選手層が厚い川崎の中でも替えが効かない存在
川崎ブレイブサンダースは10月15日、16日に行われた琉球ゴールデンキングスとのアウェー2連戦を1勝1敗で終えた。初戦は86-105で大敗を喫したが、ディフェンスを立て直した2戦目は73-69で競り勝った。3ポイントシュートを攻撃の大きな軸とする中、22本中わずか2本成功と沈黙しながら勝利できたのは、内容面でも大きな意味のあるものだ。
この試合で勝利の立役者となったのは、ともにシーズンハイの34分44秒出場で24得点を記録した藤井祐眞だ。スイッチによってマークについたドウェイン・エバンスとのミスマッチでも身体を張った守備で相手のドライブを食い止めるなど、持ち前のエナジー全開のハッスルプレーでチームを牽引した。第4クォーターには鋭いドライブから2つのバスケット・カウントと膠着状態を打開するビッグプレーを決めるなど、このクォターだけで10得点をマークし大きな仕事を果たした。
藤井の勝負強さが、どれだけ勝敗の行方に大きな影響を与えたのかは、琉球の桶谷大ヘッドコーチのコメントが端的に示している。「(ニック)ファジーカス選手、(ジョーダン)ヒース選手の3ポイントシュートをまず止めないといけないのはありました。その中で藤井選手のところでボールピックから1on1をシンプルに来たので、あれが決まらなかったら流れは自分たちに来たと思いますが、ここまでやってくるとはあまり想像はしていなかったです」
また、琉球の岸本隆一も次のように藤井の活躍に脱帽している。「あれくらいやってくる選手だと知っていますし、リスペクトはあります。また、篠山(竜青)選手には残り1分を切ったところでミドルジャンパーを決められ、あそこで少し試合を決められた感じもありました。自分としては戦術、試合の流れ云々ではなく、シンプルに2人の持つ力に屈した思いもあります」
「チームが僕に託してくれたので、決めきる気持ちでやっていました」
藤井本人は「昨日みたいに簡単にオープンスリー、イージーショットの場面をそこまで作らせなかったのが大きかったです。トランジションのディフェンス、ヘルプディフェンスで寄りすぎていたのを修正することを意識して、しっかり守れたと思います」と守備の勝利であることを強調する。
自身のオフェンスについては、チームメートの後押しが大きく、自分に全幅の信頼を寄せてくれたことで最後まで積極的な姿勢を貫けたと感謝している。「3ポイントシュートがチーム、個人としてもなかなか入らなくてリズムは作れなかったです。それでもベンチに帰って来るとみんなから『どんどん打っていけ』、(前田)悟には『25点取ってきて』と言われました。それもあって、しっかりアタックする気持ちを持ってコートに立てていて、それが結果的にリングまでアタックし、フリースローにも繋がったと思います」
「チームが僕に託してくれたので、決めきる気持ちでやっていました。みんなが信頼してボールを預けてくれたので、やりきろうと思っていました」
「課題を一つずつ乗り越えて強くしていかないといけない」
これで川崎は、宇都宮ブレックス、琉球と続いたアウェーゲームを2勝2敗で乗り切った。ともに初戦で敗れた後、2試合目でやり返したところは課題と収穫をともに感じさせる形となっている。
藤井は語る。「宇都宮戦、琉球戦とディフェンスでの修正点は多いです。全体的にチームとしてもっとコミュニケーションをとって、課題を一つずつ乗り越えて強くしていかないといけないです。初戦を続けて落としているので、次はそこをしっかり意識していきたいです」
今節、川崎はホームでレバンガ北海道と対戦する。新外国籍のシューターであるマット・ジャニングが故障で欠場となっており、藤井にはオフェンスの起爆剤としての期待もより高まる。選手層の厚い川崎であるが、その中でも藤井は替えが効かない存在であることをあらためて証明した敵地での2連戦だった。