「本当に良い選手がスタートになればいい」
昨シーズンのBリーグを制したアルバルク東京。チャンピオンシップのセミファイナルでのシーホース三河戦、ファイナルの千葉ジェッツ戦と正念場で攻守にアグレッシブな姿勢を見せ、ベンチからチームに勢いを与えたのが小島元基だった。先発はレギュラーシーズンを通してわずか5試合でも、チャンピオンシップを勝ち抜く上で小島は欠かせない存在だった。
新シーズンに向けたチーム始動とともにスタメンを争うチーム内競争が始まる。小島としては当然、スタメン奪取を狙いたいところだろうが、本人はチームファーストを強調する。「今シーズンは今シーズンで、新しくいろいろ挑戦したいです。もちろん安藤(誓哉)さん、(齋藤)拓実とも切磋琢磨して、誰がスタートとかじゃなくて、とにかく自分のレベルアップに繋がれば。本当に良い選手がスタートになればいいと思っているので、それだけです」
A東京に加入して1年目の昨シーズン、課題は「少しアグレッシブさに欠けたところがあって、自分らしさが見られなかった」とのこと。それでも彼が自分に課すのは闇雲に突っ込むのではなく、状況判断しながら自分らしさも出すことだ。「ただ行くだけなら誰にでもできます。考えてアグレッシブに行きたいです」と小島は言う。
メンバー変更が少ないからこその『質』の追求
『勝っているチームは変えない』の原則に基づき、A東京は昨シーズンからロスターにほとんど変化がない。他のチームは打倒A東京を掲げてチーム強化に余念がないが、そんなライバルに比べて優位な点として小島は『質』と語る。「ほぼ一緒のメンバーでやれるのはプロではなかなかないですよね。だからこそ完成度を高め、自分が戦術理解を高めて指示できるようにやっていきたいです」
現在A東京は、田中大貴、馬場雄大、竹内譲次が代表合宿でチームを離脱し、外国籍選手も合流していない。新シーズンでも代表の主力選手を抱えるチームとあって、シーズン中の離脱は避けられない。残ったメンバーの意識について小島は「去年も代表が抜けたり怪我人で抜けたり、結構皆集まらない状況というのは多かったし、そういう状況の時には残っている自分たちがしっかり質の高いプレーをすることが大事になってくると思います」
地獄の夏特訓も「自分のためになるので楽しみ」
新シーズンのA東京のスローガンは『AHEAD』。優勝したチームをさらに前に進める、完成度をさらに高めることを掲げている。メンバーはほとんど変わらなくても進化しなければいけない。小島はこう説明する。「昨シーズンのオフェンスは結構シンプルに、ピック&ロールしてというものでした。それをやり続けていたら絶対相手にスカウティングされるわけで、いろんな対応を含め戦えるパターンが増えていくと思います」
代表選手は不在、外国籍選手もまだ合流していないが、ルカ・パヴィチェヴィッチの厳しい指導はもうスタートしている。「基礎をしっかりやっています。100パーセント楽しみなわけじゃなく、ちょっとキツいのもありますけど(笑)、やっぱり自分のためになるので楽しみです」
昨シーズンは新しいチームと戦術に適応することに時間を要し、その間に持ち味を見失ってしまったが、タイトル争いの正念場で自信を取り戻した。「仲間と切磋琢磨して成長したい」と語る小島がこの1年でどんな成長を見せるのか、今から楽しみだ。