宇都宮ブレックス

最後まで攻守にプレーの強度を落とさず、A東京を振り切る

天皇杯はファイナルラウンドを迎えた。宇都宮ブレックスvsアルバルク東京の準決勝は、両チームとも好ディフェンスが光るロースコアゲームとなり、コンディションも含めた総合力で上回った宇都宮が64-54で勝利している。

A東京は各選手が良い距離感を取って丁寧に守るのに対し、宇都宮はピック&ロールからズレを作って得点していく。宇都宮はトラップを多用するなどディフェンスでも自分たちから仕掛けていく。その積極性が序盤で宇都宮に優位をもたらした。第1クォーター残り3分を切って宇都宮は比江島慎とジェフ・ギブスのピック&ロールが完璧に決まって15-7と抜け出す。A東京はここでタイムアウトを要求し、腰痛で約1カ月ほど欠場していたアレックス・カークをコートに送り出した。

そのカークは竹内公輔のシュートを叩き落すビッグプレーをいきなり見せ、ディフェンスを立て直すことで相手に傾いた試合の流れを引き戻そうとするのだが、プレーが止まるために腰に手を当てて痛そうにしており、ピンポイントでしか起用できない。カークを下げた途端にジョシュ・スコットにオフェンスリバウンドを奪われ、インサイドを強引に破られて突き放されることになった。

それでも宇都宮のピック&ロールに対してはファイトオーバーで激しいプレッシャーを掛け、オフェンスでは13得点を挙げたデション・トーマスの活躍があり、前半を終えて24-29とA東京は2ポゼッション差で食らい付く。後半も我慢の展開が続いたが、再びカークを起用してディフェンスを引き締めた第3クォーターの残り3分半、ザック・バランスキーのバスケット・カウントで38-38と追いついた。

しかし、宇都宮は余力を残していた。ほとんど休めないトーマスの得点が止まった一方で、テーブス海が思い切りの良い3ポイントシュートを沈め、ギブスが強引な仕掛けでカークの守るゴール下を攻め立てて消耗を強いる。第4クォーターが始まって2分半、ギブスの得点でリードを10点に広げ、LJ・ピークも3ポイントシュートで続き、さらにはライアン・ロシターがスティールからそのまま得点を決める一気の猛攻で、粘るA東京を突き放した。

プレータイムをシェアできる宇都宮は試合終盤になってもプレーの強度を落とさず、ディフェンスとリバウンドでA東京に付け入る隙を与えない。残り2分を切って遠藤祐亮が3ポイントシュートを決めて62-48。粘るA東京を振り切り、ファイナル進出を決めた。