
『インタビュー』の検索結果
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サンロッカーズ渋谷の盛實海翔、プロの舞台で堂々の働き「シュートは通用します」「タフな相手に思い切ったプレーができた」 サンロッカーズ渋谷にとって水曜の千葉ジェッツ戦は100点ゲームの大敗。スコア以上に内容で千葉に圧倒され、『総合力』で太刀打ちでないショックの大きな敗戦となった。伊佐勉ヘッドコーチは「前回に対戦した時からこちらもレベルアップして臨んだつもりでしたが、千葉さんはそれ以上に成長していた。完敗です」と、素直に負けを認めている。 そんな試合で収穫を探すとすれば、盛實海翔の活躍だ。インカレを終えて昨年末に特別指定選手としてSR渋谷に加わった盛實は天皇杯でデビューを飾り、この試合では初の2桁得点を記録。プロ選手が相手、それもエナジー満点のディフェンスでリーグ首位を快走する千葉を目の前にしても物怖じすることなく、アタックを続ける姿勢が印象に残った。 「自分としては、タフな相手に思い切ったプレーができたと思います。自分のプレーをやるしかないと思っていたので、そこは良かったです」と、盛實は自身のパフォーマンスを振り返る。 プロ選手となれば鍛え方が違うし、外国籍選手とのマッチアップも起こる。「フィジカルの部分で差はあるだろうと思っていましたが、それ以上でした。練習でも試合でもそれは感じます」と面食らってはいても「でも、シュートはまあまあ通用します」と自信も得られている。 伊佐ヘッドコーチも「大学3年ですがプロでこんなにできるのか、という印象です」と盛實を評価している。「まず物怖じしないメンタル、判断の早さです。シュートに行く時、インサイドに行く時、ボールを離す時の判断が、本当に大学生なのかとびっくりするぐらい。確実にローテーションに入ってくるイメージです」 「自分にできることを精一杯やるだけ」 どんな選手にとっても、カテゴリーを上げて『自分らしさ』を表現するのは簡単ではないはず。盛實によれば、それを可能にしている理由は2つ。一つは「プロだからと意識せず、自分のシュートを打つことを意識しています」ということ。この試合も最初の得点は、インサイドに切り込んで相手をギリギリまで引き付けた広瀬からのアシストを受けたコーナースリーだった。「周りがノーマークを作ってくれたので、思い切って打つのが大事な場面でした」と盛實は言う。 もう一つは、特別指定でチームに加わったばかりの自分がどうやって貢献できるかを考えた時に、シンプルに持ち味を出すという答えに至ったことだ。「使ってもらうからには自分の持ち味を出さなきゃいけないので、今は自分にできることを精一杯やる、それだけを考えています」 「年末にチームに加わって1カ月ちょっと。試合ばかりであまり練習ができていなくて、ディフェンスのシステムが大学までとは全然違って、そこが大変というか試合でもミスをしてしまい、チームに迷惑をかけてしまっています」と課題を語るが、そこはチームとしてもある程度は織り込み済み。それでも、上々だった最初の1カ月から指揮官の言葉通りローテーションに組み入れられて出場時間を伸ばすには、ディフェンスの課題もクリアしていく必要がある。 まだ大学3年の盛實にとって今の挑戦は、大学の新しいシーズンを前にプロの世界を体験する『お試し期間』のようなもの。それでも彼は「今はこうして良い経験ができているので、それを繋げてレベルをどんどん上げていきたいです」と、すべてを貪欲に吸収し、いずれ本格的にスタートするであろうプロキャリアへと繋げるつもりだ。 「ヘッドコーチはアタックしろ、自分の良さを出していけと言ってくれます。チームメートもいつも支えてくれて、特に(ロバート)サクレ選手は事あるごとに声を掛けてくれて、僕にとってはそういうのが非常にありがたいです」と周囲への感謝も忘れない。 期間限定のプロ挑戦は、盛實にとって最高の刺激になっている。大学に戻るまでに彼がどのように成長し、変化していくか、注目していきたい。2019/02/02Bリーグ&国内
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見せ場こそ作るも大敗、落胆を隠せない横浜の湊谷安玲久司朱「本当に情けない」第2クォーターに12得点の活躍を見せるもチームは大敗 1月30日、横浜ビー・コルセアーズはシーホース三河に57-91、34点差の大敗を喫した。ホームを守れずこれで9勝27敗、得失点差は『-409』とリーグワーストの数字となったが、それでも横浜にとっては今後に期待できる明るい材料もあった。 試合開始直後、横浜はジャンプボールに跳んだプリンス・イベが足を負傷し、そのままプレー続行不可能となるアクシデントに見舞われた。イベの不在が響き、インサイドを支配された横浜は早々に大量ビハインドを背負ったが、そこから立て直し、第3クォーターには3点差まで詰め寄る粘り強さを見せた。 その時間帯を牽引したのが、キャプテンの湊谷安玲久司朱だ。川村卓也と交代でコートに立った湊谷は、ミドルシュート、ポストプレー、速攻と多様な攻めで次々と得点していった。「1本シュートが入って、今打ったら入るなという感じになっていたので、とりあえずボールをくれという状態でした」と、その時間帯を振り返る湊谷は、10連続得点を含む12得点を挙げて敗戦ムードを払拭した。 昨シーズンは右足アキレス腱断裂の大ケガを負い、今シーズンも右ハムストリングス肉離れで戦列を離れた影響で、プレータイムは平均6.4分とキャリアで最も短くなっている。それでも三河相手の目覚ましい活躍により、今後の起用法も変わってくるかもしれない。 湊谷も、「今日のようにチームを活気づけられるプレーができるようにしたい。毎試合いつ出ても監督の起用に応えられるように、これを続けていきたい」と意気込む。 「全員の集中力のなさ」により、終盤に崩壊 湊谷の活躍は横浜にとって明るいニュースとなったが、「結果的に負けているので。チームを勝たせなきゃいけない」と、湊谷は表情は暗い。3点差まで詰め寄ったは良いが、その後は続かなかった。ターンオーバーをことごとく得点に繋げられると集中の糸が切れ、本当に踏ん張るべき最終クォーターを5-27と圧倒されて大敗した。 直近の7試合で3勝4敗、得失点差もすべて1桁と、勝ち負けは別にして粘りのバスケットが展開できる手応えがあっただけに、この敗戦のショックは大きい。多くのファンの前で不甲斐ないプレーを見せてしまい、湊谷も「本当に情けない」とうなだれた。 「強いチームは、どんなゲームになったとしても最後まで徹底できます。そこの違いだと思っていて、15点差くらいになった後の全員の集中力のなさ、あれは全員で直さないといけない」 湊谷が言うように、強豪と呼ばれるチームほど劣勢を耐えしのぎ、自分たちの流れが来るのを信じて我慢できる。横浜も湊谷の連続得点からきっかけを作り、一度は耐えたが、そこまでだった。あらためてチームの未成熟な部分を露呈し、さらにはイベが負傷と、湊谷もショックを隠し切れなかった。それでもすぐに訪れる次の試合に向けて、気持ちを作っていくのもプロの仕事だ。 「日に日に良くはなっているんですけど、ゲームの最初にイベがケガをしてしまって厳しい部分もあります。シーズンは長く、ケガは仕方がないと思うので、気持ちを切り替えて、次の試合は勝ちにいきたい」 横浜は次節、現在3連勝中と調子を上げている三遠ネオフェニックスと対戦する。後半戦を迎え、残留プレーオフ争いを頭に入れなければいけないタイミングが差し迫っており、同地区の三遠戦は必勝が求められる。そのためには、湊谷の今回のような活躍が必要不可欠となる。2019/02/01Bリーグ&国内
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今野紀花の挑戦、NCAAの強豪ルイビル大へ「もっとボコボコにされたい(笑)」レギュラーが確約されていない初の体験 聖和学園の今野紀花は、この春に高校を卒業し、NCAAの強豪ルイビル大へ進学する。1月27日、仙台89ERSは宮城県で生まれ育った『地元の星』の今野を送り出すべく、広島ドラゴンフライズ戦のハーフタイムに壮行式を行った。 その後の取材に対応した今野は、様々な選択肢がある中で、ルイビル大への進学を選択した理由をこのように説明した。 「身長も高くてスキルも高い、レベルの高い選手がゴロゴロいる中でプレーするほうが自分のためになると思い、アメリカに行くことを決めました。ルイビル大はレベルの高い大学なので少し不安はありますが、成長したいと思っているので、挑戦する気持ちを忘れないで頑張っていきたいです」 3x3アジア大会、U-18アジア選手権でともに銀メダルを獲得するなど、同世代での実力はトップクラス。そのため高校ではライバルと呼べる選手がほとんどおらず、「もっとボコボコにされたい(笑)」と、今よりさらにレベルの高い環境に身を置き、揉まれたいという思いがある。 ルイビル大ではレギュラーの確約はないが、これも渡米で得られる経験ととらえている。「入学したらすぐに試合に出てたりしていたので、初めての経験です。そういう経験は絶対大事だし、プレータイムを勝ち取ったり、信頼を得たりすることが大事だと思います」 高いドリブル技術とシュート力に加え、抜群の視野の広さとパスセンスを有し、ユーロステップもお手の物と、今野の最大の魅力はそのオールラウンド性にある。178cmの今野は、日本では時にポストプレーから得点するシーンもあったが、アメリカではガードに専念するという。バスケIQを高め、それをコートで体現できるような選手を目指すという。 「日本では中のプレーをすることがあったんですが、アメリカではそういうわけにはいかず、外のプレイヤーになると思います。身体が大きく、リーチが長い相手からどうやって得点を取るかとか、外の得点のバリエーションを増やしたいです。またスコアラーだけにならず、アシストやスペーシングなど、バスケットのことをもっと理解してプレーできる選手になりたいです」 恩師のエール「プレーもそうだけど、日頃から自己主張を」 期待に胸を躍らせる今野だが、もちろん不安なこともある。「コミュニケーションがすごく不安です」と言うように、英語での会話が最初の壁となるだろう。それでも「バスケットが一番の言葉だと思うので」と、頼もしい言葉が返ってきた。そもそも英語の勉強が好きで、高校の成績も『5』という今野であれば、楽しみながら挑戦できるに違いない。 聖和学園で今野を指導してきた小野裕も、コミュニケーション面を心配し、「自己主張が大事」と説いてエールを送った。「先輩を立てたり、チームメートの面倒を見たりする良い子なので、逆に自我を出すところが足りないと思っていました。ただアメリカに行くと決めてからその部分が一番成長しました。まずは自己主張をしていかないと生き残れない世界で、プレーもそうだけど、日頃から自己主張をして、考えを他に伝えていけるような選手になってほしい」 高校までは実家暮らしだった今野だが、渡米後はルイビル大で寮生活を始める。そうした環境の変化もフラストレーションになりがちだが、身の回りのことを自分でこなすことへの不安は特別ないという。 またアメリカの女子選手はロングヘアーの選手が多く、髪型について聞くと、「高校は髪を切らないといけなくて、小学校、中学校の時は邪魔だから切っていました。周りから絶対似合わないって言われるんで、すぐ切るかもしれませんが、ずっと短かったので伸ばしてみたい(笑)」と、今のところ伸ばす方向のようだ。 より高いレベルで揉まれるために、ルイビル大への挑戦を決めた今野。髪だけでなく、そのオールラウンドな能力を最大限に伸ばし、チーム内競争を勝ち抜いてほしい。2019/02/01プレーヤー
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「良い見本がいっぱい」の環境で飛躍的に成長、結果を出し続ける三河の岡田侑大最多得点を大幅に更新する23得点 シーホース三河は先日の横浜ビー・コルセアーズ戦に勝利し、貯金を2に増やした。 前半で最大20点をリードしたが、横浜の反撃に遭って第3クォーター中盤には3点差に詰め寄られた。それでも金丸晃輔の得点で落ち着きを取り戻すと、岡田侑大がスティールからワンマン速攻を決めるなどして持ち直し、最終的には34点差で快勝した。 岡田は前節の琉球ゴールデンキングス戦での15得点を上回り、キャリアハイを更新する23得点。チームに勢いをもたらした意味でも、勝利に大きく貢献した。「前回の琉球戦が調子良くて、1日だけならどの選手でも調子が良ければ活躍できると思うんですけど、それをどれだけ長く継続させるかということを課題にしてやっているので良かった」と岡田は試合を振り返る。 拓殖大学を中退してプロの世界へと飛び込んだ岡田は、先日20歳の誕生日を迎えたばかり。同年代である特別指定選手の多くがプレータイムを得られず、結果を出せていない状況を考えると、岡田のこの活躍は異例の出来事だ。 「やれるな、って感覚は初めからあった」と、プロでも通用する自信を持っていた岡田だが、最初はフィジカルの違いに苦しんだ。「初めの頃はリングまでボールを持って行けてもフィニッシュのところで外してしまうケースが結構ありました。ドライブの時に圧がかかってしまうと、最後の蹴る力が微妙にズレたり、手も力んでしまうので、フィジカルで差を感じました」 それでも、「若いので練習前のウエイトとかワークアウトは結構やっています。大学の時のままの身体だと何もできなかったんですけど、最近は足も腕も太くなってきたとトレーナーに言われました」とフィジカルの向上を実感している。昨日の試合でも、シュートフェイクで相手を跳ばせ、身体をぶつけながらシュートを沈めるバスケット・カウントを成功させている。 琉球戦では7本中3本、横浜戦では6本中3本の3ポイントシュートを成功させたことで、得点も伸びた。ルーキーであれば、素直にその結果を喜んでもいいだろう。だが岡田は、「3ポイントシュートの調子が良くて入っていますが、それが入らない試合が必ずくると思うので。その時にどれだけ点数が取れるかが、一番実力が試される」とコメントした。まるでベテランのようなその言葉が、岡田が並大抵の新人でないことを証明している。 指揮官も認める攻撃性「まず『攻め気』がある」 昨日の試合、岡田は18本のシュートを放った。チームプレーはもちろん大事だが、それを優先しすぎるとプレーは慎重にならざる得なくなり、なかなかシュートにいけない選手も多い。だが岡田はどんなに少ないプレータイムでも、ほとんどの試合でシュートを放ってきた。鈴木貴美一ヘッドコーチも「攻め気がある」と、岡田のそうした姿勢を評価している。 「最初はプロのディフェンスにやられて全く攻められなかったですが、当たり負けもしないようになってきました。まず、攻め気がある。彼がアタックしてリズムが良くなった」 指揮官が評価する『攻め気』は、性格からくるものだと岡田は言う。「もともと負けず嫌いなので。今日も川村(卓也)さんにやられたら、絶対に次のオフェンスは自分が攻めてやり返したいって思ってました。あとは目立つのも好きですし、シュートを決めたら目立てるので(笑)」 もちろん、それは才能だけに頼ったものではない。日々の練習を重ねているからこそ、試合でパフォーマンスを発揮できる。「チームでゲームをする時に加藤(寿一)さんや森川(正明)さんとマッチアップします。リーグでも屈指のディフェンダーと普段からマッチアップして練習できているのが結果を残せる要因かなと」 環境は人が成長する過程で重要な要素となる。三河という強豪を選んだ岡田は、その恩恵を感じ、ステップアップを続けていく。「自分がやるべきことはリングにアタックすることで、シュートが入らなくても打ち続けることをヘッドコーチにも求められていると思います。良い見本がチームにはいっぱいいますし、オフェンスだったら金丸さんを毎日見れて良い刺激になるので、どれだけ近づけるかというのを目標にしていきます」 大学を中退してまで選んだプロへの道。岡田はその選択が正しかったことを自らの力で証明している。「現状に満足せず、もっと上を目指してやらせてあげたい」と鈴木ヘッドコーチが言うように、スタートは上々だ。今後、どのような成長曲線を描いていくのか、楽しみでならない。2019/02/01NBA&海外
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川崎ブレイブサンダースの後半戦を左右するキーマン辻直人、先発復帰で勝利に貢献「自分が先発で出て絶対に負けたくない思いでした」 1月30日、川崎ブレイブサンダースは新潟アルビレックスと対戦した。この試合を控えて中地区首位の新潟を4ゲーム差で追っていた川崎としては何としても勝ちたい正念場。ここで19得点を挙げ勝利に大きく貢献したのが辻直人だ。 11月23日の栃木ブレックス戦で肩を負傷した辻は、年明け1月10日のオールジャパンで実戦復帰。リーグ戦も1月16日の富山グラウシーズ戦から出場していたが、これまで控えスタートだったのがこの試合では復帰後初の先発に起用され、その期待に応えた形となった。 試合開始直後の3ポイントシュート成功でチームに勢いを与えると、接戦で迎えた第4クォーター終盤にはインサイドにアタックし、ファウルを受けながら決めたバスケット・カウント。そして9点差へと突き放す3ポイントシュートを沈めるなど、要所での活躍も光った。しかし、「オフェンス面でチームを引っ張っていけたと思います。ただ、ディフェンスで(ゴール下へのカットインを許す)バックカットを何度もやられたりしてしまいました」と、この試合のパフォーマンスは攻撃への手応えとともに、守備への課題があったと総括する。 2カ月ぶりとなった先発復帰については、かなり意識するところがあったと振り返る。「川崎では、自分が先発としてチームを引っ張っていきたい。だから、先発のチャンスをモノにしないといけない。シーズン前は川崎が強いんじゃないかと言われていましたが、現在は中地区で2位です。チーム本来のパフォーマンスを出せない責任を感じていましたし、自分が先発で出て絶対に負けたくない思いでした」 ピック&ロールからのアタック復活が良い兆しに 先週末、川崎は敵地での栃木戦で2試合ともに競り負け、これで栃木とは今シーズン4連敗。メンタル的にもダメージが大きい週末となった。ただ、辻にとっては「栃木戦は個人的に不甲斐なかったですが、その中で気づかされたこともあり、収穫のあった敗戦でした。学んだことを頭に入れて試合に臨みました。具体的に言うとピック&ロールの回数、ゴールにアタックする回数が栃木戦では減っていました」と得るものも大きかった。 辻の最大の持ち味は3ポイントシュートだが、一方でピック&ロールを使ってインサイドにアタックしてのシュート、守備のズレを作ってからの得点に直結するピンポイントパスも魅力だ。それが復帰してからは3ポイントシュートに偏り、プレーが単調になっていた。 この課題を意識したからこそ、冒頭で触れた第4クォーターのアタックからのバスケット・カウントが生まれた。「最後のバスカンみたいなプレーは復帰してから今までなかったものです」と辻も手応えを得ている。 この試合で辻が19得点、ファジーカスが27得点を稼いだ、リーグ屈指のワンツーパンチである『ツジーカス』による大暴れをこれから増やしていきたいと意気込む。「ニックとのコンビは、他のチームにとっては嫌なプレーで、そこを起点とすることで、他の選手も絡む派生したプレーも生まれていきます。チームの強みだと思います」 60試合の長丁場となるレギュラーシーズンは、どんな選手にとっても浮き沈みはあるもの。だが、その中でも辻は開幕戦でいきなり20得点と幸先良いスタートを切るも、この試合で足を痛めたことで調子を崩す。そこからコンディションが上がり、上昇気流に乗ってきたかと思った矢先に今度は肩を痛めて1カ月以上の離脱と、文字通り『山あり谷あり』のシーズンとなっている。 ただ、最も大事なのはポストシーズンでいかに状態をピークに持っていけるか。「今日は自分の中でも納得できるプレーが多かった」と充実感を得た辻が調子を上げていけるかどうかは、今後の川崎を左右する重要な要素となる。2019/01/31NBA&海外
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「チームの13人が誰一人欠けることなく」千葉ジェッツの総合力を体現する藤永佳昭ベンチを含む全員がチームスタイルを徹底 1月30日、千葉ジェッツは平日ナイトゲームながら4561人を集めた船橋アリーナでサンロッカーズ渋谷と対戦。第1クォーターから29-13と圧倒し、すべてのクォーターで上回り106-71で大勝した。これで千葉は連勝をチーム記録タイとなる13まで伸ばし、天皇杯のファイナルラウンドの3試合を含め、26日間で10試合を戦う『クレイジースケジュール』を全勝で乗り切った。 SR渋谷の伊佐勉ヘッドコーチが「ファウルで止めようにも止めきれない。良いシュートで終われずに、そのまま持っていかれてしまう」と振り返ったように、ディフェンスからのトランジションという千葉のスタイルが見事なまでに貫かれた一戦となった。 富樫勇樹、マイケル・パーカー、ギャビン・エドワーズと、得点面で軸になるエース格の選手が3人いるのは大きな強みだが、ベンチから次々出て来る選手もチームスタイルを徹底し、40分間を通してエナジーを落とすことのない『総合力』はB1でも頭一つ抜け出している。 これで通算成績は31勝5敗、2ゲーム差で栃木ブレックスが追っているが、その次となると新潟の25勝と大きく開いた。シーズン折り返し地点を過ぎたばかりだが、全体勝率1位を巡る争いは栃木との一騎打ちになりつつある。全60試合の長丁場、特に今シーズンのようにウィークデーの試合を多数挟む過密日程でトップを争うには、ベンチメンバーを含めた総合力がモノを言う。 「自分も鳥肌が立つというか、気持ちが上がります」 昨日の試合、その『総合力』の象徴となったのが藤永佳昭だ。名古屋ダイヤモンドドルフィンズから昨夏に加入した藤永は、富樫と西村文男に続く3番手のポイントガード。富樫が日本代表も含むタフな日程の中でも好調を維持し、西村も富樫に引けを取らないパフォーマンスを続けている状況、3番手の藤永にはなかなかプレー機会が回ってこない。 その藤永が投入されたのは、第4クォーター残り5分20秒の場面。93-60とすでに勝敗は決した状況だったが、彼にとってはここが勝負の場だった。その藤永がコートに入る時点でスタンドからは大歓声。加入1年目、出場機会は決して多くないし、地元の選手でもない藤永がこれだけサポートされるのは不思議な感じがするが、プレーを見れば納得だ。激しいディフェンスからアグレッシブに攻めに転じる千葉のスタイルを、藤永は一早く吸収して体現している。 この日の藤永は試合終了まで出続けて6得点1アシスト、さらに短い時間で3つのファウルを誘発と、積極的な仕掛けが目立った。「オフェンスで目立とうと思ったわけではないですが、全体を見た時に自分が空いていたので。空いていればシュートは打つべきなので狙っていきました」と藤永はいつも以上にアグレッシブな姿勢を説明する。 千葉のファンから熱く受け入れられていることを「自覚してます」と本人も言う。良いプレーのたびにスタンドが沸き、背中を押してくれることを藤永は大いに感謝している。「ありがたいです。自分も鳥肌が立つというか、気持ちが上がります」 「一生懸命やっているからじゃないですかね。僕は絶対にそうしなきゃいけないので。ディフェンスでハッスルして流れを変えたり、見に来ている人を楽しませるのが仕事だと思っています。ディフェンスは波があっちゃいけないので、毎試合集中して、相手に合わせてスカウティングしてアジャストして、これからもしっかりやっていきたい」 「どんな時に出ても自分の持ち味を出せるように」 26歳という年齢は、プロバスケットボール選手としては若くはない。それでも藤永はプレータイムが減るのを承知で優勝争いのできる千葉への移籍を選んだ。開幕から4カ月、「すごく充実しています」と藤永は自分の選択が間違いでなかったことを確信している。3番手ではあっても、ポイントガードとしてここでしか得られない経験がある。「バスケット自体の考え方、ディフェンスの考え方、自信ですね。勇樹や西村さんはBリーグのトップ、本当にリーグでも一番上のプレーヤーで、そこから毎回学べますし、自分のプラスになっていると感じます」 大野篤史ヘッドコーチも藤永の日々バスケに取り組む姿勢を高く評価しているが、それと同時に「僕の仕事は彼が頑張っているからプレータイムを与えることではなく、ベストのメンバーをコートに送り出すこと」と、当然ながら優先するのはチームの勝利。なかなかプレータイムは伸びないが、それでも藤永は「充実しています」と笑顔で言い切る。 NBDLのアースフレンズ東京Zから、B1の中堅クラブである名古屋Dを経て、千葉へ。藤永は自分のステージを年々上げながら、そこで信頼と実力を勝ち取ってきた。「人どうこうではなく、自分次第だと思っているので。短い時間でもしっかり集中して効率良くやっていきたい」 天皇杯優勝が初のタイトルとなったが、チームの目標はあくまで2冠だ。「チームが勝つことが第一で、チームはうまく行っています。でも油断せず、最後の目標は優勝なので、そこに向かってチームが良くなっていくのが大事です。チームの13人が誰一人欠けることなく、そこまで集中してやっていきたい」と藤永は語る。 「どんな時に出ても自分の持ち味を出せるように準備して。難しいことでもありますが、いつどんな状況で出ても仕事ができるように。自分を信じてやっていきます」と藤永は語る。こういう選手が3番手で控えていることが、リーグ全体勝率トップを走る千葉の強さを支えている。そんな千葉の『総合力』を感じさせられる試合だった。2019/01/31Bリーグ&国内
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B1最低勝率の滋賀レイクスターズで「登っていくしかない」と屈しない狩野祐介自身は3得点と沈黙「向こうの作戦通りにしてしまった」 滋賀レイクスターズはサンロッカーズ渋谷に2連敗を喫し、これで7勝28敗。リーグ単独最下位と苦しい状況が続いている。特に28日の第2戦では、前半を終えて32-34と互角の戦いを演じていたが、第3クォーター開始から0-17のビッグランを許して試合を決められた。 キャプテンの狩野祐介は崩壊したその時間帯を「ディフェンスです」と振り返った。「サクレ選手にポンポンと出だしでやられ、それがきっかけでオフェンスもうまく行かず、逆にファストブレイクでケリー選手にダンクをやられてしまいました。そこで一気に流れを持っていかれたので、サクレ選手にもっとプレッシャーをかけて悪いシュートを打たせなければいけなかった」 狩野が言うように、ロバート・サクレにイージーシュートを許したことで、SR渋谷は勢いに乗り、攻守ともに活性化した。そして、トランジションから3ポイントシュートを連続で浴び、一気に突き放された。 劣勢の時ほど我慢が必要となるが、前半からフラストレーションを溜めていたマーカス・ブレイクリーが、ボールのないところでアンスポーツマンライクファウルをコールされるなど、我慢とは逆に展開に。集中力を切らしてしまい、57-89の大敗を喫した。 狩野はここまで日本人選手ではリーグ7位となる平均11.4得点を記録し、滋賀の貴重な得点源となっている。だが昨日の試合では、SR渋谷の徹底したマークを受け、シュート試投数わずか2本の3得点と沈黙した。「試合全体を通して、今日は2本しか打てていないです。出だしからボックスワンをやってきて、打てるタイミングがあったものの躊躇してしまって、向こうの作戦通りにしてしまったなと反省しています」 ショーン・デニス「スコアができないのが一番の問題」 滋賀は現在平均76.9失点(リーグ11位)と、決してディフェンスが悪いチームではない。昨日の試合でも、前半はSR渋谷から11のターンオーバーを誘発し、34失点に抑えた。問題はリーグワースト2位、69.8得点しか取れないオフェンス面にある。 滋賀を指揮するショーン・デニスも「スコアができないのが一番の問題。いろいろな方法を試みてはいますが……」と、オフェンス面に頭を悩まされている。「アタックして、フリースローラインに立って、ボーナスショットを打っていこうということを言っていますが、フリースロー自体も決められていない状況です」 デニスコーチが言うように、6点差で敗れたSR渋谷との第1戦では、フリースローを27本獲得しながらも12本の成功に終わった。第2戦でも、17本中9本の成功と、フリースローの重みを感じざるを得ない。 狩野も「特にフリースローを外しすぎですし、今日はノーマークのシュートを落としすぎている。勝つチームはノーマークはもちろん、ブレイクでの3ポイントシュートだったり、そういうところを確実に決めています。シュート力は磨いていかないといけない」との見解を示した。 「僕は3年目で、毎年苦しい状況を戦ってきた」 滋賀は現在リーグ最下位に位置している。そして、10点差以内の敗戦が18試合、そのうち5点差以内の敗戦が10試合と、接戦で勝ち切れない傾向にある。だが、これは裏を返せば、どんなチームとも渡り合えるということも意味している。シーズン序盤には、新潟アルビレックスBBや川崎ブレイブサンダース、先週には琉球ゴールデンキングスからも勝ち星を挙げている。 狩野も「強豪チームに勝ってますし、本当に接戦ばかりで、戦えてはいるので。あとは集中力とアタックする気持ちを出し続けるだけです」と、歯がゆい状況に苛まれている。 バスケットボールの試合で勝敗を分けるものは細かい部分の積み重ねだ。「スクリーンの角度だったり、ディフェンスのポジションやカバーに行くタイミングだったり、コミュニケーションだったり、これというものはないです。細かいミスが大きなミスに繋がっているはずなので、細かいミスを修正しつつ戦っていくしかない」と、狩野もその点を強調する。 Bリーグは後半戦に突入し、ポストシーズンを意識する時期となった。過去2シーズン、滋賀は終盤戦で無類の強さを誇り、残留プレーオフを回避してきた。「僕は3年目で、毎年苦しい状況を戦ってきたので、落ち込むことはないです」と言う狩野の言葉は力強い。「最下位は最下位ですけど、登っていくしかないので。好きなバスケットをやっていますし、楽しんでやっていきたい」 結果が出ない時こそ、下を向いてしまうもの。それでも狩野は、苦境に立たされている今だからこそ、楽しむことが重要ということを理解している。それは過去2シーズン、残留プレーオフを回避してきた自負があるからに他ならない。滋賀の逆襲はこれから始まる。2019/01/30Bリーグ&国内
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米国留学を切り上げA東京で勝負するシェーファー・アヴィ幸樹「2020のために」「もっとアルバルク流を突き詰めていかないと」 1月26日、27日とアルバルク東京は大阪エヴッサと対戦。ともに後半になって突き放す展開で粘る相手を撃破し、見事な連勝を飾った。この2試合、A東京はインサイドの主力である日本代表の竹内譲次が体調不良から欠場。それだけにシェーファー・アヴィ幸樹、平岩玄と12月に加入したばかりの若手ビッグマンに出場機会が与えられるのか注目していたが、ともにほとんど出番なし。竹内の不在は外国籍選手がいつも以上にコートに立つことで埋めた。 ルカ・パヴィチェヴィッチは、プレータイムのシェアに気を遣う指揮官で、27日の試合後も「今日のようにビッグマンのプレータイムが偏るのはできれば避けたい」と語っていた。しかし「アヴィ、平岩はチームに加入して約1カ月、試合に向けた十分な練習ができていないままです。彼らを使いたかったですが、今日みたいに大阪さんがチェンジングなどいろいろディフェンスをしてくるとそれに慣れていません。今回はそういったことに慣れているジャワッド(ウィリアムズ)、アレックス(カーク)を使うことが大事と思いました」という理由から、経験豊富な外国籍へのいつも以上の依存を選択した。 一方、起用を見送られた側の若手はどんな思いだったのか、シェーファーに聞いた。「自分としてはもっと試合に出たかったですし、しっかりプレーできる自信はあります」。そう語ると同時に指揮官の考えを理解し、起用法に納得もしている。 「ルカは完璧にしてから出す流儀です。中途半端な状況で出たら後々に影響も出てくることもあります。そして今は試合がたくさんあるので、チーム練習の中でイチから教えてもらうのは難しいです。ワークアウトでちょっとずつプレーを学んでいる。だいぶ馴染んできましたが、もっとアルバルク流を突き詰めていかないといけないです。ルカは素晴らしいコーチですし、彼の考えを尊重しています」 アメリカで得たのは「今までにないハングリー精神」 1年在学したジョージア工科大を休学。バスケットボール部を去ってA東京と契約し、プロバスケットボール選手のキャリアを開始してから約1カ月が経過した。 「少しずつ慣れました。学校の勉強があるかないか以外は、やっていることは大学時代とそんなに変わりません。逆に打ち込める時間ができました。大学ではちゃんと授業を受けていても、例えば1週間後に大きな課題や試験があると、そこに対しての意識が頭のどこかにあって練習に集中しきれない時もありました。そういう面で今はストレスがたまらない環境ではあります」 そして、ジョージア工科大を離れるという決断をした理由をこう語る。「プレータイムが、アルバルクに入団したほぼすべての理由です。大学1年目にもらえないのはある程度は理解していました。ただ、今年は昨シーズンの先発センターが抜けてプレーできるはずだったのが、そこに編入生が来てプレータイムがもらえなくなってしまいました」 『ウォークオン』と呼ばれる一般入部のシェーファーにとって、大学がスカラシップ(奨学金)で獲得した選手との待遇の差を感じることもあった。「ウォークオンとスカラシップの扱いの差はすごく感じました。実力的に差はないと言われていましたし、実際に練習で対戦して僕の方が活躍したこともありました。ただ、スカラシップというだけでチームも力を入れるので、チャンスをあまりもらえない感じはありました」 NCAAはアマチュアではあるが、アヴィの在籍したジョージア工科大のようなトップカンファレンスに所属する大学の環境は、大半がBリーグのチーム以上に充実している。大学もそれだけチームに投資しており、生存競争の激しさはプロの世界と遜色ない激しさだ。監督も1億円以上の年俸をもらうケースが少なくないし、だからこそ成績を落とせばすぐに解任される。プロバスケ選手になることを目指す学生も、自分に合わないと判断すれば転校するのは一般的で、1年間公式戦に出場できない制約以外は基本的に選手の意向だけで大学を変えることができる。また、短大からの編入も当たり前の世界であり、日本と違って1年生以外の新加入も珍しくない。 こういったコート内外を含めたサバイバルの体験は、シェーファーにとって心身両面で大きな成長をもたらした。「アメリカでの1年間でしっかりトレーニングをして物理的に身体が大きくなりました。身体だけでなくメンタル、考え方も変わってきました。NBAを目指す選手たちと一緒にプレーして、今までにないハングリー精神を感じました。今、NBAでルーキーとして活躍している選手(ジョショ・オコギー、ミネソタ・ティンバーウルブス所属)と一緒にプレーしていたことも刺激になりましたし、自分もその選手と同じところにいたんだという自信にもなっています」 「今はとにかく試合に出たいです」 28日に21歳の誕生日とまだまだ若いシェーファーであるが、本人は「今はとにかく試合に出たいです。ローテーション入りして毎試合、プレータイムをもらえるようになりたい」と力強く語る。この思いの根底にあるのは2020年の東京オリンピックだ。 「来年の夏に帰国するという選択肢もありました。それを早めたのは東京オリンピックの存在です。あらためて時間がないと危機感を感じ、今プロの世界に行ったほうがいいと思いました」 アレックス・カーク、ジャワッド・ウィリアムズ、ミルコ・ビエリツァの外国籍トリオに、日本代表の竹内譲次と、A東京のインサイド陣はリーグ屈指の陣容。そんな百戦錬磨のベテランを前にしてもシェーファーは「今は学ぶことが多く、一歩一歩進んでいるところです。ただ、完全にチームに馴染んだら譲次さん、外国籍選手たちからプレータイムをもぎとる気持ちでいかないといけないです」と語り、良い意味で遠慮はない。 こういったハングリーな若武者は、A東京のような常勝軍団の『新たな刺激』として打ってつけの存在だ。シーズン終盤に向けた王者の逆襲への起爆剤になれるか、シェーファーのここからを楽しみにしたい。2019/01/29Bリーグ&国内
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逆転劇で栃木ファンの後押しを実感する比江島慎「アウェーだったら無理だった」「正直、まだ満足いくプレーができていない」 栃木ブレックスは先週末の川崎ブレイブサンダース戦との2試合に連勝し、千葉ジェッツに離されることなくリーグ全体2位の勝率をキープしている。 シーズン折り返し地点で栃木に加わった比江島慎は、Bリーグ復帰から4試合が経過し、ここまで平均20.2分のプレータイムで7.8得点、2.2アシストを記録。オーストラリアでの挑戦を終えて帰国したばかり、栃木では十分にチーム練習ができていないことを考えれば、可もなく不可もなく、といったところだろう。 それでも、比江島に寄せられる期待は並大抵のものではなく、その高い期待値を超えていないのが現状だ。彼自身、「正直、まだ満足いくプレーができていない」と言う。「帰ってきてすぐの試合なので、試合勘が戻っていないです。徐々に慣れていっている手応えはありますが、チームのシステムを覚えていかないと。試合に出てる間も余裕がないので」 独特なリズムと高いボールハンドリング技術から繰り出される比江島のドライブは、相手にとって脅威でしかない。だが川崎との第2戦では、この得意のプレーで2つのターンオーバーを犯した。そうしたミスは、「余裕もない」というメンタル面の影響だ。 「強気に行ってのターンオーバーならいいんですけど、弱気になってターンオーバーになったのが2回ありました。そこは申し訳ないです。パスを探してしまったり、自分のピックの使い方の感覚がまだ戻っていないところは正直あります。まだまだ安齋(竜三)コーチが求めるバスケができてないです」 それでも「ある程度ミスを覚悟でドライブしたり、迷いを捨てて、ビッグマンのクセだったりを見極めながらやっていきたい」と、課題を克服するビジョンはすでに見えている。 「熱量が素晴らしく、本当に後押ししてくれます」 栃木が川崎から挙げた連勝は、ともに終盤で逆転する苦しい展開。特に第1戦は、残り3分半で9点のビハインドを背負い、ラスト2秒でジェフ・ギブスが決勝点を挙げる劇的な勝利だった。ブレックスアリーナを埋めたファンは歓喜に沸いたが、比江島はそうした栃木の熱気、応援の力をあらためて実感していた。 「昨日の展開なんて、アウェーだったら多分無理だったと思うし、時間がない中で9点差をひっくり返したのは、このホームコートだからこそと思ってます」 栃木にとっては頼もしい限りだが、昨シーズンまでの比江島はこの『黄色い要塞』の圧力を身をもって体験してきた。だからこそ、栃木でプレーする喜びをあらためて噛み締めている。「熱量が素晴らしく、本当に後押ししてくれます。これだけホームコートアドバンテージを味わえるので、楽しくプレーできています」 どんな場面でも落ち着いてプレーしている印象が強かった比江島だが、シーズン途中に合流することの難しさ、短い間に2度移籍する環境の変化もあり、弱気な一面を見せている。だが、会場の大声援を力に変えることはすでにできている。チームメートやファンの後押しを受け、プレー面もメンタル面でもアジャストしていけば、比江島は遠からず本来の輝きを取り戻すはずだ。2019/01/29Bリーグ&国内
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抜群の勝負強さで、栃木の強さを象徴する遠藤祐亮「気楽に打てるようになった」「ミスをしても守り切ればいい」と守備に自信 栃木ブレックスは週末に行われた川崎ブレイブサンダース戦に連勝し、東地区1位の千葉ジェッツの背中をピッタリとマークしている。 「栃木さんは勝負どころが分かっている」と、対戦相手の北卓也ヘッドコーチに言わしめたように、第1戦ではラスト3分半を14-4、第2戦ではラスト4分間で13-2と、終盤の勝負強さが光った連夜の逆転勝利だった。 堅守の栃木を体現するエースキラーの遠藤祐亮は、こうした終盤の勝負強さをこのように分析する。「いつもそうですけど、慌てる人は誰もいません。ミスをしても守り切ればいいと気負いもないです。1点でも勝っていればいいという意思疎通があって、みんな積極的に行っていたし、構えないというのが良かったと思います」 終盤になればなるほど、一つのミスが試合の勝敗を左右する。そのため安全策を取り、積極性を失う傾向は強いチームにも出てくる。「ミスをしても守り切ればいい」と遠藤は言うが、言うは易しであり、そのメンタルを勝負どころで体現することは至難の業だ。それでも、ここまで言い切れるのは、「全員がディフェンスに自信を持っていて、チームとして集中していれば守り切れるという自信もあります」と語るように、自信があることに加え、それをチームで共有できているからだ。 それでも一例として、天皇杯決勝で千葉ジェッツの富樫勇樹に決勝3ポイントシュートを許したことを自分の責任と捉え、「詰めの甘さがディフェンスにある。今シーズンのディフェンスに関しては微妙かなって感じです」と、意外にも低い自己評価を下す。 安齋コーチ「責任を取れるメンタルになってきている」 遠藤は川崎との第1戦で18得点、第2戦では20得点と、チームのリーディングスコアラーとなり勝利に貢献した。中でも特筆すべきは第1戦の9得点、第2戦の10得点を最終クォーターに固めて取っている点だ。 栃木を指揮する安齋竜三ヘッドコーチも「本当に信頼しています」と遠藤のオフェンス面での勝負強さを称賛する。「本人も自信を持っていると思うし、そういうところの責任を取れるメンタルになってきている。ああいう時(終盤)に逃げたいっていう選手は結構いると思うんですけど、今シーズンの遠藤は『自分が決めなくて負けたら、自分のせいでいい』っていうメンタルが出来上がっている。それが自信になっているし、良い方向に出ている」 遠藤も「今シーズンに入ってから、ああいう場面で任される場面も多くなりました。自分が外しても仕方がない、じゃないですけど、気楽に打てるようになったし、消極的になってミスをするより決めきれなかったほうがメンタル的にも次に繋がる気がする」と、割り切った思考が現在の好調の要因と捉えている。 こうした遠藤の成長は、期待されがらも思うような結果を残せなかった昨シーズンの経験があってこそ。昨シーズンの栃木は、初年度のBリーグを制した優勝メンバーの多くがチームを去った。そのため、最優秀守備選手賞を受賞した遠藤には、2ウェイプレーヤーとしてさらなるステップアップが期待されたが、シュート精度は下がり、平均得点が微増したにとどまった。 「去年の前半戦で悩んだ分、それが今の自分のスタイルに繋がっています。昨シーズンがあったから、良い調子でできている」 生みの苦しみを乗り越え、指揮官からの絶大なる信頼を勝ち取った遠藤は、王座奪還を目指す栃木を成長しながら牽引している。2019/01/28Bリーグ&国内
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勝負どころの差を受け入れつつ収穫も得た篠山竜青「もっと自分が責任感を持って」「共通認識を持てば、それぞれの強みを出せる」 1月25日、26日と川崎ブレイブサンダースは敵地で栃木ブレックスと対戦。11月23日、24日の直接対決で連敗を喫した雪辱を果たすべく臨んだが、25日は試合終了直前に勝ち越しを許し78-79で敗れ、昨日も終盤までもつれる接戦に持ち込みながら、ここ一番における攻守の遂行力で下回って57−68と競り負け、返り討ちに遭ってしまった。 昨日の試合では、バーノン・マクリンがフィールドゴール18本中15本成功の31得点と大暴れ。しかし、エースのニック・ファジーカスが14本中6本成功の16得点に留まると、それ以外の選手は計10得点しか挙げられず、守備の踏ん張りを白星へ繋げることができなかった。 自身もフィールドゴール9本中0本成功と厳しい結果に終わった篠山竜青は、次のように敗因を語る。「勝敗を分けるような局面で栃木さんはやりたいことがはっきりしていました。逆に僕らは、勝負どころになった時に『さて、どうしますか』という感じになってしまいました。昨日もそうでしたし、チームとして勝負どころでこれをやろうと明確にするところでの差がありました」 「一人ひとりがアタックできる能力を川崎は持っているので、しっかりと共通認識を持てば、もっとそれぞれの強みを出せて戦えます。ただ、今は『この場面ではこれで行こう』というはっきりとしたものが見えていない感じがしています」 「クラッチタイムは自分でという責任感を持たなければ」 今シーズン、川崎は大黒柱のファジーカスが、栃木戦において4試合すべてで20得点以下に終わったことも対栃木4連敗となった少なくない要因だろう。シュートレンジの広さと巧さで相手を攻略するファジーカスの緩急をつけた動きにも、バスケIQが高くフットワークに長けたライアン・ロシターは対応できる。それでタフショットを強いられる相性の悪さが目立つ。 それでも、ファジーカスが抑えられたら負けるチームではいられないわけで、篠山はこう言う。「ニックがどことやってもマークされるのは分かっています。ニック以外でも勝負を決められるところを体現していきたい。ニックの調子が良かったら勝つ、悪かったら負けるというのはなくしていきたいという思いはあります」 だからこそ「ニックがマークされていて、ロシターとの相性も良くない。辻(直人)とのピック&ロールでも激しく寄られてうまくいかない中で、『どうやって攻めるんですか』というところが明確になっていない。そういう感覚が僕の中にあって、迷いに繋がっています。もっと自分が責任感を持って、クラッチタイムは自分でという責任感を持たなければ」と反省を口にする。 ただ、厳しい結果になる中でも収穫はある。ファジーカスは自身がリズムに乗れない難しい状況においても、利己的にならずチーム第一の姿勢を通し、マクリンとのツインタワーの連携は着実に良くなっている。 「ニックはシュートが外れてもムキにならず、自分がローポストから攻めるとボールを要求するのではなくバーノンに任せてしっかり外に開いてスペーシングを作っていました。細かいところですけど、そういう彼らのコンビネーションの改善は僕らからしたら、何か光を感じるところはあります」 「確実に少しずつ前に進んでいると思ってやっています」 11月の対戦時、川崎は79-86、75—79で敗れており、これで栃木とは4試合続けて接戦を落としたことになる。しかし、篠山は「前回、等々力とやった時より戦える手応えはありました」とスコアには出ない収穫があったと見ている。 「前回は点差以上にやられた感じがありました。今回に関してはテーマにしていたディフェンスの激しさ、オフェンスリバウンドを取らせないことに、まだまだ改善の余地はありますけどフォーカスできていました。例えばハセ(長谷川技)は5ファウルで退場してしまいましたけど、ボックスアウトのところで身体を張ってくれました。みんなの意識は変わっています。前回の試合後は本当に『どうしましょうか、ここから』という感じでしたが、今回はこういう戦いで積み上げていって、あとは勝負どころだよね、という感じになってきているとは思っています」 その上で、勝負どころでの遂行力を高めることに加え「栃木さんみたいな激しいディフェンスに対し、いかに早く慣れて良い判断をしていけるかが今後の課題だと思います」と、ガード陣が的確なプレー選択でターンオーバーを減らしていくことを重視する。 これで川崎は21勝14敗となかなか貯金が増えない。NBL時代の2013-14シーズンから悪くても7割近い勝率を残していた常勝軍団としては苦戦している。しかし、その中でもチームは徐々にではあるが良くなっている。篠山も「見ているファンの方にもどかしい思いをさせていると思いますが、確実に少しずつ前に進んでいると思って僕らはやっています」と力強く語る。 今節を終え、川崎は中地区首位の新潟アルビレックスBBとのゲーム差が広がってしまった。30日の首位攻防戦において、より勝たないといけない状況になったことは間違いない。上位戦線に踏みとどまるためには、まさに正念場の一戦となってくる。2019/01/27Bリーグ&国内
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集中力を欠き、らしくなかったアルバルク東京の馬場雄大「まだまだ自分は甘い」ターンオーバーを連発し「チームに迷惑をかけた」 アルバルク東京は千葉ジェッツとの水曜ナイトゲームを、2点差で落とした。 A東京のペースで試合が進み、8点をリードして前半を折り返したが、第3クォーターに落とし穴が待っていた。ターンオーバーから速攻を何度も許し、12-26のビッグクォーターを作られ、一気に形成を逆転された。 A東京を指揮するルカ・パヴィチェヴィッチは試合後、「第3クォーターがすべて。ターンオーバーから走られ、イージーバスケットを許した。千葉の勝ちパターンをやらせてしまった」と敗因を分析した。 その第3クォーター、馬場は4点差に迫られた残り8分32秒からコートに立ったが、そこから3つのターンオーバーを犯しそのすべてが失点につながった。火消し役となるはずだったが、火に油を注ぐ結果となり、馬場がコートに立った約5分間は8-18と大きく水をあけられた。 交代を告げられた場面、コートサイドでルカコーチにこっぴどく叱責を受ける馬場の姿がそこにはあった。 馬場は今シーズンワーストとなる、5つのターンオーバーを記録した。「集中を欠いたプレーでチームに迷惑をかけたの一言です」と試合を総括し、「ルカコーチも試合前に、リバウンドとターンオーバーだと言っていたので、僕の責任だったんじゃないかって思います」と自分を責めた。 ボールをファンブルするなど不用意なミスもあったが、馬場だけが悪いとは言えないターンオーバーもあった。ローポストのミルコ・ビエリツァにパスを送り、マイケル・パーカーにパスカットされ、速攻を許した場面はそのうちの一つだ。 出し手が悪いか受け手が悪いか意見が分かれるところだが、馬場はどちらにせよ、コミュニケーション不足だと認めた。「ミルコ選手もあまりプレータイムがなく、久しぶりの試合で上手に意思疎通ができていないかったのが事実です。それがあのターンオーバーにつながったと思う。そこのズレを合わせていかないといけない」 また、ターンオーバーによる自責の念に駆られ、馬場の表情は終始沈んでいた。馬場も「普通の状態ではなかったです」と話し、「やはりミスを気にしてプレーに集中できなかったことも事実です。まだまだそういう部分で自分は甘いと思う。自分自身だけならいいんですけど、ターンオーバーをしてチームに迷惑をかけたというのが。プロとしてやるべきことではなかったと反省してます」 「僕のプレーは気持ちで左右されることが多い」 自分を責める馬場だが、試合を通して8得点7リバウンド4アシスト1スティール1ブロックとチームへの貢献度は高い。また最終クォーターに14点のリードを許しながらも、馬場のダンクで1点差まで詰め寄り、ラストショットが入れば逆転というところまで試合を盛り返したことは収穫に値する。 それでも馬場は「スイッチを入れるのが遅かったです。10点開いてからスイッチを入れたのでは、勝てるわけないですし、あらためて自分の甘さについて考えないといけない」と、ネガティブな面ばかりに目を向ける。 それは自分が主力であることに加え、メンタルにプレーが左右された己への戒めでもあるのだ。「僕のプレーは気持ちで左右されることが多いです。集中力が切れると外のシュートも入らなくなりますし、全部メンタルがプレーに影響してくると思うので。集中力を切らさなかったら、僕自身それなりのプレーはできると思っています。根本はメンタル、反省して残りの試合を戦っていきたいです」 昨日の試合は結果的に2点差で敗れたが、A東京は直近5試合中3試合が2点差以内の敗戦となっており、天皇杯での千葉戦も含めれば、実に4試合で2点差以内の接戦を落としている。「クロスゲームをモノにできないケースが多々あって、それはメンタルの部分だと思います。もう負けられない試合が続くので、こういう試合を糧にしていくしかないです」と、馬場は最後までメンタルの重要性を説いた。 現在A東京は21勝12敗。リーグ5番目の好成績ではあるが、思うように勝ち星が伸びず、過去2シーズンのような絶対的な強さを見せられていない。それでも、こうした経験を経て、馬場が鋼のメンタルを備えることができれば、A東京のレベルはもう一段階上がるはずだ。2019/01/25Bリーグ&国内
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薄氷の勝利に胸をなでおろす千葉の富樫勇樹「勝って反省ができるのは良かった」パーカーを称賛「無敵のスターをゲットしたマイク」 千葉ジェッツとアルバルク東京による強豪同士の一戦は、81-79で千葉が勝利し、今シーズン2度目の10連勝を達成した。ディフェンスから一気に走る、千葉のトランジションオフェンスが効果的に決まり、第3クォーターを26-12と圧倒したことが勝因となった。 「ファストブレイクだったり、ディフェンスもかなり堅く、かなり苦しんだ立ち上がりでした」と富樫勇樹が振り返ったように、一時は2桁のビハインドを背負うなど、前半はA東京のペースで試合が進んだ。それでも「臆せず1点、2点と少しずつ追い上げていけるチームになった」と、我慢の時間帯を乗り越えてビッグクォーターを作り出した。 そして、「マッチアップゾーンの頻度を増やした」という大野篤史ヘッドコーチの指示が功を奏し、A東京のオフェンスを停滞させた千葉は、アウトナンバーからのアーリーオフェンスやターンオーバーからの速攻を連発した。富樫は試合を通して12得点7アシストを記録したが、そのうち7得点3アシスト2スティールが第3クォーターに集中している。 それでも、この第3クォーターに富樫以上の活躍を見せたのがマイケル・パーカーだ。富樫が「マイクが乗りに乗ってた気がします。その時は1人で5人分の役割をする選手だと思っていて、無敵のスターをゲットしたマイクだった(笑)」と称賛したように、パーカーは12得点2スティール2ブロックショットを記録し、貢献度を表すefficiencyの数値は脅威の18を示した。 トランジションオフェンスが千葉の強みであるとはいえ、A東京を相手にそれを体現できたのは大きな意味を持つ。もちろんパーカーの高いアスレチック能力は称賛に値するが、それを全面的に引き出した富樫の貢献度も評価されるべきだ。それでも富樫は「彼らはアウトナンバーができた時に、常に走るというメンタルが出来上がっている選手です。ガードとしてそれは見逃さない、それだけです」と、サラリと言ってのけた。 天皇杯を思い起こさせる、終盤の失速 千葉は第3クォーターで試合をひっくり返し、最終クォーター残り3分15秒には、この日最大となる14点のリードを奪った。この時点で千葉が勝利を手中に収めていたと誰しも思ったはずだが、ここからA東京に猛追された。 慢心があったようには見えず、丁寧に時計を進めようとした結果、プレーがソフトになった印象を受けた。バスケット・カウントを連続で許してリードを吐き出し、残り7秒には馬場雄大のダンクを浴びて、ついに1点差まで迫られた。最終的に逆転を狙ったミルコ・ビエリツァの3ポイントシュートが外れて逃げ切った千葉だが、そうした展開に持ち込まれたことに問題がある。 この光景は天皇杯の準々決勝、川崎ブレイブサンダース戦と酷似している。残り59秒で10点をリードした千葉だったが、前線から激しいプレッシャーを食らい、連続でターンオーバーを犯した。そして、ラスト2秒、藤井祐眞の3ポイントシュートが外れたことで千葉が勝利した。ターンオーバーの内容に違いはあれど、同じ轍を踏んだと言っていい。 富樫も「時間がなく10点差開いている中で詰められて、最後決められたら負けるショットまでいかれたのは確実に反省しなければいけない」という。それでも「個人で解決できることだと思っているので、あまり大きい課題には感じていない」という言葉にはいささか驚かされた。 「意識を変えられれば、あのミスはなくなる」 残り13秒、富樫はファウルを受けたと思いプレーを止め、自らサイドラインを割るターンオーバーを犯した。またその直後には、サイドラインからのリスタートの場面で、5秒バイオレーションを取られポゼッションを明け渡した。富樫はそうした2試合の終盤のミスをこのように振り返った。 「5秒バイオレーションも、他の選手が空いたと思ってしまい、そこにパスが行くだろう、そしてファウルをするという思いがあり、動かなければいけないところで動かなかったです。ベースラインからインバウンドの時に、だいたい2人のディフェンスが自分についてきます。もう一人が1対1の状況なので、そっちにボールを受けてもらいたいという気持ちは少しありました」 終盤の失速は弱気なメンタルや、コミュニケーションミスが原因で起こったことだという。「自分の意識を変えられれば、あのミスはなくなる」と話し、変える自信があるからこそ、富樫はそれほど大きな問題と捉えていない。 「終わり方の部分はもちろんガードとして反省はありますけど、勝ってその反省ができるのは良かった」と総括した富樫。課題と収穫の両方が見えた試合で勝ち切ったことは、チャンピオンシップを見据える上でも大きな1勝となったはずだ。2019/01/25Bリーグ&国内
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通算1万得点という金字塔を打ち立てた折茂武彦、北海道のファンと偉業達成を祝う「現役である以上、この数字はまだまだ伸びていく」 1月23日に行われたレバンガ北海道vs秋田ノーザンハピネッツの一戦では、国内トップリーグ通算1万得点という折茂武彦の大記録をファンとともに祝う『折茂武彦1万得点達成記念フェス』が行われた。 会場には『折茂フェス』と銘打った過去のユニフォームやボールなど折茂の長いキャリアを彩ったグッズが展示され、ファンが折茂へのメッセージを書き込むメッセージボードも登場。ティップオフ前にはセレモニーで鏡開きも行われた。かつての日本代表の盟友、佐古賢一も北海きたえーるに来場し、まだまだ現役を続ける同級生の48歳を激励した。 一般的な『ベテラン』より10年以上も長く現役生活を続け、勝負強いシューターとして得点を伸ばし続ける秘訣を問うと、折茂は「秘訣はないです。26年間、積み上げてきたものなので」と答える。 「僕の歴史でもあるし、僕が一番こだわってきたものなので。1万得点という数字にたどり着いたのは非常にうれしい。現役である以上、この数字はまだまだ伸びていくもので、基本的には意識しません。終わった時に何点だったのか、どうだったのか、自分がこれだけのことを残したというのが分かればいいと思っています。現役である以上は、コートに立った時はチームのために何ができるかを意識してやっています」 「皆さんの応援がなければなかった数字」 その折茂を祝福し、チームの勝利を願って会場に駆け付けたファンの数は2631人。平日ナイトゲーム開催、しかも札幌は大雪とあって北海きたえーるでの試合としては今シーズン初めて観客動員が3000人を下回り、秋田に後半突き放される敗戦となったが、会場は熱気に包まれた。 トヨタ自動車を離れて北海道に渡ったのは2007年のこと。実業団からプロへと転身してからの折茂は、北海道のバスケットボールファンとともに長いキャリアを歩んできた。 「1万点はトヨタ自動車の時代から積み重ねてきたもので、北海道に来る前と来てからの得点がちょうど半分ずつぐらいなんです。最初は1シーズンが10試合だけ。16試合とか20何試合しかなかった時代が長く続きました。その試合数が増えて、Bリーグになってさらに増えて、だから僕の点数も伸びている。あらためて皆さんの応援がなければなかった数字だし、北海道に来ていなければこれだけ長く現役を続けることもなかったと思います。今までトヨタ時代を応援してくれた人、北海道の道民の人たちに支えてもらって応援していただいたので、感謝してるということが一番です」 特典多数アリの『折茂フェス』はまだまだ続く! 北海道は25日と26日にも京都ハンナリーズを北海きたえーるに迎えるため、4日間でホーム3連戦という過密日程。この3試合すべてが『折茂フェス』に設定されている。23日はクリアファイル、25日はキーホルダー、26日はタオルが先着で、また3日間すべて来場したファン全員に「1万点記念ボード」がプレゼントされる。 この応援ボードは、2月1日までの期間、レバンガ北海道のソフトバンク公認ショップに持っていくことで先着で特製クリアファイルがプレゼントされ、さらに折茂のサイン会への参加に抽選できる。このサイン会には、期間中に店頭でソフトバンクの回線契約をしたファンはもれなく参加できる。折茂のファンには見逃せない特典だ。 公認ショップの詳細はこちら。2019/01/24Bリーグ&国内
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川崎ブレイブサンダースは5連勝、ファジーカス「正しいプレーをすれば勝てる」「タフなチーム相手には少しのミスが大きな痛手となる」 1月23日、川崎ブレイブサンダースは敵地で横浜ビー・コルセアーズと対戦。第1クォーターで9点のリードを許すなど先手を取られるも、すぐに盛り返すと第4クォーター序盤に激しいディフェンスからの連続得点で一気に突き放し、79-70で勝利した。 この試合、川崎のニック・ファジーカスは「序盤はシュートミスもあったけど、試合全体でフィールドゴール22本中13本成功は良い数字」と振り返るように、第1クォーターでのフィールドゴール7本中3本成功から持ち直して28得点と、いつも通りの支配力で勝利に貢献した。 一方でチームとしては試合を通してパスミス、キャッチミスなど凡ミスも目立ち、北卓也ヘッドコーチも「内容は良くなかった」と振り返っている。この点についてはファジーカスも「ミスが多かったことに少しフラストレーションはある。練習からこの点については話しており、チームがより一体となって修正しているところだ。タフなチーム相手には少しのミスが大きな痛手となってしまう」と同じ意見だ。 その上で「どんな勝利でも素晴らしいものだ。イージーだったのか、ひどいプレーだったのか、内容に違いはあっても最終的にはいかなる試合でも勝利が必要だからね」と、苦しみながらも勝ちをつかめたことへの手応えもある。 これで連勝を5に伸ばした川崎だが、明日、明後日と難敵の栃木ブレックスに挑む。今回のような凡ミスが多い内容では勝てない相手であることはファジーカスも十分に理解している。しかし、「自分たちが正しいプレーをすればどんな相手にでも勝てる。栃木相手にも良いプレーができることを期待している」と、本来の力を披露できれば結果はついてくるとの自信がある。 「5月にベストなバスケットボールをすることが大切」 栃木は比江島慎という強力な戦力を加えているが、だからこそ試行錯誤している部分もあると見ている。「マコ(比江島)のことは好きだし、素晴らしい選手だ。ただ、今の栃木は彼が加入して、チームに馴染ませるためにも試合でシュート打たせ、ボールタッチをさせている状況だと思う。それにより、これまでのチームと違ってくる面はあると思う。さらにチーム力を高めていくための『産みの苦しみ』はあるだろうね」 そして、エドワーズの故障離脱により「爆発力の面で影響はある」と語るチーム事情の中、ライアン・ロシター、ジェフ・ギブスという栃木の強力インサイド陣を相手にしても、ゴール下でしっかり存在感を発揮することが自分に求められてくると意義込みを語る。 「テンポをコントロールして、ペイント内での良いシュートを打つこと。ゴール付近から自分が決めることでチームに自信をもたらしたい。これこそ自分が集中しているところで、ポストでのボールタッチを増やしていきたい。そこから展開してアウトサイドからのシュートを決めていき、オフェンスがうまくいくようにしていきたい」 これからシーズンもいよいよ後半戦に突入する。下馬評では地区優勝の大本命に推す声も多かった川崎だが、現状は中地区の2位であり、地区首位に早く追いつき、追い越せといきたいところではあるが、「まだ1月だから焦る必要はない。5月にベストなバスケットボールをすることが大切だ。今は試合を楽しんで目の前の勝利をつかむことに集中している」と、ファジーカスは冷静にとらえている。 その上で自身のプレーについては「今はアグレッシブにプレーしていくだけ。3本続けてシュートを外したら、次の3本を続けて決めてやる気持ちを持つことだ。時にはすべてのシュートを決めなければいけないと思うこともあるけど、バスケットボールはそれができるスポーツじゃない。そのことは自分に言い聞かせている」と意識している。 「栃木戦は今のチーム力を図る絶好のテストとなる」と語るが、それはファジーカス自身の復調ぶりを見る意味でも同じことが言える。注目の連戦でどんなプレーが見られるかが楽しみだ。2019/01/24Bリーグ&国内
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欠場したからアシスタントコーチ? オールスターで新しい刺激を得た田臥勇太ルカコーチからの指令「今日は君がアシスタントだ」 栃木ブレックスの田臥勇太は、腰を痛めたことで昨年10月下旬から欠場が続いている。それでもBリーグオールスターには、ファン投票で選出され、富山総合体育館にやって来たが、やはりプレーはかなわなかった。それでも栃木でそうしているようにチームのサポート役に回り、大会の盛り上げに一役買っている。 いつもはバスケットにどこまでも真摯に打ち込み、チームの勝利をストイックに追求しているだけに、こういう機会でだけ見せる田臥の『素の表情』は魅力的だ。プレーはできなかったが、多くの選手に自分から積極的に絡み、ファンサービスに勤しみ、オールスターという『バスケの祭典』を存分に楽しむ田臥の姿がそこにはあった。 「年に一度の機会なので、プレーできず残念です。今回は(ルカ・パヴィチェヴィッチ)コーチから『今日は君がアシスタントコーチだから隣に座れ』と言ってもらって、ベンチで横に座って新しい経験ができるぞと楽しみにしていたんです。ですが、試合が進むうちにリードされていたこともあってコーチが本番さながらに熱くなってしまって、アシスタントの存在は忘れちゃったみたいです。結局、僕は何もしませんでした(笑)」と田臥は冗談まじりでオールスターを振り返った。 「ブレックスとして1試合1試合を大事に」 初のコーチ業がうまく行かなかったのは残念だが、それでも田臥はプレーヤーとして戦線復帰を前にオールスターで新たな刺激を得られた様子。「こうして全チームの選手が集まってファンの方々の前でプレーすると、あらためてBリーグを盛り上げたいって気持ちになります。後半戦も全チームで激しく戦ってレベルを上げて、見ている方々に喜んでいただけるバスケットをしたいです」 プレーできなかった悔しさは当然あるが、「この気持ちは後半戦にぶつけたいです」と、それも力に変えていく。「ブレックスとして1試合1試合を大事にして、後半戦もっとギアを上げられるように頑張ります」との言葉を残し、田臥はまた戦いの日々に戻っていく。 今週は水曜にサンロッカーズ渋谷と、金土で川崎ブレイブサンダースと、4日で3試合というタフなスケジュール。インフルエンザでオールスターを欠場せざるを得なかった渡邉裕規とライアン・ロシターのコンディションも気になるところ。それでもオールスターで活力を得た田臥がチームリーダーとして存在感を見せることで、栃木にはまた新たな力が注入されるはずだ。2019/01/23Bリーグ&国内
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オールスターで刺激を得てリーグ後半戦へと意気込む金丸晃輔、岸本隆一、宇都直輝1月19日のBリーグオールスターは盛況のうちに幕を閉じたが、先週も今週もリーグ戦はミッドウィーク開催が組まれており、『オールスターゲーム』はあっても『オールスターブレイク』はない。選手たちは『バスケの祭典』を楽しみながらも、ここからポストシーズンを見据えて加熱するリーグ戦をどこか意識していた。 オールスターゲームを終えたばかりのシーホース三河の金丸晃輔、琉球ゴールデンキングスの岸本隆一、富山グラウジーズの宇都直輝に、『バスケの祭典』の感想とリーグ後半戦に向けた抱負を聞いた。 金丸晃輔「3ポイント乱射に失敗しました(笑)」 B.WHITEでファン投票の最多得票を集めてキャプテンとなったシーホース三河の金丸晃輔は「いやあ、3ポイントを乱射しようと思っていたんですけど、できませんでした。3ポイントシュートコンテストで優勝してホッとしすぎて気が抜けたんかなって思いました。うまくプレーに集中できませんでした」と苦笑い。「タツヲも連れて来れずに申し訳ないです。あんなこと言って、期待してくれた方には謝るしかないです」と恐縮しきりだった。 思っていたような仕事は果たせなかったかもしれないが、3ポイントシュートコンテストの優勝は果たせたし、オールスターを楽しむことは十分にできた。「楽しかったです。いつも敵として戦う選手、普段できないメンバーとプレーできるのはシンプルに楽しいし、一緒にバスケットができて刺激になりました」 すぐにリーグ戦が再開する。三河はここまで16勝16敗の勝率5割と、常勝チームとしての期待に応えられていない。「これから後半戦、チームの調子がどんどん上がっていくように、僕もまた頑張らなきゃいけないと思っています」と、エースとして三河を引っ張ることを誓った。 岸本隆一「遠いところから1本決められて満足です」 琉球ゴールデンキングスの岸本隆一も、質問するまでもなく「楽しかった!」という表情を満面に浮かべてコートから引き上げて来た。「遠いところからの3ポイントシュートが僕には期待されているのかなと思ったので、狙っていました。今日は遠いところから1本決められて満足です」と語る。 実際、3ポイントラインのはるか手前、ハーフコートラインとの中間あたりから思い切り良く放った超ロングシュートを決めている。「バンクショットを狙ったわけじゃないんですけど、まあ入れば勝ちなので(笑)。入る道筋が見えたので、思い切って狙いました」 「今日は本当に良い時間を過ごさせてもらいました。この場に立てたのは何よりも日頃から応援してくれる方々のおかげです。その感謝の気持ちを、これからの後半戦でのプレーと結果で返していきたいので、気を引き締めてまた戦っていきたいと思います」 宇都直輝「僕次第で富山はもっと良いチームになれる」 富山グラウジーズの宇都直輝は勝手知ったる富山市総合体育館でのプレー。「アップができなかったのでダンクは難しいと思い、アシストを狙うと言っていました。実際、水戸(健史)さんと(大塚)裕土にアシストできたし、中部第一の元チームメートの(張本)天傑にもアシストできたので、そういったところはすごく楽しかったです」とオールスターを楽しんだ様子。 富山は過去2シーズンは降格危機と戦ってきたが、今シーズンは18勝14敗と勝ち越しており、後半戦は初のチャンピオンシップ出場を目指しての戦いとなる。オールスターの盛り上がりをリーグ戦に持ち込むのが、富山の3選手にとっては共通の目的。宇都は個人として前半戦の出来に満足できておらず、自身の活躍でチームをさらに浮上させると意気込む。「チームはすごく調子が良いので、これに僕の調子が乗っかってくれば、さらに脅威になれると思っています。そのために自分もしっかり練習して、水曜日の新潟戦で1勝して波に乗りたい」 個人としての飛躍のきっかけは『ワガママ』になることだ。「阿部(友和)さんがコントロールしているので、僕が同じことをやっても仕方ない。僕としては、もっともっと積極的に行って、自分の良さ、これが僕のバスケットだというのをファンの皆さんや相手に見せ付けること。僕次第で富山はもっと良いチームになれると自分の中では思っています」 オールスターは楽しかったが、あくまで『お祭り』。明日からリーグ戦という『勝負』が再開される。オールスターで楽しみを提供してくれた選手たちが、真剣勝負の舞台に戻り気迫あふれるプレーを見せてくれることを期待したい。2019/01/22Bリーグ&国内
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妻のユニフォームでダンクコンテストに挑戦した藤髙宗一郎「めっちゃ楽しかった」栗原三佳のユニフォーム「マジのやつです」 週末に行われたBリーグオールスターのダンクコンテスト。ここで爪痕を残したのが大阪エヴェッサの藤髙宗一郎だ。リーグ屈指のアスレティック能力を武器に、リーグ戦でもたびたびダンクを決める藤髙だが、『魅せるダンク』の採点制となるダンクコンテストには不利を承知での出場。ここで「僕は大阪人やから何かしないといけない使命感があったので」と『仕込み』を行った。 ダンクコンテストでライバルとなったのはマーキース・カミングス(名古屋D)とギャビン・エドワーズ(千葉)。彼らに勝つために、藤髙は登場するなり手にした包みから『忖度まんじゅう』を取り出して大河正明チェアマンを始めとする審査員に配った。『忖度まんじゅう』はエヴェッサのパートナー企業が作っており、新しい大阪土産として猛烈プッシュ中。オールスターでPR効果は満点だったに違いない。 藤髙の仕込みは2段構えだった。ダンクに入るかと思いきや、おもむろに大阪のユニフォームを脱ぐと、中に着ていたのは『トヨタの24番』。遠目からだとデザインが似ているため「田中大貴?」と観客の頭には「?」が浮かんだが、藤髙が振り返ってアピールする背中のネームは「KURIHARA」。一昨年に結婚した栗原三佳の、トヨタ自動車アンテロープスのものだ。 藤髙は「これはマジの奥さんのやつです」と、レプリカではなく本物であることを明かす。確かにサイズは合っておらずピチピチだ。「ダンクコンテストでユニフォームを着たいと相談して、向こうのチームのフロントに確認を取ってもらって。そしたら『是非使ってください』と言っていただいたので。上だけでなく下のズボンまで貸してもらえました(笑)」 女子日本代表のシューターとしてリオ五輪で爽快な活躍を見せた栗原は、トヨタ自動車では旧姓で、日本代表では藤髙の登録名でプレーしている。彼女が所属するトヨタ自動車アンテロープスはノリの良さが特徴で、公式戦でもベンチメンバーは会場を盛り上げる。Wリーグのオールスターでもトヨタ自動車のメンバーが様々な『仕込み』に全力投球だった。 藤髙も「Wリーグのオールスターで『U.S.A』を踊ったりしていましたよね。ああいうのを見て、僕も何か準備しなきゃと思いました」と、妻のチームにインスパイアされていた。 #Bリーグオールスター惜しくも決勝進出ならずでしたが迫力あるダンクを披露しました💪#大阪エヴェッサ #藤髙宗一郎 pic.twitter.com/2sqlh6ON9B— 大阪エヴェッサ (@osakaevessa) 2019年1月19日 「つかみはOK」からリバースダンクを決めた藤髙に対し、審査員からは「10」の評価が並ぶ。ただし、こちらも場の流れを理解していた森矢カンナさんが贈賄に怒りの「6」評価で敗退。それでも藤髙のサービス精神はダンクコンテストを大いに盛り上げた。 「素直にめっちゃ楽しかったです。忖度まんじゅうも笑ってもらえましたし。ダンク自体はそんなにレベルの高いものではなかったので、今回は60点ぐらいの出来ですね。また機会があったらチャンレンジしたいし、次は優勝したいです」と藤髙は言う。 藤髙にはダンクコンテストの常連として、仕込みもダンクも年々レベルアップさせて外国籍選手と渡り合い、上回る存在になってもらいたいものだ。今回のダンクコンテストではギャビン・エドワーズが、チームメートの富樫勇樹のアシストを受けて優勝のダンクを決めた。「来年は夫婦での出場を」と願うファンはきっと大いに違いない。 Bリーグオールスターのダンクコンテスト、「マジのやつです」という奥様のジャージー(ピッチピチ)でぶちかました藤髙選手。忖度まんじゅう不発で優勝を逃しましたが、来年はソウさんのアシストでダンク決めて優勝しましょう!https://t.co/2UHoIXR5nW pic.twitter.com/LxjhIZniSZ— バスケット・カウント (@basket_count) 2019年1月20日2019/01/21Bリーグ&国内
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地元凱旋のオールスターでダンク連発の馬場雄大「空いている時は全部狙いました」優秀選手に選ばれるも「次はMVPを取りたい」 昨日行われたオールスターゲーム、B.BLACKのスタメンとして出場した馬場雄大は、MVPこそ逃したものの大会の主役として大きな存在感を見せた。24分の出場で23得点、決めたダンクは6本。これはギャビン・エドワーズ、ジェフ・ギブス、ロバート・サクレの5本を上回るゲームハイの数字で、『オールスターの華』であるダンクで大会を盛り上げた。 「周りの先輩方が『お前の舞台だ』、『思い切りやれ』と言ってくれたおかげです。空いている時は全部狙いました。富山での開催ということで特別な思いもあったので、そこは自分がという思いでした」と馬場は言う。 自身の代名詞であるダンクは「空いている時は全部狙いました」と連発。オールスターは真剣勝負ではないし、アップの時間も十分に取れないため、ダンクを狙うことにはリスクもある。それでも馬場は「田臥(勇太)さんとか(田中)大貴さんとか、みんなに『ダンクだけやっとけ』と言われたので、その通りに(笑)」と渾身のダンクを決め続けた。 「強いて言えば、スティールからのダンク、僕の一番得意な形が一本もなかったので、そこが心残りですね」と振り返るのがプレー面。加えて言えば、MVPを取り損ねたことが馬場の負けん気に火をつけている。「正直、狙っていました。オールスターの独特の雰囲気でスタートして、やっぱりどうプレーしたらいいか分からない部分もあったので。でも今回は経験できたので、次はMVPを取りたいと思います」と、早くも次回のMVP宣言が飛び出した。 「真剣勝負もアリ、楽しむこともアリ」 地元の富山でのオールスターを、馬場は「あまりこういう『楽しむバスケ』をしてこなかったので」と苦笑混じりに振り返る。「プロになって新しい経験をこの富山県でできてありがたいと思います。こういうバスケットもあるんだよって、楽しむことが一番だと思うので、真剣勝負もアリ、楽しむこともアリというエンタテインメント性は良いと思いました」 「富山でMVPを取れなかった悔しさを、次のオールスターに繋げたいと思います」と馬場は言う。プロ1年目にしてBリーグ優勝を果たし、日本代表にも定着。良い経験も悪い経験もすべて成長の糧にする馬場の今後がますます楽しみだ。 /ALL★STAR GAME 2019#Bリーグオールスター\#馬場雄大 MVP狙いの豪快ダンク🏀夢の祭典もいよいよ大詰め!SNSでMVPを投票しよう!#バスケットLIVE でライブ配信中⚡➡https://t.co/PwWRJrUtrO#Yプレ会員ならLIVE見逃し見放題@B_LEAGUE— バスケットLIVE (@BASKETLIVE_JP) 2019年1月19日2019/01/20Bリーグ&国内
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オールスターの主役となった大塚裕土「富山をさらにバスケットで熱狂させたい!」「みんなが僕に点を取らせようと良いパスを」と感謝 1月19日に富山市総合体育館で行われたBリーグオールスターは、142-130でB.WHITEが勝利。そのB.WHITEから、会場を最も沸かせた大塚裕土がファン選出による大会MVPに輝いている。 「入場する時からワクワクして、プレーする時も本当に楽しかったです。前半はちょっとシュートが入りませんでしたが、後半は去年の分までババッと当たりが来て良かったです」と喜びを語る大塚は、前半こそ2得点に終わったが、第3クォーターに10分間フル出場で9本中6本の3ポイントシュートを決める20点の活躍。22分のプレータイムで6本の3ポイントシュート成功を含む24得点を挙げた。 最初の3ポイントシュート成功は第3クォーター開始直後。同じ富山グラウジーズでプレーする宇都直輝のアシストを受けて3ポイントシュートを沈めると会場は大いに盛り上がったが、「1本決まれば身体も軽くなるので」という大塚にとってはここからが真骨頂だった。ファストブレイクの2点シュートを挟んで、3ポイントシュートを4本連続で成功させ、大塚にパスが渡るたびに客席が息を呑むような雰囲気を作り出した。 前半は2得点だったシューターによる突然の『大爆発』について、「あれは大野(篤史)ヘッドコーチのおかげです。後半に富山の3人(大塚と宇都、水戸健史)を入れたのは流石だなって。あそこで雰囲気がガラリと変わりました」、そして「B.WHITEのみんなが僕に点を取らせようと良いパスを送ってくれました」と大塚は周囲のお膳立てに感謝する。 宇都はオールスター選出が決まった時から「水戸さんと大塚へのアシスト」を公約に掲げていたし、bjリーグ時代の秋田ノーザンハピネッツで大塚とチームメートだった富樫勇樹も「後半に大塚選手が乗った時点で、MVPをアシストしようとみんなで話し合っていました。勝たなきゃMVPはないので、まずは勝つこと。そして大塚選手に点を取ってもらおうとしました」と語る。 「皆さんの盛り上げで本当にプレーしやすかった」 そんなチームメートの協力に、会場の後押しも乗っかる状況で、大塚は次々とシュートを沈めていった。『非日常の舞台』であるオールスターの雰囲気を作ってくれたファンにも、大塚は感謝の言葉を忘れない。「レギュラーシーズンから会場を温めてくれるんですけど、さらに今日は全国各地からコアなブースターの皆さんも一緒に盛り上げてくださったので、本当にプレーしやすかったです。皆さんのためにも決めたいというのがあって、そんなパフォーマンスができて本当に良かったです」 去年のオールスターでは13分の出場で2得点と、他の選手の引き立て役に回ったが、今年は堂々の主役に。「こうなるとは全く予想していなかったんですけど、素晴らしい結末が待っていて、言葉では表せないぐらいバスケットをやっていて思い出になる一日になりました」と語る。 リーグ戦は23日からすぐ再開となる。富山はここまで18勝14敗と、Bリーグ3年目にして初のチャンピオンシップ出場を視界に入れているだけに、オールスターの熱気をチームの強さに変えて後半戦に臨みたい。大塚も「代表戦もあり、今回のオールスターもあって、バスケ熱が盛り上がっています。富山県をさらにバスケットで熱狂させられるように、グラウジーズが頑張っていきたい」とさらなる活躍を誓った。2019/01/20Bリーグ&国内