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4連敗スタートの新潟アルビレックスBB、今夜の試合はガードナーを敵に回す正念場柏木真介「今はチャレンジしている段階」 新潟アルビレックスBBは開幕からアルバルク東京、川崎ブレイブサンダースと対戦して4連敗。絶対的なエースだったダバンテ・ガードナーが退団したことで苦戦は予想されていたが、負けがかさむと精神的にキツいもの。中地区を制してチャンピオンシップへ進出した昨シーズンと比べればなおさらだろう。 ただ、柏木真介は「今はチャレンジしている段階なので。前半戦までぐらいは苦しむだろうと思っていました」と平静を保っている。 「負けてしまっただけじゃなく、なんで負けたのか、自分たちの課題を明確にして一つずつ積み重ねていかないと、そこで本当に痛い目に遭います。数字だけとかリバウンドだとか、そういう簡単な問題じゃない。なんでリバウンドが取れないのか、なんで崩れてしまうのか。そこには原因があるし、それに気づくことがまず大事で、チームとして修正できるかどうかです。今はそこが見えているのかどうか分からない。4試合しかやっていませんし、これからしっかり修正できればと思います」 それでも、ただ負け続けているわけではない。柏木は言葉を重ねる。「勝ち負けがすべてですが、それでも開幕戦で意外と自分たちのやりやすいところはたくさんあって、手応えもあります。マイナスな部分だけじゃなくプラスの部分を継続していき、課題を克服していきたい」 実際、A東京との開幕戦では28点差の大敗を喫したが、そこから点差は10、9、3と強豪相手に競るようになっている。「まずはディフェンスからやって、ペースアップするのが今シーズンのチーム方針です。今は東京さんにしろ川崎さんにしろ、40分間ハードにディフェンスをやるチームと対戦して、良いお手本を見せてもらっています。それぐらい自分たちもしっかりやって、そこから速い展開に持って行ければと思います」 庄司ヘッドコーチ「一回リセットしなければ」 ガードナーに代わる得点源として期待されるのが新加入のニック・パーキンズだ。ここまで29得点、29得点、27得点、23得点とスタッツは残しているが、まだチームとして噛み合っている印象はない。庄司和広ヘッドコーチは「すごく頑張ってくれている」と称え、現状をこう見る。 「ローポストに預けて、というタイプではないのですが、残っている選手たちにそのイメージがどうしても拭いきれない部分がある。ローポストを起点とするスタイルではないし、そこで絶対的なパーセンテージを持っているわけではないので、チームとして一回リセットしなければいけないのですが、できていません」 過去3シーズンの新潟は、ガードナーの個人技を最大限に生かすスタイルを続けてきた。ガードナーとパーキンズのところ以外に選手の入れ替わりがないことで、それぞれに染みついた意識を変えるのが難しいのは無理もない。またもう一人の外国籍選手であるラモント・ハミルトンがプレシーズンに故障したことでチームスタイルの成熟が進まなかったのも出遅れの原因となった。 この点についても柏木は「とにかく我慢です」と繰り返す。「ニックは来たばかりだし若いし。ですが能力はすごいですから、そこを生かさないといけない。彼を慣れさせる必要もあるし、チームとしてやることを我慢強くやっていくしかない」 「チームみんなで若手をサポートする」 新潟の新しいスタイルはパーキンズだけではない。ベテランの五十嵐圭と柏木が多くを担っていたバックコートの仕事を、森井健太と今村佳太に移すことも重要な課題となる。ペースアップするにはタイムシェアは欠かせないし、クラブの将来を見据えてもやらなければならない。 柏木は若い2人への期待をこう語る。「本当に頑張っています。若いから良い時も悪い時もありますが、アグレッシブにやってほしい。その中で考えながら、学びながらやってほしいです。まだまだ言わなければいけないこともありますが、シーズンを通して成長してくれればいいと思います。若手の成長がチームの力になるので、チームみんなでサポートするので思い切りやってほしいです」 庄司ヘッドコーチも、先発の五十嵐、柏木に対してセカンドユニットを若いコンビに託すことでメリハリが出ると考えている。「2人は同じ年代なのでやりやすいと考えてそうしていますし、そこでテンポを上げたいというのもあります。これからどうなっていくか分かりませんが、現状ではそこが一番合っていると思います」 ガードナーが抜ければ得点力不足に苦しむと考えるものだが、庄司ヘッドコーチが考える課題は別のところにある。「ここまで感じるのはリバウンドのところが非常に弱く、テンポを上げようとしてもリバウンドが取れない。もう一つはイージーレイアップに繋がるターンオーバーです」 今夜は敵地でシーホース三河との対戦。つまりはガードナーを敵に回して戦うことになる。ただし、対ガードナーという意味では得点よりもリバウンドがカギになるのかもしれない。我慢の展開から勝機を見いだせるか。4連敗でも内容には見るべきものがあるだけに、新潟にとっては勝利が切望される。2019/10/16Bリーグ&国内
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チーム力で上回ったアルバルク東京が新潟に逆転勝利、3連覇に向け上々のスタート菊地祥平のハッスルがA東京のスイッチを入れる アルバルク東京がホームに新潟アルビレックスBBを迎えた第2戦。昨日は立ち上がりの勢いで上回られて敗れた新潟は、今日は開始早々エナジー全開でテンポの速いバスケを展開。A東京もディフェンスからリズムを作り、互いに引けの取らない戦いとなる。 第2クォーターに入りA東京がより良いシュートチャンスを作り出し7点のリードを作るが、新潟はオフェンスリバウンドを奪ってそのまま押し込むラモント・ハミルトンの力強いプレーで勢いが出る。前日の第1戦ではA東京のプレッシャーにパス回しを寸断されてセットプレーが機能しなかったが、この試合ではVカットなど基本の動きを確実に遂行することで選手もボールも動く。こうなると柏木真介とニック・パーキンズのピック&ロールも効果的に決まり、新潟は42-41と逆転して前半を終えた。 それでも後半からA東京はオールコートディフェンスで新潟のトランジションを封じ、ディフェンスから盛り返す。インテンシティの強さ、積極性を象徴したのは菊地祥平だ。攻守にハッスルしてリバウンドにも奮闘。このクォーターだけで7得点5リバウンドでチームに勢いを与えた。 新潟は後半に失速「最後は力尽きてしまった」 一方、立ち上がりから飛ばしていた新潟は受け身に回ることで失速。簡単には屈せず、何とか打開しようと終盤まで粘るも足が止まり、追い付こうとする気持ちが焦りを生んでイージーミスが増えた。最終スコア94-84でA東京が勝利、ホームで開幕連勝スタートを決めた。 2連敗となった新潟の庄司和広ヘッドコーチは、「今日はボールマンにプレッシャーをかけていこうと話し、前半はできていたが後半はインテンシティが落ちました。強度が強いディフェンスを40分間できるかがカギだったが、最後は力尽きてしまった」と試合を振り返る。 昨年度王者のA東京は、最後までディフェンスの強度が落ちることなく、苦しい時間帯も耐え抜いて自分たちのバスケットを遂行した。今日も9人の登録選手がプレータイムと役割をシェアして全員が勝利に貢献。2連勝という結果はもちろん、A東京らしいスタイルを出せたことで、3連覇に向けて上々のスタートを切った。 10月6日のB1 9試合の結果 島根63-66名古屋D SR渋谷83-78千葉 富山88-71三遠 京都72-69滋賀 秋田70-77大阪 琉球80-76三河 北海道72-67横浜 A東京94-84新潟 川崎75-69宇都宮2019/10/06Bリーグ&国内
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百戦錬磨の柏木真介が新潟を飛躍へと導く「特別なことをやってきたわけではない」勝者のマインドを伝え、新潟はチャンピオンシップへ 平日開催が増えてリーグ3年目にして一気に過酷となったレギュラーシーズンも今週末で全日程を終える。最も大きなサプライズを起こしたのは新潟アルビレックスBBではないだろうか。 新潟の戦力は黒星先行で終わった1年前と比べ、前年ベースの実績で言えばほとんど変化はなかった。また、外国籍選手の起用ルールに変更があったが、これは帰化選手が不在の新潟にとってマイナス要因だった。それでも、開幕から順調に白星を重ね、前節には敵地で同地区の優勝候補である川崎ブレイブサンダースを粉砕し、2試合を残して中地区優勝を決めた。 この躍進を振り返る際、チームに大きなプラスアルファをもたらした存在として不可欠なのが柏木真介だ。アイシン(現シーホース三河)で数々の勝利に貢献した国内屈指のタイトルホルダーだが、ここ数年は故障に苦しめられていた。特に昨シーズンは長年在籍した三河を離れて移籍した名古屋ダイヤモンドドルフィンズで34試合出場、1試合平均のプレータイムも11分とキャリアワースト級の成績に終わっていた。37歳という年齢も加味すれば、新潟に移籍してどこまで戦力となれるのか懐疑的な声も少なくなかった。 しかし、柏木は開幕から五十嵐圭と不動の先発ガードコンビを形成すると、鋭い読みを生かしたタフなディフェンス、巧みなゲームコントロールに要所で決める外角シュートで中心選手として大暴れ。ここまで1試合平均28分出場、7.9得点3.0リバウンド3.1アシスト1.4スティールを記録。また、チームに勝者のマインドを伝える無形の効果も含めると、新潟にもたらしたインパクトは本当に大きなものだ。もし、プロ野球のカムバック賞に相当するアワードがあったなら、満場一致で柏木が受賞するであろうパフォーマンスだ。 「チャレンジの気持ちを持ってやりたいですね」 もともと、新潟は圧倒的な得点力を誇るダバンテ・ガードナーを擁し、爆発力は申し分ない。そこに守備で我慢できるようになったことが今シーズンの躍進に繋がった。その守備の改善に有形無形の貢献を果たしたのが柏木だ。 「自分の中では、何か特別なことを言ったりとか、やってきたわけではないです。チームのスタイルも昨シーズンとは変わっていない。ただその目指しているバスケットボールであったり、ディフェンスをどのようにやるべきか、シンプルに分かりやすく教えてあげたり、実際にプレーで見せてあげました。練習でも試合でも気づいた時にはすぐアドバイスしていました」 もちろん守備だけでなく、攻撃面の底上げにも尽力した柏木から見ても、今のチームは攻守で着実に進歩している。「もともとオフェンス能力があるチームで、そこにスペーシングなどをアドバイスしてバランスが良くなってきました。またオフェンスだけなく、やはりディフェンスが機能してきたことで勝ちがついてくるようになりました」 新潟にとっても地区優勝に大きな充実感はあれど、目指す頂きへの通過点にすぎない。大舞台の経験はチーム随一である柏木は、「ここからは特別なことをやるのではなく、いかに自分たちがやってきたことの質を高めていけるかだと思います。チームにとって初めてのチャンピオンシップですし、行けるところまで行く、チャレンジの気持ちを持ってやりたいですね」とポストシーズンへの意気込みを語る。 クォーターファイナルの相手は、昨シーズンの王者であり常勝軍団のアルバルク東京だ。大舞台になればなるほど、百戦錬磨である柏木は新潟にとってさらに頼りになる存在となってくる。2019/04/19Bリーグ&国内
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川崎のビッグラインアップ不発、新潟アルビレックスが中地区首位決戦に先勝する大黒柱のガードナーを軸に盤石の試合運びを披露 3月16日、中地区首位の新潟アルビレックスBBが、ホームで同地区2位の川崎ブレイブサンダースと対戦。ダバンテ・ガードナーを軸に2点シュートを35本中26本(成功率74.3%)と高確率で沈め、ディフェンスでも高さの不利に負けずリバウンド争いを制し、85-74で勝利を収めている。 第1クォーター序盤、新潟は司令塔の五十嵐圭がひざを痛めていきなりの負傷退場。結果的にはこのクォーター終盤に復帰と大事には至らなかったが、地区首位決戦の大一番でのアクシデントは、チームを動揺させてもおかしくない。たが、ここで新潟はもう一人のベテランガードである柏木真介が、さすがの存在感を見せる。 「圭さんがああいう状況になってしまい、ちょっとヤバいなと。これは自分が攻めないといけないかなと思いました。もともと今日はディフェンスに重点を置いて、得点は周りに任せようという意識でした。それが、オフェンスもやろうかなと切り替えがありました」 五十嵐の故障直後の心境をこのように振り返る柏木は、有言実行とばかり自ら積極的にアタックし、このクォーターで8得点。さらに新潟は終盤、川崎がニック・ファジーカス、バーノン・マクリン、シェーン・エドワーズのビッグラインアップを起用したことで機動力が落ちた隙をついてトランディションに持ち込み、連続得点で突き放し24-16とリードを奪う。 第2クォーターに入ると、今度は川崎が走る展開に持っていく。このクォーターで3ポイントシュート3本すべてを決めた藤井祐眞の奮闘により、残り5分で29-29と追いつく。だが、ここから新潟は五十嵐の連続シュートなど再び終盤に突き放し、43-36と先行して前半を終える。 後半も展開は変わらず。第4クォーターも序盤に6点差に詰め寄られるも、直後にガードナーが得点して悪い流れを断ち切る。結局、この日フィールドゴール20本中12本成功の27得点12リバウンド7アシストの大黒柱ガードナーを軸に、最後まで優勢を保って試合を進めた新潟が危なげない勝利を収めた。 五十嵐と柏木、ベテランの存在感が際立つ 新潟の庄司和広ヘッドコーチは、「ディフェンスにフォーカスして、74点に抑えられたことが良かった」と、高確率でシュートを沈めた攻撃よりも守備を強調。さらに「今日のハイライトは、柏木のルーズボールから(五十嵐)圭がしっかり繋いでくれたこと。今年のチームを象徴するもので、ああいうプレーが今のチームを表しています。他の選手もできるようにしていきたいです」と、ベテランの泥臭いプレーがチームに勢いを与えたと称えている。 ちなみに五十嵐は負傷のアクシデントにも動揺せず15得点をマーク。柏木も冒頭で触れた8得点に加え、守備でも主にマッチアップした辻直人をフィールドゴール7本すべて失敗の2得点と沈黙させるなど、大一番でベテランコンビの存在感がより際立った。 一方、川崎の北卓也ヘッドコーチは次のように敗因を語る。「2点シュートを70%以上の確率で決められ、特にガードナー選手を起点にやられてしまいました。前半、3ポイントシュートを決められて、どっちつかずのディフェンスしかできなかったです。そして、自分のマークマンよりガードナー選手を守りにいって空いているところで決められました」 川崎はビッグラインナップ不発で74得点 川崎にとって痛かったのは積極的に使ったビッグラインアップが不発に終わり、むしろ3人を同時起用した時に点差を広げられてしまったこと。「この布陣の一番の強みはオフェンスですが、74点しか取れなかったです。アシストは多いですが、ボールが回っていない。局面で1対1のオフェンスをしているのが見受けられます。もっと相手が嫌がるところをつけられば良いんですが、すぐシュートを打ってしまう。それで落ちて走られてしまう。逆にディフェンスはもともと良いとは思っていないですが。今日もリバウンドは取られるし、ローテーションもできていない。考えさせられるゲームでした」と指揮官も厳しい表情で語っている。 これで両チームのゲーム差は4に開いた。新潟が連勝して、地区優勝へ大きく前進するか。それとも川崎が巻き返すことができるか。明日は中地区タイトルの行方を決定づける可能性のある試合となっている。 川崎が雪辱を果たすには、2得点の辻に加え、シュート21本中7本成功のみ(成功率33%)の19得点に終わったファジーカスと得点源の2人が今日の借りを返すかどうかになりそうだ。2019/03/16Bリーグ&国内
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Bリーグ前半のポジティブサプライズ5人、チームとスタイルが噛み合い主役を演じる鵤誠司、松島良豪、阿部友和、安藤周人、柏木真介 ワールドカップ予選が間に入る関係で、今シーズンのBリーグの日程は慌ただしいものとなっている。今年に入り天皇杯のファイナルラウンドとオールスターの間もリーグ戦は常に行われてきた。今日もオールスターが終わった直後だが、B1はミッドウィーク開催。全9試合が全国各地で行われる。どのチームも開幕からここまで32試合を消化し、全60試合のレギュラーシーズンを折り返した。シーズン前半戦を振り返り、それぞれのチームにポジティブなサプライズをもたらした選手を紹介したい。 鵤誠司/栃木ブレックス チームの精神的支柱である田臥勇太が開幕6試合に出場した以降はケガでプレーできていない状況で、その穴を埋めたのが鵤誠司だ。ポイントガードのスタイルは田臥と大きく異なるが、強靭なフィジカルで違いを生み出す。特にディフェンスでは強烈なプレッシャーで相手を疲弊させ、栃木が目指す『ディフェンスからリズムを作るスタイル』にフィット。フィールドゴール成功率36.9%は改善の余地を残すものの、フィジカルのミスマッチを攻めることでオフェンスでも貢献している。また1番から3番までをこなすことで、チームの大きな支えとなっている。栃木で2年目のシーズン、安齋竜三ヘッドコーチのバスケットにフィットして存在感が増した。 松島良豪/レバンガ北海道 先発起用が増えてプレータイムが伸びたことで、スタッツは軒並み向上。特に1試合平均6.2アシストは並里成に次ぐリーグ2位の数字で(ただし出場試合数が規定に満たないジュリアン・マブンガが実質トップ)、先発した15試合に限れば平均7.3アシストとリーグトップクラスに躍り出る。平均得点がリーグ13位(73点)とオフェンス力に乏しいチームでこの数字は評価に値する。もともと視野の広さとバスケIQの高さを備えたポイントガードだが、今シーズンになって特にゴール下へのアタックなど守備を切り崩すきっかけを自ら作り出す積極性が増したことがアシスト増に繋がっている。あとは8勝24敗と振るわないチーム成績をどう上向かせるか。ポイントガードとしてはスタッツよりもチームを勝たせることが肝心だ。 阿部友和/富山グラウジーズ これまでの富山は絶対的な存在である宇都直輝のフル出場に近い奮闘が前提となっていたが、長いシーズンを戦い抜くには信頼できる2番手のポイントガードが必要だった。そこにハマったのが阿部だ。展開に応じてゲームをコントロールし、激しいディフェンスで相手の流れを断ち切る阿部が繋ぐことでチームに安定感が出た。阿部個人も千葉ではディフェンス専任の印象だったが、富山ではオフェンスでも持ち味を発揮。3ポイントシュートの成功率は48.5%、平均16.5分の出場で平均6.5得点と効率の良いプレーが光る。シックスマンとして見事な働きを見せている。 柏木真介/新潟アルビレックスBB シーホース三河でプレータイムを減らし、移籍した名古屋Dでは先発出場がなかった。全盛期を過ぎたベテランとして、経験を伝える役回りを受け入れたのかと思いきや、今シーズンは新潟で完全復活。五十嵐圭とのツインガード、2番的な使われ方が見事に機能し、老獪なプレーとここぞの場面でシュートを決める勝負強さが光る。ここまで欠場わずか3試合、平均30分近くのプレーと、「まだまだ第一線で通用する」どころか今がバリバリのパフォーマンス。新潟はここまで22勝10敗、混戦の中地区での首位キープに、柏木が大きく貢献している。 安藤周人/名古屋ダイヤモンドドルフィンズ 3ポイントシュート成功数92は2位の富樫勇樹(73本)に大差を付けてのリーグ最多。1試合平均6.7本のアテンプトで43%の成功率と、リーグでトップクラスのシューターであることを証明している。また、3ポイントシュートを警戒する相手の裏を突くドライブからのフィニッシュも脅威となっており、2点シュートの成功率は61.1%と超高確率。得点ランキングでは日本人4位の平均14得点であり、オフェンス能力の高さをコンスタントに示している。オールスターのリーグ推薦から外れ、3ポイントシュートコンテストにも選ばれなかったが、名古屋Dのファンに限らず安藤のプレーは見たかったのではないだろうか。2019/01/23Bリーグ&国内
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老獪なゲームコントロールが冴えた新潟アルビレックスBB、横浜を退け中地区首位へ1点差で最終クォーターを迎える好ゲーム 横浜ビー・コルセアーズvs新潟アルビレックスBBの第1戦。終盤に迫られるも、その都度得点を入れ返す精神的タフさで横浜を退けた新潟が79-72で勝利した。 横浜は10月27日に契約を結んだ新戦力、プリンス・イベがスタートに名を連ねたが、ファウルコールにアジャストできず、序盤からファウルトラブルに陥る羽目に。その横浜はマンツーマンでスタートし、エドワード・モリスがダバンテ・ガードナーへのダブルチームで起点を作らせないよう試みるが、ガードナーは冷静にパスを散らして自分に優位なタイミングでのみ仕掛けて9得点を挙げ、新潟が先行した。 18-15と新潟リードで迎えた第2クォーター。横浜は慣れ親しんだゾーンディフェンスに切り替えガードナーを2得点に抑えた。だが試合後に横浜の指揮官トーマス・ウィスマンが「前半は間違いが多かった。優秀な3ポイントシューターがいるのにオープンで3ポイントを打たれてしまった」と漏らしたように、柏木真介がこのクォーターだけで5本の3ポイントシュートを沈め、41-32とリードを広げて前半を折り返した。 横浜の反撃は後半から。ガードナーとラモント・ハミルトンを強調しすぎてパスが回らなくなった新潟に対し、横浜は川村卓也がオフェンスマシーンと化す。ピックからこのクォーターだけで4本の3ポイントシュートを沈めて追撃。またトランジションオフェンスも冴え、細谷将司のバスケット・カウントや田渡凌の速攻で何度も1ポゼッション差に詰め寄り、残り2分にはモリスがオフェンスリバウンドからゴール下のシュートをねじ込み、逆転に成功した。 新潟としては、横浜の勢いに飲まれてもおかしくはない展開だったが、この直後に五十嵐圭が一瞬の隙をついて速攻を決める。再逆転した新潟が60-59とわずかにリードして最終クォーターを迎えた。 ツインタワーを生かした新潟に軍配 新潟は一貫して強みであるインサイド陣を強調する。すると開始40秒で、ここまで18得点を許していたアマンゼ・エゲケゼを4ファウルに追い込み、残り6分40秒にはイベをファウルアウトさせた。こうなるとインサイドは止められず、ガードナーとハミルトンで加点し、新潟は7点のリードを奪った。 ホームで負けられない横浜も粘りを見せ、川村の連続得点などで残り2分30秒には3点差まで迫る。だが直後のオフェンスでガードナーがファウルを誘い、横浜のチームファウルが5に到達。2本のフリースローを確実に沈め優位を保つと、残り1分30秒にガードナーがバスケット・カウントをもぎ取り勝負アリ。 第3クォーターに逆転を許し、最終クォーターでも1ポゼッション差まで迫られるも、焦ることなくストロングポイントを強調し、自分たちのバスケを貫いた新潟が勝利を収めた。 新潟の庄司和広ヘッドコーチは「準備してきたことができた」と話し、「ケガ人がいて練習時間もあまりなく、合わせることができなかったですが、その部分では良いパフォーマンスを発揮してくれたと思う」と総括した。 一方で得点者が先発の4名に偏ったこともあり、「セカンドユニットのステップアップを早急にしたい。彼らもやる準備はできているので、場所を提供することが必要」と話し、タイムシェアを含めたチームの底上げが課題となっている。 敗れたトムコーチは「もう少しスマートにプレーしなければいけない試合。向こうよりも3ポイントシュートを打ち(横浜27-26新潟)、オフェンス重視のチームを相手に自分たちがシューティングコンテストになってしまった。自分たちがやりたいバスケができていなかった証拠」と分析した。また「前半のディフェンスの間違い、前後半を通してリバウンドで負けたことの2点」を敗因に挙げた。 新潟は昨日の勝利で7勝4敗とし、同率ながら中地区首位に浮上した。一方の横浜は単独最下位に転落。立場は違えど、一つの勝敗で順位が変動する状況のため、このあとの試合も激戦必至となるはずだ。2018/11/04Bリーグ&国内
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ガードナー無双、新潟アルビレックスBBが突然のアクシデントを乗り越え横浜に快勝ハミルトンの故障をチーム一丸で乗り切る 10月24日、新潟アルビレックスBBは敵地で横浜ビー・コルセアーズと対戦。ダバンテ・ガードナーがフィールドゴール18本中13本成功、フリースロー12本中12本成功による39得点、16リバウンド、5アシストと試合を支配した新潟が88-72で快勝した。 新潟はラモント・ハミルトンがティップオフでのジャンプボールでの着地でひざを負傷して退場。まさかのアクシデントにより、いきなりオン・ザ・コート「1」でこの試合を戦うことを余儀なくされる。一方の横浜は帰化選手のエドワード・モリスにアマンゼ・エゲケゼ、ジャボン・マックレアの3人を先発起用しており、外国籍選手がガードナーのみとなった新潟はサイズで大きな不利を抱えてしまう。 だが、ここで新潟はガードナーのインサイドだけでなく、上江田勇樹の3ポイントシュート2本成功などアウトサイドからもバランスよく加点。第1クォーターを25-20とリードして終える。そして、第2クォーターに入っても3ポイントシュートを効果的に沈めて得点を重ねていく。 また、守ってはハミルトン離脱によるサイズ不足を補うためゾーンディフェンスを敷く選択もセオリーとして考えられる中、新潟は庄司和広ヘッドコーチが「ゾーンをする機会はたくさんありましたが、みんな足をよく動かすことの意識づけができており、頑張ってくれていました。ゾーンを回避して、マンツーマンで通すことができたのが一番の勝因だと思います」と振り返るように、個々が足を使って粘り強く守ることで横浜のオフェンスを抑える。この結果、45-32とリードを広げて前半を終える。 五十嵐圭、柏木真介が試合をコントロール 後半に入っても試合の流れは変わらない。新潟はガードナーを軸にしたオフェンスで引き続き得点のペースが落ちず。ほとんどの時間帯で2桁以上のリードをキープすることで、危なげなく逃げ切った。 新潟の庄司ヘッドコーチは「ラモント不在という特別な状況の中でも慌てることなくゲームに入れました。そして、すぐにペースをコントロールしなさいと言いました」と、ハミルトンの開始直後の負傷退場における非常事態への指示を振り返る。 そして新潟は9得点6リバウンド6アシストの五十嵐圭、16得点7アシストの柏木真介の両ベテランガードを軸に、この指示をしっかりと遂行。自分たちの得意とするテンポで試合を運べたことが勝利につながった。 逆に横浜はトーマス・ウィスマンヘッドコーチが総括するように、自分たちの目指す展開に持ち込めなかったのが痛かった。「今日は新潟のバスケットボールを完璧にやられてしまった。向こうはハーフコートバスケットボールが得意で、それをさせないためにもフルコートでオフェンスをしようと話していましたが、エナジーが足りずにボールをプッシュできなかった。向こうの得意な分野で戦ってしまった」 悩めるウィスマン「自分たちは最も失点が多い」 新潟は、横浜のガードナー封じで多用してきたゾーンディフェンスに対して「ゾーン対策は、しっかりとしてきました。もともとウチはゾーンを得意としているところもありますが、強みが出たと思います」としっかりと対応。ゾーン守備崩しのキーマンである五十嵐が39分18秒、ガードナーが39分32秒のプレータイムと2人に依存し過ぎた感はあるが、相手ディフェンスを難なく攻略した。 ハミルトンの故障の詳細が気になるが、大きなアクシデントに遭遇しても冷静に対処して勝てたことは新潟にとって大きな弾みとなる。一方の横浜は、連勝した先週の滋賀レイクスターズ戦で改善の兆しが見えたと思われた守備が再び崩壊。「自分たちはリーグで最も失点が多い。ディフェンスをしっかりさせるための答えを見つけ出さないといけない」とウィスマンヘッドコーチが語るように、一刻も早く守備改善のきっかけをつかみたいところだ。2018/10/25Bリーグ&国内
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新潟でかつての輝きを取り戻した柏木真介「上のレベルへいく手助けをしたい」千葉と互角に渡り合い、チームに手応え 昨夏に10年間所属したアイシン(現シーホース三河)を退団し、名古屋ダイヤモンドドルフィンズへ移籍した柏木真介は、次なる戦いの場を新潟アルビレックスBBへと移した。 日本代表にも選出され、新人王やリーグMVP、オールジャパン優勝やベスト5など、数々の輝かしい栄光を手にしてきた柏木だが、3シーズン前からプレータイムが減り、昨シーズンではキャリア最少となる平均11分の出場に留まった。 だが、新潟で迎えた今シーズンは開幕から7試合すべてに先発し、平均約28分間出場している。「プレータイムとかスタメンっていう部分はあまり気にはしてなかったですけど、やっぱりチーム事情でそう求められているので、しっかりと対応できるように準備はしてます」とプレータイムが大幅に増加しても顔色は変わらない。 タイムシェア最盛の現在、28分間というプレータイムはリーグ全体と比較しても長い部類に入る。昨シーズンから2倍以上に伸びている柏木には、とりわけ長く感じられるだろう。本人も「30分近く出るのは何年ぶりか分からないですし、最初はキツかったです」と認めるが、「試合をやるにつれて身体も慣れてきましたし、体力的な部分ではあまり気にならないです」と36歳とは思えない前向きな言葉が聞けた。 先週末の千葉ジェッツとの試合では第1戦で8得点6アシスト、第2戦では17得点を記録するなど調子を上げている。ともに8点差以内の惜敗となったが、「結果は負けたんですけど、千葉を相手にしても、やれるという感覚をつかんだんじゃないかな」とチームに手応えを感じてもいる。 「プレーヤーとして、戦力としてここに来てもらいました」 このところプレータイムを減らしていたのは、36歳のベテランとしての役割の変化という側面もある。メンターとして、これまで培ってきた経験を伝え、若手育成の一助を担ってほしいというチーム側の思惑もあるだろう。 だが、新潟の庄司和広ヘッドコーチはバックアップではなくメンターでもなく、プレーヤーとしての柏木を評価して迎え入れた。「復活したわけではなく、彼は何も変わっていません。もともと持っている自分の力をここで示してくれている。彼に経験を求めているのではなく、プレーヤーとして、戦力としてここに来てもらいました」 新潟には絶対的なポイントガードの五十嵐圭がいるため、柏木は現在2番ポジションでプレーしている。「まだまだ探り探りやっている状況」と本人は言うものの、「毎試合何をしたらいいのかということを見つけながら、状況に応じてプレーするようにしています。得点に絡むのか、周りを生かすのか、ポイントガードを支えてあげるのか。そういった役割はまだまだたくさんあるので、そこはゲームによって対応できるようにやっていきたい」とベテランらしく、明確な目的を持って試合に臨んでいる。 そして「僕自身、チャレンジするつもりで移籍してきた」という柏木の目標は、チャンピオンシップ進出だ。「チャンピオンシップ出場圏内にいながら行けなかったりっていうのを、敵ながら見ていました。チャンピオンシップに出ることで新潟も盛り上がると思うし、チームとしても一つ上のレベルに行けると思っています。その手助けをしたいということで新潟に来ているので、まずはチャンピオンシップ出場を目標に、そしてチャンピオンシップに出場できればその先は自分たち次第でワンチャンスあると思うので。まずはチャンピオンシップ出場に向けて、しっかりとチームの力になりたいです」 キャリア15年目にしてシューティングガードという新たなチャレンジにも取り組んでいる柏木。その老獪なテクニックで新潟をチャンピオンシップに導き、その先にある栄光を手にできるか。柏木のチャレンジはまだ始まったばかりだ。2018/10/23Bリーグ&国内
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決められたら決め返す、新潟の粘りを退けた千葉ジェッツがハイスコアゲームを制す富樫が流れを変え、小野がとどめを指す 千葉ジェッツがホームの船橋アリーナに新潟アルビレックスBBを迎えた第1戦。ともに3連勝と調子の良いチーム同士の戦いとなったが、早い段階で主力を戻して悪い流れを払拭した千葉が、両チーム合わせて188点のハイスコアゲームを制した。 序盤から互いの強みを生かした点の取り合いとなる。新潟は得点ランキング2位のダバンテ・ガードナーを中心にハーフコートバスケットを展開し、柏木真介が積極的にシュートを沈めていく。それでも千葉は、この日絶好調の小野龍猛が3本の3ポイントシュート含む5本すべてのシュートを成功させ14得点を挙げるなど、25-19とリードした。 第2クォーターに入り、新潟はハーフコートバスケを貫き、インサイドアウトから3ポイントシュートを沈めるなど得意の形が出て一時同点に追いつく。だがこのクォーターを任された西村文男が軽快にパスを散らしつつ、テンポを上げ速攻を操り千葉にリズムをもたらした。すると西村と石井講祐がコートにダイブしマイボールにするなど、ディフェンスも活性化。西村は自らもピック&ロールからシュートを沈めていき、このクォーターだけで10得点を記録するなど、千葉がリードを2桁に乗せて前半を終えた。 後半は互いに外からのシュートが決まらず、インサイドの得点が増える重い展開となり、2桁前後の点差のまま試合は推移した。だが第4クォーター序盤、新潟は千葉がセカンドユニットの時間帯に個の力で襲い掛かる。ラモント・ハミルトンの3点プレーとなるバスケット・カウント、ガードナーのポストプレーなど9連続得点により、2点差まで詰め寄った。 追い詰められた千葉は開始約2分で先発メンバーに戻す。「もう少し我慢しようと思ったんですけど、流れが悪すぎたので。自分たちが意図していないシュート、ディフェンスができていないと判断して代えました」と大野篤史ヘッドコーチが説明したこの判断がチームを立て直した。 ディフェンスで我慢し、富樫が速攻と2本の3ポイントシュートで9連続得点を挙げ悪い流れを断ち切る。新潟の強力インサイド陣に得点されるもマイケル・パーカーとギャビン・エドワーズはタフショットを打たせ続け、連続得点を許さなかった。互いにオフェンスがディフェンスを上回る展開が続いたが、千葉が小野の連続3ポイントシュートでリードを広げ、残り1分のパーカーのミドルシュートで9点差としたところで勝負アリ。千葉が最終スコア98-90の乱打戦を制した。 大野コーチ「勝ち切ったことを評価したい」 勝利した千葉の大野ヘッドコーチは「練習が1回しかできなかったので、コミュニケーションミスが多くあり、ディフェンスの浸透度合いが少なかった」と90失点のディフェンスについて言及した。それでもリーグトップクラスのオフェンス力を誇る新潟との打ち合いに「勝ち切ったことを評価したい」と話した。 一方敗れた新潟の庄司和広ヘッドコーチは「準備してきた部分がうまくいったこと、うまくいかなかったことはあるが、その中でも千葉さんを相手に戦えたことはこれからの自信につながる」と前を向いた。「小野選手や西村選手、もちろん富樫選手など、日本人選手が非常に得点力があって、そこは他のチームにはないものです。そこに対してチャンレンジしていきたい」と明日への抱負を語った。 また庄司コーチは「タイムシェアができなかったのが問題で、それは自分の責任」と語る。新潟では五十嵐圭、ハミルトン、ガードナーの3人が35分を超えるプレータイムとなったが、千葉も先発メンバーに戻すタイミングが早くなったことで、パーカー、エドワーズ、小野のプレータイムが30分を超えた。互いに主力の負担が大きくなり、明日の第2戦はベンチワークが勝敗のカギを握りそうだ。2018/10/20Bリーグ&国内
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サンロッカーズ渋谷、ラスト5分無失点の逆転劇で名古屋ダイヤモンドドルフィンズを振り切り今シーズンホーム初勝利!シーソーゲームの行方を決めたのは終盤の堅守10月14日、サンロッカーズ渋谷がホームで名古屋ダイヤモンドドルフィンズと対戦した。試合の大半で追いかける展開を耐え、第4クォーター残り約5分を無失点に抑えるなど終盤に圧倒。87-81の見事な逆転勝利を収め、連敗を3でストップ。ホームでの今シーズン初勝利を挙げた。SR渋谷は長谷川智也の得点などで11-3と先行し、第1クォーターで26-21とリードを奪う。しかし、第2クォーターに入ると名古屋Dは、柏木真介がこのクォーターだけで3ポイントシュートを3本中3本成功を含む11得点をマークするなど反撃。3ポイントシュートを16本中9本と高確率のアウトサイドシュートで名古屋Dが48-44と逆転して試合を折り返す。第3クォーターに入っても名古屋Dの流れは続き、残り約4分にはこのクォーターで10得点を挙げたジャスティン・バーレルのジャンプシュートでリードを8点にまで広げる。ここからSR渋谷が盛り返し3点差に詰め寄る、第4クォーターに入ってジョシュ・ハレルソンのバスケット・カウントにより70-70と追いつく。だが、名古屋はこの試合18得点を挙げたルーキー安藤周人の活躍などで残り約5分で81-75と突き放した。しかし、SR渋谷はここから伊藤駿の3連続得点により残り1分45秒で82-81と土壇場で勝ち越し。そして残り1分にベンドラメ礼生が3ポイントシュートを決めて突き放すと、残り約5分を無失点に抑えるディフェンスも光り勝利した。前節の反省から攻守を改善、粘り強いバスケを展開3連敗となった前節の三遠ネオフェニックス戦の試合後、SR渋谷の勝久ジェフリーヘッドコーチは、「ディフェンス、オフェンスとも我慢ができなかった」と話していた。しかし、今日は「我慢比べのような試合でしたが、最後は自分たちがディフェンスで粘り、オフェンスでは強い気持ちで攻めてシュートを決めたのが結果につながったと思います」と、先週の反省を生かせたことを勝因に挙げた。また、第3クォーターまでで68失点と相手に高確率で外角シュートを決められていた守備を、第4クォーターは残り約5分の無失点など13失点に抑えた変化について次のように語っている。「まず、ボールプレッシャーについて、オフボールのスクリーンでアグレッシブにファイトすることで、相手に高い位置でボールを持たせるようにしたのが良かったです。前半は相手のピック&ポップに対しガード陣がスクリーンでファイトする積極性が、終盤に比べると不足していました。その結果、ビッグマンがヘルプに行くことにより、相手のビッグマンが空いてしまう。それが最後はガード陣が頑張ってことで、ビッグマンがヘルプにいく必要が減りました。ガード陣のファイトに、リバウンドを全員でしっかり取りにいったことです」「特にサクレ選手のインサイドを止めらなかった」オフェンス面では、ロバート・サクレが20得点、長谷川とハレルソンが14得点など5人が2桁得点をマーク。開幕4試合はすべて66得点以下だったのが、この日は87点の大量点を記録。その理由として、「今までセットにこだわりすぎたことで積極性がなくなっていました。これは自分が作ったオフェンスに原因がありました」と指揮官は敗因が自分にあったと語る。その上で「より早い段階でアドバテンジージを作って攻めるように心がけたことで、最初から最後まで選手たちが積極的にアタックしようという気持ちを持ってくれました」と、テンポ良く攻めることを意識させたことが大きかったと言う。一方、名古屋Dの梶山信吾ヘッドコーチは、「最後は終始、ディフェンスで後手に回ってしまいました。相手にやりたいことをやらせてしまった。特にサクレ選手のインサイドを止めらなかったのが反省」とコメント。これで4連敗、そのうち3試合が6点差以内と勝ちきれない展開が続いているが、「終盤における相手のタイトなディフェンスに負けないメンタリティが必要。少しでも消極的になると良いオフェンスができないので、今やっていること、チームメートを信じてやるだけです」と、どれだけ強い気持ちを持ってプレーできるかが重要になると語った。SR渋谷は勝率5割を、名古屋Dは連敗ストップを目指し、今日14時05分より再び対決する。2017/10/15Bリーグ&国内
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未成熟な名古屋ダイヤモンドドルフィンズを変革する柏木真介「強くなっていく過程に自分がいることにやりがいを感じる」メンタルの弱さを指摘されてきたチームが川崎を撃破9月29日、名古屋ダイヤモンドドルフィンズはシーズン開幕戦を白星で飾った。この夏にシーホース三河から加入した柏木真介は「勝てたので素直に良かった」とホッとした表情を浮かべた。昨シーズンにリーグトップの得点力を誇った川崎ブレイブサンダースを76得点に抑え、残り3秒でジャスティン・バーレルが決勝シュートを沈めての77-76での逆転勝利。もちろん、開幕戦での勝利ということも大きい。だがそれ以上に、勝負どころで脆さを見せるメンタルの弱さを指摘されてきたチームが、接戦での強さに定評のある川崎に競り勝ったことに意味がある。「内容どうこうより、結果として良かった」と言う柏木だが「内容の部分ではまだまだ修正しないといけない」と指摘も忘れない。前半に最高のパフォーマンスを見せながら後半に逆転を許したこと。本来、もっと巧みな試合運びができたはずだ。第3クォーター途中にジャスティン・バーレルが審判のジャッジに怒ってテクニカルファウルを宣告され、その直後にベンチテクニカルも取られた。名古屋Dの側から『付け入る隙』を与えたのは間違いない。「あそこは一つのポイントでした」と柏木は言う。「あれが去年までの悪いところなんだと感じました。オフェンスでダメだったらディフェンスで耐えないといけない。3ポイントでやられてはいけない時間帯でやられている。そういう細かい部分を修正しないといけないです」「流れが向こうに行ったので、これは我慢だなと」バーレルがテクニカルファウルを取られた時にコート上にいた柏木は、相手に試合の流れが傾くのを肌で感じていた。「案の定、流れが向こうに行ったので、これは我慢だなと。オフェンスがうまくいかなくても、ディフェンスでやられても、とにかく我慢するしかない。それはディフェンスリバウンドをしっかり取ること、オフェンスでは早打ちをしないこと。『流れが来るまで自分たちのやるべきことをしっかりやらないといけない』とずっと言っていました」結果的に、川崎に流れが行くのは止められず、第4クォーター途中で一度は逆転を許している。それでも、柏木の呼びかけは効いていた。「逆転されてから粘ることができた。そこで流れを一回立ち切れたのが良かったです」試合終盤は混戦になり、最後はコートに戻って来たバーレルが得点を重ねて競り勝った。「結果として最後ああやって我慢をして、バーレルの逆転シュートにつながった。それは若いチームにとってはプラス材料です」と勝ち切ったことを評価する柏木だが、手放しで喜びはしない。「試合後に若い選手はスタッツをいろいろ気にしていましたが、僕はそれより『なぜ今日ああいうゲームになったのか』が気になっていました。バーレルは最後に良いシュートを決めましたけど、その前に流れを悪くしたのはあいつですから、そこは説教しようと思います。ただ最後に決めたのはあいつで、あいつが決めないといけないので。そこはしっかりとフォローしないといけないなと思います」「たくさん失敗することが経験につながってきます」若さのメリットとデメリットが共存するのが名古屋Dというチームだが、柏木は自分が来たからにはそれを変えていくつもりでいる。「昨シーズンの結果から見ても、勢いのあるチームだけど勢いがなくなった時に崩れる。そこは弱点で、変えなければいけないです。個人のバスケットをしているので、チームという意識でやらなきゃいけない。そういう部分も教えていきたいと名古屋に来て感じています」ただ、年齢や経験の差はあるにしても、あくまでお互いプロ選手。柏木は自らのスタンスをこう説明する。「1から10まで言うつもりもないです。そこはバランスを見ながら。言うところは言うし、言わないところはしっかり自分たちで考えて直させるように仕向けてあげることも大事だと思います」「まずは教えてやらせる。それで失敗を繰り返すことで覚えていく。たくさん失敗することが経験につながってきます。僕もやっぱりたくさん失敗をしています。そこはアドバイスしながら、まずはやらせる。なぜ負けたのかを自分たちで考えて、そこから次にステップアップしていく。そこが大事だと思います」「今はバスケットをすごく楽しんでいます」もっとも、指導者としてのキャリアを意識し始めたというわけではない。あくまで現役選手であり、目的は勝つこと。そのためのアプローチの一つとして若手を育てる手助けをしようとしている。かつてケガをした箇所も調子が良く、ここ最近ではコンディションが一番良いという。「選手である以上、優勝したいのは当たり前のこと。僕も最終目標としては優勝したいと思っています。ただ、そんなに甘くないのも分かっていて、一つひとつ目標をクリアしていかないと簡単にはいきません。まずは今日のようなゲームをしっかり勝ち切る力をつけること。あとはチームとしてどれだけ成長していくかが大事です。今日勝って、明日から連敗をしたら意味がないですし。今日は勝ちましたけど内容はまだまだ直さないといけない部分があるので、そこは反省を明日の試合で生かして、それでまた勝って違う反省が出てきたら一番良いですよね。それを繰り返していきたいです」三河から名古屋Dへと移籍したことを「一言で言ったら大変です」と柏木は言う。「ただ、違う意味で名古屋に来て楽しさがすごくあります。これから強くなっていくチームだと感じていて、そこで何をすれば勝てるのかはまだ分かっていないので、それを教えながら強くなっていく過程に自分がいることにやりがいを感じます。いろんなことを含めて、今はバスケットをすごく楽しんでいます」柏木真介、35歳。年齢的には大ベテランの域にあるが、若いチームにすぐさま馴染み、その気持ちは10歳ほど若返ったようだ。ただ、百戦錬磨の経験はそのまま。名古屋Dが秘めたポテンシャルを引き出すカギとなるべく、まずは正しい一歩を踏み出した。2017/09/30Bリーグ&国内
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混戦を突き破る宇都直輝の強気なプッシュ、富山グラウジーズが名古屋ダイヤモンドドルフィンズを破りアーリーカップ優勝序盤に大量ビハインドを背負うも、強気のプレーで逆襲アーリーカップ『東海北陸』地区の決勝は富山グラウジーズと名古屋ダイヤモンドドルフィンズの対戦となった。両チームともオン・ザ・コート「1」でスタートした序盤を取ったのは名古屋。笹山貴哉を中心としたパスワークで富山のディフェンスを振り回すと、笹山が2本の3ポイントシュートを含む8得点、中東泰斗がキレのあるドライブから3つのシューティングファウルを誘い7得点、張本天傑がギャップを突いて内外バランス良く10得点。自慢の若手トリオが躍動した名古屋が第1クォーターで大量27得点を奪った。ところが名古屋がセカンドユニットに切り替えたのを機に富山が反撃に出る。第1クォーターのラスト1分を6-0のランでまとめると、第2クォーターに入って爆発。宇都直輝が強烈なボールプッシュでリズムを作り出し、ド派手なコースト・トゥ・コーストを決めてチームを波に乗せる。ともにオン・ザ・コート「2」、ドリュー・ヴァイニーとサム・ウィラードの外国籍コンビに対し、名古屋も十分対抗できるだけの力があるはずだが、微妙なジャッジにイライラしたクレイグ・ブラッキンズとジャスティン・バーレルが立て続けにテクニカルファウルを受けてしまう。49-43で始まった後半もいきなり富山が9-0のラン。ようやくランを止めたと思えば今度は笹山がアンスポーツマンライクファウルをコールされるなど名古屋は波に乗れない。この第3クォーターに目立ったのは富山の小原翼。ブラッキンズとのマッチアップでも臆することなくフィジカル勝負を挑むと、オフェンスでも巧みなフットワークでフリーでボールを呼び込み、落ち着いてジャンプシュートを決めて流れを作った。3連戦で消耗する富山、勝利を求める気持ちは衰えず第3クォーターも残り1分半のところで68-54と大量リードする富山がこのまま押し切るかと思われたが、試合はまだまだ揺れた。富山はケガ人がいて9人しか使えない上に、特定の主力にプレータイムが集中しており、ここに来て息切れを起こす。速攻が出せなくなり、ハーフコートオフェンスでもインサイドにダイブする動きがなく攻めが停滞。ボールプッシュする宇都から激しいディフェンスでボールを奪った中東にダンクを見舞われると、連続で速攻を許して名古屋を蘇らせてしまった。70-62でスタートした最終クォーター、前半は目立たなかった柏木真介にベテランの味を発揮され、バーレルとブラッキンズの重量級コンビを止められず、あっという間に1ポゼッション差に詰め寄られる。その後はリードチェンジを繰り返す大混戦に。残り2分を切って柏木の華麗なダブルクラッチが決まり名古屋が79-78と逆転すれば、すぐさま宇都がリングに一直線に飛び込みレイアップを沈め再逆転。そして最後は名古屋も足が止まり、バーレル、ヴァイニーと両チームとも主力をファウルアウトで欠く消耗戦となった。残り36秒、ブラッキンズのタフショットが外れたリバウンド争い、ティルマンの両手に収まりかけたボールをウィラードがかすめ取る。気持ちだけの勝負となった最終盤をこうして乗り切り、ファウルゲームのフリースロー6本をヴィラードがすべて決めた富山が最終スコア86-83で競り勝った。接戦を落とした名古屋も新シーズンに期待の持てる出来両チーム通じて最長の36分半、強気のアタックを貫いて23得点5アシスト4スティールを記録した宇都直輝は「人数が少なかったので、決勝というより3日間ともキツかったんですけど、みんなで力を合わせて戦うことができました。この勝ちが自信につながると思います」と満足気。仲間とともにアーリーカップ優勝を祝った。敗れた名古屋にしても、厳格なタイムシェアはレギュラーシーズンに向けたテストの一環であることをうかがわせる。ティルマン、バーレル、ブラッキンズの外国籍トリオの破壊力はリーグ最強クラス。若手主体の日本人選手も昨シーズン以上の活躍が期待でき、新たに中地区での飛躍が期待される。2017/09/03Bリーグ&国内
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柏木真介がシーホース三河から名古屋ダイヤモンドドルフィンズへ移籍、35歳にして新天地へ「自分自身の新たなチャレンジ」若手中心のチームに百戦錬磨の経験を注入2006年にアイシンシーホースに入団してから長くチームの顔として活躍した柏木真介。先日、シーホース三河からの退団を発表していたが、同じ愛知県に本拠を置く名古屋ダイヤモンドドルフィンズと契約したことが発表された。柏木は2007年にレギュラーシーズンとプレーオフのMVPに輝いた2007-08シーズンを皮切りに、JBLのアイシン最強時代で主役を演じたポイントガード。シーズン途中に35歳になったBリーグ初年度のシーズン、メインのポイントガードを橋本竜馬に託してプレータイムは減ったものの、百戦錬磨の経験はチームにとって貴重なものだった。三河にとっては桜木ジェイアールと並ぶ功労者であり、引退まで三河でプレーすると思われたが、その情熱はまだ衰えてはいなかった。名古屋Dの一員となった柏木は次のようなコメントを発表している。「伝統と歴史あるこのチームに迎え入れて頂けたことに大変感謝しております。自分自身の新たなチャレンジのスタートとして、このチームでプレーできることにワクワクしています。これまでの経験をこのチームのために生かしていけるよう、そして梶山(信吾)新ヘッドコーチの力になれるように精一杯努めてまいりたいと思います。赤が似合うか不安ですが、ファンの皆さんと共に戦っていきたいと思います」「赤が似合うか不安ですが」というコメントからは柏木の率直な気持ちが伝わって来る。シーホース三河というよりも「アイシン」のイメージが強い柏木。それでも名古屋Dでは昨シーズンの石崎巧がそうだったように、若いチームに経験とリーダーシップをもたらす貴重な存在となりそうだ。2017/06/28Bリーグ&国内
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[CLOSE UP]柏木真介(シーホース三河)シーズン大詰め、百戦錬磨のベテランは「楽しみながらしっかり」と不敵な笑み「他の選手がやらないことを、自分がしっかり」チャンピオンシップのセミファイナル、シーホース三河は栃木ブレックスと対戦する。先週末、琉球ゴールデンキングスとの激闘を制した直後、千葉ジェッツを破った栃木ブレックスが対戦相手に決まった。それと同時に、相手が千葉であれば実現したホーム開催は消え、ブレックスアリーナに乗り込むことが決まっている。エースの比江島慎は「ここまで来たらホームでやりたかったので、心の中では千葉を応援していました」と苦笑する。「ディフェンスがしっかりしたチームだし、フィジカルも強いのでタフな試合になる。アウェーなので飲み込まれないように出足からしっかりやりたい。個人的にはすごく嫌で、嫌なイメージしかないです。でも決まった以上、しっかりと準備していきたい」と気を引き締めた。金丸晃輔は「まず栃木が勝ったと聞いた時は、あの歓声の中でやるのかという印象でした。個人技ではなくチームでやってくる、出た選手が自分の仕事をしっかりと徹底してやってくるチームなので、全体的に警戒しないといけない」と表情をこわばらせる。ただ、柏木真介だけは「あの雰囲気はすごいので、楽しみながらしっかりと自分たちのバスケットをやっていきたい」と不敵な表情。百戦錬磨のベテランは、勝負どころのチャンピオンシップに照準を絞ってきっちり調整してきた。琉球との2試合を「プレーオフというのはタフなゲームだとあらためて感じました」と振り返りながらも、身体はしっかり動いている。鈴木貴美一ヘッドコーチからも「一番コンディションが良い」と言わしめた。35歳の柏木は言う。「ケガやそういう部分では全く心配ないです。今年は良いコンディションで1シーズンやれているので、ここに来て特に良いというより、良いコンディションを持続しながらここまで来れています」昨年のNBLプレーオフでも柏木は正念場で真価を発揮。結果的にはファイナルで敗れたものの、勝負どころで攻守に存在感を放った。今の彼は、その再現の予感を漂わせている。今度は違う結果を期待しながら──。「プレーオフになるとそれぞれが力みすぎたりとか、オフェンスにどうしても力を注いでしまうケースが多いと思います。そういう部分でバランスを取るために、他の選手がやらないこと、例えばディフェンス、ルーズボール、リバウンド、ゲームコントロール……。そういうところを自分がしっかりとできればという気持ちでこの2試合に臨みました」と柏木は琉球との2試合を振り返る。「栃木か千葉か」というテーマにも柏木は「どっちが来ても強豪には変わりがないので」と乗ろうとしない。「しっかりと自分が準備しないといけないです。栃木で注目する選手というと……タレントが揃っているので全員を警戒します。強いて言うなら同じポイントガードの田臥(勇太)さんかなと思います」いよいよシーズンの正念場、勝負どころでベテランが見せる仕事ぶりに注目したい。2017/05/19Bリーグ&国内
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試合巧者のシーホース三河がオン・ザ・コート「1」の優位を生かし、粘る琉球ゴールデンキングスを振り切り『4強』進出!終盤までもつれる接戦、三河の試合巧者ぶりが光る5月14日、チャンピオンシップのクォーターファイナルでシーホース三河が琉球ゴールデンキングスと対戦。終盤までもつれる接戦となったが、要所で相手のオフェンスをしっかり食い止めた三河が81-75で競り勝った。76-72で勝利した13日に続いて連勝を収めた三河が、セミファイナル進出を決めている。第1クォーター、後がない琉球は渡辺竜之佑の連続得点で先手を取ると、終盤には岸本隆一、ラモント・ハミルトンのシュートで23-16とリードを奪う。しかし、オン・ザ・コートが琉球の「2」から三河の「2」に変わった第2クォーターに三河が反撃開始。アイザック・バッツが巨体を生かし、このクォーターに8得点と奮闘する。そして8点を追う残り約5分から金丸晃輔、比江島慎のダブルエースを軸に連続12得点を挙げて逆転に成功。結局、第2クォーターを22-11と圧倒し、4点のリードを奪って前半を折り返した。ともにオン・ザ・コート「1」で迎えた第3クォーターも、三河が良い流れをキープ。残り約3分半にはギャビン・エドワーズのオフェンスリバウンドから桜木ジェイアールが得点と、高さの優位を生かした象徴的なプレーでリードを13点差にまで広げる。だが、琉球もすぐに田代直希が3ポイントシュートを沈めると、終了間際の岸本の得点で、三河の60-54と食らい付いて最終クォーターに突入する。第4クォーターも三河がリードを保ったまま試合は進んでいくが、琉球は徐々に追い上げていき、残り約2分半にはハミルトンの3ポイントシュートでついに2点差にまで肉薄する。しかし、三河は次のオフェンスで、再びエドワーズのオフェンスリバウンドから金丸の得点へとつなげて琉球の勢いをストップ。その後は堅いディフェンスで追加点を防ぐとともに、金丸がファウルゲームに対してのフリースローを確実に決めて逃げ切った。接戦を勝ち切るゲームコントロールの能力に自信レギュラーシーズンの対戦では三河の5勝1敗。そして勝ち試合も、三河が圧倒しての楽な勝ちゲームが多かった。ただ、「プレーオフは何が起こるか分からないもの」と語る三河の鈴木貴美一ヘッドコーチにとって、「沖縄さんはbjリーグで4度も優勝しています。プレーオフに対する執念は、チームの伝統としてあるんではないかと思います。苦戦も想定の範囲内でした」と、今回の激戦を予想していた。そして勝因については次のように語る。「これこそプレーオフというゲームになりましたが、接戦を勝ち切ることができて良かったです。最後の最後で良いディフェンスができて、リバウンドが取れました」また、昨日、今日と琉球の粘りにあったとはいえ、第4クォーターは常に僅差ではあるがしっかりリードをキープするなど、要所をしっかり押さえた試合運びの巧みさには自信を見せる。「我々は接戦のゲームを、レギュラーシーズンでたくさん勝ってきました。レギュラーシーズンのようにお互いに簡単にシュートには行けません。しっかりゲームをコントロールして、最後は自分たちのリズムに持ち込めました」最終的に金丸が19得点、比江島が18得点をマーク。そして桜木ジェイアールも12得点と、取るべき選手がしっかり取って勝利した三河であるが、チャンピオンシップに入って何よりも重視するのはディフェンスだ。その代表的な例として、第2クォーターには橋本竜馬に、柏木真介とダブルガードとこれまであまりない起用法を実施。その意図を指揮官は、「琉球の小さくて能力のある選手たちが機動力で動き回ってプレーしていました。そこでディフェンスでしっかり反応するには我々も小さいメンバーにしないといけない。オフェンスばかりを考えていた場合、アウトサイドのいつも入るシュートが入らないとそれで終わってしまいます。とにかく沖縄さんのオフェンスに対して防御するにはどうすべきか考えてメンバーチェンジをしました」と語る。健闘した琉球「勝負どころでの決定力の差は確実にある」三河はレギュラーシーズン最後の2試合をコンディション調整にあてて主力を温存した影響もあり、ホームで滋賀レイクスターズに連敗。悪い流れでのチャンピオンシップとなっていた。この点を鈴木ヘッドコーチに聞くと、「正直に言って、連敗でレギュラーシーズンを終えたことへの不安はありました」と明かした。「本当はレギュラーシーズンを良い形で終えてプレーオフに向かうというのが、我々が毎年やっていることです。どんな状況でもそれが我々のスタイルでしたが、どうしてもコンディショニングが悪い中でプレーオフに向かいたくない。(主力をプレータイム制限させる中でも)勝ちたかったですが、悪い形で負けてしまいました。負けで終わるのは良いことではないので、今だから言えますが不安はありました。ただ、選手達は最後まで集中してやってくれました。自分たちのスタイルで最後はしのいだという形で、勝ててホッとしています」敗れた琉球の伊佐勉ヘッドコーチは「選手は昨日今日とほぼ100%ゲームプラン通りにプレーしてくれていました。ただ、三河には隙がなく、プラン通りにプレーした我々を上回っていました。昨日の修正点はしっかり遂行してくれた。第1クォーターは良かったですが、第2クォーターでミスがあり、ボールが止まる時間があったのがもったいなかったです」と総括する。そしてあと一歩で届かなかった差については「今、思うのは勝負どころでの決定力の差は確実にあるとレギュラーシーズンから思っていました。そこをオフシーズンから磨いていかないといけない」と語る。これで琉球の『Bリーグ元年』が終わった。「レギュラーシーズン、自分たちが思い描く結果ではなかったです。ただ、いろいろと勝った経験、負けた経験を生かし、その集大成として昨日、今日と1年間やってきたことをすべて出し切りました。Bリーグ元年はプレーオフ一発目で負けたので、来季はそれ以上に進めるように一からクラブ一丸とやっていきたい」と振り返った。セミファイナルに進出した三河は、アウェーで栃木ブレックスと対戦する。2017/05/15Bリーグ&国内
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B1残留へ向けチーム一丸、闘志を燃やした滋賀レイクスターズ、タイムシェアを徹底するシーホース三河を破り目標達成!狩野の3連続3ポイントシュートで流れを手繰り寄せるBリーグ最終節、シーホース三河と滋賀レイクスターズの第1戦。3ポイントシュートで突き放し、外国籍選手の力で上回った滋賀が三河を破りB1残留を地力で決めた。序盤から積極的にシュートを放つ滋賀は、ジュリアン・マブンガが第1クォーターだけで3本の3ポイントシュートを沈め主導権を握る。三河は桜木ジェイアールのシュートが入らず、インサイドを使えずにリズムが出てこない。残り4分を切り並里成がアイザック・バッツとのスピードのミスマッチを生かし、ドライブからバックシュートを決めて18-9としたところで、三河はタイムアウトを要求した。22-20と滋賀がリードして第1クォーターを終えると、その後も粘り強いディフェンス、中と外のバランスが良い攻めで、2点のリードを保ったまま前半を終えた。オン・ザ・コート数がともに「1」の第3クォーターで滋賀がペースを握る。桜木は第1クォーターの10分間のみで、その後は出場せず。鈴木貴美一ヘッドコーチは「病み上がりで状態が良くなかった」と試合後に説明したが、ポストアップから三河の攻撃を作り出す桜木の不在は大きい。本職ではない4番ポジションでプレーする高橋マイケルをファイ・サンバが攻め立て、インサイドでアドバンテージを作った。インサイドに軸ができたことで、インサイドアウトの展開やドライブの仕掛けが効果を増し、いよいよ滋賀が勢いに乗る。狩野祐介がシンプルなスクリーンピックから3ポイントシュートを沈めると、流れるようなボールムーブからノーマークを作り出していく。その後も2本連続で狩野が3ポイントシュートを沈め、点差を2桁に乗せる。最後のポゼッションではマブンガがバスケット・カウントをもぎ取り、62-49とリードを広げて最終クォーターを迎えた。桜木とバッツ不在の終盤、マブンガとブラッキンズが猛威ジュリアン・マブンガとクレイグ・ブラッキンズ、外国籍の強力コンビを要する滋賀はオン・ザ・コート「2」の戦いに絶対的な自信を持っている。オン・ザ・コート「1」の時間帯で流れを作った滋賀は、第4クォーターの出だしから2人の外国籍選手がその力を発揮。マブンガが自分のシュートミスを自ら取って押し込み、ブラッキンズが速攻からレイアップを沈める。滋賀は終盤までよく足が動き、オーバーヘルプになりすぎない絶妙なディフェンスも機能した。残り7分38秒、マブンガのオフェンスリバウンドからブラッキンズが3ポイントシュートを沈める。滋賀が2分半で9-0と走り、点差を20に乗せたところで三河はタイムアウトを要求した。三河は橋本竜馬を投入して盛り返し、柏木真介のミドルシュート、ギャビン・エドワーズのインサイドで反撃するが、タイムシェアを徹底してアイザック・バッツもプレーしないとなると、マブンガとブラッキンズを止められない。滋賀は最後までアグレッシブな戦いを続け、80-65で勝利を収めた。「ウチが悪かったというより滋賀が素晴らしかった」滋賀の遠山向人ヘッドコーチは「勝って残留を決めることができて、とてもうれしく思います。シーズンを通して11連敗などたくさんの敗戦がありましたが、選手たちが力強く戦ってくれました。自分たちのプレーがどんなものがいいのか、というのを選手たちが共通認識できて、ここぞの場面で踏ん張れるようになったのが大きかった」と、敗戦から成長を重ねたことが残留の決め手となったと胸を張った。22得点12リバウンドのダブル・ダブルを記録したマブンガは「残留できたこともそうですが、最後の2カ月でチームとして戦えたことがうれしい」と喜んだ。そして、制したばかりの残留争いをこう語る。「シーズンを振り返ると、栃木戦での大敗(57-103、3月18日)が大きなターニングポイントでした。自分自身そんな負け方をしたことがなく、コーチとも話し合って意見交換して、そこからチームが変わっていったと思います」シーズン中盤まで勝ち星が伸びず、年末から1月にかけて11連敗を喫してリーグ勝率ワーストにまで沈んだ滋賀だが、まさかのV字回復。ラスト10試合を8勝2敗で乗り切っている。これは西地区の圧倒的な王者、三河を1つ上回る数字だ。シーズン途中で加入した並里、ブラッキンズがフィットしたのはもちろんだが、何より大きいのは加入1年目の『外様』が多いチームでありながら、モチベーションが保てなくてもおかしくない時期により結束し、チームとしてまとまっていったことだ。三河の鈴木ヘッドコーチは「今日はウチが悪かったというより、滋賀のディフェンスが素晴らしかったです。リバウンドへの執着心など、プレーオフを回避する、勝ちたいという気持ちが出ていました」と滋賀のメンタルを素直に称賛した。Bリーグが開幕し、長かったレギュラーシーズンも残すところ1試合となった。それぞれの思惑はあるだろうが、選手たちには最高のプレーで有終の美を飾ってもらいたい。2017/05/06Bリーグ&国内
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少ないチャンスをモノにした大阪エヴェッサがシーホース三河に初勝利。チャンピオンシップ出場へ大きく前進前半は守り合いのロースコアゲームに西地区王者のシーホース三河と同地区2位の大阪エヴェッサの対戦。序盤はジョシュ・ハレルソンの3ポイントシュートで先制した大阪が主導権を握る。マークが外れずシュート精度が上がらない三河に対し、橋本拓哉のジャンプシュートや速攻を繰り出し10-2とリードした。それでもシュートを打ち続けた金丸晃輔の3ポイントシュートにより落ち着いた三河は、残り1分で狩俣昌也の3ポイントシュートで追い付き、以後は拮抗した展開が続く。15-13と大阪がリードして第2クォーターがスタートすると、残り8分のところで、三河は橋本竜馬をコートに送り出した。 膝を痛め、2月25日の秋田ノーザンハピネッツ戦を最後に長期欠場が続いていた橋本にとっては2カ月ぶりの実戦。ファンの歓声に迎えられての復帰に橋本はこう語る。「自分1人だけではここまでこれなかったですし、皆さんのサポートとチームメートの協力があってこの早い段階での復帰があったと思うので、これを忘れずに感謝しながらプレーをしていきたいと思っています」その橋本はブランクを感じさせない持ち前のハードなディフェンスを見せ、ロースコアゲームの様相が強まる。両チームともに1対1でしっかり守り、素早いローテーションからターンオーバーを誘発した。また互いにトップクラスのリバウンド力があるため、オフェンスリバウンドを奪えず、セカンドチャンスポイントが伸びなかった。25-27でスタートした後半、三河はこれまで影を潜めていた桜木ジェイアール、比江島慎がミドルシュートを沈め逆転に成功し、インサイド陣も力を見せる。それでも根来新之助のオフェンスリバウンドを木下博之が3ポイントシュートに繋げ、エグゼビア・ギブソンが3ポイントシュートを沈めるなど大阪も一歩も譲らない。粘り強い守備を続け、少ないチャンスをつかんだ大阪46-45と三河のリードで最終クォーターを迎え、なおも一進一退の攻防が続いていく。だが残り2分30秒、比江島のターンオーバーからハレルソンの3ポイントシュートで63-62と大阪が逆転すると、そこから大阪が流れをつかむ。直後のディフェンスで桜木のオフェンスファウルを誘発すると、ギブソンがオフェンスリバウンドを奪い、ファウルを獲得。フリースローで貴重な2得点を挙げた。ディフェンスではギャビン・エドワーズにペイント内へ侵入を許すも、最後までプレッシャーをかけゴールを死守、橋本尚明がドライビングレイアップを決めてその差を5点に広げる。残り30秒、トランジションから比江島がノーマークで3ポイントシュートを放つも決められず。三河はファウルゲームに持ち込むも、ハレルソンがフリースローを2本とも成功させ、残り16秒で7点差とし勝利をグッと手繰り寄せた。だが、これで終わらないのが試合巧者の三河だ。65-70で迎えた残り5.6秒、リスタートからドリブルで独走した比江島が、ファウルを受けながら執念で3ポイントシュートをねじ込み2点差に。さらにボーナススローをわざと外し、アイザック・バッツがリバウンドを奪う。外で待つ柏木真介が逆転の3ポイントシュートを狙うもリングに嫌われ、追撃もここまで。最終スコア70-68で大阪が逃げ切った。桶谷ヘッドコーチ「最後まで我慢できた」息詰まる接戦を制した大阪の桶谷大ヘッドコーチは「三河の超攻撃的バスケットを68点に抑えられて価値のある勝利」と胸を張る。「相手のメインプレーヤーである比江島選手、金丸選手、エドワーズ選手といった三河の得点を平均より低く守れたことは、三河のゲームプランどおりさせなかったということ。アシスタントコーチがスカウティングして、それを選手が体現できた」「まだまだリバウンドのところは課題があるにしても、一度も勝てなかった三河に勝てたことは非常に大きいし、今までの負け方も点差を広げられて負けるシチュエーションだったが、最後まで我慢してチームとして持続性を持ったプレーができた」と桶谷ヘッドコーチ。大混戦となっている西地区2位争いにおいて、首位の三河から挙げる勝利の重さは計り知れない。一方の三河は、開幕直後以来7カ月ぶりの連敗。鈴木貴美一ヘッドコーチは「大阪はチャンピオンシップに出るために最後まで集中していた」と相手を認めながらも、「シュートが入らないながらもディフェンスをよくがんばっていい感じになったが、最後自分たちのミスで負けてしまった」と、自滅による敗戦と語る。復帰戦を白星で飾ることができなかった橋本は4分半の出場。「もっとプレーしたい気持ちがあるが、抑えるのが精一杯で、また繰り返してしまうと自分のとってもチームにとっても良くない」と、あくまでチャンピオンズカップを視野に入れコンディションを高めていく。それでも、チャンピオンシップに意識が行き過ぎて目の前の試合を落とすのでは意味がない。「これからチャンピオンシップを戦っていく上でこういう試合を勝ち切るということが重要だと思うので、明日はチーム全員でもっと集中して相手のやりたいことをやらせないようにやっていきたい」と必勝を誓った。2017/04/29Bリーグ&国内
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[CLOSE UP]狩俣昌也(シーホース三河)エリート軍団で存在感を高める『叩き上げの星』先発で迎えた大一番「緊張というより楽しみでした」今節で最も注目を集めたカードはシーホース三河と川崎ブレイブサンダースの対決だ。昨シーズン、最後のNBLファイナルで最終戦までもつれる激闘を繰り広げ、今シーズンもここまでともに地区首位と初代Bリーグ王者の有力候補に相応しい強さを見せている。その大一番において三河の連勝に貢献したのが狩俣昌也だ。日本代表、橋本竜馬の故障欠場をうけ、今回の2連戦で三河の鈴木貴美一ヘッドコーチは、経験豊富なチームリーダーの柏木真介もいる中で今季から加入した狩俣を先発に抜擢した。そして狩俣は、第1戦に約23分出場で5得点3リバウンド3アシスト2スティール。第2戦には約18分出場で8得点3リバウンド2アシストを記録。この2試合合計でシュートを計7本放って5本成功、ターンオーバーはわずか1。この数字が示すように、持ち前のフィジカルの強さを生かしたディフェンスと、チャンスで確実に決めるシュートなど堅実なプレーが光った。そのインパクトが数字以上だったことは、以下の指揮官の称賛が物語っている。「橋本がケガをしたことでスタートに抜擢しましたが、練習中から『自分がやらなければ』と良い動きをしてくれていました。この2試合に勝てたのも彼の活躍があったからこそ。シーズン当初は遠慮しながらプレーしていた面もありましたが、昨日今日とディフェンスでアグレッシブに行ってくれました。今はガード陣が故障者で手薄な中、彼が自分の役割をしっかりやってくれたことでチームの底上げになったと思います」狩俣本人は、今回の先発起用について「緊張というより楽しみで、良い感じにテンションが上がって割と落ち着いていました。ディフェンスでプレッシャーをかけ、空いたら3ポイントを決めるといった、自分が求められていることをやろうと思っていたので、そこは最低限できたかと思います」と振り返る。柏木、橋本を相手に練習することで成長する日々ちなみに狩俣はプロバスケ選手となってから昨季までbjリーグ時代の千葉ジェッツ、琉球ゴールデンキングス、福島ファイヤーボンズに在籍していたが、複数の日本代表選手が在籍する国内屈指のタレント集団でプレーするのは今回の三河が初めとなる。「プロになると決めた時から、いつかこういうチームでプレーしたいと思っていたのでうれしかったです」と、三河への入団が決まった時の気持ちを語る狩俣は、「本当にレベルの高いメンバーがいるのは分かっていましたが、練習で一緒にプレーしてみて改めてレベルの高さを感じました」とやりがいを語る。同じポジションに橋本、柏木という国内屈指の能力、そしてリーダーシップを誇るポイントガードがいることには、「練習はもちろんのこと、プライベートでのおしゃべりからも、いろいろと学ぶことはたくさんあるので、毎日が楽しいです」と続ける。また、「シーホースの練習で通用すれば、他のチーム相手にでも通用する。そういう部分は大きいと思います」と普段の練習で柏木、橋本を相手にしているからこそ、成長できている面を強調する。「これからプロバスケ選手を目指す若い選手のために」ちなみに三河に所属している日本人選手の大半は、高校もしくは大学時代からトップレベルで活躍していたエリート街道を歩んできた選手たち。一方の狩俣は沖縄の名門、興南高校出身ではあるが、注目を集める存在ではなかった。そして大学は関東3部の国際武道大学であり、ここでもスポットライトを浴びたことはない。大学卒業後、プロバスケ選手の第一歩となったbjリーグ時代の千葉ジェッツではベンチを温める試合が続く。翌2013-14シーズンは地元の琉球に移籍し、当初は2番手ポイントガードとして安定したプレータイムを得ていたが、シーズン途中に並里成が加入すると、再びベンチで過ごす日々が続いた。だが、続く2014-15シーズン、この年に誕生した福島に加入すると、日本人エースとして1試合平均2桁得点を挙げる活躍で、チームを2年連続でプレーオフに導いた。そして今季からの三河入団という経歴。狩俣本人も「エリートばかりのチームで、自分はちょっと異例だと思います」と語る。ただ、異例だからこその強い思いが狩俣にはある。「子供たち、これからプロバスケ選手を目指す若い選手に、エリート街道を歩んでいなくともプロでできるという自信を持ってもらいたい。そのためにも自分が三河でもっと活躍していかなければいけないです」「もっと積極的にいければ自分の持ち味をオフェンスでもプラスできると思います。ディフェンスでも、まだできていない部分がありますし、柏木選手や橋本選手のうまさを見習っていきたいです」とさらに成長に貪欲な姿勢を見せている。例えば福島時代の彼からすれば、もっと3ポイントシューターとして活躍できる素養は十分にある。『叩き上げの星』として、狩俣がコートでより輝きを増す時、三河の強さはより盤石のものとなる。2017/03/19Bリーグ&国内
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『最後のファイナル』再現の川崎ブレイブサンダースvsシーホース三河、想定外の打ち合いを制した三河が27点差で圧勝!桜木と比江島、リベンジに燃える『主役』が躍動する旧NBL最後のファイナルのカードが再現されるということで注目されたこの試合、ゴールが壊れて試合開始が30分以上遅れたことに続き、予想外の出来事があと2つ続いた。一つは互いに相手の出方をうかがう慎重な試合展開になるとの予想が外れ、ハイテンポな打ち合いになったこと。もう一つは実力伯仲の両者の対戦かと思いきや、シーホース三河が終始圧倒したということだ。試合開始直後は、ルーズボールに激しく飛び込む川崎ブレイブサンダースがペースを握ったかに見えた。こぼれかけたボールをニック・ファジーカスから託された篠山竜青のレイアップで先制。インサイドでアイザック・バッツがポストプレーからファジーカスを押し込む場面も、素早いフォローでボールを奪う。そして長谷川技の3ポイントシュート、ファジーカスの得点で開始3分で10-4とリードする。だが、ここから先はずっと三河の時間帯。ファイナルで逆転負けを喫した悔しさはどの選手も抱えており、ここから攻守に100%の集中力を発揮した。目立ったのは桜木ジェイアール。いつもはインサイドでの老獪なポストプレーで勝負する桜木が、10歳若返ったようにダイナミックなドライブを連発。川崎はこの予想外の攻めに対応できず、三河に主導権を譲り渡した。ケガの橋本竜馬に代わり先発した狩俣昌也のスティールから比江島慎がタフショットを沈めて三河が逆転。桜木は2本連続の3ポイントシュートも決め、金丸晃輔も淡々とミドルシュートを決め続ける。バッツはファジーカスに激しく当たり続けてリズムを狂わせ、第1クォーターの後半に2つ目の個人ファウルを犯すも、その後は自制して役割を全うした。第2クォーターも比江島の3ポイントシュート、桜木の連続得点で三河が7-0のラン。川崎は一度ベンチに下げたファジーカスを1分半休ませただけでコートに戻し、辻直人が3ポイントシュートを決めるも、三河はセカンドユニットになっても勢いが衰えない。川崎がゾーンディフェンスを敷くも、百戦錬磨の柏木真介がすぐさま攻略。53-35と三河の大量リードで前半を終えた。後手に回った川崎に「追い付かなきゃ」の焦り後半に入り、川崎はボールの動きが向上するも、なおも三河の勢いは落ちない。ファジーカスにボールを預ける攻撃の組み立ての時点で比江島慎が狙いすましたスティールを決めて相手のリズムを狂わせる。波に乗る比江島は守備に定評のある長谷川との1on1をあっさり制してドライブレイアップを決めるなどチームを力強く牽引した。極め付けは狩俣のスティールからのファストブレイクで比江島がキレ味抜群のダンク、第3クォーター残り4分の時点で68-43。ほぼ試合を決めてしまった。第4クォーターこそややペースを落とした三河だが、それでも川崎に反撃のきっかけを与えることなく、しっかりと試合をコントロール。4つのクォーターすべてで川崎を上回り、92-65と完璧な勝利を収めた。川崎にとってはシーズン7度目の黒星。ただ、これまでは年末のアルバルク東京戦での14点差が最も大きな負け。27点差の大敗はあまりにも『らしく』ない。この理由について北卓也ヘッドコーチは「前半でリードを保たれて後手後手になり、追い付かなきゃいけないという気持ちでプレーが焦ってしまった。試合巧者の三河に対して、粘り強くやらなければいけない」とメンタルが乱れてしまったことを敗因に挙げた。12得点を挙げた辻だが、やはり反省の言葉ばかりが出た。「ノーマークを作る、ニックに打たせるなど、自分たちのやりたいオフェンスができず、ボールが孤立してしまった。試合巧者の三河のほうが上手だった」勝利にも緩まず「チャレンジャーの気持ちを忘れずに」大勝した三河にとっては、昨シーズンの屈辱を払拭するチーム一丸の勝利。桜木ジェイアールの20点を筆頭に、比江島が15得点、金丸が13得点、ギャビン・エドワーズが12得点、森川正明が11得点と、5人が2桁得点を記録。得点は3に終わったバッツもインサイドの守備で圧倒的な存在感を見せたし、狩俣は橋本の代役をきっちりと務めた。ベンチスタートの柏木、長谷川智也も自らの役割を果たして勝利に貢献している。攻守にフル回転した比江島は会心の勝利をこう振り返る。「去年の悔しい負け方があったから気持ちが入った部分はあったかもしれないです。オフェンスも良かったですが、ディフェンスのほうが大きかったです。ヘルプに行く時はしっかり行って、ローテーションもして。今日はうまくやれました」鈴木貴美一ヘッドコーチは「ファジーカスを中心として周りを生かすバスケットをする川崎に対し、やらせていいところ、やらせてはいけないところを明確にしました」と『川崎対策』を説明する。「ファジーカスは手首が柔らかくて非常に得点能力があり、全部を抑えるのは無理な話です。場所によって『ここはいい』、『ここはやらせてはダメ』というやり方をしました。それでも点数を取れる選手ですが、今日は調子があまり良くなくて助かりました」また、ゲームを作った狩俣、勝負どころで貴重な得点を重ねた森川については「どちらも今シーズンに合流したばかりの選手ですが、ゲームをこなすにつれてチームに馴染んで、思い切りの良いプレーが出ています。強い川崎に対してしっかりできた」と、その貢献を称えた。ただ、明日もまだ試合がある。鈴木ヘッドコーチは「東芝さんの力はこんなものじゃない」と、以前のチーム名をポロリとこぼしながらも、「明日はしっかりリセットして、チャレンジャーの気持ちを忘れずに戦います」と語った。2017/03/18Bリーグ&国内
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第3クォーターに金丸晃輔が覚醒、ロースコアの展開から一転してサンロッカーズ渋谷を突き放したシーホース三河が完勝守備で耐えて好機を待ち、第3クォーターに攻守が噛み合う30勝9敗で西地区首位を走るシーホース三河が、19勝20敗でワイルドカードを争うサンロッカーズ渋谷と対戦した。鈴木貴美一ヘッドコーチが「良いディフェンスが40分できた」と試合後に語ったように、三河がSR渋谷を58点に抑え込んで勝利をモノにした。三河はポイントガードの橋本竜馬、柏木真介をケガで欠く状況。ポイントガードを務めたのは比江島慎で、普段はシックスマンを務める長谷川智也がシューティングガードとしてスタートを任された。司令塔となった比江島は自らも得点を重ねつつ、安定したゲームメークを披露した。第1クォーターを19-19で折り返し、迎えた第2クォーターでは三河の堅守が光る。相手のピック&ロールに対してズレを作られながらも、最後までシュートチェックに行くことでプレッシャーを与え、SR渋谷のシュートをリングに弾かせる。1対1のディフェンスでも楽にシュートを打たせなかった。SR渋谷は広瀬健太がボールの中継役となりディフェンスを崩していく。リーグナンバー1のスティール数が示す守備力も見せ、自らもパスカットからワンマン速攻を決めるなど目立った働きを見せた。それでもSR渋谷はフィニッシュが思うように決まらない。そんなSR渋谷に対し、三河はギャビン・エドワーズと桜木ジェイアールがインサイドを制し6点リードで前半を終える。そして第3クォーターに入ると、前半は沈黙していた金丸晃輔が爆発する。「前半はボールに触れていなかったので、後半はまずボールに触ることから意識して、チームメートに『ボールちょうだい』という話をしました」と語るように、金丸は積極的にボールを呼び込むことで自らゲームの主導権を握った。インサイドにパスを預け、周りの選手が足を止めずにスクリーンをかけてノーマークを作り出す流動的なオフェンスの中で、金丸は4本の3ポイントシュートを含む17得点をこのクォーターだけで叩き出した。広瀬がタクトを振るうSR渋谷はフィニッシュに課題SR渋谷は良いディフェンスで守り切っても、トラベリングやパスミスなどのターンオーバーでシュートを打つ前にポゼッションを失ってしまう。そうした悪いリズムの中で放たれるシュートはことごとくリングに弾かれ、失点を重ねるという悪循環に陥った。三河はこの第3クォーターを27-10と圧倒し、勝利をぐっと引き寄せた。その第3クォーター最後のSR渋谷の攻撃の場面に注目したい。三河はセットオフェンスを簡単にやらせないように2つのファウルを使い、残り4秒からのスローインというシチュエーションに持ち込む。この抜け目のない作戦によってアールティ・グインにタフショットを打たせ、アイザック・バッツのブロックショットが炸裂。この時点で60-37と大差が付いていたにもかかわらず、鈴木貴美一コーチは徹底的にディティールにこだわった。この徹底ぶりこそ、三河が西地区首位に立ち続ける理由の一つだろう。最終クォーターでは比江島を全休させ、金丸もお役御免とばかりに4分のプレータイムに留めた。ベンチプレーヤーも自分をアピールするチャンスとばかりに積極的にプレー。SR渋谷も意地を見せ得点を重ねるも、三河の優位を揺るがすには遠く、最終スコア71-58で三河が勝利した。後半だけで19得点を挙げた金丸は「前半はどのチームもハードにやってくるので、そこで無理して打つ必要はないのかなという考えで、後半マークが緩んできたところで一気に攻め込むスタイルですね」と後半の大爆発を振り返った。ケガ人の穴を埋めた比江島「自分なりのポイントガードを」エドワーズが14得点と続き、バッツが11リバウンド(うちオフェンスリバウンド5)、桜木が8得点9リバウンド。「NBA出身選手が2人いるので警戒した」と鈴木コーチは言うが、三河の強力インサイド陣は要所できっちり仕事をやってのけた。ポイントガードとして8得点6アシストとゲームを作った比江島は、試合をこう振り返る。「第1クォーターはうまくいかないことが多くて、でも第2クォーターから自分たちのペースになって、そこは我慢できたと思います。第1クォーターはガードを意識しすぎてうまくいかない部分もあったので、自分なりのポイントガードをやってコントロールできたらいいなと思います」敗れたSR渋谷は広瀬が10得点2スティールを記録。起点を作るなど孤軍奮闘したが、チーム全体のシュート精度が最後まで上がらずシーズン2番目に低い58点というスコアで敗れた。もっとも、BTテーブスヘッドコーチが「前半は27点しか取れなかったのですが、三河も33得点で、ディフェンス面では自分たちの目的が達成できて良かったところ」と振り返るとおり、ロースコアゲームで三河の爆発力を抑えるゲームプラン通りではあった。問題は第3クォーター。「特に金丸選手のところであれだけ決められては。やってはいけないミスを繰り返すと、こういった展開になる。それが一番の差だと思います」と三河との『ディティールの差』を敗因に挙げた。「ケガとかいろいろなアクシデントはありますけど、それは理由にならない」と語る鈴木コーチは見事な采配で勝ち星をまた1つ上乗せた。ワイルドカード争い中のSR渋谷はリーグ再開後の1カ月半で4勝9敗と大きく負け越して勝率を下げているだけに、明日は相手が三河と言えども勝利が求められる。2017/03/04Bリーグ&国内
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