
『八雲学園』の検索結果
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大阪薫英女学院の前に散った八雲学園、奥山理々嘉「恩返しできなくて申し訳ない」エースの孤軍奮闘も、チームを勝利に導けず 女子の準々決勝4試合が行われたウインターカップ4日目。また一人、大会注目選手が姿を消した。奥山理々嘉を擁する八雲学園はベスト4を懸け、大阪薫英女学院と対戦したが、序盤のビハインドを最後まで覆すことができず、終盤に崩れ70-88で敗れた。 立ち上がり、強度の高い大阪薫英のディフェンスを前に八雲はミスを連発。高確率でシュートを決められ、前半を13点のビハインドで折り返した。そこから奥山を中心に反撃を開始し、6点差まで詰め寄る。最終クォーターのファーストシュートを沈めて4点差まで詰め寄ったが、反撃はここまでだった。 大阪薫英は追い上げられてもここで崩れず、メンタル面で八雲を上回った。イージーシュートを落として焦る八雲を尻目に、一人ひとりが強気にドライブを狙い、フリースローとレイアップで点差を広げていった。 奥山は必死に仲間を鼓舞したが、リカバリーすることはできなかった。「みんなコンディションも悪くて、苦しい顔をしてたので、ここで頑張るよっていう言葉を掛けたんですけど、それをまとめられなかったです。キャプテンとしての仕事はしたんですけど、プレーでもっとまとめられたら、もっと良いゲームができたし、今頃は笑っていたのかなって……」 奥山が言う「プレーでまとめる」というのは、スコアを挙げるということではなく、周りを生かすということだ。高木優子監督も「気負いすぎだし、自分でやりすぎ。自分に寄っているからパスをさばけばいいのに、打ってしまった」と奥山のプレーを評した。 また『ハイスピードバスケ』のスタイルを取る八雲だが、大阪薫英の遅攻に手を焼き、得意のトランジションバスケを体現できなかったのも敗因となった。「時すでに遅し。ディレイドされるから詰まっても返されちゃうんだよね。逆転できる感じはあったんだけど、良い場面で決めきれなかった」と高木監督は試合を振り返る。 「スーパースターになってくれることを期待します」 奥山は3試合連続40得点オーバーとなる44得点9リバウンドを記録し、大黒柱としての仕事は果たした。だが奥山以外に2桁得点を記録した選手はおらず、いつも以上に点数が偏った。ダブルチームを織り交ぜた徹底マークを受けたことで判断力が失われ、周りを生かすことができなかった。 「自分自身の1対1にヘルプが来て、決めきれなかったし、ファウルももらえなかったです。自分に寄せてもうちょっと周りを楽にしたかったんですけど、自分へのマークもキツかった中でプレーをしたので、判断力がなかったです」 また、焦りから本来のプレーができなかったことも認めた。「点数が足りなくて、焦って攻めきれなかったところがあるし、そこが課題です」 自身の出来としては、スタッツが示すように及第点以上の出来だったと言える。それでも、誰よりも責任感が強く、チームの勝利を望む奥山だからこそ、反省の弁ばかりが口をついた。 昨年は八雲を過去最高のウインターカップ4強へと導いた奥山だが、最後の冬は準々決勝で敗退となった。通学の時間を練習時間にあてるべく、高木監督の下に下宿するなど、2人は見えない絆でつながっている。そんな恩師に対し、「3年間でたくさんのことを学ばせていただいて、一回りも二回りも成長できました。自分のことを信じてずっと教えてくださったのに、恩返しできなくて申し訳ないです」と奥山は最後まで自分を責めた。 高木監督は敗因を語る際にあえて奥山を名指ししたが、それは誰よりも奥山を理解し、期待しているからだ。以前から「日本代表で活躍したい」と発言していた奥山へ、「スーパースターになってくれることを期待します」と言い残し、高木監督は会場を後にした。 高校バスケはこれで一区切りとなったが、奥山のバスケ人生はこれからも続いていく。2018/12/27プレーヤー
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ウインターカップ大会3日目の結果~男子シード校が登場、女子はベスト8が出揃う今日勝ったチームはセンターコートへ! 高校バスケの頂点を決めるウインターカップ。大会3日目の昨日は女子3回戦の8試合、男子2回戦の16試合が行われた。 女子では八雲学園と精華女子がオーバータイムにもつれる激闘を繰り広げた。エースの奥山理々嘉を止められず八雲学園に先行を許した精華女子だが、高さの不利をスピードとチームワークで埋めて食らい付く。3点差で迎えた第4クォーターの最後、ギャンブル的なスティールに成功し、そのまま持ち込んでの3ポイントシュートを沈めて同点に。それでも延長で力尽きた。奥山は初戦の41得点に続き43得点を記録。それでも「まだやれる。もっと思い切り良くアタックしたい」と今日行われる大阪薫英女学院との準々決勝に向けて意気込む。 県立津幡は前日の安城学園に続き聖カタリナ学園に68-58で競り勝った。小さなチームだがスピードには自信があり、トランジションのスピードと合わせのパスを積極的に狙っていくダイナミックなバスケットで連日の強豪撃破。公立高校ながらベスト8へと駒を進めた。 男子では前年王者の明成が登場。豊浦を相手に第1クォーターを21-8と突き放すと、ベンチメンバーを次々とコートに送り出す。優勝した昨年は3年生主体のチームで、今年は1、2年生が多い構成。それでも3年になりキャプテンを務める田中裕也を中心に、下級生にウインターカップのコートを経験させながらもリードを保ち、68-58で勝ち切った。 武蔵野の森総合スポーツプラザで、10時から女子の準々決勝が、11時40分と13時20分からは男子の3回戦がそれぞれ行われる。開幕からここまで4面コートだったが、明日からは1面に。今日勝ち上がったチームはセンターコートでプレーすることになる。 25日の結果 女子3回戦 八雲学園86(OT)82精華女子 大阪薫英女学院65-60アレセイア湘南 高知中央78-77県立四日市商業 県立津幡68-58聖カタリナ学園 桜花学園71-65浜松開誠館 昭和学院114-48長崎女子 京都精華学園78-59明星学園 岐阜女子87-69聖和学園 25日の結果 男子2回戦 開志国際101-79正智深谷 桜丘98-62高知中央 東海大学付属諏訪107-66文星芸術大学附属 延岡学園94-66金沢学院 羽黒97-80尽誠学園 実践学園104-77天理 福岡第一83-54東山 飛龍68-57北陸 前橋育英98-76岡山商科大学附属 明成68-58県立豊浦 県立能代工業65-58別府溝部学園 中部大学第一98-71新田 帝京長岡76-58日本体育大学柏 八王子学園八王子94-85県立長崎西 報徳学園59-54桐光学園 九州学院86-65高岡第一2018/12/26プレーヤー
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悲願の日本一を目指す八雲学園、エース奥山理々嘉は「勝ってナンボ」と勝利を追求41得点も「だらしないところがあった」と反省 ウインターカップ2日目、女子は2回戦が行われシード校が登場した。 奥山理々嘉を擁する八雲学園は105-56で県立徳山商工を下し、3回戦へ駒を進めた。スコアだけを見ればシード校の強さを見せた結果となったが、「前半は特に、相手にディレイドされて、自分たちの得意とする速い展開のバスケットができなかった」と奥山が振り返ったように、前半は37-29と8点のリードしか奪えなかった。 また副キャプテンの小村日夏理が第1クォーターに古傷の足の甲を痛め、足を気にしながらのプレーになったこともあり、得点が伸び悩んだ。 それでも後半に入ると、「リバウンドと走ることをチームでもう一度確認して入ったので、後半は良いプレーができた」と奥山が話すように、トランジションからの速攻が出始め、高さの利を生かし、第3クォーターを32-11と圧倒。その後も攻撃の手を緩めず、終わってみれば100点ゲームの快勝となった。 奇しくも県立徳山商工は、昨年のウインターカップで奥山が62得点を挙げ、1試合最多得点記録を更新した相手だったが、「去年は去年で今年は今年。新たな気持ちで向き合えた」と特別な気負いはなかったという。 その結果、奥山は3本の3ポイントシュートを含む41得点16リバウンド(8オフェンスリバウンド)のダブル・ダブルを記録した。それでも自身のプレーについては「イージーシュートを落とし過ぎてしまって、だらしないところがあったので。もうちょっと落ち着いて判断してプレーしないと、もっと上に行ったら守られてしまう」と厳しめの自己評価となった。 全員出場が叶わず「満足いかなかった」 U18アジア選手権と3x3アジア競技大会で銀メダルを獲得し、ウインターカップの得点記録保持者である奥山には、必然的に多くのメディアが集まる。そして聖和学園の今野紀花と同様に、特別措置となる別室での取材対応となった。 多くのメディアを前に「視線を感じます(笑)」と照れ笑いを浮かべる奥山だが、「これだけ注目していただいているので、自分自身頑張らないといけないなってあらためて思います」と気合いを入れ直している。 1試合のノルマを問われると、「40点以上は取りたい」とさらりと言い放つところが大物らしいが、それは単にたくさん点数を取りたいというエゴではない。「チームが勝てるのであれば自分は何点でもいいです。チームが勝ってナンボだと思うので」と何よりも勝利に直結するプレーをすることが大事と説く。 奥山を含め、先発メンバーは最終クォーター残り2分34秒でお役御免となり、控えメンバーへ後を託したが、3選手が試合に出場できなかった。奥山は以前の取材で「ウインターカップの特別な空間を後輩たちに感じさせたい」と話しており、後輩に経験値を積ませられなかったことを悔やんだ。 「ウインターカップという場所にたくさんの1年生が入っていて、それを経験させてあげたい気持ちが多かったです。もうちょっと前半を頑張っていれば、全員が出れたかもしれないので、自分としては満足いかなかったです」 エースとしてチームを牽引しつつ、キャプテンとして後輩たちの成長を後押しする奥山。日本一を目指す、最後の冬が今始まった。2018/12/24プレーヤー
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WCプレビューvol.17八雲学園(東京)奥山理々嘉&小村日夏理「感謝の気持ちと恩返しの気持ちを胸に」昨年のウインターカップで過去最高位となるベスト4に輝いた八雲学園。コート上では上下関係をなくし、2年生からキャプテンと副キャプテンを任された奥山理々嘉と小村日夏理は、ともに世代別の日本代表に選出されるなど、その実力は折り紙付き。最上級生となり最後の大会に臨む2人に話を聞いた。 「チームも成長してお互い強くなって会おうね」 ――あらためて八雲学園のバスケの特徴を教えてください。 小村 中も外もあって走る、超攻撃型バスケです。 奥山 高さもあるんですけど、その大きさに負けないスピード感は自分たちの長所です。大きい分、ディフェンスの粘り強さは少し足りないけど、みんなで一体となってカバーします。ディフェンスで低く頑張るというのは難しいんですけど、そこが課題と分かっているので、練習しています。大きいのにスローペースに感じない、スピーディーな展開です。 ――2人はともにアンダーカテゴリーの日本代表に選出されているので、チーム練習になかなか参加できないこともあると思います。その中でチームメートとコミュニケーションを取ることは難しいのではないですか? 奥山 ウインターカップ予選がそうだったんですけど、私はチームに迷惑をかけたなって思います。でも代表で自分たちは頑張って、成長して帰ることがチームにもプラスになると思ったので、帰ってきて気持ちがズレてるということはなかったです。 小村 チームの子たちと約束して出ていったので大丈夫です。私たちはアジア大会で成長して帰ってくるから、チームも成長してお互い強くなって会おうねって。 ――かっこいい! 完全に青春漫画の世界じゃないですか! 小村 オールジャパン予選の時は理々嘉が3x3の代表でいなかったんです。そうしたら、八雲のTシャツを着て『ガンバレ!』って写真がラインのグループに送られてきたんです。 奥山 普段は自分の写真とか撮らないですけど、それでも気持ちを伝えたくて。気持ちを一緒にしたくて送りました。 ――本当に仲が良いんですね。意見がぶつかりあったり、ケンカしたりしないんですか? 小村 ケンカはしないですね。理々嘉が率先して一つのことを言ったら、みんながそれに向かって頑張るみたいなスタイルです。 奥山 本当にみんな仲良いんです。 小村 理々嘉は手先が器用で、お菓子作れるんです。すごく女子力高くて、誰かのお誕生日ってなると、その子にケーキを作ってあげるんですよ。しかもホールの! ――すごい! それが仲の良い秘訣ですね。 奥山 昨年は日夏理にシュークリームを作ってあげたんです。すごく喜んでくれました。 小村 1人で全部食べました(笑)。 2人に共通する「恩返しの気持ち」 ――インターハイでは準々決勝で桜花学園に思わぬ大差で敗れました。順調に勝ち進んでいったチームに何が起きたのでしょうか? 奥山 自分たちで自分たちの首を絞めたというか、ずっと相手に好きなようにやられた感じでした。自分たちのことが全然できなくて、負のスパイラルみたいになってしまいました。 小村 桜花は桜花のプレーができていたけど、自分たちは八雲らしいプレーが思うように出せなかったです。ずっと桜花ペースで、自分たちで修正できなかったです。 奥山 でもあの試合が終わって自分たちがダメだということに気づいて、その日にすぐ3年生で話し合いました。自分たちは何なんだろう、何しに来たんだろうって。でも自分たちの酷さを知って、「もう一度、イチから頑張ろう」と原点に帰ることができました。 ――ウインターカップ前にそうした確認ができたことはプラスですね。では最後にウインターカップへの意気込みをお願いします。 小村 3年間の集大成として、今までお世話になった人たちへの恩返しも込めて、1番を獲れるように頑張ります! 奥山 自分たちが目標にしていた日本一を叶える機会は最後です。今までの感謝の気持ちと恩返しの気持ちを胸に、自分はチームを引っ張っている立場だと思うので、チーム一丸となって、優勝を目指して頑張ります!2018/12/21プレーヤー
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WCプレビューvol.16八雲学園(東京)奥山理々嘉&小村日夏理「一番良い景色をみんなで見れたら」昨年のウインターカップで過去最高位となるベスト4に輝いた八雲学園(東京)。コート上では上下関係をなくし、2年生からキャプテンと副キャプテンを任された奥山理々嘉と小村日夏理は、ともに世代別の日本代表に選出されるなど、その実力は折り紙付き。最上級生となり最後の大会に臨む2人に話を聞いた。 マイペースでB型のキャプテン&副キャプテン ──まずはこれまでの経歴など、自己紹介をお願いします。 奥山 奥山理々嘉です。ポジションはパワーフォワードです。横須賀市立坂本中出身でチームは全国3位で、ジュニアオールスターで優勝しました。高校は昨年のウインターカップベスト4が一番上です。個人としてはU17の世界選手権と日中韓に出て、U18のアジア選手権で2位という成績です。 小村 小村日夏理です。ポジションはフォワードです。理々嘉みたいにミニバスとか中学では全国に出ていないですが、中学でオールスターに選ばれました。高校に入ってからはウインターカップベスト4と国体での準優勝です。あと今年はU18の代表に選ばれました。 ──2人は昨年からキャプテン、副キャプテンを任されているとお聞きしました。今度はお互いを紹介していただけますか? 小村 いつでも先頭に立って、頼りがいのあるキャプテンです。すごくバスケが大好きで、バスケやってる時とやってない時のオン・オフがしっかりしています。あとはいつでも笑顔! バスケをやっていない時はちょっと抜けてます。でもそれがちょうど良いんです! ──小村さんはどうでしょう? 奥山 自分が困っているときに助けてくれる、良い副キャプテンです。ちゃんと周りを見てくれているし、一緒にチームを引っ張ってくれます。ここを直してほしいところは……ないです! 小村 あります、あります。ないわけないじゃないですか! いい子だからこうやって言うー。 奥山 じゃあ考えるので、少し時間ください。 ──考えないと出てこないってすごいですね。では小村さんは自分ではどういうところが短所だと思いますか? 小村 マイペースです。 奥山 あ、私もマイペースです。 小村 お互いマイペースです。B型なので、自由です(笑)。 「頑張る姿を見せることが一番の恩返し」 ──コート上での上下関係をなくしたと高木先生がおっしゃっていました。2人は2年生だった昨年からキャプテンと副キャプテンをされていますが、慣れるのに苦労はしなかったですか? 奥山 役割的に自分たちが引っ張っていかなきゃいけないというのもあったので、下級生だった時は難しかったです。 小村 でも昨年は3年生でコートに立っているのが1人でしたし、先輩が怖いとかはなかったです。自分たちとしてはその人のために頑張ろうと思っていました。 ──そうした経験を経て3年生となり、現在はどんな思いでチームをまとめていますか? 奥山 今年が最後で、自分が最上級生だから、下級生たちを良いところに連れていってあげたいなという気持ちになりました。自分が下級生だった時に先輩たちについていきたいという気持ちを持っていたので、今の下級生もそう思ってくれていたらうれしいです。下級生も頑張ってついてきてくれているので、今度は自分たちが頑張らなきゃという感じです。 小村 私が1年生の時にウインターに初めて出場した時に、今までやってきた大会と何か違う感じがしたんです。そういった出なきゃ分からないものを今の後輩たちに伝えてあげたいというか、感じさせてあげたいなと思っています。昨年はベスト4止まりだったので、今年は優勝して一番良い景色をみんなで見れたらなと思います。 ──これまでは上級生のために頑張って、最上級生となった今は後輩のために頑張るということですね。しかし、自分のためにやってもいいと思ってしまいますが? 奥山 誰かのために頑張ろうと思ったほうが頑張れるんですよ。最後の大会なので、自分のモチベーション的には「恩返ししたい」という気持ちが強いです。自分たちらしく頑張る姿を見せれば結果は後からついてくると思います。そういうところを見せることが一番の恩返しかなと思っているので、それでもっと頑張ろうと思いますね。 小村 ホントにできた子なんですよ!2018/12/20プレーヤー
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WCプレビューvol.15八雲学園(東京)高木優子「バスケは変化するから面白い」U18女子日本代表のスコアラーである奥山理々嘉を擁し、昨年のウインターカップでは過去最高位となるベスト4という成績を残した八雲学園。今でこそ全国大会の常連となったが、始まりは5対5もできない弱小チームだった。八雲を率いて39年目を迎える高木優子コーチに、現在に至るまでの道のりを振り返るとともに、ウインターカップへの意気込みを語ってもらった。 「バスケットの審判を極めようと思っていました」 ──まずは先生の自己紹介からお願いいたします。 八雲学園の高木優子です。今年で39年目になります。中学からバスケットを始めて、高校を卒業後、日本女子体育大学でも続けました。 日本女子体育大学というのは関東学生の中では3強で、当時は部員が170人くらいいました。15人だけ試合に出て、あとの150人くらいが彼女たちを支えるんです。私は身長も大きくないので、プレーをしながら審判の勉強をしていました。 教員になるために大学へ行き、公認審判を取るために大学で学んだんです。大学を卒業して八雲学園に赴任した後も、コーチをしながら審判の勉強を続けていました。 ──バスケットを指導するために教員になる方は多いですが、審判を志す方は珍しいですね。 審判になるのは当たり前。女性の審判が1人か2人しかいないあの時代、その世界の中で私はバスケットの審判を極めようと思っていました。だから以前の私はバスケットの指導者より審判として名が知られていたんです。チームを見ながら審判を続けていましたが、38歳の時にひざをケガをして100%のパフォーマンスができなくなったので審判は辞めました。もしケガをしていなかったら、女性として日本初の国際審判を目指してやっていたと思います。 ──今でこそ強豪校と呼ばれる八雲学園ですが、東京都は学校数も多いですし、ここまでチームを育て上げるのは苦労が多かったのではないでしょうか? すごくありますよ。それこそ八雲に来た時には、約350チーム中のビリくらいのチームでした。最初は90-6くらいで負けるボロボロのチームだったので。審判を続けたほうが良いと思うでしょ?(笑)。強くしようと思って練習を多くすると、すぐ辞めてしまって部員が3人くらいになっちゃうし。試合ができずに自分が練習に入ったりしていた時期もあります。6年目で関東大会に出場して、そこから徐々にですね。 「コートの中には先輩も後輩もないと言っています」 ──インターハイではベスト8で桜花学園に敗れました。桜花学園との差はどこにありますか? 全然歯が立たないわけではないんですが、ポイントで桜花学園という名前に負けています。正直に言うと、それを叩きのめそうというメンタルの強さがない。そこは自分で勝つしかないわけです。そこでベストを尽くすための努力を自分自身でやっていく、自分に対して厳しくしないと。よく体罰問題で言われますが、言われてやらされているうちは絶対に強くなりません。 ──ただ、高校生の年代の選手にとっては簡単なことではありませんよね。 話をするしかないですね。昔の人は叩きましたけど。私は高校時代、試合中に叩かれて「何するんですか!」って言い返したことがあります。ウチのチームは結構自由ですよ。私は体育大育ちなので、すごく厳しい上下関係があったんですが、この学校に入った時からコートの中には先輩も後輩もないと言っています。そういう中でやっているから、練習を見ても誰が上級生で誰が下級生か分からないと思います。だから1年生からスタートで出る選手も多いし、奥山は去年からキャプテンです。これまでも2年生がキャプテンをやったことは何回もあります。 ──その奥山理々嘉選手は先生の自宅に下宿していると聞きました。 奥山は1年間、地元の横須賀から2時間かけて通っていました。それであまりにも寝る時間がなくなってしまうのと、もう少し練習したいというので、近くに住めたらいいと話をしていました。私は近くのマンションに住んでいたんですけど、そこを引き払って新しく家を借りたんです。 ──アンダーカテゴリーの代表で活躍するような選手を指導する上で気を付ける点は? それぞれに個性があるわけじゃないですか。その子の良さを伸ばしてあげて、気づかない欠点を取り除くということだけです。奥山は普通の子と違ってメンタルも強いので、誰が教えてもあそこまでいきますよ。 奥山は180cmあるので、センターだけをやれば点数は取れます。でも彼女には3番、2番になりたい願望があるので、じゃあ外のシュートも打ちなさいと。何でインサイドをやらせないんだという人もいるかもしれませんが、私のコンセプトは弱い時からずっと変わってないです。当時170cmくらいの子でも外をやらせていました。 「ボールが小さくなり、ハイスピードバスケの時代に」 ──今でこそポジションレスになってきましたが、当時は背の高い人がインサイドと決まっていたと思います。 こういう時代が来るだろうと思っていました。一つのきっかけとしては15年前くらいかな、ボールが7号から6号に変わった瞬間です。これでバスケットは外から攻撃できる選手じゃなきゃダメだと。女子の場合は7号だと片手で扱えないのですが、ボールが小さくなればパスは飛ぶし速さも出る。シュートの距離も伸びます。これはもうハイスピードバスケですよ。 今は4年ごとではなくなりましたが、昔はオリンピックが終わるとルールが変わりました。私は卒論がバスケットボールのルールでした。ルールが変われば技術も変わります。ルールを変えることで技術を進化させてきたのが今のバスケットの成り立ちなんです。 私は中学1年からずっとバスケをやっています。ということは49年間。もうすぐ50年になりますが、プレーヤー時代からずっとバスケットが面白いのは常に変化するからです。ルールが変わってどうするか、それを考えるのはやっぱり楽しいですよ。 ──高校の指導者として選手を育てる面白さも、それと同じですか? その時その時でいろんな生徒が入って来ます。同じじゃないからそれは面白いですよ。教員になった理由はそこで、モノを作るのであればいつも同じだけど、生徒を教えることは全部違うんです。1000人いたら全員違うし、家庭も違う。どう育つかは分からないけど、それにかかわるのって面白いじゃないですか。最初の教え子はもう50歳を超えています。長く続けると言いますが、やるのが当たり前で、空気みたいなもの。それがなくなったらどうするんだろうって(笑)。 ──『ハイスピードバスケ』というキーワードが出ましたが、あらためてウインターカップではどんなバスケをしたいのか教えてください。 トランジションの早さです。攻防の切り替えの早さからのシュート、これがいかに入るかです。相手があることだから、どういう結果になるかは分かりませんが、1試合1試合自分のチームのベストを尽くしていけば勝てるんじゃないかなとは思っています。2018/12/20Bリーグ&国内
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日本代表候補に初選出された現役高校生、奥山理々嘉「オリンピックで活躍したい」「最初吹き飛ばされて『ヤバっ!』と思って(笑)」女子日本代表は8月のアジア競技会、そして9月のワールドカップへ向けた強化合宿を実施している。代表候補52選手には、2名の現役高校生が名を連ねたが、その一人が八雲学園3年の奥山理々嘉だ。「日本のトップの先輩方と同じコートに立って練習できて、貴重な時間だなと思いました。新たなことをたくさん吸収できるのがすごい楽しいです」と奥山は目を輝かせる。奥山は身長180cmながら3ポイントシュートも打てる広いシュートレンジと、速攻の先頭を走ることのできるスピードを併せ持つ。昨年のウインターカップでは、1試合で62得点を挙げ最多得点記録を更新するなど、抜群の得点力を誇る。そんな『超高校級』の奥山だが、「当たりも強いし、スピードも速い」と日本のトップ選手たちとのバトルに苦戦した様子。それでも「時間が経つにつれてできることが増えてきている」と自信を持ち始めてもいる。奥山は今日の練習中、パワーに屈しコートに倒れこむシーンがあった。「最初、吹き飛ばされて『ヤバっ!』と思って(笑)」と笑みを見せたが、「フィジカルは足りないですね」と課題を挙げた。高校ではマシンを使ったトレーニングをしておらず、自重トレーニングしかしていない。それではトップ選手に対しフィジカル負けしてしまうのも仕方ないが、「走って下半身もつけているので、その割には強いですけどね(笑)」と自信がないわけではない。年齢的には身体がようやく出来上がってきた頃で、フィジカルを問うこと自体がナンセンスなのかもしれない。それでもA代表の指揮を執るトム・ホーバスは「若い選手はよく身体は弱いと言うが、あの2人(高校生の奥山と今野紀花)は全然問題ない。プレーも面白い」と若い2人の可能性を高く買っている様子だ。「日の丸を着けたいという目標があります」今回の合宿は若手を呼んで経験を積ませるものではなく、れっきとしたサバイバルレースだ。当然、次回の合宿に呼ばれない選手も出てくるし、生き残ればアジアの舞台、世界の舞台へと立つことになる。奥山は「選考だと分かっているんですけど、勉強したい気持ちが強いので、他の人を蹴落とすという思いは足りないと思います」と語るが、それは向上心がすべてを上回っているから。「第1次合宿を終えても残ることができれば、もっとたくさん教えてもらえますし、どんどん上手になれると思っているので、残りたい気持ちはすごいあります。女子日本代表の最大の目標は東京オリンピックでメダルを獲得すること。「私は2年後のオリンピックとか、その先のオリンピックで代表になって活躍したいです。日の丸を着けたいという目標があります」と奥山は自身が立つべき大舞台をしっかりと見据えている。今回初めて代表候補に選出された奥山だが、そうした大きな目標を胸に秘めているため、「この場所に来たいたとは思っていましたが、まだ喜べないです」と現状に満足していない。まだあどけなさが残る顔つきが物語るように、彼女には伸びしろしかない。20歳での五輪出場を目標に研鑽を積む、奥山の挑戦は始まったばかりだ。2018/04/25日本代表
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【ウインターカップ】桜花学園と山本麻衣、3位決定戦で『有終の美』を飾るも涙「最後は桜花学園らしいバスケで勝とうと」昨年王者として大会に臨んだ桜花学園(愛知)は昨日、大阪桐蔭(大阪)に思わぬ大敗を喫して優勝を逃した。一夜明けた今日の3位決定戦、八雲学園(東京)に83-50と勝利。相手のエース、奥山理々嘉を16得点に封じ込め、すべてのクォーターで勝ち越す完勝を収めた。司令塔の山本麻衣とエースの藤本愛瑚がそれぞれ24得点と出色の出来。「最後は桜花学園らしいバスケで、絶対にぶっちぎって勝とうとコートに入りました」と山本は言う。「昨日は全然自分たちのバスケができなかったので、今日は全部を出しきろうと。仕方がないという言葉では済ませられないんですけど、切り替えて良いゲームをしようと思いました。負けた後はチームの雰囲気も暗くて、切り替えられなかったんですけど、夜のミーティングで明日に向けてという話をして、それでみんな顔つきも変わりました」「今日のゲームに悔いはないです」と話すが、その目は真っ赤。前日の大阪桐蔭との試合について質問されると、「相手の気持ちに負けてしまった」と涙がこぼれる。「コートの中も外も、昨日はチームじゃありませんでした。本当は日本一で終わりたかったんですけど、それができなくて悔しいです」同級生の5人でコートに立ち、最後のブザーを聞くベスト8でライバルの岐阜女子(岐阜)が敗れた。「岐阜女子を倒す」という目標がなくなってしまったが、「目の前の試合を一戦ずつ自分たちのバスケットで戦おうとはしていました」と、大阪桐蔭戦での『ブラックアウト』の原因がそれではないと否定する。名門の桜花学園で1年生からポイントガードのポジションを任され、アンダーカテゴリーの代表でも絶対的な司令塔を務めた山本だが、自分たちの代では無冠に終わった。最後は藤本、樺島ほたる、出原菜月、国井直子と3年生プレーヤーがコートに立ち、試合終了のブザーを聞いた。「終わってしまったんだなあ、という気持ちです」と山本は言う。「心の部分ですごく成長させてもらいました」「プレーの面でも精神的にも最後はキャプテンをやらせてもらっていろんな考え方ができたし、心の部分ですごく成長させてもらいました」と桜花学園での3年間を振り返るとともに、後輩たちには「昨日負けた悔しさを忘れないで絶対に『3冠』をしてほしいです」と思いを託した。ようやく山本に笑みが戻ったのは表彰式。『3冠』を達成した去年と同じく大会の優秀選手に選ばれ、桜花学園と山本のウインターカップは幕を閉じた。2017/12/28プレーヤー
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ウインターカップ4日目、岐阜女子が敗れる波乱があった女子のベスト4が出揃う優勝候補、『3冠』を目指す岐阜女子が姿を消す12月26日、ウインターカップは大会4日目を迎え、女子の準々決勝4試合が行われた。朝一番、10時ティップオフの試合で波乱は起きた。安城学園(愛知)がインターハイと国体を制して『3冠』に挑んだ岐阜女子(岐阜)を破り、ベスト4一番乗りを決めたのだ。大エースのバイ・クンバ・ディヤサンが初戦でケガをした岐阜女子に対し、安城学園は攻守にチームバスケットを遂行。足を使ったディフェンスで岐阜女子に攻め手を与えず、攻めに転じれば思い切りの良い3ポイントシュート、インサイドの合わせ、果敢にアタックを仕掛けてのバスケット・カウントと多彩なオフェンスで、岐阜女子を相手に100点ゲーム。105-79で勝利した。安城学園の金子寛治コーチはチームへの手応えをこう語る。「スカウティングしたことを選手がうまくやってくれた。相手のいろんなフォーメーションを分かっていたので、それに対応できた。インターハイ後に新しい練習を取り入れて、ディフェンスではマンツーマンの精度を上げ、栄養や身体のケアにも取り組んで、トータルで実力がアップした」「この試合に合わせて練習の計画も栄養も、昨日のプレータイムも計算してきた」と言う『天王山』を見事に制した。「逆に明日からはノープランなので『頑張れ』だけです」と金子コーチは苦笑しながらも「選手たちが自分の足で歩きだしています」と、八雲学園(東京都)と当たる準決勝にも自信を見せている。桜花学園は球際の強さを生かし昭和学院に競り勝つ岐阜女子と並ぶ『2強』のもう一角である桜花学園(愛知)は昭和学院(千葉)と対戦。山本麻衣のゲームメークと藤本愛瑚のアタックで桜花学園が先行するも、その後は昭和学院がローテーションをきっちり守る組織ディフェンスで食い下がり、どちらもイージーシュートのチャンスをほとんど作らせない、ディフェンスが目立つ展開に。しかし後半立ち上がりに桜花学園が走る。ハーフタイムに井上眞一コーチから「ここで一気に10点離すか、縮められるか。そこで決まるぞ」と檄を飛ばされたというチームは、山本を中心に声を掛け合って気合いを入れた。前半は昭和学院の『当たって砕けろ』の気合いに押されていた感があったが、ここで払拭。最初の2分半で9-0のラン、昭和学院がタイムアウトを取るも勢いは変わらず、開始4分を無失点で切り抜けてリードを広げる。伊森可琳のバスケット・カウント、オフェンスリバウンドを奪っての山本の3ポイントシュートと当たりが出て、第3クォーターを終えて54-36と突き放した。必ずしも思うようなプレーができたわけではない桜花学園だが、リバウンドやルーズボールなど球際の執着心で差を付けた。終盤は大塩菜々子や大竹優香子の得点で昭和学院に追撃されるも、落ち着いて試合をコントロールして桜花学園が67-53で勝利。ゲームをコントロールしつつ17得点を挙げた山本は、「相手の勢いに押されてしまい、桜花学園のディフェンスから走るバスケットが全然できなかったので、明日はもっと良いゲームをします」と大会の中でステップアップすることを誓った。大阪桐蔭はインターハイに続きベスト4進出その桜花学園と明日の準決勝で対戦するのが大阪桐蔭(大阪)だ。185cmの竹原レイラのインサイドを一番の武器とし、キャプテン永田舞を中心としたガード陣の強固なディフェンスから速攻を展開する『勝ちパターン』に、いかにして持ち込むかがカギとなる。東京成徳大学(東京)との準々決勝、前半は41-40でわずかにリードと接戦になったが、第3クォーターに爆発。インサイドで果敢にアタックする竹原が13点を荒稼ぎして、この10分間で27-10と東京成徳大学を圧倒した。180cm台の選手がいない『小さな』桜花学園に対し、竹原の高さは大きな武器になる。その竹原のインサイドプレーも、ただローポストにボールを入れるのではなく、パス交換の中からポジション取りするため、ポストアップを止めるのは難しい。さらに竹原はパワーだけでなく柔らかいシュートタッチを備え、ダブルチームされた時にはパスをさばく技術もある。上背はないが鈴木妃乃のスピードを生かしたドライブ、そこからフィニッシュを決めきる力は女子では突出している。また竹原に目が行きがちだが、永井雅彦アシスタントコーチの娘である永井唯菜はオフェンスリバウンドやディフェンスに強く、桜花学園と渡り合う上でのキーマンになりそうだ。永井雅彦アシスタントコーチは明日の桜花学園との試合に向けて、「失点をどれだけ抑えられるか」と語る。「全員が素晴らしい中でも藤本と山本はとてつもないので、どれだけ抑えられるか。ウチはディフェンスを頑張って速い展開に持ち込みたい。ディフェンスは守りではなく攻撃です」と意気込んだ。3試合で149得点、奥山理々嘉を擁する八雲学園ベスト4のもう1チームは八雲学園(東京)。3年生プレーヤーが佐藤陽香だけと下級生中心のチームではあるが、チームオフェンスやチームディフェンスの完成度は高く、準々決勝では県立広島皆実(広島)を100点ゲームで下している。チームの大黒柱は180cmの奥山理々嘉。インサイドの得点だけでなく、ハイポストで起点にもなる奥山を中心にパス交換からズレを作ってシュートセレクションの良いオフェンスを展開する。2回戦では県立郡山商業(福島)相手に45得点22リバウンド、3回戦では県立徳山商工に62得点20リバウンド、そして今日の準々決勝では42得点12リバウンドと、圧倒的なスタッツを残している。県立徳山商工戦では、女子の1試合最多得点記録を更新している。奥山は執拗にフェイスガードされ、フィジカルに守られたが、落ち着きを失うことなく巧みにファウルを誘って25本のフリースローを得て(20本成功)、相手の4選手をファウルアウトに追いやるなど、身体だけでなくメンタルも強い。明日は安城学園との対戦。大きいチームに平面で勝つバスケットを標榜する安城学園が奥山を抑えるか、奥山を中心とする八雲学園のダイナミックなバスケットが上回るか。こちらも楽しみな準決勝となる。インターハイ王者の岐阜女子が敗れたように、何が起きるか分からないのが一発勝負のウインターカップ。明日の準決勝からは桜花学園を中心に大会が進むことになりそうだ。山本麻衣はこう語る。「岐阜女子を倒しに来たんですけど、そういうのは関係なく自分たちが目の前の一試合一試合を戦うだけなので、みんなに集中するよう声をかけました。全員が思い切って、力を全部出せば絶対に優勝できると思っています」果たしてその通りになるか、あるいはまた別のアップセットが見られるのか。泣いても笑ってもあと2つ。女子は28日(木)に優勝チームが決まる。スポナビライブでは ウインターカップ2017 全試合LIVE配信!2017/12/26プレーヤー
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桜花学園と岐阜女子、優勝候補の『2強』がきっちりと持ち味を発揮して準々決勝へインサイドの勢いを削ぎ、ゾーンを攻略した桜花学園の完勝『JX-ENEOSウインターカップ2016』大会4日目、桜花学園(愛知県)と岐阜女子(岐阜県)の『2強』が順当に勝利して準々決勝へと駒を進めた。桜花学園は開志国際(新潟県)と対戦。立ち上がりこそ188cmのセンター、シラ・ソカナ・ファトージャが得点とリバウンドで強さを発揮するが、最初は競り負けていたセンターの梅沢樹奈がスクリーンでファトージャをペイントエリアの外に押し出す。ファトージャはフィジカルはあるが細かいフットワークがなく、逆に梅沢は押し負けるシーンはあっても巧みにボールを引き出すポストプレーで相手のゾーンディフェンス攻略の起点となった。梅沢が相手の勢いを削いだ後、佐古瑠美の3ポイントシュートからオフェンスに勢いが出始める。エースの馬瓜ステファニーのシュートタッチは悪かったものの、ポイントガードの山本麻衣が21得点を記録するなど、どこからでも点の取れる強みを発揮した。第1クォーターは21-14と接戦だったが、第2クォーターは22-8と圧倒。後半も勢いを止めることなくリードを広げ、78-55で勝利した。井上眞一コーチは「相手の1-3-1のゾーンに対してウチはシュートが打てていた。崩されても相手が変えてこなかったので、こちらはスムーズなゲーム運びができた」と勝因を語る。ただ「まだまだ視野が狭い」と明日以降に向けた課題もしっかりと見つけている。その井上コーチは、自分たちの試合が終わった直後に始まったライバル、岐阜女子の試合を第1クォーターだけコートサイドで眺め、「相変わらず強いね」との感想を残し会場を後にした。岐阜女子は鉄壁のディフェンスで八雲学園を封じるその岐阜女子は、八雲学園(東京都)と対戦。序盤から素早いパスで相手のディフェンスを揺さぶり、インサイドへの合わせでイージーシュートのチャンスを作り出していく。シュートタッチ自体は必ずしも良くなかったが、ルーズボールやリバウンドにもしっかり飛び込み、試合の主導権をがっちりと握った。182cmのディヤイ・ファトーあるいは190cmのバイ・クンバ・ディヤサンの長身センターに相手ディフェンスの意識を集中させ、できたスペースをタイミング良く突くオフェンスが機能。八雲学園は素早いトランジションで挽回を試みるが、岐阜女子のディフェンスに阻まれる。第1クォーターこそ14-11と競ったスコアとなったが、岐阜女子はシュートタッチが戻るにしたがって、じわじわと点差を広げていく。第3クォーター残り4分35秒、玉置愛理がスティールからのワンマン速攻を決めて46-25と20点差が付いたところで、八雲学園の選手たちは集中力を切らしてしまい、一気に突き放された。69-51で岐阜女子が勝利。前日の試合で99点を奪った八雲学園の得点力を、ほぼ半分の51点に抑えたことが勝因となった。安江満夫コーチは「かなりの距離があっても決める力を持っているので、シュートエリアを2メートル後ろで意識させた」と対策を明かした。前日に29得点を挙げた相手のシューター、吉田舞衣を第3クォーターまでわずか3点と封じたのは石井香帆。相手の最も怖い選手をしつこいディフェンスで封じるとともに、ゲームハイの23得点を記録して勝利の立役者となった。石井は「絶対決めさせないという気持ちでした」とシューター同士のマッチアップを振り返り、「ディフェンスで守り切ったからこそ、積極的にドライブに行けました」と攻守が噛み合った自身のプレーを振り返った。前日の出来が悪く、安江コーチから「逃げててどうするんだ」と喝を入れられたという石井だが、この日は「ディフェンスで頑張れる選手」と称えられた。ともに8強進出を果たした桜花学園と岐阜女子の対戦に期待が高まるが、石井は「先のことを考えていてはダメだと思うので、一戦一戦やっていきます」と気を引き締めた。明日の準決勝では、桜花学園が大阪薫英女学院と、岐阜女子が昭和学院と対戦する。桜花学園 78-55 開志国際大阪薫英女学院 71-44 浜松開誠館昭和学院 91-55 札幌山の手岐阜女子 69-51 八雲学園もっとうまくなりたいキミへ。ナイキバスケットボールのLINE@をフォローしよう!・カイリー3やジョーダンシリーズなど最新シューズの発売情報がいち早く届く・ナイキアスリート着用のアパレルコレクションなど厳選アイテムを紹介・トーク画面での期間限定コンテンツなど続々更新中・ウィンターカップ期間中にフォローすればレブロンのスペシャルメッセージ動画が配信!2016/12/26プレーヤー