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滋賀レイクスターズの『未来』高橋耕陽、「腐らずに上を向いて」B1残留を目指すシーズンハイの活躍も「分からなかったです(笑)」 滋賀レイクスターズはアルバルク東京に連敗し、8勝32敗とリーグ最下位で中断期間を迎えることとなった。それでも、前年王者のA東京を相手に第2戦では5点差と食い下がっており、試合内容には明るい兆しが見えてもいる。特にチームを牽引する働きが目立ったのが、プロ2年目の高橋耕陽だ。 インサイド陣がファウルトラブルに陥る中、高橋は積極的なアタックを続け、シーズンハイとなる20得点を記録。第3クォーターには最大15点のビハインドを背負うも、そこから3点差に詰め寄るなど、接戦を演じる立役者となった。 シーズンハイの20得点を挙げながら「20点も取ってたんですか? 分からなかったです(笑)」と、高橋はコート内の厳しい表情とは打って変わってあどけない笑顔を見せた。「ディフェンスから流れが作れている時が一番良いと僕の中では感じていて、今日は足も動いていたのでそれが良かったのかな」と、ディフェンスマインドが転じて大量得点を呼んだと高橋は考える。 滋賀が接戦に持ち込めた理由の一つに、チェンジングディフェンスが機能した点がある。先述の通り、インサイド陣がファウルトラブルに陥った不利を運動量でカバーした。「スモールラインナップなので足を動かしてディフェンスをしないといけない。みんなの考えが一致して、コート上で全員で出せたのが良かったんじゃないかと思います」 滋賀を指揮するショーン・デニスも、「A東京を相手に、2試合とも素晴らしいファイトができました。残念ながら負けてしまいましたが、若手の高橋、中村(功平)が活躍してくれました」と、その名前を挙げて称賛。さらに、「彼らの活躍はクラブの将来にとっても、チームとしてもとても良い兆しです」と、今後の滋賀を担うであろう若手の出来を喜んだ。 「フリースローの確率が低く、その差で負けてる試合も」 今後に繋がるパフォーマンスを見せた滋賀だが、終盤戦に入るこの時期にリーグ単独最下位では余裕を持ってはいられない。デニスコーチも、「正直、残り20試合で下位4位を脱出するのは難しいと感じていますし、残留プレーオフは回避できないと思っています」と現実を受け止める。それでも、残留プレーオフを勝ち抜けば最低限のノルマであるB1残留は勝ち取ることができる。 滋賀は栃木ブレックスや新潟アルビレックス、琉球ゴールデンキングスから勝利するなど、噛み合った時のポテンシャルは高い。だが一方で、5点差以内の敗戦が11試合あるなど、接戦を勝ち切れないことが低迷の直接的な原因となっている。 「正直、歯がゆいです。フリースローの確率が低く、そこを全部決めないといけない。その差で負けた試合もありますし、ターンオーバーも減らさないといけない」と高橋は課題を挙げた。 「フリースローを獲得する回数が少なすぎる。獲得しても、それを決められないのではなかなか勝つのは難しい」と、デニスヘッドコーチも頭を抱えていた。1試合平均13.4本、成功率64.9%という数字は、ともにリーグワースト2位の数字だ。簡単に解決できるものではないが、終盤戦に向け必ず改善しなければならないのは間違いない。 高橋のフリースロー成功率は78%と、決して悪くない。「『入れないと』って思ったら入らないので、僕は何も考えずに打ってます」と、無心で打つことを心掛けているという。 高橋は今後の決戦に向け、このように意気込んだ。「昨シーズンより3ポイントシュートの確率が悪いので、上げていきたいです。今日みたいなディフェンスのインテンシティを持ってやれば、必ず勝てると思います。ここで腐らずに上を向いて、ファンの人たちに喜んでもらえるようなプレーをしていきたい」 デニスヘッドコーチが「彼らの活躍はクラブの将来にとっても良い」と語ったように、滋賀を引っ張っていくのは高橋ら若手だ。まだ荒削りではあるが、それゆえ伸びしろも多い。高橋の成長が滋賀の命運を握る。2019/02/16Bリーグ&国内
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滋賀の勢いに苦しめられるも、要所の安定感が光ったアルバルク東京が7連勝を達成我慢の時間帯を乗り切ったA東京の底力 アルバルク東京がホームのアリーナ立川立飛に滋賀レイクスターズを迎えた第2戦。滋賀のチェンジングディフェンスに苦しめられ、終盤に3点差まで詰め寄られるも、そこで逆転を許さず要所を締めたA東京が、70-65で勝利した。 A東京はボールと人が連動し、ズレを作ってオフェンス優位の状況を作るも、肝心のフィニッシュが決まらない。ガニ・ラワルのインサイド、マーカス・ブレイクリーのドライブを止められず先行されたが、途中出場の齋藤拓実の速攻で追いつき、第1クォーターを14-14で終える。 馬場雄大と田中大貴のパスミス、ザック・バランスキーがオフェンスファウルを犯すなど、A東京はなかなか波に乗れなかったが、強度の高いディフェンスで滋賀にイージーシュートを一切許さず、得点源の両外国籍選手や狩野祐介を封じたことで、我慢の時間帯を乗り切る。 竹内譲次の3ポイントシュートで逆転すると、アレックス・カークがオフェンスリバウンドからシュートファウルを誘発し、速攻のシュートミスを押し込んでバスケット・カウントを奪うなど、ペイント内で力を発揮してリードを2桁に乗せた。 滋賀は第2クォーター終盤にブレイクリーが早くも4つ目のファウルを犯しベンチへ退く苦しい展開となったが、果敢にオフェンスリバウンドに飛び込み、狩野が得点に繋げ、高橋耕陽が連続でタフショットをねじ込むなど、8点差に詰めて前半を終えた。 効果的だったチェンジングディフェンス 迎えた後半、4ファウルのブレイクリーを最初から起用する滋賀に対し、A東京はしっかりディフェンスを崩して、ミルコ・ビエリツァが7得点、安藤誓哉が6得点を挙げるなど、アウトサイド主体のオフェンスを展開。第3クォーター残り5分を切り、ビエリツァの3ポイントシュートでこの日最大となる15点のリードを奪った。 それでも、滋賀を指揮するショーン・デニスが「チェンジングディフェンスをすることによって、相手に快適にプレーできない環境を作った。それがシュートの確率に影響させた」と言うように、マンツーマンとマッチアップゾーンなど多彩な守備でA東京を惑わし、滋賀はこれ以上のリードを許さずに踏ん張る。 12点ビハインドで最終クォーターを迎えた滋賀は、残り8分を切った場面で、ここまで献身的なプレーで踏ん張りを支えてきた荒尾岳も4つ目のファウルをコールされてしまう。インサイドの2選手が4ファウルとなったことで崩れてもおかしくなかったが、逆に集中力が増し、2選手ともファウルアウトになることなく堅守を継続した。 すると、中村功平が特別指定とは思えぬ強気なプレーを披露し、5得点3アシストとチームに勢いをもたらす。アグレッシブにゴールを狙う高橋のミドルシュートが決まり、滋賀は残り2分30秒で3点差に詰め寄った。 だが、タイムアウトを要請したA東京は、安藤のドライブ、カークのセカンドチャンスポイントで立て直し、同点を許さない。残り11秒には、高橋に3ポイントシュートを許し3点差まで迫られるが、ファウルゲームを乗り切り、常に5点前後のリードを保ったA東京が逃げ切った。 「彼らの活躍はクラブの将来にとっても良い兆し」 A東京を指揮するルカ・パヴィチェヴィッチは「滋賀はデニスヘッドコ―チの下、しっかりとコーチングされたチームですので、本当にタフな試合になりました」と、敵将に敬意を示しながらも、「40分間ハードに戦った結果、勝利することができました。選手たちにはよく戦ってくれたと伝えました」と、試合を通して常に安定した戦いを見せた選手を称えた。 これでA東京は今シーズン最長の7連勝を達成。18得点を挙げた安藤は「バイウィーク前に7連勝できてほっとしています。自分もそんなにシュート率が高いわけではなかったですが、結果的に18得点取れて、特に第3クォーターに自分のシュートで流れを作ることができた部分は良かった」と安堵した。 一方、滋賀のデニスコーチは、接戦に持ち込んだチームを称え、「最後まで素晴らしいファイトができた試合でした。A東京さんを相手にこういう試合ができたのはクラブとしても良い結果」と総括。さらに、チームに勢いをもたらした高橋と中村の名前を挙げ、「若手の高橋、中村が活躍してくれました。彼らの活躍はクラブの将来にとっても良い兆し」と、スッキリした表情で会見を終えた。 苦しみながらも7連勝を達成したA東京。若手の活躍が光り、強豪を追い詰めた滋賀。約1カ月の中断期間を迎える前に成果が出て、ともに実りの多い試合だったに違いない。2019/02/10Bリーグ&国内
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B1最低勝率の滋賀レイクスターズで「登っていくしかない」と屈しない狩野祐介自身は3得点と沈黙「向こうの作戦通りにしてしまった」 滋賀レイクスターズはサンロッカーズ渋谷に2連敗を喫し、これで7勝28敗。リーグ単独最下位と苦しい状況が続いている。特に28日の第2戦では、前半を終えて32-34と互角の戦いを演じていたが、第3クォーター開始から0-17のビッグランを許して試合を決められた。 キャプテンの狩野祐介は崩壊したその時間帯を「ディフェンスです」と振り返った。「サクレ選手にポンポンと出だしでやられ、それがきっかけでオフェンスもうまく行かず、逆にファストブレイクでケリー選手にダンクをやられてしまいました。そこで一気に流れを持っていかれたので、サクレ選手にもっとプレッシャーをかけて悪いシュートを打たせなければいけなかった」 狩野が言うように、ロバート・サクレにイージーシュートを許したことで、SR渋谷は勢いに乗り、攻守ともに活性化した。そして、トランジションから3ポイントシュートを連続で浴び、一気に突き放された。 劣勢の時ほど我慢が必要となるが、前半からフラストレーションを溜めていたマーカス・ブレイクリーが、ボールのないところでアンスポーツマンライクファウルをコールされるなど、我慢とは逆に展開に。集中力を切らしてしまい、57-89の大敗を喫した。 狩野はここまで日本人選手ではリーグ7位となる平均11.4得点を記録し、滋賀の貴重な得点源となっている。だが昨日の試合では、SR渋谷の徹底したマークを受け、シュート試投数わずか2本の3得点と沈黙した。「試合全体を通して、今日は2本しか打てていないです。出だしからボックスワンをやってきて、打てるタイミングがあったものの躊躇してしまって、向こうの作戦通りにしてしまったなと反省しています」 ショーン・デニス「スコアができないのが一番の問題」 滋賀は現在平均76.9失点(リーグ11位)と、決してディフェンスが悪いチームではない。昨日の試合でも、前半はSR渋谷から11のターンオーバーを誘発し、34失点に抑えた。問題はリーグワースト2位、69.8得点しか取れないオフェンス面にある。 滋賀を指揮するショーン・デニスも「スコアができないのが一番の問題。いろいろな方法を試みてはいますが……」と、オフェンス面に頭を悩まされている。「アタックして、フリースローラインに立って、ボーナスショットを打っていこうということを言っていますが、フリースロー自体も決められていない状況です」 デニスコーチが言うように、6点差で敗れたSR渋谷との第1戦では、フリースローを27本獲得しながらも12本の成功に終わった。第2戦でも、17本中9本の成功と、フリースローの重みを感じざるを得ない。 狩野も「特にフリースローを外しすぎですし、今日はノーマークのシュートを落としすぎている。勝つチームはノーマークはもちろん、ブレイクでの3ポイントシュートだったり、そういうところを確実に決めています。シュート力は磨いていかないといけない」との見解を示した。 「僕は3年目で、毎年苦しい状況を戦ってきた」 滋賀は現在リーグ最下位に位置している。そして、10点差以内の敗戦が18試合、そのうち5点差以内の敗戦が10試合と、接戦で勝ち切れない傾向にある。だが、これは裏を返せば、どんなチームとも渡り合えるということも意味している。シーズン序盤には、新潟アルビレックスBBや川崎ブレイブサンダース、先週には琉球ゴールデンキングスからも勝ち星を挙げている。 狩野も「強豪チームに勝ってますし、本当に接戦ばかりで、戦えてはいるので。あとは集中力とアタックする気持ちを出し続けるだけです」と、歯がゆい状況に苛まれている。 バスケットボールの試合で勝敗を分けるものは細かい部分の積み重ねだ。「スクリーンの角度だったり、ディフェンスのポジションやカバーに行くタイミングだったり、コミュニケーションだったり、これというものはないです。細かいミスが大きなミスに繋がっているはずなので、細かいミスを修正しつつ戦っていくしかない」と、狩野もその点を強調する。 Bリーグは後半戦に突入し、ポストシーズンを意識する時期となった。過去2シーズン、滋賀は終盤戦で無類の強さを誇り、残留プレーオフを回避してきた。「僕は3年目で、毎年苦しい状況を戦ってきたので、落ち込むことはないです」と言う狩野の言葉は力強い。「最下位は最下位ですけど、登っていくしかないので。好きなバスケットをやっていますし、楽しんでやっていきたい」 結果が出ない時こそ、下を向いてしまうもの。それでも狩野は、苦境に立たされている今だからこそ、楽しむことが重要ということを理解している。それは過去2シーズン、残留プレーオフを回避してきた自負があるからに他ならない。滋賀の逆襲はこれから始まる。2019/01/30Bリーグ&国内
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インサイドで優位を作れず苦戦した千葉、相手の隙を逃さぬ後半の猛攻で滋賀に連勝キーマンのファウルトラブルを機に試合は一変 滋賀レイクスターズと千葉ジェッツの対戦。昨日の第1戦では千葉が立ち上がりから攻守ともに圧倒する内容で、滋賀としては相手に気圧されてチャレンジできない、70-88というスコアより内容に課題の残る、不甲斐ない敗戦となった。それを受けてショーン・デニスヘッドコーチが試合前に「戦う姿勢を示せ」と飛ばした檄が効いたのか、滋賀は積極性で千葉を上回る。 簡単に外を空けてしまう千葉のディフェンスのミスを逃さず、マーカス・ブレイクリー、伊藤大司、再びブレイクリーと開始3分で3本の3ポイントシュートを決めて勢いに乗ると、狩野祐介と高橋耕陽も3ポイントシュートで続いた滋賀が第1クォーターを27-15とリードして終えた。 千葉はガニ・ラワルにゴール下を支配されてギャビン・エドワーズが目立たない苦しい状況だったが、第2クォーターなって富樫勇樹と代わって入った西村文男がディフェンスからチームを立て直す。エドワーズが苦しいならとマイケル・パーカーにパスを合わせてチームに勢いを与え、前半残り1分を切ってから西村自身の連続3ポイントシュートで41-42、1点差まで追い上げた。 後半は点の取り合いになるが、ここで滋賀はアクシデントに見舞われる。立ち上がりから攻守にアグレッシブに行った結果ではあるが、第3クォーター残り6分半でブレイクリーが4つ目の個人ファウルを犯し、残り1分20秒にはラワルも個人4つ目に。滋賀はこの両外国籍選手がインサイドで優位を作ることを前提に千葉と互角の攻防を演じてきたが、それが崩れてしまった。 ブレイクリーとラワルはなおもコートに立ち続けてチームを引っ張るも、やはり激しく当たれなくなる分だけディフェンスの強度を保てない。ブレイクリーがファウルトラブルに陥るまで6得点と振るわなかったエドワーズが、それまでの鬱憤を晴らすかのようにパスを集められて強引なアタックで得点を重ねていく。 加入早々で印象的な働きを見せたブレイクリー 優位が逆転したゴール下を突かれて65-68と逆転されて迎えた最終クォーター、滋賀は最初の2分で0-9のランを浴びて一気に突き放される。ブレイクリーが奮闘虚しくファウルアウトとなった残り6分の時点で69-83。ただ、前日とは違い滋賀はあきらめずにここからもう一伸びを見せる。伊藤と高橋の3ポイントシュートで再び勢い付くと、ラワルがファウルトラブル関係なしのアグレッシブなプレーで再びインサイドでの主導権を引き寄せる。残り2分で12点あったビハインドを、残り30秒で89-93と2ポゼッション差まで詰めるも時間が足りず。ファウルゲームでのフリースローを富樫が4本すべて成功させて千葉が逃げ切った。 敗れた滋賀だが、デニスヘッドコーチは「ファウルトラブルで苦しんだが、試合の展開やペースの作り方は理想に近いものだった」と敗戦からポジティブな要素を取り上げた。モヒカンが印象的なブレイクリーは、3番ポジションもこなす機動力のあるフォワードで、時に献身的にプレーし、時に一人で決めに行くオールラウンドな働きを見せた。まだ連携が出来上がっていない今の時期から、ファウルトラブルさえなければ強豪の千葉をそのまま押し切ってもおかしくないパフォーマンスを見せただけに、今後フィットしてからのチームの変化が楽しみだ。 一方の千葉は、アウェーできっちり連勝できた相手のペースに持ち込まれたこと自体が反省点だが、敵将が自ら「理想的な展開」と語るような苦戦を強いられてもディフェンスから立て直し、相手の隙を逃さずに一気に勝利を決定付けるところまで持っていったのはさすがの強さ。今節を終えて東地区の単独首位へと浮上し、天皇杯ファイナルラウンドを迎えることになる。2019/01/06Bリーグ&国内
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ジョシュ・チルドレスが三遠で30得点の再デビュー、敗れるも「ベストを尽くす」チームとして噛み合わない前半が足を引っ張る 三遠ネオフェニックスはホームで滋賀レイクスターズと対戦。ともに勝ち星が伸び悩んで浮上のきっかけをつかみたい試合であり、特にホームの三遠は2016-17シーズンにリーグを席巻したジョシュ・チルドレスと契約。そのチルドレスは先発で『再デビュー』を飾った。 それでも、いきなりプレーが噛み合うとは限らないのがバスケットボールの難しいところ。第1クォーターはロバート・ドジャー、第2クォーターはチルドレスと攻めが偏る三遠に対し、滋賀はチームバスケットで効率良く得点を重ね、前半を終えて三遠は26-41とビハインドを背負った。 それでも後半、三遠は反撃を開始する。チルドレスが長い腕を生かしたブロックショットとリバウンドでディフェンスを引き締め、早い展開へ持ち込むと、日本人選手にもアタックする積極性が出て勢いに乗る。チルドレスはドジャーのジャンプシュート、鈴木達也の3ポイントシュートを連続でアシストすると、ディオール・フィッシャーのシュートをブロックで叩き落とし、そのまま攻めに転じて滋賀ディフェンスをドライブで突き破ってのレイアップを決めるビッグプレーで会場を沸かす。 だが、この1カ月で1勝10敗と大きく負け越す中、大逆転負けもいくつか喫してきた滋賀は、ディフェンスとルーズボールへの執着心を見せ、三遠の勢いに飲み込まれることなく踏み止まる。三遠はビハインドを10点まで縮めて迎えた第4クォーターの立ち上がりにチルドレスをベンチに戻して休ませたが、これで反撃の勢いがストップ。滋賀に立ち直るきっかけを与えてしまった。 オフィシャルタイムアウトの時点で51-70と敗色濃厚の中、太田敦也のランニングダンクを機に三遠は再び走る。チルドレスは肩で息をする状態ながら攻守に奮闘、最後は6点差まで迫ったが時間が足りず、75-81で敗れた。 チルドレスが加わった三遠の『化学変化』に期待 試合には敗れたが、チルドレスは30得点4リバウンド5アシスト4スティール2ブロックと、再デビュー戦としては十分すぎるスタッツを残した。特筆すべきは、一人で13ものフリースローを得たこと。滋賀のチームトータルの12本を一人で上回り、しかも11本を成功させている。この突破力をチームとして生かせるようになれば、三遠はまた大きな武器を手にすることになる。 ただ、チルドレスは終始ビハインドを背負って負けたとあって満足していない。「本当にタフなゲームの中でオフェンスリバウンドを取られすぎてしまいました。他のところでエナジーを持って入らなければいけないのが本来のところで、そこが反省点です」と敗戦を振り返る。 また、豊橋市総合体育館の観客数は1360人と低調。「1年目のほうが観客がたくさんいて、応援の声がたくさん聴こえるアリーナだったと記憶している」とチルドレスは率直な思いを明かす。「ですが、それも自分たちの責任です。自分たちがベストを尽くして、少しでも多くのお客さんに来てもらえるように良い試合をすることが仕事だと思っています」 「自分の仕事は引き続きオフェンスでアタックするところ。またディフェンスではリバウンドにフォーカスしたい。リバウンドを取ってそのままトランジションで早い展開に持ち込むところが自分たちのバスケットの醍醐味だと思うので、そこをもっと見せたい」とチルドレスは語る。 チームとして噛み合わず個々のバスケットをしてしまった前半のビハインドを取り戻せなかった試合となったが、前半だけでチームが噛み合うようになったのは一昨シーズンの経験があったからだろう。外国籍選手の起用ルールが変わった今、太田とチルドレスの相性の良さも心強いところ。チルドレスの3番起用というオプションは相手チームには脅威となる。堅実なバスケットが売りの三遠にチルドレスが加わったことで、これからどんな化学変化が起こるのかが楽しみだ。2018/11/17Bリーグ&国内
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栃木ブレックスの堅守&トランジションが爆発、滋賀レイクスターズを圧倒し10勝リベンジに燃える栃木、第1クォーターを30-6と圧倒 栃木ブレックスvs滋賀レイクスターズのゲーム2。昨日の第1戦では、延長の末に3点差の惜敗となった栃木だが、その雪辱を果たすべく出だしから奮起。チームスタイルの根幹となる激しいディフェンスとチームオフェンスが噛み合い、前半で30点差をつけ快勝を収めた。 栃木は出だしから強度の高いディフェンスを披露。パスの出しどころをなくし、ディオール・フィッシャーからトラベリングを誘発するなど、滋賀オフェンスをシャットアウトする。オフェンスではボールと人が連動し、リズム良くシュートを決めていく。鵤誠司が7得点でチームに勢いをもたらすと、ジェフ・ギブスのゴール下が決まり、開始5分で17-6と点差を2桁に乗せた。 勢いが止まらない栃木は、誰が出てもディフェンスの強度が落ちず、第1クォーターのラスト約7分間を無失点で切り抜けた。さらにはギブスがコートにダイブし山崎稜が速攻に繋げるなど、トランジションも機能。7人が得点を挙げるバランスの良いオフェンスを展開し、30-6とビッグクォーターを作り出した。 第2クォーターに入り、開始直後にギブスが負傷交代するアクシデントに見舞われたが、竹内公輔が7得点7リバウンド1ブロックと活躍してチーム力が落ちない。 ここで立て直しつつある滋賀に対し、リードを広げられない時間が続いた。すると残り5分14秒、26点リードの場面で栃木はタイムアウトを要請した。プレーが途切れれば、オフィシャルタイムアウトを迎える場面だったが、指揮官の安齋竜三は「気の緩みというのは、その瞬間に摘まなきゃいけない」と、意図を明かした。 こうして気合を注入された栃木は、田原隆徳が3ポイントシュートを沈め、橋本晃佑も続いてリードを広げていく。ガニ・ラワルとフィッシャーのツインタワーに得点を許すも、オフェンスの起点となったライアン・ロシターがこのクォーターだけで6アシストを記録したように、球離れが良くチームオフェンスを完遂した栃木が上回り、55-23と前半で試合の趨勢を決めた。 デニスコーチ「冬眠中の熊を起こしてしまった」 後半に入ると、負傷交代したギブスがコートに戻った。そのギブスが3スティールを記録し、8秒バイオレーションを誘発するなど、ディフェンス力が向上した。第3クォーター残り2分39秒には、ここまでアシスト役に回り栃木のバランスの良いオフェンスを生み出していたロシターが、この日10得点目となるフリースローを沈め、11リバウンド10アシストと合わせてトリプル・ダブルを早くも達成。その後もゲームをコントロールした栃木が98-61の完勝を収めた。 栃木の安齋コーチは「ディフェンスの激しさをどこまでやれるか、それが試合の出だしからできた」とディフェンスを勝因に挙げた。それでも「チャンピオンシップを見据えるのであればもう一段階、一人ひとりがディフェンスにプライドを持って試合を続けていかないといけない」と話し、完勝にも安堵の表情を浮かべることはなかった。 一方、敗れたショーン・デニスヘッドコーチは「昨日の試合で我々が勝ったことで、冬眠中の熊を起こしてしまった」と完敗を認めた。また「今日の試合はチャンピオンシップに行くようなチームが、勝ち続けるためには何が必要なのか、それを示すような試合内容になったと思います。栃木さんの戦いぶりは称賛に値する」と敵将を称えた。 今日の勝利で栃木は勝ち星を2桁に乗せ、次節は同じ10勝2敗同士、数々の熱戦を繰り広げてきた千葉ジェッツをホームに迎える。東地区首位同士の直接対決となり、これを制したほうが前半戦の勢いを加速させるはずだ。2018/11/04Bリーグ&国内
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堅守復活のシーホース三河、金丸晃輔25得点の活躍もあり滋賀レイクスターズを撃破滋賀の攻め手を封じる堅守で主導権を握る 10月29日、リードを奪いながらも逃げ切れない戦いが続き4連敗中の滋賀レイクスターズは、開幕5連敗からの3連勝と波に乗るシーホース三河をホームのウカルちゃんアリーナへ迎えた。 第1クォーターは金丸晃輔のアウトサイド、アイザック・バッツのインサイドプレーを起点とするオフェンスで攻め立て先行する三河に対し、滋賀は二ノ宮康平の緩急を使ったドライブ、高橋耕陽のスピード、ガニ・ラワルのインサイドプレーなど各選手の持ち味を上手く引き出したチームオフェンスで盛り返し、19-18と逆転して第2クォーターへ。 それでも第2クォーターに入ると、4番としてプレーするジェームズ・サザランドのところで起点を作られる。サザランドのポストアップは荒尾岳が巧みなディフェンスで持ちこたえるも、アウトサイドにディフェンスが引き出されて3ポイントシュートが入り始めると三河に流れが傾く。 さらに三河のインサイドの守備を崩せず、パス回しがアウトサイド一辺倒に。個人でドライブでの打開もうまく行かず、攻め手をなくした滋賀は第2クォーターで得点わずか6と失速。24-36と2桁のビハインドを背負い前半を終えた。 金丸が25得点でオフェンスを引っ張る 後半もディフェンス強度を維持した三河が主導権を握り続ける。パスを素早く回してチームオフェンスを仕掛けようとする滋賀に対し、ガードへのプレッシャーを強めることを徹底。パスとドライブでズレを作ろうとする滋賀の動きをフィジカルなディフェンスで食い止めた。 オフェンスでは金丸が違いを見せる。インサイドへのカットイン、得意のアウトサイドシュートと多彩なオフェンスを仕掛け、シュートを高確率で決め続けた。両チームとも守備が目立つ試合展開で、後半だけで16得点は出色の出来。試合を通じて両チーム最多の25得点を挙げた金丸だが、「チームメートが見てくれていて、しっかりとスクリーンもかけてくれたので自分のシュートが生まれました」と、チームで積み重ねた得点であることを強調した。 最終スコア77-56で三河が勝利。これで5連敗後の4連勝。特にこの試合は攻守が噛み合い、良いディフェンスから良いオフェンスへとつなぐ好循環が生まれた。一方の滋賀は川崎相手に金星を挙げた後は5連敗。三河の強度の高いディフェンスに圧倒されただけに、今夜の第2戦ではオフェンスで強気に仕掛ける気持ち、攻め切る力が求められる。2018/10/30Bリーグ&国内
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勝ち切れない滋賀レイクスターズ、伊藤大司が語る「勝者のメンタリティ」の必要性「ポイントガードとして、責任は僕にある」 滋賀レイクスターズは10月21日に行われた横浜ビー・コルセアーズとの第2戦で、最大24点のリードを奪うも終盤に失速し、劇的な逆転負けを喫した。 第3クォーターを終えた時点でリードは16点。ガニ・ラワルの3点プレーとなるバスケット・カウントで最終クォーターも始まり、滋賀の勝利は揺るぎないものと思われた。だがその後、川村卓也を中心とした横浜の猛攻を浴びるうちに積極性を失っていき、最終的に2点差で敗れた。 「川村選手が乗って、そこから後手後手になってディフェンスのアグレッシブさ、第3クォーターまでできていたディフェンスが第4クォーターにできなくなってしまいました。逆に向こうがアクティブになって、僕たちはうまく攻められなかったです。向こうが乗ってきた時にディフェンスもオフェンスも消極的になったのが逆転された原因」と伊藤大司は試合を振り返る。 第4クォーター残り8分25秒の場面で伊藤のバックアップを務める二ノ宮康平が4ファウルに達した。終盤の戦いに備え、伊藤に交代することも考えられたが、滋賀のベンチに動きはなかった。 慢心ではないものの、伊藤もこの時点では後の逆転劇を想像できていなかった。「このレベルで15点、20点あるから勝ったと思う選手は誰もいないと思いますし、逆にいたら困ります。安心とかではないですが、二ノ宮を信頼しているので、あのままゲームを締める感じに持って行けるんじゃないかなとは思っていました」 「ミスできないとビビっちゃっている部分があった」 だがその約3分後、二ノ宮はファウルアウトとなり、伊藤に出番が回ってきた。その時点で10点差まで迫られており、川村に3ポイントシュートを許し7点差となったところでオフィシャルタイムアウトを迎えた。得点が止まっていたため、より確率の良いシュートを選択しようとインサイドを使うが、3秒バイオレーションを連続で取られ失点するなど負の連鎖に陥った。 「ミスできないとビビっちゃっている部分があったと思います。安全にやろうとすると、ファウルももらえないですし、ショットクロックギリギリのシュートになって結局難しいシュートになってしまう。ガードとして誰にボールを集めるのか、どういうオフェンスをコールするのかができなかった結果、グッドシュートも打てなかったので、ポイントガードとして責任は僕にあると思っています」と伊藤はこの展開を反省した。 指揮官のショーン・デニスも「精神的にソフトになり、守りに入るような戦い方になった」と消極的になったメンタルを敗因に挙げた。 悪い流れを最後まで変えられず、最終的に2点差での惜敗となり、初めて同一カードの連敗を喫した。滋賀はここまで川崎ブレイブサンダース第2戦(12点差)を除き、負け試合すべてが5点差以内という結果になっている。地力が高いことを証明している一方で、接戦に弱いという見方もある。伊藤も後者の考え方のようだ。 「接戦で勝ち切れない弱さが僕たちのウィークポイントだと思います。今日に限らず新潟戦もそうでしたけど、点差を離して追い上げられた時の消極さが課題です」 「成長できるチームに来させてもらった」 打開策はなんなのかを問うと、伊藤は熟考した後にこう答えた。「相手が乗ってきた時に、それぞれが『俺がその流れを止めてやる』という気持ちでプレーしないとダメですね。それは別にシュートを決めることに限らず、ストッパーになるメンタリティでも、リバウンドやルーズボールを絶対取るメンタリティでもいいと思うんです。『俺がこのチームを勝たせる』っていう勝者のメンタリティ、それはやっぱり強いチームには全員あると思います。それは田中大貴や富樫勇樹みたいにオフェンスで表す選手もいれば、菊地祥平さんみたいにディフェンスでワンストップするとか、もっと挙げろと言われればいろんな選手が出てくると思うんですけど、ベンチも合わせた全員がそれを思わないとダメかなと思います」 試合をコントロールできなかったことで「ポイントガードの責任」と自分を責める伊藤だが、それも正ポイントガードを任されている現在の充実感につながっている。 「一番メンタル的にも成長できる時期だと思っていますし、本当に充実してます。アルバルクだったらこの時間は田中のプレーだとか、レバンガ(北海道)だったらこのプレーでかき乱してマーク・トラソリーニだったりとか、多嶋(朝飛)の外だとか。じゃあ今回はその時間帯にどうするんだっていうので今まで以上に考えなきゃダメなので。どれが正解なのかわからないし、どれが不正解かも分からないという状態なので、ガードとして本当に成長できるチームに来させてもらったと思います」 接戦を勝ち切れない弱さがあるということは、その課題をクリアすればより強くなれる伸びしろを残しているということ。その課題に正面から向き合う伊藤の成長は、発展途上の滋賀をより高みへ連れていくはずだ。2018/10/24Bリーグ&国内
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最大24点差からの劇的な逆転劇、横浜ビー・コルセアーズが滋賀にホームで2連勝第3クォーターまでは完全な滋賀ペース 横浜ビー・コルセアーズと滋賀レイクスターズの第2戦。昨日の第1戦で今シーズン初勝利を挙げ、開幕からの連敗を5で止めた横浜が、最大24点差を覆す劇的な試合を見せた。 横浜は滋賀の強力インサイド陣に対し、ゾーンディフェンスで対抗する。だがディオール・フィッシャーにミドルシュート、ガニ・ラワルにバスケット・カウントを許して先行された。オフェンスでもリズムに乗れずシュート精度を欠くも、インサイド陣を中心にリングにアタックし、このクォーターだけで10本のフリースローを獲得して粘る。それでも滋賀のハーフコートバスケットに苦しみ、24-37とビハインドを背負い前半を終えた。 後半、横浜は帰化選手のエドワード・モリスを使ったビッグラインナップから、バックコートを細谷将司、川村卓也、田渡凌の3人体制に変更し、川村が縦への変化を増やし、アマンゼ・エゲケゼの速攻が出始めるなどオフェンスが一気に活性化。だがその代償としてディフェンスが崩壊する。インサイドをこれまで以上に警戒したのだが、滋賀に余裕をもってボールを回され、フリーから連続で3ポイントシュートを沈められてしまった。第3クォーター4分が経過し、ラワルのバスケット・カウントで32-56とこの日最大となる24点のビハインドを背負った。 横浜の負けパターンは大差がつき集中力が切れてしまうこと。だが今日の横浜はこれまでと違い、最後まで勝負をあきらめなかった。前半は滋賀のタイトなディフェンスの前に自由にプレーさせてもらえなかったが、ピック&ロールからの展開で得点を挙げていく。川村が第3クォーターだけで13得点を挙げ、逆転に望みをつなげたことが最終クォーターに生きてくる。 スコアラーに戻った川村が大逆転劇を演出 47-63と16点のビハインドを背負って迎えた最終クォーター、横浜は気持ちの入ったフィジカルなディフェンスで滋賀オフェンスを停滞させる。ディフェンスでの我慢がディフェンスに繋がりリズムが生まれ、川村を中心とする追い上げが加速する。 ここで滋賀を苦しめたのはファウルトラブルだった。横浜の縦への速い攻めにファウルがかさんだ滋賀は、第4クォーター開始2分で二ノ宮康平と鹿野洵生が4ファウルとなり、その約2分後、二ノ宮はファウルアウト。川村の3ポイントシュートで7点差に迫られてオフィシャルタイムアウトを迎えた。試合後、ヘッドコーチのショーン・デニスが「気持ちの部分で負けてしまった」と悔やむように、ここから終盤の大事な時間帯で滋賀はミスを連発してしまう。 横浜はゾーンディフェンスとマンツーマンを交えたチェンジングディフェンスで滋賀オフェンスを惑わし、24秒バイオレーションを誘発。滋賀はインサイドでの攻めに固執するあまり連続で3秒バイオレーションを取られるミスもあり、最終クォーターだけで10個ものターンオーバーを犯した。 スコアラーに徹した川村がそのオフェンス力を遺憾なく発揮し、横浜はこのクォーターだけで相手のターンオーバーから12得点を記録し猛追した。そして残り49秒、ジャボン・マックレアがオフェンスリバウンドを押し込んで同点に追い付き、さらに残り19秒には川村がこのクォーター10得点目のシュートを沈め、72-70とこの日初めてのリードを奪った。 その後は逆転を狙った狩野祐介の3ポイントシュートが外れ、リバウンド争いからヘルドボールとなり、ポゼッションを得た横浜が劇的な逆転勝利をつかんだ。 トムコーチ「これが楽しいからコーチをやっている」 勝利した横浜のトーマス・ウィスマンヘッドコーチは「今日は楽しかった。先週まで0勝5敗で、『なぜ私はコーチをしているのか』と悩んでいたが、今週の2勝でこれが楽しいからやっているんだと再確認できた」と劇的な勝利にご満悦。「最終クォーターのターンオーバーが1-10ということで、ディフェンスの強度が上がったのが分かると思う。そして川村選手が試合を支配した」と試合を振り返った。 一方、滋賀のデニスコーチは「信じがたい内容になってしまった、とても残念です」と肩を落とした。「最初の3クォーターは良いプレーができていましたが、第4クォーターに精神的にソフトになり、守りに入るような戦い方になってしまった。相手が勢いづき、ホームのファンに後押しされた横浜を止められなかったです」と総括した。 横浜は5連敗からの2連勝で中地区最下位から脱出し、次節はホームに新潟アルビレックスBBを迎える。トムコーチが「こういう試合はホームでしかあり得ない」と語ったように、ホームの声援を力に変え、この勢いを維持したいところだ。2018/10/21Bリーグ&国内
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滋賀レイクスターズで「自分らしくプレーする」ことで真価を発揮する二ノ宮康平トランジションディフェンスの徹底で川崎を撃破 10月13日、滋賀レイクスターズは敵地とどろきアリーナで川崎ブレイブサンダースを撃破。ほとんどの時間帯でリードする展開ではあれ、相手はリーグ屈指の強豪である。それだけに、一度でも流れが行ってしまえば一気にひっくり返される、というプレッシャーを常に感じながらの戦いとなった。 その勝利に大きく貢献したのが二ノ宮康平だ。前半の出来は必ずしも良くなかったが、後半はプレッシャーと向き合いながらも激しく戦い、集中力を切らすことなく試合をコントロールした。伊藤大司に続くポイントガードの2番手という立ち位置だが、川崎に追われる展開となった第4クォーターにフル出場。自分に託された試合を、見事に勝利へと導いた。 「本当に我慢の展開で、正直に言えばお互いに良くない試合でした。その中で川崎のシュートが入らない時間帯にしっかりディフェンスをして、しっかりリバウンドを取って、そこからトランジションで点が取れたのが良かったと思います」と、二ノ宮は試合を振り返る。 「一番は全員でトランジションディフェンスをしっかりすること、そしてターンオーバーを少なくすることを意識しました。川崎は爆発力があり、トランジションが速いチームですが、そこさえ防げばしっかり守れます。まずはディフェンスのことを考え、そこからオフェンスは全員がボールを触るようにと心掛けました」 それでも、トランジションを抑えるのは言葉で言うほど簡単ではない。川崎の持ち味をどのように封じたのだろうか。「トランジションディフェンスは一人ひとりの意識です。例えばフリースローの時間、アウトオブバウンズの時間、プレーが切れるたびに全員で確認することでだいぶ変わります。一人が集中していないとどこかが空いてやられてしまいますが、全員が集中していれば守れます。狩野(祐介)と2人で高橋(耕陽)に声を掛けたり、(ディオール)フィッシャーは時々オフェンスのことばかり考えてしまうので、そこで『オフェンスよりもディフェンスを意識しよう』と。伝わっているかは分からないですけど、言葉は掛けるようにしています」 自分に託された試合「自信を取り戻せというメッセージ」 慶応義塾大からトヨタ自動車アルバルク入り。Bリーグ1年目はA東京でプレーし、昨シーズンは琉球ゴールデンキングスへ。しかし、もう30歳とキャリアは長いが主力としてプレーする機会は決して多くなかった。滋賀へと新天地を求めたのは、自分らしさを出してプレーするためだ。 「僕はもともとそんなにシステマチックにやるプレーヤーじゃありません。でも、なんだかんだ7年間そうやってきました。でも、8年目になって『自信を持って自分らしくやれ』と言ってくれるコーチに出会うことができたんです。そういうコーチがいることがうれしくて、挑戦することにしました。自分らしさを出したい、と思ったのが滋賀を選んだ理由です」 滋賀を率いるショーン・デニスは理論派に見えるが、二ノ宮には「自由にやれ」と要求している。「そこには責任感があることをしっかり意識して。ただ好きにやればいいわけではありません。難しいバランスではありますけど」と語る二ノ宮の表情からは充実ぶりがうかがえる。 指揮官からの信頼は強く感じている。今回の勝利は、その信頼に二ノ宮が応えたことから生まれたものだ。第3クォーター途中、先発ポイントガードの伊藤がコートサイドで二ノ宮との交代の準備を整えていた。それでも、そこで二ノ宮が3ポイントシュートを沈めると、デニスは伊藤にベンチに戻るよう指示。そのまま二ノ宮に試合を任せた。 「(スタンバイする伊藤の姿は)視界の端に入っていました。そこでシュートが入ったのはたまたまです。でも、今までのチームだったら入れても交代でした。コーチはすごく僕のことを考えてくれたんだと思います。シュートが入ったところでの『自信を取り戻せ』というメッセージだと汲み取りました。その時点で最後まで行くんだろうと感じ、頑張らなくてはと思いました」 「8年目の今だからこそ、もっと成長できる」 優勝候補のA東京や琉球から、「まずは残留」を目標とする滋賀への移籍は『都落ち』と受け止められるかもしれない。だが二ノ宮にネガティブな感情はない。「そう言われるかもしれませんが、調子が悪くても試合に出してもらえます。今までは調子が悪かったらプレーできませんでした。ダメな時でも挽回できるチャンスが与えられるのはプロになって初めてのことなんです。それこそ責任を感じます」 この試合でもデニスヘッドコーチは、前半の二ノ宮が「シュートが入っていなくて自信を失っているように見えたので一度下げた」と明かしている。それでも「自信を持ってプレーするように」と念を押して、再びコートへと送り出した。そのチャンスを生かし、二ノ宮はチームに勝利をもたらしたのだ。 任される以上、責任がある。そのプレッシャーを感じながらも、プレータイムが与えられるのは選手の本能として歓迎すべきこと。「楽しいし、やりがいがあります。今までのチームが嫌だった、というわけではないですよ。ただ実戦で求められることが増えたのは事実です」 だからこそ、二ノ宮は貴重な勝利を手放しで喜びはしないし、勝負どころでの重要な得点だった3ポイントシュートについても「たまたまです」と多くを語ろうとはしない。「はっきり言って、今日も個人的な出来にはあまり満足はしていません。チームを勝利に導くことができてうれしいし、川崎に勝ったのは自信になりますが、『もっとできるんじゃないか』という個人的な願望がまだあります」 だからこそ、1試合1試合で二ノ宮は自分の力を証明しなければならないと考える。「チームの目標であるチャンピオンシップ出場をまずは目指して、こういう強豪にも最低1勝はすること。個人的にも『もっとできる』という姿を見せられるように。もう8年目ですけど、8年目の今だからこそもっと成長できると思っています。それを見せられるように頑張ります」2018/10/14Bリーグ&国内
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荒尾岳が伊藤大司が二ノ宮康平が! 40分間の堅守で川崎を封じ込んだ価値ある勝利荒尾岳が滋賀の大黒柱として攻守にいぶし銀の働き 川崎ブレイブサンダースと滋賀レイクスターズの第2戦。フライデーナイトの第1戦は滋賀が第1クォーターにロケットスタートを決めながら、試合が進むにつれてディフェンスの強度を上げた川崎に逆転負けを喫している。今日も立ち上がりは同じ展開になったが、第2クォーター以降は別の展開に。滋賀は川崎がプレー強度を上げるたびに合わせていき、付け入る隙を与えなかった。 勝利の立役者となったのは荒尾岳だ。滋賀はディオール・フィッシャーとガニ・ラワルの外国籍選手2人体制で、帰化選手もいない。そしてラワルが第1戦で足首を痛めベンチスタートに。分厚い選手層を誇る川崎がここで優位に立つはずが、Bリーグになって初めてスタメン起用された荒尾が攻守に素晴らしいプレーを見せて滋賀を支えたのだ。 バーノン・マクリン、シェーン・エドワーズとのマッチアップでも一歩も引かず、スイッチして藤井祐眞とスピードのミスマッチを作られても、フットワーク良くプレッシャーを掛けて1on1で負けない。そしてオフェンスではフリーでチャンスを得た時には迷わず打ち、フィールドゴール4本中4本成功で8得点を記録。ロースコアの展開にあって一発ずつが貴重な得点となった。 過去2年間は千葉ジェッツで脇役に甘んじたが、出場機会を求めて滋賀に移籍した荒尾を、ヘッドコーチのショーン・デニスは「ディフェンスの存在感、身体の強さを見せてくれた。IQの高い選手なので、彼がコートにいる時のチームの出来が良かった。彼なしで今日の勝利はなかった」と絶賛。荒尾も「こういうことをするために滋賀に来た」と胸を張った。 川崎の流れを何度も経ち切り、リードを守る 川崎は試合を通じてフィールドゴール61本中23本成功、37.7%とシュートが決まらなかった。だがこれは川崎の選手のシュートタッチが悪かったというより、滋賀のディフェンスが機能していたからとみるべきだろう。川崎がファストブレイクから挙げた得点はわずか2。滋賀は粘り強く相手のトランジションオフェンスをケアし続け、川崎の得点はほとんどタフショットを決めきったものだった。これではシュート確率は上がらないし、得点も伸びない。伊藤大司は「昨日は第1クォーターで良いスタートが切れましたが、40分間続けられなかった。それを続けられたのが今日の試合です」 川崎に見せ場がなかったわけではない。第3クォーターには篠山竜青が思い切りの良いドライブからバスケット・カウントの3点プレー、その直後に辻直人のアタックからチャンスを作って長谷川技が3ポイントシュートを沈め、40-41と1点差まで詰め寄る。ビッグプレーの連発で川崎のクラブ史上最多となる4881人を集めたとどろきアリーナのテンションは最高潮となった。 だが、ここで滋賀は崩れなかった。プレーが途切れるたびに伊藤はチームメートに声を掛け、落ち着きを保った。高橋耕陽からラワルへのアリウープで川崎の流れを断ち切ると、巧みにファウルを誘ってフリースローで貴重な得点を重ねていく。滋賀もシュートタッチは必ずしも良くなかったが、そこでフリースローでつないだことが優位を保つ上で大きかった。 「川崎に1勝1敗は我々にとって素晴らしい成果」 第4クォーター序盤にも川崎は堅守からマクリンのダンクで追撃態勢に入り、残り7分を残して滋賀のチームファウルが4に到達。それでも滋賀はディフェンスの強度を落とさず、なおかつ簡単にはファウルせずに川崎を抑え続けた。ここは伊藤に代わってポイントガードを務めた二ノ宮康平の時間帯。粘り強いディフェンスを続けながら、川崎の追撃ムードを断ち切る見事な3ポイントシュートを決め、そのまま勝利を決定づけるまで司令塔の役割を務め上げた。 川崎の北卓也ヘッドコーチは「チーム全体でシュートが入らず、それがディフェンス面にも悪い方向に出てしまいました。自分たちで流れを相手に引き渡したところがありました」と語る。「シュートが入らない試合も長いシーズンにはあるんですけど、オフェンスが良くない時に下を向いてしまい、次へ、という感じにならなかった。そういうタフさも必要になってくる。この負けを教訓にして次節に向けて準備したい」 終盤は10点前後のリードで推移したが、滋賀の選手たちは「相手が川崎なので、油断したら一気に持っていかれるという重圧がありました」と口を揃える。それでも残り2分20秒、エドワーズのハンドリングミスを突いた狩野祐介がワンマン速攻を決めて73-60、これで大勢は決した。 デニスヘッドコーチは「川崎を相手に1勝1敗にできたのは、我々にとっては素晴らしい成果。コーチとして誇らしく思う」と大喜び。伊藤も「シーズン序盤にこれができたのは、必ず先につながります」と、敵地で川崎を破ったことに大きな意義を感じていた。2018/10/13Bリーグ&国内
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滋賀レイクスターズの新たな日本人エース高橋耕陽「今シーズンは平均2桁得点を」「今シーズンは絶対に結果を残さないといけない」 今オフ、選手を大幅に入れ替えた滋賀レイクスターズにおいて、残留組として、また新たな日本人エースとして期待されるのが高橋耕陽だ。高い身体能力を生かした豪快なドライブを武器に、この夏のジョーンズカップに日本代表として出場するなど着実に進化を続けており、彼の活躍が今シーズンの滋賀の行方に大きく影響することになりそうだ。 アーリーカップ関西大会でも高橋は自ら積極的に仕掛け、オフェンスの起点となっていた。それでも本人の口からは課題ばかりが出てくる。「求められるのは得点なので、そこはアグレッシブに点数は取りにいきたいです。ただ、自分でやりすぎてしまう部分があるので、そこは相手のディフェンスが自分に寄った時、みんなに3ポイントを打たせる形を演出したい」 現状に満足しない姿勢、そして個人よりチームを優先する意識が、その言葉からはうかがえる。「自分で行くところは行き、周りにやらせるところはやらせてと使い分けていかないといけない。バスケットはチームスポーツなので、全員がかみ合わないと絶対うまくいかないです」 このように周囲との調和について強く意識している高橋だが、今年はしっかりと数字も残さなければいけないシーズンと力強く語る。「やっぱり昨シーズンあれだけ我慢して使ってもらえて、今シーズンは絶対に結果を残さないといけないと自分でも思っています。今シーズンは平均2桁得点が目標で、点数を取りにいかないといけないと感じています」 「代表合宿に行けたのが良い経験に」と自信 1試合2桁得点は、日本人選手でも限られた選手しか達成していない数字。これまで控え目だった高橋が2桁得点を目標に掲げるのは、心境の変化があったからだ。「代表合宿に行けたのが良い経験で、そこでちょっと自信はつきました」と振り返るように、ジョーンズカップ出場を含めた代表活動で得られた手応えがあるからだ。 「外国での試合でも、ドライブだったりリバウンド取ってからの速攻は結構通用したので、そこは今後もずっとやっていきたいと思います。通用しない部分との見極めはしっかりできました」 これまでの滋賀には並里成という一人で局面を打開する強烈な個性がいて、日本人エースの役割を果たしていた。その並里が琉球ゴールデンキングスに移籍し、チームには新たなエース、新たなクリエイターが必要となっている。高橋は自分のことをエースだとは考えていないが、同時に「強い気持ちを持たずにドライブをしたらパスが回りません。そこは強気で行き、若さを出してチームを引っ張っていきたいです」と、確固たる決意を持って新シーズンに臨む。 Bリーグになってからの2シーズンは残留レースに絡んでしまっている滋賀だが、ここからステップアップしてチャンピオンシップ出場を狙うには新たな柱となる選手の台頭が不可欠だ。そこに高橋の成長を期待するファンは多いはず。持ち味のドライブで相手守備を切り崩し、外からも効率良く沈める。そんな高橋のプレーが滋賀を高みを引き上げるカギとなる。2018/09/19Bリーグ&国内
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アーリーカップが全国6会場で開幕、B2クラブが『下克上』に挑むもB1の壁は高く群馬、金沢、東京Zは奮闘するも勝負どころで屈する 昨日、バスケの新シーズン到来を告げるアーリーカップが全国6会場で開幕した。 プレシーズンの大会として昨年に創設されたアーリーカップは今回が2度目の開催。見どころの一つが2部リーグのチームが1部に一発勝負で挑む試合だ。B1の開幕は10月第1週だが、B2の開幕はその1週間前。選手の質ではどうしてもB1チームが上だが、代表選手を取られないこと、開幕が早いがゆえのチームの仕上がりはプラスとなる。 もっとも『下克上』はそう簡単ではない。北信越大会では群馬クレインサンダーズが富山グラウジーズに54-84の完敗。前半は10点差と粘ったが、後半になると踏ん張り切れず。代表の韓国遠征に帯同せずチームに戻った宇都直輝がメインでプレーした第3クォーターに突き放された。 北信越大会のもう1試合は新潟アルビレックスBBvs金沢武士団。こちらは金沢のデンゼル・ボウルズが新潟のスコアラー、ダバンテ・ガードナーを上回るペースで得点を量産。第3クォーターを終えて64-64と互角の勝負を展開したが、2人しかいない外国籍選手の一人であるライアン・リードが8分弱を残してファウルアウト。その後は突き放されて77-88で敗れた。 東海大会ではアースフレンズ東京Zが名古屋ダイヤモンドドルフィンズに挑戦。名古屋Dの堅守を速い展開で崩そうと試みるも、これがターンオーバーからの逆襲でイージーシュートを許す展開に。それでも第3クォーターには打ち合いの展開に持ち込み、63-76まで追い上げて最終クォーターへ。試合の流れが東京Zに傾いたかに思われた局面だったが、名古屋Dはここでマーキース・カミングス、満田丈太郎と新加入選手が連続得点。奮闘した東京Zだが、名古屋Dが誇るタレントの個人技に屈する形となった。 終盤に逆転に成功した奈良だが、退場者を出し悔しい敗戦 B1のクラブを最も苦しめたのはバンビシャス奈良だ。関西大会の初戦で滋賀レイクスターズと対戦。滋賀は昨シーズンの正ポイントガードだった並里成、さらには7シーズン在籍したガードの横江豊が退団。その横江が早速、奈良の正ポイントガードとして古巣に立ち向かった。横江は落ち着いたボールさばきでコントロールに徹するかと思いきや、1on1でガンガン仕掛けて突破口を切り拓く。新エースの期待がかかる高橋耕陽、特別指定選手として新加入した21歳の紺野ニズベット翔が目覚ましい働きを見せる滋賀に対し、粘りのバスケットで喰らい付いていく。 第4クォーター残り6分を切ったところで、クラブ創設の2013年から奈良に籍を置く本多純平の3ポイントシュートで63-63の同点に追い付き、続いてポストプレーからゴール下に飛び込む本多に合わせる連携で逆転に成功する。追い上げ、逆転した奈良に間違いなく流れが来ていた。 ところが好事魔多し、である。横浜ビー・コルセアーズから加入して得点源として機能していたジェフリー・パーマーが、ドライブに行ったところを身体で止められたプレーにファウルがなかったとして怒り、テクニカルファウルを取られて退場に。この時点で69-69、どちらが勝つか全く分からない試合だったが、そこからのラスト2分半で奈良は得点を奪えなかった。オールコートプレスを仕掛けるなど最後まで勝利への執念を見せたが、最終スコア69-74で滋賀に屈した。 今日は大会2日目。全国6会場で熱戦が繰り広げられる。2018/09/08Bリーグ&国内
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絶対的司令塔を失うも「成長できる」と自信を見せる滋賀レイクスターズの狩野祐介滋賀レイクスターズはここ2シーズン、終盤に勝ち星を重ねる粘り強い戦いぶりで、残留プレーオフを回避している。それでも、飛躍を期す3年目の開幕を前に『チームの顔』だった並里成が移籍を選んだ。そんな滋賀で牽引役として期待されるのが狩野祐介だ。高校時代の先輩後輩だった並里とのホットラインはなくなるが、勝負強いシューターとして、そしてチームリーダーとして狩野の存在感は増している。狩野はこの夏にスポルディングとブランドアンバサダー契約を結び、広告に登場する他、商品開発へのアドバイスも行うことになった。そのスポルディングのパーティーに出席した狩野に、新たなシーズンに向けた意気込みを聞いた。 「一緒にもっとメジャーになっていきたい」 ──スポルディングとアンバサダー契約を結んだ経緯を教えてください。 僕自身、狩野祐介という名前をもっと売っていきたい思いがあって、インスタグラムなどをもっと頑張っていきたいと思っていたんです。今シーズンから、デザイナーというかアパレル関係の仕事をされている方と一緒にインスタグラムをもっと盛り上げていこうとなりました。スポルディングさんのウェアを見てカッコ良いなと思い、そこから知り合いの方を通して話を持って行くことができたんです。 ──ビジネスの話より先に「カッコ良いな」があったんですね。狩野選手にとって、スポルディングの魅力はどんなところでしょうか? 一番はやはり、「NBAはスポルディング」というところですよね。ボールも試合球ですし、世界に通用するメーカーだと思います。その中でも僕はウェアが気に入ってます。カラフルなものもあるしシンプルなものもある。デザインも素晴らしいですし、着たいなと素直に思いました。一緒にもっとメジャーになっていきたいし、なっていけるのではないかなと思っています。 ──オフはどのように過ごしてますか? 福岡出身で、滋賀に行く前は東京でプレーして、お世話になった方々や応援してくださってる方々への挨拶回りが多いです。今年は特に慌ただしく、予定がない日はほとんどないです。でもオフらしいことと言えば家族でバーベキューしたり、好きな海釣りに行ったりもしました。 並里の移籍は「プロの世界なので仕方のないこと」 ──並里選手の移籍は関係者、ファンともに驚きました。高校時代の先輩後輩ということもあり、狩野選手は特に親しい間柄だったと思いますが、この移籍をどう受け止めていますか? 出ることは知っていたんですけど、琉球ゴールデンキングスに行くというのは知らなかったですね。僕が並里選手だったら地元でできるというのはうれしいですし、お子さんも沖縄にいるので環境としては良いと思います。寂しいですけど、プロの世界なので仕方のないことです。並里選手も琉球で頑張るだろうし、僕たちも並里選手がいなくなった穴を新しく来たメンバーでカバーして戦わなきゃいけないです。 ──絶対的な司令塔がいなくなったことで、狩野選手への期待は増えますね。 負担が増えると思われてるかもしれないですけど、新しく来たメンバーはみんなシュートが上手いですし、逆にチームバスケットをもっとやっていければ僕の負担も減ると思います。そんなに気にはしていないですね。 ──リーダーシップという面でも並里選手の抜けた穴は大きいかと思いますが、その結果「自分たちがやるんだ」という意識がより強くなったのではないでしょうか? それももちろんありますね。並里選手が攻めていた分、自分たちがもっと積極的に行かなくちゃいけないですし、そういった面でも成長できるかなと思います。新しくチームメートとなったベテランの選手たちから学びつつ、練習も頑張っています。ネガティブには捉えていないですね。 「40分間継続できるようにすることが目標」 ──3年目のシーズンを迎えますが、個人的な目標は何かありますか? 毎シーズン、シュート本数とかパーセンテージを気にしていたんですけど、気にするとダメということが分かってきました。気にせずにやっている時が僕は一番調子が良いし、結果も残しているので、そういった面で数字は気にせず、自分のできることを精一杯やって結果を受け止めようかなと思います。 ──結果という意味では、チームは終盤に強さを発揮し2年連続で残留プレーオフを回避しました。 本当に最後の最後、4月くらいですかね。驚異の力を見せることができました。中盤に調子を落としていたので、4月のようなすごい力を中盤から出せられるようにしていきたいです。 ──初年度もそうでしたが、終盤戦の滋賀のあの強さはどこから来るのでしょうか? なかなか難しいですね、正直分からないです(笑)。やっていることはそれほど変えてはいないので、気持ちの面じゃないかと思います。やはり40分間継続できるようにすることが今シーズンの目標ですね。そして残留争いをするのではなく、上の戦いをしたいです。まずはチャンピオンシップ出場を目指します。2018/07/26Bリーグ&国内
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アルバルク東京、レバンガ北海道で活躍した伊藤大司が滋賀レイクスターズに加入!滋賀にバスケIQを「楽しみとワクワクでいっぱいです」滋賀レイクスターズは伊藤大司と2018-19シーズンの契約を締結したことを発表した。伊藤は31歳のポイントガード。アルバルク東京で長くプレーした後、昨シーズンはレバンガ北海道にレンタル移籍し、契約満了に伴いフリーとなっていた。滋賀のショーン・デニスヘッドコーチは「豊富な経験とリーダーシップをもたらしてくれます」とコメント。新たなポイントガードとしてチームに落ち着きと規律をもたらすことを期待している。ポートランド大を卒業した伊藤は英語でのコミュニケーションが堪能でバスケットIQも高く、デニスヘッドコーチとしては『コート上の指揮官』として信頼のおける存在。フロアバランスを考え、ゲームの流れを理解した上でのゲームメイクが滋賀の新たな武器になりそうだ。移籍発表のリリースで伊藤は次のようなコメントを発表している。「プロ9年目での移籍ですがすごく楽しみとワクワクでいっぱいです。デニスコーチのもとで皆様とともに強いチームを作っていけるように頑張ります。コート上で自分らしいプレーを発揮して、チームの勝利に貢献できるように戦いたいと思います」滋賀は小林遥太の移籍が決まり、先発ポイントガードの並里成も退団が濃厚。伊藤は並里に代わり先発ポイントガードの重責を担うことになりそうだ。チーム戦術の遂行能力は計算できるが、並里の後釜として個人での打開、クリエイトにも期待したい。伊藤にとっても30代で迎えた飛躍の大きなチャンスとなる。2018/06/09Bリーグ&国内
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滋賀レイクスターズの高橋耕陽、急成長の1年「自分がチームに勢いを与えるんだ」Bリーグの2017-18シーズンはルーキーの活躍が目立った。滋賀レイクスターズでは高橋耕陽が急成長。昨シーズン途中に特別契約選手として入団した高橋は今シーズン、60試合中56試合に出場した。コンスタントにプレータイムは得ていたが、特にシーズン終盤にはプレーのクオリティを上げて、残留戦線で滋賀が生き残る上で大きく貢献している。若手らしく思い切りの良いダイナミックなプレーでチームを盛り立てた高橋は、来シーズンのさらなる飛躍を誓う。並里からのアドバイス「下を向くな」を実践──濃密な1年間だったと思いますが、髙橋選手にとってはどんなルーキーイヤーでしたか。アーリーエントリーで入ってきた昨シーズンはずっとベンチにいたんですけど、今シーズンからヘッドコーチが代わって試合に多く出られるようになりました。プロで試合に出る楽しさ、チームを代表してコートに立つ自覚が持てたシーズンだったと思います。まあ新人選手なので、出た時は思いっきりプレーしてやろうという気持ちで、そこはうまく行ったと思います。特にディフェンスですね。コーチからもずっと言われてきましたが、オフェンスよりディフェンスができる選手になろうと。僕のポジションは相手のエースに付くことが多くて、相手が僕より確実に上というのが分かっている状況もありました。自分と同じサイズでガードをやっている宇都(直輝)選手やシューターの古川(孝敏)選手は、さすが日本代表選手ということもあってすごくうまかったです。ただ、相手が上であることは分かっていても当たって砕けろ、そんな感じで守っていました。やられても仕方ないので、すぐ切り替えてやろうと。勝てない相手じゃないと思って変に強気に行くというか、何も考えずにプレーするというか。──転機になったような出来事はあったのですか?変に考えてミスをすると消極的になってしまうところがありました。(並里)成さんとかから「下を向くな」と言われて、ミスをしても下を向かずプレーするように心掛けました。本当はやられると結構落ち込むタイプなんですけど(笑)。それでも慣れたというか、試合を重ねるごとに強気にプレーできました。チームの代表として試合に出ている分、自分のやるべきことをしっかりやろうと心掛けました。あとは自分がチームに勢いを与えようと。それは若い選手がやるしかないので、そこも頑張りました。──オフェンスでも十分に目立っていました。オフェンスで心掛けていたことは?外国籍選手がリバウンドを取ったらウチは成さんにボールを出すんですけど、その時点で僕と佐藤(卓磨)は前に走っていないといけない。若いので体力があるし、他の選手にスピードでは負けないと思っているので、とにかく前に走ってファストブレイクを狙って。あとはノーマークだったら思い切ってシュートを打とうと考えていました。コーチからいつも言われたのは前に走ること、それからリバウンドです。言われたことをただ聞くだけじゃなく、自分でしっかりこなすことを考えていました。でも、ウチの場合は成さんが切り込んで、そこから自分でも行けるしパスも出せる状況を作ってくれます。そのオフェンスのところは成さんが本当にすごい選手だなあと思いますよ。「自分の出来は50点、あとは練習あるのみ」──大学からBリーグへと舞台が変わって、レベルの差は感じましたか?ディフェンスとフィジカルの強さですね。特にディフェンスは、やらないと試合に使ってもらえないので。大学の時は少しなら流しても大丈夫というか(笑)、Bリーグほど緻密ではなかったので。実際、滋賀でプレーするようになってからディフェンスは本当にやるようになりましたね。大学時代と比べたらディフェンスが好きになっています。オフボールでのディフェンス、1対1のディフェンス、ピック&ロールのディフェンスのつき方、いろいろあると思うんですけど、1対1のディフェンスは簡単には抜かれたくないです。いつも自分と同じくらいの身長の選手に付くんですが、そういう人はみんなエースだったりする感じなんです。でも、エースにやられたら相手に勢いを与えちゃうので、絶対に止めるという気持ちでいつもディフェンスしています。──並里選手から「下を向くな」と言われたそうですが、やっぱり切り替えるのが難しい時もあるのでは? 試合が終わってから次の試合までの切り替えはどうやっていますか?試合後は家に帰って、録画してある試合を反省しながら見ます。明日はどう守ればいいのか、などを考えながら。次の日まで引きずったらいけないので、そこで終わりにします。コーチにも成さんにも切り替えが大事だと言われるのでそこは意識しています。自分の中での反省として集中力を欠くことが多くて、フワフワしちゃうところが今シーズンの前半戦にはありました。それがシーズン後半になると少しずつ良くなってきたとは思います。成さんからは「集中していなくても集中しようとするようになってきた」と言われていて、そこは変わった部分だと思います。──このシーズンを振り返って、自分の出来は100点満点中で何点?50点くらいですかね。足りないのはまだメンタルで引きずってしまう部分で30点、あとはシュートで20点のマイナスです。3ポイントシュートの成功率が30%を切っているので、最低でも35%は欲しいです。あとは練習あるのみだと思っています。「応援してもらえることで頑張ることができたシーズン」──滋賀はなかなか勝てない時期も経験しましたが、残留プレーオフを回避できました。シーズンを通してチームの雰囲気はどうでしたか?長い連敗をした時期も練習からばっちり集中できていました。負けている時も良い雰囲気で試合ができていたと思います。下を向かずに勝つことだけを考えて戦うことができたのは良かったです。個人的にも、自分なりに結果を残せたし、プロでやれる自信になったので、そこは良いシーズンだったと思っています。ドリブルであったり個人の課題はたくさんあるので、オフに自主練とかいろいろやって苦手を克服して、また来シーズンも結果を残したいです。──『プロバスケットボール選手であること』にはもう慣れましたか?応援してもらえるのは本当に心強いです。応援してもらえることで頑張ることができたシーズンでした。小学校や中学校の頃からプロ選手にあこがれてバスケをしていました。いざ自分がその立場になると、あこがれにしてくれるファンもいますし、その期待に応えるためにも頑張ろうと思います。僕があこがれていたのは川村(卓也)さんとか桜井(良太)さんですね。あとはNBA選手だとコービー・ブライアントで、それでユニフォームも24番を着けているんですけど、あのポストプレーとかを今後モノにできるよう考えていかなきゃいけないですね。リリースにもありましたが、また滋賀と2年契約することになったので、是非会場に来てまた応援してもらいたいです。来シーズンも引き続き、外角のシュートだったりファストブレイクからのレイアップで皆さんを沸かせたいです。ディフェンスにも注目してもらいたいですね。──じゃあ、アグレッシブにディフェンスして、そこからブレイクの展開に持ち込んでダンクをバンバン見せてくれる、ということでいいですか?(笑)はい、そのつもりで頑張ります!(笑)2018/06/01Bリーグ&国内
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最後まで勝敗が見えない大激戦を制した滋賀、B1残留ミッションを最終節でクリア全員一丸の遂行力で『生きるか死ぬか』の戦いを制すBリーグ最終節、滋賀レイクスターズと富山グラウジーズの第2戦は、勝てば1部残留決定、負ければ残留プレーオフ行きという運命の試合となり、両チームのブースターが詰めかけたウカルちゃんアリーナはシーズン最多の3625人と超満員となった。滋賀は並里成のアシストから佐藤卓磨がインサイドシュートを決めて先制。さらに両チームオン・ザ・コート「1」の時間帯、帰化選手のファイ・サンバが作り出すミスマッチを有効に使って得点を重ねる。アウトサイドシュートも当たりだしたサンバの11連続得点、続いて並里を中心とした速攻が止まらず、第1クォーターで23-10とリードを奪った。オン「2」の第2クォーター、富山は依然として滋賀のディフェンスを攻略できない。クリント・チャップマンの個人技で打開を図るが、これも単発に終わる。滋賀はディオール・フィッシャーを軸にヘルプディフェンスでゴール下を守り、オフェンスに転じれば並里が力強いボールプッシュ。富山に攻めの形を作らせず、44-27で前半を折り返した。それでも後半、富山のエース宇都直輝がそれまでのプレーメーク優先から一転、思い切ったドライブで滋賀のディフェンスを切り崩し始めると、富山が巻き返す。宇都の連続得点、またアシストから水戸健史の3ポイントシュートが決まり、滋賀のターンオーバーを誘発。宇都の連続アシストで大塚裕土がレイアップと3ポイントシュートを決めて2点差まで迫った。しかし滋賀は並里が黙っていない。ドライブからスペースを作り出しサンバへアシスト、さらにミドルシュートも決めて再び突き放す。視察に訪れた日本代表ヘッドコーチのフリオ・ラマスが見つめる中、宇都と並里という日本を代表するポイントガードの対決は見応えのある激戦となった。それでも最後はサンバをフィニッシャーとする滋賀のオフェンスが上回り、59-49とリードし第4クォーターへ入った。並里vs宇都、最終盤まで続いた一進一退の攻防第4クォーター、富山は上江田勇樹の連続得点、宇都のアシストから大塚がファウルを受けながら3ポイントシュートを決める4点プレーで一気に2点差まで詰める。ここから両チーム一歩も譲らぬ激戦となるが、残り5分30秒、宇都のポストプレーからパスを受けたウィラードがベンキー・ジョイスを抜き去りダンクに持ち込むと、フィッシャーがファウルで止め個人ファウルが4つに。これでフィッシャーがゴール下で激しく守れなくなると、富山はこれを突きドライブアタックを再三仕掛ける。キャプテンの水戸がバスケット・カウントをもぎ取り、残り2分47秒で富山が逆転に成功した。だが、一進一退の攻防はまだ続く。高橋耕陽がロングシュートを決め返して滋賀が再びリードを奪い、富山はデクスター・ピットマンをファウルアウトで欠きながらもファストブレイクからファウルをもぎ取った上江田勇樹がフリースローを沈めて74-74と再び同点に。この土壇場でより冷静だったのは滋賀だった。タイムアウトで一呼吸置いての攻めで、並里からジョイス、フィッシャーとパスをつなぎ勝ち越しに成功すると、宇都のパスを受けてゴール下を狙うチャップマンにしぶとくプレッシャーをかけてフィニッシュを決めさせない。76-74と2点リードの残り28秒、長谷川がフリースロー2本を外し富山に再びチャンスを与えてしまうが、ここもポストプレーからアタックするチャップマンに激しくプレッシャーをかけて耐えきる。残り10秒で富山はファウルゲームに行くが、リバウンドを取った高橋に対するファウルでウィラードがアンスポーツマンライクファウルをコールされ、さらにこのジャッジに抗議したチャップマンがテクニカルファウルとなり万事休す。滋賀が接戦を78-76で制した。狩野主将はスタンドを埋めたファンに感謝滋賀は富山の猛攻を浴びて一度は逆転されながらもチーム一丸の姿勢は揺るがず、ピンチにこそ集中力を増した。前半のサンバを生かしたゲームメーク、終盤のタイムアウト明けに勝負どころでセットプレーを決めきる遂行力が接戦を勝ち切る力になった。昨シーズンに続き残留プレーオフ回避を決め、試合後の会場はシーズン締めくくりのお祝いの場と化し、ホームゲームでの勝利で好例となっている「勝ったぞー」のマイクパフォーマンスが代わる代わる選手により披露された。キャプテンの狩野は「本当につらかったですが、こうやって最後に皆さんと一緒に笑えるのはうれしいです。60試合ありがとうございました」とブースターに感謝。スタンドは万雷の拍手で応えた。一方の富山は昨シーズンに続き地獄の残留プレーオフへ。ヘッドコーチのミオドラグ・ライコビッチは、「前半で17点差つくことは想定外でした」と試合を振り返る。「最後の4~5分は激しいシーソーゲームになりましたが、相手に難しいシュートを決められてしまい思い描いていたものと違う展開になってしまいました」と、最後まで思い通りの展開に持ち込めなかった。残留プレーオフ1回戦では島根スサノオマジックと対戦する。2018/05/06Bリーグ&国内
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B1残留に燃える滋賀レイクスターズが逆転勝利、富山と明日「勝てば残留」対決へ強豪相手に連勝、勢い付く富山が主導権を握る5月5日、滋賀レイクスターズが富山グラウジーズと対戦。富山はこの連戦で1勝を挙げれば、そして滋賀は連勝すれば残留プレーオフを回避できる『自力』での残留が懸かっており、ともに負けられない一戦となった。試合序盤に主導権を握ったのは、この1週間でシーホース三河と新潟アルビレックスBBに連勝している富山だった。サイズに勝る優位を生かし、ポストアップとパスを組み合わせて滋賀のディフェンスをこじ開けていく。デクスター・ピットマンのポストプレー、橋本尚明の3ポイントシュートで差を広げ始めると、守備ではゴール下を堅く守りトランジションオフェンスにつなげていく。第1クォーターエースの宇都直輝がポンプフェイクで並里成をかわしブザービーター。完全に流れに乗った富山が22-12と2桁のリードを奪った。第2クォーターには狩野祐介の連続得点、並里のアシストからベンキー・ジョイスのダンクシュートを浴びて27-24と1ポゼッション差に縮められるが、ここから宇都のアシストから大塚裕土、クリント・チャップマンの得点で突き放し、40-30とリードして前半を終えた。ターンオーバーを誘い速攻へ、滋賀の逆転劇それでも後半になると試合の様相は一変。ホームの声援に後押しされた滋賀は運動量で富山を圧倒し始める。前半パスが良く回っていた富山のパスコースを厳しく潰して攻撃を分断すると、プレーを読み切った守備でターンオーバーを立て続けに誘い、速い展開から並里がアシストと得点を量産。残り2分20秒で並里のジャンプシュートで51-51と追い付き、帰化選手のファイ・サンバの強みを生かしたリバウンドから並里がドリブルで持ち込みレイアップで勝ち越す。このクォーター、富山のターンオーバーは7。オフェンスのすべてを仕切る宇都がそのうち6を喫しており、宇都の勢いを止めたことで滋賀が逆転に成功した10分間となった。57-53で迎えた最終クォーター、滋賀はディフェンスの強度を落とさず、前半に活躍したピットマンのポストプレーもディオール・フィッシャーを中心に抑える。速攻に転じれば高橋耕陽が走りで合わせ、このクォーター5本のシュートをすべて成功させる大爆発で11-0のランを作りだした。残り3分22秒、並里からフィッシャーへのアリウープが決まって74-59と15点差。続いて長谷川智伸の得点で差が広がると富山は宇都をベンチに戻し、これで試合は決した。最終スコア82-67、滋賀が快勝している。残留プレーオフ回避のため連勝が必須だった滋賀は重要な一戦に勝利。後半から長谷川智伸を中心に宇都を守り切り、激しいディフェンスから走るバスケットで富山を圧倒した。逆境を跳ね返したディフェンスは明日の試合に向けて大きな収穫となった。明日の第2戦、トランジションオフェンスをどう止めるか殊勲の長谷川は会心の逆転勝利をこう振り返る。「前半はなかなかチームのルールだったり、作戦通りに行かずに10点リードされてしまいましたが、我慢強くプレーしてディフェンスからオフェンスにつなげたからこそ勝利という結果につながったと思います」富山のヘッドコーチ、ミオドラグ・ライコビッチは「前半は多く取れていたリバウンドも後半は上手くいかず、ターンオーバーも前半5本だったものが後半11本と増えてしまった」と後半の失速を悔やむ。「ディフェンスでは特に、並里選手とフィッシャー選手のピック&ロールに注意し、前半は抑えることができていて、それが結果に出ていました。後半やられてしまったトランジションオフェンスを止めることができないと勝負は厳しいものになってしまいます」と、明日の第2戦へ守備面でのアジャストが必要と語る。富山から滋賀まで多くの富山ブースターが駆け付け、スタンドの一角を赤く染めたが、富山は勝ちきることができず。この日、三遠ネオフェニックスが勝利して残留を確定させた。明日行われる滋賀vs富山の勝者がB1残留となり、敗者は残留決定プレーオフに回ることになる。崖っぷちで一歩踏み留まった滋賀。長谷川は明日の『決戦』に向け「今シーズンのベストゲームにしたい」と意気込む。「試合後は、うまくいかなかった時間帯について仲間同士で指を差し合うこともなく、喜びもほどほどにみんなで気を引き締め合う言葉掛けが多かったです。本当に明日は崖っぷちの戦い。いい意味で明日は最後にしなくてはいけない」2018/05/05Bリーグ&国内
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チームバスケットを貫く滋賀レイクスターズ、名古屋Dに勝利し4カ月半ぶりの連勝並里&狩野のホットラインで流れをつかむ滋賀レイクスターズと名古屋ダイヤモンドドルフィンズの対戦。第2クォーターで主導権を握り、その後も攻守が噛み合いリードを広げた滋賀が、82-66で名古屋Dに完勝した。第1クォーター序盤、狩野祐介が4点プレーを含む2本の3ポイントシュートを沈め、ファイ・サンバが確率良くミドルシュートを決めて滋賀が先行する。名古屋Dは3本の3ポイントシュートをすべて沈め、11得点を挙げた張本天傑の活躍で追いかける展開に。第2クォーターも互角の展開が続くが、並里成と狩野をコートに戻した残り6分半から試合が動く。素早い攻守の切り替えから並里がボールをプッシュして数的有利を作り出し、フリーとなった狩野が3ポイントシュートを連続で成功させて32-25と突き放した。名古屋Dはタイムアウトを要請して立て直しを図るも、滋賀にタフショットを打たされ得点が伸びない。また前線からのプレッシャーに苦しみ、ジャスティン・バーレルがボール運びに加わったところでディオール・フィッシャーのスティールを許し簡単に失点するなど流れを取り戻せない。滋賀は、42-31と2桁リードでスタートした後半も堅守を軸にリードを広げていく。反撃に転じたい名古屋Dだがボールムーブがうまく行かず、結局はバーレルの1on1に頼るしかなくなり得点が伸び悩んだ。ディフェンスで主導権を握った滋賀はうまくオフェンスへとつないで、名古屋Dとは対照的に多彩な攻めで8人が得点を記録。この第3クォーターで7-1とアシスト数に差が生じたことが、両チームのオフェンスのクオリティの差を表している。「チームルールを守れば結果に結びついてくる」攻守ともにパフォーマンスが落ちない滋賀は、並里がゲームをしっかりとコントロールし、フィッシャーがインサイドで確実に得点し、付け入る隙を与えない。残り3分を切っても20点差をキープした滋賀が名古屋Dを寄せ付けず、完勝を収めた。勝利した滋賀のショーン・デニスヘッドコーチは「トランジションオフェンスの強いチームだと理解していたので、それに対しての守りが、今日はシーズンを通してベストの出来だった」とディフェンスでの勝利を強調。「しっかりとチームのルールを守ってやれば、こういった形で結果に結びついてくることを体現できた試合でした」と胸を張った。5本すべての3ポイントシュートを沈め、チームに流れをもたらした狩野は「率直にうれしいの一言です」と素直に勝利を喜んだ。「泣いても笑っても40分しか戦える時間がない一方、40分しっかり戦えば勝利を手にすることができるので、ここ最近は『40分しかないよ』と声を掛けてから試合に臨むようにしています」と試合に対する意識改革が好調の要因だと明かした。4カ月半ぶりに連勝を収めた滋賀。残留プレーオフに回る全体15位の大阪エヴェッサとは勝率で並んでおり、依然として崖っぷちの状態だが、今日のようなパフォーマンスが続けば残留は自ずと見えてくる。4月末には大阪との連戦が待ち構えており、ここにどんな状態で臨めるかが残留プレーオフを回避できるかどうかを左右することになるだろう。敗れた名古屋Dはこれで3連敗。中地区2位争いのライバルも調子が上がらないことでチャンピオンシップ進出圏をキープしているものの、連敗している以上に内容が悪いのは気掛かりだ。シーズン終盤になりバーレルの身体が重い印象で、外国籍選手頼みのバスケットで一度悪い流れに陥ると抜け出すきっかけをなかなかつかめない。このままチャンピオンシップに進んだとしても、特定の選手に頼るバスケットから脱却しない限りは勝ち進むのは困難と言わざるを得ない。2018/04/03Bリーグ&国内
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リバウンドで滋賀を圧倒した川崎ブレイブサンダース、盤石の試合運びで7連勝すべてのクォーターで上回る快勝劇3月16日、川崎ブレイブサンダースが、本拠地とどろきアリーナで滋賀レイクスターズと対戦した。試合序盤からリードを奪うと、そのまま危なげない試合運びで83-60と圧勝し、連勝を7に伸ばしている。ともにオン・ザ・コート「2-1-1-2」で臨んだ一戦。立ち上がりからニック・ファジーカス、辻直人による連続3ポイントシュートで川崎が11-2と先行。また、このクォーターで8得点、オフェンスリバウンド4本を挙げたジョシュ・デービスの活躍もあり、24-17とリードを奪う。第2クォーターに入るとともに譲らない展開となり、残り約4分に滋賀は狩野祐介の3ポイントシュートで29-33と食らいつく。しかし、川崎は直後に辻が3ポイントを入れ返すと、さらにターンオーバー奪取からファジーカスが連続得点。終盤には篠山竜青が3ポイントシュートをバスケット・カウントで沈め、続くフリースローを決める4点プレーを成功。44-33と点差を広げて試合を折り返す。第3クォーター、なんとか反撃のきっかけをつかみたい滋賀は、このクォーターで7得点を挙げたフィッシャーの奮闘もあり中盤には点差を1桁とするも、川崎もファジーカスが確実に得点して応戦。リードを14点に広げてこのクォーターを終える。第4クォーター、勢いに乗る川崎はデービスが得意のオフェンスリバウンドからのセカンドチャンスで加点。残り約7分には谷口光貴の外角シュートでリードを18点と突き放すと、守っては第4クォーターをわずか9失点と余裕の展開で逃げ切った。外国籍トリオが揃って2桁リバウンドを記録川崎の北卓也ヘッドコーチは「60失点なのでディフェンスは良かったと思います。リバウンドはジョシュ(デービス)、ルー(アマンドソン)、ニック(ファジーカス)で35リバウンドのチームで計52本を記録。オフェンスリバウンドも19本で、そこからのセカンドチャンスで得点を取れました」と、ゴール下を支配したことを勝因に挙げた。指揮官も触れたようにこの試合、川崎はファジーカスが26得点12リバウンド。デービスが16得点11リバウンド、アマンドソンが7得点12リバウンドと外国籍トリオが揃って2桁リバウンドをマーク。また、辻直人が14得点7アシスト、篠山竜青が10得点3アシスト2スティールと主役がしっかり役割を果たした。ただ、ミスの多さについて厳しい口調だった。「ターンオーバーが19あり、非常にもったいないミスが多々ありました。そこは改善しなければいけないです。ターンオーバーから22点やられています。口酸っぱく言っていますが、明日はシュートで終われるようにやっていきたい」ターンオーバーについていえば昨季の川崎も特にシーズン途中までは少なくはなかった。ただ、それはライアン・スパングラーという優れた速攻のフィニッシャーがおり、彼に素早くパスを出すためなど積極的にチャレンジしてのミスという側面も強かった。しかし、ここ数試合のミスの中身については篠山竜青も「良いチャレンジができているというより、横着に近いパスミスが多いです。強い川崎のトランディションを思い出す上でのチャレンジの失敗というよりは、なんか危ないけど出しちゃえというところがまだまだある」と厳しい意見。「これから控える東地区上位との対決に向けて悪い習慣にならないようにしないといけない」と勝って兜の緒を締めた。調子を上げる滋賀も、この試合では不発一方、滋賀のショーン・デニスヘッドコーチは「リバウンドで22本の差をつけられ、3ポイントの成功率が25%でした。そして、フリースローの本数で10-25と差がったら、勝つのは難しいです」と敗因を振り返る。この試合では良いところがなかった滋賀だが、川崎の北ヘッドコーチも言及していたように、先々週はシーホース三河に敗れるのもタブルオーバータイムにまで持ち込み、先週は京都ハンナリーズに勝利と、連戦の2試合目はパフォーマンスを上げている。今回も2戦目の強さを見せて上位チーム撃破の波乱を起こせるか。それとも川崎がターンオーバーの多さという課題を修正して、連勝を8に伸ばせるかが17日の見どころとなりそうだ。2018/03/17Bリーグ&国内