
『サンダー』の検索結果
-
カーメロ・アンソニーがホークスと契約バイアウト、ロケッツ移籍は秒読み段階に初優勝を求め意中の球団へ移籍 カーメロ・アンソニーが、ホークスとの契約バイアウトを成立させたと『ESPN』が報じた。 『ESPN』によれば、カーメロは来シーズンの年俸2790万ドル(約31億円)から240万ドル(約2億7000万円)をホークスに返納する条件に合意。48時間のウェーバー期間を経てフリーエージェントになることが濃厚で、早ければ数日中にもロケッツ移籍が成立する見通しだ。ロケッツとはベテラン最低保証額である240万ドルで1年契約を結ぶと見られ、カーメロは本来受け取るはずだった金額を満額で受け取れる。 昨年の夏にニックスからサンダーにトレードされたカーメロは、ラッセル・ウェストブルック、ポール・ジョージと『OK3』を結成するも、最後までチームにフィットしなかった。1年越しで意中の球団と契約できる運びになったカーメロだが、ロケッツで与えられる役割も基本的にはサンダー時代と一緒で、3番手のスコアラーになるだろう。あとは本人がそれを受け入れ、ジェームズ・ハーデン、クリス・ポールらとの連携を高められるかどうかで、チームケミストリーの完成度も変わってくる。 昨シーズンの西カンファレンス・ファイナルでウォリアーズを崖っぷちに追い詰めながらも敗れたロケッツは、カーメロを優勝に必要な『ラストピース』と考えている。カーメロもまた、キャリア初優勝を達成するためロケッツに加わることを決めた。 それぞれの思惑が合致し、期待通りの結果を残せるかどうかは1年後に分かる。 Carmelo Anthony passes Jerry West for 20th most FG made in NBA history!#ThunderUp pic.twitter.com/MT7sHhti51— NBA (@NBA) 2018年3月9日2018/07/31NBA&海外
-
デニス・シュルーダー加入で試されるラッセル・ウェストブルックの柔軟性ポール・ジョージは「ベストポイントガードの一人」と称賛 サンダーは、カーメロ・アンソニーと2022年のドラフト1巡目指名権を放出し、ホークスからデニス・シュルーダー、セブンティシクサーズからティモテイ・ルワウ・キャバロを獲得した。 OFFICIAL. 3-team trade brings Dennis Schröder & Timothé Luwawu-Cabarrot to OKC. #ThunderUp 🔗 https://t.co/7oZJjUMBET pic.twitter.com/Yh3l66wbOq— OKC THUNDER (@okcthunder) 2018年7月25日 今回のトレードの主な目的は、昨シーズンのチームにフィットせず、ベンチ起用を拒否したカーメロの放出にあったが、サンダーはラッセル・ウェストブルックのバックアップに最適とも言えるクイックネスとゲームメーク力、スコアラーとしても非凡な力を持つシュルーダーを獲得できた。来シーズンはプレーのペースアップを目指す方針のチームにとって、彼の加入は大きい。 シュルーダーについては、この夏にサンダーと再契約を結んだポール・ジョージも歓迎している。ラスベガスで開催されているアメリカ代表ミニキャンプ中、ジョージは「彼は間違いなくリーグでもベストポイントガードの一人」と語り、シュルーダーを称賛した。 ここ2シーズンでホークスの先発に定着したシュルーダーは、おそらくサンダーのセカンドユニットの舵取り役を任されるだろう。昨シーズンの規定試合数に到達した選手の中で、シュルーダーはピック・アンド・ロール時のボールハンドラーとして、トレイルブレイザーズのデイミアン・リラード(12.4)、ホーネッツのケンバ・ウォーカー(11.1)、ロケッツのジェームズ・ハーデン(9.3)に次ぐリーグ4位の9.2得点を記録した。プレースタイルはウェストブルックに近く、昨シーズンはアイソレーションからの得点もリーグ上位の数字を残しており、サンダーにいなかったタイプだ。 試合状況に応じてウェストブルックとバックコートを形成するケースも考えられるシュルーダーは、アウトサイドシューターではないものの、パサーとしても優秀だ。時折リスクの高いパスを選択することもあるが、ホークス時代に視野の広さを証明している。 そしてシュルーダーの加入は、ウェストブルックの柔軟性も試されることになる。2016年の夏にケビン・デュラントが退団して以降、サンダーのオフェンスは、ほぼすべて『ミスター・トリプル・ダブル』と化したウェストブルックが起点になっている。状況に応じて彼がシュルーダーにボールを預ければ、これまでよりボールも人も動くようになり、ウェストブルックが無理なアタックを仕掛けることで生まれるターンオーバーも減るだろう。シュルーダーが持ち味のスピードで相手ディフェンスを切り裂くプレーを織り交ぜれば、相手の注意も分散される。そうなれば、オフ・ザ・ボールの動きを増やせるウェストブルックにシュルーダーがキックアウトすることでシュートセレクションの改善に繋がり、スポットアップからの3ポイントシュートを含め、ジョージの効率の良いオフェンスが機能する姿が想像できる。 もしシュルーダーをセカンドユニットに固定するのなら、ウェストブルックのファーストユニットとはまったく異なるチームになるかもしれない。しかし、一人で何でもこなせるウェストブルックの負担を減らせるシュルーダーが加わった以上、2人を同時に起用しない手はない。 昨年のオフにジョージと交換でペイサーズにトレードされたビクター・オラディポ、または2014-15シーズン途中にサンダーからピストンズにトレードされたレジー・ジャクソンのように、これまでウェストブルックが自分に近いタイプとの連携を機能させたことはなかった。次はシュルーダーの番、というわけだ。 ウェストブルック、ジョージ、シュルーダーの『新OK3』が機能するかは、エースにかかっている。2018/07/28NBA&海外
-
ホークスとのトレードが成立したサンダー、カーメロ・アンソニーを放出カーメロと交換でデニス・シュルーダーを獲得 7月19日、サンダーとホークスの間でトレードが成立すると『ESPN』が伝えた。今回のトレードでは、カーメロ・アンソニーとプロテクトされた2022年のドラフト1巡目指名権がホークスに送られ、サンダーはホークスからデニス・シュルーダーとマイク・マスカーラを獲得するという。 そして、トレード成立後、ホークスはカーメロを解雇する予定で、同選手はフリーエージェントになってからロケッツと契約する可能性が高い。また『Yahoo Sports』によれば、サンダーはマスカーラをセブンティシクサーズにトレードし、ティモテイ・ルワウ・キャバロを獲得するという。 今回のトレードが成立すれば、サンダーはカーメロの年俸2790万ドル(約31億円)をキャップスペースから除外できるばかりか、シュルーダーというラッセル・ウェストブルックの控えも獲得できることになる。シュルーダーは非凡な得点力を持つポイントガードで、昨シーズンは平均19.4得点、3.1リバウンド、6.2アシスト、1.1スティールを記録。だが昨シーズンの3ポイントシュート成功率は29%と、3ポイントシュートを苦手としているため、サンダーがシュルーダーをどう使うかが興味深いところだ。 サンダーは、この夏にベテランのポイントガード、レイモンド・フェルトンとも再契約を結んだ。つまり、仮にシュルーダーがチームにフィットしなければ、2018-19シーズンのトレード期限までに同選手を放出するだろう。 オフにポール・ジョージとの再契約に成功したサンダーは、最大の懸案事項だったカーメロの去就問題も、ほぼベストな形で解決した。 レブロン・ジェームズのレイカーズ、デマーカス・カズンズを加えたウォリアーズに対抗すべく、サンダーもウェストブルックとジョージが中心となる新チームの陣容を整えつつある。 .@DennisMike93 tied his career-high 34 points last night 🔥🔥🔥🔁 to #NBAVote for Dennis Schröder pic.twitter.com/AvsWDm58li— Atlanta Hawks (@ATLHawks) 2018年1月13日2018/07/20NBA&海外
-
元ドラフト全体6位、ナーレンズ・ノエルが安価の契約でサンダーを選んだ理由プレーオフ出場とやりがいを優先か この夏にフリーエージェントになったセンターのナーレンズ・ノエルは、サンダーへの移籍を決断した。契約内容は2年370万ドル(約4億1600万円)と見られており、サンダーは非常にリーズナブルな金額でフロントコートの補強に成功している。 『Basketball Insiders』によれば、ノエルには他チームからもオファーが届き、サンダーが提示した金額より高額のものもあったという。だがノエルは、よりチームとして機能しているサンダーを選んだ。 ノエルは2013年のドラフト全体6位でセブンティシクサーズから指名され、当時は再建途中だったチームの希望として注目された。しかしシクサーズは、翌14年のドラフトでジョエル・エンビード、15年にはジャリル・オカフォーを続けて指名。有望株のビッグマンを立て続けに指名したのだが、2016-17シーズンにデビューしたエンビードが台頭して先発の座を掴んでから、ノエルとオカフォーの出場時間が激減し始め、ノエルはマーベリックスに、オカフォーはネッツにトレードされた。 マブスに移籍したノエルは期待に胸を躍らせたものの、昨シーズン出場した試合はわずか30試合で、先発出場は6試合のみ。キャリア4年で平均9.3得点、7.2リバウンド、1.4ブロックという成績を残してはいるが、彼のポテンシャル、伸びしろを考えれば不十分と言わざるを得ない。 サンダーには格安の契約で加入したとはいえ、より重要な役割での起用と、キャリア初のプレーオフ進出という方を優先したのだろう。サンダーでは、スティーブン・アダムズの控えを任される予定で、昨シーズン不安定だったサンダーのセカンドユニットに安定感を与えることが期待されている。 ノエルは1試合20得点以上を期待できるタイプではないものの、リバウンド、ブロックに優れる守備的なビッグマンだ。サンダーで本領発揮となれば、選手としての評価も上がるはずだ。 NERLENS GETTIN' ACTIVE! 🔨 pic.twitter.com/3uEqYMboxm— Dallas Mavericks (@dallasmavs) 2018年3月11日2018/07/16NBA&海外
-
クリス・ポールがカーメロ・アンソニー獲得をロケッツ首脳陣に勧める?アリーザの代役として期待されるもディフェンスに難 サンダー退団に向け球団と話し合いを続けていると報じられたカーメロ・アンソニー。気になる移籍先の有力候補には、ロケッツの名前が挙がっている。 『Yahoo Sports』によれば、ロケッツと再契約したクリス・ポールが、チームにアンソニーの獲得を進言しているという。おそらくサンズに移籍したトレバー・アリーザの代役としてアンソニーを推薦している、ということなのだろう。 オフェンス面に関しては、アンソニーは十分にアリーザの代役が務まる。キャッチ&シュートを主体とする起用法ならば、アリーザを上回るインパクトを残せるだろう。しかし、この起用法はサンダー時代と同じで、アンソニーが納得するかは不明だ。 より深刻な問題になるのはディフェンスだ。アリーザは守備もリーグトップクラスだが、34歳になったアンソニーは、スピードのある選手とのマッチアップが年々厳しくなっている。スモールラインナップではパワーフォワードのポジションにフィットする可能性はあっても、対戦相手は身体能力の高いウィングをぶつけてミスマッチを生み出そうとするだろう。これでは、チームにとってマイナスに働いてしまう。 部分的にはアップグレードできたとしても、総体的にはダウングレードにもなりかねない人選だけに、ただ獲得すればいいわけではなく、チームにどう組み込むかの手腕が問われる。それでもハマれば大きな戦力アップになるだろう。ロケッツの決断に注目が集まる。 Carmelo Anthony passes Jerry West for 20th most FG made in NBA history!#ThunderUp pic.twitter.com/MT7sHhti51 — NBA (@NBA) 2018年3月9日2018/07/10NBA&海外
-
ポール・ジョージ&ラッセル・ウェストブルック、サンダー最強コンビを考察する『友情』だけでサンダー残留を決めたわけではない フリーエージェントで注目されていたポール・ジョージが、子供の頃からあこがれていたレイカーズへの移籍ではなく、サンダー残留を選択しました。 ディフェンス面でハードワークするサンダーはポール・ジョージに合っていたものの、カーメロ・アンソニーを含めた『OK3』を結成しながら、サンダーのオフェンスはパス数がリーグで2番目に少なく機能したとは言えませんでした。その理由の一つに挙げられるのは、ラッセル・ウエストブルックがボールを持ちすぎて停滞を生み出すことです。そのイメージからシュート力に定評のあるポール・ジョージがウエストブルックとのプレーを選択したことは驚きをもって伝えられました。 一方で残留を決めた理由の一つがウエストブルックとの友情とも伝えられています。しかし、ポール・ジョージはオフコートの関係性だけで残留を選んだのでしょうか。 サンダーに移籍したポール・ジョージはフィールドゴール成功率が3.1%落ち、平均得点は1.8点減りました。この数字からは複数のスターがいながら連携を欠き、イージーシュートが打てなくなったことがうかがえます。しかし、3ポイントシュートは平均7.7本のアテンプトで40.1%と好成績を収めました。この3ポイントシュートについてペイサーズ時代の2016-17シーズンとサンダーでの17-18シーズンのアテンプト数を比較すると キャッチ&シュート 4.8本→5.4本 ワイドオープン 2.3本→3.1本 むしろペイサーズ時代よりもチームとしてポール・ジョージの3ポイントシュートのためにパスを回し、フリーでキャッチ&シュートできるようになっています。そしてポール・ジョージ自身もワイドオープンでの確率が47.6%とリーグ最高クラスの結果を残しました。ポール・ジョージのためのお膳立てをしっかりと行い、本人もそれに答えていたといえます。 もちろん、そんなポール・ジョージに最も多くのパスを供給したのはウエストブルックです。3ポイントシュートアテンプトのうち半分以上がウエストブルックのパスからでした。この3年間のポイントガードからのパス本数と3ポイントシュートアテンプト、確率を比較してみます。 17-18シーズン ウエストブルック パス本数18.7本 3ポイントシュートアテンプト4.0本 成功率41.3% 16-17シーズン ジェフ・ティーグ パス本数19.1本 3ポイントシュートアテンプト3.1本 成功率37.1% 15-16シーズン ジョージ・ヒル パス本数11.7本 3ポイントシュートアテンプト1.5本 成功率33.9% パスの本数こそティーグが上回るものの、3ポイントシュートの本数でも確率でもウエストブルックのパスは効率が良くなっていることが分かります。ポール・ジョージは強力なドライブでディフェンスを引きつけてくれるウエストブルックとのコンビで、これまでになくフリーでパスを受けてシンプルにシュートを打つことができ、そして確率も上昇させたのです。 ポール・ジョージがサンダー残留を決めた理由は、コート外でのウエストブルックとの友情だけでなく、コートの上でも自分をフリーにして的確なパスを出してくれる相棒とのプレーの快適性があったからではないでしょうか。 課題はミドルレンジとアシスト力、相乗効果は生まれるか しかし、良いことばかりではありません。ミドルレンジは507本→304本、46.7%→33.2%とアテンプトも確率も大きく落としました。ペイサーズ時代はミドルレンジに飛びこむと周囲が自分に合わせてパスを出してくれましたが、サンダーではウエストブルックがドライブするためのスペースを構築する必要があり、安易にミドルレンジに飛びこむことができませんでした。得意だったプレーの一つがサンダーのシステムの中では使いにくかったのです。 またポール・ジョージからのパスでウエストブルックは3ポイントシュートが29.2%しか決まりませんでした。ディフェンスからするとポール・ジョージのドライブを優先的に止めれば良かったので、守りやすくなりました。ウエストブルックのシュート力も問題ですが、ポール・ジョージはアシスト力も課題でアダムスへのアシストミスなどパスのズレが目立ちました。そもそもサンダーはウエストブルックの広い視野と速いパスを中心に設計されており、ポール・ジョージがドライブしたときにも、同じようにパスを供給できないとチームは機能しません。 サンダーはポール・ジョージと長期契約したことでウエストブルックとのコンビでチームを作っていくことを明確にしました。1年目はコンビとして「3ポイントシュートとドライブ」というお互いのストロングポイントを生かしましたが、全体としての効率性が上がったとは言い難い結果でした。2年目からは単に連携を深めるのではなく、相乗効果を発揮してチーム全体のオフェンス力を上げる必要があります。 チームのファミリー的な雰囲気に心を打たれ残留を決めたポール・ジョージ。これから求められるのはコート上での強い絆を示す事です。2018/07/09NBA&海外
-
サンダーがカーメロ・アンソニーとの決別を決断、早くもロケッツなど強豪が関心?ジョージと再契約を結ぶも『OK3』は1年で解体 1年前にポール・ジョージ、それからカーメロ・アンソニーを獲得し、ラッセル・ウェストブルックとの『OK3』を結成させたサンダー。ジョージとは再契約を結んだが、カーメロとは決別することを決めた。 『USA Today』によれば、サンダーはカーメロを新シーズン開幕までに放出する予定だという。その方法が解雇になるのか、それとも契約最終年の年俸を分割で支払える『ストレッチ条項』を適用するかは分かっていないが、サンダーの2018-19シーズン開幕ロスターにアンソニーの名前が登録されることはなさそうだ。 気になるのは、カーメロの今後だ。すでにレイカーズ、ロケッツら複数のチームが獲得に関心を示していると言われている。しかし、34歳という年齢に加えて、年々衰えが見られているだけに、新天地での役割は限定的なものになると考えられる。となると、新たな問題も生じる。 アンソニーは、昨シーズン最後のメディア取材に応じた際、ベンチ起用を受け入れないことを断言した。サンダーでは主にキャッチ&シュートという役割を与えられ、本人はチームのためにと我慢して受け入れたが、サンダーはプレーオフ1回戦でジャズに敗退。カーメロからすれば、自分をスコアラーとして起用していれば違った結果になっていたかもしれない、と考えたに違いない。 昨年のオフには、カーメロが親友クリス・ポールのいるロケッツへの加入を希望していると噂されたが、トレードは成立しなかった。今回はフリーエージェントになっての移籍になるため、本人の意思でチームを選ぶことができる。 オールスター選出10回を誇るスター選手が新天地に選ぶチームがどこなるのか。今後の動向に注目したい。2018/07/07NBA&海外
-
DeNA川崎ブレイブサンダースが新たな事業戦略を発表「日本のバスケットボールの未来を作っていきたい」北卓也ヘッドコーチの続投(8年目)も正式発表 川崎ブレイブサンダースは7月1日より東芝からDeNAに正式に事業が移譲されている。新しい運営会社となる「株式会社DeNA川崎ブレイブサンダース」が今日、事業戦略発表会を開催。代表取締役社長の元沢伸夫が新しい川崎ブレイブサンダースとしてのビジョンを語った。 まず、運営会社は変更となってもクラブ名は「川崎ブレイブサンダース」で変わらないことを発表。『ブレイブ』は野球やラグビーでも使われる、東芝のスポーツの象徴である言葉。それも含めて東芝からの譲渡を受けるという元沢社長の強い気持ちで継承が決まったそうだ。同じようにチームカラーの『ブレイブレッド』も変わらない。 あわせて東芝OBである北卓也が過去7シーズンに引き続きヘッドコーチを務めることも発表された。アシスタントコーチの佐藤賢次と勝又穣次を始め、チームスタッフも東芝体制から継続となる。この人事について元沢社長は「非常にプロ意識の高い集団だと感じて、一人ひとりと話して残ってもらうことにした」と説明している。 この会見には北ヘッドコーチも登壇し、「新生川崎ブレイブサンダースになりますが、1950年からの伝統、歴史を引き継いで、私が率いてきたブレイブサンダースを引き継ぎ、強いチームを作っていきたい」と決意表明。また「名前とカラーを残してくれたのは素直にうれしい。伝統が残ると思う」と、旧東芝体制で最も社歴が長かった北らしく、首脳陣の決断に感謝した。 ここまで、「歴史を受け継いで変えない」という選択が続いたが、チームロゴについては「新しい歴史を作る決意の表れ」ということで一新された。「ゴールに稲妻が突き刺さる、この『稲妻』をチームの象徴にしたい」と元沢社長は語る。また歴史に対する敬意を忘れないという意味から東芝のチーム創立年である『1950』が取り入れられた。 新たなミッション「川崎からバスケの未来を」 新生川崎ブレイブサンダースのミッションは「MAKE THE FUTURE OF BASKETBALL 川崎からバスケの未来を」と発表された。元沢社長は「一クラブが語るのはおこがましいかもしれませんが、クラブしかできないことが多々あると感じてもいます。JBA、Bリーグと一緒になって、日本のバスケットボールの未来を作っていきたい。それが我々のミッションです」と語る。 今日、資料として紹介されたのが、川崎市とその周辺における調査結果。チームとしての認知率はプロ野球の横浜DeNAベイスターズが79.2%、サッカーの川崎フロンターレが75.8%なのに対し、川崎ブレイブサンダースは25.2%しかない。また観戦経験率はベイスターズの19.9%、フロンターレの12.8%に対して3.0%という結果だった。それでも元沢社長は「ネガティブではなくて、この差はバスケットボールのポテンシャル。人気もお客様の数もまだまだ増やせると考えている。この差を我々が先頭になって埋めていきたい」と意気込む。 そのために掲げた3つの目標が「アジアクラブチャンピオンシップ優勝」と「最先端のバスケットボールアリーナを実現」、そして「年間来場者数 30万人」。Bリーグ優勝はマイルストーンとして必須、その先のアジアNo.1をクラブとしては目指すということ。そして座組みも候補地も何も決まっていないが、1万人から1万5000人規模のアリーナを5年を目処に実現させたいとブチ上げた。その上で、ホームゲーム30試合で観客数平均1万人、これで30万人を目指す。 「本当に提供する価値は『非日常の興奮』だ」 この3つの目標はすぐに実現できるものではなく、長期的な取り組みとなるが、ファーストステップとなる2018-19シーズンに向けて「EXCITING BASKET PARK」計画を立ち上げる。元沢社長はこう説明する。「バスケットボールの試合を見ていただくが、本当に提供する価値は『非日常の興奮』だと思っています。普段、私自身も家族と接して仕事をする中で、泣いたり叫んだりすることはありません。それが日常ですが、そうではなくて、興奮する、感情がむき出しになる、そんな場所にしていきたい」 「EXCITING BASKET PARK」の例として、まず示されたのがセンターハングビジョン4面の設置。「すでに複数のチームが導入済みだが、これを使って今まで見たことのない演出、仕掛けをやっていきたい」と元沢社長は意気込む。またアリーナの一隅にDJブースを設置する、様々な企画を盛り込んだグループシートやVIPシートの新設も発表された。 また、一目で変化が分かるのはとどろきアリーナのエントランス部分だ。大型ビジョンでのライブビューイングでは、チケットを買えなかった人や休日にふらっと足を運んだ人にビールや食事とともに試合を見てもらう。イベントステージではチアやマスコット、時には選手も登場して盛り上げる。飲食の充実については「川崎のおいしいものを集めまくっている」とのこと。またポップアップストアや仮設バスケットコートの設置など、お隣の川崎フロンターレ名物となっている『川崎フロンパーク』級のエンタメが期待される。 また2018-19シーズンは、チームは「Bリーグ優勝」を、フロントは「土日開催試合の常時満員」を目指す。これまで川崎市民の利用を考慮して、とどろきアリーナの使用は金土が基本だったが、新シーズンには土日開催も何度か行われるそうだ。 川崎ではエースのニック・ファジーカスが日本国籍を取得。もともと優勝候補だったチームがエースを帰化選手として起用できることのプラスは計り知れないし、そのことでの人気アップも見込まれる。Bリーグ優勝も観客動員のアップも見込めるが、元沢社長は「一日でも早く、川崎から心底愛されるクラブになりたい。そこに向けてスタッフ一同頑張っていきたい」と語る。新生川崎ブレイブサンダースは夢のあるビジョンを掲げ、力強く前進し始めた。2018/07/04Bリーグ&国内
-
ポール・ジョージがサンダー残留を決めた理由を語る「ラスとチームを築きたい」「特別な何かを作り上げたと感じられる一員になりたい」 今オフに去就が注目されたフリーエージェント選手のポール・ジョージは、大方が予想したレイカーズへの移籍ではなく、サンダー残留を選択した。周囲はその決断を『サプライズ』と表現したものの、ジョージは熟慮の末に来シーズン以降もオクラホマシティでプレーすることを決めた。 その背景には、サンダーでの1年で築いた絆、ラッセル・ウェストブルックとの強い友情が関係していたことを、本人が『ESPN』の密着シリーズ最終回で明かしている。 同番組内で、ジョージは1年前の時点ではレイカーズへの移籍を希望していたことも告白している。だが昨夏、レイカーズは動かず、代わりにサンダーが2018年のオフにフリーエージェントになれる権利を保持していたジョージのトレードを決行。メディアが「1年限定のチーム」と批判したトレードだったが、サンダーはこれでジョージの心を掴んだ。 フリーエージェント選手との交渉は7月1日に解禁されるが、サンダーは、7月1日以前にジョージと接触を許された唯一のチームだった。密着シリーズでは、サンダー指揮官のビリー・ドノバン、サム・プレスティGMがジョージの自宅を訪問する様子も収められている。 ジョージは言う。「毎日が勧誘の日々になるのかと思っていたけれど、そうではなかった。彼らは常に正直で、球団との関係性は本物だった。サムとの関係も、ラス(ウェストブルック)との絆もそうだし、本当に家族、兄弟のような関係性を築くことができた」 プレスティは、ジョージと代理人の前で偽らざる気持ちを告白。「ポール、君のパーソナリティでチームを進化させ、成長させることが私の希望だ。君とラッセルのタンデムで前に進んでいければ、間違いなく球団史に残る。それに、今まで到達できなかった最高の地点に進めると思っている」というGMの言葉を聞いたジョージは、「僕が球団のミッションの一部になれてうれしいのは、ラスがハングリーであること。彼は勝ちたがっていて、僕も勝ちたい。この気持ちが彼とのデュオを特別なものにしているんだ」と答えた。 この時点で残留を決意していたジョージは、オクラホマシティに戻り、ファンの前で報告することを決めていた。その舞台に選んだのは、ウェストブルックが開催したパーティー会場だった。ここにサプライズゲストとして現れたジョージは、盟友ウェストブルックの隣でマイクを握り「ここに残る」と表明。 番組内では、残留を決めた理由をこう語る。「チームに対する忠誠心というよりも、自分にとって正しいと思う方を選んだ。自分の価値を確かなものにし、まだ優勝していないチームにチャンピオンシップをもたらせるなんて完璧な機会だ。チームは僕を歓迎してくれた。球団にも、僕が抱いている興奮と同じ感情を経験してもらいたい。僕はこのチームで優勝できると思っている。特別な何か、自分が作り上げたと感じられる一員になりたい。オクラホマでなら、それを築くことができる」 またジョージは、ウェストブルックとのプレーについても言及。「彼は自分が知る中で最高の人物の一人。それに、彼の試合に対するアプローチを見ていると、一緒にやりたいと思わされる。ラスとなら勝てるし、逆もまた然り。史上最高の選手の一人と一緒なら、優勝できる可能性は高い」と語った。 1年前に抱いていた地元レイカーズへの移籍希望は本心だった。サンダーにトレードされず、もしレイカーズが獲得に動きトレードを実現させていたら、ジョージの運命は大きく変わっていただろう。 レイカーズはレブロン・ジェームズを獲得し、急ピッチで新チームを作り上げようとしている。連覇を達成したばかりの王者ウォリアーズも、デマーカス・カズンズというオールスターを加えることに成功し、スリーピート(3連覇)に向け盤石の体制を築きつつある。優勝を目指すからには、彼らのような『スーパーチーム』に加わるのが近道、という考え方が現代の傾向だ。 しかしジョージは、ウェストブルックという最高の相棒とともに時代を築く方を選択した。トレンドから外れようと、自らの信念を貫き、結果を残す。サンダー残留という結論には、ポール・ジョージという選手の価値観が集約されている。2018/07/04NBA&海外
-
地元愛より『友情タッグ』を選択したポール・ジョージ、サンダーとの再契約を明言レイカーズの補強プラン、レブロンの決断に影響必至1年前、サンダーがペイサーズからトレードでポール・ジョージを獲得した際、大半のメディアは「1年だけの滞在になる」と報じた。しかしサンダーのサム・プレスティGMの見込みは間違っておらず、ジョージはサンダーファミリーに留まることを決断した。オクラホマシティに戻ったジョージは、ラッセル・ウェストブルックのホームパーティーに参加し、その会場で「まだ分かってもらえていないかもしれないから、あらためて言うよ。僕はここに残ることにした」と表明。『ESPN』によれば、ジョージはサンダーと4年1億3700万ドル(約152億円)のマックス契約に合意したという。これまで地元ロサンゼルスの名門であるレイカーズに移籍するというのが大方の見方だった。しかし、ジョージはレイカーズを含めサンダー以外のチームとは交渉すら行わずに再契約を決断したようだ。キャリアを左右する一大決心を後押しした背景には、この1年でラッセル・ウェストブルックとの間に芽生えた友情が関係していると言われている。まずはこのオフ最大の課題を満点でクリアしたサンダーだが、これからの課題は、ウェストブルック、ジョージ、カーメロ・アンソニーの『OK3』をどうするか。アンソニーは契約最終年のプレーヤーオプションを行使して残留することを決めているが、単純計算しても、ジョージの年俸を加えるとサンダーの総年俸は2018-19シーズンのサラリーキャップとして発表された1億186万9000ドル(約131億4300万円)を超過してしまう。ラグジュアリータックスを科せられる上限までは数百万ドルの余裕しかなくなるため、年俸2792万ドル(約30億円)のアンソニーを放出できればベスト。ただ、これは難しい仕事だ。高額年俸選手で、しかも昨シーズン終了後にベンチ起用を受け入れないことを断言したキャリア晩年のアンソニーの引き取り手を探すのは簡単ではない。最低条件は3チーム間でのトレードで、さらに将来的なドラフト1巡目指名権を譲渡するほどのことがなければ、年々衰えが見られるアンソニーの引き取り手は出てこない。ジョージ残留は他のチームの方針にも影響する。その余波を最も受けるのがレイカーズだ。当初のプランでは、ジョージとレブロン・ジェームズを同時に獲得する青写真を描いていた。リーグトップクラスの2ウェイプレーヤーが加入すれば、優勝できる環境を求めるレブロンも口説き落とせるとの構想だったが、プラン変更を余儀なくされることになった。最高の代替案は、スパーズからカワイ・レナードを獲得した上で、レブロンとの交渉に臨むことだろう。しかし、7月1日の時点でトレードが決まる気配はない。レブロンに移籍を検討させられるだけの材料は、将来が楽しみな若手コアがいる、という条件しかないのだ。ジョージのサンダー残留宣言というサプライズを皮切りに、今夏の移籍市場は大きく動き始めようとしている。2018/07/01NBA&海外
-
決断を迫られるポール・ジョージ、選択肢はレイカーズ移籍かサンダー残留の二択?今夏フリーエージェントに、注目される去就今オフに去就が注目される一人、ポール・ジョージが、契約最終年を破棄してフリーエージェントになることを決めたと報じられた。ここまでは想定内。肝心なのはジョージが次に打つ一手になる。ジョージほどの選手になれば、複数のチームから獲得オファーが届くことは間違いない。ただ、一連の報道を見る限り、ジョージの選択肢は、レイカーズへの移籍か、サンダー残留のどちらかになる可能性が高い。『ESPN』は、フリーエージェント選手として決断を迫られているジョージに密着取材する番組を作っているのだが、同シリーズの2回目のエピソードでは、サンダーGMのサム・プレスティが登場し、1年前にジョージを獲得した経緯について語った。プレスティは、シンプルに「リスクを取らなければ何も得られない」とコメント。サンダーは、ビクター・オラディポとドマンタス・サボニスと交換でペイサーズからジョージを獲得した。ジョージが1年後にフリーエージェントでチームを去る可能性があることを承知で獲得に踏み切り、ラッセル・ウェストブルック、カーメロ・アンソニーとの化学反応に賭けた。プレーオフ1回戦敗退という結果が示す通り、プレスティは賭けに負けた。だがジョージは、リスクを取ってでも勝ちに行く姿勢を見せたサンダーでの可能性を感じたのではないだろうか。そしてウェストブルックが中心のチームで1年プレーし、答えを出そうとしている。密着シリーズには、ジョージが大先輩のドウェイン・ウェイドと面会し、キャリア初の大きな決断をした時について質問する様子も収められている。ウェイドはレブロン・ジェームズ、クリス・ボッシュと揃ってヒートと契約した2010年の決断を振り返り、「自分は優勝したかったんだ」と語った。そして「勝てば、自分が欲しかったものすべてが手に入る」とも。先輩の話を聞いたジョージは、現在の心境を明かした。その発言の中には、レイカーズでのプレーについても触れられていた。「僕も優勝したい。たしかに、地元のレイカーズでプレーしたいという気持ちもある。それと同時に、自分にとって何がベストなのかも考えてしまう。選手としての自己評価はできているつもりだし、僕はチームの勝利に貢献したい。ラスと一緒でも、問題なくやれると感じているんだ」2年前にはケビン・デュラントがサンダーを去り、ウォリアーズに移籍した。その背景には、ウェストブルックとのコンビでは優勝できないとの判断があったとも言われている。ボールを保持する時間帯が長く、『唯我独尊』タイプのウェストブルックとは反りが合わない選手も少なくない。デュラントはそのタイプだったのかもしれないが、ジョージはプレースタイルも、考え方もデュラントとは異なる。昨シーズンを通じてチームメートとしてのウェストブルックの長所と短所を理解し、彼との間には絆も生まれた。子供の頃からあこがれたレイカーズでプレーすることと、優勝が直結すればベストなのかもしれない。しかし、現在のレイカーズにはすぐに優勝できるだけの力はない。同じくフリーエージェントになることが濃厚のレブロン・ジェームズの獲得を狙っているとされ、スパーズにトレードを要求したと報じられたカワイ・レナードを含む大型トレードを成立させる可能性も消えてはいないが、これら2つの動きは噂レベルの話だ。ひょっとすると、サンダー残留、レイカーズ移籍よりもジョージの心をつかむオファーが届くかもしれないが、現段階では二者択一の状況ではないだろうか。ウェイドからは「自分が後悔しない決断をすべき」とも言われ、ジョージは深く頷いた。早ければ来週早々にも発表されるであろうジョージの決断に、注目が集まる。2018/06/30NBA&海外
-
栃木ブレックスが川崎から栗原貴宏を獲得、3番のサイズアップに成功し弱点解消「ディフェンスから速い展開で走る」と抱負を語る6月27日、栃木ブレックスは元川崎ブレイブサンダースの栗原貴宏の加入会見を開いた。栃木の鎌田眞吾代表は、「栃木の堅い守りから走るスタイルに、攻守ともに活躍できる選手」と栗原を紹介。昨シーズンの栃木は3番ポジションに遠藤祐亮、鵤誠司、喜多川修平と185cm前後の選手を起用する時間が長かった。身長192cmでディフェンスやリバウンドの役回りをしっかりとこなせる栗原の加入で、この弱点を補うことができる。実直なベテランというイメージの栗原だが、加入会見での第一声は「初めまして。背番号24番のトミー・ブレントンです」といきなりのギャグ。これは見事に滑ったが、会見場は和んだ。栗原は移籍の決め手を「安齋ヘッドコーチの言葉」と説明する。闘志溢れる指揮官の熱意に「必要とされている」と感じたことが、東芝の社員時代も含めて8シーズンを過ごした川崎ブレイブサンダースからの移籍の決め手となった。これまでライバルとして戦ってきた栃木に加わることに、「今まで8シーズン敵チームとして戦ってきた中で、どれだけ素晴らしいチームかは肌で感じている。そのチームの一員になれるのは非常にうれしい」と語る。「ディフェンスを得意としているので、ディフェンスから速い展開で走って、インサイドアウトやキャッチ&シュートを生かして勝利に貢献できれば」と栃木の堅守速攻に自らのプレーをマッチさせるイメージは十分だ。栃木の「最後までハードに戦う姿勢」や「ホームでの一体感」にあこがれていた部分もあったと語った栗原。彼の持つチームへの献身性は「チーム全体で戦うバスケット」の栃木に間違いなくフィットするはずだ。2018/06/28Bリーグ&国内
-
「ディフェンスをハードに」日本代表のシューター辻直人が感じる課題と手応え「合わせた動きはもっと精度を高めないといけない」昨日の韓国との国際強化試合、日本代表は87-99で敗れて連勝を逃した。前半はリードしながらも踏ん張り切れない悔しい逆転負け。韓国の40分間を通したインテンシティの高さ、試合中のアジャスト能力に屈する形となった。日本代表のシューター辻直人は、19分のプレーで3ポイントシュート2本を含む12得点を記録。数字としては及第点だが、「空いたら打てと言われていて、積極的に狙っていった結果としてシュートが何本か入ったので、それは良かったと思います」と語る表情は決して明るくない。川崎ブレイブサンダースでは攻撃の中心として、3ポイントシュートだけでなくドライブからのアシストなどクリエイトする役割を担っているが、代表で求められているのはピュアシューターとしての役割。辻に打たせるセットも多くはなく、「ピックで崩して、誰かがアタックした時にスぺ―スを取って。今はそれをベースにしてやっています」と自身の動きを説明する。川崎で長く一緒にプレーするニック・ファジーカスがセンターに入ったことでやりやすいのは間違いないが、代表になるとコンビネーションは変わってくる。「相手の嫌なところにいてくれますし、そこを起点としてオフェンスとしては攻めやすい。今日もディフェンスはニックに寄っていて、そこへのパスでターンオーバーをいくつかやってしまったんですけど、寄るということは逆サイドで空くってことなので」だからこそ、そのメリットを最大限に生かす連携を辻は考えている。「今までは自分たちが作ってそのままシュートというのが多かったんですけど、あの2人(ファジーカスと八村塁)が崩してくれるので、それに合わせた動きはもっと精度を高めないといけない」「信頼という部分ではまだ勝ち取っていない」コンディションは決して良くはないが、できる限りハードにプレーした、というのがこの試合での辻のプレーの印象だ。ただ、インテンシティの部分で韓国にやられた部分を辻は悔やむ。「常にハードなディフェンスをするのが韓国の持ち味で、そこはハードでした。でも何より、リバウンドのところ、リバウンドからの球際のところで自分たちが取れなかった。球際やディフェンスで甘くなってしまう時間帯が長かったと感じます。その隙を突くのが韓国の強さでもあるので、ここでぶつかられて点差をつけられました」辻個人にとって代表での課題はいかにハードなディフェンスをするか。「第1戦では自分に求められているディフェンスのハードさだけを意識していたので、シュートよりディフェンスがメインにする中でいつもより良いディフェンスができたと思います。今日はオフェンスを積極的に行くと決めていて、そこでディフェンスのハードさが欠けていたのは反省しないといけない」辻はまだ代表の12人枠に入るだけの信頼を勝ち取っていないと感じている。激しいディフェンスをベースとし、その上で自らスペースを見いだしシューターの役割を果たすことが、辻が代表で活躍する道だ。「3ポイントシュートを求められるので、今日もコーナーから1本外してしまいましたが、相手がゾーンディフェンスを仕掛けるところとかで決めれるようになればもっと信頼を得て、6人目、7人目のプレーヤーになれると思います」「信頼という部分ではまだ勝ち取っていない」と語る辻。それでも、3ポイントシュートという武器を持たずにオーストラリア、チャイニーズ・タイペイとのWindow3に臨むことは考えられない。辻個人のコンディションを高めるとともに、シューターとしての才能を最大限に引き出す連携の確立も望まれる。2018/06/18日本代表
-
悔しい敗戦にも下を向かないファジーカス「日本を代表して戦えるのは素晴らしい」「チームメートとのケミストリーが大事になってくる」6月17日、男子日本代表はゼビオアリーナ仙台で韓国代表と強化試合を実施。前半は五分五分の展開で折り返したが、後半に入って守備面で乱れたことで87-99と敗戦を喫した。15日の代表デビュー戦では28得点13リバウンドと大暴れだったニック・ファジーカスも、17日は12得点8リバウンドに終わり、15日のように試合を支配するパフォーマンスとはいかなかった。この要因を、ファジーカスは次のように考えている。「相手はスカウティングをしっかりしてきて、自分が完璧にオープンになることが少なく、それでシュートの成功率もそんなに良くなかった。自分がボールを持ったら常に目の前に誰かがいました。そして、タフなスケジュールの中で昨日の練習も結構ハードにやった。そういうところも影響しているのかなと思います」2試合目は消化不良に終わったファジーカスだが、代表に合流にして間もない中での今回の実戦は、現在の課題を認識する上での貴重な機会となった。「韓国は良いチームだと分かっていたし、この2試合を戦えたことは自分たちの波長を合わせるという意味で良かったと思います」さらに「特に自分がどこでボールをもらうことで一番効果的に攻められるのか、そういったところを見つけていきたい。そこはチームメートとのケミストリーが大事になってくる」と、当然のことながら周囲とのコンビネーションをより深めていくことの重要性をより実感している。「チャンスをつかんで、試合の流れを引き寄せる」次の試合はいよいよワールドカップ予選本番のオーストラリア戦となる。現状、相手はかなりの格上だが、舞台は日本のホームゲーム。また、1次予選突破がゴールではなく、あくまでワールドカップ出場という目標達成においては、2次予選は1次予選の成績を持ち越しであることからオーストラリアが相手ではあっても白星は何としても欲しい。「とてもフィジカルが強いチームだと聞いています。大事なのは相手のフィジカルにちゃんと対応して、リバウンド、ルーズボールなど五分五分の状況での競合いでボールをどれだけ取れるかにかかってくる」と、アップセットを起こすカギについてファジーカスは考えている。「自分たちが良いプレーをしないといけないのは間違いない。ただ、彼らが本当に酷いプレーをしなければ勝てないってことはない」と、勝機は十分にあると見ている。そのためにも「チャンスをしっかりつかんで、試合の流れを引き寄せらないといけない」と、いかに主導権を握って相手にプレッシャーを与えられるかが重要と語る。オーストラリアにも「僕がいる日本を破っていない」ちなみに17日の試合、ファジーカスの出場時間は23分52秒。これはあくまで強化試合であり、色々な選手を試すテストの場という側面も大きかったが、Bリーグの試合と比べるとプレータイムは少ない。また、このプレータイムについては、フリオ・ラマスヘッドコーチの次のような考えも影響している。「ニックがどれだけすごい選手かは分かっています。ただ、国際試合になると25分以上出場させるのはキツい。もちろん、25分以上プレーさせないとは言わないですが、どの国際レベルの試合を見ても一人の選手が常に25分以上出ているというのはないです」ところがファジーカス本人は、指揮官の方針に異を唱えるつもりはないとしても、普段から外国籍のビッグマンと激しい戦いを行っているだけに「試合のインテンシティ(激しさ)について、Bリーグと国際試合で違いを感じることはない」と言ってのける。だからこそ「30分から35分のプレーでも大丈夫。そういった時間でもプレーできるコンディションにはある」とフル稼働にも応えられるとの意気込みを持っている。6月17日は彼にとって33回目の誕生日であった。「32歳は良い年だったけど、33歳はもっと良い1年にしたいね」とほほ笑む彼に、あらためて代表のユニフォームを着て戦う感想を聞いてみた。「日本を代表して戦えることは素晴らしい。とても光栄で、プライドを持っている」日本代表として最初の大一番まであとわずか。「信じてほしい。オーストラリア戦はしっかり準備をして迎えられる。それに彼らは、僕がいる日本を破ったわけではない」と頼もしいコメントをくれたファジーカスの大暴れを楽しみに迎えたい。2018/06/18日本代表
-
強力インサイドをどう使うか、バスケ日本代表の舵取り役を担う篠山竜青の責務「ああ、日本変わるんじゃないかな」という感覚昨日の国際強化試合、バスケットボール男子日本代表は韓国代表にほとんどの時間帯で2桁前後のリードを保っての快勝を収めた。ポイントガードの篠山竜青は富樫勇樹とのタイムシェアで19分のプレータイムを得て、勝利に貢献している。ニック・ファジーカスと八村塁の新戦力2人が話題となっているが、ファジーカスは川崎ブレイブサンダースで一緒にプレーしており、篠山にとっては気心の知れた相手。彼が驚いたのはゴンザガ大でプレーする八村塁だ。試合を終えた篠山は「いやあ、すごいです」と称賛する。「もちろんすごい選手が帰ってくるというのは分かっていますし、Youtubeとかいろんなところでプレーは見ていましたが、初日の練習でそれ以上のダンクを見せてくれたので、ワクワクします。一緒にプレーしていてもそうだし、ベンチで見ていてもそうだし、本当に皆さんもそうだと思うんですけど、『ああ、日本変わるんじゃないかな』というのをひしひしと感じます。「あの身体能力があれば突っ込んでしまえばどうにかなると思うんです。日本にいればただ突っ込んでジャンプすればノーマークになる。ですが、やっぱりそこはアメリカで修行したところだと思いますが、ゴール下に切り込んでからのステップ、止まってジャンプシュートを打つとか、運動能力に頼らずに基本的なステップ、ストップ、そういう部分を踏めるし、キックアウトもできますし、そこが本当にすごい部分です」「後半に入ってしっかりと落ち着いて修正できた」チームは快勝したが、篠山自身は苦戦を強いられており「バタバタでしたね」と反省しきり。ファジーカスと八村にインサイドを支配された韓国は、日本のバックコートを狙ってきた。篠山が攻撃を組み立て始める段階で強烈なプレッシャーをかけ、時には2人掛かりで圧力を与えた。「コンディションもかなり上がってるんじゃないかと思ってゲームに入りましたけど、韓国の運動量に対して息が上がってしまい、出だしで危なっかしいことをしてしまいました。交代で入ってやってはいけないプレーで、そこは反省すべきだと思います」「プレッシャーとかフィジカルというより、後ろから狙ってきたりギャンブル気味な。日本だとああいう感性を持った選手はなかなかいないし、ああいうバックファイア(背後から手を伸ばしスティールを狙うプレー)はBリーグだとファウルになることが多いので、そこのアジャストは後手後手になってしまいました」ただ、そんな韓国の奇襲に面食らったもののアジャストするのは早く、試合の主導権を譲るようなことはなかった。篠山も「後半に入ってしっかりと落ち着いて修正できたので、これをしっかりと前半からやれればもっともっと良い感じでいけるんじゃないかと思います」「日本が変わっていく部分」をリードする存在に『ああ、日本変わるんじゃないかな』という変化はファンだけでなく選手も感じている。だからこそ、篠山はポイントガードとしてその可能性をコート上で形にしなければならない。「今までは一回のオフェンスを大事にしなきゃならない、リバウンドも難しいのでセカンドチャンスもないと思うと、どんどん悪循環になってタフなミドルシュート、ロングツーだったりを打つのが日本の良くない部分でした。ですが、シンプルに2点が稼げるだけで、シューター陣もあれだけ簡単にノーマークになれる。これはどんどん日本が変わっていく部分です」強力な武器を手に入れたからこそ、ポイントガードのゲームメークの重要度も増す。富樫と篠山、司令塔として定着している2人がそれぞれどんな色を出してチームを引っ張っていくかが、今の日本代表の大きなポイントとなっている。2018/06/16日本代表
-
最強の新戦力ニック・ファジーカス「まずはホームゲームでオーストラリアに勝つ」日本代表にもたらしたい要素は「WIN!!」ワールドカップのアジア1次予選のオーストラリア戦、チャイニーズ・タイペイに向けた日本代表の候補選手に、4月末に帰化を果たしたニック・ファジーカスが選出された。長らく日本代表において最大のアキレス腱となっていたゴール下での得点力不足、リバウンド力改善の特効薬として大いに期待される『Bリーグ最強ビッグマン』のファジーカス。「代表に何をもたらしたいか」を書いてほしいとお願いすると、力強い文字で「WIN!!」と書いてくれた。日本代表のユニフォームを着ることについて「とても光栄なことで興奮している。試合が待ちきれない。メディアはみんな僕が代表に呼ばれると予想していたと思う。正直に言って、僕も呼ばれたらいいなと期待していた」と、自身も望んでいたAKATSUKI FIVEへの加入だった。それでも、喜んでばかりはいられない。0勝4敗とチームの置かれている苦境を理解しているからこそ「WIN!!」と書いたのだ。まず彼が強調するのは、チャイニーズ・タイペイ戦だけでなく、アジア最強チームのオーストラリアにも貪欲に勝利を狙いにいく姿勢だ。「前回の試合も第4クォーターを迎える前までは競っていた。そこに僕と(八村)塁が入ることでチャンスが生まれることを望んでいる。アンダードッグの扱いであることは分かっているけど、ホームゲームでスタンドは満員になるだろうし、みんな日本を応援してくれる。当然、チャイニーズ・タイペイとの試合には必ず勝たないといけない。だからスローガンは『WIN!!』だ」この試合、オーストラリアにはマシュー・デラベドバ、ソン・メイカーと2人の現役NBA選手が参戦する。しかし、ファジーカスは「相手にNBA選手がいるとか気にしない」と言う。「NBA選手であっても、自分と同じようにユニフォームを着て、シューズを履いてプレーする。いつもそう自分に言い聞かせている。それにNBA選手だからといって必ず活躍できるとは限らない。日本でも元NBAの肩書きで来て、みんなの予想を下回るプレーの選手を見てきた。NBA選手であっても、他の選手と違うように対処することはない。実際に対峙して見るまでは分からないことはあるし、試合中にアジャストしていくだけだ」「大学時代は、よくアンダードックとして戦い、そこで勝ってきた。オーストラリアが相手でも、勝つチャンスはあるよ」と、ファジーカスは番狂わせを虎視眈々と狙っている。この世紀のアップセットを果たすために不可欠となるのは、ファジーカスと八村による日本バスケ史上最高のインサイド陣が、ゴール下のリバウンド争いで五分に渡り合うこと。八村について「塁はとてもスペシャルなタレントだ。彼と一緒にプレーできるのは楽しいよ。彼はNBAに行ける才能の持ち主であり、NBA選手と一緒にプレーしているような感覚だ。彼の能力から言って、これまでの日本人選手とは違うのは明らかだ」と絶賛している。『チームプレーあっての自分』という姿勢は変わらずチーム合流から間がないため、フリオ・ラマスのスタイルにどこまで順応できるのかは気になるところだが、ファジーカスは特に心配していない。「ラマスとは同じ方向を向いている。とてもオープンな関係でコミュニケーションを取れている。たくさん話し合っているので、素早く彼のやりたいことを吸収できるし、これからの練習で十分間に合うと思う。川崎の時と、プレースタイルは少し違うかもしれない。もしかしたら、インサイドでのプレーがちょっとだけ少なくなるかもね。ただ、ラマスは僕が気持ち良くプレーできるように考えてくれている。川崎の時と自分の役割は変わらない。勝つためにプレーするだけだ」そして、ファジーカス、八村という2人の新戦力が救世主として大きな注目を浴びている現状ではあるが、ファジーカスは自分たちが大エースとして大暴れしなければ勝てないとは考えていない。『チームプレーあっての自分』という姿勢は川崎時代と同じだ。「僕と塁のどちらかスーパーマンになる必要はない。僕らがチームを助けるのと同じように、他の選手たちもたくさん僕らも助けてくれる。みんながやるべきことをやれば、すべてはうまくいくと思う」とファジーカスは言う。「ラマスのシステムは素晴らしくて、みんながボールに絡んでいく。チームトップの得点、リバウンドを挙げるようなプレーを見せたいけど、自分のワンマンチームのような感じでプレーをしてはならない。タフな体勢からのシュートを打つのならば、チームメートにパスをすべきだよ」「オリンピックは人生における一大イベントとなる」日本代表の合宿はNTC(ナショナルトレーニングセンター)に缶詰めになって行われている。普段とは全く違う生活のリズムを強いられ、ファジーカスも「NTCでの生活は高校や大学時代の寮生活を思い出させるよ」と苦笑するが、「ただ、こうして練習、食事、身体のケアとみんなで一緒に過ごすことは、より早くお互いをよく知りチームの一体感を高めていくためには良いこと」と、厳しい合宿の日々も楽しんでいる。常にチームとして行動する濃密な時間を過ごすことで、「一緒のチームになることで、今まで知らなかった他の選手についてパーソナリティーについていろいろと知ることができるのも興味深いね」と語るファジーカス。例えば今シーズンのBリーグMVPである比江島慎についての印象を聞いてみた。「比江島は、今まで自分が会った中で最も物静かな人かもしれない。彼はあまり話さない。ただ、コート上での彼のプレーはとても雄弁であり、素晴らしい選手だ。逆に辻はよくしゃべっていて、周りを笑わせようとしている。みんな、それぞれ違う個性を持っていて、それを知るのも楽しいね。辻は時々、僕の通訳を務めてくれるよ(笑)」まずは日本代表の一次予選突破へ集中するファジーカスだが、視線の先には東京オリンピックがある。「シーズンが終わった後、10日くらいアメリカに帰って家族と過ごした。家族や友達は、みんな帰化を喜んでくれた。もし、オリンピックに出場することになったら、会った人が全員、『東京まで応援に行く』と言ってくれたよ。家族や友人たちの前で、オリンピックをプレーできたら本当に人生における一大イベントとなるだろうね」この一大イベントを実現させるためにも、まずファジーカスはオーストラリア戦、チャイニーズ・タイペイ戦で日本代表を勝利に導くことへ全力を尽くす。これからのAKATSUKI FIVEの屋台骨となるファジーカスの日本代表でのプレーする姿をファンは心待ちにしている。2018/06/13日本代表
-
川崎の篠山竜青が振り返る2017-18シーズン「着々と一歩ずつ伸ばせていった1年」2017-18シーズン、川崎ブレイブサンダースの篠山竜青はリーグ屈指の強豪チームの絶対的なリーダーに加え、日本代表の常連としても確固たる地位を獲得し、Bリーグを代表する『顔』の一人となった。しかし、昨シーズンのファイナル進出から今シーズンは8強止まりと、不本意な形でのリーグ戦終了となってしまった。ファイナルを控えた5月24日、篠山にこの1年を振り返ってもらった。「メンタルの弱さがまだまだあるなと痛感しました」──まずはチャンピオンシップの千葉ジェッツ戦について聞かせてください。4月27日の京都戦で負傷し、レギュラーシーズンの残り試合を欠場。ぶっつけ本番で千葉戦を迎えましたが、実際にプレーしてどのような感触でしたか。出だしは思っていた以上に身体が動きました。怖さもなかったですし、身体が重たいなどの感覚も全然なかったです。ただ、ケガの不安よりも、たったの3試合の欠場でしたけど、試合から離れた影響か思い切りが足りず、様子を見てしまった部分はありました。ニック(ファジーカス)が帰化して、すごいチームが上り調子の中で、うまく馴染むことができませんでした。2戦目はベンチスタートでしたが、(藤井)祐眞が先発で出た時の方がボールがプッシュされていて、リズムもすごく良かったです。メンタルの部分で自分の甘さが出た感覚です。ケガして戻ってきて次の試合ですぐに活躍できる人はいますし、それくらい自分に自信を持てないといけないんだなとあらためて感じました。それは勉強になりました。足首のせいにする気はないし、あれだけの期間で戻ってこられたことに対しては逆に自信になりました。このクラブのスタッフ陣の実力を感じさせられました。ただ、メンタルの弱さがまだまだあるなと痛感しました。──最後の第3戦ではプレータイムが約1分半のみでした。それについて、もどかしさはありませんでしたか。自分が大事な場面で出たいというか、この場面で僕を出してくれ、ということはなかったです。ただ、この場面でベンチにいる自分が納得できないし、悔しさがありました。でも、コートで這いつくばって頑張っているみんなを見て、感動している自分もいました。心から頑張ってくれと思っていました。──千葉戦、第1戦から第3戦までのトータル90分でいえば、やはり第1戦の第1クォーターである最初の10分でつまずいたことが最大の敗因になりました。あの時は何が違っていましたか?僕が戻ってスタートで出て、まずは様子を見ながらやっていこうかな、というちょっとした思いが、チーム全体に出てしまったと思います。もちろん硬さもあったと思います。みんなシュートが入らなかったし、イージーシュートが落ちて向こうに走られてしまう展開になりました。そこで僕がオフェンスを重たくしてしまったというか。ハーフコートのオフェンスに終始してしまうことで、どんどん悪い方向に歯車が回ってしまったような感覚でした。あそこでもっともっとメンタルを強く持ってアタックしていれば良かった。走られたあとにもう一回走り返す、シュートを入れられたあとでもプッシュをして自分たちのリズムになるように、セットプレーに頼らずフリーランスの中でボールを動かしてリズムを作ることができたと思います。それがあの時の僕にはありませんでした。それがあの10分間の失敗です。千葉戦はあの10分で全部決まってしまったような感じはありました。「川崎の先発として試合に出ることがどれだけ大事か」──シーズン全体を振り返っていただきたいのですが、代表活動と並行という厳しさがある中で、どういう1年でしたか。忙しかったですね。土日に試合をして、次の土日まで中5日あることがありがたい。それくらい週頭の3日間の代表の合宿は心身ともにハードでした。めまぐるしかったし、中盤の何試合かは本当に記憶にないです。アナリストに自分のプレーを編集してもらうんですけど、こんな試合あったっけ、というくらいバタバタでした。また、気持ち的には切り替えているつもりでしたけど、週末に2勝して月曜から代表に行くのと、1勝1敗や2連敗で行くのとでは、体感的な疲労度が違うと感じていました。必死に大丈夫と思って、口ではそう言っているけど身体はしんどい、みたいな時は振り返れば確かにあったかもしれません。ブザービーターとか大逆転劇で負けたりと、最後にまくられることが序盤戦は特に多かったので。今考えればそこのしんどさは確かにありました。──厳しい代表活動の影響によるコンディション不良もあって、先発から外れる時期もありました。この時については、どういう思いでいましたか。外れたきっかけが11月11日、栃木との1戦目で敗れた試合です。2試合目の前、ミーティングの時に僕がどれだけディフェンスをサボっているかをスタッフに見せられました。「代表で疲れているのは分かるけど、これでは勝てない」と言われ、試合前にホワイドボードを見たらスタートが祐眞に変わっていました。2戦目が終わってから北(卓也ヘッドコーチ)さんから「コンディションのこともあるからベンチからにしたんだよ」と言ってもらえましたが、もっと危機感を持ってやらないとダメだと感じました。サボっているつもりはなかったですが、自然と身体がなあなあになっていたんだなと痛感させられました。もどかしさというより反省、あらためないといけない、という危機感。川崎の先発として試合に出ることがどれだけ大事かを思い知らされた時期でした。──川崎で先発に出ることは譲れないものですか?僕は川崎においては、先発で自分が出ないといけないと思っています。奪われるのは仕方ないですが、譲る気はない。それは代表でもそうです。とにかく格好良さですね(笑)。シックスマンという格好良さもあると思うし、それは人それぞれだと思います。ポジションによっても違うでしょうが、僕は小さい頃から先発ポイントガードを長くやらせてもらっているので、これからも川崎の先発のポイントガードとしてやりたい気持ちは持っています。ベンチスタートの時期は、理由がコンディションだろうがなんだろうが、すごく緊張感が高まりました。──シーズンを終えて、どこに成長や課題を感じていますか?成長できた部分は、細かいところだと思います。ディフェンスのちょっとしたポジショニングや、相手のチャンスを潰すための気遣い。そういう部分は着々と階段を登っていると思います。足りない分はメンタルの部分で、自分がチームの勝利にもっと貢献するために、ガツガツしていく必要があると感じています。スタッツは昨シーズンに比べるとマイナスだと思います。ただ、去年の経験だったり、今年の60試合にチャンピオンシップ、天皇杯の経験を踏まえてコートに立っている時の、俯瞰で見られる力。そういうものは着々と一歩ずつ伸ばせていっていると思います。「このシーズンがあったからこそ、と言える来シーズンを」──終わってみて振り返るこの1年は、どういうシーズンでしたか?昨シーズンは辻(直人)やライアン(スパングラー)のケガをきっかけに沈んだ時もあった中で、一気に駆け上ったシーズンだったと思います。今年はそういうアップダウンは小さかったかもしれない、ちょっとずつ低い階段かもしれないけど、着実に登っていくことができました。最後ケガもありましたけど、しっかり治してコートに立てました。結果はついてこなかったですが……。またああいう状態で、ぶっつけ本番でチャンピオンシップに臨んだことも一つ経験になりました。そこで失敗ももちろんしましたし、ミスもありました。ただ、それによって自分の経験値が上がったなと思います。いろいろ心身ともに忙しい中で、駆け上ることはできなかったですけど、一歩一歩コツコツ登ったシーズンでした。「このシーズンがあったからこそ」と言える来シーズンを送る予定です。──これからの代表活動に向けて、今はどういう時期ですか?ゆったり代表の招集を待っている時期です。何もしてないわけではなく(アシスタントコーチの佐藤)賢次さんとワークアウトをするなど、トレーニングもちょくちょく始めていますが、気持ち的には少しゆっくりしています。リフレッシュしながら身体を動かして、代表に向けている時期です。──いよいよ7月からはチーム体制も変わっていきますが、そこは新しいスタートというモチベーションですか?DeNAバスケットボールの方と何回かお話をさせてもらっていますが、もっと派手に格好よく、と言ってくれているので。そこは本当に僕らも楽しみにしています。そして、自分がどうなっていくのかもすごく楽しみですね。7月が近づくにあたって、プロモーションのこともそうですけど、いろいろな進化があると思うので楽しみです。──早々に川崎残留が発表された篠山選手ですが、来シーズンに向けて他のチームの動きは気にしていますか?めっちゃ気になっています。来シーズンのオン・ザ・コートのところも含めて、どういう戦いになるのかは自然とイメージはしてしまいます。その中で自分がどうチームに貢献するかというイメージはもう始まっています。ただ、ニックが帰化した以上、優勝候補になることは多分間違いないと思います。というか、優勝候補と言われるくらいにならないといけないと思います。どう結果を出すかという意味では、ニックは川崎に来てからずっと大活躍してくれており、他の誰かが伸びることが優勝には必要となってくる。来シーズンこそは自分がもう一回引っ張れる存在になりたいとは思っています。「川崎ブレイブサンダースの篠山として認められたい」──去就に関してですが、地元の神奈川出身選手としてフランチャイズプレーヤーという意識はありますか?今のNBAですごく寂しいのは、フランチャイズプレーヤーがなかなかいないことです。スターがどんどんビッグチームに移籍してしまうことが、すごく寂しいと思っています。僕は1990年代の生え抜きの、チームの顔と言えるスターが各チームにいて、ガチンコで戦っているところが好きでした。そういうのがあるから、オールスターがより楽しかったと思います。ブルズの時のマイケル・ジョーダンとか、コービー・ブライアントはすごく格好良い。今シーズン終了後にどうなるか分からないですけど、レブロンもちゃんと地元のキャブスに帰ってきています。ああいうのを見ると、いいなって思うんですよね。なので、川崎のフランチャイズプレーヤーとして、川崎ブレイブサンダースの篠山としてみんなに認められていきたいですし、ずっと川崎にいたいです。──去年のオフシーズンといえば、髭を剃るか、剃らないかの『髭問題』。紐をするかどうかの『紐問題』で賑わせてもらいました。今、来シーズンに向けてご自身は何か考えてらっしゃいますか?髪を切るかどうかの『髪型問題』が非常にありますね。ただ、井上雄彦先生に今の髪型で絵を描いていただいたので、切りたくない気持ちにもなっているんです。またいろいろいろんなことをやろうとは思っています。──最後に川崎ファン、そしてバスケファンの方へのメッセージをお願いします。今シーズンで東芝さんのオーナーとしての関わりは変わってしまいますが、これからもいろいろな形で支えてくれるとは思います。練習場も変わらないですし、クラブハウスも東芝さんが作ってくれたものです。そういう意味ではオーナーという名目ではないですけど、これからも東芝さんとは関わっていけると思います。DeNAグループになって変化の部分もあるとは思いますけど、選手個人の人格が変わるわけではないです。今までの川崎の温かい雰囲気というか、ファンと選手の距離が近い感覚は変わらないので、そこは心配せずに、今まで応援してくれた方たちには変わらずついてきてほしいです。その中でいろいろな進化を僕らもファンの人たちも一緒に楽しみながら、来シーズンの開幕までウキウキしながら過ごしてもらえたらなと思います。契約の部分でまだ来シーズンのメンバーがすべて決まったわけではないですが、僕はいます。これまでと変わらずに明るく楽しい、おめでたい雰囲気のチームを作っていきたいと思うので、ぜひまた一緒に戦ってください。2018/06/01Bリーグ&国内
-
大物フリーエージェントの一人、ポール・ジョージがサンダーとの再契約に傾く?ロバーソンの離脱がなければサンダーはもっと上に行けた?今オフにフリーエージェントになるオプションを保持するポール・ジョージに関しては、地元ロサンゼルスを拠点にするレイカーズへの移籍が既成事実のように報じられている。しかし、オクラホマシティの地元局『KWTV』によれば、ジョージの代理人がNBA関係者にサンダーと再契約を結ぶ意向を伝えているという。ジョージ本人の発言ではないため、これで決まりと断定することはできない。彼が契約先に求めるのは、優勝を狙えるだけの戦力を有しているかどうか。サンダーは昨夏、ペイサーズからジョージを、ニックスからカーメロ・アンソニーを獲得して『ビッグ3』路線に賭けた。しかし、結果的にラッセル・ウェストブルック、ジョージ、アンソニーの強力ユニット『OK3』は機能しなかった。ベンチ起用を受け入れないアンソニーに関しては放出が濃厚。それでもサンダーは、ウェストブルックの相棒としてジョージに残ってもらいたいと考えているはずだ。ジョージの去就としてはレイカーズ移籍が最有力と見なされているものの、『KWTV』は異なる見解を伝えている。同局によれば、もし今年1月下旬に左ひざ膝蓋腱断裂で戦列を離れたアンドレ・ロバーソンが健康な状態を保てていたら、サンダーはさらに上を目指せていたとジョージが考えているというのだ。ロバーソンはエースストッパーで、超攻撃的なサンダーにバランスをもたらす貴重な存在。彼が負傷離脱するまでサンダーは機能していた。開幕からロバーソンの離脱までの平均失点がリーグ4位の102点だったのに対し、離脱後からレギュラーシーズン最終戦までは同16位の108.3点まで悪化。プレーオフには進んだものの、チームトップの『守備職人』がいなくなってから戦績が安定しなくなり、最終的にはプレーオフ・ファーストラウンドで下位シードのジャズに敗れた。レイカーズは大物選手がフリーエージェントになる今年のオフに向け、数年がかりでサラリーキャップに空きを作ってきた。しかし、優勝できる環境を優先した場合、レブロン・ジェームズを獲得できる保証はなく、若手中心でまだ成長段階にあるレイカーズより、実績ある選手が揃っているサンダーに可能性を見い出したとしてもおかしくはない。ジョージのキャリアにとって、今オフはターニングポイントになる。より強力な布陣を持つ他チームに加わって優勝を目指すのか、この1年で可能性を感じたサンダーに留まるのか、決断の時を待ちたい。2018/05/27NBA&海外
-
東芝体制が終焉を迎えた川崎ブレイブサンダースに見る『長き歴史はクラブの宝』今シーズンは節目の50年目だった日本トップリーグ5月15日、Jリーグは創設から25年目を迎えた。プロ野球に至っては84年の歴史を誇る。平坦な道ではなく、集客の落ち込みやクラブの消滅など危機的状況も経験してきた。それでも止まることなく前進し続けてきたことで、揺るがないリーグを作っている。Jリーグもプロ野球も日本のスポーツ文化を支え、多くの方々にとって生活の一部になった。歴史を積み重ね始めたばかりのBリーグは、2年目のクライマックスを迎えている。トップリーグとしての歴史は長く、第1回日本リーグは1967年に始まった。今シーズンでちょうど50年目である。発足当時の8クラブの中で、今なお存続しているBリーグのクラブはたった一つしかない。現在B3で、企業チームとして活動している東京海上日動ビッグブルーである。B1クラブで最古のトップリーグに参戦しているのはサンロッカーズ渋谷だった。1969年、前身の日立本社が1部リーグに参戦。すぐさま翌年には降格し、再びトップリーグに戻ってきたのは1998年のこと。しかし、その時に1部昇格を果たしたのは、もう一つの前身である日立大阪の方だった。翌1999年は日立本社と日立大阪の2つの『日立』が1部リーグで競い合う。JBLスーパーリーグが開幕した2000年、2つの『日立』が統合し、SR渋谷の長き歴史を作ってきた。同じく2000年に日本最古のプロクラブとして誕生したのが、新潟アルビレックスBB(当時・新潟アルビレックス)である。2部リーグからスタートし、2002年に1部昇格。しかし、チケット収入で生計を立てなければならないプロクラブにとっては28試合しかない状況は厳しく、企業チームとの格差は広がる一方だった。その状況を打破すべく、トップリーグを脱退して2005年に誕生させたのがbjリーグである。6クラブからスタートしたが、11シーズンを終えた時点では24クラブまで膨れ上がった。JBL後にプロを目指して誕生させたNBLも、下部リーグのNBDLと合わせて22クラブが存在。そのためBリーグは、B1からB3まで大所帯で始まったのはご存じのとおりである。東京芝浦電気として1950年創部、68年の歴史に幕チャンピオンシップ・ファーストラウンドで千葉ジェッツに敗れた川崎ブレイブサンダースは、早々に今シーズンを終えた。同時に、一つの長い歴史にも幕を閉じた。1950年創部、東京芝浦電気の名で1983年に1部昇格。『タイガー』と『クーガー』の2つのディビジョンに分かれていた時代のラストシーズンとなる1999年に初のリーグ制覇を果たした。その後のJBLスーパーリーグでも2004年に頂点に立った。3シーズンしかなかったNBLだが、最初(2013-14)と最後(2015-16)の2シーズンを優勝している。Bリーグ元年は準優勝。レギュラーシーズンは49勝11敗の最高勝率を記録。今シーズン1位のシーホース三河が48勝12敗であり、その記録は破られていない。1999年に初優勝した時のMVPが、現ヘッドコーチの北卓也である。選手からヘッドコーチへと立場は変わったが、一つのクラブを全うしてきた北にとって、「東芝のためにも有終の美で終わりたい」という思いで今シーズンを戦っていた。しかしファーストラウンドで敗退し、「東芝にもそうだが、ファンや支えてくれる人たちの期待に応えられず本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです」と頭を下げた。2012-13シーズンから在籍しているニック・ファジーカスは、「東芝のおかげで落ち目だった自分のキャリアを取り戻すことができた」と感謝している。来日当初から「このチームで現役を終えたい」とも言っていた。東芝=川崎への忠誠心は強く、それだけ優良なクラブあることを言い表している。これからも歴史を紡ぐ川崎ブレイブサンダース歴史を振り返れば、企業がクラブを手放すことは廃部や休部を意味していた。しかしプロとなった今はクラブの在り方も大きく変わっている。来シーズンから運営こそDeNAにバトンタッチされるが、川崎ブレイブサンダースとしてはこれからも変わることなく歴史を紡いでいく。オーナーはいるが、プロクラブは個人所有物ではない。その地域の公共財である。チームを強くするビジョンを示し、そこで活躍する選手たちが輝き、なおかつ街や地域住民たちを少しでも豊かにしてくれるならば、誰がオーナーだって構わない。リーグも同じく公共財のはずだが、これまでは継続しきれなかったのがバスケの歴史でもある。クラブは脈々と歴史を築いてきたが、リーグがコロコロと変わったことで過去の優勝回数、選手のスタッツや受賞歴も思うように上積みできずにきた。歴史は宝である。年月を重ねた重みがクラブの勲章となり、応援するファンにとっての大きな誇りになる。THANK YOU FOR ALL YOUR SUPPORT.2017-18シーズン応援してくださったすべての皆様へ、感謝を込めて。#CHASE #川崎ブレイブサンダース pic.twitter.com/p4EGfrRBjt— 川崎ブレイブサンダース (@brave_thunders) 2018年5月17日2018/05/19Bリーグ&国内
-
エナジー満点の激突は第3戦へ、富樫勇樹の一発で千葉ジェッツが川崎を振り切る気迫のディフェンスとエースの働きで第2戦は川崎に昨日、千葉ジェッツと川崎ブレイブサンダースによるチャンピオンシップのクォーターファイナル第2戦、そして第3戦が行われた。初戦を落とした川崎は、第2戦でエナジー満点の戦いぶりを見せる。序盤は両チームのハードなディフェンスがオフェンスを上回ったが、その後は激しい走り合いのハイスコアな展開に移行。川崎の速攻からジョシュ・デービスのダンクが飛び出せば、千葉はマイケル・パーカーが走り込み得点。藤井祐眞の3ポイントシュートには石井講祐が決め返す。それでも第2クォーターに入ると川崎がじわじわと抜け出す。ニック・ファジーカスがすべてのシュートを決めてこのクォーター10得点と違いを作った。後半もファジーカスがゲームを支配。両チームの激しいディフェンスでゲームが重くなる中、ファジーカスだけが高確率でシュートを決めていく。またファジーカスは試合を通じて12リバウンドを記録。絶対に負けられない気迫が乗り移った川崎全体のディフェンスをゴール下で支え、なおかつパスもさばいて6アシストと、手の付けられない好調ぶり。54-45で迎えた最終クォーター、川崎は栗原貴宏の3ポイントシュートで差を11点に広げ、そのままリードを守り切り71-61で勝利。マッチアップの富樫勇樹を0点に抑えつつチームにスピードをもたらした藤井を中心としたガード陣の気迫のディフェンスで千葉を抑えきった。消耗戦の展開、コンディションの差が勝敗を分けるこれで第1戦は千葉、第2戦は川崎の勝利。よって勝負は第3戦へ持ち越された。千葉はギャビン・エドワーズの6連続得点で第2戦の嫌な流れを断ち切るが、川崎も辻直人や藤井がインサイドに切れ込んでの得点で食らい付く。しかし、試合開始3分ここまで川崎をけん引したファジーカスが足を痛めるアクシデントでいったんベンチに下がる。ここで千葉の石井が魅せる。川崎の死力を尽くしたディフェンスをかいくぐりロングツーを沈めると、直後の守備では、川崎のエース辻がアイソレーション気味に広いスペースを得た1対1を完璧に守り、エアボールを誘発。この流れからレオ・ライオンズと富樫が3ポイントシュートを連続でヒット。ファジーカス不在の2分間で6-6から14-6と抜け出し、前半を終えた。川崎もこのままでは終わらない。ファジーカスがコートに戻った後半開始から藤井のハッスルとファジーカスの得点で一気に差を詰める。藤井は得点を決めた直後の守備でエドワーズからボールを弾きスティール。これをファジーカスが見事な動きでファウルをもぎ取り沈めて1点差に。ここでチームを救ったのは富樫だった。残り40秒を切り1点差という場面でボールをコントロールし、ピック&ロールから自ら切れ込みフローターシュートを沈める。エースが責任を果たした千葉が試合残り25秒で18-15と突き放した。辻とファジーカスのピック&ロールに密着して打開をさせず、オープンになった藤井にパスをつながれるが、懸命にチェックに行く石井のディフェンスが功を奏してこのシュートは決まらず。ファウルゲームのフリースローを富樫とライオンズが決めきり、22-15で千葉が勝利した。余力のなかった川崎、『東芝のチーム』の最後激戦を制した千葉の大野篤史ヘッドコーチは「どちらに転んでもおかしくないゲームだったと思いますし、負けたくない、負けられない、どちらもプライドを持った良いゲームだった」と両チームの気迫溢れるプレーを称賛した。昨シーズンのファイナリスト、川崎はここで敗退。最後まで走り切った選手を「非常によく頑張ってくれた」と北卓也ヘッドコーチは称える。このオフにDeNAへ運営体制が変わる川崎にとっては『東芝のチーム』として最後のゲームに。社員選手として東芝に入り、今のチームで最も長く東芝に籍を置く北は「東芝のために、という思いでした。僕がプレーできるところではありませんが、有終の美で終わりたいという思いはあったのですけど申し訳ない」と頭を下げた。その北ヘッドコーチが悔やむのは、第2戦でファジーカス、辻、藤井と主力のプレータイムが30分を超えたこと。「ファウルトラブルもあったんですけど、第2戦でもっとプレータイムを分散させれば、第3戦に余力を残せていた。そこは私の責任」と采配を悔やんだ。負ければ終わりの試合、主力を引っ張らざるのは仕方ない部分もあった。しかし第2戦ではルー・アマンドソンがファウルトラブルでファジーカスを休ませられず、そのファジーカスは第3戦で一度ベンチに下がった時点で足を痛めていたようで、後半の5分間はフル出場したものの本来の迫力を欠いていた。その点では、エドワーズが「フィジカルに戦って消耗させたのが第3戦で効いた」と明かしたように、第2戦で32得点を奪われながらもブレることなくハードに守り続けた千葉が総合力で上回ったとも言える。優勝候補同士の激突を制した千葉。大野ヘッドコーチは「今日、ホームじゃなければ負けていたと思います」と、ファンに感謝するとともに安堵の声を漏らす。レギュラーシーズン60試合でホームコートアドバンテージをつかみ取ったことが大舞台で生きた。次週のセミファイナルも船橋アリーナに琉球ゴールデンキングスを迎え、大きなアドバンテージが期待できそうだ。2018/05/14Bリーグ&国内