
『アーリーカップ2017』の検索結果
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東北アーリーカップ、B2東地区をリードする秋田ノーザンハピネッツが前評判どおりの強さを見せて岩手ビッグブルズを一蹴田口成浩や白濱僚祐など5人が2桁得点を挙げる完勝東北アーリーカップは昨日、2日目が行われた。準決勝の秋田ノーザンハピネッツvs岩手ビッグブルズでは、第1クォーターから29得点を奪う爆発力を見せた秋田が96-49と圧勝している。前日に青森ワッツとの接戦を制した岩手。秋田からこの夏に加入した藤江建典と菅澤紀行を中心にゲームを組み立てるが、抵抗できたのは最初の数分間だけ。谷口大智のコーナースリーを皮切りに11-0のランを浴びてあっという間に10点差を付けられてしまう。谷口はゴール下でのスピンムーブ、また終盤にもオープンのチャンスを逃さず2本の3ポイントシュートを決めて第1クォーターだけで13得点を荒稼ぎ。チームを勢いに乗せた。その後も安藤誓哉に代わる形で入ったポイントガードの徳永林太郎がゲームをコントロール、シュートセレクションが良く高確率で得点を重ねた秋田が終始主導権を握って12選手が全員得点を記録。田口成浩や白濱僚祐など5人が2桁得点を挙げる完璧な勝利を飾った。特に目立ったのは福島ファイヤーボンズから加入したナイジェル・スパイクス。センターで先発出場すると7本中6本(85.7%)と高確率でシュートを決め、10リバウンドと合わせてダブル・ダブルを記録。決めたシュートのうち4つがダンクと、『走れるビッグマン』として猛威を振るった。昨シーズンは外国籍選手の働きがイマイチだっただけに、総入れ替えした外国籍選手3人のうちB2経験のあるスパイクスには期待がかかる。スパイクスは4本のダンクを決める強烈なインパクト岩手は攻守両面で積極的にプレーしたが、クオリティの部分で秋田に後れを取った印象は否めない。積極的にプレスをかけるもボールホルダーに集中しすぎ、パスをさばかれて振り回された。また速攻に直結するターンオーバーが多く、攻めでも積極性が裏目に出る形に。逆に秋田は勢い任せではなく、冷静に試合を運ぶバスケIQの高さも目立った。相手の攻めに落ち着いて対応、24ものターンオーバーを誘い、イージーシュートの機会をきっちり作り出してはリードを広げていった。今シーズンから指揮を執るペップ・クラロスは「今日のチームは私たちが目指しているスタイルのディフェンスとオフェンスが形となって表れてきた。チームがチームとして考えてプレーし始めている」と手応えを語っている。東北アーリーカップは今日が最終日、13時から3位決定戦の仙台ERSと岩手が、そして16時からホストチームの山形ワイヴァンズと秋田が対戦する。新シーズンのB2東地区は東北6チームでの戦い。秋田の『1強体制』になるのではないかとの予想を裏付ける結果となるか、あるいは昨日、劇的な決勝ブザービーターで仙台を撃破した山形が意地を見せるか。注目の一戦となる。2017/09/10Bリーグ&国内
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アーリーカップで川崎ブレイブサンダースの指揮を任された佐藤賢次アシスタントコーチ「一歩ずつステップアップしたい」『育成の重要性』を常々語る北ヘッドコーチの名采配今オフ、川崎ブレイブサンダースの北卓也ヘッドコーチは、「より育成をしっかりやっていきたい」との発言を様々な場面でしていた。その育成とは、選手だけでなくコーチ陣、スタッフを含めたチーム全体を指している。この方針を具現化させた一つが、今回のアーリーカップで佐藤賢次アシスタントコーチが実質的なヘッドコーチとして采配を振るったことだ。「NBAのサマーリーグで、各チームのアシスタントコーチが指揮を執るのを見て、これはいいなと思いました」という北ヘッドコーチの考えから、7月の時点で佐藤はアーリーカップで指揮を任されることを伝えられていた。分析能力に定評があり、日本代表のアシスタンコーチも務める佐藤が、ヘッドコーチとしてどんな手腕を見せるのかに興味があった。初戦のアルバルク東京戦は終了間際に勝ち越しを許す1点差の惜敗。2試合目の栃木ブレックス戦に勝利しての1勝1敗。大会直前に辻直人、小澤智将が負傷して欠場。そしてアーリーカップ初戦のアルバルク東京戦で、鎌田裕也が出場して1分もたたない内に鼻骨骨折での負傷退場というアクシデントがあった中で、無難にヘッドコーチ業をこなしたと言える。「初めてであり、とにかく選手にコート上でエネルギーを出してもらいたいと思っていました。やっている内容自体は北さんのときと全く変わらないです。自分自身への試合についての準備は全く違いました。ゲームプランも自分で作らせてもらうなど、全部やらせてもらいました」こうして佐藤はチームの指揮を執った。大会を終えて、2試合をこう振り返る。「A東京戦の試合中は結構、集中できていたと思います。ただ、終盤は相手に追い上げられてしまい、自分の経験のなさがルカ(パヴィチェヴィッチ)コーチの経験にやられたと正直に思いました。A東京戦の方が初戦ということもあり、最初からエナジーが出せて自分のプラン通りにいきました。栃木戦は試合の感覚がナイトゲームからデーゲームとなったこと。(鎌田の負傷で)選手が9人になったこともあり、疲労との兼ね合いも考えなければいけなかったところで難しい部分はありました」「気付くことのできるレベルがこの2試合で上がりました」様々なプランを用意していた中で、鎌田のケガなどのアクシデントに即時対応しなければならなかったことに「これが試合か、という感じでした。早めにファウルを2つする選手もいましたし、そういう事態にもベンチで臨機応変に考えていかないといけないと思いました」と続けている。それでも選手たちのパフォーマンスについては「オフの成果はみんなコートでしっかり表現してくれ、よくやってくれました」と評価している。プレシーズンゲームとはいえ、初めてのヘッドコーチ経験について「本当に楽しかったです」と佐藤は言う。そして「全部が良い経験でした。選手たちは本当についてきてくれましたし、ハードに一生懸命プレーしてくれました。最後のミーティングでも言いましたが感謝しています」と充実の2日間を振り返った。また、この経験をチームに還元していくことが自らの責務と強調する。「試合前から北さんから、今後のアシスタントとしての仕事にも必ず生きるからと。自分が気付くことのできるレベルがこの2試合で上がりました」最後に佐藤は、シーズン開幕に向け「これからの練習試合で、戦術の導入に精度を高めていきます。ただ、開幕がゴールではなく、シーズンを通して成長していけようでなければ優勝は難しい。一歩ずつステップしていきたいです」と意気込みを語ってくれた。選手と違って成果は見えづらいが、北ヘッドコーチの名参謀として佐藤がどれだけサポートしていけるのかも、川崎の王座奪取への重要な要素となる。2017/09/09Bリーグ&国内
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キャプテンに任命され気合十分の湊谷安玲久司朱、横浜ビー・コルセアーズに勝利をもたらすべく「年齢は関係なく、厳しく」「面白そうだから」という理由で新キャプテンに横浜ビー・コルセアーズで新キャプテンを務めるのは湊谷安玲久司朱。岡本尚博CEOは人選の理由を「面白そうだから」と本気とも冗談とも取れる口調で説明したが、彼自身は大真面目でこの大役を引き受けた。新体制で初の公式戦となったアーリーカップでは千葉ジェッツ、サンロッカーズ渋谷に連敗。結果は出なかったが、大会を終えて湊谷は「結果的に負けましたけど、全然大丈夫」と涼しい顔だった。「いろんな課題が見えましたが、まだ外国籍選手が一人来ていないし、インサイドの(佐藤)託矢さんもまだ出れない。あと1カ月あるので、そこでちゃんと修正していきます」湊谷としては、キャプテンよりも4番ポジション(パワーフォワード)で先発出場したことのほうが『新鮮』だったかもしれない。選手がまだ揃わない状況で、2試合ともに湊谷が4番で先発、30分弱のプレータイムを得ることに。「逆のミスマッチだと思って、空いたらどんどん狙っていこうと思いました」と言う湊谷は、いつも以上にアグレッシブに仕掛け、相手が崩れると見るやミドルシュートを狙っていった。もっとも、彼が語るのは自身のプレーではなくチーム全体のこと。「全然大丈夫」と言いつつも課題はたっぷりある。「昨シーズンと同じようなこと、ダメになった時にそのまま崩れてしまうことが第3クォーターに起こってしまいました。そういうのをキャプテンとしてどうなくしていくか、チームを引っ張っていくかだと思います」「行動で見せていかないといけないと思っています」キャプテン就任が発表された6月の時点では「今までキャプテンをやったことがないんです」と照れ笑いを浮かべていた湊谷だが、もうすっかり『キャプテンの自覚』が備わったように見える。「初めてですが、チームを引っ張っていかなきゃいけない、行動で見せていかないといけないと思っています。なかなか苦手なんですけど、意識してやるようにしています」。こう話す湊谷に、数カ月前の照れくさそうな表情はない。SR渋谷戦を終えた後のロッカールームで、湊谷はキャプテンとして「ダメになるとすぐバラバラになってしまう。それが今日も出てしまったので、みんなで突き詰めて修正していこう」と話したそうだ。そしてこれまでのキャプテンとは違う湊谷のスタイルとして、厳しさを出すと宣言する。「年齢は関係なく、厳しく。名前を出して言っていいと思います。若手だろうが関係なく名前を出してくれと。そういうことで意識は変わるものだと思うし、それで悪い方向には行かないと思います。田渡(凌)とか(満田)丈太郎が先輩に『これはこうしてください』と言ってくると、チームもまた変わります。だからミスをしたら名前を出して言っていいよ、と試合中に伝えました」寡黙でクールな湊谷だが、勝つために何が必要かは理解している。キャプテン就任によりチームを引っ張っていく自覚が芽生えた湊谷は、これまでとは違った一面を見せてくれそうだ。「面白そうだから」というキャプテン人事、実際に面白い。2017/09/08Bリーグ&国内
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200cmのオールラウンダー野本建吾は悩んだ末に『生きる道』を見いだして覚醒、川崎ブレイブサンダースの強力な武器にアーリーカップで連日アグレッシブなプレーを披露北陸高、青山学院大を経て、2015年に川崎ブレイブサンダース(当時は東芝神奈川)に入団した野本建吾。アーリーエントリーの2014-15シーズンを除いてもトップリーグで2シーズンを過ごしたことになるが、レギュラー獲得には至らず。200cmのサイズと俊敏さを兼ね備えた野本のオールラウンドな能力は大きな武器になるはずだが、これまでは素質を生かしきれなかった。北卓也ヘッドコーチも野本の話題となると「もっと思いきってやってくれれば」と繰り返していた。その野本が先週末に行われたアーリーカップで『一皮むけた』パフォーマンスを見せた。アルバルク東京と栃木ブレックスを相手に連日思いきりの良いプレーを披露。特に3位決定戦の栃木戦では終盤にビッグプレーを連発して、勝利の立役者となった。「このオフシーズン、個人ですごくトレーニングに時間を費やしました。それを無駄にしたくないという気持ちでこの大会に臨みました」と野本は言う。何が変わったのだろうか、という問いに野本は「意識ですかね」と答えた。「2年目の前半までは試合に出ても何をしていいか分からなかったり、ただの合わせみたいな感じになっていました。自分の強みや弱みを理解できていなかったんです。外から試合を見る時間が多かったので、自分がこのチームで何ができるのかをいつも考えていました。それが2年目(昨シーズン)の後半に、出場機会を与えてもらったことで理解できて、チームメートの長所や短所を理解した上で自分にできることを出していって。これを3年目はどんどん出していきたいです」ジョーンズカップで気付いた『サイズ』のメリット野本の強みは3番(スモールフォワード)も4番(パワーフォワード)もこなす万能性だが、これまではチームの中で『自分らしさ』をどう出すかをつかめず、2つのポジションでプレーできることが問題をさらに複雑なものとしていた。しかし、チームの中でどう生きるかを理解できれば、野本のサイズと万能性は大きな武器となる。「今シーズンは3番も4番も出場機会があると思っています。4番で出る時は自分の強みや弱みをしっかり理解して、弱みを消して強みを全面的に出してチームに貢献しようと考えてきました。3番で出る時はまた違った強みがあると思うので、そこを徹底的に出していきたいと考えてプレーしています」野本はこの夏、最終的にユニバーシアード競技大会には参加しなかったが、U-24日本代表の合宿に参加し、台湾でのジョーンズカップに参戦している。ここで良いきっかけを得られたと言う。「ジョーンズカップで自分が2メートルのサイズがあることをあらためて自覚しました。ドライブで切り込んでレイアップに行っても、中でフックシュートを打つとしても、そう簡単にはブロックされないんだな、と」ジョーンズカップで得た手応えが栃木戦では竹内公輔とのマッチアップでの積極性につながった。また試合終盤にはニック・ファジーカスとジョシュ・デービス、そして野本の2メートルトリオを並べるビッグラインナップが猛威を振るう。ここでは3番としての野本がミスマッチを突き、勝負どころでの得点を連発。「結果を出してナンボです。ミスマッチは何が何でも決める。決めたら自分のリズムにつながっていきます」と、試合で見せた強い気持ちを野本は説明した。積み重ねた努力の成果に北ヘッドコーチも目を細めるスピンムーブ、フェイクからのジャンプシュート、ゴール下でのフックシュート。突然の覚醒に思える好プレーの連発だったが、実際は以前から地道な練習を積み重ねてきた結果だ。「インサイドとアウトサイド、両方の技術を練習しています。もともと大学時代はインサイドプレーヤーだったので、そこで磨いた技術が出せたと思います」栃木戦でのパフォーマンスは指揮官からも絶賛された。「今大会、野本の成長が僕はうれしいです。あれだけ4番としてもやれましたし、3番としてもやれています。今日はニック並みのシュートが何本も決まったので。でもあれはオフの間もずっと練習してました。その成果が出たと思います」入団からここまでプレータイムを得るのに苦労しただけに、野本にはチャンスを無駄にしたくないという気持ちが強い。「試合に出してもらうからには期待に応えなければいけない。それは僕の中で大事にしていきたいです。何もしないで終わるのだけはやめようと」今シーズンの野本は一味違う。永吉佑也が移籍、ジュフ磨々道が引退した川崎ブレイブサンダースにおいて、彼への期待は高まるばかりだ。2017/09/06Bリーグ&国内
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晴れやかな表情でアーリーカップを終えた千葉ジェッツの富樫勇樹、同世代とともに「刺激し合いながら頑張っていきたい」「ネガティブなことが何も浮かんでこない3試合」アーリーカップ『関東』地区の決勝で、千葉ジェッツはアルバルク東京に敗れて優勝を逃した。最終盤までもつれる接戦を落としただけに選手たちは悔しがっているかと思いきや、会見場に現れた富樫勇樹は実に晴れやかな表情で「良い試合だったな、というのしかないです。ネガティブなことが何も浮かんでこない3試合だと思っています」ほぼコールプレーを使わずフリーオフェンスだけで戦った上での惜敗。順調なチームの仕上がりへの手応えと充実感が、悔しさを上回った。この3試合、富樫は昨シーズン以上に積極的に仕掛ける姿が目立った。アジアカップ終了後にオフを挟んだことを考えると『試運転』でもおかしくないのだが、もうすっかり仕上がっているようにも見えた。「開幕まであと1カ月、個人的に自分のリズムを取り戻すためにできるだけ多くのシュートを打とうと心がけてアグレッシブにいこうと思ってやっていました。もちろん反省点はありますけどすごく良かったと思ってます」結果、アーリーカップの3試合いずれも2桁得点。決勝ではゲームハイの20得点を挙げた。「同世代の2人とやるというのは刺激があります」新体制になってゼロからのチーム作りとなったアルバルク東京に対し、千葉は完成度で優位にあったはず。そして千葉はホームアリーナの開催とあって勝利への意欲が高かったのだが、それでも押し切られた。昨シーズンとは別レベルの勝負強さを発揮したA東京は、東地区における強大なライバルになりそうだ。そのA東京の指揮を執るのは日本代表で指導を受けたルカ・パヴィチェヴィッチ。代表の時から変わらぬスタイルに「やりながら懐かしかった部分も少しありました」と言う富樫だが、やはり警戒心を抱いた様子。「練習がすごく厳しいと聞いているので、体力面も今までやった2チームよりかなり違います。同じカンファレンスなのでしっかり準備して戦いたいと思います」そのA東京ではポイントカードが若返っており、安藤誓哉と小島元基という同世代のライバルと激しいマッチアップを繰り広げた。ただそれも「同世代の2人とやるというのは刺激があります」と富樫には楽しむ余裕がある。一方で、A東京が勝ったにもかかわらず安藤は「いつも通り速くて、プルアップスリーなど何回かやられてしまった。どれだけプレッシャーをかけられるかが勝負」と語り、小島は「正直、速いと思いました。自分のところから崩される場面もあってやられました」と悔しがる。確固たる自信で開幕前からチャンピオンシップを見据える現役大学生としてA東京に加入した馬場雄大の話題になると、富樫は「あれはマグレの3ポイントシュートだった。以上です、と言っておいてください」とジョーク混じりで辛辣なコメント。「代表ではずっと一緒の部屋で一カ月半くらい生活していたので」と代表活動で交流を深めた富樫ならではの激励だ。「本人もアウトサイドのシュートを気にしている部分があるので、あの場面で決めたのは自信になるかなと。違うチームですけど、お互い刺激し合いながら頑張っていきたい」。こう続けた言葉からは、富樫の『兄貴分』としての一面がうかがえた。もっとも、馬場の加入も込みでA東京の急成長は千葉にとっての脅威となる。両者が所属する東地区はただでさえ群雄割拠だが、それでも富樫は「去年それなりの成績を残せたので、優勝というのはチーム全員が目標に持っています」と、相手ではなく自分たちに対する自信を語る。「個人的にはシュートのセレクションだったり、もうちょっと質の良いバスケットをしたい。しっかりコミュニケーションを取って、プレーオフに向けて良いチームを作っていければと思います」とすでにチャンピオンシップを見据えている。この1年で『リーグの顔』へと成長を遂げた富樫は、結果に裏付けられた自信を持っている。去年の開幕時にはなかった余裕、頼もしさも感じさせる。同世代の選手たちと切磋琢磨し、刺激しあいながら、この年代を引っ張る存在としてフル回転する姿が期待できそうだ。2017/09/05Bリーグ&国内
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タフなディフェンスでアルバルク東京に勢いを与えるシックスマンの小島元基「練習から常に競争、毎日努力していきたい」「ピック&ロールは好き、もっとレベルアップしたい」アーリーカップでのアルバルク東京は、川崎ブレイブサンダースと千葉ジェッツを相手に回してレギュラーシーズンさながらの激戦を連日制した。今オフに行った大型補強の成果をいきなり示したと言える。そして新加入メンバーといえば、現役大学生である日本代表の馬場雄大、昨シーズンは秋田ノーバンハピネッツで中心選手として奮闘した安藤誓哉が、代表的な存在として注目を集めがちだ。しかし、同じく新戦力の小島元基も馬場、安藤とともにチームの勝利に貢献していたことを忘れてはならない。昨シーズンの京都ハンナリーズでは先発ポイントガードを務めていた小島だが、今回のアーリーカップではベンチスタート。それでも持ち味であるコンタクトの強さ、軽快なフットワークによる激しいディフェンスを披露。また決勝の千葉ジェッツ戦では、第4クォーターの苦しい時間帯に貴重な3ポイントシュートを沈めるなど、スタッツ以上のインパクトを残した。「全体として悪くはなかったですが、ゲームをうまくコントロールできなかったり、フワフワしてしまった時間帯がありました。それをなくし、常にしっかりできるようにしたいです」アーリーカップについてこう振り返る小島は、A東京における自身の役割については次のように考えている。「今回、シックスマンで起用されていて、常に試合に出るための準備をしていることが大事だと思いました。まずはディフェンスで、相手のポイントガードに徹底的にプレッシャーをかけること。そしてオフェンスは積極的にやれと言われています。(ルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチが重視する)ピック&ロールは好きですし、これからもっとレベルアップしていきたいです」責任を感じるも「全力でやりきることを大切に」優勝が義務付けてられているA東京の一員となったことには、「責任とプレッシャーは感じます」と話すも、「それを深く考えすぎず、大学の時から続けている『全力でやりきること』を大事にしていきたい」と自然体を意識している。ちなみに大学といえば、小島は大学バスケ界を代表する強豪で、多くのBリーガーを輩出している東海大学の出身。A東京にも竹内譲次、田中大貴、ザック・バランスキーと先輩が3人いる。特に田中は2つ上、バランスキーは1つ上と一緒に学生生活を過ごした勝手知ったる仲であり「大貴さん、ザックさんとのプレーはやりやすいです。2人はとても頼りになる存在です。これからは2人が俺を頼ってくれるようにもっと頑張りたいです」と語るまた、先輩との関係は「めちゃくちゃ仲は良くて、上下関係はないです」と何でも言い合える様子。「大貴さんはプリンスとか言われていて、みんな真面目なイメージを持っているかと思います。ただ、実際は天然です(笑)。ザックさんは結構ボケてきます」と以外な一面を明かしてくれた。ただ9歳年上の竹内には「譲次さんはちょっと歳が離れているのですが、とても優しくしてくれます」と遠慮気味。こういったムードを作ることのできるのもまた『才能』だ。「最後まで我慢強く、力強いプレーを続ける」そして昨シーズン、新人王を争ったベンドラメ礼生も東海大出身。小島がシーズン中盤に左ひざ半月板損傷の重傷を負い、シーズンの半分を欠場してしまったことが大きく響き、新人王はベンドラメが受賞した。参考材料でしかないが、数字を見ると小島は平均8.2得点、3.1アシスト。ベンドラメは平均8.4得点、2.7アシストと互角だった。大学時代、下級生の時から中心選手として活躍していたベンドラメに対し、小島は上級生になって出場機会をつかんだ存在。『光と影』とはいかないまでも知名度や注目度には差があった。それでもBリーグに戦いの舞台を移すと、2人の差が縮まっているのは間違いない。「新人王は正直、少しだけ行けるのかなと思ったりはしました。大きなケガは初めてじゃなかったので、メンタル的なコントロールは大丈夫でしたが、悔しかったのは事実です。礼生との戦いは、意識はします。もちろん負けたくないですし、このライバル関係は、自分とあいつが引退するまで続くと思います」シーズン開幕に向け、「シュートには自信があるので、打てる時は打っていく。あとはチャンスにしっかり決めるだけ。ディフェンスで頑張り、ブレイクを出せるようにするなど、いろいろと質を上げていくことです。そして練習から常に競争なので、そこに負けないように毎日努力していきたいです」と、チーム内の生存競争に勝ち抜いていくことが大事と強調する「最後まで我慢強く、力強いプレーを続ける」。これはルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチが重視しているプレースタイルであると同時に、まさに小島の持ち味だ。相手オフェンスのリズムを崩す『司令塔キラー』として、タレント集団のA東京においても小島は見逃せない存在になるはずだ。2017/09/05Bリーグ&国内
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アーリーカップで見せた『栃木ブレックスらしさ』と変わらない田臥勇太、Bリーグ初代王者には慢心もプレッシャーもなしアーリーカップの収穫は『栃木らしさ』を出せたこと栃木ブレックスの新シーズンは波乱の幕開けとなった。千葉ジェッツとの『アーリーカップ』初戦で32点差を付けられる大敗を喫したのだ。新しい選手を多く起用するテスト的な采配だったとはいえ、初年度王者の大敗はショッキングな出来事だった。しかし、翌日の川崎ブレイブサンダース戦では見違えるようなパフォーマンスを披露。初戦は3分間しかプレーしなかった田臥も12分と出場時間を伸ばし、4得点を挙げ健在をアピール。チームとともに田臥の元気な姿を見て、多くのファンが胸をなでおろしたのではないだろうか。栃木にとってアーリーカップは試運転の場。開幕1カ月前のチーム力を測り、課題をあぶり出す意味では有意義な大会となった。田臥も「アグレッシブにディフェンスから頑張って得点につなげた部分は出せました。そういうところはチームの強さとして全員で作っていきたい」と『栃木らしさ』を出せたことを収穫に挙げた。「プレーヤーだけじゃなくてファンの方も一緒に戦う」Bリーグ2年目を迎えるにあたり『追われる立場』としてのプレッシャーを感じるかを問われると「全然ないですね」と即答。「自分たちはさらにチャレンジャーとして挑まないといけない。見ての通り他のチームが強いので、王者なんて、追われる立場なんて余裕を持ってやってる場合じゃない」と慢心は一切見られない。栃木が所属する東地区は、昨シーズンのチャンピオンシップに出場した8チーム中5チームが集まる超激戦区。それでも「良い意味で自分たちがプレッシャーを持って挑むことができる」と田臥は前向きにとらえている。栃木は選手の入れ替わりが多く、ヘッドコーチも交代し、大きく様変わりした。それでもファンも含めた「チーム全員で戦う」という姿勢は不変だと田臥は強調する。「チーム全員で戦うというのはこのチームの強さだと思います。プレーヤーだけじゃなくてファンの方も一緒に戦うというのが、このブレックスの強さだと思いますから。今年も応援して一緒に戦ってもらえるようにやっていかないといけない」千葉戦の不甲斐なさを払拭する川崎戦での奮闘は、ファンに向けたものだったのかもしれない。「まだまだこうできたな、という部分を自分のモノに」「田臥ももう年齢的なものもあり、プレータイムをある程度コントロールしなきゃいけない」と長谷川健志コーチが言うように、日本バスケ界を長らく牽引してきた田臥も今年で37歳を迎えるベテランとなった。それでも「毎年いつまでもうまくなっていきたい」と以前から変わらぬ言葉を発した。「特にコーチが変わったりメンバーが変わったことで、バスケットのスタイル自体はまた新しいものが自分の中でチャレンジできるので、また引き出しを増やしていけるようにやっていきたい」と、向上心はとどまることを知らない。新シーズンに向けた個人的な目標を尋ねると、田臥はこう答えた。「言葉ではうまく伝えられないんですけど、いろんな感覚的な部分で、昨シーズンは『まだまだこうできたな』という部分がシーズンが進むにつれ、終盤では特に感じるものがあったんです。それをさらに自分のモノにすることで、チームにためにもなるなって感覚があるので、それですかね」田臥にしか分からない境地なのだろう。少し具体的に聞くと「例えば練習からもそうだし、ベンチにいてもそうだし、コートでプレーしてる時もしてない時も『何ができるのか』を考えながらやっていくこと。それが自分のためだしチームのためにもなるので、そういうチャレンジです」と説明した。チームの顔ぶれが一変し、東地区の環境も変化した。それでも「自分にとっても、チームにとっても新しいチャレンジができるので昨年以上に楽しみたいです」と語る、田臥のバスケットに取り組む姿勢だけは変わらない。2017/09/04Bリーグ&国内
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新天地で身長以上の存在感を見せるヒルトン・アームストロング「僕自身は勝つことが大好き」とアーリーカップ優勝を喜ぶMVPに選ばれた岸本に匹敵するパフォーマンスを披露ヒルトン・アームストロングの価値は、昨シーズンの千葉ジェッツを見た方ならよくご存じだろう。彼は得点やリバウンドといった『数字』以上の貢献を見せるチームプレイヤー。NBA通算292試合というキャリアは華やかだが、持ち味はタフで渋いプレーだ。そんな彼が今シーズンは琉球ゴールデンキングスに加入した。ヒルトンの『らしさ』はアーリーカップ関西大会からしっかりと表現されていた。決勝戦でMVPに選ばれたのは岸本隆一。勝負どころで3ポイントシュートを3連続で決め、チーム最多の14得点を挙げた結果を見れば納得だ。ただしヒルトンも11得点11リバウンド4アシスト3ブロックを記録。『影のMVP』に相当する働きをしていた。大会を終えたヒルトンはリラックスした様子で、フレンドリーな雰囲気で取材に応じてくれた。彼は優勝をこう喜ぶ。「トーナメントのサイズは関係なく、僕自身は勝つことが大好き。だから結果に対して喜んでいる。どんなミスが起きても、チーム全員で戦えたことがすごく良かった」フィッシャーとの211cm対決を鮮やかな動きで制す滋賀レイクスターズとの決勝戦でポイントになったのが彼とディオー・フィッシャーとのマッチアップ。いずれも身長は211cmで、さらに身長以上のウイングスパンを持つB1屈指の『ハイタワー』だ。琉球はアイラ・ブラウンの加勢が強力だし、もちろんすべてが個人と個人の戦いだったわけではない。ただ『五分五分』のボールが収まるのはなぜかヒルトンで、ボールや相手の動きに対する予測は鮮やかだった。フィッシャーは序盤からファウルトラブルに苦しみ、第4クォーターにはファウルアウト。一方でヒルトンは被ファウルが7つ、自らのファウルは1つという『黒字』で試合を終えている。彼はそんなインサイドの攻防をこう振り返る。「同じような身長な選手とやり合うのは自分にとっても楽しいこと。相手がいろいろと文句を言っている場面があったけれど、そういうシーンを見て自分が上回っていると思えた。そこもすごくうれしい」「個人に走らないのが自分のスタイル」を徹底第3クォーターの攻勢を生んだ岸本隆一の3ポイントシュート3連発も、1本目はヒルトンのパスから生まれたもの。「オープンな選手がいたらボールをシェアする。個人に走らないのが自分のスタイル」という言葉通りのプレーを見せていた。試合の分かれ目になったのは残り23秒で見せたヒルトンのディフェンス。琉球は71-68と3点差に迫られ、相手ボールのオフェンスに対していた。3ポイントラインの外から隙をうかがう並里成に対して、琉球はヒルトンがスイッチして対応。並里の強引な3ポイントシュートを、長い腕で悠然とブロックして見せた。このプレーをヒルトンはこう説明する。「時間が迫っていて点数も3点差だから、相手はスリーを打ちたい。そこでコミュニケーションをチームメートと上手くとれた。本当は自分がガードを守ったら、ドライブさせて2点で抑えようという考えだった。並里選手がスリーを打ってきたので、結果としてブロックになった」センターの選手が外に出て中を空ける選択は一見すると思い切ったものだが、点差や時間帯を考えれば間違いなく妥当。ヒルトンの能力とは別に、彼と周囲のコミュニケーションという部分でも、琉球の収穫になったプレーだった。沖縄に惚れ込む「自分が海外で暮らした中でも最高の街」琉球というチーム、沖縄という土地については、良い印象を持っているようだ。それは「I love it」の言葉だけでなく、満面の笑みからも伝わってきた。ゴールデンキングスに対する第一印象を尋ねるとこんな答えが返ってきた。「ウェルカムな気持ちでチームメート、組織に迎えてもらったことはうれしい。言葉の壁は多少あるけれど、同じことを一緒に笑えたり、そういう気持ちを共有できているチーム。すごくうれしく思っている」沖縄の住み心地は言葉を尽くして絶賛していた。「今までいろいろな国でプレーしたけれど、自分が海外で暮らした中でも最高の街。パラダイスとしか言いようがない。ビーチがあんなにあって、1年を通して温暖な気候というのも、自分は経験したことがない。みんなが自分に対してフレンドリーだし、チームメートや組織が自分を受け入れてくれていて、そんな姿勢も自分を住みやすくしている。すごく楽しく過ごしています」スタッフが着用しているウエアも気に入った様子だった。「かりゆしみたいなカッコいい服を着られるのも沖縄くらいだね。帰ったら早く試したい」琉球はB1でも最高レベルの人気があり、戦力も揃った。ヒルトンも楽しくプレーしている。そんなチームの次なる問題は──。211cmのヒルトンに合う特製サイズの「かりゆしウエア」を用意することかもしれない。2017/09/04Bリーグ&国内
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『バースデーMVP』の活躍でアルバルク東京をアーリーカップ優勝に導いた田中大貴「自分たちのスタイルが見えつつある」値千金の得点だけでなく、ディフェンスでも貢献Bリーグ初の公式カップ戦となったアーリーカップ、強豪ひしめく『関東』大会を制したのはアルバルク東京だった。千葉ジェッツとの決勝戦、接戦が続く最終盤に勝利を決定付ける働きを見せたのがエースの田中大貴だ。第4クォーター残り59秒、2点リードという場面。逆転を狙った富樫勇樹の3ポイントシュートが外れてポゼッションを得ると、田中は左45度の位置でフリーになったのを逃さず3ポイントシュートを決めた。これが決定打となり、最終スコア77-73でA東京が接戦を制している。田中は29分の出場で、12得点2アシスト。チームで2番目に多い得点を挙げたにもかかわらず、試合後には「シュートタッチが良くなくて、個人的には今日のパフォーマンスには納得していないです」と語る。それでも値千金の3ポイントシュートの他、圧倒的な攻撃力を誇る千葉を止めるディフェンスの貢献も光り、MVPに相応しいパフォーマンスだったことは間違いない。「あのシュートが外れていたら、最悪な誕生日になっていたかと」と、田中は冗談交じりに試合を振り返る。誕生日に優勝とMVPを獲得し、「チームメートから最高のプレゼントをもらったので、それだけで十分かなと思いますけど、今日くらいはケーキでも食べようかなと思います」と笑顔を見せた。「試合のほうが楽」と言わせる練習量を積み重ねた夏初の開催となったアーリーカップは、レギュラシーズン開幕4週間前とあって各チームによって臨む姿勢は様々だった。それでも田中は、レベルの高い東地区を戦うシーズンを見据え、「こうやってタフな相手と現時点の力を試すいい勝負ができたのは良かったです」と話す。優勝できた要因を問われると、新ヘッドコーチのルカ・パヴィチェヴィッチによるハードな練習を挙げた。「みんな練習のほうがキツい、試合のほうが楽だと言っている状況です。内容の濃い練習をやれていると思いますし、それはやっぱり良いことだと思います」と田中は言う。チーム始動から2部練習が続き、この時期からハードな日々を過ごしている。それがアーリーカップ優勝という結果を呼び込み、モチベーションを高める『好循環』を生んでいる。昨年のA東京は終盤に失速し、接戦を落とす試合が何度か見受けられた。だがザック・バランスキーの決勝シュートで勝利した川崎ブレイブサンダース戦や、千葉との決勝戦を見る限り、勝負強さが一段階上へと進化したように思える。田中もそんなチームに手応えを感じている。「今シーズンに関しては40分間我慢してどれだけ戦えるかだと思っています。昨日(川崎戦)も最後の最後で勝ちましたし、今日(千葉戦)もどっちに転ぶか分からない試合をタフに最後まで戦って勝つことができたので、自分たちのバスケットのスタイルというのが、徐々に見えつつあるのかなとは思いました」優勝のために「最後にどれだけ良いチームになれるか」今年のA東京は小島元基、安藤誓哉、馬場雄大、ランデン・ルーカスと若い選手が多数加入した。今大会を通じて彼らの成長を田中は収穫に挙げている。「若いメンバーは試合をこなすことによって成長していきます。自分たちが本当にハードな練習をやっているので、力がついているんだということを優勝で実感できたことはすごく良かったんじゃないかと思います」昨シーズンはチャンピオンシップに出場するも、ベスト4で終わったA東京。優勝を目指すのは当然だが、それまでの過程が大事と田中は強調する。「本当に積み重ねだと思うので、目の前の一つひとつの試合を大事にして、1試合1試合成長していきたいです。最後にどれだけ良いチームになれるかが優勝するための大きなポイント。先を見すぎず、目の前のことを一つひとつ大切にやっていきたいです」勝負どころでの積極性を欠いた昨シーズンとは違う姿を見せるA東京。その中で頼もしい活躍を見せるエースの田中は「あと1カ月ハードに練習して、自分自身もチームとしてももう1ランクレベルアップした姿を見せれるようにしっかり準備したい」と、開幕への抱負で締めくくった。2017/09/04Bリーグ&国内
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アーリーカップから読み解く西地区、示されたのは『本命』琉球ゴールデンキングスの強さ&ライバルチームの「止める」気迫西地区に対する『地域格差』の懸念を打ち消す大会に今シーズンのB1を見ると、昨シーズンの『8強』のうち5チームが東地区に集中している。また今シーズンは秋田ノーザンハピネッツと仙台89ERSがB2に降格し、西宮ストークスと島根スサノオマジックが昇格したことで、B1の地区割に『西→東』の移動が起こった。シーホース三河と名古屋ダイヤモンドドルフィンズが中地区に移ったこともあり、『地域格差』『東高西低』を指摘する意見を少なからず目にした。ただ、西の各クラブが見せた今オフの補強は、その懸念を打ち消すものだった。特に琉球ゴールデンキングスはB1の外国出身選手でもトップクラスの2名(アイラ・ブラウン、ヒルトン・アームストロング)を獲得。日本人選手も優勝した栃木ブレックスから古川孝敏、須田侑太郎を引き抜いた。また京都ハンナリーズは日本代表の永吉佑也、大阪エヴェッサは栃木の優勝に貢献した熊谷尚也を獲得した。大河正明チェアマンは巻き返しを図る西地区への期待をこう語る。「今年は選手がずいぶん動きましたね。自分たちものし上がる、チャンピオンシップに出るという気持ちを社長さんから感じます」開幕前のプレシーズントーナメントであるアーリーカップ関西は9月1日に開幕し、3日に3位決定戦と決勝が行われた。西の『心意気』を感じ取る絶好の機会だった。決勝戦で滋賀レイクスターズを74-68で下したのは琉球。結果としては大方の予想通りだろう。一方で準決勝の西宮ストークス戦、決勝の滋賀戦と大詰めまで行方が分からない接戦だった。滋賀はオマー・サムハンを脳震盪で欠くなど3選手が不在だった。加えてディオー・フィッシャーが開始早々にファウルトラブルに見舞われるなど、悪い条件が琉球より多かった。ただ、そういった中でゾーンディフェンスが機能し、前半は30-33という微差で食い下がった。佐々ヘッドコーチが求めるのは「苦しくても勝つ」強さ琉球の佐々宜央ヘッドコーチはハーフタイムの前後をこう振り返る。「ゾーンを引かれて(琉球の)少しリズムが狂いました。しかしオフェンスの立て直しが効いた」。琉球は後半開始から2分半ほどの間に、岸本隆一が3ポイントシュートを3本連続で成功。これが勝利への大きなブーストになった。岸本はこう胸を張る。「ゾーンが効いているような、嫌なムードで前半を終えてしまった。自分のところで外から、連続で入ったというのも良かったと思うけれど、相手をマンツーマンに戻させて、そこから自分たちがイニシアチブを取れた」ただ佐々ヘッドコーチは反省点も強調する。「1本目が入った後にまた単発で打ち始めたのはこのチームの課題だと思いました。どうやって点を取っているのかと言えば、その前のところでヒルトンがパスしたんです。インサイドを経由してアウトサイドに出すというのが基本中の基本。それをやっていこうというところで、入っている時はそのパターンだった」もちろんプレシーズンなのだから課題はあって当然。むしろ課題を見つける時期でもある。また日本代表の主力でもある古川は、8月23日に右足首の手術を行い全治2カ月。アーリーカップを欠場しただけでなく、開幕には間に合わない。佐々ヘッドコーチはこのような言い方で、結果を喜んでいた。「勝たなければいけないのかなという雰囲気が出ている中で、むしろプレッシャーを選手に押しつけて、その中でどう勝つのか。僕らはとりあえず今欲しいのは、苦しくても勝てるかというところ。『今日の試合はダメだな』と言っても勝っちゃうのが強いチームだと思います」岸本も優勝の収穫についてこう語る。「勝って何かを成し遂げたみたいな感覚が久しぶりだったので、個人的にはすごく気分が良い。いろんなところから『今年の琉球は違う』と言われたりする。でも僕はまだ何も成し遂げていないチームだと思っていた。しっかり成功体験を積んで、それを踏まえて次に進めるのはすごくいい」琉球が本当に強いチームとしてB1で台頭していくために、「悪い内容で勝つ」という成功体験はおそらく重要なものだった。西地区の活気はBリーグ全体にとっても良い刺激に滋賀は昨シーズンの西地区最下位チームだが、今大会では準優勝を成し遂げた。インサイドの軸であるサムハンを欠く中で、琉球に迫る戦いを見せた。また結果と別にオールコートの激しい守備、速攻というスタイルは表現できていた。ショーン・デニス新ヘッドコーチは満足顔だった。「あと1本で同点というところまで戦えたことをコーチとして誇りに思っている。どんな状況下であっても戦い続けるチームであるということを、他チームや、ファンの方々にも印象付けられた試合だったと思う」昇格組の西宮は琉球と65-74という好勝負を演じ、3位決定戦では大阪を85-77と下した。天日謙作コーチが口にするチームの目標は勝ち越しでシーズンを終えること。「全然歯が立たないと思っている人がいるみたいだけど、そうじゃない」というコメントも、この大会の戦いを見れば納得できた。大阪も根来新之助が準決勝で右目の上部を陥没骨折するなど、複数の主力が負傷欠場し、4位にとどまった。ただポテンシャル的には琉球とともに西地区の優勝候補だろう。桶谷大ヘッドコーチはこう話す。「今はみんな『琉球だ』と思っているんですけど、そこよりも上に自分たちが突き抜けたい。だからこそ個人に頼るのでなくチームで常に攻め続けるとか、チームでディフェンスすることをやらなければいけない。この大会で体はほとんどできていなかったけれど、時間をかけてやれるようになる」『琉球強し』という前評判を裏付ける結果になったが、内容を見ればそこまで圧倒的なものではなかった。一方で「悪い内容で勝つ」「プレッシャーを受け止めて勝つ」ということは、彼らが開幕を迎えるにあたって価値のあるプロセスだったはずだ。この大会の結果だけで西地区と他地区の力関係を計ることはもちろんできない。ただ企業クラブのいない、今までは東側の引き立て役だった西地区から反攻の機運を感じることは間違いのない事実。琉球、西地区の活気はBリーグ全体にとっても良い刺激になるはずだ。2017/09/04Bリーグ&国内
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田中大貴が自らの誕生日を祝うここ一番での大暴れ、アルバルク東京が千葉ジェッツとの激闘を制し『関東』王者に!!終盤まで続く接戦、小さなミスが流れを変える9月3日、アーリーカップ『関東』地区の決勝でアルバルク東京と千葉ジェッツが対戦した。序盤から僅差で推移するレギュラーシーズンのような激戦となったが、試合終盤の勝負どころで今日26歳の誕生日を迎えた田中大貴がビッグショットを決め、A東京が77-73で激戦を制した。第1クォーターはともに相手の激しいディフェンスに苦しめられてシュートがなかなか決まらず14-14とロースコアの展開に。第2クォーターに入ると、ギャビン・エドワーズの豪快なダンクなどで千葉が突き放しにかかるも、A東京は安藤誓哉、正中岳城の外角シュートで応戦。前半を35-35と文字通りの互角で終えた。第3クォーターもA東京がアレックス・カークのインサイドで加点すると、千葉はマイケル・パーカー、トニー・ガフニーらによるゴール下へのアタックで対抗。A東京の53対52と、互角のまま第4クォーターに突入する。そして勝負の第4クォーター、A東京は馬場雄大、小島元基と若手の得点などによって残り約4分に68-63とリードを広げる。だが、千葉もここからこの試合20得点を挙げた富樫勇樹のレイアップなどで食い下がると、残り2分41秒、フリースローを2本決めれば同点となるチャンスを得る。しかし、ここで石井講祐が痛恨の2本連続で失敗。絶好のチャンスを逸する。これで試合の流れが再び変わったか、A東京は田中の得点で4点差に。千葉もガフニーの得点ですぐに縮めるが、残り約1分、田中が値千金の3ポイントシュートを沈め、再び5点差に突き放したA東京がそのまま逃げ切った。「負けたくない気持ちで我々のほうが強かった」A東京のルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチは、「選手たちは非常にアグレッシブで、最後までよく戦ってくれました。レギュラーシーズンに向けて幸先の良いスタートを切ることができました」と、3日で3試合を戦うタフな大会を制した選手たちを称えた。そして、「どちらに転んでもおかしくないゲームでした。勝ちたいという気持ちが両チームとも前面に出ていました。あえて勝敗の別れ目となるターミングポイントを挙げるとするならば、負けたくない気持ちで最終的に我々のほうが強かったと思います」と試合を振り返っている。一方、本拠地で惜しくも勝利を逃した千葉の大野篤史ヘッドコーチは、「良いゲームだったと思います。選手にも伝えましたが、残り58秒でタイムアウトを取った後、3ポイントシュートを狙うように指示した自分に責任があります。あの場面では、2点を狙っていけば良かったと思います」と自身の判断ミスを悔やんだ。ただ、効果的なプレーを見せた新戦力ガフニーについて「この3試合で、トニーの持っているものをしっかり把握できました」と話し、さらに「セットプレーはまだ使っていなかったですが、セットの前のベースとなるところの確認はできたのは良い収穫だと思います」と、開幕に向け実り多き大会だったと振り返っている。まだ開幕まで1カ月近くあり、シーズン前哨戦と言えるかどうかも分からないアーリーカップ。しかし、参加したすべてのチームに、さらなる強化へ向け何かしら得るものがあった大会だったことは確かだ。2017/09/03Bリーグ&国内
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混戦を突き破る宇都直輝の強気なプッシュ、富山グラウジーズが名古屋ダイヤモンドドルフィンズを破りアーリーカップ優勝序盤に大量ビハインドを背負うも、強気のプレーで逆襲アーリーカップ『東海北陸』地区の決勝は富山グラウジーズと名古屋ダイヤモンドドルフィンズの対戦となった。両チームともオン・ザ・コート「1」でスタートした序盤を取ったのは名古屋。笹山貴哉を中心としたパスワークで富山のディフェンスを振り回すと、笹山が2本の3ポイントシュートを含む8得点、中東泰斗がキレのあるドライブから3つのシューティングファウルを誘い7得点、張本天傑がギャップを突いて内外バランス良く10得点。自慢の若手トリオが躍動した名古屋が第1クォーターで大量27得点を奪った。ところが名古屋がセカンドユニットに切り替えたのを機に富山が反撃に出る。第1クォーターのラスト1分を6-0のランでまとめると、第2クォーターに入って爆発。宇都直輝が強烈なボールプッシュでリズムを作り出し、ド派手なコースト・トゥ・コーストを決めてチームを波に乗せる。ともにオン・ザ・コート「2」、ドリュー・ヴァイニーとサム・ウィラードの外国籍コンビに対し、名古屋も十分対抗できるだけの力があるはずだが、微妙なジャッジにイライラしたクレイグ・ブラッキンズとジャスティン・バーレルが立て続けにテクニカルファウルを受けてしまう。49-43で始まった後半もいきなり富山が9-0のラン。ようやくランを止めたと思えば今度は笹山がアンスポーツマンライクファウルをコールされるなど名古屋は波に乗れない。この第3クォーターに目立ったのは富山の小原翼。ブラッキンズとのマッチアップでも臆することなくフィジカル勝負を挑むと、オフェンスでも巧みなフットワークでフリーでボールを呼び込み、落ち着いてジャンプシュートを決めて流れを作った。3連戦で消耗する富山、勝利を求める気持ちは衰えず第3クォーターも残り1分半のところで68-54と大量リードする富山がこのまま押し切るかと思われたが、試合はまだまだ揺れた。富山はケガ人がいて9人しか使えない上に、特定の主力にプレータイムが集中しており、ここに来て息切れを起こす。速攻が出せなくなり、ハーフコートオフェンスでもインサイドにダイブする動きがなく攻めが停滞。ボールプッシュする宇都から激しいディフェンスでボールを奪った中東にダンクを見舞われると、連続で速攻を許して名古屋を蘇らせてしまった。70-62でスタートした最終クォーター、前半は目立たなかった柏木真介にベテランの味を発揮され、バーレルとブラッキンズの重量級コンビを止められず、あっという間に1ポゼッション差に詰め寄られる。その後はリードチェンジを繰り返す大混戦に。残り2分を切って柏木の華麗なダブルクラッチが決まり名古屋が79-78と逆転すれば、すぐさま宇都がリングに一直線に飛び込みレイアップを沈め再逆転。そして最後は名古屋も足が止まり、バーレル、ヴァイニーと両チームとも主力をファウルアウトで欠く消耗戦となった。残り36秒、ブラッキンズのタフショットが外れたリバウンド争い、ティルマンの両手に収まりかけたボールをウィラードがかすめ取る。気持ちだけの勝負となった最終盤をこうして乗り切り、ファウルゲームのフリースロー6本をヴィラードがすべて決めた富山が最終スコア86-83で競り勝った。接戦を落とした名古屋も新シーズンに期待の持てる出来両チーム通じて最長の36分半、強気のアタックを貫いて23得点5アシスト4スティールを記録した宇都直輝は「人数が少なかったので、決勝というより3日間ともキツかったんですけど、みんなで力を合わせて戦うことができました。この勝ちが自信につながると思います」と満足気。仲間とともにアーリーカップ優勝を祝った。敗れた名古屋にしても、厳格なタイムシェアはレギュラーシーズンに向けたテストの一環であることをうかがわせる。ティルマン、バーレル、ブラッキンズの外国籍トリオの破壊力はリーグ最強クラス。若手主体の日本人選手も昨シーズン以上の活躍が期待でき、新たに中地区での飛躍が期待される。2017/09/03Bリーグ&国内
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偶然から生まれたビッグラインナップが功を奏した川崎ブレイブサンダース、栃木ブレックスを撃破して3位フィニッシュファジーカスとデービスのデュオが強さを発揮アーリーカップ『関東』地区の3位決定戦は川崎ブレイブサンダースと栃木ブレックス、Bリーグ初年度ファイナルの顔合わせとなった。同点11回、リードチェンジ7回の接戦を制したのは、勝負どころの選手起用がハマった川崎だった。川崎は「1-2-1-2」、栃木は「2-1-1-2」とオン・ザ・コート数に差が生まれた。川崎はオン・ザ・コート「2」の第2クォーターもジュフ・バンバを試していたが、残り4分を切ったところで田臥勇太のプッシュからライアン・ロシターの速攻を許し、27-38と2桁のリードを奪われると、満を持してニック・ファジーカスとジョシュ・デービスを同時起用。これでインサイドに優位を作って反撃し、11-0のランで同点に追い付いて前半を終えた。「第2クォーターに10点離された時間帯があったんですけど、我慢してそこをイーブンで折り返せたことが収穫」と北卓也ヘッドコーチが振り返る試合の分岐点だった。ハーフタイムを挟んでの第3クォーターは一進一退の展開となり、川崎が1点をリードし最終クォーターへ。野本の好調、デービスのビッグプレーが勝利を引き寄せる前日は千葉ジェッツに良いところなく大敗を喫した栃木だが、この試合では本来のファイティングスピリットが見られた。セドリック・ボーズマン、竹内公輔がインサイドで粘りを見せ、効果的に得点を挙げていく。それでも均衡を破って勝利を引き寄せたのは川崎であり、その要因となったのは偶然の産物である『ビッグラインナップ』だった。ファジーカス、デービス、野本建吾の2メートルトリオ。そして長谷川技が2番という布陣。北卓也ヘッドコーチは「プレイングタイムをコントロールしながらやってメンバーがいなく、最後はそういう形になりました」と偶然の産物であったことを明かした。ポイントとなったのは野本だ。「良かったですから引っ張りました」と北ヘッドコーチが語る野本が積極的にボールを呼び込んでミスマッチを突き、インサイドで優位を作り出す。こうして75-69で迎えた残り1分、デービスがライアン・ロシターのシュートをブロックし、そのまま速攻を決めて栃木を突き放す。勝利を決定付けるビッグプレーの後、栃木の反撃をかわして最終スコア79-71で勝利した。敗れた栃木も、前日に比べてパフォーマンスは大きく向上。開幕に向けたチーム作りが前進していることを示した。前日に機能しなかったボーズマンがオフェンスを牽引して19得点を挙げたのは大きな収穫だ。長谷川健志ヘッドコーチはこう大会を振り返った。「ここから先、60ゲームを戦うにはここを底上げしていかないといけない。目的意識を持ってこのチームにつなげるかっていうのを明確にしたかったので、いい2日間になったと思います」課題と収穫に溢れた『アーリーカップ』を終えた両チーム、4週間後に迫った開幕に向け標準を合わせる。2017/09/03Bリーグ&国内
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アンソニー・マクヘンリーに『勝者のメンタル』を注入された信州ブレイブウォリアーズ、今大会2度目の『B1狩り』に成功!戦力の揃わぬ三遠にオン・ザ・コート「2」で圧倒アーリーカップ『東海北陸』大会、信州ブレイブウォリアーズが三遠ネオフェニックスを下して3位に食い込んだ。信州は大会初日にホストチームであるアルビレックス新潟BBを撃破。2日目の名古屋ダイヤモンドドルフィンズ戦には力負けを喫したが、それでも攻守両面で積極的にプレーし、今日の三遠ネオフェニックス戦も自分たちのバスケを遂行してB1チームを相手に結果を出した。とはいえ、試合開始から0-9のランを浴びる最悪のスタートに。3日連続の試合とあって三ツ井利也以外のスタメンを入れ替えたことが立ち上がりの失速を招いた。それでも、三遠も新外国籍選手のカルティエ・マーティンが故郷のテキサス州を襲ったハリケーンによる大洪水の影響で来日しておらず、ケガ人も重なりベンチに9選手しかいない苦しい状況。第2クォーターになって信州が外国籍選手オン・ザ・コート「2」になると、その不利は明らかだった。信州の反撃のきっかけを作ったのは、2試合連続で30分近くプレーしたためベンチスタートに回っていたアンソニー・マクヘンリーの投入だ。琉球ゴールデンキングスで9年間プレーした『レジェンド』はこの夏に信州に移籍。新潟戦でも名古屋D戦でも攻守に軸となるプレーを見せていたが、この試合でも本領を発揮。第2クォーター開始とともに投入されると、すぐにインサイドの守備を立て直して反撃の起点となった。マクヘンリーがコートに入ると、チームの動きが見違える。琉球で多くのタイトル獲得に貢献した彼の存在が良い方向に働いていた。第2クォーター開始から7分半、信州が喫した失点は鹿野洵生の3ポイントシュート1本だけ。22-3というビッグランで一気に試合をひっくり返した。登録9選手が一丸となって戦う三遠だが、最後にミス後半に入ると三遠も粘りを見せ、ベンチメンバー9人を目まぐるしく起用して食い下がる。外国籍選手がスコット・モリソン1人しかいない分は太田敦也が、シューター田渡修人の不在は鹿野と大石慎之介が埋めるも、走る展開に持ち込む回数で上回る信州が51-48とリードして最終クォーターへ。終盤はリードチェンジを繰り返す混戦に。残り2分を切ったところで大石が3ポイントシュートを決めて三遠が逆転すれば、その直後に齊藤洋介が3ポイントシュートでお返し。64-62と信州がリードした残り0.8秒の場面、タイムアウトを取った三遠は最後のオフェンスをセットするが、鈴木達也が大石に逆転の3ポイントシュートを打たせる意図で出したスローインが連携ミスでラインを割り、万事休す。64-62で信州が逃げ切った。マクヘンリーは要所での活躍が目立ったものの、プレータイムは19分。30分のプレータイムで太田とモリソンを相手に18リバウンドを記録したティム・デゼルスキ、3ポイントシュート2本を含むフィールドゴール7本中5本成功の高確率に加え4アシストの齊藤洋介も、昨シーズンのチャンピオンシップ出場チームである三遠を大いに苦しめた。武井弘明が試合後に「挑戦者として、でも負ける気はなくやりました」と語ったとおり、カテゴリーの差はあっても臆することなく自分たちのスタイルに徹したことがB1チームから2勝を挙げる結果を呼んだ。昨シーズンは14勝46敗、B2全体でも下から2番目とふるわなかった信州だが、新シーズンは全く別の姿を見せてくれそうだ。2017/09/03Bリーグ&国内
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Bデビュー戦で豪快ダンクを決めたアルバルク東京の馬場雄大は「試合より教育実習の方が緊張します」と大物ぶりを発揮チーム練習にほとんど参加しないままの実戦参加2年目のBリーグにおいて、大きな注目を集めるニューカマーの一人がアルバルク東京の馬場雄大だ。筑波大学では1年次から中心選手として全日本大学バスケットボール選手権3連覇の原動力になるなど、名実ともに大学No.1プレーヤーとして大暴れしていたが、大学4年生の今季は大学在学中ながらプロ転向を発表し、A東京に加入した。現役日本代表でもある彼は即戦力の大物ルーキーと見られているが、アジアカップ出場に加え、現在は教育実習を行っている最中でまだチームに本格的な合流となっていない。コンディション面も考慮され、アーリーカップ初戦となった昨日のサンロッカーズ渋谷戦には出場しなかった。しかし、大会2日目の川崎ブレイブサンダース戦、第1クォーター途中にBリーガーとして初の試合出場を果たすと、初得点で速攻から彼の代名詞である豪快なダンクを叩き込み、鮮烈なBリーグデビューを飾っている。「出るかどうか分からない状況でも準備はしっかりしようと思っていました。まだ、チームに合流して練習もほとんどしていないので、ディフェンスだったり、リバウンドだったり、コンビネーションがなくてもできることを一生懸命やってこい、と言われました」豪快ダンクに「あそこで叩き込むのは得意とするところ」このように途中交代でコートに入った時のことを振り返る馬場だが、会場を一際沸かせたダンクについては当然のように狙っていた。「あそこで叩き込むのは僕の得意するところ。『馬場ならダンクに行くだろ』と思われていると強気で行きました。あのプレーでチームに勢いを与えられたどうかは分からないですが、プレーだけでなくベンチでも盛り上げていきたいので、そこは継続していきたいです」ダンクで早速『らしさ』を見せた馬場だが、一方でチーム練習をほとんどできていないこともあり、自身の全体的なパフォーマンスについては厳しい評価を下している。「自分の強みであるオールコートのプレーは学生からプロになっても通用すると思いますが、課題は外角シュートなどハーフコートオフェンスで、良いところでボールはもらうんですけど決めきれないところがありました。コミュニケーション不足から、まだまだアジャストできない部分があってターンオーバーにつながってしまいました。今後、チーム練習を重ねることですりあわせないといけないです」「今日は100点満点で40点か50点くらいです。ダンクする、しないは考えていないです。他のプレーでの精度を求めています。ピック&ロールからの展開は少しずつ見えてきていますので、そこをまだまだ成長させていきたいです」潜在能力の高さをあらためて証明したBリーグデビュー戦ちなみにBリーグでのデビュー戦だからと「緊張はしなかったです」と語る馬場だが、一方で始まったばかりの教育実習についてはかなり緊張している様子。「スーツを着て、始業式で『よろしくお願いします』と挨拶した時の方が、Bリーグデビューより緊張しました。でもバスケをしている子はたくさんいて、始業式の途中で『雄大』と言われたりもして、すごい子がいると思っていました」と語る。新人らしからぬ堂々としたプレーを披露しているが、メディアやファンの前でしゃべるのもまだまだ慣れておらず、「人前でしゃべるのは緊張してしまい、それが表情に出てしまいます」と、まだ初々しい面も見せている。前述のように、チーム練習にほとんど参加できていないことから、連携不足は否めない。それだけに「最後の場面で試合に出たかったです」と語るとともに、「そこは悔しかったですが、適切なのはザック選手が継続して出ることだと思っていたので応援していました」とチームにおける自分の立ち位置を冷静に把握してもいる。17分の出場で4得点2リバウンド3アシスト。本領発揮にはまだしばらく時間がかかりそうだが、その潜在能力の高さは疑いの余地がない。そのことをあらためて証明したBリーグデビュー戦であった。2017/09/03Bリーグ&国内
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まさかの大敗も慌てず騒がず、栃木ブレックスの『新しい風』となることを目指す喜多川修平「もっと打ち切っていきたい」栃木ブレックスの『新しい風』となれるか昨日行われたアーリーカップ『関東』大会の2回戦、千葉ジェッツと栃木ブレックスの一戦は千葉が32点差をつける圧勝に終わった。ここまで一方的に初代王者が敗れる姿は誰にも予想できなかったはず。それでも栃木の長谷川健志ヘッドコーチは「良い課題ができたと思っています」と、冷静にこの結果を受け止めた。新加入組の一人である喜多川修平は、試合をこう振り返った。「チームでまだ動きがギクシャクしてる部分が多々あります。その中でチームで練習してる部分が何本か出たので、それをいかに40分間できるかがカギになってきます。まだ完成度は高くはないですが良い経験ができたので、改善して修正していきたい」ファイナルMVPの古川孝敏が移籍を選択したが、入れ替わるように琉球ゴールデンキングスの日本人選手で一番の得点力を担った喜多川が加入した。周囲の期待を喜多川自身も理解している。「去年優勝してファンの方々は期待を持っていると思うんです。僕は新しく入ってきたメンバーなので『新しい風』というか、そういう部分を出せれたらいいなと思います」ただ、これは『職人気質』の性格から来るものだろう。必要以上に意気込むことなく自然体で、新たな挑戦に向かい合っている。「2連覇に貢献したいともちろん思っていますが、初代王者としてのプレッシャーというのは、そこまで感じていません」という言葉は喜多川らしい。「点を取るのが仕事なので、もっとアグレッシブに」「自分は得点を取るのが仕事なので、もっとアグレッシブにやっていきたい」と喜多川は言う。この『アグレッシブ』こそが、新天地ブレックスにおいて喜多川に求められることだ。「練習中、5対5の場面でシュートを打てるのにパスをさばくシーンが何回かあったんです。その時に『今年は得点を取っていく立場になってくると思うから、打ちすぎっていうくらい自信を持って、打てるタイミングがあったらどんどん打っていけ』と言われました」と田臥勇太からアドバイスを受けたことを喜多川は明かす。だが昨日の試合ではそのアドバイスを遂行できず、5得点と不発に終わった。「まだ遠慮してる部分がどこかしらあると思うので、もっと打ち切っていきたい」。喜多川にとって、ここが一番の反省すべき点なのだろう。Bリーグのチームの多くは、日本人ビッグマンが少ないことから外国籍選手を4番か5番で起用することが多い。だが栃木には竹内公輔という日本を代表する選手がいることで、外国籍選手を3番で起用できるという強みがある。昨日の試合ではそれが裏目に出たが、しっかりと準備すれば栃木の新しい武器になるはずだ。そこで連携が構築されれば喜多川のパフォーマンスも自ずと上がっていくに違いない。「開幕まであと1カ月ぐらいなので、チームとしても個人としてもクオリティを上げてやっていきたい」。そう話す喜多川にやはり焦りは見られず、それが逆に頼もしさを覚えた。開幕を迎える頃には「打ちすぎ」と笑って仲間に突っ込まれる喜多川の姿が見れるはずだ。2017/09/03Bリーグ&国内
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ザック・バランスキーが決勝弾! 粘りのバスケを展開したアルバルク東京が痛快な逆転劇で川崎ブレイブサンダースを破る川崎のファジーカスが最強スコアラーぶりを発揮9月2日、アーリーカップ『関東』大会の2回戦でアルバルク東京と川崎ブレイブサンダースが激突。レギュラーシーズンのような激しい激闘となった試合は、終了間際にザック・バランスキーが劇的な勝ち越し弾を沈めたA東京が63-62で勝利を収めた。この試合、第1クォーターはオン・ザ・コートの数が川崎「2」、A東京が「1」。第2クォーターになると川崎「1」に対しA東京「2」と両チームで違いが出る。その差が影響したのか、第1クォーターに川崎はリーグ最強スコアラーのニック・ファジーカスがいきなり10得点を挙げ23-15と先行。しかし、第2クォーターに入ると今後は外国籍選手の数で優位に立つA東京が、ジャワッド・ウィリアムスの8得点などで追い上げ、川崎が32-27とわずかに上回って前半を終えた。第3クォーターに入ると川崎はファジーカスがこの10分間だけで12得点と再び得点を重ねてチームを牽引し、リードを11点にまで広げる。しかし、第4クォーターに入りA東京が反撃を開始。徐々に追い上げると残り約3分半からバランスキー、田中大貴の連続バスケットカウントなどで1点差に肉薄した。その後、ともにシュートを1本ずつを決めた後、残り5秒でバランスキーがインサイドへのアタックから見事なステップバックシュートを決めて63-62と逆転土壇場でリードを奪ったA東京がそのまま逃げ切った。「必ず我々に波が来ると信じてプレーした結果」A東京のルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチは、「前半はリードを奪われる苦しい展開でしたが、最後までしっかり戦えました。今日のテーマは激しく戦うことで、なんとかくらいついて後半は必ず我々に波が来ると信じてプレーした結果が出ました」と、我慢強いプレーを勝因に挙げた。そして最後、バランスキーの値千金のシュートについては「川崎は全員がとてもタイトでスマートなディフェンスをしていました。それに苦労していましたが、(タイトだった分)スペースがあり、そこをザックが突いて主導権を握れると思いました。ビッグショットを決めてくれた彼を褒めたい」と分析している。また、勝ったもののファジーカスに33得点を許したことについては「ディフェンスで用意したものをカウンタームーブでやられてしまいました。レギュラーシーズンの戦いではもっと止めたいです」とあらためて警戒したが、「33点ではなく30点にはしたいですね」と意外なジョークでまとめている。そして本日のヒーローであるバランスキーは、「今年は本当に選手層が厚くて、毎日が切磋琢磨で刺激になっている。試合に出られないのは辛いですが、その中でもいつでも準備はしています。チャンスが回っていた時はいつでも思い切ってやろうと思っていました」とコメント。今オフ、A東京は大物ルーキーの馬場雄大が加入し、外国籍選手も昨シーズンと違いビッグマンが3人となって、3番と4番でプレーするバランスキーにとっては出場時間の確保が難しくなっている。その中でも、「プレータイムが少なくてもやるべきことはある。自分が出た時、それを徹底してやろうと思います」と高いモチベーションを臨み、健在ぶりをしっかりと示した。川崎は佐藤アシスタントコーチが指揮「彼の成長が一番」痛い逆転負けを喫した川崎だが、この試合は北卓也ヘッドコーチではなく、佐藤賢次アシスタントコーチが指揮を執っていた。「アシスタントコーチが指揮を執るNBAサマーリーグを見ていいなと思っていて、7月の時点から佐藤には『アーリーカップを任せる』と伝えていました。いろいろな経験をさせてあげたいですし、『初めての采配ですごい経験ができたね』とは言いました。彼の成長が一番です」と、この起用の意図について語る。また、試合については「ニックの調子が良いのは分かりますが、後半はディフェンスが寄っていると分かっているのに彼にボールを集めすぎでした。そしてガード陣がプレーを狙いすぎて、時間がなくなってタフショットを打たないといけなくなっていました。まだまだこれからです」と総括している。アーリーカップは今日が最終日。13時からの3位決定戦で川崎は栃木ブレックスと、16時には決勝でA東京は千葉ジェッツと対戦する。2017/09/03Bリーグ&国内
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新体制での経験不足を露呈してBリーグ初代王者の強みを失った栃木ブレックス、立て直しが利かず千葉ジェッツに大敗堅守から立て直す強みを失った栃木、劣勢を覆せずアーリーカップ『関東』地区の2回戦では、栃木ブレックスと千葉ジェッツが対戦した。Bリーグ初代王者とオールジャパン優勝チームの対戦とあって、実力伯仲の接戦が予想されたが、千葉が88-56と大差で勝利を収めた。栃木は昨シーズンのファイナルで故障したジェフ・ギブスに加え遠藤祐亮が欠場。田臥勇太も途中出場でわずか3分のプレーと主力を欠いたが、それにしても予想外の大敗に。差が付いたのは第2クォーター、栃木は選手間の連携がうまくいかずビハインドを広げる悪循環に陥っていた。栃木の長谷川健志ヘッドコーチはこう説明する。「トランジションディフェンスが悪かったのと、CB(セドリック・ボーズマン)を3番で出したのが逆に機能しなかった。彼をどうやって生かすのかもチームとしてまだできていなく、タフショットになって走られました」昨年の栃木はリーグナンバー1の守備力を誇り、相手に主導権を握られてもディフェンスから立て直すことができたが、今日の試合ではそれができなかった。「オフェンスの終わり方が悪いとディフェンスに影響します。ディフェンスだけ頑張ると言ってもオフェンスの終わり方が悪かったらディフェンスも乗らないので」とは長谷川ヘッドコーチの弁。一方、前半を終えて45-22と大量リードを奪った千葉の大野篤史ヘッドコーチは「第1クォーターは入りが良かったのに、ディフェンスがルーズになってイージーバスケットを何本もやられました。その時に『ディフェンスのフォーカスを変えなさい、自分たちのテンポが生まれないよ』と伝えました」と語る。千葉の選手たちは指揮官の言葉を忠実に実行した。良いディフェンスからリバウンドを取り、テンポを上げる。思うように立て直せない栃木を攻め続け、第2クォーターを28-7と圧倒した。千葉は新戦力が揃って結果を出し、優勝に向け意気盛ん昨シーズンのチャンピオンシップでもこのカードが実現したが、この時は栃木が大量ビハインドをひっくり返す鮮やかな逆転勝利を挙げている。だが、ヘッドコーチも選手も入れ替わり、立ち上がったばかりの今のチームに、その力はなかった。後半も若手中心の選手起用で挽回を図るも、一度狂った歯車はなかなか元に戻らない。新加入選手は迷いながらプレーして持ち味を発揮できず、エースのライアン・ロシターも31分のプレーで9得点と平凡な出来。長谷川ヘッドコーチは「内容的にもスコア的にもまだまだ我々が目指すものに程遠いと分かり、良い課題ができたと思っています」と敗戦をポジティブにとらえようとした。しかし、リーグが掲げる「3大タイトルの一つ」というアーリーカップの位置づけを額面通りに受け止めていないのは明らか。栃木はチームの始動も遅く、この時期に真剣勝負を求めること自体が間違っているのかもしれない。対照的に、ホームの船橋アリーナ開催ということもあって千葉はタイトル獲得に向け意気盛ん。司令塔の富樫勇樹は代表活動の疲れも見せずプレーしているし、新加入のトニー・ガフニー、アキ・チェンバース、ギャビン・エドワーズが揃って結果を出している。試合後の大野ヘッドコーチは「夏にキャンプでやってきたことをコートで表現できたところが収穫です」と、昨日と同じコメントを繰り返した。明日の決勝は千葉ジェッツとアルバルク東京との対戦となる。2017/09/02Bリーグ&国内
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西地区の『1強』となり得る琉球ゴールデンキングスと互角に渡り合った西宮ストークス、終盤に力尽きるも収穫の多い試合にスローペース、個人ではなく組織の戦いに持ち込むアーリーカップ『関西』大会、前日に熊本ヴォルターズを倒した西宮ストークスが、琉球ゴールデンキングスと対戦した。この夏に日本代表のアイラ・ブラウンを筆頭とする大型補強を実施、西地区では『1強』と目される琉球と、B2からの昇格組で基本的には前シーズンのチームを継続させている西宮。西宮は不利が予想されたが、立ち上がりから積極的に仕掛けて主導権を握った。第1クォーターは琉球がオン・ザ・コート「1」なのに対し、西宮は「2」のメリットを生かす。bjリーグ時代の琉球で3シーズンを過ごしたドゥレイロン・バーンズがスピードを生かして琉球の守備をかき乱し、コナー・ラマートが落ち着いて得点を決めていく。試合開始から5分強で11-4として、琉球に最初のタイムアウトを取らせた。それでも琉球の混乱は長くは続かない。二ノ宮康平、須田侑太郎の3ポイントシュート攻勢で追い上げられた上、超アグレッシブにプレスディフェンスを遂行していたバーンズが第1クォーター残り2分のところで早くも3つ目の個人ファウルを犯してベンチに下がる。それでも西宮は崩れず、オン・ザ・コート数で不利になる第2クォーター以降も琉球と互角の戦いを演じた。西宮は徹底して試合のペースを遅らせ、琉球に走るチャンスを与えないことで個々の能力ではなく組織の戦いに持ち込んだ。こうなると指揮官交代と選手の半数を入れ替えた琉球に対し、同じスタイルを遂行する西宮に利がある。第2クォーターは11-14、第3クォーターは11-10と泥試合に持ち込んだ。最終クォーターの2分が過ぎたところ。リードを7点に広げた琉球は一気に試合を決めるべくオールコートプレスを仕掛けるが、バーンズがこれを独力で突破、数的優位を作って谷直樹の完全フリーでのコーナー3ポイントシュートへとつなぎ、49-53と西宮が粘りを見せる。嫌な試合展開に持ち込まれるも勝ち切った琉球だが、琉球はその後の約3分間で10-0のランを見せ、西宮を突き放す。琉球にとって嫌な流れを断ち切ったのはゴール下に立ちはだかる『大魔神』ヒルトン・アームストロングだった。日本人選手のドライブからのレイアップはすべて叩き落す勢いで、この3分間で3本のブロックショットを記録。これで西宮の攻めをシャットアウトした。2桁のビハインドを背負ってもなお勝利に執念を燃やす西宮は、残り3分で頼みのバーンズがついにファウルアウト。その後もギャンブル的なスティールから速攻を仕掛けて追い上げるが、余裕を持つと琉球の経験から来る試合運びが生きてくる。最終盤をしのいだ琉球が74-65で混戦を制した。ヘッドコーチとしての公式戦デビューを白星で飾った琉球の佐々宜央ヘッドコーチは「気持ちの部分では西宮さんが序盤は上回った」と相手を称えつつ、「後半は挽回できたので、明日につなげます。相手に流れを持っていかせないように、まずはディフェンスからやりたい」と明日の決勝戦に向け気を引き締めた。琉球はエースのアイラ・ブラウンをうまく抑えられ苦戦を強いられたが、二ノ宮康平が14得点8アシストと活躍。また岸本隆一も重い展開を多彩な攻めで打開しつつ自らも14得点を挙げた。敗れた西宮も、琉球相手にここまで戦えたのは大きな収穫。昇格組で補強も少ないチームだが、この2日間で新シーズンに向けて大きな手応えを得られたはずだ。市民球団で予算規模も小さいが、B1でも十分に戦えるチームに仕上げていると見ていいだろう。2017/09/02Bリーグ&国内
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我慢の時間帯を耐え切ったサンロッカーズ渋谷、大黒柱を失った横浜ビーコルセアーズのインサイドを攻略し逆転勝利を飾る悪い流れで耐えたSR渋谷、自分たちのミスで崩れた横浜アーリーカップ『関東』大会の2日目、サンロッカーズ渋谷と横浜ビーコルセアーズが5位6位決定戦で対戦した。両チームとも前日の試合では新たに目指すスタイルを体現する時間帯もあったが、流れの悪い時間帯に辛抱しきれず大差で敗れている。前日の敗戦からどう修正し、チームを上向かせるかが注目された試合、最終クォーターにSR渋谷が逆転勝利を収めた。前半は重い展開で拮抗する。湊谷安玲久司朱が3ポイント2本を含む4本のフィールドゴールをすべて成功させ10得点を挙げれば、SR渋谷は8人が得点を挙げるバランスの良いオフェンスで反撃し、互いに譲らない。均衡から抜け出したのは横浜。33-29と4点リードで迎えた第3クォーター、細谷将司の3ポイントシュート、ジェイソン・ウォッシュバーンに連携からインサイドで得点され、この日最大となる8点のリードを奪った。しかし、前日はこの流れでズルズルと後退したSR渋谷が、この日は集中力を切らすことなく踏ん張り続ける。長谷川智也の3ポイントシュートやロバート・サクレのインサイドプレーで得点し、我慢の時間帯を乗り切った。横浜の古田悟ヘッドコーチは「勝ちきれないのがウチの現状。流れがつかめた時に自分たちのターンオーバーでリズムを崩すというのが負けパターンです」と試合後に悔やんだ。「そこさえ直せれば勝ち星はもっと増えると思います。特に後半にフィジカル含めて削られていく中で、いかに自分たちのプレーができるかが大事」横浜の大黒柱が故障、好機を逃さなかったSR渋谷52-48とリードして最終クォーターに突入してすぐ、横浜をアクシデントが襲う。オフェンスリバウンドを争った着地の際に足を痛め、そのままプレー続行不能となってしまったのだ。外国籍選手枠をまだ1枠余している横浜にとって、ウォッシュバーンの故障退場は大きな痛手となった。SR渋谷はこの機を逃さず勝負をかけた。残り7分20秒、長谷川のレイアップで55-54と逆転に成功すると、大黒柱を失った横浜のインサイドをジョシュ・ハレルソンとブランデン・ドーソンが攻め立て、11-0のランで一気に突き放した。横浜は川村卓也、ジェフリー・パーマーが反撃して意地を見せるも及ばず、最終スコア73-67でSR渋谷が勝利している。勝久ジェフリーヘッドコーチは「ディフェンスでリズムを作れず、自分たちのやりたいバスケができませんでした。正しいプレーを続けようと意識した結果、少しづつ後半に流れが来ました」と苦戦しながらも勝ち切った試合を振り返った。「5人でうまく共通理解を持ってどういうタイミングで中を攻めるかがまだできていないですが、オフェンスだけで解決するのではなく、ディフェンスから流れを作った時にはいろいろスムーズにいったと思います」と手応えを語った。初の公式カップ戦を終えた両チーム。この大会で露呈した課題や新たな発見を修正し、約3週間後に控える開幕を最高の形で迎えてほしい。2017/09/02Bリーグ&国内
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