エリック・パスクホール

視野の広さを向上させるためのセットプレー

ウォリアーズのヘッドコーチ、スティーブ・カーは、若手の急成長株であるエリック・パスクホールに、スパーズの名将グレッグ・ポポビッチのカワイ・レナード育成法を取り入れた。

レナードとパスクホールには、フィジカルの強さとしなやかさを兼ね備え、得点能力が高いという共通点がある。パスクホールはルーキーながら、ここまで1試合平均16.1得点を記録。1ポゼッションあたりの得点は1.03で、これはラマーカス・オルドリッジやカイリー・アービング、ジミー・バトラーよりも上のリーグ31位の数字だ。

ただ、デビュー当時のレナードと同様、パスクホールの課題は視野の狭さだ。ボールを持つとゴールだけしか見えなくなってしまうため、パスの選択肢が限られる。

この弱点を克服するため、ポポビッチはあるプレーをデザインした。このプレーでレナードは、味方からボールをもらってドリブルした後、自分と反対のサイドの選手へパスをするだけ。ポポビッチの狙いはレナードに味方を利用した流動性の高いオフェンスか理解させることだった。

このセットプレーは、レナードが広い視野を持つようになる上で、少なからず効果があったに違いない。ポポビッチと親交の深いカーは、パスクホールに同様のプレーをさせている。パスクホールとレナードを比べたらまだ実力差は大きいが、理想としては最適なモデルと言える。実際、パスクホールはレナードの映像をチェックしてプレーの参考にしているそうだ。

パスクホールには、着地間際に足を蹴ってしまうシュートフォームやオフェンスファウルの多さなど他の課題もあり、コーチと一緒に改善に励んでいる。それでも、ステフィン・カリーやクレイ・トンプソンら主力のケガで不振が続くウォリアーズにとって、41位指名のルーキーの活躍はうれしい誤算であり、来シーズン以降の球団にとって明るい材料の一つとなっている。