高さで劣るも全員でリバウンドを取りセカンドチャンスポイントを圧倒
サンロッカーズ渋谷vs秋田ノーザンハピネッツの水曜ナイトゲーム。ほとんどの時間帯で2桁前後のビハインドを背負っていたSR渋谷が残り26秒で逆転に成功し、78-76で勝利した。
SR渋谷はライアン・ケリーに続いてジェームズ・マイケル・マカドゥもケガの影響で欠場し、外国籍選手はチャールズ・ジャクソンのみという状況に。そのため伊佐勉ヘッドコーチが「本来はウチも秋田さんと同じようにフルコートでマンツーマンディフェンスをするチームですが、ケガ人が多かったのでゾーンディフェンスの時間を多くしました」と語ったように、SR渋谷はボックスワンや2-3、3-2のチェンジングディフェンスを起用した。
対する秋田はフルコートでのマンツーマンディフェンスを展開。激しいディフェンスが持ち味のチーム同士の対決とあり、第1クォーターからターンオーバーがSR渋谷に6本、秋田に8本、スティールはSR渋谷が6本、秋田が4本とディフェンスの強度がオフェンスを上回り重い展開に。
秋田のトランジションバスケを止めることができず、36-43とSR渋谷の7点ビハインドで迎えた後半。SR渋谷は高さで劣る分、スピードで勝負する。ビッグマンを外に引き付けてスペースを作っては、ベンドラメ礼生や関野剛平が果敢にペイントアタックし一時は3点差まで詰めた。しかし、そのペイントアタックも秋田に対応されてしまい、追いつきそうなるも突き放されるという展開が続く。
53-61で迎えた最終クォーター。SR渋谷は野口大介と広瀬健太のベテラン勢がチームに勢いを与える。ディフェンスの裏を突いたプレーで得点を重ね、ディフェンスでも広瀬がスティールから速攻に繋げるなど奮闘する。そしてオフィシャルタイムアウト明け、SR渋谷はチェンジングディフェンスで勝負を仕掛ける。ハーフコートでは高い位置からの2-3ゾーンでプレッシャーをかけて秋田にオフェンスを組み立たてさせずターンオーバーを誘発し、今度はオールコートプレスでポゼッションを奪う。また、全員でリバウンドを取りに行くことで、セカンドチャンス、サードチャンスをモノにして点差を詰めていく。
そして残り26秒でベンドラメのフリースローで追い付き、その次のポゼッションでも攻めのディフェンスで秋田からターンオーバーを誘発しマイボールすると、残り3.8秒でジャクソンがフリースローを決めて逆転に成功した。ディフェンスで迎えたラストプレーも秋田にシュートを打たすことなく守り切り、78-76での逆転勝利を果たした。SR渋谷は最終クォーターだけで秋田から9本のターンオーバーを誘い、そこから13得点を挙げるなど、まさにディフェンスからリズムをつかんでいった。
前田顕蔵ヘッドコーチ「ここを超えないと僕たちの先はない」
SR渋谷は外国籍選手が一人のみという状況ではあったが、ゾーンディフェンスを駆使することで、秋田のペイントエリアからの得点を30点に留めることに成功した。また、伊佐ヘッドコーチが「とにかくオフェンスリバウンドで繋いでいたのが大きいと思います」と語ったように、試合を通して全員でリバウンドを取りにいくことでオフェンスリバウンドを24-14とし、セカンドチャンスポイントを25-11と圧倒した。「自分たちの特色ではありますが、外国籍がCJ(チャールズ・ジャクソン)しかいない中で、日本人選手も果敢に取りにいって繋いでくれました。ターンオーバーでボールを結構失ってしまいましたが、そこでポゼッションを取り戻していたと思います」
また、この試合ではエースのベンドラメが23得点を挙げオフェンスを牽引。その一方で、今シーズン初先発となった野口が11得点、3度目の先発起用となった広瀬が9得点6リバウンド3アシスト3スティールとベテラン勢の活躍も光った。さらに、野口がプレータイム30分、広瀬が23分とともに今シーズン最長の出場時間となった。ケガ人を抱えているチーム状況もあるが、伊佐ヘッドコーチは彼らを信頼しているからこそ、このプレータイムになったと言う。
「普段とは違うディフェンスをしていますが、練習をする時間があまりありませんでした。その中で、ベテラン選手の経験値も踏まえて、コミュニケーションでどうにかやってもらう部分があったので、あの2人のプレータイムが長くなりました」
一方、逆転負けを喫した秋田の前田顕蔵ヘッドコーチは「絶対に負けられない重要な試合という位置づけでやっている中で、勝ちきれない、守りきれない。そして簡単なミスをしてしまうという大きな課題が浮き彫りになったのかなと思います」と総括した。
「チームとしての共通認識が徹底できるようにならないと、こういう接戦を勝てるようにはならない。非常に残念な負けでしたが、ここを超えないと僕たちの先はない。すぐに名古屋D戦もやってくるので頑張りたいです」