コー・フリッピン

沖縄出身の母を持つ、アメリカ育ちのコンボガード

チャイニーズ・タイペイで開催される国際大会『ウィリアム・ジョーンズカップ』のメンバー選考を兼ねた日本代表の強化合宿には、アメリカでプレーしている選手たちも複数参加している。その一人が今オフに千葉ジェッツと契約したコンボガード、コー・フリッピンだ。

186cmのフリッピンは、200cm前後の選手が多く参加する今回の合宿においては大きい部類に入らない。しかし、ゴール下へのアタックでは軽々とダンクを叩き込むなどサイズの不利を感じさせない跳躍力と、非凡なボールハンドリングが目を引いた。

生まれは東京だが、すぐにロサンゼルスへと渡り、これまでずっとアメリカで暮らしてきた。母親は沖縄出身で「沖縄には夏休みになるとよく訪れていた」と言う。「小学生の頃、沖縄で祖父からNBAを目指して頑張れと言われた。その頃から将来プロバスケ選手になることを意識はしていた」と思い出を語る。

ちなみにアメリカ生活を過ごす間にも、母親がしばしば日本食を作ってくれたそうで、とんかつと沖縄そばが好物だ。また、Bリーグの試合も昨シーズンのレギュラーシーズン最終節からチャンピオンシップにかけて、千葉はもちろん、琉球ゴールデンキングス、アルバルク東京、サンロッカーズ渋谷の試合を観戦したそうだ。

このインタビューは英語で行われたが、日本語についても問題ないと説明する。「話すのは難しいけど、普段から母は僕に日本語で話しかけているのでリスニング力はある。だからコミュニケーションについても心配していない。親戚や友達が助けてくれるしね」

コー・フリッピン

「代表のジャージーを身につけられるのは栄誉」

「日本で新しいキャリアをスタートさせることに興奮している」と強調する彼は、今回の代表合宿に呼ばれたことにも「とても光栄だ。練習着であっても代表のジャージーを身につけられるのは栄誉だし、神に感謝したい」と言う。

自身の強みを次のように語る。「どんな時でもハードにプレーすることだと思っている。ディフェンスを頑張るし、オフェンスも調子の良い選手をどんどん生かしていく。自分勝手なプレーをしないことが持ち味だ」

大学時代を振り返ると1年生から3年生まではNCAA1部のカリフォルニア大学リバーサイド校でプレーし、4年生では転校してNAIAのドエイン大学でプレーした。NAIAはNCAAの加入条件を満たしていない小規模校の集まりで、競争力は一段階落ちる。しかし、1年生から3年生まで1試合平均のプレータイムが15分に満たない控え待遇だったが、ドエイン大学では先発として1試合平均30分以上に出場し、平均13.8得点、5.1リバウンド、3.2アシストと中心選手として活躍した。

「NCAA1部の時には限定的な役割しか与えられなかったけど、最終学年はプレータイムも増えて多くのことを経験できた。ペースをどうコントロールするか、試合についてより深く学べた」

千葉と契約してプロ選手としての第一歩を踏み出したところだが、まずはジョーンズカップに向けた代表選考を勝ち抜かなければいけない。その意気込みを問うと、自分勝手なプレーをしないことを持ち味とする選手らしい答えが返ってきた。

「僕個人が日本代表の一員としてどんな活躍ができるかよりも、今一緒に練習している仲間たちと日本代表としてどこまで国際舞台でやれるのか。そこを楽しみにしている」

日本代表とBリーグに新たな刺激を与えるニューカマーになってくれることを期待したい。