
『イアン・ロシター』の検索結果
-
ブレックスは敗戦をどう受け止めたのか、田臥勇太「来週も試合するつもりだった」ロシター「三河が勝ってしかるべき、という試合」栃木ブレックスは敵地でシーホース三河に連敗を喫し、チャンピオンシップのクォーターファイナルで姿を消した。初戦は63-77、第2戦は75-80と連敗。第2戦では最大21点のビハインドから猛烈な追い上げを見せ、ラスト30秒で1点差まで迫ったが、最後はエースとして覚醒しきった比江島慎のクラッチシュートに屈した。大量ビハインドを背負っても崩れるのではなく逆に結束し、それをチームの勢いに変えて一気に相手を飲み込んでしまう。昨シーズンのチャンピオンシップで猛威を振るった栃木の強さは健在だった。いや、昨シーズンに優勝を決めた後にチームは一度解体され、新チームが苦しみもがきながら、その力を取り戻すまで進化してきたと言うべきだろう。三河の司令塔、橋本竜馬は勝ってもなお「苦しかったです」と素直に栃木が驚異であったことを認めた。『栃木ここにあり』という存在感は出せた。ただ、そこに満足していなかったのがライアン・ロシターだ。試合後の会見でのロシターは、口調こそ普段と変わらず落ち着いたものだったが、その言葉からは負けた悔しさがにじみ出ていた。「チャンピオンシップのようなゲームでは大きなリードを作ったチームがそのままキープするのは難しい。失うもののない我々はただ向かって行くだけだし、点差が縮まるとリードする側にプレッシャーがかかるもの。それで1点差まで詰めたが、最後は三河がビッグショットを決めた。三河が勝ってしかるべき、という試合だった」喜多川「負けも共有したし、勝ちも分かち合った」一方で、悔しさをシャワーとともに洗い流して会見場にやって来たのが、第2戦で16得点と気を吐き、三河を苦しめた喜多川修平だ。比江島に決定的なシュートを決められた後、最後のオフェンスを託されたのは喜多川だった。新加入の喜多川は、シーズン序盤のチーム低迷の影響をもろに受けた選手。そこから這い上がり、一つずつ信頼を積み重ねていく中で、本当の意味での『栃木のプレーヤー』になっていった。そして最後のシュートを託されるまでに至ったのだ。ちなみに安齋竜三ヘッドコーチは、最後のオフェンスを喜多川に託すことに迷いはなかったと説明するとともに、「相手に読まれていたので、私のミスです」と自分のプレーの選択が悪かったと選手をかばった。喜多川はその場面について「しっかり打ち切ろうと思った」とだけ語るに留め、個人でなくチームの話をしたがった。「最後は僕ですけど、それまではチームとして戦っていました。オフェンス一つにとってもチームで一つになってやれたので、それは良かったです。結果的に2連敗でシーズンは終わってしまったんですけど、苦しい時期も良い時期もチームで共有し、同じ方向を向いてやれていたのが一番印象深いです。負けも共有したし、勝ったのもチームで分かち合って喜ぶことができた。そこはチーム力を一番感じたところです」田臥「終わってしまったので、ひとまずケアしたい」ブレックスの象徴、田臥勇太はどう感じていたのだろうか。アップダウンの激しいシーズンとなったが、「つらいというのは全然なくて。もちろんコーチが交代したりケガ人があったんですけど、それを乗り越えて一つにまとまれる良いきっかけになって、だからこそみんなが前を向いてやり続けて、それでつかみとったチャンピオンシップなので価値があるというか、全員で挑みたいと思えました」と、シーズン総決算のチャンピオンシップを振り返る。三河を追い詰めたが、届かなかった。ただ敗因について田臥は「僕はそこだけじゃないと思うので。そこまでの過程のほうが必要」と、ラスト1分の攻防ではなく全体を振り返った。「ホント、たらればになってしまいますけど、40分間の試合をどう組み立てられたか。そこに勝てなかった敗因があったと思います」「自分たちはディフェンスのチームなので、『ここ』というよりは一つのギャンブルだったりとか、コミュニケーション不足だったりとか準備の部分とか、1本、2本を抑えていれば。勝ち切れていたんじゃないかと思います」前日の試合後会見にはチームジャージ姿だった田臥は、私服で会見場に来ていた。それが『ゲームオーバー』を印象づける。予定より2週間早くオフに入ることになった。「まだ来週も試合をするつもりだったんで(笑)。これからですね。とりあえず終わってしまったので、ひとまずケアしたいと思います」そして「シーズン、ありがとうございました」と集まったメディアに一礼。間違いなく今シーズンもBリーグの主役だった田臥は、一足先に舞台を降りた。1年前の三河が、比江島がそうであったように、今度は栃木の選手たちが悔しさを抱えて夏を過ごし、新たなシーズンを迎える。2018/05/17Bリーグ&国内
-
大量リードから一転、追い詰められたシーホース三河が土壇場で踏ん張り栃木を撃破前年王者の栃木は持ち味を発揮するもここで敗退Bリーグ王者を決めるチャンピオンシップのクォーターファイナル、シーホース三河と栃木ブレックスの第2戦。昨日に続き三河が勝ち切り、2連勝でセミファイナル進出を決めた。後がない栃木は第1戦を上回る強烈なプレッシャーディフェンスを仕掛けて試合開始から5-0とリードするも、三河はそれを逆手に取って徹底的にファウルを誘いに行く。これが立て続けにハマり、フリースローで点差を詰めてコートニー・シムズのバスケット・カウントで逆転に成功。残り2分、比江島慎がセドリック・ボーズマンをドライブで抜き、ゴール下のライアン・ロシターの伸ばす手もかいくぐってシュートを決め、三河が22-14と抜け出した。栃木はそれでも自分たちのスタイルを崩すことなく、むしろディフェンスの強度をさらに上げていく。安齋竜三ヘッドコーチが試合後に敗れてもなお「それがウチのスタイルなので」と言い切った、シーズンを通して突き詰めてきたバスケットだった。だが、それで反撃の機会は何度か作ったものの、その都度ファウルを誘われ、どうしても劣勢をひっくり返すには至らない。第1戦と同じく重い展開の中、三河がチームでも個人でもオフェンスで力を発揮し、リードを広げていく。後半開始早々、31-46と15点差を付けられたところから田臥勇太が連続得点で流れを作りかけるが、ここでも栃木はオフェンスファウル、デイフェンスファウルと続いて自滅。オフェンスリバウンドをがっちりつかんだバッツがフリースローを得て、アーリーオフェンスで中央を突っ切った比江島がそのままフローターを沈め、金丸晃輔の速攻が出てと、あっという間に35-56と点差を20の大台に乗せられてしまう。吹っ切れた栃木の猛追、21点ビハインドを1点に62-47で迎えた最終クォーターも、最初のプレーで西川貴之がファウルを誘発したフリースローを皮切りに三河が連続得点で68-47と点差を再び20に乗せ、試合の趨勢は決まったかに思われた。ところが、これで終わらないのが栃木ブレックスだ。鵤誠司、ロシター、遠藤祐亮と3ポイントシュートが立て続けに決まって58-68と10点差まで詰め寄る。ここで三河は桜木をコートに戻し、ベストの5人で試合を締めにかかったのだが、その桜木が直後にギブスの突破を止めにいって個人5つ目のファウルで退場となってしまう。これは想定外のアクシデントだった。栃木は後がなくなり吹っ切れたことで思い切りの良さが蘇り、3ポイントシュートが当たり始めたが、三河の得点をシャットアウトしていたディフェンスも見逃せない。激戦の終盤を迎えて三河の選手はキレを失い始め、ファウルを誘うプレーが効かなくなっていた。これに加えてオフェンスでボールの収めどころとなる桜木が退場したのは痛手。バッツがインサイドで奮闘し、比江島もしぶとく得点を重ねていたが、土壇場で勢いは栃木に傾いた。残り1分半、喜多川がジャンプシュート決め71-75。さらに三河のリスタートを狙い、橋本を2人で囲い込んでボールを奪い、ロシターがゴール下でそのままねじ込み73-75と、ついに1ポゼッション差に迫った。76-73と三河の3点リードで迎えたラスト1分はまばたきもできない展開に。バッツが値千金のファウルをもぎ取るも、フリースローを2投とも失敗して栃木にチャンスを残してしまう。さらには司令塔の橋本まで退場に。激しいディフェンスをうまくいなして栃木を苦しめてきた三河が、反対にファウルで苦しむこととなった。ドライブで橋本をファウルアウトに追い込んだ田臥がフリースローを落ち着いて2本とも決め、21点あったビハインドは1点となった。クラッチシューター比江島「絶対に打ち切ろう」残り31秒、1点差。勝負の懸かった場面で三河は比江島のアイソレーションを選択する。鈴木貴美一ヘッドコーチは試合後にこう振り返る。「昨日はあまり調子良くなかったですけど、彼は昨シーズンに負けた悔しさを1年間言葉にしていた。そういう悔しい思いをしたのがチームで誰よりも強い。彼の目を見ていて絶対にやると思ったので、ボールを託しました」昨シーズンのチャンピオンシップ、同じ栃木戦で比江島はミスを犯し、チームは勝利を逃していた。大混戦の土壇場ではあったが、比江島もその時のことが頭にあったという。1年越しに迎えたリベンジの機会。マッチアップする喜多川を左右に揺さぶってから放ったジャンプシュートが決まり、残り12秒で三河が78-75と突き放した。比江島は言う。「シュートタッチ自体は良かったので、絶対に打ち切ろうと思っていました」栃木はラストチャンスを喜多川に託すが、決まれば同点の3ポイントシュートがリングに弾かれて万事休す。安齋ヘッドコーチは「最後は喜多川と決めていましたが読まれていました。私の責任」と選手をかばった。残り1秒でファウルゲームに行くも金丸がフリースロー2本を決め、80-75でホームの三河が激闘を制し、セミファイナルへと駒を進めている。前年王者の栃木がここで敗退。安齋ヘッドコーチは比江島の一発について「あそこは仕方がないというか、比江島選手が本当に素晴らしい、ただそれだけです」と相手を称えた。「ウチの選手たちの素晴らしさも見せられたんですけど、ここで負けて終わってしまったので何か足りないものがあったのではないかと思う。この悔しさを来年以降にぶつけて、優勝を狙えるチームを作っていきたい」と語り、長いシーズンを終えた。2018/05/13Bリーグ&国内
-
勝負どころで堅守速攻が復活した栃木ブレックスが一気の逆転劇で名古屋Dを撃破ドライブからの展開がハマった名古屋Dが優位に5月4日、名古屋ダイヤモンドドルフィンズがホームに栃木ブレックスを迎えた。チャンピオンシップ出場チーム同士の対戦は、終盤に栃木が15点差を逆転する劇的な試合となった。試合序盤は張本天傑が3ポイントシュートを連続で決め、ドライブからのキックアウトでアウトサイドからのシュートを決めていく得意の形で名古屋Dが先行する。積極的にドライブを仕掛けることで栃木のディフェンスを上回り、第2クォーターの残り6分41秒には船生誠也が技ありのバスケット・カウントをもぎ取って、29-19とリードを2桁に広げた。この時点でチームファウルが5に達した栃木だが、ここから粘りを見せる。山崎稜の3ポイントシュート、生原秀将のスティールからの得点で反撃。ディフェンスの強度も上げて相手のターンオーバーを誘発し、37-41と差を詰めて前半を終えた。それでも第3クォーターは立ち上がりから藤永佳昭と張本が連続3ポイントシュートを決め、名古屋Dが勢いを取り戻す。ジャスティン・バーレルとの連携から張本、藤永のアシストで中東泰斗が連続でゴール下を決め51-39とリードを広げる。その後も果敢なドライブアタックで栃木ディフェンスをかき乱す名古屋Dが優勢を保った。勝負どころでディフェンスの強度を高めて勝ち切る栃木は55-68と13点ビハインドで最終クォーターを迎えたが、この勝負どころでディフェンスからゲームを作り直し、試合の流れを引き寄せる。残り7分、鵤誠司がトランジションオフェンスから3ポイントシュートを決める。直後にクレイグ・ブラッキンズがオフェンスファウルを犯し、さらに判定に抗議したことでテクニカルファウルをコールされる。これで得たポゼッションでライアン・ロシターが3ポイントシュートを沈め、66-70と名古屋Dを射程圏内にとらえた。栃木のディフェンスが名古屋Dのドライブをとらえ始め、竹内公輔のスティールからの速攻を遠藤祐亮が決め2点差に。勢いが止まらない栃木はロシターのフェイダウェイシュートで74-74と追い付くと、竹内公輔のセカンドチャンスポイントでついに逆転する。この勝負どころでバーレル頼みになる名古屋Dに対し、栃木はディフェンスの強度をさらに増して得点を許さない。特にロシターはこのクォーターだけで5スティールを記録し、ブロックにリバウンドにと守備で存在感を発揮。そこから次々と速攻を繰り出して名古屋Dを突き放す絶妙な試合運びで、最終スコア84-80で勝利した。我慢し続けることで手繰り寄せた逆転勝利見事な逆転勝利を飾った栃木だが、安齋竜三ヘッドコーチは「前半は特に、名古屋まで応援に来てくださっているファンの皆さんに失礼なゲームをしてしまった」と、相手に主導権を握られた前半の出来に苦言を呈し、気の緩みを許さなかった。「どういう選手が出ても、ブレックスのスタイルは変わらないので、そういったところを全選手に理解して危機感を持ってやってもらわないと、チャンピオンシップでは今日の前半のような時間帯があっただけで勝てない試合になってしまう」それでも栃木は、名古屋Dのオフェンスに苦労しながらも、我慢し続けることで大逆転劇を手繰り寄せている。試合終盤の激しいディフェンスと速攻が目立つが、それ一辺倒になるのではなく状況を見極めて遅攻も織り交ぜられるゲームコントロールは、ディフェンディングチャンピオンの強さを象徴している。鵤誠司は逆転劇を演出する貴重な働き。「出だしでエナジーが足りない時間帯もあったが、後半はエナジーを出して逆転することができた。明日もチームとして少しでも成長してチャンピオンシップにつながるようなゲームにしたい」と、明日の第2戦でも必勝を誓った。名古屋Dは大量リードを守り切れない悔しい敗戦に。ドライブと3ポイントシュートを中心とした質の高いオフェンスは最後まで栃木を苦しめたが、試合を通してターンオーバーが22とミスが増えたことで栃木に流れを明け渡してしまった。2018/05/04Bリーグ&国内
-
堅守が売りの両チーム、相手を切り崩すオフェンスを構築した栃木ブレックスが快勝堅守速攻に加え全員攻撃で栃木が主導権を握る4月28日、栃木ブレックスvsサンロッカーズ渋谷の第1戦。ディフェンスを持ち味とする両チームの対戦となったが、全員に得点機会を作るパス回しと3ポイントシュートで栃木がSR渋谷を攻め落とし、71-55で勝利した。第1クォーター、両チームともゴールに果敢にアタックする。序盤にゲームを引っ張ったのは渋谷のジョシュ・ハレルソンで、このクォーターだけで12得点の大暴れ。しかし得点者がハレルソンとベンドラメ礼生に偏った渋谷に対し、栃木は7アシストで6人が得点を記録。全員攻撃で流れを引き寄せた栃木が21-17でリードした。第2クォーター、両チームともにオン・ザ・コート「1」で外国籍選手による個人技が薄まり、より守り合いの展開に。栃木はオフボールのディフェンスでSR渋谷のリズムを狂わせ、このクォーターの失点を5に抑える。攻撃に転じれば相手の激しいディフェンスをかいくぐり山崎稜がジャンプシュートを、渡邉裕規が2本連続の3ポイントシュートを含む8連続得点を決め、33-22と突き放して前半を終えた。劣勢を覆すべくハッスルしたSR渋谷の山内盛久後半に入ってもライアン・ロシター、喜多川修平が3ポイントシュートを確率良く決め、第3クォーターの半ばに45-26とこの試合で最大のリードを奪う。劣勢の続くSR渋谷だが、ここで流れを変えたのは山内盛久だった。前半はほとんど仕事のできなかった山内がチームにエナジーを送り込み、速攻につながるパスをスティールし、満原優樹の3ポイントシュートをアシスト。直後にバスケット・カウントを引き出すドライブイン、さらにオフェンスリバウンドのルーズボールを追って身体ごとベンチへ突っ込む気迫でチームを盛り立て、39-51までビハインドを縮めて最終クォーターへ。それでも栃木も勝負どころで試合巧者ぶりを発揮。堅守を取り戻すとアウトサイドの攻めでSR渋谷の流れを断ち切る。SR渋谷は10点差まで縮めるのが精一杯。激しいディフェンスは健在ながら、栃木の堅守を崩すオフェンスの構築には最後まで苦労した。残り1分50秒、山崎がスローインをスティールし速攻に持ち込むとパスフェイクで相手を翻弄し、フリーでの3ポイントシュートを決めて71-55に。その後はスコアが動かず栃木が勝利した。山崎稜、復活を印象付ける活躍「もっと存在感を」栃木の勝因は持ち前のプレッシャーディフェンスが機能したこと。もう一つの持ち味であるオフェンスリバウンドで9-13とSR渋谷を下回り、セカンドチャンスポイントは4点に留まったが、この日10得点の山崎が得点に絡むことで堅守から3ポイントシュートで突き放すオフェンスが見られたのは収穫だ。また試合終盤にはロシターと竹内公輔をベンチに置くスモールラインナップも見せ、チャンピオンシップに向けてのテストも感じられる余裕の試合運びだった。昨年12月3日以来の2桁得点を記録した山崎は「ケガをしていた時はそこが底辺だったので、あとは上がるしかないと思っていた。今日以上に確率良くシュートを決めたいし、ディフェンスでももっと存在感を出したい」と、まだまだプレーに飢えている様子。選手層を厚くし、戦い方のバリエーションを増やす上で、この時期に山崎が復調したのは大きい。安齋竜三ヘッドコーチは快勝した後にもかかわらず「細かい部分をチャンピオンシップまでに詰めていけるか」とさらなる改善への意欲を語る。チャンピオンシップまであと2週間、苦しい時期を乗り越えた栃木は仕上げの段階に入っている。2018/04/28Bリーグ&国内
-
相手の策を逆手に取った長距離砲、栃木が誇る万能ビッグマン、ライアン・ロシターSR渋谷の対策を上回った3ポイントシュート栃木ブレックスは先週末のサンロッカーズ渋谷戦に2連勝した。連敗を喫すれば勝敗で並ばれ、チャンピオンシップ進出を占う上で重要な試合であることは誰しも理解しており、熱戦が繰り広げられた。第2戦の最終スコアは76-64と終盤に差が開いたが、ラスト6分の時点で3点差と、突き放しては追いつかれるシーソーゲームとなった。ゲームハイの19得点を挙げたライアン・ロシターは「得点が止まる時間があったが、パニックにならず落ち着いて戦えたのが良かった」と試合を振り返った。彼が勝因に挙げた『落ち着き』をチームにもたらしたのが、ロシターの3ポイントシュートだった。ロシターは4本放った3ポイントシュートをすべて成功させている。「中に切り込むことはできなかったが、逆にディフェンスと自分との間に距離がある守り方だったので、その状況を見て狙った」とロシターは説明した。SR渋谷の指揮官、勝久ジェフリーも「打たせたわけではないですけど、シュートフェイクに飛ばずに、ドライブを優先的に守るというのはありました」と明かしている。確率論から言えば正しい対応だ。今シーズンのロシターの3ポイントシュートの成功率は30%台前半で、過去2シーズンの数字も30%を下回っている。「4分の4、3ポイントシュートを決める選手だとは思っていない。アシストも多いクリエイターと考えているので、侵入を防ぐという作戦でしたけど、昨日と今日は素晴らしかった」と勝久コーチはロシターを称えた。「スタッツ担当の人と話さないといけないね(笑)」栃木はオフェンスリバウンドを平均12.7本獲得しており、これはリーグ1位の数字だ。栃木のこの武器は、平均3.2オフェンスリバウンドのロシターの貢献が大きいのは明らか。オフェンスリバウンドが0本だったのは、46試合中わずか1試合のみだったが、第2戦では約4カ月ぶりにオフェンスリバウンドが0に終わった。ロシター自身にもこれは意外だったようで、「What?」と首を傾げた。「オフェンスリバウンドを取ったプレーが全部ファウルになってしまって、カウントされなかったんじゃないかな」。確かにリバウンド争いでファウルがコールされる場面は多々あった。それでも栃木はオフェンスリバウンドでSR渋谷を上回った。「僕が取れなくても、チップしたのをチームリバウンドとして取れている。そういう一つひとつのプレーがチームの勝利につながっていると思う。だからリバウンドに絡むことが重要と考えて常にプレーしているよ」数字よりも勝利を優先するロシターだが、オフェンスリバウンドが0本だったことについては「スタッツ担当の人と話さないといけないね(笑)」と冗談交じりに笑顔で話した。唯一の課題はフリースロー「できることをやっていく」圧倒的な存在感を放ち、完全無欠なイメージのロシターだが唯一つ弱点がある。それは年々確率を落としているフリースローだ。今シーズンは43.1%とキャリアワーストの数字となっている。第2戦でもフリースローは8本中3本の成功と、この日も低調だった。この日は前述のとおり、4本すべての3ポイントシュートを沈めていた。そこでフリースローと3ポイントシュートではどちらが得意かを尋ねると、苦笑混じりで「3ポイントシュートのほうが簡単だね」と話す。得点王レースに絡むほど大量得点を挙げるわけではないが、勝負どころでボールを託されれば臆することなくアタックして貴重な得点を挙げる。リバウンドではリーグ屈指、そしてアシストも1試合平均4.7と外国籍選手では最多。オールラウンドな能力を誇るロシターにとって唯一の弱点がフリースローだ。だがロシターは「数を打って練習しているが現状として結果に表れていない。そのことが自分のパフォーマンスに影響しないように、できることをやっていくだけ」と、苦手は苦手と受け入れ、他のプレーに悪影響が及ばないように割り切って練習を重ねている。フリースローは長年の課題であり、どれだけ練習を重ねても成功率が80%になることはないかもしれない。それでも、その課題に対するどこまでも真摯な取り組み方が、ロシターのプレーヤーとしての強さを表している。2018/04/07Bリーグ&国内
-
栃木の粘り腰に屈したサンロッカーズ渋谷、チャンピオンシップに向け痛すぎる連敗出だしにつまずき、2桁のビハインドサンロッカーズ渋谷vs栃木ブレックスのゲーム2。大敗を喫したゲーム1とは異なり、高いエナジーを見せたSR渋谷だったが、栃木を捕まえきれないまま終盤に失速し、64-76で敗れた。SR渋谷は序盤から栃木の激しいプレッシャーディフェンスに苦戦する。なんとかパスをつなぎマークを外してシュートを放つも、そのシュートが決まらない。田臥勇太のスティールからライアン・ロシターの得点につなげられ、遠藤祐亮に3ポイントシュートを許し、開始4分で3-11とビハインドを背負った。タイムアウトを挟みベンドラメ礼生がドライブで得点して立て直しにかかるも、4つのオフェンスリバウンドを奪われ、リバウンド争いでファウルを犯すなど波に乗れない。その後も、オフェンスでズレを作るも栃木の素早いローテーションの前に優位性を生かせず得点が伸び悩む。ディフェンスで何とか踏ん張り、28-38と10点差で前半を折り返した。ボールへの執着心で下回り、栃木を捉えられず後半開始早々、SR渋谷は強度の高いディフェンスから連続ターンオーバーを誘発して追撃開始。残り4分37秒には、長谷川智也の3ポイントシュートが決まり41-46と5点差まで詰め寄った。それでもロシターに3ポイントシュートを許すなど、あと一歩のところで栃木を捕まえられず、再び点差を2桁に戻される。6点差で迎えた最終クォーター残り8分、ここまで攻守にチームを引っ張ってきたロバート・サクレが4ファウルとなりベンチに下がるピンチを迎えるも、代わりに入ったルーベン・ボイキンがピンチを救い、連続で3ポイントシュートを沈めて残り6分13秒で3点差と肉薄した。だが、プレッシャーをかけても栃木は動じることなく、自分たちのバスケを貫いた。セドリック・ボーズマンがリングにアタックしフリースローで優位を保つと、残り2分20秒にはロシターがこの日4本目となる3ポイントシュートを沈めて、62-72と再び点差を2桁に乗せた。終盤に進むにつれ、強度の高いディフェンスからボールをファンブルさせる栃木。ルーズボールに果敢に飛び込み、球際の強さで違いを見せることでポゼッション数を増やした。SR渋谷に3点差と迫られてからの6分間、集中を入れなおした栃木は失点わずか4で乗り切り、76-64で勝利した。「これがウチのチームだと再確認したゲーム」勝利した栃木の安齋竜三ヘッドコーチは「タフなスケジュールの最後のゲームでしたが、選手たちはウチのチームのバスケットスタイルにプライドを持って最後まで戦ってくれた。その結果がこの2連勝になった」と選手を称えた。何度もSR渋谷に迫られた場面については「渋谷さんのエナジーがすごい高かったのが一つあります。メンタル的に引いてしまい、ターンオーバーからトランジションで持っていかれたりした時間帯があった」と反省するも、「ルーズボールに何回も飛び込んでいく姿。自分のチームですけど、そういう選手たちを本当に誇りに思いますし、これがウチのチームだと再確認したゲームになりました」と総括した。一方、敗れたSR渋谷の勝久ジェフリーヘッドコーチは「昨日よりはファイトでき、次につながる戦いはできたと思いますが、大事なところでターンオーバーが多かったり、ルーズボール、リバウンドが栃木さんのほうが上だった」と大事な場面でのパフォーマンスが勝敗を分けたと語る。3点差や5点差など何度も詰め寄る場面があったが、ビハインドを背負ってから一度も追いつくことはできなかった。「こういうゲームを経験することが大事。タフにやり続けないといけない」と勝久コーチは締めた。SR渋谷はホームで痛すぎる連敗。チャンピオンシップ出場ラインにいる栃木とのゲーム差は4に広がった。直接対決を残しているとはいえ、今後もアルバルク東京や千葉ジェッツなど上位チームとの対戦が控えるSR渋谷。ここ12試合で11敗、悪い流れを断ち切るために何らかの手立てが必要なのかもしれない。2018/04/01Bリーグ&国内
-
栃木ブレックス、チャンピオンシップ出場を争うSR渋谷を激しさで圧倒して快勝!田臥の12得点を筆頭に攻守にバランスの取れた栃木3月30日、栃木ブレックスが敵地の墨田区総合体育館でサンロッカーズ渋谷と対戦。持ち前の攻守における激しいプレーで流れを引き寄せると、第2クォーターで一気に突き放し、そのまま87-64と危なげない勝利を収めた。現在、チャンピオンシップ出場枠の最後の切符となるワイルドカード2位の座を争っている両チームだが、この勝利で栃木がSR渋谷とのゲーム差を3に広げている。第1クォーター中盤、栃木は田臥勇太の得点で11-6とリードを奪うが、渋谷は終盤に杉浦佑成、ルーベン・ボイキンの連続3ポイントシュートで反撃。栃木の16-15と互角の展開でこのクォーターを終える。第2クォーター、栃木は20-20から渡邉裕規のシュートなどで連続7得点。これで流れをつかむと、さらに攻守の素早い切り替えからの的確なパス回してSR渋谷のディフェンスを翻弄。このクォーターで8得点を挙げた田臥を筆頭に、チーム全体で計18本中12本成功と高確率でシュートを沈め、45-26と一気に突き放して前半を終えた。第3クォーター、反撃のきっかけを作りたいSR渋谷はロバード・サクレ、満原優樹とゴール下のアタックで得点を挙げる。しかし、栃木も内と外のバランスの取れたオフェンスで応じ、さらにリードを広げることに成功する。最終クォーターは田臥、喜多川修平の先発2人が出場なしとベテランを温存しつつもベンチメンバーが奮闘し、余裕の展開で同地区対決に快勝した。「やってきたことを出せた試合でした」この試合、栃木はチームトップの得点が田臥、ジェフ・ギブスの12得点など計7人が8得点以上をマーク。また、11得点12リバウンドのライアン・ロシターが8アシストと、トリプル・ダブルにあと一歩と迫る活躍を見せた。逆にSR渋谷はサクレが23得点と奮闘するも、他に2桁得点の選手はおらず後が続かなかった。栃木の安齋竜三ヘッドコーチは、「(水曜日に行われた)東京戦では選手がプラン通りにプレーしてくれて、負けはしましたが今日につながるゲームでした。それだけに今日は本当に勝たないといけない中、僕たちがやるべきこと、やってきたことを出せた試合でした」と、28日に行われたA東京戦でつかんだ好感触をうまくつなげることができたと語る。ただ、一方でもっとチーム力を高めることはできると、気を引き締めることの大切さも強調している。「まだまだ、突き詰めないといけないところがあります。ディフェンスでコミュニケーションミスや、ルーズボールに飛び込まなかったことなどありました。100%できることは不可能に近いと思いますが、やろうとしているか、どうかについてはまだまだ足りない。そこはもっとやれます」完敗を喫したSR渋谷「1対1のバトルで負けた印象」厳しい敗戦となったSR渋谷の勝久ジェフリーヘッドコーチは、個々の戦いで後手に回ったことが敗因だったと振り返る。「一つひとつのボールプレッシャー、リバウンドといろいろな部分での1対1のバトルで負けた印象がありました。そこは栃木のファイトを見習わないといけない」そして、「オフェンスがうまくいかないことで相手に走られてしまい、ディフェンスが弱気になっているところが現実としてあります。オフェンスでアタックできないとディフェンスにも響く悪循環になる。そこは1対1の戦いから、もらいたいところでボールをもらう。アタックしたいところでしっかりフィニッシュまでいくところが大事です」と、巻き返しのポイントを挙げる。図らずも安齋ヘッドコーチは、本日の2試合目に向けては「明日は渋谷さんも、もっとアグレッシブに来ると思うので、それに受身にならないで自分たちもさらにアグレッシブに行きたいと思います」と語っていた。両指揮官が言及したように、安定した守備を構築するためにもどちらがより攻撃で積極的にアタックできるかが勝敗を分ける大きな要素となりそうだ。2018/03/31Bリーグ&国内
-
試練の1週間に挑む栃木ブレックスの大黒柱ロシター「目の前の試合に全力で挑む」攻守に存在感を放つ栃木の大黒柱栃木ブレックスは、3月17日と18日に行われた千葉ジェッツとのアウァーゲームを1勝1敗で終えた。17日は終盤の猛攻により73-71と劇的な逆転勝利を挙げたが、18日は序盤から主導権を握られ、66-85と大敗を喫した。チームの大黒柱であるライアン・ロシターは、17日と18日の違いを次のように分析する。「トランジションディフェンスが違った。前日、僕たちはしっかりと守備で戻れていて、相手にイージーシュートの機会を与えずにいた。しかし、今日は第1クォーターに何度が速攻をやられ、第3クォーターにも速攻からのレイアップなどで8連続得点を許してしまった。それが痛かった」千葉との2試合についてロシターは「もちろん、もっと良いプレーをしたかった。しかし、千葉はとても素晴らしいチームで、彼らの激しいプレーから学ぶこともあった」と総括する。「今年はよりプレーメーカーになっている」現在、栃木は24勝20敗で東地区4位、チャンピオンシップ出場レースに目を向けるとワイルドカード2位と、最後の切符を手に入れられる位置にいる。シーズン序盤のもたつきから立て直し、徐々に調子を上げているのは間違いない。しかし、昨シーズンのリーグ王者である栃木が目指すのはチャンピオンシップの出場ではなく優勝だ。では、頂点を狙える力をどこまでつけているのか。それを測る絶好の機会が、24日から始まる過酷スケジュールだ。単純に8日間で5試合を行うことがタフであるだけではない。川崎ブレイブサンダース、アルバルク東京、サンロッカーズ渋谷と、すべて東地区の難敵相手。しかもA東京、SR渋谷とは敵地との試合となる。「大事な戦いとなるが、大事なのは目の前の試合に全力で勝ちに行くこと。今は東京、渋谷について考える必要はない。川崎戦だけに集中して、コンディションを整える」ロシターはこのように意気込みを語るが、ここまでの自身のプレーについてはどのように感じているのだろうか。昨シーズンと変わった点はあるのか聞くと、「今年はよりプレーメーカーになっていると思う。去年の方が、もっと点を取りに行っていた。今年はもっとボールをハンドリングし、アシストが例年よりも増えている」と言う。実際、アシストの算出方法が変更されたことでリーグ全体としてアシスト数が増えていることは間違いないが、それを考慮してもここまでロシターのアシスト数は昨シーズンの1試合平均3.2から4.7と大きく増えている。「この熾烈な戦いの場にいることを楽しんでいるよ」後半戦に入って勝ち星を順調に増やしている栃木であるが、まだまだ一歩踏み外せばチャンピオンシップ圏外まで落ちてしまう位置にいる。前年のリーグ王者がプレーオフにすら進出できないことは大きな後退を意味するが、ロシターはそういった重圧を感じていない。「チャンピオンシップに出なければというプレッシャーは感じない。プレーオフ出場はすべてのチームの目標となる。重圧ではなく、この熾烈な戦いの場にいることを楽しんでいるよ」昨シーズンはホームアドバンテージを最大限に生かして優勝を勝ち取ったが、今シーズンは現実的に考えてチャンピオンシップ出場権を確保するのが第一。ただ、戦いの場がアウェーになっても連覇のチャンスは十分にあるとロシターは断言する。「常に誰かケガをしていたりしてフルメンバーで戦える機会がなかなかないけど、自信は持っている。チャンピオンシップに出場し、再びファイナルに行く。短期決戦では何でも起こるからね」試練の5番勝負についてロシターは「本当にタフなスケジュールだけど、楽しみでもある」と語る。その強靭なメンタルがチーム全体に波及して戦えるのであれば、栃木にとってこの1週間は飛躍への大きなきっかけとなるはずだ。2018/03/24Bリーグ&国内
-
チームで戦う栃木ブレックス、残り4分で12点差から大逆転で千葉ジェッツを撃破出だしの悪さを修正した千葉が優位に立つ千葉ジェッツが船橋アリーナに栃木ブレックスを迎えた第1戦。Bリーグ初年度から繰り返し好勝負を演じてきた両者が、今回も素晴らしい試合を見せた。先手を取ったのはアウェーの栃木。高い位置からプレッシャーを掛けてイージーシュートを許さず、田臥勇太の速攻、遠藤祐亮の3ポイントシュートで開始2分半で10-0と走った。しかし残り3分にジェフ・ギブスが個人ファウル2つでベンチに下がり、オン「2」の優位を失うと形勢逆転。千葉は富樫勇樹のドライビングレイアップで流れを呼び込み、小野龍猛の3ポイントシュートで締めて、15-18までビハインドを縮めた。第2クォーターは一進一退の攻防が続く。残り5分50秒、トランジションからマイケル・パーカーのゴール下が決まり、24-23と千葉がついに逆転した。それでも、喜多川修平のミドルシュートで栃木が再逆転。両チームともに堅守をベースとするチームで戻りが早く、得意のトランジションを封じ合うことでロースコアの展開が続く。それでも残り3秒の場面で富樫のパスカットからギャビン・エドワーズへと展開。この試合で初めての速攻を決めた千葉が31-30とリードして前半を終えた。第3クォーターは序盤こそ膠着したが、遠藤祐亮がファウルトラブルでベンチに下がると千葉がタフショットを強いては速攻につなぐ展開に。このクォーターの終了間際にはルーズボール争いで富樫と渡邉裕規が交錯。こぼれ球を保持した千葉がパーカーの速攻へとつなげた上に、渡邊は頭部から出血しプレーを続けられず。小野の3ポイントシュートで55-45、千葉が2桁のリードを奪って第3クォーターを締めた。ラスト4分間で12点ビハインドからの大逆転劇最終クォーターは千葉がリードを保って時計が進む。残り4分、エドワーズが生原秀将のダブルクラッチを読んでブロックショットで叩き落とす。ここから繰り出した速攻での石井講祐のレイアップはロシターに阻まれるも、ブロックからそのまま走り込んだエドワーズが押し込んで68-56。粘る栃木を突き放すビッグプレーで千葉がこの試合最大となる12点とリードを広げた。それでも栃木はタイムアウトで態勢を立て直し、遠藤が3ポイントシュートを決めて点差を1桁に戻すと、もう一段階上の粘りを発揮し始める。千葉のオフェンスの起点となるピック&ロールに対し、ロシターやギブスがビッグマンらしからぬ素早いフットワークでズレを作らせない。小野のポストアップやエドワーズの1on1もチームディフェンスで封じ、外からの淡泊なシュートを打たせてリズムを崩した。残り1分を切って、田臥勇太がアキ・チェンバースのハードディフェンスの裏をかいてファウルを誘い、フリースロー2本を決めて1点差に。さらに高い位置からプレッシャーを掛けて千葉のボールをルーズボールにすると、この争いで遠藤が富樫のファウルを誘う。このフリースローを1本決めて71-71の同点に追い付いた。残り時間は27秒。24秒を使い切っても相手に反撃の機会が残されているきわどい時間、千葉は富樫の1on1にすべてを託す。富樫は時間を使い、ショットクロック3秒の場面で自らの3ポイントシュートを選択した。だがこれが外れ、しかもロングリバウンドが喜多川修平の手に。喜多川は迷わずボールをプッシュ。残り2秒ならレイアップまで持って行かれると判断した富樫がファウルで止めた。プレッシャーのかかる場面ではあったが、喜多川はこのフリースローを2本とも決めて勝負アリ。タイムアウト明けの4分間で、17-3と圧倒した栃木の見事な逆転勝利となった。「最後のタフネスさ、本当にそこに尽きる」劇的な逆転勝利を収めた栃木の安齋竜三ヘッドコーチは「チームで決めたルールを、選手が最後の最後までエナジーを持ってやってくれた結果」と選手たちを称えた。ラスト4分でのタイムアウトでは「ディフェンスのアグレッシブさをもう一回出そう。ディフェンスからオフェンスの流れをもっと早くして、アップテンポなゲームに持っていこう」と指示をしたという。まさにこの言葉通りの展開で、その時点で56-68だったスコアをひっくり返したのだから痛快だろう。一方、敗れた千葉の大野篤史ヘッドコーチはこの逆転負けを「自滅」と表現した。「チームで戦う姿勢が栃木さんのほうが見られましたし、ボールに対する執着心があからさまに違うところ。ミスするのはいいんですが、チームとして戦う意識がかなり低いなと思いました」と試合を振り返った。またキャプテンの小野も「最後のタフネスさ、本当にそこに尽きると思います。点差が開いて気の緩みだったり、勝ちたい気持ちだったり、最後の4クォーターは間違いなく負けていた気がします」と語った。終盤のメンタルの差で明暗が別れ、痛い1敗を喫した千葉。東地区優勝を目指す上で連敗は致命的となる。明日の第2戦はどれだけ戦う姿勢を保ち続けられるかがカギになりそうだ。2018/03/17Bリーグ&国内
-
チームルールを徹底した栃木ブレックス、名古屋Dを66得点に抑え込み連日の勝利渡邉が躍動し栃木のペースに栃木ブレックスvs名古屋ダイヤモンドドルフィンズの第2戦。第2クォーター終盤に10-0のランでリードを奪った栃木が、その後も堅守でリードを保ち、75-66で連勝を飾った。オン・ザ・コート数は栃木が「2-1-1-2」、名古屋Dが「1-2-1-2」と前半に差が生じた。序盤はアグレッシブなディフェンスでプレッシャーをかけ、ターンオーバーから走った栃木が先行する。田臥勇太が笹山貴哉のボールを奪い、速攻からシュートファウルを誘発。フリースローを2本とも沈め9-4とリードを奪った。それでも名古屋Dは大崩れせず、笹山とジャスティン・バーレルがそれぞれ5得点を記録し、16-19と差を縮めて第1クォーターを終えた。第2クォーター、オン・ザ・コート「2」の名古屋Dがクレイグ・ブラッキンズを強調し逆転する。その後はしばらく膠着状態になるが、ここで流れを一変させたのが渡邉裕規だ。残り2分、渡邊が難しい体勢から3ポイントシュートを沈め35-33と逆転すると、ノーマークのシュートを決めきれない名古屋Dを尻目に、渡邉のこのクォーター10得点目となる3ポイントシュートで締めた栃木が、10-0のランで9点のリードを奪った。ディフェンスが機能し続けリードを保った栃木後半に入っても、栃木のペースは続く。オフ・ザ・ボールで身体をしっかり当てる強度の高いディフェンスを継続し、名古屋Dにイージーシュートを許さず、3ポイントシュートを封じる。特にジェフ・ギブスやライアン・ロシターによるビッグマンのダブルチームは名古屋Dオフェンスを終始苦しめ、得意の堅守速攻の展開に持ち込んでリードを広げていった。最終クォーター、14点のビハインドを背負った名古屋Dは追いつきたい焦りから悪循環に陥る。精度を欠いたパスでボールを失い、速攻の2対1の場面でもパスミスでポゼッションを明け渡すなど自らの首を絞めた。またバーレルがオフェンスファウルをコールされ、ブラッキンズの3ポイントシュートがノーバスケットとなるなど、最後までリズムに乗れない。一方の栃木は安定したチームバスケットを継続。残り5分50秒、ギブスがフリースローを2本沈め、70-50と点差は20に。その後バーレルに8得点を許し追い上げられるも、主導権を握り続けた栃木が名古屋Dを退けた。「正直に完敗です。栃木さんが素晴らしかった」勝利した栃木の安齋竜三ヘッドコーチは勝因をこう語る「名古屋さん得意の3ポイントを注意していました。昨日やられた部分をもう1回しっかり修正して、ディフェンスのエナジーというか、アグレッシブさをずっと出し続けてできたというところが勝因かなと思います」名古屋は平均8.9本と1試合の3ポイントシュート成功数が一番多い。だが今日の試合では18本中4本成功に封じ、名古屋の強みを消した。リードを奪った後の安定した試合運びについては「しっかりスクリーンをかけ、空いているところを見てパスを出して、開いたらシュートを打つ。日頃やっていることをどれくらいしっかり遂行できるかというところを、みんながしっかりと意識してやってくれた結果がそうなったんじゃないかなと思います」とコメントした。一方、敗れた名古屋Dの梶山信吾ヘッドコーチは「正直に完敗です。栃木さんが素晴らしかった、その一言です。この2連敗をしっかり受け止めて。逆に僕たちは、この2つの負けがステップアップだととらえて、練習から頑張っていくしかありません」と総括した。点差だけを見れば9点差と、決して完敗という数字ではない。それでも梶山ヘッドコーチから見れば『完敗』だった。「やりたいオフェンスを全くさせてもらえなかった。それはボールをもらう前の栃木さんのタイトなディフェンスが素晴らしくて。あとはリバウンドのところですかね。選手たちも分かってはいたんですけど、そこを防ぎきることはできませんでした」サンロッカーズ渋谷が連敗したことで、栃木は東地区4位に浮上。シーズン序盤の出遅れを挽回し、とうとうチャンピオンシップ出場圏内に足を踏み入れた。それでも激戦の東地区では栃木以下3チームが1ゲーム差にひしめき合い、依然予断を許さない状況が続く。2018/03/12Bリーグ&国内
-
初年度のBリーグを制した栃木ブレックスの堅守速攻が復活、島根を45点に封じ4連勝苦戦しながらも優位を保つ地力栃木ブレックスvs島根スサノオマジックのゲーム2。チーム一丸の攻めるようなディフェンスで今シーズン最少失点を更新した栃木が78-45で勝利を収めた。序盤は互いに連携ミスが多く、ターンオーバーがかさんでロースコアの展開となった。それでも栃木は第1クォーターだけでオフェンスリバウンドを8本奪取し、試合を優位に進めていく。そして、強度の高いディフェンスで常にプレッシャーを与え、8ターンオーバーを誘発した。シュート精度が全体的に上がらないながらも、ライアン・ロシターの5得点を筆頭に5選手が得点を挙げ、15-6で第1クォーターを終えた。第2クォーターに入ると島根が反撃に転じる。オフェンスリバウンドを拾われても、粘り強いディフェンスで我慢し、オフェンスでは積極的にシュートを放っていった。特に山本エドワードの果敢なプレーが目立ち、残り4分21秒には、このクォーター2本目となる3ポイントシュートを沈め、26-26の同点に追いついた。だが栃木は、喜多川修平が山本からオフェンスファウルを誘って悪い流れを断ち切ると、再びオフェンスリバウンドからセカンドチャンスポイントを積み上げ、竹内公輔のワンマン速攻で締めて再び突き放した。破壊力抜群の堅守速攻で快勝栃木の6点リードで迎えた後半、1対1で守り切り、ディフェンスリバウンドを確実に拾って走る、得意の堅守速攻が出てリードを広げる。特に竹内はブロックショット後すぐ走り出し、アウトナンバーを作って2本のダンクショットを叩き込むなど効果的な働きをした。また第3クォーター終了間際の攻防でも、パスカットからロシターが速攻を決める最高の終わり方をした。52-39と13点をリードし最終クォーターを迎えた栃木は、ここでさらに攻守のギアを一段階上げる。インサイドに簡単にボールを入れさせず、ボールを止めさせてのディナイを徹底。生原秀将の4連続得点、渡邉裕規のタフな3ポイントシュートが決まり、開始1分半の7-0のランで59-39。点差が20の大台に乗ると、島根にこれを覆す力は残されていなかった。対照的に栃木は最後までパフォーマンスレベルを落とさず、最終クォーターに21-0のビッグランを作った。勝負を早々に決めた栃木は残り2分25秒に、先日特別指定選手として入団した須田昂太郎をコートに送り出す余裕さえあった。限られた時間の中で積極的にプレーした須田は、3ポイントシュートを1本沈め、黄色で埋め尽くされたブレックスアリーナはこの日一番の歓声に包まれた。「後半のようなディフェンスがウチの目標」勝利した栃木の安齋竜三ヘッドコーチは「同じチームに2勝することは難しいことですが、結果として2連勝できて良かったです」と安堵の表情を浮かべた。栃木のボールプレッシャーは非常に高く、島根にほとんどイージーシュートの機会を与えなかった。シュート成功率を28.6%に抑え、後半はわずか17失点とシャットアウト。安齋ヘッドコーチも「今日の後半のようなディフェンスがウチの目標」と話し、「これをベースにして、もっともっと追求してディフェンスの強度を上げられるチームになっていきたい」とさらなる高みを目指すと誓った。デビュー戦で3ポイントシュートを決めた須田は「緊張はしましたけど、コートに立ったらいつも通りできました。あの場面は自分が打つべきだなと思ったのでシュートだけ考えてました」と振り返った。島根はこれで12連敗。鈴木裕紀ヘッドコーチは「前半は粘り強くやれたことで息を吹き返すことができたのですが、後半にかけてはプレッシャーに負けてしまってガードが孤立することが多くなってしまった。インサイドにボールを入れても、全く動きがなくなってしまい、一気に走られてしまった」と敗因を語った。鈴木ヘッドコーチが言うように、栃木の強烈なディフェンスの前にオフェンスは停滞し、20のターンオーバーを喫した。ターンオーバーから27失点、速攻で16失点と、得点に直結するターンオーバーが多かったことが大きな敗因となった。連勝を4に伸ばした栃木は、東地区4位サンロッカーズ渋谷とのゲーム差を1に縮めた。次節はアウェーで西地区2位の京都ハンナリーズとの対戦が待ち受ける。上位でのチャンピオンシップ出場を目指すのは当然だが、ワイルドカード争いはまさに混沌としている。代表戦のため1週間の中断を挟むが、熾烈なチャンピオンシップ争いに向けて良い準備が求められる。2018/02/18Bリーグ&国内
-
シーホース三河vs栃木ブレックスはチャンピオンシップを思わせる一進一退の熱戦にチームバスケットが機能した三河が2連勝を飾るシーホース三河と栃木ブレックスの第2戦。3日の初戦では金丸晃輔が32得点の大暴れで三河勝利の原動力となっていた。栃木は先発をジェフ・ギブスからセドリック・ボーズマンへと変更。ボーズマンのフェイスガードで三河で最も爆発力のある金丸を消しに来た。だが、三河はこれを逆手に取って主導権を握る。第1クォーターで7本中6本の3ポイントシュートを決める攻勢で28得点。18得点が3ポイントシュート、ペイントエリアでの得点わずか4と、外からの攻めが効果的に決まった。この第1クォーター、金丸は1本も3ポイントシュートを打っていない。普段はコントロールに注力する橋本竜馬が3本、ビッグマンのダニエル・オルトンが2本と桜木ジェイアールが1本。鈴木貴美一ヘッドコーチが試合後に「作戦を立てていたわけではなく、空いている味方を見つけてパスを回した結果。いつものウチのバスケです」と説明した臨機応変のオフェンスだった。そしてディフェンスでは前からプレッシャーをかけて栃木に自由なボール回しを許さない。栃木も一つのピック&ロールでの打開にこだわり、人とボールの連動が生まれずにオフェンスが停滞。第1クォーターで28-15と三河が大量リードを奪った。ディフェンスとリバウンドで立て直した栃木第2クォーターからは栃木がディフェンスとリバウンドで立て直し、そしてジワジワと押し返すバスケットを展開する。最初の4分間は2得点のみだったが、攻撃で形を作ることができなくても我慢し、ディフェンスの強度を上げることで対抗する。そうするうちにチャンスが舞い込んだ。残り5分20秒でオルトンがファウルトラブルになりベンチへ下がるとインサイドの守りが薄くなり、ここをギブスが強引に突いて連続得点。ここから10得点を挙げたギブスがオフェンスを牽引し、34-41と点差を縮めて前半を折り返す。ハーフタイムが明けると、栃木のディフェンスのギアはさらに1段上がっていた。身体をぶつけ、腕を伸ばして指先でボールをひっかけ、三河にリズムを作らせない。開始から4分、三河に得点を与えずに追い上げ、残り6分55秒でライアン・ロシターが3ポイントシュートを沈めて41-41と同点に追い付く。この時、ロシターへ寄せていなかったオルトンのイライラが爆発。審判に向かってボールを突きとばしてテクニカルファウルをコールされる。これで個人ファウル4つ目。オルトンはこの後、コートに戻って来なかった。これで得たフリースローを遠藤祐亮が落ち着いて決めて栃木が逆転。遠藤は続くポゼッションでロシターのシュートが落ちたのを拾って押し込み、さらには鵤誠司がスティールから一気にペイントエリアまで走ってパスアウト、フリーで受けた遠藤が3ポイントシュートをきっちり沈めて47-41と突き放しにかかる。41歳の桜木ジェイアールが見せた『老獪さ』受け身になって苦戦する三河を目覚めさせたのは2人のベテランだった。劣勢に動じることなく竹内公輔との1on1を制してゴール下を決めた桜木ジェイアール、そして直後の栃木の攻めで鵤のボールを引っ掛け、ルーズボールにダイブしてマイボールにした橋本。その後も栃木の得点は止まらず、43-54とこの試合最大のビハインドを背負うが、点差はともかく三河はベテランが戦う意思を見せて自分たちのバスケットを取り戻した。55-60で迎えた最終クォーター。老獪な桜木がミスマッチから勝機を見いだす。ほとんど休みなしでインサイドを支えてきた竹内がベンチに下がり、自分のマークがボーズマンになると、桜木はポストプレーからの1on1で確実に勝てると確信し、チームも彼にボールを集める。これで桜木は点差を詰めるとともに栃木のファウルを連続で誘発。桜木の6連続得点で肉薄すると、比江島慎が栃木守備網を正面からドライブでブチ破り逆転。栃木がすぐに逆転するも、ここで我慢に我慢を重ねてきた金丸が桜木とのコンビネーションから作り出した一瞬のチャンスを逃さず3ポイントシュートを沈めてまた逆転。さらに栃木に逆転されるも、今度はアイザック・バッツとのインサイドの連携で桜木がゴール下を決めて逆転。リードチェンジを繰り返す終盤、三河には多彩な攻め手があり、栃木は早々にチームファウルが5つに達していたことが足枷となった。大接戦を制する決め手になったフリースロー残り2分半、アタックするロシターから比江島がスティールすると素早い攻めを展開。守備陣形の整っていない栃木はゴール下のバッツをファウルでしか止められなかった。決して器用ではないバッツが、このフリースロー2本を確実に決めて76-73とリードを広げる。派手な点の奪い合いとなった試合、三河に勝利をもたらしたのは地味なフリースローだった。最終クォーター、三河は実に16本のフリースローを獲得し、15本を成功させている。28得点を奪った第1クォーターの3ポイントシュート連発にも劣らず、勝負どころでのフリースローがモノを言った。大きなリードではないが、極限まで集中の高まった三河にとってはセーフティに近いものだった。田臥勇太に速攻を許し1点差に迫られるも動じることなく、最終局面のファウルゲームも乗り切って81-78で勝利。12月16日と17日の新潟アルビレックスBB戦以来となる同一カード連勝を飾っている。三河の鈴木ヘッドコーチは「ブレックスは最後の最後まであきらめない素晴らしいチームで、こういう対戦がチームを成長させてくれる。良い試合だった」と熱戦を振り返る。前からの激しいディフェンスで栃木を鼓舞した田臥勇太は「良い部分もたくさんあったし、もっと良くしていける部分もあったので、チーム全員でしっかり成長していけるように、この2戦を糧に先につなげていかないといけない」と先を見据える。いつものホームアリーナよりも大きいスカイホール豊田は土日とも5000人を超える観客で埋まった。シーズン半ばだが、チャンピオンシップのような熱気を帯びたこの2試合、勝った三河はもちろん、栃木も得たものは大きかったはずだ。2018/02/05Bリーグ&国内
-
前日に続いてのオフェンス爆発、栃木ブレックスが北海道に連勝して5位に浮上北海道のサイズ不足を突き、オン「1」の時間帯に圧倒1月28日、栃木ブレックスが本拠地ブレックスアリーナ宇都宮でレバンガ北海道と対戦。第3クォーターに33得点とビッグクォーターを作るなど、オフェンス爆発により95-80で快勝した。これで昨年から続く連勝を7に伸ばした栃木は、北海道を抜いて東地区5位に浮上している。第1クォーター、ともにオン・ザ・コート「2」でスタートする中、北海道はマーク・トラソリーニ、ダニエル・ミラーの2人で計14得点をマーク。一方、栃木はジェフ・ギブス、ライアン・ロシターで先発。ギブスがファウルトラブルに陥るも、交代出場のセドリック・ボーズマンが奮闘する。第1クォーターは北海道が20-18とリードしたが、第2クォーターに入ると栃木が前半だけで11得点を挙げた遠藤祐亮の3ポイントシュート2本など確実に加点していく。その一方で野口大介を故障で欠くことで日本人4番のサイズ不足を抱える北海道は、第1クォーターとは一変しゴール下での得点が止まり、35-42と逆転されて前半を終える。そして第3クォーター、再びオン・ザ・コート「1」で栃木が優位に。オフェンスリバウンド6本とゴール下で主導権を握ると、さらに強度の高いディフェンスで北海道のミスを誘い、素早い攻守の切り替えから鵤誠司がこのクォーターだけで11得点と大暴れ。第3クォーター終了時点で75-52と大差をつけた栃木が、そのまま余裕を持って逃げ切った。勝利の立役者となった鵤「エナジーを持ってできた」結果的に栃木は、昨日の100点に続く95点とハイスコアを記録。ロシターの17得点を筆頭に、6人が9得点以上とバランスの良いオフェンスを展開するとともに、オフェンスリバウンド20本と自分たちの強みを発揮できたのが大きかった。勝利の立役者となった鵤は、「第3クォーターの出だし、最初に出ていた5人が良い流れを作ってくれ、それに自分も乗れたことで結果が出ました」と、第3クォーターの活躍について語る。そして、難敵揃いの東地区対決で連勝できたことの要因を「エナジーを持ってバスケができたことが、まず一番にあります。北海道さんもすごくエナジーを持ってプレーしていますが、それを上回れた時間帯が多かったのが勝因でした」と締めくくった。安齋竜三ヘッドコーチは、東地区最下位からの脱出について「やるべきことをしっかりやって積み上げていったものが結果として順位に反映された。まだまだ、後半戦始まったばっかりで、これからどういう状況になるか分からないですが、ポジティブにとらえて、チャンピオンシップへの道のりを目指してしっかりプレーしていきたい」と語る。さらに「一人ひとりが自分の役割をしっかり分かっている。チームとしてやるべきことが明確になり、それを全員が共通し、それに向かって一つひとつ積み上げられています。ただ、もっと共有できるところはあるので、そこでステップアップできればいいと思います」と、チームの成長に手応えを感じている。北海道は最下位転落、司令塔の多嶋「フワッと入った」同地区ライバル相手に痛い連敗を喫した北海道は、グレゴリー・ウィッテントンの契約解除、野口の故障欠場によるサイズ不足をカバーすることができなかった。14得点4アシストと奮闘した多嶋朝飛は、「我慢しながらの展開の中で、自分たちがディフェンス、リバウンド、ルーズボールと40分間相手を上回なければいけない中、第3クォーターの出だしでフワッと入ってしまった。これは誰が出ているとか関係なく、チームとしてすぐに修正しないといけなかったですが、できなかった。これから、こういった部分を改善しかないといけない」と反省点を語り、次週への巻き返しを誓っている。2018/01/28Bリーグ&国内
-
第4クォーターで最大14点差を覆した王者の底力、栃木ブレックスが滋賀に逆転勝利アクシデントを全員バスケで補った滋賀が先行栃木ブレックスvs滋賀レイクスターズの第2戦は、終始滋賀がリードする展開となったが、終盤に栃木が堅守とオフェンスリバウンドでひっくり返し、80-79で逆転勝利を収めた。滋賀は前日に23得点を挙げる鮮烈デビューを果たしたベンキー・ジョイスが練習で足首を故障し、ベンチから外れる緊急事態に。だが、この不利を埋めるべくチームが結束し、序盤からリードを奪う。第1クォーターはオン・ザ・コート数が栃木の「2」に対し滋賀は「1」だったが、並里成の落ち着いたゲームメークが冴え6人がバランス良く得点し、14-13で上回った。第2クォーターに入ると、ディオール・フィッシャーがゴール下で強さを見せ、ミドルシュートも高確率で決めて9得点を記録。栃木もセドリック・ボーズマンの3ポイントシュートで反撃するが、ファウルのコールに納得のいかない安齋竜三ヘッドコーチがベンチテクニカルファウルをコールされるなど流れに乗れない。後半も滋賀のペースが続く。栃木のプレッシャーディフェンスに苦しみ、24秒バイオレーションを何度も犯すも、並里とフィッシャーのホットラインを軸にリードを保つ。栃木は審判の笛にアジャストできずにファウルがかさみ、滋賀はこのクォーターだけで10本のフリースローを獲得。このうち9本を成功させ、このクォーターも27-23と上回った。アクシデントに見舞われた滋賀、見逃さない栃木61-50と2桁リードで最終クォーターを迎えた滋賀だが、ここで再びアクシデントに見舞われる。ジョイス不在を埋める奮闘を見せていたファイ・サンバが残り7分のところで腰を痛めてコートを去ることに。この時点で68-56とリードしていたが、フロアバランスが崩れて攻め手を欠き、得点が止まってしまう。またインサイドを攻められファウルがかさみ、残り4分でチームファウルが5に到達した。ここから栃木の怒涛の反撃が始まった。ライアン・ロシターや竹内公輔を筆頭にオフェンスリバウンドを拾ってはそれをセカンドチャンスポイントにつなげていく。またボーズマンは執拗にリングにアタックし、フリースローで点差を縮めていった。残り35秒、ボーズマンがシュートファウルを獲得。1本目のフリースローを沈め、ついに76-76の同点に追いついた。2本目をミスするがジェフ・ギブスがオフェンスリバウンドをもぎ取りポゼッションは栃木に。残り19秒、落ち着いたボール回しから竹内がミドルシュートを沈めて78-76と土壇場で逆転した。その後、並里の同点を狙ったミドルシュートが外れて万事休す。ファウルゲームに持ち込むも2ポゼッション差をまくることはできず、栃木が80-79の大逆転勝利を収めた。「強いチームと発展途上のチームとの差」敗れた滋賀のショーン・デニスヘッドコーチは最終クォーターの数字を冷静に見つめた。「第4クォーターだけで9個のオフェンスリバウンド、17本のフリースロー、ターンオーバーも5つ。一番大事な時間帯にこのスタッツでは勝てません。チームが最後まで集中して勝ち方を学んでいかなければいけない。大事な場面で基礎的な部分を最後まで貫徹してプレーすることができるようになればリードを保って勝つことができるようになります」第3クォーターまではすべての面で栃木を上回る出来。サンバを失ったことは大きな痛手だったが、それでもラスト1分で76-72と4点のリードがあった。ここで本来やるべきプレーを遂行できていれば、逃げ切ることはできたはず。それでも滋賀は自分たちのプレーを見失い、やってはいけないターンオーバーを連発した。「大事な局面であおられてしまってターンオーバーが増えた。自信を持ってプレーすることが重要だが、まだ自信を持ち切れていない。そこが強いチームと発展途上のチームとの差です」とデニスヘッドコーチもその点は素直に認めた。アクシデントが重なる中、第1戦の完敗からカムバックできれば自信になったはずだが、大きな勝利を逃すことになった。田臥が見せた執念が、栃木の勝負強さを象徴する栃木は第3クォーターまでは不要なファウルが続いたが、「レフェリーと戦っているわけではなく、相手が誰なのかを共通理解して、点差を詰めていこう」との安齋竜三ヘッドコーチの言葉が逆転劇の下地となった。そして勝負どころで慌てた滋賀とは対照的に、最大限の集中力を見せ、相手のミスを逃さなかった。サンバがいなくなって高さが不足した滋賀に対し、ロシター、竹内、ボーズマンが容赦なくインサイドを突いた。また残り1分を切った場面、佐藤卓磨から菅原洋介へと外でボールを回す滋賀の緩みを見逃さずに田臥勇太が強引に手を伸ばして引っ掛ける。菅原洋介が収めようとしていたボールは菅原の足に当たってコート外へ。重い重いポゼッションが、これで栃木へと移った。ここで田臥が見せたような集中力と執念が、奇跡的な逆転劇を可能とした。それでも安齋コーチは「応援に来てくれたファンの方たちに勝たせてもらった1勝」とファンの力を強調する。このカードに連勝し、勝率を5割に戻した。それでも激戦区の東地区ではいまだ最下位という状況が続くが、「本当の勝負はこれから」と安齋コーチが言うように、気の抜けない戦いは続いていく。2018/01/20Bリーグ&国内
-
「ルーズボールがすべて、リバウンドがすべて」のバスケで千葉ジェッツが栃木ブレックスに競り勝ち、天皇杯4強進出富樫不在を感じさせない多彩なオフェンスを展開天皇杯ファイナルラウンド、準々決勝の第2試合は栃木ブレックスvs千葉ジェッツ。千葉は司令塔の富樫勇樹をケガで欠いたが、Bリーグ初年度から対戦するたびに好勝負を演じる両チームが期待を裏切らない熱戦を見せた。先行したのは千葉。富樫に代わりポイントガードで先発した西村文男のゲームメークから、ギャビン・エドワーズがインサイドで強さを見せて得点を重ねる。栃木はセカンドユニットの生原秀将と鵤誠司の奮闘で立て直すが、第2クォーターに入り千葉が勢いを増す。西村に代わりポイントガードに入った阿部友和が攻めのスピードを上げる。阿部がスティールからの速攻を決めて33-23とリードを2桁に広げる。また千葉は3ポイントシュートもよく入った。小野龍猛のポストプレーから原修太、エドワーズがインサイドに攻め込んでのキックアウトから西村と、多彩な組み立てから作ったチャンスをきっちり決め、45-34で前半を折り返す。第3クォーターの千葉は3ポイントシュート攻勢から一転、マイケル・パーカーとエドワーズのインサイドの合わせが効果的に決まり、帰化選手のいる強みを生かす。後半開始から7-0のラン、栃木がタイムアウトを取るも、その直後にライアン・ロシターにタフショットを打たせ、そこから反転して小野の3ポイントシュートでリードを20点に広げる。分かっていても止められない富樫のピック&ロールから、多彩な攻めで相手を振り回す西村と阿部のゲームメーク。ここまでは富樫不在を感じさせない『千葉のゲーム』だった。栃木が意地を見せるもファウルの多さに泣くそれでも最終クォーターに栃木が意地を見せる。それ以前から仕掛けていた前からの激しいプレッシャーが効き始め、千葉の攻めのリズムを狂わせるだけでなく敵陣でボールを奪っての得点にもつないで流れを呼び込む。そして当たっているセドリック・ボーズマンにボールを集めた反撃が効き、西村にエドワーズ、パーカーのプレータイムが長く動きの鈍った千葉を圧倒し始める。この試合、当たりの来なかったロシターがオフェンスリバウンドを奪ってそのまま押し込み58-66、ついに1桁差に迫った。しかし激しいプレッシャーディフェンスが災いし、栃木はこれより以前にチームファウルが5に到達していた。千葉はエドワーズ、阿部、再びエドワーズとファウルを誘い、フリースローでリードを保つとともに栃木の流れを切っていく。6点差まで詰め寄るも、栃木の反撃もここまで。残り1分36秒、西村が緩急を生かしたドライブで栃木のプレッシャーディフェンスを突破。後方から止めに来る田臥勇太を待ってファウルを誘い、このフリースロー2本を確実に決めて突き放すと、あとは悠々と時計を進めて76-71で逃げ切った。大野篤史ヘッドコーチは「第3クォーターまでは」と限定した上で「ボールへの執着心で上回った」とチームの出来に満足しつつも、終盤の試合運びを反省点に挙げている。富樫勇樹をケガで欠くことになったが「勇樹がいないから何かを変えることはありません。やることは一緒です」と問題がないことを強調した。重役を果たした西村「自分のバスケができた」先発ポイントガードを任され、特に試合のカギとなる第1クォーターと第4クォーターをフル出場した西村文男は6本中3本の3ポイントシュート成功を含む16得点と活躍。今シーズンのリーグ戦では最長でも23分しか出場していない状況で両チーム最長の34分半プレーし、「疲れました。次はもうちょっと疲れないようにやりたいです」と苦笑するも、「勇樹は勇樹の、阿部さんは阿部さんの、僕は僕のバスケがあります。周りに良いパスを出して決めてもらう、そういう自分のバスケができました」と十分な手応えを得た様子。富樫不在でも「インサイドに強烈なプレーヤーがいるので、そこを抑えながら走るバスケができれば勝てると思っていました」と西村はチームへの自信、そして連覇への意気込みを語った。大野ヘッドコーチも西村のプレーには大いに満足した様子で「得点はもちろんですが、それだけじゃなく、ボールを散らして、インサイドアウト、ペイントタッチと、オープンコートのバスケットをやってくれた」と称賛する。栃木ブレックスは昨年に続き準々決勝で千葉相手に敗退。ビハインドを背負う時間が長く続く苦しい試合でよく踏ん張った渡邉裕規だが、言い訳することなく完敗を認めた。「ルーズボールがすべて、リバウンドがすべて。その差が出た試合でした」2018/01/04Bリーグ&国内
-
栃木ブレックス、連日の最多観客記録更新の中で我慢比べを制して連敗ストップここ一番で光ったエース、ロシターの勝負強さ12月24日、栃木ブレックスがホームで琉球ゴールデンキングスと対戦。ともに試合序盤から互いの持ち味である激しいディフェンスで相手オフェンスを封じ込める壮絶な守り合いとなったが、よりミスの少ないバスケットボールを展開した栃木が66-60で我慢比べを制した。昨シーズン主力として栃木のリーグ制覇に貢献した古川孝敏、須田侑太郎が相手チームのメンバーとして戻って来ることが話題となったこの対戦。ブレックスアリーナ宇都宮の最多観客数を前日に続いて更新する超満員の4456人のファンに、2017年最後のホームゲームで勝利をプレゼントした栃木は、これで連敗を4でストップさせている。第1クォーター、開始3分で5-5と両チームとも試合序盤から堅いディフェンスを見せると、互いに譲らない展開で琉球の2点リードでこのクォーターを終える。第2クォーター中盤、琉球は津山尚大、須田侑太郎による連続3ポイントシュートで7点リードと突き放しにかかるが、栃木も竹内公輔の3ポイントシュート、遠藤祐亮の奮闘などで反撃し、琉球の32-29と僅差のまま前半を終える。第3クォーターも、互いに譲らない展開となるが、栃木は『元琉球』の喜多川修平がこのクォーターだけで8得点とチームを牽引。さらに守備では失点わずか10に抑えて46-42と逆転する。第4クォーター、ともにゴール下へのアタックを繰り出し均衡状態が続く。だが、栃木は2点リードで迎えた残り27秒、ここまでわずか5得点に終わっていたライアン・ロシターがミドルレンジからのシュートを成功させ、ここ一番におけるエースの勝負強さが決め手となり、栃木が死闘を制した。気持ちと気持ち、身体と身体の戦いに負けるわけにいかない栃木の安齋竜三ヘッドコーチは、「昨日の敗戦からしっかりチームで決めたことをやり続けることを第一に指示しました。あとは気持ちと気持ち、身体と身体の戦いであり、そこで負け続けるわけにはいかない。そういうところを強調して、選手が40分間集中してやり続けてくれたことを誇りに思います」とコメント。さらに「琉球も自分たちと同じくディフェンスの強度、リバウンド、ルーズボールというところを強調しています。その戦いで1勝を勝ち取れたのは、今後にとって大きい」と、現在リーグ屈指の堅守を誇る琉球相手に、守り合いで勝てたことは大きかったと続けた。また、「どっちが下がるか、下がらずにできるかの戦いでした」というフィジカルの激しい試合で、計26本のフリースローを獲得したように、琉球のプレッシャーに引かずにアタックし続けたことも勝因に挙げている。バスケを好きすぎて愛している人たちのチームあと一歩で連勝を逃した琉球の佐々宜央ヘッドコーチは、「1試合通して安定した点の取り方がまだまだ未完成のチーム」と振り返り、オフェンスが停滞した時の打開策に欠けるという課題をあらためて実感する試合となった。かつてアシスタントコーチとして在籍していた古巣との対戦に、「ブレックスはファンが熱いです。そして田臥さん、竜三さんと何よりもバスケを好きすぎて愛している人たちのチームです。そういう人たちと戦えるのは僕らも楽しいし、ファンも熱いものを感じてくれたと思います」と、指揮官自身も熱くなった2試合だったと振り返っている。栃木では、チーム最多の15得点を挙げた遠藤祐亮も、「最初からエナジーを持ってアグレッシブにディフェスをやり続けて勝てたのは収穫が多いです。チームにとっても自分にとってもすごい自信となる良いゲームだった」と、今後に向けて弾みのつく勝利だったと強調。タフな守備と、強い気持ちのアグレッシブなプレーで難敵相手に接戦を制する。この内容の伴った勝利は、年末の新潟戦、さらにオールジャパンへと栃木に大きな勢いを与えるものになるかもしれない。2017/12/25Bリーグ&国内
-
ハードワークを40分間貫き、勝負どころで本領発揮のアルバルク東京が栃木に連勝出遅れたA東京はタイムアウトで早期に立て直すアルバルク東京vs栃木ブレックスの第2戦。終盤まで拮抗した展開が続くも、ブロックショットで流れを呼び寄せたA東京が、最終クォーターで11得点を挙げた田中大貴の活躍もあり連勝を収めた。オン・ザ・コート数はともに「1-2-1-2」を選択。昨日からオン・ザ・コート数を変更した栃木が序盤は走る。A東京以上のアグレッシブなディフェンスを披露し、ライアン・ロシターのオフェンスリバウンド、田臥勇太の速攻など、開始4分で10-4と先手を取った。だがA東京はタイムアウトをきっかけに冷静さを取り戻すと、馬場雄大のバスケット・カウントを含む2本連続の速攻で逆転に成功する。第2クォーターに入っても互いに強度の高いディフェンス合戦が続き、速攻がなかなか出ない重いゲーム展開となる。それでもセドリック・ボーズマンが個の力で打開した栃木が、31-29とわずかにリードして前半を終えた。後半に入っても拮抗した展開が続くが、14本中9本のフィールドゴールを成功させたA東京が、シュート成功率の差で1歩抜け出した。また残り1分32秒、ファンブルしたボールを取り戻そうとしたアンドリュー・ネイミックが、アンスポーツマンライクファウルをコールされたことも栃木にとっては痛かった。勝負どころで田中が見せたビッグプレー51-46とA東京のリードで迎えた最終クォーター。終盤まで集中力が途切れず5点前後の点差で推移するが、勝負どころで田中大貴が勝利を大きく引き寄せるビッグプレーを見せる。残り3分15秒、2点リードの場面、田臥に速攻からレイアップに持ち込まれるも、ここで田中のチェイスダウンブロックが炸裂。直後の攻撃でアレックス・カークがオフェンスリバウンドからセカンドチャンスポイントを挙げた。同点に追いつかれるピンチを防ぎ、さらにセカンドチャンスポイントで得点。プラスマイナス4点分のプレーによりA東京が勢いに乗る。焦る栃木はオフェンスでボーズマンとロシターが連続でターンオーバーを犯す手痛いミス。馬場が2本のフリースローを決め、田中が3ポイントシュートを沈め、大事なターンオーバーからの得点を重ねた。残り1分43秒、田中がドライブからファウルを誘い、フリースローを2投成功させて69-59。終盤でこの日の最大リードを奪ったところで勝負あり。最終スコア75-67でA東京が勝利した。「強く、激しい、安定したディフェンスができた」ルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチは「強い栃木に2連勝し選手たちはよくやってくれた。昨日もそうですが、勝因となったのはディフェンスです」とコメント。序盤にリードを許しタイムアウトを要求した場面では、冷静になれとアドバイスを送ったという。「栃木の最初の5分は本当にアグレッシブで、チャンピオンシップと同じような激しいディフェンスで来ました。そこで連続得点を許したので、相手の積極性に負けずに立ち向かい、逃げ腰にならず冷静にいけと言いました」そのタイムアウトで冷静さを取り戻し、逆転につなげたことは序盤の大きなポイントとなった。出だしの戦い方を反省点に挙げるも勝ち切り、ルカコーチは満足感を得ていた。「その他の時間帯は我々らしく強く、激しい、安定したディフェンスができたと思います。それが昨日今日2連勝できた要因です」終盤に躍動した田中は「どれだけアタックできるかを課題として臨みました。うまくアタックできなくてもファウルをもらったりして点数を稼げたので、昨日よりは良かったです」と最終クォーターに11得点を挙げたパフォーマンスを振り返った。「A東京さんの強さをまざまざと感じました」一方、連敗を喫した栃木の安齋竜三ヘッドコーチは「基本に立ち返って、ディフェンスの激しさを40分間最初から最後までチャレンジャーとして出そうと話しました。選手は本当にそれを出し続けてくれたと思います。僕の戦術の差かなと思いました」と敗戦の責任を背負った。終盤に離され、「A東京さんの強さというのをまざまざと感じました」と素直に認めた安齋コーチ。それでも「今の段階では力の差があるかもしれないけど、ウチもやるべきことを続けていけば、最後まで戦えるようなチームにしていけると感じました」と、東地区首位を相手に引けを取らないパフォーマンスを見せれたことは自信になったようだ。栃木は前日の課題を修正し、最後までハードにプレーした。だがA東京はそれ以上のハードワークで上回った。安齋コーチが言うように、A東京の強さは『本物』だ。2017/12/17Bリーグ&国内
-
試合巧者の栃木ブレックス、最終クォーターで『堅守速攻』を取り戻し横浜に連勝試合終盤、得意のトランジションで突き放す横浜ビー・コルセアーズと栃木ブレックスの月曜ナイトゲーム。第3クォーターを終えて2点差の接戦となったが、最終クォーターでディフェンスのギアを上げトランジションから得点を積み上げた栃木が突き放し、前日に引き続き連勝を収めた。16-14と栃木がリードして迎えた第2クォーター序盤、栃木にアクシデントが起きる。ハシーム・サビート・マンカの肘が顔に入り、マークについていたライアン・ロシターが鼻から出血し一度コートを去った。このプレーが危険なプレーとみなされサビートはアンスポーツマンライクファウルを取られる。直後、サビートはムービングスクリーンをコールされ、早くも3ファウルに達しベンチへ退いた。横浜にとって有利なオンザコート「2」の時間帯だったが、サビートが下がったことでその利を生かすことができない。ここを栃木は竹内公輔とセドリック・ボーズマンが突き、43-35とリードを広げ前半を終えた。それでも第3クォーター終盤に横浜が粘りを見せる。残り1分47秒、9点ビハインドの場面で川村卓也がシュートファウルを誘発。さらにこのプレーに抗議した渡邉裕規がテクニカルファウルを取られた。川村は3本のフリースローをすべて沈め、さらにテクニカルファウルで得たポゼッションでも難しいフェイダウェイシュートを決めて一気に5点を獲得。終盤には細谷将司がロング2ポイントをブザーと同時に決めて、57-59と2点差まで詰め寄って最終クォーターを迎えた。ホームの横浜がこのまま流れに乗るかと思われたが、この逆襲が栃木の選手に火をつけた。ディフェンスの強度を上げた栃木はボールマンへのプレッシャーを強め、横浜のオフェンスを停滞させた。ここから得意のトランジションを繰り出し、テンポの良い攻撃を次々と仕掛けていく。横浜の得点をサビートの10得点のみに封じたのに対し、出場した8人が全員得点を挙げるなど、バランスの良いオフェンスを展開した栃木が、このクォーターを27-10と圧倒し、最終スコア86-67で勝利した。勝負の第4クォーター「自覚を持ってやってくれた」安齋竜三ヘッドコーチは「2勝して終われたというのは良かったと思います。特に今日の第4クォーターは選手もしっかり自覚を持ってやってくれた」と試合を振り返る。勝負を決めた第4クォーターについては、作戦云々ではなく選手の意識の差だと説明。そして27点というスコアは栃木の目指すスタイルを体現した結果となった。「ディフェンスからのトランジションの流れでかなり点を取っているのが一番です」。昨日の第1戦で復帰を果たした渡邉は無得点に終わり、「得点もそうですけど、自分が出てる時間帯に良い流れを作れなかった」と反省。それでも「2戦やってみて身体が動かないことはないなって思いました」とブランクによる影響は少なそうだ。「エネルギーが切れてしまった」敗れた横浜の尺野将太アソシエイトコーチは「オンザコート『2』の第2クォーターで、有利な時間帯にアドバンテージを取ることができなくて、そのあたりから僕の采配も後手後手になってしまい、自分の未熟さだったりゲームの流れをうまくとらえきれなかった」と第2クォーターで主導権をにぎれなかったことを悔やむ。「第4クォーター、最後の最後のところでうちのエネルギーが切れてしまった。まずインサイドでビッグマンにやられてしまい、そこの修正をしたら、今度はシューター陣にやられてしまった。これが今のウチの力だと思います」と終盤にガス欠を起こしたタイムシェアの反省も含め、力負けを認めた。それでも「第3クォーターまでを乗り切ることができたというのは、先週までと違って大きな一歩」と、集中力を切らさずに終盤までクロスゲームに持ち込んだことは評価した。細谷も終盤の戦い方を悔いた。「4クォーターの出だしで僕自身悪い意味でのコントロールをしてしまった。連続で決められてしまい、そこを締めるのもポイントガードですし、その部分でコミュニケーションが足りない」栃木はここ10試合で7勝3敗と調子を上げている。横浜はこれで6連敗。まだレギュラーシーズンの3分の1が終了したところだが、是が非でも残留プレーオフは避けたいはずだ。どこかで浮上のきっかけをつかみたい。2017/12/12Bリーグ&国内
-
勝負どころのビッグラインナップで三遠ネオフェニックスが栃木ブレックスに雪辱終盤のトリプルタワーで接戦に幕栃木ブレックスvs三遠ネオフェニックスの第2戦。先手を取ったのは前日に敗れていた三遠だった。ボールと人が動き、思い切り良く放ったシュートを高確率で決めて先行する。対する栃木はスクリーンがうまくかからずにタフショットがことごとくシュートがリングに弾かれることに。最初の5分間で竹内公輔のフリースローによる2点のみと出だしでつまずいた。2-14とリードを許した栃木は先発の5人を総入れ替え。山崎稜が3ポイントシュートを決めて遅ればせながら追い上げムードを作り出し、11-18と持ち直して第1クォーターを終え、この流れを維持して33-32と逆転して前半を折り返す。後半は栃木では喜多川修平が、三遠ではローレンス・ブラックレッジが得点を量産するも、終盤まで点差が離れない一進一退の攻防が続く。最終クォーター残り4分29秒、60-59と1点リードの場面で三遠は太田敦也、カルティエ・マーティン、ブラックレッジのビッグラインナップを形成し勝負に出た。もっとも、試合後に藤田弘輝ヘッドコーチが明かしたところによれば、このビッグラインナップは「ウイング陣を休めないといけない時間もありますし、ポイントガードも手薄なので実際のところは3ビッグも使わないとローテーションが回せなかった」という苦肉の策だった。だが、これが接戦に終止符を打つ決め手になるのだから面白い。残り1分13秒でマーティンの3ポイントシュートが決まり67-63と2ポゼッション差にリードを広げる。後がなくなった栃木はライアン・ロシターにボールを託すが、ブラックレッジのブロックショットが炸裂し追い上げを許さない。そして残り23秒、太田がインサイドを攻め手薄になったゴール下で、ブラックレッジがオフェンスリバウンドから得点し69-63としたところで勝負は決した。田渡「純粋にバスケを楽しめた」接戦を勝ち切った藤田弘輝ヘッドコーチは「チームが一丸となって戦った結果だと思います。選手たちを誇りに思った試合でした」と語る。ビッグラインナップが苦しい台所事情から生まれたものであっても、スコット・モリソンではなくここまで出番の少なかったブラックレッジに勝負どころを託したベンチワークは勝因の一つでもある。「ウイングスパンのある彼はディフェンスの貢献度が高かったので、攻守ともにブラックレッジが出ているほうがいいと思った」と藤田ヘッドコーチ。ブラックレッジはその期待に見事応え23得点4ブロックとシーズンハイの出来だった。ポイントガード陣の故障が相次ぐ三遠にあって、ポイントガードを長い時間務めた田渡修人は12得点10リバウンドと自身初となるダブル・ダブルを達成した。「自分がやりながら周りを生かすというのは(鈴木)達也がいる中でもやりたい形なので、そういうのができて純粋にバスケを楽しめた」と満足気な表情を浮かべた。「できてなかったら使わないです」接戦を落とした栃木の安齋竜三ヘッドコーチは「何回も同じことですけど、出だしで受け身になって、そこを改善しないといけない。やるべきことを全員が一つずつやっていかないといけない」と低調だった立ち上がりの5分間を指摘した。川崎ブレイブサンダースとの2戦目でもやったことがあるという、5人を総入れ替えした場面については「今日も出だしの悪さを繰り返したので、ちゃんとできていない選手は代える。できていなかったら使わないです」と言い切った。「代わりに出ていった選手たちが気持ちを持って頑張って、逆転もしました。後から出てきた選手はスタートの5人以上のパワーを出してやってくれたと思います。そこはプラスだった」とベンチメンバーの戦いぶりを評価した。三遠は純粋なポイントガードが不在という厳しい状況だったが、チーム一丸のバスケットでクロスゲームをモノにした。現在は黒星が先行しているが、接戦での強さは本物。勝率を五分に戻す日もそう遠くはないだろう。2017/12/04Bリーグ&国内
-
Bリーグ第8節の『BEST of TOUGH SHOT』、5つのスーパープレーを紹介Bリーグ第8節の『BEST of TOUGH SHOT Weekly TOP5 presented by G-SHOCK』が発表された。選出された5つの得点シーンを振り返る。第5位 ハシーム・サビート・マンカ(横浜vs富山)マークにつくドリュー・ヴァイニーが背を向けてボールマンに意識がいった瞬間に、3ポイントラインからゴールへ走り込むサビート。サビートのその姿をとらえた川村卓也はボールを持ってから一瞬の判断でゴールへふわりとしたパスを供給。そのボールを空中でキャッチし、ワンハンドで決めたサビートのアリウープ。試合後「サビートの異次元の高さに慣れてきた」とコメントした川村のパスセンスも見逃せない。第4位 片岡大晴(京都vs大阪)ジュリアン・マブンガのスクリーンに対し、3ポイントラインへ上がると見せかけてゴール下に走りこんだ片岡。角度がないところでパスを受け、ゴールがほぼ見えない状況だったが身体が流れながらも感覚で放ったリバースレイアップがリングに吸い込まれた。理想的なバックドアプレー。第3位 ジョシュア・スミス(京都vs大阪)マブンガとのハンドオフからゴールへ向かうスミス。その体躯によってマブンガをマークする熊谷尚也は後手を踏み、スミスにつくジーノ・ポマーレはマブンガへのヘルプにいくことになりスミスのマークを外してしまう。ノーマークでボールを受けたスミスは豪快にダンクを叩き込み、ポマーレからのファウルも誘発した。また一連の動きの中で岡田優介も3ポイントラインへ動き出したことにより、木下博之はヘルプにいけなかった。4位に続き京都の連動したオフェンスが光る。第2位 長谷川智伸(滋賀vs島根)延長戦、4点リードで残り2分を切った場面、ファイ・サンバとのハンドオフで一瞬のズレを作った長谷川はわずかな隙から迷わず3ポイントシュートを放つ。この3ポイントシュートが決まり、3ポゼッション差とした滋賀が逃げ切りに成功した。長谷川の勝負強さが際立ち、これを決められたらお手上げといったプレー。第1位 ライアン・ロシター(川崎vs栃木)最終クォーター残り4.3秒、2点ビハインドで迎えた最後のチャンス。栃木は好調のセドリック・ボーズマンにボールを託そうとするが、川崎のディフェンスがそれを阻む。ゴール正面でボールを保持するロシターはそれを確認すると自ら3ポイントシュートを放ち、これが決まって逆転勝利をつかんだ。チームメートが喜び抱き合う中で一人冷静なロシター。残り時間は1秒、「喜ぶのはまだ早い」と気を緩めない彼の判断力には感服だ。2017/11/15Bリーグ&国内