
『NBAプレーオフ2019』の検索結果
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『笑わない男』カワイ・レナードが見せたファイナルGAME4での感情的な一面チームメートへの前半の苛立ちが、後半には信頼へ 感情を表に出さず「笑わない男」とすら呼ばれるカワイ・レナード。感情表現が豊かなウォリアーズに対しても淡々と、そして確実に得点を奪い、GAME4も36点の大活躍でチームに勝利をもたらしました。 しかし、そのプレー内容は時に感情的な一面も見せています。特に第1クォーターでチームメートが13本のシュートを打ちながら1本しか決められないのをみると、1人で次々とシュートを決めていき、ラプターズの17点のうち14点を奪ってチームを牽引しました。 第2クォーターになってもシュートが決まらないラプターズ。前半、レナード以外の選手が打った12本の3ポイントシュートはすべて決まらず、次第に打つことすら躊躇し、ボールを回しすぎてミスになるシーンが増えていきます。業を煮やしたかのようにレナードも3人に囲まれてもパスを出さず、リングに背を向けて放り投げるようなシュートを打つシーンも出てきました。 普段は追い込まれても身体の強さを生かしてバランスをとり、しっかりとしたフォームでのジャンプシュートを打つレナードですが、第2クォーターはゴール下で囲まれてオフバランスになり、崩れながら放つシュートが増えてしまい、1点も奪えませんでした。レナードらしくないシュートは、シュートが決まらないチームメートへの不満を示すかのような、感情的なプレーにも映りました。 Shot.Bucket. pic.twitter.com/ODnnVm2Sjx— Toronto Raptors (@Raptors) 2019年6月8日 後半が始まると、今度はインサイドで囲まれすぎた前半の自分への鬱憤をはらすかのように3ポイントシュートを連発し逆転すると、チームメートも落ち着きを取り戻し、しっかりとしたパス回しから強気に打っていき、5本の3ポイントシュートを成功させ、バランスの取れたオフェンスに変化しました。チームメートが決めたことにより、パスを回すようになったレナード。2桁ビハインドになったウォリアーズがダブルチームを仕掛けてくると、簡単にパスを出して自身はマークを引き付ける役割に徹するようになります。 第4クォーターは3ポイントシュートを2本しか打たず、前半とは違いチームメートを信じるプレーを続けました。表情から感情を読み取りづらいレナードですが、前半と後半で見せたプレーの違いは、チームメートへの苛立ちと信頼を感じさせるものでした。 また、ラプターズはチームとしても感情面をコントロールする事を意識させる一面がありました。GAME2ではクレイ・トンプソンが次々と3ポイントシュートを決めたことでマッチアップをレナードに変更しましたが、ヘルプディフェンスを担当していたレナードがシューターのトンプソンを「何としてでも止めよう」と、追い掛け回したことで、チームとしてのディフェンスが崩れ、逆にイージーシュートを増やすことに繋がってしまいました。 GAME4でも6本の3ポイントシュートをトンプソンに決められますが、マッチアップは変えずチームとしてのディフェンスバランスを重視し、それがこのシリーズ最少失点の、92点に抑えたことに繋がっています。感情的には「あまりにも決めてくるトンプソン」を優先したかったでしょうが、GAME2の失敗もあってゲームプランを崩しませんでした。 笑わない男が見せた一瞬の感情的なプレー。それだけ苦しかった前半と、冷静なチームプレーでリードを奪っていった後半。お互いにシュートが決まらず重い雰囲気になったGAME4を制したラプターズが、初優勝まであと1勝に迫りました。2019/06/09NBA&海外
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初優勝に王手も気を引き締める指揮官ナース「彼らに勝つのは骨の折れる仕事」レナードを絶賛「彼は観客を黙らせてくれる」 球団史上初のNBAファイナルを戦うラプターズは、敵地での第3、4戦に連勝し、初優勝に王手をかけた。 指揮官のニック・ナースは、この日も36得点12リバウンド2アシスト4スティール1ブロックの大活躍で勝利に貢献したカワイ・レナードについて「今日も素晴らしかった。それに、彼は何度となくチームを引っ張ってくれている。会場が騒がしくなっても、彼は冷静にシュートを決めて観客を黙らせてくれる」と、絶賛。そして、レナードに加え、シーズン中のトレードで獲得したマルク・ガソルの影響についても、次のように述べた。 「何よりも、シーズン序盤の彼をみたら、このチームがどういう存在になれるかというビジョンが変わった。それはマルク・ガソルにも言えることだ。彼を獲得してからパスが回るようになって、アシスト数が増えた。そしてリーグでもトップクラスの3ポイントシュートチームになった。それもこれも、パスの意識がチーム内に浸透したからに他ならない。それに、チーム内でも、自分たちがどういう存在になれるかという意識が高まったと思う」 この日も会場はオークランドのオラクル・アリーナだったが、ラプターズファンの歓声もチームを後押しした。 ナースは「レギュラーシーズンの時から、ファンも敵地に応援に駆けつけてくれる。本当に素晴らしいことだ。我々はカナダのチームで、国中のカナダ出身のファンが応援に駆けつけてくれている。フロリダでも、カリフォルニアでも同じだし、特にデトロイトでの応援は目にするべき光景だ。それをファイナルでも見られていることに驚いている。チケットを入手するのも大変なはず。我々のファンは一生懸命に応援してくれ、必死に声を出して応援してくれている。本当に感謝している」と語った。 初優勝まであと1勝に迫ったとはいえ、相手はディフェンディング王者のウォリアーズだ。圧倒的に有利な立場だとしても、最後の1勝を手にするのは簡単なことではない。ナースは、これからの試合でも目の前の試合に集中する考えを貫くつもりだ。 「精神状態を保つのが難しい。ホームに戻るわけだが、トロントは凄まじい状況になるだろう。私からファンに伝えたいことは、我々はシリーズ戦績について口にしたことはないし、まだ到達したことがない場所に簡単にたどり着けるとも思っていない。相手は偉大なチームで、彼らに勝つのは骨の折れる仕事。ホームでもアウェイでも、誰よりもハードにプレーするチームになれるよう集中して取り組まないといけない。それができれば、試合に勝てるチャンスが生まれる」 VOLUME ON BLAST & ENJOY. #WeTheNorth pic.twitter.com/PiSvdOrlHJ— Toronto Raptors (@Raptors) 2019年6月8日2019/06/08NBA&海外
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レナードがプレーオフキャリアハイの36得点、敵地で連勝のラプターズが優勝へ王手レナードがまたもエースの仕事「集中してやるだけ」 ウォリアーズのホーム、オラクルアリーナで行われたNBAファイナル第4戦。ステフィン・カリーを徹底的にマークし、エースのカワイ・レナードが36得点を挙げたラプターズが105-92で勝利した。 試合序盤、互いにディフェンスがオフェンスを上回りロースコアの様相を呈す。開始3分で4ターンオーバーとミスが多かったが、ケガから復帰したクレイ・トンプソンが、わずかな隙からシュートを沈めていきウォリアーズが先行した。 ラプターズは形は作れど3ポイントシュートが決まらず苦しんだ、レナードが個の力で打開しどうにか食らいついていく。トランジションからトンプソンに3ポイントシュートを決められるなど得意な形を許すが、ハーフコートディフェンスでは素早いローテーションでイージーシュートを打たせなかった。 前半を終えた時点で42-46。3ポイントシュートが17本中わずか2本の成功に終わったラプターズだったが後半に当たりが出始め、レナードの連続3ポイントシュート成功で、この試合初めてのリードを奪う。その後、ブロックショットした直後に3ポイントシュートを沈めるなど、サージ・イバカが攻守に違いを生み出し、ラプターズがリードを広げた。 3-course meal from Chef pic.twitter.com/t0fYYAgzeV— Toronto Raptors (@Raptors) 2019年6月8日 ウォリアーズは、トンプソンがタフショットを次々と沈めるも、他の選手が続かない。ラプターズはイバカとレナードだけで24得点、終盤に14-2と走り、37-21のビッグクォーターを作って最終クォーターを迎えた。 点差を詰めたいウォリアーズだったが、レナードにダブルチームを仕掛けるトラップディフェンスが裏目に出る。これまでは守備範囲の広いドレイモンド・グリーンのヘルプディフェンスによってズレを埋めていたが、ラプターズの素早いパス回しと高確率なシュートによって、守り切れなくなった。 また、頼みの綱のトンプソンの3ポイントシュートがエアボールになり、カリーもターンオーバーを連発。ケボン・ルーニーが2本のフリースローを外すなど反撃のきっかけをつかめない。残り1分30秒、カイル・ラウリーがスピードのミスマッチを突き14点差にしたところで勝負アリ。常に10点前後のリードを保ったラプターズが敵地で貴重な勝利を収めた。 プレーオフキャリアハイとなる36得点を挙げたレナードは、ライバルであるカリーとの勝負を振り返った。「カリーは素晴らしい選手。とにかくハードにプレーして、できる限り競った状態でのプレーをさせないといけない。自分はファンのため、勝つためにプレーしている。落ち着いてプレーして、ターンオーバーを記録せず、ミスがないように集中してやるだけ」 対戦成績を3勝1敗とし、初優勝に王手をかけたラプターズが敵地での優勝を決めるか。それとも王者が意地を見せるのか。運命の第5戦は6月11日に行われる。 A THING OF BEAUTY pic.twitter.com/HlCPFITxRn— Toronto Raptors (@Raptors) 2019年6月8日2019/06/08NBA&海外
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カイル・ラウリーを押しのけ罵倒したウォリアーズ共同オーナーの愚行に『厳罰』1年間の出入り禁止と50万ドルの罰金処分 オラクル・アリーナで行なわれたNBAファイナル第3戦で事件は起こった。第4クォーター序盤、ラプターズのカイル・ラウリーがルーズボールを追って最前列の客席に飛び込んだ後、ある男性がラウリーの身体を強く押しのけ、強い口調で言葉を浴びせた場面が話題になった。 試合後の会見で、ラウリーは「品のない言葉を浴びせられた。このリーグには、彼のような人間の居場所はない。二度とNBAの試合を見に来ないでもらいたい」と痛烈な言葉を残した。 ウォリアーズが調査した結果、この男性は球団の共同オーナーの一人であることが発覚。そして、試合から一夜明けた6月6日、NBAとウォリアーズは、共同オーナーを務めるマーク・スティーブンズに対し、NBAの試合ならびにウォリアーズのチーム活動への1年間の出入り禁止、そして50万ドル(約5400万円)の罰金処分を科した。 『ESPN』によればスティーブンズは、ラウリーとのやり取り後に退席を求められ、会場の外まで連れ出されたという。 NBAと球団からの処分を受け入れたスティーブンズは声明を発表し、ラウリーとラプターズ、そしてウォリアーズに直接謝罪する行動を取ったことを明かした。また、ラウリーの財団に寄付をする意思があるとも伝えられている。 リーグとウォリアーズが処分を発表した後、明日の第4戦前日会見に出席したラウリーは、今回の件について「我々選手を守ってくれたリーグとウォリアーズの対応に感謝している」と語った。そして、この一件後も試合中に冷静さを保てた理由をこう語っている。 「チームが自分を必要としていたし、世界中のファン、子供たちが試合を見ていることも分かっていた。自分は大人で、子供もいる。自分の子供たちが、繰り返し今回の場面を見ることだって考えられた。もし今回のような状況でなければ、自分の対応も違っていたかもしれない。ただ、僕は2人の子供がいて、模範的な行動を取るべき人間だ。それを続けないといけない。彼のような男のために腹を立てるなんて、馬鹿げている」 盛り上がっているファイナルに水を差す愚行は残念だが、共同オーナーという『権力者』に対しても忖度なく、わずか1日で厳しい処罰を発表したリーグの判断は素晴らしいものと言える。2019/06/07NBA&海外
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プレーと気持ちでチームを引っ張るカリー「勝利のためにできることをやる」プレーオフでのキャリアハイ47得点を記録 ウォリアーズのステフィン・カリーは、ラプターズに109-123で敗れたNBAファイナル第3戦で、プレーオフでのキャリアハイとなる47得点を記録した。 カンファレンス・セミファイナル終盤からチームを離れたケビン・デュラントに続き、クレイ・トンプソンも負傷により欠場したことで、ウォリアーズはカリーがオフェンスを引っ張らなければいけなかった。試合後の会見で、カリーは、デュラントとトンプソンの不在による影響について、「合計50得点は決められる2人がいないことを理解した上でやらないといけない」と、コメント。第3戦に敗れシリーズをラプターズにリードされたものの、カリーは「修正するよ。それに、これは長いシリーズになる」と、焦ってはいない様子だった。 オフェンスを牽引しただけではなく、カリーはルーズボールにも果敢に飛び込むなど、ハッスルプレーでもチームに闘志を注入しようとした。こうしたプレーについて、カリーは「特別なことではない」と話す。 「競い合う気持ちから出たものだし、最後の最後まで戦おうとした。これはファイナルなんだ。チームの勝利のために、できることをやる。正しい判断をして、全力を出し尽くして、必要なら身を呈してプレーする。ウチには、こういうプレーを日々やってくれる選手がいる。今日は負けてしまったけれど、これまでのように、この気持ちを維持して、48分間を通してやらないといけない」 第3戦から中1日で行なわれる第4戦を落とせば、ウォリアーズはラプターズに王手をかけられてしまう。次の試合は、王者にとって正念場となる。2019/06/06NBA&海外
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指揮官からの『ぶっ飛ばせ』に応えたラウリー「受け身にならず積極的にやれた」23得点4リバウンド9アシストで勝利に貢献 ラプターズが123-109でウォリアーズに勝利した敵地でのNBAファイナル2019 第3戦前、ラプターズ指揮官のニック・ナースは、ロッカールームのホワイトボードに『ぶっ飛ばせ』というメッセージを書き込んだ。 この言葉通り、ラプターズは試合を通して積極的に攻め続けた。プレーオフでのキャリアハイとなる47得点を記録したステフィン・カリーを中心に詰め寄られる場面もあったが、ラプターズは怯まずに王者を力で押し返して勝利。指揮官の期待に応えて見せた。 9本中5本の3ポイントシュートを含む23得点4リバウンド9アシストを決めて勝利に貢献したカイル・ラウリーは、ナースからのメッセージについて聞かれると、「チームに対するメッセージだったと思う」とコメント。「今日は38本の3ポイントシュートを放って、その大半を決められた。個人的には、受け身にならず積極的にやれた。チームのみんなをプレーに絡めることもできたし、自分も前に進めた。自分が積極的にやることで、みんなを乗せられたと思う」と、続けた。 6年続けてプレーオフに進出しているラプターズは、カンファレンス・ファイナルという最大の壁を乗り越えることができた。在籍7年目で、良い時も悪い時も見てきたラウリーは、その要因として、新戦力の存在を挙げている。 「カワイ(レナード)、マルク(ガソル)、ダニー(グリーン)という素晴らしい選手が加わった。彼らのプロフェッショナリズム、ダニーとカワイの優勝経験も大きい。それに、ニックはGリーグでチームを優勝させた経験もあるし、パトリック・マコーにも優勝経験がある。ウチにはプロフェッショナルな選手が揃っていて、優れたベテランも多い」 「自分たちの仕事をきちんと理解し合えているし、浮かれ過ぎることも、気落ちし過ぎることもない。どんなチームだって、ランを決められる。毎試合に勝てることもないし、毎試合で負けることもない。それでも、6月までプレーが可能な状態にまで成長することはできる。6月までプレーすることが、自分たちの目標だった」 チームのゴールにたどり着いたラプターズだが、ここまで来たら目指すは頂上のみ。最終目標である優勝まで、あと2勝に迫っている。2019/06/06NBA&海外
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先発5人全員が2桁得点のラプターズ、トンプソンを欠くウォリアーズを敵地で撃破グリーンの復調とイバカのブロックショット ラプターズvsウォリアーズのNBAファイナル第3戦。ウォリアーズはクレイ・トンプソン、ケボン・ルーニーがケガのため出場できず、ステフィン・カリーがプレーオフキャリアハイとなる47得点と孤軍奮闘したが、先発の5人が2桁得点を挙げチームバスケットで上回ったラプターズが123-109で勝利した。 ラプターズはチームハイの30得点を挙げたカワイ・レナードを筆頭に、ウォリアーズを上回るバランスの良いチームバスケットを展開。カンファレンスファイナルからスランプに陥っていたダニー・グリーンが3ポイントシュートを次々と沈め先行した。 一方、ウォリアーズはトンプソンとルーニー不在の穴を埋められず、得意とするチームバスケットが影をひそめる。カリーにボールを集め、前半を終えた時点で8本中4本の3ポイントシュートを含む25得点を挙げたが、ドレイモンド・グリーンやアンドレ・イグダーラの3ポイントシュートが決まらず、得点が伸び悩んだ。 ラプターズが96-83とリードして迎えた最終クォーター。ボールをプッシュするドレイモンド・グリーンにリングに迫られるが、落ち着いて対応し合わせのロブパスをカットして失点を防ぐ。さらに、クイン・クックにも速攻を許しかけるが、ダニー・グリーンとサージ・イバカが連続でチェイスダウンブロックを成功させるなど、トランジションオフェンスをシャットアウトした。 得意の形を封じられたウォリアーズは、カリーにオフェンスを頼るざるを得なくなる。だが、レナードに3ポイントシュートを徹底ケアされリングにアタックするも、イバカのブロックショットに阻まれ、攻め手を欠いた。 ラプターズはカイル・ラウリーが要所でビッグショットを沈めて主導権を渡さず、10点前後のリードを保ちつつ時計を進める。そして、残り1分40秒には、フレッド・バンブリートがタフな態勢から、ショットクロックのブザーと同時に3ポイントシュートを沈めた。これが決定打となり、ラプターズが敵地で貴重な勝利を手にした。 COLD-BLOODED @FredVanVleet | #BetOnYourself pic.twitter.com/VNtL3wijrj— Toronto Raptors (@Raptors) 2019年6月6日 この日23得点を挙げ、勝利に貢献したラウリーは、カリーを称えつつも「チームはゲームプランに集中していた」と、チーム一丸の勝利と強調した。「彼らは王者で、簡単な試合にはならない。ロードでは、よりアグレッシブにやって、より自分らしいプレーが必要。ダニーは前のシリーズでスランプだったけれど、それでもシュートを打ち続けた。カリーは2度のシーズンMVP受賞者だし、今日は47得点を記録する素晴らしいパフォーマンスだったけれど、今日はウチが試合に勝つ方法を見出せた」 仮にラプターズが今後の第4戦と第5戦を連続で落としたとしても、ホームで戦うことができる。それだけに、敵地で挙げた今日の1勝はただの1勝以上の価値がある。2019/06/06NBA&海外
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誰よりもファイナルの難しさを知るレナード「簡単なシリーズにはならない」「相手のホームでは、観客が6人目の選手になる」 球団史上初のNBAファイナルに挑んでいるラプターズは、ホームでの連勝を狙ったものの、第2戦はウォリアーズに104-109で敗れ、シリーズ戦績は1勝1敗のイーブンとなった。 次戦からは、ウォリアーズ本拠地のオラクル・アリーナに場所を移して行なわれる。トロントのファンと同様に、オークランドのファンも熱狂的で、オラクル・アリーナは要塞と化すに違いない。ホームのファンの力を理解しているラプターズのカワイ・レナードは、第3戦に向けて、「チーム一丸となって戦わないといけない」と、第2戦後の会見で語った。 「相手のホームでは、観客が6人目の選手になる。それでも、ハードに、力強く、ミスをせず、ターンオーバーを記録せず、ホームと同じようにプレーしないといけないんだ」 スパーズ時代に優勝経験のあるレナードは、ファイナルの難しさについて、「簡単なシリーズにはならない」と言う。 「目の前の1試合に集中しないといけない。(ファイナルで)最も大事なのは4という数字。つまり、4勝しないといけないということ。2勝、3勝しても、何も意味はない。目の前の試合に集中して、困難に立ち向かわないといけないんだ」 レナードは、スパーズ時代から対戦経験の多いウォリアーズの実力を十二分に理解している。王者に対するリスペクトの念について聞かれると、彼はこう答えた。 「彼らのことはすごくリスペクトしている。2年続けて優勝しているしね。とにかく、この試練に立ち向かわないといけない。素晴らしいバスケットボールチームとの対戦なのだから、このチャレンジを受け入れて、戦って勝ちたい」 今回のシリーズではホームコート・アドバンテージを保持しているとはいえ、敵地で勝てればチームに勢いがつく。第3戦では、初の敵地でのファイナルを体験するラプターズの力と、気持ちの強さが問われる。 🖐️ @kawhileonard puts up a game-high 34 PTS for the @Raptors in Game 2 of the #NBAFinals presented by @YouTubeTV. #WeTheNorth Game 3: Wednesday (6/5), 9:00pm/et, ABC & Sportsnet pic.twitter.com/BCvn5LtiDi— NBA (@NBA) 2019年6月3日2019/06/03NBA&海外
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負傷を抱えながらもビッグショットを決めたイグダーラ「やると決めたらやる」後半だけで8得点7リバウンド3アシスト1スティール1ブロック ウォリアーズ対ラプターズのNBAファイナル2019は、第2戦までを終えて1勝1敗のイーブンとなった。 第1戦を落としたウォリアーズは、敵地での第2戦に109-104で勝利。しかし、クレイ・トンプソンとケボン・ルーニーが負傷交代を余儀なくされるなど、またしても負傷者を抱える事態に直面している。ベテランのアンドレ・イグダーラも、ハムストリングを痛めた状態でプレーし続けているが、この日は第4クォーター残り7秒にトドメの3ポイントシュートを成功させ、勝利に貢献した。 イグダーラは、後半だけで8得点7リバウンド3アシスト1スティール1ブロックの大活躍だった。身体が悲鳴を上げている中、ここまでやれる理由を聞かれたイグダーラは、「意識の問題」と答えた。 「やると決めたらやるんだ。決してスマートな方法ではないね。でも、力を出し尽くせる状況もあと1週間くらいで終わるのだから、チームの助けになれるかどうか、やってみるだけだよ」 このシリーズは、第3戦からウォリアーズ本拠地のオラクル・アリーナに場所を移して続く。今シーズンが最後の年となる会場でのプレーについて、イグダーラは「ファンのみんなにとって大きい」と語る。 「今だけではなくて、ずっと前からファンのみんなはチームをサポートしてくれている。以前のように会場に来られていないベイエリアのファンのみんなも、チームを支えてくれている。良い形で締めくくりたい。形として残るものをファンのみんなにもたらしたい」 Andre Iguodala extends the lead and the @warriors hold on to even the series 1-1! #NBAFinals Final in Game 2:#StrengthInNumbers 109#WeTheNorth 104 pic.twitter.com/BwjMtWkk5L— NBA (@NBA) 2019年6月3日2019/06/03NBA&海外
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第2戦で負傷交代するも、クレイ・トンプソンは「大丈夫」と第3戦出場をアピールウォリアーズが勝ってシリーズは1勝1敗のイーブンに ウォリアーズのクレイ・トンプソンが、ラプターズとのNBAファイナル2019 第2戦でハムストリングを痛めて交代した。現時点では、ケガの程度、そして今後の試合に出場できるか分かっていないものの、本人は試合後に軽傷であると主張した。 第4クォーター序盤に3ポイントシュートを放った際に負傷したトンプソンは、足を引きずりながら自力でロッカールームに戻ったが、その後コートには戻らなかった。 Klay Thompson limped off the floor and into the locker room with an apparent leg injury after landing awkwardly on a shot attempt. pic.twitter.com/SNT3dEe5U9— ESPN (@espn) 2019年6月3日 チームが109-104で勝利した試合後、左足をアイシングした状態でチームメートを出迎えたトンプソンは、『Yahoo Sports』に「第3戦に出られないとは思っていない。大丈夫」とコメントした。 トンプソンは、負傷交代するまでの間にチームハイとなる25得点をマーク。第3戦からはケビン・デュラントが復帰する可能性もあるようだが、もし攻守ともに優れるトンプソンが欠場するようなら、ウォリアーズにとっては痛手でしかない。 6月5日の第3戦からは、ウォリアーズ本拠地のオラクル・アリーナに場所を移して行なわれる。トンプソンは次の試合まで治療を受け、当日に出場が可能か判断されると見られている。 With ice on his left hamstring, Klay Thompson congratulates his teammates as they come off the floor with a win. pic.twitter.com/KfA6U5jNYM— ESPN (@espn) 2019年6月3日2019/06/03NBA&海外
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負傷を抱えながらレナードとマッチアップするイグダーラ「彼は特別な選手」「痛みがあっても、抱えながらやらないといけない」 NBAファイナル2019でラプターズに先手を取られたウォリアーズ。指揮官のスティーブ・カーは、現在のラプターズの印象を「数年前の自分たちのよう」と表現した。 第2戦前日の会見に出席したアンドレ・イグダーラは、カーのコメントについて意見を求められ、こう答えた。 「ラプターズは、オープンな選手を上手く見つけられている。シュート、ドライブ、キックアウトを多用して、チャンスを生かそうとしている。オープンな状態で3ポイントシュートも打てている。(マルク)ガソルも、ダニー・グリーンも、(パスカル)シアカムも3ポイントシュートを決めているし、(フレッド)バンブリートも能力を発揮している。コートに出ている選手が、試合に勝つための良いプレーを決めているんだ。コートに出ている相手の選手全員が脅威だから、注意しないといけない」 第1戦ではシアカムがラプターズを勝利に導いたが、相手のエースはカワイ・レナードだ。イグダーラは、レナード対策について聞かれると、「彼は特別な選手で、それだけの力があることを証明している」とコメントした。「ペリメーターからも相手にダメージを与えられるし、ゴールに向かうプレー、シュートからも相手にダメージを与えられる。自分たちにやれることは、コートに出ている相手の全員に可能な限り難しいプレーを強いること。カワイを止めるのではなくて、できるだけ体力を消費させること」と、続けた。 イグダーラは、第1戦で左足を痛めた。痛みに顔を歪めてハムストリングを押さえる場面も見られたが、明日の第2戦には出場できる見込みだ。 ケガを抱えながらレナードとマッチアップするのは困難なタスクだが、「トップ選手とのマッチアップはいつだって大変。心身ともに準備を整えていないといけない。スポーツの歴史をたどれば、ケガをして、痛みがあっても、それを抱えながらやらないといけないという話を聞いたことがあると思う。チームの勝利のために、やらないといけないんだ」とイグダーラは言う。 明日の第2戦に勝ってシリーズ戦績を1勝1敗のイーブンに戻したいウォリアーズにとって、イグダーラは欠かせない存在だ。ベテランは、チームの3連覇達成という壮大な目標のため、身体が動く限りプレーし続けるつもりでいる。 Andre Iguodala drives for the flush in #PhantomCam!#StrengthInNumbers 87#WeTheNorth 94🇺🇸: ABC 🇨🇦: Sportsnet pic.twitter.com/DyvDsBNJ9U— NBA (@NBA) 2019年5月31日2019/06/02NBA&海外
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ケビン・デュラントはNBAファイナル第2戦も欠場、ホームに戻る第3戦から復帰?トロント遠征に帯同、チームとともに戦う意欲を見せる ラプターズとのNBAファイナル第1戦に敗れたウォリアーズに朗報が舞い込んだ。ロケッツとのカンファレンス・セミファイナル第5戦で負傷してから欠場を続けているケビン・デュラントが、今シリーズ第3戦以降に復帰できそうなのだ。 109-118で第1戦に敗れた後、指揮官のスティーブ・カーは、6月2日にトロントで行なわれる第2戦にデュラントが出場しないことを明言した。それでも第3戦もしくは第4戦で復帰する見込みだという。 デュラントは、すでにコートでの練習を再開しているとの情報もある。カーは復帰のGOサインを出す条件として、少なくとも1度はチーム練習のすべてのメニューをこなすことを挙げた。 デュラントが欠場してからも、ウォリアーズはステフィン・カリー、クレイ・トンプソン、ドレイモンド・グリーンを中心に5年連続のファイナルに勝ち進んだ。とはいえ、2019年のプレーオフで平均34.2得点、5.2リバウンド、4.9アシストを記録しているデュラントが復帰すれば、スリーピート(3連覇)達成に向けて強力な追い風となるのは間違いない。 デュラントは遠征にも帯同しており、昨日の第1戦のハーフタイム、それから試合後にロッカールームに戻るチームメートに声をかける姿も見られた。 彼の復帰が、シリーズの流れを大きく変えるかもしれない。2019/06/01NBA&海外
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3年前のリベンジに燃えるサージ・イバカ「気を抜かずにプレーすることがカギに」サンダー時代、ウォリアーズを追い詰めるも逆転負け サージ・イバカは、3年前にもプレーオフでウォリアーズと対戦した。当時所属したサンダーは、西カンファレンス・ファイナルで王者と激突。シリーズは『GAME7』にまでもつれる大熱戦となり、ウォリアーズが4勝3敗でNBAファイナル進出を決めた。 この時の屈辱を忘れていないイバカに、NBAファイナルでリベンジするチャンスがやってきた。 当時のサンダーには、今はウォリアーズでプレーするケビン・デュラントも所属していた。デュラント、ラッセル・ウェストブルック、イバカを中心としたサンダーは、第4戦を終えて3勝1敗と王手をかけていた。しかし、第5戦からまさかの3連敗で敗退。イバカは、シリーズの流れが変わった第5戦を今でも忘れられないと語る。 「あの試合のことを考えると今でも辛いんだ。それでも、また彼らと対戦できるチャンスを得られたのはうれしいね」 3年前の逆転負けから、イバカはウォリアーズとの対戦でやってはいけないことを学んだ。「ウォリアーズは、とにかくノンストップに動き続ける。48分間、ずっと集中してプレーしないといけない。気を抜いたら一気に勢いに乗る。きっと長い試合になるだろうが、気を抜かずにプレーし続けることが鍵になる」 イバカの所属先は西のサンダーから東のラプターズに変わったが、当時と変わらずウォリアーズは王者の座に就いたままだ。3年前のリベンジを果たすには、最高の舞台と言える。 All playing critical roles off the bench in Game 4, we showcase @sergeibaka, @FredVanVleet, & @npowell2404's BEST plays of the 2018-19 NBA Regular Season & #NBAPlayoffs! #WeTheNorth 🏀: (2) TOR 2-2 (1) MIL, Game 5⏰: 8:30pm/et 📺: @NBAonTNT pic.twitter.com/uoVmVevVxc— NBA (@NBA) 2019年5月23日2019/05/30NBA&海外
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伸び盛りのパスカル・シアカム、ドレイモンド・グリーンと比較されるも「僕は僕」スティーブ・カーも「ヤング・ドレイモンド」と称賛 攻守に優れるラプターズのパスカル・シアカムは、ウォリアーズのドレイモンド・グリーンと比較されることが多い。5月30日から始まるNBAファイナルでは、そのグリーンとマッチアップする時間帯が増えると見られている。 グリーンについて意見を求められたシアカムは、「彼は非常にアクティブな選手」と語る。「力強くて機動力がある。自分より大きな選手にも負けないし、自分より小柄な選手にも対応できる。特別な存在だよ。ウォリアーズにとって、間違いなく重要な選手。彼らの成功の要因だ」 ウォリアーズ指揮官のスティーブ・カーも、シアカムを「ヤング・ドレイモンド」と形容したばかり。本人も、オールスター選手との比較に悪い気はしていないようだが、「自分は自分」と話した。 「比較されるのは光栄なことだけど、いつも言うように、僕は自分がなりたい選手になりたい。次の世代のドレイモンド・グリーンになりたいわけじゃないんだ。僕は自分のままでいたい」 1年前はセカンドユニットで起用されたシアカムも、3年目の今シーズンは先発に固定されて大きく成長し、1年を通して最も躍進した選手に贈られるMIP賞の最終候補にノミネートされた。 ウォリアーズの核とも言えるグリーンを相手に実力を発揮できるかどうか、ファイナルの注目ポイントになりそうだ。2019/05/29NBA&海外
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アルフォンソ・マッキーニーがアメリカンドリームを実現、NBAファイナルの舞台へ「みんな、僕がどれだけ努力してきたのかを知らない」 アルフォンソ・マッキーニーは2015年のNBAドラフトにエントリーするも、どこからも指名されなかった。そうしてルクセンブルクの2部チームと契約。2016年にはメキシコリーグでプレーし、自腹で175ドル(約2万円)のトライアウト参加費用を払って、Gリーグに所属するブルズ傘下のウィンディシティー・ブルズに加わった。 Gリーグでは、元ピストンズのウィル・バイナムらとプレーし、平均14.9得点、9.2リバウンドというスタッツを残し、Gリーグのオールスターゲームに出場。その翌シーズン、彼はラプターズと2年の無保証契約を結ぶもプレータイムを得られず、2018年の7月に解雇された。その後は、スペイン、ギリシャ、オーストラリアのチームからオファーが届いたものの、彼はNBAでプレーすることにこだわった。 「NBAでプレーするチャンスを逃したくなかった。関係者も自分のことを知っていたし、この時がNBAでやれるチャンスだと思っていたんだ」とマッキーニーは言う。 かくして昨年夏、ウォリアーズ傘下のサンタクルーズ・ウォリアーズと最低年俸での1年契約にサイン。条件は悪かったが、バイナムのアドバイスもあってこの契約に応じたマッキーニーは、ウォリアーズのトレーニングキャンプに招待された。 制限付きフリーエージェントだったパトリック・マコーがウォリアーズに復帰するか微妙だったため、チームにはウィングの控えが必要だった。こうしてヘッドコーチのスティーブ・カーに実力を認められたマッキーニーは、無保証ながら2年契約というオファーを提示された。 ウォリアーズのアシスタントコーチ、マイク・ブラウンは、昨年のトレーニングキャンプ中、マッキーニーとの契約は、プレーオフを見据えてのものだったと話した。 「プレーオフの試合で、ディフェンスで貢献できる選手を我々は評価する。それがアルフォンソの強みだった。プレーオフの試合で、普段通りにやれるのが彼だった。NBA選手の中でも身体能力に優れている。サイズもあって、頭も良くて、チームメートから好かれている。タフで、寡黙で、控えめで、何も恐れない」 💦 x @_Alvo_ 📺@espn pic.twitter.com/xXgSoithWM— Golden State Warriors (@warriors) 2019年5月17日 レギュラーシーズンを通してカーの信頼を勝ち取ったマッキーニーは、5年連続のNBAファイナル進出に貢献。ケビン・デュラントをケガで欠く状況でプレータイムを得て、トレイルブレイザーズとの第4戦にはアンドレ・イグダーラを休養させてマッキーニーがスタメンを任されている。この試合に勝ってスウィープでのカンファレンス・ファイナル突破を決めた後、彼はロッカールームでこう語った。 「以前は月給1500ドル(約16万円)だった自分が、ファイナルにたどり着いた。みんな、僕がどれだけ努力してきたのかを知らない」 1年前はラプターズのベンチを温めるだけの選手だったマッキーニーが、その古巣と優勝を争う。この数奇な運命を、マッキーニーは「おとぎ話のようだ」と表現した。 「ルクセンブルクを経由して、いろんなところを経た自分にNBAでプレーするチャンスを与えてくれたのがラプターズだ。それから解雇されて、自分にとって初めてのファイナルで対戦する相手がラプターズ。まるでおとぎ話のようだね。こんな物語は、聞いたことがない」 The #GLeagueAlum duo of Kevon Looney & Alfonzo McKinnie made key contributions in the Game 4 win, helping the @warriors secure their 5th straight trip to the #NBAFinals! 💪🔥@Loon_Rebel5: 12 PTS, 14 REB@_Alvo_: 12 PTS, 2 REB#NBAPlayoffs pic.twitter.com/hSK1AVeXCF— NBA G League (@nbagleague) 2019年5月21日2019/05/29NBA&海外
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自分試しでウォリアーズ退団を決めたパトリック・マコー、ファイナルで古巣に挑む「こんなことになるなんて考えたこともなかった」 昨年のオフにウォリアーズから制限付きフリーエージェントになったパトリック・マコーは、球団から2年400万ドル(約4億4000万円)の契約を提示されたが、サインしなかった。 トレーニングキャンプ、プレシーズン、2018-19シーズンが開幕してからもウォリアーズから提示された条件に合意しなかったマコーは、昨年末、キャバリアーズと300万ドル(約3億2800万円)で契約。マコーは、移籍を選んだ理由に「自分試しをしたかったこと」を挙げた。 「プレータイムを求めていたと言えるかもしれないけれど、とにかくもっとチャンスが欲しかった。それは、必ずしもプレータイムだけじゃなくて、自分自身にとってのチャンス。ウォリアーズに不信感があったわけでもないし、彼らの決断についても何も思っていない。でも、リーグには競い合っている若い選手が多い。自分もそうありたいと思ったんだ。彼らのように自分にもやれると思った」と、マコーは移籍に至った顚末を『The Undefeated』に語った。 キャブズと契約したものの現実は厳しく、わずか3試合に出場した後で解雇された。その後マコーは、ラプターズと最低保障額で今シーズン終了までの契約を結んだ。ラプターズでは、レギュラーシーズンの26試合に出場し、平均13.2分のプレーで2.7得点、1.7リバウンド、1.0アシストを記録。結果的にウォリアーズ時代よりも出場時間は短くなったが、彼はラプターズへの移籍を後悔していない。 「自分をシーズン終了まで受け入れてくれたチームの仲間、コーチ、球団には感謝しているんだ。この夏にどうなるかなんて分からないけれど、このチームでの時間を楽しめている」 奇しくもマコーは、5月30日から始まるNBAファイナルで、古巣と激突する。もしシリーズで出場時間を与えられれば、所属チームこそ違えど2年続けて別カンファレンスからファイナルに出場するNBA史上3人目の選手になる。これまでに同様のケースとなった選手は、1982年にセブンティシクサーズの一員としてファイナルに出場し、翌83年にレイカーズのメンバーとしてファイナルに出場したスティーブ・ミックス。それから、1998年のファイナルにはブルズの一員として出場し、翌99年にはスパーズの選手として出場したスティーブ・カーしかいない。 なかなか契約が決まらず、レギュラーシーズンで古巣と対戦する機会を得られなかったマコーは、今回のファイナルについて「クレージーだね。なんとも言えない気持ちになると思う」と答えた。 「今シーズンは、まだウォリアーズ戦に出場していないんだ。最後にウォリアーズのみんなと一緒だったのは、クリーブランドで優勝した時。いろんな感情が出てくると思うけれど、準備はできている」 チームの2連覇に貢献したとはいえ、ウォリアーズファンからはブーイングで歓迎される可能性もある。だがマコーは「ブーイングされるかは分からないけれど、楽しみなんだ」と言う。 「ファイナルの雰囲気で、どういうことになるのか楽しみ。ファンに求められていることは分かっているつもりだよ。本当にクレージーだね。こんなことになるなんて考えたこともなかった。信じられないよ」 紆余曲折あったものの、マコーは、優勝を決めるステージにラプターズの選手として臨む。現代NBAの最強王者として君臨する古巣に胸を借りるつもりで、彼は自分の力を試そうとしている。 SIX @Raptors players scored in double-figures as they secure the W at home!Kawhi Leonard: 30 PTS, 8 ASTSerge Ibaka: 18 PTS, 12 REB, 2 STL, 2 BLKPascal Siakam: 17 PTS, 4 REB, 4 ASTMarc Gasol: 16 PTS, 6 REB, 2 BLKKyle Lowry: 13 PTS, 7 AST, 6 REBPatrick McCaw: 13 PTS, 2 STL pic.twitter.com/DHMrarUk1o— NBA Canada (@NBACanada) 2019年2月12日2019/05/29NBA&海外
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キャリア初のファイナルMVPよりも3連覇を優先するカリー「大事なのは勝敗」2015年はイグダーラ、直近2年はデュラントが受賞 3度の優勝、2年連続のシーズンMVP、そして3ポイントシュートに関するNBA記録を更新し続けているウォリアーズのステフィン・カリー。彼が手にしていない最大の個人タイトルは、NBAファイナルMVPだ。 初めて優勝した2015年のファイナルでは、アンドレ・イグダーラがMVPを受賞。直近2年のファイナルMVPには、ケビン・デュラントが選出された。5月27日の練習後、ファイナルMVPについて聞かれたカリーは、「特別な個人賞だし、自分も含めて、みんなが欲しがるタイトルだよね」とコメント。しかし彼の頭には、ウォリアーズがスリーピート(3連覇)を達成するNBA史上6チーム目になることと、オラクル・アリーナでの最終年を有終の美で締めくくることしかない。 「ただ、最終的に自分が考えるのは、試合に勝ったのか、負けたのか、ということ。(ファイナルMVPは)勝敗の次にくるもの。もっと下かもしれないね」 Stephen knocks it down from The Bay❗️ pic.twitter.com/y1wYc077Iz— Golden State Warriors (@warriors) 2019年5月21日 NBA史に残る偉大な選手たちの大半が手にしてきたファイナルMVPの称号だが、カリーは、チームメートたちの力がなければ優勝できていないと主張、「自分やドレイモンド(グリーン)、アンドレらの力なしで優勝できていたと思うかって?そんなことはない」と、言う。 「みんなにそれぞれの役割がある。どちらが勝っても、それは今回も変わらない。自分が1試合平均50得点を記録できたとしても、コートに出てプレーする全員の貢献、努力がなかったら、優勝バナーを掲げられない。個人の賞もだけれど、全員が同じくらいチームとして成し遂げてきたことに誇りを持っているんだ」 カリーは、2015年のシリーズでレブロン・ジェームズに決定的な仕事をさせなかったイグダーラがファイナルMVPを受賞した時も、この2年デュラントが受賞した時も、彼らを称えた。今シーズン後半からウォリアーズに復帰したアンドリュー・ボーガットは、カリーの姿勢を称賛するチームメートの一人だ。 「ステフは、(2015年の)シリーズでのアンドレの活躍を分かっているんだよ」と、ボーガット。「ステフが、チームメートの個人賞受賞を疎ましく思うところなんて、一度も見たことがない。彼はMVPを2度も受賞している選手。それに複数回優勝している。偉大な選手の一人として、歴史に名前が残る選手だよ。彼は、もっと大きなところを見ている選手だと思う。このリーグは、時に個人の競争が激しい。でもステフは、そういうタイプではないんだ。彼は、チームメートとの争いに勝つことより、目の前の相手を倒したいと思っている選手だから」 今回のファイナルは、負傷欠場中のデュラント不在のまま第1戦を迎える可能性が高く、カリーがファイナルMVPを受賞するチャンスはある。本人はチームとしての結果を優先するだろうが、オークランドで最後のシーズンの締めくくりとして、生え抜きエースである彼にファイナルMVPを受賞して欲しいと考えているウォリアーズファンは少なくないはず。 ウォリアーズが3年連続のラリー・オブライエン・トロフィーを獲得した時、カリーの手にファイナルMVP受賞者に贈られるビル・ラッセル・トロフィーがあるかどうかも、今回のシリーズの注目ポイントになりそうだ。2019/05/28NBA&海外
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NBAファイナル初進出となるラプターズ、カイル・ラウリー「大きな意味がある」「僕たちの目標はNBA優勝だ。やり遂げたい」 トロントに本拠地を置くラプターズは、バックスを破って東カンファレンスを制し、初めてNBAファイナルへと駒を進めた。昨夏、フロントは『チームの顔』だったデマー・デローザンの放出を決め、ヘッドコーチのドウェイン・ケーシーもチームを去った。大きく顔ぶれが変わったチームを引っ張り続けたのがカイル・ラウリーだ。在籍7年目のラウリーは親友デローザンの後を継いで『ラプターズの顔』となるとともに、個人技で引っ張るのではなく攻守のバランスを重視するようにプレースタイルを変えた。得点は下がったがアシストが増え、そしてチームはプレーオフで勝てるようになった。 「ファイナル進出には大きな意味がある」と『Tronto SUN』の取材に応じたラウリーは語る。 「ずっと壁になっていた一人の選手がこのカンファレンスから去るというチャンスがあり、そこでバックスという素晴らしいチームに勝って、ファイナル進出を実現したんだ」 東カンファレンスではキャバリアーズの1強体制が長く続いた。ラプターズは常に東の強豪でありながら、レブロン・ジェームズのキャブズに阻まれ続けた。『いつか彼を乗り越える』という目標は、レブロンがレイカーズ移籍を選択したことで果たされぬままとなってしまったが、何より重要なのはカナダのトロントにファイナルのゲームを持ってくることだった。 自分たちを阻み続けたレブロンとキャブズのことは、常にラウリーの意識にあるが、それと同時に必要以上に自分たちを過小評価することなく、チームが成長したからこそファイナルの舞台にたどり着いたのだと自信を持っている。 「当時はキャブズのレベルまでどうやったら行けるのか分からなかった。でも、今の僕たちには経験があって、あのレベルまで到達するために次に何をすればいいのかが理解できている。僕自身がそう思えることが、当時との大きな違いだよね」 All the feels. #WeTheNorth pic.twitter.com/sWgXp6UkNu— Toronto Raptors (@Raptors) 2019年5月26日 スパーズで優勝を経験したカワイ・レナードとダニー・グリーンが加入し、マーク・ガソル、サージ・イバカの経験も加わった。ラウリー自身も毎年プレーオフでの場数を踏んでいる。デローザンからレナードへのエース交代でも、レブロンが去ったことでもなく、自分たちが必要なステップを踏んでレベルアップを続けたことがファイナル進出に繋がったと彼は信じている。 「ずっと目指していたファイナルの舞台でのプレーを存分に味わうつもりだ。でも、これで満足したわけじゃない。僕たちの目標はNBA優勝だからね。このまま調子を上げて、やり遂げたい」 スリーピート(3連覇)を目指すウォリアーズは、ファイナルの経験がないラプターズに対して心理的に優位に立つだろう。ただ、ラウリーとラプターズは常に強者に臆せず立ち向かってきた。ウォリアーズ優勢と見られていても、ホームコートアドバンテージを持つのはラプターズだ。今週末からのNBAファイナルはトロント開催からのスタート。『We The North』のスローガンの下、トロントは燃えている。その力が強力な後押しとなるのは間違いない。 Runnin’ through the 6 with my woes. #WeTheNorth pic.twitter.com/zfW40uXwtY— Toronto Raptors (@Raptors) 2019年5月26日2019/05/27NBA&海外
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レナードとの差を痛感したアデトクンボ「彼は何をすべきかを理解していた」「チームとしても、個人としてもレベルアップが必要」 バックスはラプターズとのカンファレンス・ファイナルに敗れたが、指揮官のマイク・ブーデンホルザーは、選手、フロントの努力を称えた。 「選手たちの努力が足りなかったわけではない。フロントオフィス、オーナーの努力が足りなかったわけでもない。時に、上手くいかないこともある。上手くいかなかったんだ。相手が我々よりも多くのプレーを決めた」 試合後の会見で、メディアは経験の差が敗因になったかをヤニス・アデトクンボに尋ねた。優勝経験のあるカワイ・レナードの存在が、シリーズで違いを生み出したかを聞かれたアデトクンボは、潔く認めた。 「彼のプレーを見れば、それは分かること。このシリーズもそうだし、前のシリーズ(vsセブンティシクサーズ)でのプレーを見ても、彼は非常に落ち着いていた。彼は、これから自分が何をすべきか、どうすればいいかを理解していた。それに自信を持っていた。このステージを以前も経験していて、ファイナルにも何度か出場した経験がある。それに、彼は素晴らしかったよ。抑えるのが大変な選手だった」 2018-19シーズンMVPの最終候補にも選出されたアデトクンボは、まだ24歳と若い。これから全盛期を迎える彼を中心とするバックスは、カンファレンス・ファイナルという壁を越えるために、何かを変える必要が出てくるかもしれない。それでも、チームを強化するために必要なことを聞かれたアデトクンボは、「何かを変える必要はないと思う」と、答えた。 「僕たちは、お互いを信頼し合っている。シーズンを通して作り上げてきた、ボールを動かし、チームメートを信頼し合うスタイルを貫いて負けたのだとしても、それはそれで仕方がない」 ALL BALL 😱#FearTheDeer pic.twitter.com/2AHDVLVzKa— Milwaukee Bucks (@Bucks) 2019年5月26日 シリーズ第2戦を終えて2勝0敗とリードした時点では、勢いに乗るバックスが勝ち切るかと思われた。だが、結果的に第3戦から4連敗を喫してシーズン終了となった。アデトクンボは「2勝0敗で先行しても、何も意味がない」と言う。 「特に第3戦以降は、勝負を決める方法、試合を締めくくる方法を知っていないといけない。チームとしても、個人としてもレベルアップが必要。来シーズンも、チームの力を信じて、今シーズン感じられたことを信じてやっていく」 バックスの選手たちは、オフの間に心身ともに休んで気持ちを切り替え、来シーズンに向けた準備を進めるようになる。とはいえ、すぐに敗戦から立ち直れる選手などいない。クリス・ミドルトンは、18年ぶりにカンファレンス・ファイナル進出を果たせたシーズンになったとしても、「何かが足りなかった」と悔やんだ。 「年間60勝も記録して、素晴らしいシーズンだった。NBAの歴史に残るベストなチームの仲間入りを果たせたとも思う。長年突破できなかったファーストラウンドを勝ち抜くこともできた。ただ、目標まであと一歩のところだった。あと一歩だったんだ。素晴らしいシーズンだったと思うけれど、それでも、何かが足りなかったように感じてしまう」 A battle for the ages. #FearTheDeer pic.twitter.com/JqsCHpCX8O— Milwaukee Bucks (@Bucks) 2019年5月26日2019/05/26NBA&海外
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レナードが5年ぶりのファイナルへ「このステージに立つために努力してきた」チームの真価が問われるファイナルに 昨年の夏、ラプターズは生え抜きのデマー・デローザンをスパーズにトレードし、カワイ・レナードとダニー・グリーンを獲得するという賭けに出た。 トレード成立直後は、9年間も球団に尽くしたデローザンを裏切る形となってファンの反感を増長させてしまったものの、レナードが加わったラプターズはレギュラーシーズン開幕から好調を維持し、昨シーズンと遜色ない58勝24敗、東の2位でプレーオフに勝ち進んだ。そして、東の首位通過を果たしたバックスをカンファレンス・ファイナルで下し、球団創設から24年目にして初のNBAファイナル進出を果たした。 スパーズで優勝した2014年以来のファイナル進出について聞かれたレナードは、「このステージに立つために努力してきた」とコメント。「このチームに来て、才能溢れる素晴らしい選手たちに出会えた。それでも、日々努力の繰り返しだった。チームのシステムを理解しようと努力した。カイル(ラウリー)がコート内外での自分を支えてくれて、特定のプレーを実行する場合に、どうすればいいかを指示してくれた。ハードワークをこなした結果、今この場にいられる。とても興奮しているよ」と、続けた。 ラプターズ球団社長のマサイ・ウジーリは、試合後、レナードを「リーグのベストプレーヤー」と称賛した。そのことを伝え聞いたレナードは「自分は、そういう形で自分のプレーを評価しない」と答え、そして、昨年のトレードの件についても触れ、次のように続けた。 「チームの勝利のことだけを考えている。自分がベストプレーヤーかどうかは関係ない。いつも言っているように、ベストチームになりたいんだ。シーズン開幕前にトレードが成立して、マサイは、トレードを決めた理由を僕に教えてくれた。それが上手くいって、僕たちはファイナルにまで勝ち進むことができた。ただ、まだ終わったわけではないから」 デローザンとのデュオは解消されてしまったものの、在籍7年目のラウリーにとっても、初のファイナル進出は感慨もひとしおだろう。これまでのチームにできなかったことを達成できた要因を聞かれると、彼は笑顔で「カワイの存在」と答えた。 「彼は、どんな時だって冷静なんだ。(セブンティシクサーズとの)第7戦後には感情を表に出したけれどね。ただ、カワイ、それからダニーが優勝経験をチームにもたらしてくれた。それからマルク・ガソルというベテランもチームに加わった。ケガもあったけれど、ニック(ナース・ヘッドコーチ)がシーズン序盤からチームの方向性を定めてくれた。自分たちは、4月、5月、6月までプレーするために準備してきたんだ。それが実って、6月もプレーできるようになった」 昨年のトレードが非情な判断だったにせよ、ラプターズはカンファレンス・ファイナルという大きな壁を超えられた。王者ウォリアーズに挑戦するファイナルでは、1年という月日をかけて作り上げてきたチームの真価が問われる。2019/05/26NBA&海外