘッドコーチは「全体的にチームとしてのエナジーレベルが高く、自分たちのバスケットができたことに尽きます」と勝因を語る。「特に後半はエナジーレベルがあり、エモーショナルでもありました。岡田キャプテンのために勝つ、という試合でした」その岡田は病院に運ばれて検査を受けたものの、大きな異常はないことが確認され、チーム関係者を一安心させた。横浜の青木勇人ヘッドコーチは、スローペースでサイズを生かした横浜のバスケに相手を引きずり込んだ土曜とは対照的に、アップテンポに持ち込まれた試合展開を悔やむ。19得点を奪われたチルドレスについては「対策はしました。思い通りにいった部分もあり、上回られた部分もあります。あの手の長さがあって、あれだけのスピードで動かれると脅威です」と語る。もっとも、収穫のある1勝1敗だった。体調に問題を抱えながらプレーした川村について青木ヘッドコーチは「ベンチスタートなので数字は出ていないが、キープレーヤーとして戦ってくれている」と心配していない。「追い付く部分もあったので、プライドを持って成長していきたい。まだまだウチはこれから。もっともっと良いチームになれると思っています」2016/11/28Bリーグ&国内
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[CLOSE UP]鹿野洵生(三遠ネオフェニックス)リーグ統合により実現した『喜びの再会』『日立』戦は「前チームの名残りがあって懐かしかった」日立サンロッカーズ東京で2013-14シーズンまでの4年間プレーした鹿野洵生が、サンロッカーズ渋谷となった青山学院記念館のホームゲームに戻って来た。「選手も入れ替わり、監督も変わっていて、僕がいた頃とは全く別のチームではありますが、それでも在籍当時の選手が何名か残っており、彼らの成長を見るのが非常にうれしかったです。別のチームと思いながらも、前チームの名残りがあって懐かしかったです」在籍当時、ともに黄色いユニフォームを着ていたのは、ルーキーだった満原優樹と伊藤駿、最後の年に移籍してきた広瀬健太の3人だけ。たった3年の間にSR渋谷が様変わりしたことが、鹿野を通して再確認させられた。2014-15シーズンにつくばロボッツ(現・茨城ロボッツ)へ移籍。しかし経営難が露呈し、2014年の年を越せずにロスター15人中11人が自由契約となり、その中に鹿野の名前も入っていた。幸い、信州ブレイブウォリアーズが受け入れてくれたことで、その後は主力として活躍。しかしその信州は、Bリーグ発足に際してB2に振り分けられる。鹿野自身は「B1でやりたいと思っていた」ところ、三遠ネオフェニックスへの入団が決まった。晴れてB1の舞台に立ったことで、袂を分かったSR渋谷ら旧NBL選手たちとコート上での再会を果たした。「また対戦できることはワクワクしますし、幸せだと感じながら毎試合プレーできています」と喜んでいる。環境に恵まれている企業チームから、プロクラブであるつくばと信州に渡った。「かなりその差は大きくて、日立時代は恵まれていたんだなと思います。例えば、練習会場が固定ではなかったり、ウエイトルームが使えないなど、様々なハンディがありました」と振り返る厳しい経験を、今は糧にして戦っている。元企業チームだったオーエスジーが母体となる三遠は、日立東京時代同様に「言い訳できない素晴らしい環境で練習ができていますし、毎日が充実しています」とのこと。バスケットが十分にできる環境こそ、中地区で首位争いができている要因だ。選手、スタッフともに協力し合って戦う自慢のチームB1最年少ヘッドコーチの藤田弘輝とともに、その脇を固めるスタッフも充実しているのも三遠の特徴だ。「スカウティングやヘッドコーチが気づかないところも、周りのコーチたちが気づいてアドバイスをしてくれます。端から見ても、しっかり連携が取れている素晴らしいスタッフ陣だと本当に思います。みんなで助け合って良いアドバイスをしてくれるので、僕ら選手たちはそれに応えるべく頑張らないといけないと思うような雰囲気です」11月20日は65-60で勝利しリベンジできたのも、敗戦をしっかり振り返って修正したスタッフ陣の力である。同一チームに対する連敗は、これまで一度もない。選手同士の風通しも良い。SR渋谷に62-80で敗れた11月19日の試合後、ファンへの挨拶もそこそこに鹿野は大石慎之介の元へ近づき、助言を求めていた。「チームのみんながアドバイスし合える関係ができています。それぞれ戦ってきた環境が違う中で、意見を言い合える関係ができているので、僕がこれまで経験したことについては率先してアドバイスしていますし、逆に周りからも学ぶことができる非常に良いチームです」その背景について「特に日本人選手は、他のチームに比べて突出したタレントが少ないと、みんな自覚しています」と話す。「その中で、協力し合って戦っているのが僕らの自慢です。そこは今後も続けていき、チーム一丸となって戦っていきます」コミュニケーションが取れている三遠だからこそ、新たに加入する元NBA選手のジョシュ・チルドレスもすぐにフィットすることだろう。鹿野は言う。「個人的に早くプレーが見たいです。昨日(11月18日)合流したばかりなので、まだ練習はしていません。皆さんが名前を知ってる選手でもあるので、僕自身も楽しみです。彼をすぐにチームに馴染ませることができるように頑張ります。そのために僕は一生懸命に一発ギャグをして、雰囲気を良くしていきます」と、鹿野は明るくビッグネームを迎え入れる。次戦は勤労感謝の日となる11月23日に中地区前半戦最後のホームゲームを迎える。週末の横浜ビー・コルセアーズとのアウェーゲームを終え、12月になると地区を越えた新たなる戦いが始まる。三遠の真価が問われる、楽しみな戦いが待っている。2016/11/21Bリーグ&国内
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新加入選手の『ポスチュマス効果』でペイントエリア内を制したサンロッカーズ渋谷が三遠ネオフェニックスに完勝「ハードワーク、リバウンド、チームワーク」が武器鹿児島レブナイズからサンロッカーズ渋谷に移籍してきたチャド・ポスチュマス。B2では平均19.4点を挙げていた活躍通り、チーム最多となる18点9リバウンドを挙げる。試合も80-62で三遠ネオフェニックスを下し、デビュー戦を飾った。この2週間の練習中、ヘッドコーチのBTテーブスは「ペイントエリア内の得点を増やし、ターンオーバーを減らすこと」を目的とし、徹底させてきた。この試合でペイントエリア内での得点は44点(三遠26点)、ターンオーバーは8本(三遠11本)に抑え、準備してきた通りのゲーム展開が勝因となった。ペイントエリアを制したのも新加入のポスチュマス効果であり、テーブスの期待に応える。「チームメイトが合わせやすいようにお膳立てしてくれたので、本当に良い一日だった」と感想を述べたポスチュマス。最後に集まったホームのファンに「ハードワーク、リバウンド、チームワーク」とセールスポイントをアピールしていた。B2との違いに関しては、「一番大きなところは日本人選手の能力の差」と言う。逆に外国籍選手は、NCAAディヴィジョン1を卒業したばかりのジョエル・ジェームス(ノースカロライナ大学~熊本ヴォルターズ)やキャメロン・リドリー(テキサス大学~広島ドラゴンフライズ)などB1と遜色ない相手とのマッチアップをこなしてきた。「相手は若くてとにかくハードにプレーしてきたが、そこを逆に冷静にプレーすることができた」と話すように、B2で培ったプレイをそのままB1でも発揮し、結果につなげている。三遠を警戒したSR渋谷の2-3ゾーンディフェンス敗れた三遠のヘッドコーチである藤田弘輝は、「SR渋谷の伊藤(駿)選手や広瀬(健太)選手が2メンゲームでアグレッシブにアタックしてきた。SR渋谷の方が背も高く、手も長く、身体能力が高い。しっかりやるべきことを遂行しなければと戦えない」とコメントしており、ポスチュマスがB2から来て感じた差がB1内でも生じているようだ。さらに三遠は、11月15日にリチャード・ロビーと契約解除したことで外国籍選手が1人少なかったこともあり、連戦の初戦で初めての黒星を喫した。テーブスヘッドコーチが「シーズンを通して2-3ゾーンディフェンスがベースとなる」と言う、堅守からリバウンドを奪っての攻めで得点を重ねていく。終始敷かれたゾーンディフェンスに対し、藤田ヘッドコーチは「我々のマンツーマンオフェンスに対する敬意だと思っていた」とコメント。その通り、テーブスヘッドコーチはもう一つの理由として「三遠の洗練されたマンツーマンオフェンスは素晴らしいところがある」と警戒していた。元日立サンロッカーズ東京の一員であり、昨シーズンはbjリーグでプレーした鹿野洵生が、久しぶりにサンロッカーズファンの前に帰ってきた。「良いところを見せたかったですが、今日はそれができなかったです。もし、期待して応援に来ていただいた日立時代のファンの方がいたとしたら、そこは申し訳なかったです。非常にワクワクして臨んだだけに今日のパフォーマンスは自分自身もショックでした」と話しており、次戦でのリベンジを誓った。SR渋谷の勝利で、この両チームは9勝6敗で並んだ。直接対決でSR渋谷が2勝1敗と勝ち越すことに成功し、中地区2位に浮上。明日の結果によっては再び順位が入れ替わるかもしれないSR渋谷vs三遠の4戦目は11月20日(日)14時ティップオフ。会場には、2004年NBAドラフト1巡目全体6位でアトランタ・ホークスに指名された経歴を持つジョシュ・チルドレスがすでに三遠に帯同しており、会場で戦況を見守っている。2016/11/19Bリーグ&国内
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中地区首位攻防戦、堅守速攻に3ポイントシュートを加えた『三遠劇場』の再演で鮮やかな逆転勝利「初心に帰ろう」の声で三遠のアグレッシブなバスケが復活川崎ブレイブサンダースは昨年度のNBL王者で、直近の日本代表に4名を送り込み、現在8連勝中。第5節を終えた段階で、B1中地区の首位に立っていた。三遠ネオフェニックスも同地区の2位につけ、第1節に川崎から2連勝を飾っている。しかし当時の川崎は代表組が合流して数日と連携が乏しく、得点源の辻直人は負傷で不在だった。また三遠はこの日の川崎戦においてチーム最大の得点源で、インサイドの軸になるロバート・ドジャーが負傷で欠いていた。三遠の鈴木達也の「今節は誰もが川崎が優位に試合を進めると思っていたはず」という言葉を借りるまでもなく、大半の観戦者が川崎のリベンジを予想していたはずだ。ただ、三遠は自分たちの『らしさ』を再確認してこの一戦に臨んでいた。藤田弘輝ヘッドコーチはこう振り返る。「ここ最近の試合は消極的になってしまっていた。川崎との開幕戦を見返したら、アグレッシブさが全然違った。初心に帰ろう、アグレッシブに戦おうということで今日の戦いにつながった」12得点で勝利に貢献した田渡修人も、試合前の思いをこう振り返る。「開幕2連戦がマグレじゃないところを全員で見せようと言って、チーム一丸で戦った」チャレンジャーの気持ちを取り戻した三遠が、心地よい番狂わせを見せた。この試合を見た人は、もう決して三遠の勝利を『マグレ』と思わないだろう。三遠があまり偶然の要素を感じない、内容の伴った戦いにより87-81で川崎を下したからだ。序盤の『ファジーカス無双』をアシャオルと太田が封じる振り返ると第1クォーターを支配したのは川崎だった。B1の得点王争いでトップに立つニック・ファジーカスが試合開始から得点を重ね、10分間で11ポイントを記録。三遠は13-22という明らかな劣勢で、第2クォーターを迎えることになった。「11失点すべて、僕たちのやろうとしているディフェンスができていない形で取られた。でも試合の中ですぐ対応できて、最後にしっかり止められた」と田渡は振り返る。ファジーカスを擁する川崎のインサイドに対しても、オルー・アシャオルと日本人ビッグマンの太田敦也が奮闘した。太田は川崎のオフェンスについて「ファジーカスと辻のところを中心にやってきていて、多少分かりやすい攻撃の仕方になって、逆に止めやすいとこもあった」とも振り返る。この2人を完全に封じたというわけではないが、藤田ヘッドコーチは「簡単に点数を取らせないというのは遂行できた」と一定の手応えを口にする。第2クォーターになると三遠はまず守備が機能して31-37まで点差を詰める。そして第3クォーター、三遠のオフェンスが爆発した。「ディフェンスからのトランジション(切り替え)。アグレッシブなオフェンス。シンプルですけれどそれが遂行できて良かった」と藤田ヘッドコーチは言う。三遠はガード陣が面白いように走り、ボールを運ぶ。加えて少しでも隙があれば遠目からも躊躇なくシュートを放っていた。身長170cmの鈴木と並里祐、171cmの大石慎之介も『大きな』存在感を見せ、連動した攻撃を見せる。第3クォーターは鹿野洵生の3ポイントシュート2本もあり一気に逆転。川崎は焦ってミスを犯しては速攻を浴びるという悪循環で、スコアをひっくり返される。ゾーンディフェンスの攻略が勝敗を分けるポイントに第4クォーターに入ると川崎は三遠の突破を警戒し、ゾーンディフェンスも使ってゴール下の防御を堅くする。しかし三遠は空いた外を使って残り3分27秒にアジャオル、残り2分33秒に鈴木が連続して3ポイントシュートを成功。川崎の北卓也ヘッドコーチが、「ドライブをやられるのでゾーンにしたんですけど、ゾーンの時に2本連続で3ポイントをやられた」と悔いる、試合の山場だった。川崎も辻直人の3ポイントシュートなどで追い上げるが、三遠はそのまま崩れることなく、強敵を撃破。B1中地区の首位に立った。今シーズンのB1を見れば旧NBL勢と旧bj勢は明暗が分かれており、三遠を除くbj勢は上位に食い込めていない。だからこそ三遠の健闘が際立っている。この試合も切り替えの速さ、走力に加えて攻撃の精密さが際立ち、川崎の個人を組織で圧倒してみせた。「個人の能力で見たら、絶対に川崎さんの方が上」と田渡は断ずる。その言葉に卑屈さは一切なく、むしろ誇らしく聞こえた。2016/10/29Bリーグ&国内
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【スタッツで見る】日本代表の強化にBリーグは貢献できているのか、「日本人選手の活躍」をチェック開幕から6試合、2桁得点を記録した日本人選手は66人Bリーグの成功と失敗を分けるのは観客動員だけではない。Bリーグは「日本代表の強化」という役割も担っている。その成果の表れとなるのは日本人選手の活躍だ。その点に期待してBリーグを見れば、日本人選手が積極的に得点する機会が増えたような印象を受ける。これまでの6試合で、1試合でも2桁得点を挙げた日本人選手(帰化選手を除く)は66人もいた。さらに1試合20得点以上を記録した選手は前節の三遠ネオフェニックス戦で39点を挙げた細谷将司(39点/横浜ビー・コルセアーズ)を筆頭に11人。このうち金丸晃輔だけが20得点以上を2度記録している。39得点 細谷将司 横浜26得点 金丸晃輔 三河25得点 鹿野洵生 三遠24得点 西川貴之 北海道24得点 川村卓也 横浜24得点 城宝匡史 富山23得点 安藤誓哉 秋田23得点 小野龍猛 千葉21得点 喜多川修平 琉球20得点 中東泰斗 名古屋20得点 岡田優介 京都個人的な印象とは裏腹に、昨シーズン平均10得点以上を決めたのは16人だったのに対し、始まったばかりの現時点では19人と3人しか増えていなかった。しかし、その顔ぶれは目新しく、実に12人が昨シーズンとは異なる。逆に、比江島慎(シーホース三河)や辻直人(川崎ブレイブサンダース)など日本代表のエースたちがまだ平均2桁得点に達しておらず、彼らが本領発揮となれば、この人数はさらに増えていくはずだ。日本人選手の得点が増加する3つの要因選手の得点が上向く要因としては、大きく3つある。まずは「プレータイムの増加」、続いてヘッドコーチの交代や選手の移籍による「起用法の変更」、そして「経験値の向上」だ。選手のシュート力がいきなり向上するのは稀なこと。ポテンシャルの高い選手が集まるトップリーグで、その素質をコート上でより発揮できれば、自ずと結果がスタッツに表れる。今シーズン、特に得点を伸ばしている3選手を例に挙げてみよう。笹山貴哉名古屋ダイヤモンドドルフィンズ(昨シーズン)平均出場時間16.8分/平均得点5.2点(今シーズン)平均出場時間32.8分/平均得点14.7点ルーキーシーズンに経験を積み、迎えた2年目のシーズン、ヘッドコーチからの信頼を勝ち取ったことでプレータイムが倍増している。大学時代からジャンプシュートを確実に決める堅実さが持ち味であり、その個性がうまく引き出されている。結果、得点は3倍近くまで伸びている。6試合を通して安定した活躍を見せる笹山の躍進が、チームの西地区首位という結果に繋がってもいる。安藤誓哉秋田ノーザンハピネッツ(昨シーズン)平均出場時間: 6.4分/平均得点:2.3点(今シーズン)平均出場時間:33.2分/平均得点:11.8点昨シーズンは栃木ブレックスでプレー。田臥勇太や渡邉裕規といった実績あるガード陣の中でなかなかプレータイムをつかめなかった。だが、秋田ノーザンハピネッツに移籍したことでスターターを任され、本領を発揮。古巣との対戦となった開幕戦では18点を挙げて秋田を勝利に導き、栃木の指揮官であるトーマス・ウィスマンに「彼を手放したのは賢い判断ではなかった」と言わしめた。その後のアルバルク東京戦でも23得点5アシストを記録。もっとも、開幕戦以降チームは勝ち星から遠のいており、個人スタッツとともにチームを勝利に導けるかどうかで真価が問われる段階に来ている。田渡修人三遠ネオフェニックス(昨シーズン)平均出場時間:11.5分/平均得点:4.1点(今シーズン)平均出場時間:27.0分/平均得点:10.7点開幕戦から劇的な逆転シュートを決め、川崎ブレイブサンダースを倒したことで一躍ニューヒーローとなった。ヘッドコーチが藤田弘輝に変わった今シーズンは先発で起用され、まだまだ進化を遂げるポテンシャルを秘めている。元日本代表の点取り屋として名を馳せた川村卓也や岡田優介(京都ハンナリーズ)が新天地で復活の兆しを見せているのもうれしい。岩手ビッグブルズから仙台89ERSに移籍した石川海斗は、出場時間は変わらないが平均10.8点と得点を倍増させている。千葉ジェッツの富樫勇樹もプレータイムが増えたことで平均12.7点と輝きを取り戻した。Jリーグがスタートした時とは時代が違い、名前だけで観客が呼べる世界的ビッグネームの外国籍選手を獲得できなかったBリーグだが、それでも現段階では2桁得点を挙げる53人のうち、6割以上の34人を外国籍選手(帰化選手含む)が占めている。特に各部門のスタッツの上位はほぼ外国人に独占されていると言っていい。日本代表を強くするためには、Bリーグにおいて日本人選手がゲームを支配していくことが求められる。スタッツで言うとやはり得点だろう。ここを外国籍選手任せにせず、自らアタックしていくことが大事。もっとも、その成果が少しずつ見られており、今週末も全国各地で繰り広げられる熱戦の中で、日本人選手がそのポテンシャルを十分に発揮することを期待したい。2016/10/12Bリーグ&国内
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勝負どころでド派手な得点を決めたドジャーの活躍で、三遠ネオフェニックスがNBL王者に連勝!組織力と機動力を最大限に生かす三遠の『堅守速攻』が機能三遠ネオフェニックスと川崎ブレイブサンダースの開幕節。土曜に行われた初戦は大接戦の末、第4クォーターに川崎が同点ブザービーターを決めたと思われたが、ビデオ判定により得点は認められず、72-70で三遠が競り勝った。一夜明けて第2戦の立ち上がり、三遠は持ち前の速いトランジションが機能。あっという間にボールを前に運び、相手の守備陣形が整う前にガンガン仕掛ける超アグレッシブな攻めで川崎を圧倒する。開始3分15秒で13-3と10点のリードを奪うと、川崎はたまらずタイムアウトで間を取った。ここまでは三遠にとって出来過ぎとも言える内容だったが、NBL王者の川崎は甘くない。インサイドのスペースをすぐさま埋めることで三遠の速攻が止められると、得点源のニック・ファジーカスを集中的に使われ次々とシュートを決められる。0-8のランを浴びて13-11、勢いは一気に川崎へと傾く。それでも新加入のロバート・ドジャーが難しい反転ジャンパーを決めて川崎のランを止めると、そのドジャーが守備でもゴール下でファジーカスとガンガンぶつかって自由を奪う。ただ、川崎のランは止めたものの三遠の攻撃も停滞。中を押さえられドライブで切り込めなくなると、中・長距離のシュートの確率が上がらず、得点を伸ばせない。ファジーカスのマークが厳しいと見るやジュフ磨々道や篠山竜青を使って得点を重ねる川崎に逆転を許し、17-19で第1クォーターを終える。その後は太田敦也とドジャーがファジーカスを押さえ、ディフェンスに重点を置いた辛抱の展開に。それでもライアン・スパングラーのスティールからの独走ダンク、ドジャーのアリウープタップなど派手な得点も飛び出し観客を飽きさせない。重い展開の中でミスを犯したのは川崎のスパングラー。必要以上に激しいプレーがアンスポーツマンライクファウルと判定された。三遠はこれで得たフリースローで24-24と追い付き、続くオフェンスで太田がミドルレンジからのジャンプシュートをきっちり沈めて再びリードを奪う。ドジャーとファジーカス、両エースの得点合戦第3クォーターに入ってもお互いが激しいディフェンスを披露。特に鈴木達也と篠山は最前線で見応えのある1on1を繰り返した。しかし、この第3クォーターはドジャーがベンチに下がった時間帯にファジーカスが得点を荒稼ぎ。背中から強引にペイント内に割って入り、そのまま柔らかく正確なジャンプシュートを次々と決め、このクォーターだけで9点を記録。2人がかりでファジーカスに対応すると、その隙に老練な磨々道がフリーでパスを呼び込み得点。この連携を止められず、鹿野洵生の3ポイントシュートで食い下がるも、46-53と突き放されて第3クォーターを終える。しかし勝負の第4クォーター、今度はファジーカスが一息入れるためベンチに下がると、コートに戻ってきたドジャーの得点力が爆発。田渡修人の立て続けの3ポイントシュートも決まり、慌ててファジーカスが戻る時には54-55と1点差まで詰め寄っていた。ところが、この猛追はこれまで以上に激しくディフェンスした結果であり、ファウルもかさんでいた。残り6分7秒の時点でオルー・アシャオルが5つ目の個人ファウルを犯し退場、しかもチームファウルが5つに達してしまう。この厳しい状況にも三遠はあきらめなかった。田渡がこのクォーターだけで3本目となる3ポイントシュートを沈めてチームを再び勢い付けると、残り2分2秒、相手のターンオーバーからドジャーが独走のレイアップを決めて63-63、ついに三遠が川崎をとらえた。そして、試合を決定付ける得点を奪ったのは、手の付けられない当たりっぷりになっていたドジャーだった。エンドライン際をドライブでブチ抜いてのレイアップを決めて65-63と逆転。豊橋市総合体育館が一番沸いた瞬間だった。そしてファジーカスがシュートを落とし、そのリバウンドを拾ったリチャード・ロビーがドジャーに負けじと自ら切り込み、値千金のファウルをもぎ取る。このフリースローを危なげなく2本とも決めて、さらに川崎のターンオーバーからドジャーのファストブレイクが飛び出し69-63。これにて勝負アリ。厳しい状況からの逆転勝利に指揮官「こういう勝ち方は大事」最も重要な最終盤の時間帯、ファウルできない状況に追い込まれながら9-0のラインで一気に試合をひっくり返した三遠が勝利した。藤田弘輝ヘッドコーチは「両チームとも非常にフィジカルなディフェンスをして、展開としては重くなったが、選手が我慢して、良いディフェンスから自分たちの流れに持っていってくれた」と勝因を語る。「こういう勝ち方は大事。この2試合の経験を活かせるように練習して、来週の試合に備えたい」そしてまさかの連敗スタートとなった川崎の北卓也ヘッドコーチは「昨日に続いて競ったゲームを落としたのは残念」と悔しがる。「三遠さんがしっかりとしたゲームをやったということ。ウチはまだまだチームとして未熟で、昨日今日とミスが多い。シュートもそうですが、第4クォーターでターンオーバーが続けて出た。こういうミスが出ると勝つ確率が下がっていく。これからの練習で連携を上げていくしかない。最初は連敗でつまづきましたが、まだ上向くと思います」Bリーグ開幕に当たり、「NBL勢とbj勢」という対立軸は、特に見る側に明らかに存在した。だが、この三遠と川崎、あるいは栃木ブレックスと秋田ノーザンハピネッツの対戦を見る限り、力の差は思ったほどないと見ていいのではないか。まあ、コート外で繰り広げられる『戦前の予想』とはそんなもの、あくまで余興だ。大事なのはコート内でエンタテインメント性の高いバスケットが展開されること。これから毎週、日本各地のアリーナで今日の三遠vs川崎のような手に汗握る戦いが繰り広げられれば、Bリーグはきっと成功を収めるに違いない。2016/09/26Bリーグ&国内