ニック・ナース

「どんなフォーマットになろうと優勝を目指す」

新型コロナウイルスの影響で3月11日に2019-20シーズンが中断されてから25日が経過し、NBAは予定されていた100試合以上を延期している。米疾病予防管理センター(CDC)は10人以上が集まるイベントを4月末まで開催しないよう勧告を出しているが、感染拡大の現状を見る限りでは4月末で解除される保証はない。NBAのシーズン再開は大幅に遅れると予想される。

そんな中でも、NBAのコーチたちはシーズン再開後のシナリオを見据えた準備を着々と続けている。バックスのヘッドコーチ、マイク・ブーデンホルザーはシーズン再開に向けた準備に余念がない。中断時点でのバックスは53勝12敗で東カンファレンス首位を独走。このままレギュラーシーズンを終えるとプレーオフ初戦で8位のチームと対戦することになるため、彼は8位になる可能性が高いマジックとネッツを分析しているという。

ラプターズのヘッドコーチ、ニック・ナースは連覇に向けた意欲をこう語る。「どんな形でシーズンが再開されるかは重要ではない。重要なのは我々がタイトルを目指して戦うことであり、どんなフォーマットになろうと優勝を目指す」

もっとも、ニック・ナースがプレーオフの準備を始めたのはシーズン中断前のこと。「私は3月1日からプレーオフの準備に取り掛かる。チームを振り分けられたスタッフが詳細な分析をした数時間のビデオセッションをするんだ。通常は僕のオフィスでスタッフにビデオを見せてもらう。通常は2時間ほどだが、東カンファレンスの何チームかの分析には3時間くらいかける。西カンファレンスのチームを確認するのはそれからだ」

ナースが指揮を執るラプターズは現時点で東カンファレンス2位。この順位を守ればネッツかマジックとプレーオフ1回戦を戦うことになるだろう。今のナースであれば、両チームのことはすべて知り尽くしているはずだ。

西カンファレンスは首位のレイカーズは8位のグリズリーズと、2位のクリッパーズは7位のマブス、3位のナゲッツは6位のロケッツと対戦する。これらのチームもバックスやラプターズと同じく、シーズン再開に向けた準備をしているはずだ。

もっとも、コーチはプレーオフに備えることができるが、選手はそうはいかない。中断期間が長引けば長引くほどトップコンディションをキープするのは難しくなる。練習ができても個人でのワークアウトかトレーニングぐらいで、試合勘を取り戻すにも時間を要するだろう。仮にシーズンが再開されたとしても、再開前のようなパフォーマンスはすぐには期待できない。また、いきなり1試合の重みが増したシーズン終盤戦になるのだから、ケガのリスクも無視できない。

現時点ではシーズンが再開しプレーオフが行われるかどうかも不透明で、何も決められない状態が続いている。それでも試合を行う可能性がある以上は、コーチも選手も準備を続けていく。