第1戦とは打って変わって、ラスト数秒まで拮抗した戦いに
Wリーグのプレーオフ、セミファイナルの第2戦。トヨタ自動車アンテロープスが富士通レッドウェーブを61-58で下し、ファイナルへと駒を進めた。
第1戦は前半を終えた時点で21点のリードを奪っての圧勝だったが、この試合では最後まで富士通を突き放すことができなかった。第1戦では序盤からリバウンドを圧倒し、馬瓜エブリンや河村美幸のインサイド陣を起点にオフェンスを展開したが、今日の第2戦ではそこを富士通に対応されてしまう。リバウンドも思うように取れず、インサイドでの得点が伸び悩んだ。それでも、安間志織や三好南穂のバックコート陣が3ポイントシュートを沈めることで、リードを奪った。
一方の富士通は前日の課題を修正し、セカンドチャンスからの失点を許さない。町田瑠唯が積極的なアタックでスペースを生み、味方のシュートチャンスを作ることで、先行するトヨタ自動車に食らいつく。さらに、篠崎澪がエナジー全開のドライブで得点を量産し、一時は2桁のリードを許したが前半を29-29と同点で終えた。
後半に入っても一進一退の戦いが続く。トヨタ自動車はスイッチディフェンスでの高さやスピードのミスマッチを富士通に狙われたが、相手がイージーシュートを決めきれなかったことに救われて、なんとかリードを保った。それでも残り2分を切って内野智香英の3ポイントシュート、さらに篠崎のバスケット・カウントでの3点プレーを許し、残り33秒には59-58と1点差にまで詰められた。
しかし、トヨタ自動車は慌てずに、この日15得点を挙げた安間を生かしたセットプレーをラストポゼッションで選択。その安間は期待に応えて見事にミドルジャンパーを沈めて、61-58として勝利をつかみ取った。
トヨタ自動車はターンオーバーが19本と自分たちのミスからリズムを作ることができず苦しい展開となったが、リバウンドでは53-30と圧倒。長岡萌映子が16得点7リバウンド、安間が15得点7リバウンド6アシストでオフェンスを牽引した。さらに勝負どころでのシュートで富士通はフィニッシュが雑になっていたところを、トヨタ自動車は丁寧に決めきったことが最後の差になった。
長岡萌映子「ここまで競って勝ちきれたことは財産として次に繋がる」
敗れた富士通の町田は「昨日よりはディフェンスのところやリバウンドはできていて、セカンドチャンスのところで入れられることは少なかったけど、アウトサイドの安間選手にやられてしまった印象です」と振り返った。「オフェンスでも得点のバランスが悪くて、篠崎選手に頼りっぱなしで周りの選手がアタックできなかったり、シュートを決めきれていなかったところが敗因だと思います」
一方、連勝でファイナルへと駒を進めたトヨタ自動車の指揮官ルーカス・モンデーロは勝因にディフェンスを挙げた。「勝つためには富士通のトランジション、3ポイントシュートを抑えなければいけなかった。この2試合はそこを守れたことによって、富士通の得点を2試合とも60点に抑えることができました。オコエ(桃仁花)選手を両日9点に抑えることができたのも、今回勝てた要因の一つです」
攻守ともにオールラウンドに活躍した長岡は「今日の試合でここまで競って勝ちきれたことは自分たちの財産、経験として次に繋がると思うので、この勢いを大切にしてファイナルでも自分たちらしいバスケットをして頑張りたいです」とファイナルに向けての思いを語った。
また、見事なゲームメークや得点力で勝利に貢献した安間は「今日の試合が難しくなることは予想していました」と言う。「その時にどれだけ我慢して私たちのバスケットをできるかが鍵になったと思います。途中で流れを持っていかれましたが、リバウンドを取ることで私たちのリズムに持っていけたと思います」
「セミファイナルで勝てたことは私たちが一つになれたからだと思うので、今日と明日ぐらいは喜びたいと思います。ファイナルは相手がどっちになるか分かりませんが、私たちが今までやってきたバスケットをどれだけやれるかが大切になってくるので、チーム全員で一つになって練習してファイナルに挑みたいです」