アルフォンソ・マッキーニー

「みんな、僕がどれだけ努力してきたのかを知らない」

アルフォンソ・マッキーニーは2015年のNBAドラフトにエントリーするも、どこからも指名されなかった。そうしてルクセンブルクの2部チームと契約。2016年にはメキシコリーグでプレーし、自腹で175ドル(約2万円)のトライアウト参加費用を払って、Gリーグに所属するブルズ傘下のウィンディシティー・ブルズに加わった。

Gリーグでは、元ピストンズのウィル・バイナムらとプレーし、平均14.9得点、9.2リバウンドというスタッツを残し、Gリーグのオールスターゲームに出場。その翌シーズン、彼はラプターズと2年の無保証契約を結ぶもプレータイムを得られず、2018年の7月に解雇された。その後は、スペイン、ギリシャ、オーストラリアのチームからオファーが届いたものの、彼はNBAでプレーすることにこだわった。

「NBAでプレーするチャンスを逃したくなかった。関係者も自分のことを知っていたし、この時がNBAでやれるチャンスだと思っていたんだ」とマッキーニーは言う。

かくして昨年夏、ウォリアーズ傘下のサンタクルーズ・ウォリアーズと最低年俸での1年契約にサイン。条件は悪かったが、バイナムのアドバイスもあってこの契約に応じたマッキーニーは、ウォリアーズのトレーニングキャンプに招待された。

制限付きフリーエージェントだったパトリック・マコーがウォリアーズに復帰するか微妙だったため、チームにはウィングの控えが必要だった。こうしてヘッドコーチのスティーブ・カーに実力を認められたマッキーニーは、無保証ながら2年契約というオファーを提示された。

ウォリアーズのアシスタントコーチ、マイク・ブラウンは、昨年のトレーニングキャンプ中、マッキーニーとの契約は、プレーオフを見据えてのものだったと話した。

「プレーオフの試合で、ディフェンスで貢献できる選手を我々は評価する。それがアルフォンソの強みだった。プレーオフの試合で、普段通りにやれるのが彼だった。NBA選手の中でも身体能力に優れている。サイズもあって、頭も良くて、チームメートから好かれている。タフで、寡黙で、控えめで、何も恐れない」

レギュラーシーズンを通してカーの信頼を勝ち取ったマッキーニーは、5年連続のNBAファイナル進出に貢献。ケビン・デュラントをケガで欠く状況でプレータイムを得て、トレイルブレイザーズとの第4戦にはアンドレ・イグダーラを休養させてマッキーニーがスタメンを任されている。この試合に勝ってスウィープでのカンファレンス・ファイナル突破を決めた後、彼はロッカールームでこう語った。

「以前は月給1500ドル(約16万円)だった自分が、ファイナルにたどり着いた。みんな、僕がどれだけ努力してきたのかを知らない」

1年前はラプターズのベンチを温めるだけの選手だったマッキーニーが、その古巣と優勝を争う。この数奇な運命を、マッキーニーは「おとぎ話のようだ」と表現した。

「ルクセンブルクを経由して、いろんなところを経た自分にNBAでプレーするチャンスを与えてくれたのがラプターズだ。それから解雇されて、自分にとって初めてのファイナルで対戦する相手がラプターズ。まるでおとぎ話のようだね。こんな物語は、聞いたことがない」