
『勝久ジェフリー』の検索結果
-
アルバルク東京、田中大貴が欠場しても層の厚さで粘る渋谷を振りきり開幕連勝発進海外遠征を含むタフなスケジュールでも強さを示す 10月7日、アルバルク東京がホームのアリーナ立川立飛でサンロッカーズ渋谷と対戦。序盤から僅差で推移する熱戦となったが、最後はここ一番でのプレーの遂行力で上回ったA東京が87-79で勝利した。開幕直前までアジアチャンピオンズカップに出場し、この海外遠征を含めての10日間で7試合とタフな日程の中、3000人オーバーと満員のファンに王者の貫禄を示し、開幕連勝スタートを飾った。 この試合、A東京は田中大貴が左ハムストリング筋膜炎で欠場。さらにミルコ・ピエリッツアに代わりジャワッド・ウィリアムズをベンチ登録と変更する。ルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチはこの意図をこう説明する。「アジアチャンピオンズカップでは外国籍を途中で変えることができなかった。大会でジャワッドはプレーしていなかったので、ここでゲーム感を取り戻してほしかった。逆にミルコはずっとプレーしていた。ここは、選手を変えるいい機会だった。3人の外国籍選手がいて、私たちのゲームコンセプトを失わないようにやりくりしていきたいと考えています」 第1クォーター早々、昨日の雪辱を期すSR渋谷が、ロバート・サクレのダンクなどで12-6と先行。しかし、A東京は終盤に正中岳城の連続3ポイントシュートを沈めて盛り返す。第2クォーター以降、渋谷は前日の28得点に続きこの日も25得点を挙げたライアン・ケリーとサクレの外国籍コンビ、ベンドラメ礼生を軸に得点を重ねて行く。しかし、A東京もウィリアムズや竹内譲次が得点を重ねて応戦し、激戦となる。 タフなA東京「これを経験できるのは優勝チームのみ」 それでも第4クォーターに入るとA東京が地力の違いを見せ、徐々に引き離しにかかる。70-70で迎えた残り約5分から馬場雄大の3ポイントシュート、アレックス・カークのジャンプシュートなどで約3分間に渡って怒涛の11連続得点。残り2分の時点で81-70と突き放して、試合を決めた。 A東京の指揮官パヴィチェヴィッチは、「コンディションが厳しい中、強い渋谷相手に2つ勝てました。選手たちにはよくやってくれたと言いたい」と、タフな日程を乗り越えた選手を称賛。そして「10月は平日開催もあって厳しいスケジュールが待っています。身体のケアをしつつ、しっかり試合のリズムに入っていけるようにしたい」とコメント。リーグ屈指の厳しい練習を課すことで知られる指揮官だが、明日と明後日の2日間、チーム練習をオフにしてリフレッシュを図る。 一方、2日続けての惜敗を喫したSR渋谷のヘッドコーチ、勝久ジェフリーは、「後半、特に第4クォーターは少しずつディフェンスの精度が下がってしまって25点も取られてしまいました。アルバルクさんがローテーションをしている中、僕の方で交代をしなかったのはミスかと思います。体力面で少し差が出てしまったのかと反省が残る試合でした」と敗因を語った。 この勝久ヘッドコーチが言及した選手層の差は、勝敗を分ける鍵となった。A東京はウィリアムズの19得点を筆頭に6人が9得点以上をマーク。逆にSR渋谷は、ケリー、サクレ、ベンドラメに攻撃が偏った。また、菊地祥平が「負担が少ないといえば嘘になってしまいますが、これを体験できるのは優勝したチームのみで、それを楽しめました。これで疲れたからと負けたと言うのは言い訳にしかならないです」と語ったように、まさにどんな状況でも勝利を追求する王者のプライドを示した開幕シリーズとなった。2018/10/07Bリーグ&国内
-
NBAの実績は伊達じゃない、鮮烈デビューを果たしたSR渋谷のライアン・ケリー「守る側としては嫌なタイプじゃないかな」 アルバルク東京とサンロッカーズ渋谷の開幕戦は、終盤に逆転を繰り返す接戦となったが、73-71とわずかにA東京が上回った。SR渋谷にとっては惜しい敗戦となったが、この試合で最も輝いていたのは、新戦力のライアン・ケリーだ。3本の3ポイントシュートを含むゲームハイの28得点を記録し、前年王者A東京を相手に激闘を演出する立役者となった。 ケリーは「2週間前に娘が生まれて帰国したんだ。その遅れを取り戻そうと練習してきたから、1試合目にしては良い感触だったよ。勝てなくてガッカリはしているけど、ファンのみんなに追い上げる姿を見せられたのは良い経験になった」と試合を振り返った。 ケリーは211cmの長身ながら、3ポイントシュートを打てる広いシュートレンジを持ち、ポストアップからのフェイダウェイシュートなど、得点パターンが豊富なオールラウンドプレーヤーだ。「自分の技術や身長がアドバンテージになることは分かっていた。実際やってみて分かったし、これからはもっと多彩なプレーでチームに貢献できると思うよ」と自信をのぞかせた。 2ブロックショットを記録したディフェンス力も魅力だが、32分間の出場で2ファウルにとどめるバスケIQの高さも、チームとしては心強い。「コーチから角度、タイミング、スピードなど細かい指示を受けていて、自分はそれを体現する自信がある」とケリーは言う。 「自分の一番の武器は何でもできること。ただボールをもらうだけじゃなくて、自分が動くことによってスペースも空くし、そういう駆け引きもできる。守る側としては嫌なタイプじゃないかな」とケリーはその万能性を一番のストロングポイントに挙げた。 ケリーについて、「中も外もオールラウンドにできる選手。オフェンス面ではチームが必要としている得点源の役割を果たしてくれる」とコメントした、勝久ジェフリーヘッドコーチの期待に違わぬ活躍だった。 接戦を落とし「チームとしてカムバックしたい」 ケリーはデューク大学1年時にNCAAトーナメントに出場し、全米制覇を成し遂げた。その後はレイカーズから指名されNBA入りを果たした。初年度には59試合中25試合に先発し平均8得点を記録。翌シーズンは52試合中34試合で先発し平均6.4得点を挙げるなど結果を残してきた。BリーグでもNBA経験を持つ外国籍選手は珍しくなくなったが、ケリーの実績はその中でもトップクラスと言える。 またチームメイトのロバート・サクレはレイカーズ時代のチームメートでもある。昨日の試合では何度かサクレとのピック&ロールを披露した。「レイカーズの時から一緒にプレーしていたので、心地良くプレーできる自信はあった。うまくいったよ。シーズンが進むにつれてもっと良くなっていくと思うし、もっとプレーの幅を広げていきたいね」 デビュー戦にして、自身が持つ強みを存分に発揮したケリー。だが勝利はわずかに届かなかった。「勝負どころでのターンオーバーだったり、ボックスアウトをせずに馬場(雄大)選手にオフェンスリバウンドを取られたシーンだったり、細かいところでやられてしまった。それは個人ではなく、チームとしてのミスだ」とケリーは敗戦理由を分析した。 そしてケリーはこのように続けた。「勘違いしてほしくないのは、最後の場面だけにフォーカスするのではないということ。いろいろな場面で細かいミスがあったので、そこを少しずつ良くすることが重要だ。チームとしてカムバックしたいね」 Bリーグデビュー戦で自身の強みを存分に発揮しただけに、今後は他チームからのマークが厳しくなることが予想される。だがそれ以上に、ケリーとの連携面が高まった場合のSR渋谷の伸びしろに期待したい。過去2年は期待に応えられたとは言いづらいSR渋谷だが、飛躍の時は訪れた。2018/10/07Bリーグ&国内
-
2点差のシーソーゲーム、勝負どころでの集中力が光ったA東京がSR渋谷に競り勝つケリーがA東京の勢いを断ち切り、拮抗した展開に 3年目のBリーグ開幕戦、アルバルク東京は、ホームコートのアリーナ立川立飛にサンロッカーズ渋谷を迎えた。昨年のBリーグを制したA東京の完成度の高いバスケットと、新戦力が噛み合ったSR渋谷の一戦は、最後までもつれる激闘となった。 序盤は互いに持ち味の堅いディフェンスが機能し、守り合いの展開となった。だが13-14とA東京が1点ビハインドで迎えた第2クォーターに試合が動く。広瀬健太が早々に2つ目のファウルを犯しベンチに下がると、田中大貴がベンドラメ礼生とのミスマッチを執拗に突き、アレックス・カークとのピックでズレを作り、優位な状況を作り出す。田中はこのクォーターだけで8得点3アシストを記録し、A東京がこの試合で最大となる7点のリードを奪った。 それでも、A東京の勢いをSR渋谷の新戦力、ライアン・ケリーが断ち切る。211cmの長身ながら、内外どこからでも得点できるシュートレンジを持つケリーは、ファウルを受けながら3ポイントシュートを沈める4点プレーをまず披露すると、次にはトランジションからアウトナンバーを作り出して清水太志郎の3ポイントシュートを演出するなどリズムを作り出した。ケリーはその後もフェイダウェイなど難しいシュートを次々と沈め、このクォーターで11得点の荒稼ぎを見せた。 後半に入ると、互いにタイムシェアをすることで、常にフィジカルなディフェンス合戦となり、序盤のような守り合いが続いた。ロバート・サクレとケリーを中心とした攻めに手を焼くが、チームバスケットから6選手が得点したA東京が、13-11とわずかに上回り、52-49とわずかにリードして最終クォーターを迎えた。 安定したチームプレーでA東京に軍配 第2クォーター以降、常に5点差以内で試合は推移してきた。それでも最終クォーターに安藤誓哉と馬場雄大が連続でバスケット・カウントを獲得し、残り5分の場面でA東京が6点のリードを奪う。このままA東京が突き放すかに見えたが、SR渋谷はまたもケリーの活躍で逆襲する。合わせの中からケリーがフィニッシャーとなり、連続でフリースローを獲得してつなぐと、オフェンスリバウンドからゴール下のシュートを成功させる6連続得点で同点に追いついた。 そして残り1分25秒、ケリーにマークが寄った瞬間を見逃さず、ベンドラメが3ポイントシュートを沈め逆転に成功し、A東京はたまらずタイムアウトを要請した。 完全に勢いはSR渋谷だったが、ここで崩れないのが王者の強さだ。タイムアウト明け、A東京の強みであるピック&ロールから、フリーとなったカークがミドルシュートを沈め逆転。ベンドラメにタフショットを決め返されるも、田中のドライブに合わせたカークが3点プレーとなるバスケット・カウントを誘発し、残り24秒で2点のリードを奪った。 残り12秒、SR渋谷のエンドからのリスタートの場面。ケリーにボールを託すことができず、広瀬が3ポイントシュートを狙うがこれが外れ万事休す。最後まで粘られるも、ファウルゲームを乗り切ったA東京が73-71で激戦を制した。 主力が変わらない強み「土台ができている」 勝利した指揮官のルカ・パヴィチェヴィッチは「6日間で5試合というハードなスケジュールだったアジアチャンピオンズカップから帰ってきて、タフなスケジュールの中で勝ち切った選手たちを誇りに思う」とコメント。アジアチャンピオンズカップに出場したことで、コンディションは万全ではなかったが、苦しみながらも手にした勝利に安堵していた。チームの完成度については「まだまだ40%くらい」と辛口評価だったが、「昨シーズンの経験があり土台ができているので、どうにかしのいでこれから上げていきたい」と先行きに不安はないようだ。 一方、敗れた勝久ジェフリーヘッドコーチは「インテンシティのあるゲームだった。サイズを生かしたプレーもあり、その連携を練習や試合を重ねることでスムーズにしていきたい」と語る。ファイ・サンバやケリーの加入でビッグラインナップが可能になったことでチームの引き出しは増えた。それでも「第2、第3クォーターは機能しない時間帯があった。もっとフィットする組み合わせを勉強していかないといけない」と今後の課題を挙げた。 拮抗した試合であればあるほど、一つのミスや細かいプレーが勝敗を分ける。最終クォーター残り1分の場面で馬場が見せたオフェンスリバウンドや、残り12秒のディフェンスでケリーにボールを入れさせないディフェンスなど、A東京の勝負どころでの集中力が光った試合だった。2018/10/06Bリーグ&国内
-
栃木ブレックス、チャンピオンシップを見据えつつも信条の堅守でSR渋谷を撃破強度の高いディフェンスで主導権を奪取栃木ブレックスvsサンロッカーズ渋谷のゲーム2。失点を55点に抑えて勝利した第1戦に続き、第2戦でも持ち前のディフェンスが機能した栃木が74-61で勝利した。栃木は竹内公輔がベンチから外れたが、「タフなスケジュールとこれまで蓄積した疲労を考慮」した結果であり、「ケガではない」と安齋竜三ヘッドコーチは試合後に明かした。第1クォーター序盤から栃木の激しいディフェンスがSR渋谷に牙をむき、ビッグマンのダブルチームでターンオーバーを連続で誘発する。攻めに転じればスクリーンプレーから優位な状況を作り出し、確実にそのシュートを決めて、開始2分で8-0と走った。残り5分、セドリック・ボーズマンが自身のブロックショットを速攻につなげ、13-2と早々に2桁のリードを奪う。第2クォーターに入っても栃木のディフェンスの強度は落ちない。「栃木のプレッシャーの前にリングにアタックするとかオープンショットを作るチャンスが特に前半はなかった」とSR渋谷の勝久ジェフリーヘッドコーチが言うように、SR渋谷の攻めは停滞した。だが栃木も、このクォーターだけで5ターンオーバーを犯すなど突き放すことができなかった。前半を終えて29-21とロースコアの重たい展開になったが、ディフェンスが崩れない栃木が後半もリードを広げていく。喜多川修平がフリースローを2本沈めて点差を2桁に乗せると、ジェフ・ギブスがインサイドで奮闘し6得点を記録。残り2分には、竹内の代わりにプレータイムを獲得した橋本晃佑の3ポイントシュートが決まり、この日最大となる19点のリードを奪った。3点差に迫られるも、地力の強さを証明栃木の楽勝ペースかと思われたが、「リングにアタックしたり、そこから中、外という展開も生まれた」と勝久コーチが言うように、SR渋谷が栃木ディフェンスを攻略し始める。オフ・ザ・ボールの動きでノーマークを作り、長谷川智也が外から射抜き、ロバート・サクレがインサイドで加点して、最終クォーター開始1分半で10-0と猛追した。悪い流れを断ち切れない栃木は、サクレにダンクを見舞われ、57-54と猛追されたところでオフィシャルタイムアウトを迎えた。それでも安齋コーチが「(鵤)誠司とCB(セドリック・ボーズマン)が良いスペーシングで3ポイントを入れてくれたので、こういう勝ちゲームにつながった」とコメントしたように、この直後に2人の3ポイントシュートが決まったことで栃木は落ち着きを取り戻す。追い上げられる時間帯では淡泊なオフェンスが目立った栃木だが、3点差に迫られたことで再び攻守ともにスイッチが入った。残り1分50秒、生原秀将が3ポイントシュートを沈め69-59、点差を2桁に戻したところで勝負アリ。3点差まで迫られたものの、一度もリードを許すことなく、全員得点のおまけつきで栃木が連勝した。「どんな時でもハードにプレーする姿勢」を称賛安齋コーチは「結果的に60点前半で抑えられたというのは、(ディフェンスが)できているなとは思うんですけど、落としてくれたシュートが多かったり、3ポイントシュートをやられすぎました。守り方だったり油断だったりというのは、もう少し全員で意識してやっていかないといけない」と勝って兜の緒を締めた。一方、敗れたSR渋谷の勝久コーチは「どんな時でもハードにプレーする姿勢があり、あらためて栃木は素晴らしいチームだなと思いました」とコメント。また「昨日と同じが、それ以上と感じました」とディフェンスの強度に言及し、「栃木さんはプレーオフを見据え、1試合目に勝っても、2試合目にそれ以上のことをやらないといけないということを共有している。それが伝わりました」と称賛の言葉が目立った。竹内を休ませたように、栃木はチャンピオンシップを見据え、いつも以上に主力のプレータイムを抑えた。若手選手に成長する機会を与え、なおかつコンディションを調整しながらも勝ち切ることができたことは、栃木の調子の良さを表している。2018/04/29Bリーグ&国内
-
サンロッカーズ渋谷のチャンピオンシップ消滅、指揮官は「私に力が足りなかった」「残念ですが、今まで以上に大事な5試合が待っている」4月22日、サンロッカーズ渋谷はホームの青山学院記念館で千葉ジェッツと対戦した。前日は21点差の大敗を喫した同じ東地区の首位チーム相手に、最後まで食い下がるもあと一歩及ばずに67-71で惜敗。この結果、今シーズン30敗目を喫したSR渋谷は、チャンピオンシップ出場の可能性が消滅してしまった。この試合、SR渋谷は第1クォーターで富樫勇樹にいきなり9得点を許すなど、千葉の得意とするトランジションオフェンスを出させてしまい15-28と2桁のリードを許してしまう。しかし、第2クォーター以降はすべて千葉の得点をクォーター内で15得点以下に抑えたように、ディフェンスの立て直しに成功。22得点を挙げたベンドラメ礼生の奮闘もあって、徐々に追い上げると第4クォーター残り約7分には59-58と逆転に成功する。その後は一進一退の攻防となるが、残り1分44秒、小野龍猛の3ポイントシュートで勝ち越される。さらには残り1分からのディフェンスで、千葉はシュートを2本外すが、ともにオフェンスリバウンドを奪われると、残り35秒にうまくインサイドにボールを通され、ギャビン・エドワーズにフリースローを献上。このフリースローをエドワーズが1本決め、時間を大きく消費されながら1回のオフェンスでは追いつけない4点差とされてしまう。だが、ここからSR渋谷はベンドラメの得点で再び2点差とすると、直後に激しいディフェンスで千葉のミスを誘発して、ジョシュ・ハレルソンが残り約15秒でボールを奪取。しかし、ここで自らドリブルで進もうとしたハレルソンがファンブルしてまさかのアウト・オブ・バウンズ。痛恨のターンオーバーが決め手となり、粘りは届かなかった。「これを40分間できないことが我々の弱さ」SR渋谷のヘッドコーチ、勝久ジェフリーは「選手たちはとてもファイトしました。第1クォーターの悪い出だしからその後は、得点力のあるチームをロースコアに抑えたことは評価できます。しかし、やはりこれを40分間できないことが我々の弱さであって、それができないからチャンピオンシップ進出に値しないチームでした」と、激闘を振り返る。これで昨シーズンに続いてのチャンピオンシップ出場の可能性が潰えたが、ここまでの戦いを振り返ると、前半戦はリーグ全体を沸かせるサプライズを起こす見事な戦いぶりだった。オフに日本代表の帰化選手アイラ・ブラウンの移籍という大きな戦力ダウンがあり、さらに開幕からケガ人が続出。一時は伊藤駿、長谷川智也、広瀬健太といった主力が揃って不在となる危機に直面する。しかし、その中でも残ったメンバーが一致団結して戦うことで勝ち星を積み重ね、特に12月24日のアルバルク東京戦では、リーグ屈指の難敵相手に実質8人で臨んで62-60と大きな勝利。2017年を18勝10敗と白星を大きく先行させて終えた。しかし、2018年に入り、ケガ人も戻ってきて、これからさらなる躍進を、というところでチームは失速。東地区との同地区対決に加え、オーバーカンファレンスもシーホース三河、琉球ゴールデンキングスが相手という過酷な日程が続いたこともあるが、2月16日の琉球戦から3月31日の栃木ブレックス戦までの13試合で1勝しか挙げられず。これで一気に黒星が先行してしまい、4月に入っても上昇気流に乗ることができずチャンピンシップを逃す結果となってしまった。この大失速の原因は、果たしてどこにあったのか。「振り返ってみると一人ひとりが役割を理解し、どうチームに貢献できるのかという点において、メンバーが8人、9人だとファウルしても交代がいない、もしくは1人だけ。やるべきことはシンプルにせざるを得ないですが、全員が互いの強みを理解し、一つになってプレーできていました。しかし、13人、14人となって、共通理解の部分を全員に染み込ますことができなかった。まとめる力が自分に足りなかったと思います」「フルメンバーで戦う機会の不足」が足かせに今シーズンがヘッドコーチ1年目で、数々のアクシデントに見舞われた中でも、勝久はあくまで責任は自身にあると強調し、選手に対する苦言は一切なかった。ただ、8人、9人で作るケミストリーと、12名以上で作るケミストリーは違ったものであり、開幕前からフルメンバーで戦える機会が不足したのは事実。故障者で人数が少ない不利を覆して勝っていたSR渋谷であるが、どちらにせよ8人、9人で長いシーズンを乗り切ることは不可能。フルメンバー、もしくはそれに近い人数でチームを熟成させる時間が圧倒的に少なかったという点でいえば、結果的には故障者の多さが大きなダメージとなったシーズンと言えるのではないだろうか。厳しい結末となったSR渋谷だが、レギュラーシーズンはまだ5試合あり、その内の3試合はホームゲーム。だからこそ、勝久は「チャンピオンシップに出られないのはとても残念ですが、今まで以上に大事な5試合が待っているという気持ちでチーム一丸となって戦いたい」と語る。このコメントにあるのは、これまでずっと声援を送ってくれているファンへの大きな感謝があるから。「最後まで一体感を持って戦う。ここまで一緒に戦ってきてくれたファンの皆さんに、最後まで応援したいと思ってもらえるようなプレーをすることが大事です」と指揮官は締めくくっている。これからの残り5試合、しっかりとプライドを見せて終わることができるのか。それはSR渋谷にとって来シーズンへとつながる大事な機会であり、決して消化試合ではない。2018/04/23Bリーグ&国内
-
攻守ともに精度の高いプレーを見せたアルバルク東京、馬場の復帰戦を勝利で飾る横綱バスケで主導権をキープしたA東京サンロッカーズ渋谷vsアルバルク東京のゲーム1。終盤に猛追されるも、攻守ともに高いレベルでプレーしたA東京が、最大22点差のリードを生かし逃げ切り、74-69で勝利した。第1クォーター序盤、A東京は抜群のパスワークからアレックス・カークがノーマークで2本の3ポイントシュートを沈め先行する。SR渋谷もベンドラメ礼生が内外から7得点を挙げる活躍を見せて互角の展開に持ち込むが、SR渋谷は3点ビハインドの場面で攻撃の要であるベンドラメとロバート・サクレを含む4人を交代すると得点が止まる。A東京は残り1分20秒に馬場雄大を投入。約3カ月ぶりにコートに登場した馬場はパスカットからワンマン速攻を繰り出し、復帰後初得点をダンクで記録。セカンドユニットの差でA東京が流れを呼び込み、22-11で第1クォーターを終えた。劣勢を強いられたSR渋谷だが、ゾーンとマンツーマンを併用するハードなディフェンスで苦しい時間帯を耐え、広瀬健太のブザービーターで9点差まで詰めて前半を終える。そして第3クォーター残り6分にはサクレのシュートで35-41と2ポゼッションまで迫った。だが試合後、勝久ジェフリーヘッドコーチが「第1クォーターも第3クォーターも、結果的に同じことが起きてしまいました」と悔やんだように、追い上げムードを作ったところでサクレとベンドラメをベンチに下げると、再びリードを広げられた。SR渋谷の猛攻を浴びるも『重みがあるゲーム』を制す第4クォーター開始3分、ジャワッド・ウィリアムズのジャンプシュートが決まり、A東京が68-46とこの日最大のリードを奪った。これで勝負は決したかに思われたが、ここからSR渋谷が最後の追い上げを見せる。前線からのプレッシャーでこのクォーターだけで5つのターンオーバーを誘発し、A東京のフリースロー確率の悪さにも助けられ猛追。残り1分12秒、伊藤駿の3ポイントシュートで10点差まで詰めるも逆転には至らず、A東京が5点差で逃げ切った。勝利したA東京のルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチは「全チーム重みがあるラスト11ゲーム、その一つ目の試合を勝ててうれしいです」と素直に勝利を喜んだ。「リードを広げられたのはハードワークのおかげ。どっしりとプレーしたのは良かった」と試合を掌握した第3クォーターまでを振り返ったが、「北海道戦でも24点離したが詰められた。波があるとまでは言わないが、不安定な部分がある」と課題を挙げ、「残りの試合で安定感を突き詰めていきたい」と総括した。ケガから復帰した馬場は「コートに入る時にすごい歓声の下で入れたので、戻ってきたなという感じと、応援されてるなというのは感じました」と試合に出れる喜びを感じた様子。「あのシチュエーションの時に5秒先くらいの流れは分かっていたというか、わざと開けていたところもあって、それがスティールにつながりました」と復帰後初得点となったスティールからダンクに持っていったシーンを振り返った。勝利が遠いSR渋谷「成功体験が足りない」SR渋谷は終始ハードなディフェンスを見せたが、フィフティーフィフティーなボールやコールで不利になった場面で崩れた。勝久コーチも「リバウンドをとって初めてディフェンスの成功。チャージングをとって成功だと思うので、そういう意味ではまだまだです。タフショットを打たせた後にルーズボールを取れなかったのは痛かった」と振り返る。SR渋谷は終盤に猛追するも惜敗する試合が多い。その要因として勝久コーチは成功体験の少なさを挙げた。「2018年に入ってからの成功体験が足りないのだと思います。勝ったという成功体験がない。2017年は勝ちにつながっていたから自信になった。やるしかないです」レギュラーシーズンも残すところあと10試合。ルカコーチが『重みがある』と言ったように、チャンピオンシップ進出を決めているA東京にとってもホームコート開催を勝ち取る上で負けられない戦いが続く。SR渋谷はワイルドカード最後の1枠を勝ち取るためにも、勝ちを積み上げていくしかない。2018/04/08Bリーグ&国内
-
相手の策を逆手に取った長距離砲、栃木が誇る万能ビッグマン、ライアン・ロシターSR渋谷の対策を上回った3ポイントシュート栃木ブレックスは先週末のサンロッカーズ渋谷戦に2連勝した。連敗を喫すれば勝敗で並ばれ、チャンピオンシップ進出を占う上で重要な試合であることは誰しも理解しており、熱戦が繰り広げられた。第2戦の最終スコアは76-64と終盤に差が開いたが、ラスト6分の時点で3点差と、突き放しては追いつかれるシーソーゲームとなった。ゲームハイの19得点を挙げたライアン・ロシターは「得点が止まる時間があったが、パニックにならず落ち着いて戦えたのが良かった」と試合を振り返った。彼が勝因に挙げた『落ち着き』をチームにもたらしたのが、ロシターの3ポイントシュートだった。ロシターは4本放った3ポイントシュートをすべて成功させている。「中に切り込むことはできなかったが、逆にディフェンスと自分との間に距離がある守り方だったので、その状況を見て狙った」とロシターは説明した。SR渋谷の指揮官、勝久ジェフリーも「打たせたわけではないですけど、シュートフェイクに飛ばずに、ドライブを優先的に守るというのはありました」と明かしている。確率論から言えば正しい対応だ。今シーズンのロシターの3ポイントシュートの成功率は30%台前半で、過去2シーズンの数字も30%を下回っている。「4分の4、3ポイントシュートを決める選手だとは思っていない。アシストも多いクリエイターと考えているので、侵入を防ぐという作戦でしたけど、昨日と今日は素晴らしかった」と勝久コーチはロシターを称えた。「スタッツ担当の人と話さないといけないね(笑)」栃木はオフェンスリバウンドを平均12.7本獲得しており、これはリーグ1位の数字だ。栃木のこの武器は、平均3.2オフェンスリバウンドのロシターの貢献が大きいのは明らか。オフェンスリバウンドが0本だったのは、46試合中わずか1試合のみだったが、第2戦では約4カ月ぶりにオフェンスリバウンドが0に終わった。ロシター自身にもこれは意外だったようで、「What?」と首を傾げた。「オフェンスリバウンドを取ったプレーが全部ファウルになってしまって、カウントされなかったんじゃないかな」。確かにリバウンド争いでファウルがコールされる場面は多々あった。それでも栃木はオフェンスリバウンドでSR渋谷を上回った。「僕が取れなくても、チップしたのをチームリバウンドとして取れている。そういう一つひとつのプレーがチームの勝利につながっていると思う。だからリバウンドに絡むことが重要と考えて常にプレーしているよ」数字よりも勝利を優先するロシターだが、オフェンスリバウンドが0本だったことについては「スタッツ担当の人と話さないといけないね(笑)」と冗談交じりに笑顔で話した。唯一の課題はフリースロー「できることをやっていく」圧倒的な存在感を放ち、完全無欠なイメージのロシターだが唯一つ弱点がある。それは年々確率を落としているフリースローだ。今シーズンは43.1%とキャリアワーストの数字となっている。第2戦でもフリースローは8本中3本の成功と、この日も低調だった。この日は前述のとおり、4本すべての3ポイントシュートを沈めていた。そこでフリースローと3ポイントシュートではどちらが得意かを尋ねると、苦笑混じりで「3ポイントシュートのほうが簡単だね」と話す。得点王レースに絡むほど大量得点を挙げるわけではないが、勝負どころでボールを託されれば臆することなくアタックして貴重な得点を挙げる。リバウンドではリーグ屈指、そしてアシストも1試合平均4.7と外国籍選手では最多。オールラウンドな能力を誇るロシターにとって唯一の弱点がフリースローだ。だがロシターは「数を打って練習しているが現状として結果に表れていない。そのことが自分のパフォーマンスに影響しないように、できることをやっていくだけ」と、苦手は苦手と受け入れ、他のプレーに悪影響が及ばないように割り切って練習を重ねている。フリースローは長年の課題であり、どれだけ練習を重ねても成功率が80%になることはないかもしれない。それでも、その課題に対するどこまでも真摯な取り組み方が、ロシターのプレーヤーとしての強さを表している。2018/04/07Bリーグ&国内
-
栃木の粘り腰に屈したサンロッカーズ渋谷、チャンピオンシップに向け痛すぎる連敗出だしにつまずき、2桁のビハインドサンロッカーズ渋谷vs栃木ブレックスのゲーム2。大敗を喫したゲーム1とは異なり、高いエナジーを見せたSR渋谷だったが、栃木を捕まえきれないまま終盤に失速し、64-76で敗れた。SR渋谷は序盤から栃木の激しいプレッシャーディフェンスに苦戦する。なんとかパスをつなぎマークを外してシュートを放つも、そのシュートが決まらない。田臥勇太のスティールからライアン・ロシターの得点につなげられ、遠藤祐亮に3ポイントシュートを許し、開始4分で3-11とビハインドを背負った。タイムアウトを挟みベンドラメ礼生がドライブで得点して立て直しにかかるも、4つのオフェンスリバウンドを奪われ、リバウンド争いでファウルを犯すなど波に乗れない。その後も、オフェンスでズレを作るも栃木の素早いローテーションの前に優位性を生かせず得点が伸び悩む。ディフェンスで何とか踏ん張り、28-38と10点差で前半を折り返した。ボールへの執着心で下回り、栃木を捉えられず後半開始早々、SR渋谷は強度の高いディフェンスから連続ターンオーバーを誘発して追撃開始。残り4分37秒には、長谷川智也の3ポイントシュートが決まり41-46と5点差まで詰め寄った。それでもロシターに3ポイントシュートを許すなど、あと一歩のところで栃木を捕まえられず、再び点差を2桁に戻される。6点差で迎えた最終クォーター残り8分、ここまで攻守にチームを引っ張ってきたロバート・サクレが4ファウルとなりベンチに下がるピンチを迎えるも、代わりに入ったルーベン・ボイキンがピンチを救い、連続で3ポイントシュートを沈めて残り6分13秒で3点差と肉薄した。だが、プレッシャーをかけても栃木は動じることなく、自分たちのバスケを貫いた。セドリック・ボーズマンがリングにアタックしフリースローで優位を保つと、残り2分20秒にはロシターがこの日4本目となる3ポイントシュートを沈めて、62-72と再び点差を2桁に乗せた。終盤に進むにつれ、強度の高いディフェンスからボールをファンブルさせる栃木。ルーズボールに果敢に飛び込み、球際の強さで違いを見せることでポゼッション数を増やした。SR渋谷に3点差と迫られてからの6分間、集中を入れなおした栃木は失点わずか4で乗り切り、76-64で勝利した。「これがウチのチームだと再確認したゲーム」勝利した栃木の安齋竜三ヘッドコーチは「タフなスケジュールの最後のゲームでしたが、選手たちはウチのチームのバスケットスタイルにプライドを持って最後まで戦ってくれた。その結果がこの2連勝になった」と選手を称えた。何度もSR渋谷に迫られた場面については「渋谷さんのエナジーがすごい高かったのが一つあります。メンタル的に引いてしまい、ターンオーバーからトランジションで持っていかれたりした時間帯があった」と反省するも、「ルーズボールに何回も飛び込んでいく姿。自分のチームですけど、そういう選手たちを本当に誇りに思いますし、これがウチのチームだと再確認したゲームになりました」と総括した。一方、敗れたSR渋谷の勝久ジェフリーヘッドコーチは「昨日よりはファイトでき、次につながる戦いはできたと思いますが、大事なところでターンオーバーが多かったり、ルーズボール、リバウンドが栃木さんのほうが上だった」と大事な場面でのパフォーマンスが勝敗を分けたと語る。3点差や5点差など何度も詰め寄る場面があったが、ビハインドを背負ってから一度も追いつくことはできなかった。「こういうゲームを経験することが大事。タフにやり続けないといけない」と勝久コーチは締めた。SR渋谷はホームで痛すぎる連敗。チャンピオンシップ出場ラインにいる栃木とのゲーム差は4に広がった。直接対決を残しているとはいえ、今後もアルバルク東京や千葉ジェッツなど上位チームとの対戦が控えるSR渋谷。ここ12試合で11敗、悪い流れを断ち切るために何らかの手立てが必要なのかもしれない。2018/04/01Bリーグ&国内
-
栃木ブレックス、チャンピオンシップ出場を争うSR渋谷を激しさで圧倒して快勝!田臥の12得点を筆頭に攻守にバランスの取れた栃木3月30日、栃木ブレックスが敵地の墨田区総合体育館でサンロッカーズ渋谷と対戦。持ち前の攻守における激しいプレーで流れを引き寄せると、第2クォーターで一気に突き放し、そのまま87-64と危なげない勝利を収めた。現在、チャンピオンシップ出場枠の最後の切符となるワイルドカード2位の座を争っている両チームだが、この勝利で栃木がSR渋谷とのゲーム差を3に広げている。第1クォーター中盤、栃木は田臥勇太の得点で11-6とリードを奪うが、渋谷は終盤に杉浦佑成、ルーベン・ボイキンの連続3ポイントシュートで反撃。栃木の16-15と互角の展開でこのクォーターを終える。第2クォーター、栃木は20-20から渡邉裕規のシュートなどで連続7得点。これで流れをつかむと、さらに攻守の素早い切り替えからの的確なパス回してSR渋谷のディフェンスを翻弄。このクォーターで8得点を挙げた田臥を筆頭に、チーム全体で計18本中12本成功と高確率でシュートを沈め、45-26と一気に突き放して前半を終えた。第3クォーター、反撃のきっかけを作りたいSR渋谷はロバード・サクレ、満原優樹とゴール下のアタックで得点を挙げる。しかし、栃木も内と外のバランスの取れたオフェンスで応じ、さらにリードを広げることに成功する。最終クォーターは田臥、喜多川修平の先発2人が出場なしとベテランを温存しつつもベンチメンバーが奮闘し、余裕の展開で同地区対決に快勝した。「やってきたことを出せた試合でした」この試合、栃木はチームトップの得点が田臥、ジェフ・ギブスの12得点など計7人が8得点以上をマーク。また、11得点12リバウンドのライアン・ロシターが8アシストと、トリプル・ダブルにあと一歩と迫る活躍を見せた。逆にSR渋谷はサクレが23得点と奮闘するも、他に2桁得点の選手はおらず後が続かなかった。栃木の安齋竜三ヘッドコーチは、「(水曜日に行われた)東京戦では選手がプラン通りにプレーしてくれて、負けはしましたが今日につながるゲームでした。それだけに今日は本当に勝たないといけない中、僕たちがやるべきこと、やってきたことを出せた試合でした」と、28日に行われたA東京戦でつかんだ好感触をうまくつなげることができたと語る。ただ、一方でもっとチーム力を高めることはできると、気を引き締めることの大切さも強調している。「まだまだ、突き詰めないといけないところがあります。ディフェンスでコミュニケーションミスや、ルーズボールに飛び込まなかったことなどありました。100%できることは不可能に近いと思いますが、やろうとしているか、どうかについてはまだまだ足りない。そこはもっとやれます」完敗を喫したSR渋谷「1対1のバトルで負けた印象」厳しい敗戦となったSR渋谷の勝久ジェフリーヘッドコーチは、個々の戦いで後手に回ったことが敗因だったと振り返る。「一つひとつのボールプレッシャー、リバウンドといろいろな部分での1対1のバトルで負けた印象がありました。そこは栃木のファイトを見習わないといけない」そして、「オフェンスがうまくいかないことで相手に走られてしまい、ディフェンスが弱気になっているところが現実としてあります。オフェンスでアタックできないとディフェンスにも響く悪循環になる。そこは1対1の戦いから、もらいたいところでボールをもらう。アタックしたいところでしっかりフィニッシュまでいくところが大事です」と、巻き返しのポイントを挙げる。図らずも安齋ヘッドコーチは、本日の2試合目に向けては「明日は渋谷さんも、もっとアグレッシブに来ると思うので、それに受身にならないで自分たちもさらにアグレッシブに行きたいと思います」と語っていた。両指揮官が言及したように、安定した守備を構築するためにもどちらがより攻撃で積極的にアタックできるかが勝敗を分ける大きな要素となりそうだ。2018/03/31Bリーグ&国内
-
後半に突き放されたサンロッカーズ渋谷、終盤の猛追も一歩届かず三河に敗れ8連敗三河の個人技に苦しみながら耐える展開にサンロッカーズ渋谷vsシーホース三河のゲーム2。後半に突き放されたSR渋谷は終盤に怒涛の追い上げを見せるも、最大18点のビハインドをまくるには至らず、77-81で敗れた。立ち上がりから三河のハーフコートバスケットを止められず先行を許し、ロバート・サクレの奮闘で一度は追い付くも桜木ジェイアールや比江島慎のミスマッチからのポストプレーを止められない。第2クォーターも最初の2分で軽率なターンオーバーから連続失点を喫し、15-27と2桁のビハインドを背負った。ここで取ったタイムアウト直後のオフェンスで伊藤駿との連携からベンドラメ礼生が3点プレーとなるバスケット・カウントで反撃開始。ベンドラメはサイドラインからのスローインをカットし、ワンマン速攻で加点してチームに勢いをもたらした。互いにオン・ザ・コート「2」の時間帯で、SR渋谷が信条とする堅守が徐々に効果を発揮する。桜木や比江島の個人技をすべて止めることはできなくても単発に抑えて耐える。その間に第1クォーターでは5本中0本と不発だった3ポイントシュートを伊藤とジョシュ・ハレルソンが決めて追い上げた。最終盤、1ポゼッション差に迫る反撃も届かず三河の3点リードで迎えた後半、SR渋谷は徹底したシュートチェックやダブルチームで失点を防ぐ。三河も要所を締め得点を与えず、守り合いの展開が続く。それでも残り3分36秒、オフェンスリバウンドを奪われ比江島に3ポイントシュートを許すと集中が切れてしまい、三河のデザインされたオフェンスを止められずに次々と失点を重ねる。52-65で迎えた最終クォーターも流れは変えられず、残り6分34秒に橋本の3ポイントシュートで55-73。試合巧者の三河を前に波乱はないかと思われたが、SR渋谷はここから驚異の粘りを見せる。この試合一番のディフェンスの強度でトラップを仕掛け、ターンオーバーを次々と誘発し得点につなげていく。三河の鈴木貴美一ヘッドコーチが「最後、ギャンブルされてまんまとハマって、ミスからの得点を与えてしまいました」と振り返るこの時間帯、ホームのファンの後押しを受けたSR渋谷は、このクォーターだけで8つのオフェンスリバウンドを奪い、6つのターンオーバーを誘発。そして残り19秒、ハレルソンのミドルシュートが決まり77-80と1ポゼッション差まで猛追した。だが反撃もここまで。ファウルゲームに持ち込むも橋本にフリースローを1本沈められ万事休す。最後は広瀬健太が放った3ポイントシュートが外れ、77-81で敗れた。「最後で全部取り戻そうというのは難しい」勝利した三河の鈴木貴美一は終盤の展開に苦言を呈しつつも「でもゲームはいろんなケースがある中でしっかり最後は勝ち切れるということが大事。良い経験になりました」と総括した。猛反撃を浴びながらも桜木をコートに戻さず、途中加入のコートニー・シムズを使い続けた理由を「こういうクロスゲームも彼に経験させて、慣れてもらわないといけない」と説明した。敗れたSR渋谷の勝久ジェフリーヘッドコーチは、試合をこう振り返る。「小さなミスをすべて減らさないといけない。勝負どころで大事なシュートを決める、この差だと思う。最後に追い上げを見せたのはポジティブなことなんですが、最後で全部取り戻そうというのは難しい」それでも「絶対に間違った方向には行っていないと思うので、引き続きディフェンスを軸にして、ステップアップして連敗脱出して、流れを持っていきたいと思います」と前を向いた。SR渋谷は各地区首位チームや強豪との対戦が続き、今日の敗戦で8連敗。チャンピオンシップ出場へ黄色信号が灯っている。それでもディフェンスマインドを取り戻しつつあり、劣勢を挽回する粘り強さを見せるなど復調の兆しは見えている。一つの勝利でチームが好転する可能性は十分あり、どんな形であれ勝利の2文字が求められる。2018/03/19Bリーグ&国内
-
試合巧者ぶりを発揮したシーホース三河、先行逃げ切りでSR渋谷を撃破し11連勝金丸の得点量産でスタート、終盤は付け入る隙を与えず3月17日、シーホース三河が敵地の青山学院記念館でサンロッカーズ渋谷と対戦。第1クォーターで2桁のリードを奪うと、その後は常に先行する安定の試合運びで渋谷の追撃をかわし74-61で勝利を収めた。これで2月以降は負けなしの三河は連勝を11に伸ばしている。第1クォーター、三河はこのクォーターで13得点とエースの金丸晃輔がいきなりエンジン全開。金丸を軸に得点を重ねると、守ってもSR渋谷のシュートを17本中4本成功のみに抑え、24-11と大量リードを奪う。第2クォーターに入るとホームのSR渋谷が反撃。このクォーターでルーベン・ボイキン、広瀬健太らの奮闘で3ポイントシュート11本中5本成功と、長距離砲が効果的に決まり、残り約5分半には長谷川智也の3ポイントシュートで2点差にまで追い上げる。だが、三河はここから狩俣昌也が3ポイントシュートを入れ返すと、比江島慎もレイアップを沈め36-30で前半を終える。第3クォーター、三河は「軽い腹痛を訴えたので大事を取りました」と鈴木貴美一ヘッドコーチが語るアクシデントから橋本竜馬がベンチスタート(第4クォーター終盤には試合に復帰している)で、前半は出番のなかった松井啓十郎を起用。比江島も温存した。ここで松井が「桜木ジェイアールが起点となるのでそこにしっかりボールを集めながら自分の良さを出せるようにしました。動きながらスクリーンをかけたりしたことでチームの流れが良くなかった」と語るように、桜木を軸として手堅い試合運びで主導権を握り、三河はリードを9点に広げる。第4クォーターに入っても三河のペースは変わらず。松井やコートニー・シムズの得点などでSR渋谷に付け入る隙を与えず、楽々と逃げ切った。松井を起用、プレーオフを見据えたテストも試合後、三河の鈴木貴美一ヘッドコーチは「我々がやるべき個々のディフェンスがしっかりできていたのでそういう意味では安心してゲームを見ていられました」と総括。また、第3クォーターからの出場でありながら19分19秒の出場と、後半はほぼ出ずっぱりで10得点をマークした松井についてはこう語っている。「前半はディフェンス重視の方針で使わないところがありました。後半、途中から使っても調子が出てこないと思うので最初から使いました。これまで何回か、第3クォーターでスタートから使った時は中々、調子が出なかったですが、今日は彼らしい動きが見られて良かったです」そして第4クォーターで行った比江島を1番、松井を2番、金丸を3番とする破壊力抜群のバックコートについては、チャンピオンシップを見据えての作戦の一つと語る。「前半戦は結構やっていました。今日はKJ君(松井)が良い動きをしていたので、またとないチャンスでした。この3人はどこからでも点が取れます。そこでインサイドに合わせていければプラスαとなる。もちろん勝負にこだわりながら、プレーオフに向けていろいろなことを試しています」「一つのプレーで解決しようとしてはいけない」一方、7連敗となってしまったSR渋谷のヘッドコーチ、勝久ジェフリーは「後半のリバウンドが取れなかったところが特にダメージが大きかった。三河のようにリーグで1番のオフェンス力のチームのシュート成功率を39%に抑えており、それ以上に抑えるのは難しいと思います。タフショットを打たせた後、リバウンドをしっかりとらないといけない」とコメント。17本のオフェンスリバウンドを献上するなど、リバウンド争いで劣勢となったことを敗因に挙げている。上位チームとの対戦が続いている中とはいえ、連敗をなんとか食い止めたいSR渋谷。そのために指揮官は、まずは我慢強く戦うことが重要と強調する。「一つのプレーで解決しようとしてはいけない。オフェンス、ディフェンスともチームとして、やるべきことを粘って続けることで効果が出てきます」本日の試合、渋谷が連敗と止めるためには、シーズン前半の好調を支えた泥臭いハードワークとハッスルプレーをいかに40分間続けることができるのか。そこが明暗を分けるポイントとなってくるはずだ。2018/03/18Bリーグ&国内
-
SR渋谷の猛追をかわすアルバルク東京、ケガ人続出ながら連勝で東地区首位を堅持前半だけで全員得点、バランスの良さが光るA東京アルバルク東京とサンロッカーズ渋谷の第2戦。前日に続きA東京が好スタートでリードを奪い、優位を保って勝ち切った。5連敗中のSR渋谷は前日に続きソフトに試合に入ってしまい、A東京に圧倒される。田中大貴からアレックス・カークのアリウープがオープニングショットとなり、竹内譲次の3ポイントシュート、安藤誓哉の速攻と開始2分で連続7失点。早々にタイムアウトを取り、ディフェンスは立て直したものの、オフェンスに流れが生まれない。ロバート・サクレにボールを預けた後は任せっぱなしになってしまい、足が動かない。サクレはアレックス・カークとの1on1に勝ち8得点を挙げるも、サクレが下がった後は得点が止まってしまい、杉浦佑成のフリースロー1本のみ。第1クォーターで9-16とビハインドを背負い、第2クォーターも流れを変えられず28-38と10点差で前半を終える。ちなみにA東京は前半終了時点で、この日に出場できる9選手が全員得点。外国籍選手に依存することなくチームで攻め、SR渋谷がディフェンスを立て直して得点ペースこそ落ちたものの、リードを保ち続けた。SR渋谷の歯車が噛み合ったのは第3クォーター半ば。インサイドにボールを入れさせないディフェンスが機能してA東京の攻撃を封じると、サクレのバスケット・カウント、広瀬健太のファストブレイク、さらには果敢にアタックするベンドラメ礼生の連続得点で11-0のラン。これで2点差まで迫ったものの、ここからA東京が逆襲。ベンドラメとマッチアップする正中岳城が借りを返すと言わんばかりに鋭いドライブでSR渋谷のディフェンスをこじ開けて流れを呼び戻した。猛追されても動揺せず、常にリードを保つ完勝44-52で迎えた最終クォーター、SR渋谷はもう一伸びして差を詰める。伊藤駿がボールへの執着心を出してチームに火をつけ、相変わらず高確率でインサイドの得点を重ねるサクレがインパクトを出しながらも、他の選手も積極的にアタック。サクレと伊藤の連続バスケット・カウントにより残り4分半で57-59と1ポゼッション差に迫る。しかもこの間、カークのスティールからワンマン速攻に走った田中大貴が滑って転倒。SR渋谷のランを断ち切るチャンスを逃すだけでなく、田中はそのままプレー続行不能となってしまった。A東京は馬場雄大とザック・バランスキーを欠いて選手のローテーションが苦しく、心身いずれかのスタミナが切れてもおかしくないところだったが、逆にここで勝負強さを発揮する。正中が思い切って放った3ポイントシュートを沈め、この試合シュートタッチのあまり良くなかったジャワッド・ウィリアムズも3ポイントシュートをねじ込んで67-57と再び突き放す。こうして最終盤を余裕を持って乗り切り、最終スコア75-67で勝利した。サクレ「自分たちの戦いを続けていくことが大事」これでSR渋谷は栃木ブレックスにかわされ東地区5位に転落。厳しい6連敗となった。ただ、だからこそ指揮官の勝久ジェフリーはプラスの面を強調する。「昨日と同じで、出だしがとにかく良くなかった。その後はオン1の時間帯に頑張って、第3クォーターで勝てたことはプラス。出だしを除けばハードに戦って、自分たちのスタイルを取り戻しつつある感触はある。正しいことをやっていると信じて、流れが来るという確信と勇気を持って戦っていきたい」順位を落としたことに関しても意に介していない。「東地区の順位争いは何が起こるか分からないが、自分たちでコントロールできない部分を気にしても仕方ない。自分たちのやるべきことをやるだけ」と、残り試合をどう戦うかにフォーカスすると語った。30得点を挙げたサクレにしても、それは同じ。「第1クォーターを終えてチームが得点できていなかったので、自分で行かなければいけないと思った」とシーズンハイの30得点を挙げた理由を語るが、チームがピンチの今、それを誇る気はない。指揮官と同様「自分たちのスタイルは間違っていない」と強調する。「それを理解していれば落ち込む必要はない。これまでも結果が出ない時期はあったが、みんな気持ちを落とすことはなかった。まだシーズンは長いし、自分たちの戦いを続けていくことが大事」と語った。一方、ケガ人続出のA東京にとっては価値のある連勝。指揮官のルカ・パヴィチェヴィッチは「メンタル的、フィジカル的にも良い準備ができた。パーフェクトではないにせよ、40分間ハードに戦った結果」と勝利を誇った。「このリーグのバック・トゥ・バック(2連戦)のシステムには私自身もまだ慣れていないが、2試合を戦うための良い準備ができている。選手の負担は大きいが、フィジカルでもメンタルでも、ルーティーンとして最善の準備をしている」と、スタッフを含めたチーム一丸の体制が好成績を生んでいると説明した。代表スケジュールはなくなったものの、特に東地区のチームは今後も厳しい日程が続く。A東京は千葉ジェッツと勝率で並び、加熱する地区首位争いの中にいる。安藤誓哉はこの状況について「プレッシャーはありませんが、使命感はあります」と語った。この気持ちの強さが、決して簡単ではない状況での連勝を可能にした要因かもしれない。2018/03/11Bリーグ&国内
-
勝ちたい気持ちが空回りして連敗を喫したサンロッカーズ渋谷、長谷川智也の葛藤勝ちたい気持ちが先走り、チームルールを徹底できずサンロッカーズ渋谷は先週末、千葉ジェッツとの同地区対決で2連敗を喫した。第2戦では惨敗した第1戦とは異なる姿を見せ、最後まで戦う姿勢を貫くも及ばず、85-93で敗れた。SR渋谷の勝久ジェフリーヘッドコーチは初戦を落とした後に「今後のチャンピオンシップの可能性を考えた場合、どうやってカムバックするかがすごく大事」と第2戦ですぐにやり返す意欲を見せたが、結果は連敗。指揮官が「試合の出だしがすべてでした」と語ったように、序盤で背負った2桁のビハインドが足かせとなった。オフェンスの中核を担う長谷川智也は「昨日と同じような展開になってしまったというのは正直ありました。千葉さんの走るバスケになかなか対応できず、その序盤の10点が最終的な差だった」と同様の見解を示した。また指揮官はチームルールを守れなかったことも敗因の一つに挙げていた。例えばガードはオフェンスリバウンドを参加しない指示だったが、流れの中で取りに行ってしまい、結果としてディフェンスの戻りが遅れてアウトナンバーとなる状況が多々あった。そこで走られたことで千葉にとって理想的な展開となってしまった。「徹底することができず、飛び込んでしまう場面があってそこは反省があります」と当事者の長谷川は責任を受け止めた。「癖もありますし、負けている時間帯にセカンドチャンスを取りに行きたい気持ちも強かったです。それが1点や2点の差なら戻ればいいという気持ちになりますけど、10点開くとこぼれ球を取りに行かないとと思ってしまいました」「自分を犠牲にする仕事も担わないといけない」SR渋谷はディフェンスを売りにしているが、裏を返せば得点力不足をディフェンスでカバーするチームだ。現在1試合平均71.8失点はリーグ3位だが、平均71.2得点はワースト3位であり、長所と短所が同居している。長谷川はオフェンスでのオフ・ザ・ボールの場面でチームの誰よりも運動量が多い。自分のシュートチャンスを作るだけでなく、ディフェンスを引っ掻き回す役割を担っている。そこからのズレがディフェンス攻略の起点となる。「シュートを決めることが一番ですけど」と長谷川は前置きし、「自分が動いた中で、僕が引きつけて誰かが空くっていうのは必ず出ますし、だからアシストも徐々に増えてると思います。自分を犠牲にする仕事も担わないといけないですし、かと言ってパスばかり狙っていたらそれもダメ」と自身の仕事を説明する。意欲的に働いてはいるが、彼自身の中ではまだまだ個のレベルアップの必要性を感じている。「折茂(武彦)さんとかはファウルのもらい方がうまいですし、少しのズレでシュートも打てるしファウルももらえるので、そこの感覚ですよね。『今ディフェンスがいるけど、打ったらファウルもらえるな』とか、『シュートフェイクで飛ばせるな』とか、そういうことを僕がもう少しできれば、メンバーも自分ももっと楽になると思います」現状を打開するためのカギを、彼は他に求めない。「チームでやらないといけないですが、個を高めないといけないです」と言い切った。再び求められるチームの『一体感』前半戦のSR渋谷はケガ人を多数抱える中、チームディフェンスでその危機を乗り切った。むしろ人数の少なさが考え方をシンプルにし、選手の自主性が引き出されたことで好成績を残した。だがケガ人が復帰し、後半戦に弾みをつけるべき直近の10試合で3勝7敗と失速した。勝久コーチは後半戦を迎える以前このような話をしていた。「逆に人数がいることで、今度はもう一回選手たちが自分たちの役割を理解したり、強みを探さないといけません。今は人数がいるので、選手は限られた時間の中で結果を出さないといけない状況になり、考え方によっては今までよりももっと難しい」。まさに今チームは、勝久コーチが危惧していた状況に面している。長谷川は言う。「僕らが勝ってた時はみんなが30分前後出てました。みんなでやるというのは良いと思いますが、中心メンバーが頑張らなきゃいけないシーンもあると思います。プロである以上、誰かにプレータイムが偏ることも当たり前だし、勝つためにはそういう犠牲も払わないといけない。タイムシェアで自分の力が出せない人もいる」えてしてチームがうまくいっていない時に不満が出てくるもの。『一体感』をスローガンに掲げるチームにとって、コーチと選手のディスコミュニケーションは避けたいところだ。SR渋谷は現在22勝18敗。他地区であれば2位を争う成績だが、激戦の東地区では苦しい状況にある。後ろに迫る栃木ブレックスとはわずか1ゲーム差。ラスト20試合、前年王者栃木の猛追をかわしてチャンピオンシップに出場するには、『一体感』を取り戻すことが絶対条件だ。2018/03/06Bリーグ&国内
-
強度の高いディフェンスとトランジションオフェンスが炸裂、千葉ジェッツが連勝堅守速攻のバスケを実践しSR渋谷に連日の勝利千葉ジェッツvsサンロッカーズ渋谷のゲーム2。ホームの千葉が得意のトランジションオフェンスでスタートダッシュを決め、そのまま2桁前後のリードを保ち93-85で勝利した。SR渋谷の勝久ジェフリーヘッドコーチが「試合の出だしがすべて」と語ったように、序盤からホームの千葉がペースを握った。小野龍猛が積極的に放つ3ポイントシュートを2本連続で沈め、合わせのチームプレーも光り得点を重ねる。守備でも1対1で守り切り、逆サイドからのヘルプの意識も高くイージーシュートの機会を与えない。アキ・チェンバースのパスカットから西村文男の速攻につないで12-4。SR渋谷が開始3分でタイムアウトを要求した。打開策を見いだしたいSR渋谷だったが、タイムアウト明けのオフェンスでも千葉ディフェンスを崩すことができず、24秒でシュートが打てない。5本のオフェンスリバウンドでどうにか食らいつくも16-26といきなり2桁のビハインドを背負った。第2クォーターに入ると、10点前後の点差で推移する。千葉は12本のフリースローを獲得するも成功6本に留まり突き放すチャンスを逸するが、それでも最後は富樫勇樹のブザービーターで締めて、50-37と点差を広げた。堅守速攻のマインドを体現したアキ・チェンバース後半の出だし、先発メンバーに戻した千葉は、後半最初のディフェンスで24秒バイオレーションを誘発した。直後のオフェンスではマイケル・パーカーが3ポイントシュートを沈め、最高のスタートを切った。千葉の大野篤史ヘッドコーチはここ3試合連続で先発起用しているアキについて「ハードにディフェンスしてトランジションバスケットに持っていきたい、そういうところをマインドセットできる。チームに勢いを与えてくれるプレーヤー」と評価した。土曜のゲーム1からアキがコートにいる時のディフェンスの安定感は抜群で、そのプレーがトランジションバスケットのスイッチとなっていた。そのアキがパーカーからのタッチダウンパスを受け3点プレーとなるバスケット・カウントを決めてチームをさらに勢いに乗せる。後半開始から2分半で60-39、点差を20に乗せた。ここで崩れてもおかしくない場面だったが、SR渋谷は本来の堅守を取り戻し、ジョシュ・ハレルソンやベンドラメ礼生が3ポイントシュートを沈め粘りを見せる。しかし、グッドディフェンスの後に簡単なターンオーバーを犯し、逆速攻を喰らうなど、チグハグした展開が続き点差は縮まらなかった。千葉が16点をリードして迎えた最終クォーター、ロバート・サクレにオフェンスリバウンドを奪われ、連続でバスケットカウントを許すなどインサイドで失点。オフィシャルタイムアウトを迎えた時点で81-71と迫られた。それでも富樫のミドルシュートやパーカーのインサイドプレーで加点し、千葉は大規模なランを許さない。残り2分19秒、小野が3ポイントシュートを沈め再び点差を2桁に乗せ、その小野が広瀬の速攻をブロックしたところで勝負アリ。ファウルゲームで点差は詰められるも、終始10点前後の点差を保った千葉が勝利を収めた。「正しいことをやらなければ流れは絶対来ない」千葉の大野篤史ヘッドコーチは「前半の貯金があったから勝ち切れた」と終盤の展開を課題に挙げながらも「2試合通じてエナジーはあったと思いますし、自分たちがやりたいことが見えた」と今節の戦いを総括した。前日の第1戦ではSR渋谷を今シーズン最少の48失点に封じた。「ディフェンスのインテンシティとかコミュニケーション能力が上がってきている。良い習慣ができてきているという実感がある」と手応えをつかんだという。それでも「まだ仮免みたいなものです(笑)」と続け、「これを継続させられるように、この2試合で終わらせないようにやっていきたい」と語った。一方、敗れたSR渋谷の勝久コーチは「オフェンスリバウンドの参加のルールだったり、ディフェンスのルールを守れず、最初から昨日と同じパターンでした。後半はよくファイトして続けたと思いますけど、出だしの悪さが最後まで響きました」と表情は固い。良いプレーは随所に見られたが、簡単なターンオーバーで流れを潰してしまった。ターンオーバーからの得点でちょうど10点の開きがあり、たらればではあるがこの差が勝敗を分けた。「オフェンスにしてもディフェンスにしても一気に差を詰めようとしすぎるのだと思います。今のタイミングでパスが入ればオープンだっていう我慢しきれないパス。ホームランはいらないので、バントやシングルでいいので、正しいことをやらなければ流れは絶対来ないです」アルバルク東京が連敗したことにより、千葉は2ゲーム差を一気に縮めて29勝11敗と東地区の同率首位に並んだ。対戦成績で負け越しているため2位に甘んじている。レギュラーシーズンは3分の2を消化して残り20試合。チャンピオンシップを賭けた戦いはさらに熱気を帯びていく。2018/03/05Bリーグ&国内
-
休養十分でエナジー全開の千葉ジェッツ、理想のバスケットを展開しSR渋谷を圧倒あらゆる面でSR渋谷を凌駕した『完全勝利』昨日、船橋アリーナで行われた千葉ジェッツとサンロッカーズ渋谷の第1戦。千葉のキャプテン、小野龍猛が「今日の課題は何もないです。速攻が出せて、インサイドアウトも流れの中でうまくやれた」と試合後に語ったように、千葉が終始優勢なまま89-48で圧勝した。立ち上がりは両チームの集中した堅守が目立つ展開となったが、ディフェンスリバウンドを取ってからの千葉のトランジションには恐るべきキレがあった。開始4分、リバウンドを拾ったギャビン・エドワーズからアキ・チェンバースへつなぐファストブレイクが決まり6-2としたところでSR渋谷が最初のタイムアウト。長谷川智也の3ポイントシュート、ロバート・サクレがうまくペリメーターに逃げてマークを外してのジャンプシュートを決めて食い付こうとするが、それ以上のペースで千葉が得点を重ねていく。第1クォーター残り2分半、16-9とリードした千葉は西村文男に代えて富樫勇樹を投入。元旦のアルバルク東京戦以来の復帰となった富樫が入ってトランジションオフェンスのキレがさらに増し、第1クォーターを終えて25-11と突き放した。ただ、攻勢の主役はアキとマイケル・パーカーだった。アキがエナジー全開のプレーでディフェンスを支え、パーカーは抜群のタイミングでのダイブで合わせのパスを呼び込み、ゴール下での多彩なフィニッシュで得点を量産した。第2クォーター、SR渋谷は劣勢を覆すべくベンドラメ礼生が果敢に攻めるがチャンスを決めきれない。残り3分半、オフェンスリバウンドを2回拾って放った3度のシュートはすべてリングに嫌われ、3度目のシュートのリバウンドを拾われ逆襲を浴び、エドワーズにバスケット・カウントの3点プレーを決められ18-39と差を広げられる。チーム一丸、ディフェンスから速攻につなぐ展開に44-26と千葉の大量リードで始まった後半、菊池真人と山内盛久の3ポイントシュートが決まりSR渋谷にようやくエンジンが掛かったかに思われたが、良い時間帯は短かかった。小野が身体をぶつける嫌らしいディフェンスでSR渋谷のセットオフェンスを遂行させず、アキは飛び込みリバウンドを拾っては速攻を繰り出す。インサイドの攻防でも、エドワーズはペイント内で立ち止まっての押し合いになればサクレやジョシュ・ハレルソンに苦労するが、走る展開になればスピードで圧倒した。試合を通じてペイントエリア内の得点では52-12と千葉が圧倒。速攻からのレイアップだけでなく、ゴール下での合わせもよく決まった。SR渋谷は何とか流れを変えようと奮闘するが、慌てれば慌てるほどにリバウンドから走る千葉のバスケットの餌食になった。残り3分48秒、レオ・ライオンズのスティールからの速攻でパーカーのダンクが決まり、60-35と25点差に。そして残り3分、アキがラインを割ろうとするボールにダイブしてつなぐと、そこから反撃に転じたアキが3ポイントシュートを沈めて65-35と30点差に。最終クォーターを待たずして勝敗は決してしまった。第4クォーター、もはや戦う力をなくしたSR渋谷は9得点しか奪えない。最終スコア89-48、ケガ人が復帰して久々にメンバー全員が揃った千葉が、全員出場で勝利に花を添えた。復帰戦の富樫「後半はちょっと足が重くなった」SR渋谷にとって48得点はシーズン最少得点。また堅守自慢のチームにとって89もの失点を喫したのもショックが大きい。「千葉のバスケを40分間やらせてしまった。コーチとして責任を感じています」と勝久ジェフリーヘッドコーチは語る。「ただ、今後のチャンピオンシップの可能性を考えた場合、どうやってカムバックすることがすごく大事」と今日の第2戦を見据える。一方、快勝した千葉の大野篤史ヘッドコーチは「ディフェンスからボールをプッシュしてトランジションにつなげる、自分たちのやりたいバスケットができました」と、冒頭で紹介した小野のコメントと同じくチームの出来を称賛。日本代表のワールドカップ予選で1週空いたが、そこは休養にあてたという。試合には出ていてもケガを抱えている選手は多かった。彼らを休ませ、精神面でもリフレッシュさせたことが、このパフォーマンスにつながった。ようやく戦線復帰を果たした富樫勇樹は20分の出場、7得点4アシストという数字。「スピードを武器にしてやっているので、後半はちょっと足が重くなったかな。走る練習はやっていたんですけど、ディフェンスは対人じゃないとできないので、そこで体力を使ってしまいオフェンスに影響したと思います。その部分が戻ってくれば、もっと自分らしいプレーができると思います」と語る。東地区首位のアルバルク東京が敗れたため、2位千葉とのゲーム差は1に。しかし、大勝した翌日に嘘のように負けることはしばしば起きる。SR渋谷も2試合続けて不甲斐ないプレーは見せられない。千葉が、SR渋谷が2試合目をどんなアプローチで戦うのかに注目だ。2018/03/04Bリーグ&国内
-
自慢の速さと運動量で渋谷を圧倒、琉球ゴールデンキングスが上位対決の初戦を制す一度もビハインドを背負わなかった琉球の完勝2月16日、琉球ゴールデンキングスが敵地の青山学院記念館に乗り込みサンロッカーズ渋谷と対戦した。第1クォーターで先行すると、そのままリードをキープする盤石の試合運びによって70-57と快勝している。第1クォーター、ともに外国籍オン・ザ・コート「1」の場合、日本代表のアイラ・ブラウンの存在を生かし主導権を握ることが多い琉球は、本日もブラウンがこのクォーターで7得点をマーク。同じくハッサン・マーティンも7得点を挙げると、21-14とリードを奪う。そして、第2クォーターは五分五分の展開で推移し、前半は琉球の6点リードで終える。第3クォーター、前半に続き先手を取ったのは琉球だった。田代直希、石崎巧の連続3ポイントと持ち味の長距離砲により、開始約30秒でリードを2桁に広げると、そのまま11点リードで第4クォーターに突入。最終クォーター、渋谷は開始から連続得点でビハインドを7点に縮めて流れを引き寄せにかかるが、琉球はここで須田侑太郎、ハッサン・マーティンの得点とすぐにやり返し、主導権を渡さない。あとは大半の時間で2桁リードをキープして勝ち切った。相手を波に乗らせないディフェンスが機能琉球の佐々宜央ヘッドコーチは、57失点とロースコアに抑えた守備について「渋谷さんにやらせたくないところは、チーム的にもあります。そしてサクレ、ハレルソン、満原、長谷川には前半で9点取られたのは痛かったですが、ベンドラメを抑えるなど、チームディフェンスではありつつ、個人を潰していったのが大きかったです」とコメント。渋谷の個人スタッツを見ると、ゲームハイの得点がロバート・サクレ、広瀬健太、長谷川智也の11得点と、どの選手も波に乗せなかったのが大きかったと振り返る。また、オフェンス面では渋谷の勝久ジェフリーヘッドコーチが「チーム全体のフィールドゴールを39%に抑えながら70失点は多かったです。これは3ポイントを22本中9本成功も決められたのが痛かったです」と語ったように、長距離砲を効率良く沈めたのが光った。この点について、佐々ヘッドコーチは「渋谷さんは、ゴール下のシュート確率を下げさせるディフェンスです。その中でインサイドを経由しながらアウトサイドを打ちきることが大切で、相手の守備を縮めさせてから打つパターンはできました」と振り返る。一方、勝久ヘッドコーチは、「自分たちがヘルプに行くのを逆手にとられてしまい、ヘルプにいった選手にスクリーンをかけられて外が空いたシーンが多かったです。オープンで打たれていました」と見ている。この両指揮官の言葉が示すように、まずはゴール下の失点を確実に抑えることを重視する渋谷の守備スタイルの隙を琉球が的確に突いたことが、高確率の3ポイントシュート成功を呼んだ。常勝チームが備えるべき「2試合目の価値」快心の勝利で初戦を制した琉球ではあるが、今チームがさらなるステップアップに向け、重視しているのはプレーオフでの対戦があり得る勝率5割以上のチーム相手にできていない2連勝をすること。「まず、ウチらが課題に挙げるのはこのチームに2勝すること。プレーオフを考えると、最悪の5分延長は本当にやりたくないです。ただ、今日勝たないとその課題に取り組めない。今、半分を乗り越えたところです。明日はより体力的に厳しくなる中で戦いきれるのか。そういう点を含めて、どう戦っていけるのか。明日が勝負。2試合目の価値を選手に理解させていきたい」このように佐々ヘッドコーチは語り、プレーオフで勝ち上がる力をつけるためにも、ここで上位チームの渋谷相手に連勝できるかが大きな意味を持っていると強調する。一方、3000人を超える観客が集まるなど盛り上がりを見せるホームでの連敗を何としても避けたい渋谷の勝久ヘッドコーチは、次のように課題を挙げて逆襲を誓う。「激しさという面ではある程度はやりたいことはできましたが、リバウンド、ルーズボールへの執着心で相手の方が上回った。相手のプレッシャーに対してアタックすることをもう一度、確認していきたい」琉球が強豪相手の同一カード連勝という課題をクリアするのか。渋谷がホームの意地を見せるのか、ともに今日は正念場となる2試合と言えるだろう。2018/02/17Bリーグ&国内
-
好調なSR渋谷を率いる勝久ジェフリー、後半戦は「限られた時間で結果を出す」ケガ人が続出しフルメンバーが揃わない中、10連勝を記録するなど、昨シーズンを上回るペースで勝ち星を積み上げているサンロッカーズ渋谷。今シーズンから指揮を執る勝久ジェフリーに話を聞いた。前編では勝久コーチのパーソナリティに焦点を当てたが、後編では今シーズンのチーム作りについて語ってもらった。「リーグNo.1のディフェンスのチームになろう」──SR渋谷は川崎ブレイブサンダースとともに東地区へと地区割が変更になりました。昨シーズン以上に激戦区となりましたが、チームとしてメンタルの準備が大変だったのでは?「東地区が厳しい」というシーズン前の周囲からの予想がある中で、僕を含めて全員が絶対にやってやるという気持ちがまずありました。昨シーズンにチャンピオンシップに出た8チーム中5チームがいるので、厳しい戦いが絶対に続くことは分かっていましたし、SR渋谷が東地区に移った時点からチャレンジだという気持ちを全員が持っていました。──開幕直前にブランデン・ドーソン選手がケガをして、その後もシーズンが進むにつれ故障者が続出しました。その中でこの好成績を残せているのは一番の要因は何でしょうか?まずはディフェンスが軸だということです。自分たちはディフェンスは絶対に崩れてはいけない。リーグNo.1のディフェンスのチームになろうと最初から言ってきました。シュートはもちろん外れる時もある。でもそれがディフェンスに影響することがあっては絶対にいけない。軸がディフェンスだということがまず一番違うところです。あとは一体感を持って一緒に戦うということです。チームスタッフ全員が共通理解を持って、一体感があるチームにしようと取り組んでいます。ケガ人がいて前半戦の成績は私自身も良かったと思います、本当にみんなが頑張ってくれました。アシスタントコーチが参加せざるを得ない練習環境──アシスタントコーチが3人もいて、スキルディベロプメントコーチもいます。『一体感』を強調しますが、それぞれの主張がずれたりすることはないのですか?どうやるのかはスタッフで話し合っています。どのスタッフに聞いても返ってくる答えがなるべく同じであることはすごく重要なことで、言うことがバラバラにならないように、コーチ陣もコミュニケーションを取って、誰に聞いても「こうだよ」と言えるような環境には引き続きしていきたいです。例えば誰かがケガをしたのでリハビリをどうするのかとか、練習ではここを見ようとか。コート上のプレーに直接関係ないことでもいろいろ決めています。その方針をみんながサポートしてくれています。──選手に好調の要因を聞くと『一体感』と口を揃えることからも、スローガンが浸透しているのを感じます。ただ、ケガ人を多く抱えたことで日頃の練習にも支障があったのでは?特に昨年11月後半や12月は5対5もできない、週によっては4対4もできないという状況でした。アシスタントコーチにプレーに入ってもらったり。一番最近まで現役だったアシスタントコーチのカイル(ベイリー)に痛み止めを飲んでプレーしてもらって、次の日に腰が痛いと言っていたほどです。やるしかないという状況だったので、そういうことをさせてまで本当に団結してやったのがこの結果です。ケガ人が戻って「今までよりもっと難しい」──このタイミングでケガ人が復帰し始めたことは大きなプラス材料です。後半戦を戦う上で課題はありますか?逆に人数がいることで、今度はもう一回選手たちが自分たちの役割を理解したり、強みを探さないといけません。今までは人数が少なかったので、ファウルの数やプレーの調子で判断するだけで、僕の決断はすごくシンプルでしたが、今は人数がいるので、選手は限られた時間の中で結果を出さないといけない状況になっています。考え方によっては今までよりももっと難しい。そういう状況の中でまた自分たちを見つけないといけない。それが後半戦の戦いだと思います。──ちなみにSR渋谷はタイムアウト明けのシーンでのプレーの遂行度が高かったり、タイムアウトを機に立て直す力が高い印象を受けますが、どういったことを意識してますか?まずだいたい話すのは、40分間何をやり続けるべきなのかということです。例えば「ボールプレッシャーがないじゃん」、「フルコートでピックアップしてないじゃん」とか。その確認が良いように作用してるのかもしれませんね。──ケガ人がいる間は決断がシンプルだったという話でしたが、やはり選手全員を使えるほうが戦術の幅も広がりますしプラスですよね。ここから先は勝久コーチの采配が今まで以上に重要になってくるのではないでしょうか。そこは自分としてもチャレンジです。東地区の中でスターティングラインアップが一番変わっているのがウチだったと思います。選手たちが力を発揮できるように、どういう持っていき方をすればいいのか、選手の組み合わせや役割をはっきりさせることなど、それは自分にとって大きなチャレンジです。2018/02/16Bリーグ&国内
-
健闘が目立つSR渋谷の指揮官、勝久ジェフリー「バスケが世界で一番素晴らしいスポーツ」サンロッカーズ渋谷はシーズン開幕時点で新外国籍選手のブランデン・ドーソンがケガで離脱。その後も追い打ちをかけるように主力選手が次々と負傷していった。そんな状況でも1試合平均失点70.4とリーグ3位の堅守を軸に勝ち星を積み上げ、22勝14敗と堂々の成績を残している。今シーズンから指揮を執る勝久ジェフリーヘッドコーチに、そんなチームをどのようにして作り上げたか話を聞いた。インタビューの前編では、勝久コーチのルーツに迫る。「『バスケが大好き』ということは確かだった」──まずはコーチを志すようになるまでの経緯を教えてください。中学まで日本で過ごし、高校、大学はアメリカでした。大学4年生の時に、自分は何がしたいんだろうと考えました。僕が通った学校は社会に貢献するという意識付けが強く、卒業したら人のために何ができるかを考えていました。その中で『バスケが大好き』ということは確かだったんです。それで大学卒業後はコーチをやりたいと決めて、就職して仕事をしながら、最初はボランティアベースで母校の高校の育成システムのコーチを始めました。僕はバスケが世界で一番素晴らしいスポーツだと思っているし、その魅力を他の人にも感じてもらいたかった。僕はバスケを通じてバスケットの技術だけじゃなく、人としていろいろ学びました。他の人にも同じ経験をしてもらいたかった。世の中への還元とバスケをつなげたら良いと思い、まずは仕事をしながらボランティアでやってみようとしたんです。それがコーチになったきっかけです。──バスケに携わるという意味では、コーチ以外の方法もあります。その中でコーチを選んだ特別な理由はありますか?大学4年の時に合唱団に入ったんです。親友と夏の西海岸をドライブしながら車の中で歌っていて「合唱団に入ろうか」というノリで(笑)。そうしたら2人ともすごくハマってしまって、その理由を考えたら指導者が素晴らしかったからなんですね。高校の時もクロスカントリーのコーチに影響を受けたことがあって、良い影響を与える指導者になりたいと思いました。「一体感を持ってやることを重視」──今シーズンのスローガンは『Together』(一体感)です。キャプテンの伊藤選手もその一体感を感じるという話をしていました。どのようにして意識付けをしてきましたか?僕はヘッドコーチとしていろいろな決断をしないといけません。一つひとつの決断をしていく時に、一体感を持ってやることを軸として重視しています。AとBの選択肢があった場合、Aのほうが一体感が出るのであればそちらを優先します。あとはスケジュールや規律のことで言えば、時間を守ったり、誰かが話している時にちゃんと聞くとかそういうところですね。お互いをリスペクトしてやることが僕にとっては大事です。──勝久コーチが大事にしている『一体感』はチームに浸透していると感じますか?まだまだ脆いと思っています。負けが込んだり、プレーが練習でうまくいかなかったりしたら、下を向くことがあるので。そこでもっとお互い話し合おうとか、下を向かずにポジティブにやろうとか、そういうところはまだまだこれからです。「余裕がないから僕は真面目でいるしかない」──試合中の勝久コーチを見ていると、勝っても表情を崩さず、常に冷静なイメージです。感情をあまり表に出さずに、選手たちに思いが浸透している要因はどんなところにありますか?「真面目だから」、「こういう人だから」と思われてるからじゃないですか? 僕の態度がいろいろ変わっていれば「あの時はこうだったのに、こういう時にはこうするのか」みたいな感じになると思います。でもコンスタントに真面目なので。「なんだよ、真面目だな」って言ってくれればそれでいいかなと思います(笑)。──選手と接する際、時には違うキャラクターを演じることで選手と打ち解けたりすることがあると思います。その真面目な姿というのは、『素』の姿ですか?まだコーチとして余裕がないから、僕は真面目でいるしかないんだと思います。僕がもっと余裕のあるコーチだったら、真面目プラス冗談ももっと言えるかもしれません。別にこういう状況じゃなかったらもっと冗談とか言ってもいいのになって自分で思うこともあるんですけど、余裕がないから冗談を言えないんですよ。ムーさん(伊佐勉アシスタントコーチ)は本当にうまいんですよ。厳しいことを言うんですけど、話をする前に何かを言うことでスッと入ってくるような言い方なんです。例えば僕がそれを言ったら、いつも真面目だから選手からしたら「何?」ってなる。でもムーさんの言い方だと前置きが一つあって、「今めっちゃ言われたけど、何か笑えるね」みたいな。──真面目しかできないと言いますが、その真摯さが選手に伝わるから良い影響を及ぼしているのではないでしょうか。それが一体感につながっているかは分からないですけど、そうだったらうれしいです。僕とムーさんのバランスも良い方向に向いているのかもしれないですね。2018/02/16Bリーグ&国内
-
攻守が噛み合うレバンガ北海道、決めるべきシュートを決め同地区決戦で先勝&完勝攻守の相乗効果で第2クォーターを圧倒レバンガ北海道が敵地に乗り込み迎えた、サンロッカーズ渋谷との金曜ナイトゲーム。第2クォーターに攻守が連動したチームバスケットで主導権を握った北海道が90-64で完勝を収めた。序盤は17-16で北海道がわずかにリードと拮抗して迎えた第2クォーター、試合は大きく動いた。北海道はSR渋谷を上回るディフェンスの強度と執拗なディナイによりボール回しを停滞させた。大黒柱のロバート・サクレもマーク・トラソリーニの好守の前に沈黙し、前半をわずか2得点に封じられた。ディフェンスでリズムをつかんだ北海道は、オフェンスも活性化。スクリーンのタイミングや角度がばっちり決まり、ピック&ロールから簡単にズレを生み出し、オフェンス優位な状況を作り出す。松島良豪がノーマークのミドルシュートを確実に沈めて流れを作ると、トラソリーニが内外から得点を重ね11得点をこのクォーターで集中させた。水野宏太ヘッドコーチは「渋谷はもともとペイントを固めて外はある程度打たせてくれるディフェンスだった。その代わりリバウンドが強いので、ショートコーナーの松島のシュートだったり、苦しい場面の折茂(武彦)のシュートなど、自分たちが決めるべきシュートを決めきったところがこのシュート確率の高さにつながった。渋谷がディフェンスしづらい状況を作れた」と第2クォーターを振り返った。2ポイントシュートの成功率は渋谷の35.7%に対し、北海道は78.6%と大きく上回り、27-11とビッグクォーターを作り出した。ディフェンスは終始緩まず、要所を締めて完全勝利後半に入っても北海道のパフォーマンスは落ちず、開始1分で点差を20に乗せ、第3クォーター残り5分で58-29とダブルスコアまでリードを広げる。その後は山内盛久がボールをプッシュし、連続得点を奪って流れを変えかけた場面もあった。だが北海道はすぐにタイムアウトを要求。直後のオフェンスで折茂が老獪なテクニックで3ポイントシュートのファウルを誘発し流れを切ると、山内のマッチアップをディフェンスの得意な関野剛平に代え反撃の芽を摘んだ。こうした水野コーチの慢心のない采配も光った。第3クォーターを終えた時点で69-46、北海道が勝利をほぼ手中に収めた。最終クォーターもオフ・ザ・ボールの動きや1対1で負けないディフェンスなど、セカンドユニットも先発と遜色ないプレーを披露した。失点してもすぐに決め返し、SR渋谷に流れを渡さなかった北海道が、すべてのクォーターを上回る完勝を収めた。「セメントの中を歩いているような印象」北海道の良い面が際立った試合だけに水野コーチも相当な手応えを感じた様子で「良い」という言葉を連発。「良いエネルギーを持って高い強度でしっかりディフェンスをすることができ、その流れのまま良いオフェンスに持っていくことができた。良いディフェンスから良い速攻が出た」と試合を振り返る。「全員が得点を取って試合を終えることができた。自分たちは誰か一人に頼ることなくチームを作っていく方針、今日は数字でも出すことができ非常に良かった」と語り、トラソリーニの25得点を筆頭に全員得点での勝利に満足げな表情を浮かべた。一方、大敗を喫したSR渋谷の勝久ジェフリーヘッドコーチは「2018年最初のホームゲームでこんなみっともない試合をして、とても悔しいです」と暗い表情。勝敗を大きく分けた第2クォーターについてはこう語る。「プレーをやめる場面が多かったり、オフェンスでうまくいかなかった時にトランジションディフェンスが遅かったり、ディフェンスでギャンブルしてノーマークを作ったり、何一つ良いことがなかったです」リーグトップ3に入る堅守をこの試合では発揮できず、「ミスもありましたが、動き出しが遅かったり、セメントの中を歩いているような印象」と、最後まで厳しい言葉が目立った。敵地で同地区対決を制した北海道はSR渋谷とのゲーム差を2に縮めた。だが北海道はこれまで、アルバルク東京や川崎ブレイブサンダースなどの強豪に第1戦で勝利するも、連勝ができていない。熾烈な東地区での同一カード連勝は非常に難しいが、それができないと上には行けない。チャンピオンシップを目指す以上は、明日の第2戦を勝ち切れることが求められる。2018/02/10Bリーグ&国内
-
同地区対決の重みを感じる北海道戦、サンロッカーズ渋谷「1点でも多く決め勝つ」大混戦の東地区、4チームがチャンピオンシップへ?週末だけでなく、平日も熱戦が繰り広げられるBリーグ。今節は今日から月曜日までの4日間で試合が行われる。サンロッカーズ渋谷は今年初めてのホーム開催となり、墨田区総合体育館でレバンガ北海道を迎え撃つ。すでにシーズンは折り返し地点を過ぎ、チャンピオンシップや残留プレーオフを見据える時期に差し掛かっている。そのため、1試合の勝ち負けが今まで以上に重みを増す。チャンピオンシップに進出できるのは各地区の1位および2位のクラブと、各地区の上位2クラブを除いた12クラブのうち上位2クラブ。現在SR渋谷は21勝13敗で東地区4位、対する北海道は3ゲーム差で追う5位。もしのこのまま順位に変動がない場合、SR渋谷はワイルドカード2位でチャンピオンシップに進出できる。今シーズンは『東高西低』の流れが強く、ワイルドカードの2枠を東地区が独占し、東地区6チーム中上位4つがチャンピオンシップに出場する可能性は大いにある。それだけに、直接対決の意味は重い。SR渋谷の指揮官、勝久ジェフリーはこう語る。「まだ26試合残っている中で、どのチームが上がっていくか、下がっていくか全く分からないです。それこそ得失点や同じカードの成績が今後に響いてくると思うので、1点でも多く決めて勝つことが大事だと思います」「自分たちが目指しているスタイルを作る」その東地区は現在、3位の川崎から6位の栃木ブレックスまでわずか5ゲーム差と大混戦。キャプテンの伊藤駿も「アルバルクさんがちょっと抜けてますけど、他のチームは団子です」と話し、「ケガ人も戻ってきたので、ここから1段階ギアを上げてやっていかないといけない。かなり大事な試合」と今日の北海道戦を意識している。北海道はチーム2位の平均11得点を挙げていたグレゴリー・ウィッティントンが退団するアクシデントに見舞われたが、A東京との対戦を1勝1敗で切り抜けるなど、その実力を証明した。そんな北海道戦に向け勝久コーチは「2018年最初のホーム戦ということで、さらに自分たちが良いプレーをしなければいけないという危機感を持っています。1試合目の第1クォーターの出だしから自分たちが目指しているスタイルを作れるように気を引き締めて臨みたい」と語った。ホームのSR渋谷が信条とする堅守を発揮するか。それともリーグ首位のA東京を破った北海道が、粘りのバスケを披露するか。注目の一戦は19時5分ティップオフとなる。2018/02/09Bリーグ&国内
12