三遠ネオフェニックス

勝敗を分けた終盤のファウルマネジメント

ともに連敗脱出のかかった三遠ネオフェニックスvs広島ドラゴンフライズの一戦。最後まで拮抗した展開が続いたが、同点で迎えた残り9秒に川嶋勇人が2本のフリースローを成功させて勝ち越し、ラストポゼッションを守り切った三遠が81-79で勝利した。

最初に流れをつかんだのは三遠だった。同点でスタートした第2クォーターにディフェンスの強度を高め、トラップを仕掛けたことがハマり、このクォーターだけで7つのターンオーバーを誘発。ここから相手のミスを得点に繋ぎ、ステヴァン・イェロヴァツが2本の3ポイントシュートを含む9得点を挙げ、川嶋が7得点3アシストとオフェンスを牽引し、48-39とリードして前半を折り返した。

だが、三遠は良いシュートが打てているものの、これまで決まっていた3ポイントシュートに当たりが来ず、ゴール下のイージーシュートを外してしまい後半の入りに失敗。広島はこの隙を見逃さず、グレゴリー・エチェニケやジャマリ・トレイラーのインサイドを中心に攻め立て、12-2と走り開始5分で同点に追いついた。

その後はリードチェンジを繰り返す互角の展開となり1、2ポゼッション差以内で試合が推移していった。スコアが示すように、両チームにほとんど差はなかったが、広島のファウルマネジメントに落ち度があったことは少なからず勝敗に影響を与えた。

残り4分30秒、広島は4ファウルのトレイラーをコートに戻して勝負をかける。トレイラーはブロックショットにアシストと効果的なプレーを見せたが、残り2分48秒で川嶋にファウルを誘われて退場となった。また、2点リードで迎えた残り1分12秒には、アイザイア・マーフィーがイェロヴァツに3本のフリースローを与えてしまい、同点に追いつかれた。そして、同点で迎えた残り9秒、マーフィーはボールを運ぶ川嶋に身体を当ててしまい、ファウルをコールされた。すでにチームファウルが5に達していた状況だけに、軽率だったと言わざるを得ない。結果的にこれで得た2本のフリースローを川嶋が成功させて、三遠が逃げ切った。

接戦になればなるほど、1プレーの重みは増す。第3クォーター終了間際に、バックコートからの超ロングブザービーターを決めた寺園脩斗がヒーローに選ばれたこともそれを証明している。

勝利した三遠は連敗を5で止め、広島は泥沼の15連敗。1ポゼッション、1プレーの大切さが身に染みた試合となったはずだ。