試合の中での修正力が効いたA東京、力の差を見せ付ける
開幕から3勝4敗と黒星が先行する大阪エヴェッサ。アルバルク東京をホームに迎えた今節は、強豪を相手に自分たちのバスケがどこまで通用するか、現時点での力が問われる対戦だったが、第1戦では力の差を見せ付けられる完敗となった。
伊藤達哉とディージェイ・ニュービルの2ガードにアイラ・ブラウンが絡むハイテンポなオフェンスでスタートした第1クォーターは互角もしくはやや優勢だった。開始5分で伊藤に代えて橋本拓哉を投入し、ニュービルをポイントガードにしてA東京に守りどころをつかませない。第1クォーターは23-21でA東京と差は付かず。点の取り合いになったがターンオーバーが大阪は5、A東京は7と速いペースで攻守が入れ替わる中でともにミスが目に付く序盤だった。
しかし、ここからの修正力が両チームの差だ。A東京はオフェンスのテンポを下げることなくプレー選択の精度を上げ、田中大貴とアレックス・カークのピック&ロールを軸に攻撃を展開。このクォーターで27得点を挙げるとともにターンオーバーはゼロと見事に立て直した。
29-50とビハインドを背負って後半を迎えた大阪は、これ以上離されたくないという個々の気持ちが噛み合わない。オフェンスばかりに意識が向いて、ディフェンスで足が動かなくなった。特にカークをゴール下でフリーにしてしまうシーンが多く、後半スタートからの2分あまりでA東京はカークがゴール下のイージーシュートを4本沈め、菊地祥平と田中のファストブレイクも飛び出し、シュートを1本も落とさないまま13-0のラン。これで63-29と大量リードを作り、早々に勝負を決めてしまった。
この間、エヴェッサは簡単にゴール下にパスを通され、相手に速攻のチャンスを与えてもハリーバックができず、攻めでも積極性を失ってA東京のディフェンスの外側でしかボールを動かせない状態。また、攻撃の核となるべきアイラが抑えられ、積極性を欠いてしまったのも痛手だった。その状況でタイムアウトを取るでもなく、A東京にいいように蹂躙されてしまった。その後はジョシュ・ハレルソン、ニュービルと個人の奮闘はあったものの、チームとしては最後まで噛み合わず。69-97で敗れている。
A東京にとっては危なげない勝利だったが、指揮官のルカ・パヴィチェヴィッチは大阪の特にオフェンス力を特に警戒し、オフェンスリバウンドを取られないこと、ターンオーバーから走られないことを選手に意識させ、「相手の特徴を理解した上で守り、シュートの確率を下げることができた」と語る。
逆に大阪はそのようなディフェンスができなかった。特にゴール下でイージーシュートのチャンスを多数作られ、カークはフィールドゴール18本中14本成功と超高確率で30得点を記録。勝利をほぼ手中に収めた第4クォーターこそ勢いが落ちたが、第3クォーターまではチーム全体でもフィールドゴール47本中34本成功、72%と驚異的な確率を残した。大阪は前半からアイラとギャレット・スタツにファウルがかさんで苦しかったのは事実だが、ここを立て直さない限りは明日の第2戦でも勝機は見えてこない。