「ここ一番でシュートを決めて勝つことができた」
川崎ブレイブサンダースは12月26日の琉球ゴールデンキングス戦を80-72で制し、連敗を3で止めた。シーズン中盤の踏ん張りところで勝利の立役者となったのが大黒柱のニック・ファジーカスだ。
第1クォーターから快調に得点を重ねたファジーカスだが、中でも第3クォーターはフィールドゴール10本中9本成功の20得点と大爆発。第4クォーター開始時に川崎が18点リードと試合をほぼ決める立役者となり、試合を通して36得点10リバウンドを記録した。
「京都を相手にホーム連敗を喫したのは本当に悪いことだった。3連敗には危機感を持っていた」と語るファジーカスは、だからこそこの勝利に「アウェーゲームで琉球に勝つのは大変なことなので気分は良いね」と安堵の表情を見せる。
第4クォーターに琉球の岸本隆一の3ポイントシュート連発による追い上げを食らったが、そこでも冷静に対処できたと振り返る。「データ面から言って、18点差を1つのクォーターでひっくり返すのは難しい。岸本がビッグショットを決め琉球に勢いを与えていたが、途中でビッグラインアップに戻してチームを立て直し、ここ一番でシュートを決めて勝つことができた」
川崎はファジーカスと外国籍選手2人を同時起用するビッグラインアップが持ち味の一つ。ただ、マティアス・カルファニ、ジョーダン・ヒースが揃って離脱した後はこの得意技も使われていなかった。それが、この試合ではファジーカス、パブロ・アギラール、セドリック・シモンズの組み合わせで復活した。
「ビッグラインアップには手応えを感じていて、リバウンドが良かった。この布陣でゾーンディフェンスを使うとサイズがあり、アドバンテージを上手く生かせると思う」とファジーカスも手応えを感じている。
「自分が得点を取るのはチームオフェンスの一部」
チームだけでなく彼にとっても最近は満足できないパフォーマンスが続いていた。それが「ここ数週間はちょっと難しい試合が続いたけど、今週はリカバリーをより重視して過ごした」とコンディション調整が上手くいったことも今回の活躍に繋がったようだ。
カルファニ、ヒースと中心選手2人を欠き、ファジーカスに特に得点面での負担が増しているのは否めない。ただ、「自分が得点を取るのはチームオフェンスの一部だ」とあくまで自分も駒の一つとして、チームプレーの遂行を何よりも意識する。
それと同時に苦しい状況の時には、個の力でもいいから打開してチームを助けるエースとしての覚悟と責任は忘れない。「チームが上手く機能している時、自分が点を取らなければという感覚にはならない。自分にチャンスが来るのは分かっている。ただ、負けが続いたりすると、自分が点を取らなければという切迫した気持ちになることもあるよ」
川崎にとって琉球は11月7日、8日とホームゲームで連敗した相手。もちろん今日の試合でも勝ってその時の借りを返したいが、ファジーカスは「そういったリベンジの意識はない。それよりもここで勝って勢いをつけて1月を迎えたいという思いが強いんだ」と言い切る。
連勝の鍵は相手より強度の高いプレーをいかに継続させるか。「ナイトゲームの後での14時スタートと間隔が短い。だからエナジーはとても大きな要素となる。しっかりリカバリーをできた方が、より多くのエナジーを出せる」。川崎が勝って2020年を締めくくるためには、今日の第2戦でもファジーカスの活躍が欠かせない。