『ナベタイム』で一気に得たリードを守り切る
宇都宮ブレックスがホームに琉球ゴールデンキングスを迎えた開幕節第2戦。前日に続き40分間を通して、高い強度を維持するタフなディフェンスが光った宇都宮がすべてのクォーターを20点以下に抑え、79-68で勝利した。これで宇都宮は開幕連勝スタートとなった。
第1クォーター序盤、琉球は並里成からジェイソン・ウォッシュバーンの連携で得点を重ねるが、宇都宮も比江島慎の3ポイントシュートでやり返す。終盤に宇都宮は渡邉裕規、喜多川修平のアウトサイドシュートで突き放しにかかるが、終了直前に岸本隆一が3ポイントシュートを決め、宇都宮の20-19と互角で終えた。
第2クォーターは互角の展開が続いたが、オフィシャルタイムアウト明けから試合が動く。宇都宮のディフェンスの圧力の前にミスが出始めた琉球は、遠藤祐亮の3ポイントシュートなどで畳み掛けられ、33-42とビハインドを背負って前半を終えた。第3クォーター開始早々には、大黒柱のジャック・クーリーが3つ目のファウルを犯し交代を余儀なくされる。インサイドの要がコートに立てない状況もあり、宇都宮が主導権を握るが、琉球も粘り強いディフェンスで食らいつく。
すると残り3分半、琉球にビッグプレーが生まれる。船生誠也が前から激しく当たってテーブス海からスティールすると、ボールを取り返そうとしたテーブスからアンスポーツマンライクファウルを誘発。これで試合の流れが変わり、琉球は岸本の3ポイントシュートなどで点差を縮め5点ビハインドで踏み留まった。
だが、第4クォーターに入ると宇都宮は『ナベタイム』が発動。「まずはディフェンスが優先ですが、しっかりシュートを打てる体勢など良い準備ができていました。常に狙っていることができたのは良かったです」と振り返る渡邉裕規がファウルを受けながら3ポイントシュートを沈める4点プレーを決めると、直後にも3ポイントシュートを沈め、残り7分でリードを2桁に乗せた。これで試合の流れを再び引き寄せた宇都宮は、守備のギアを上げて琉球に反撃のきっかけを与えなかった。そして残り2分7秒、渡邉がダメ押しの3ポイントシュートを沈め、16点までリードを広げてそのまま逃げ切った。
「毎試合、絶対に勝つ姿勢で臨むことが大事」
連敗スタートとなった琉球だが、一方で第3クォーターに崩れた前日と違い、今日は大黒柱のクーリーがベンチに下がる中でも踏ん張れた。そこには藤田弘輝ヘッドコーチも「プレシーズンや昨日だったら崩れてしまうところで、もう1回チームとして立て直してインテンシティを上げることができました。昨日は終始、宇都宮さんに流れをつかまれていましたが、今日は僕らが主導権を握って流れを取り返せた時間帯がありました。宇都宮さん相手にそれをするのは簡単ではない。これは次に繋げないといけない収穫です」と、手応えを得ている。
一方、相対的に見れば2日間とも最後は余裕を持っての勝利と順調なスタートを切った宇都宮だが、安齋竜三ヘッドコーチは反省を多く口にした。
「自分たちのターンオーバーから流れを崩す。正直、軽いプレーがちらほらあって、それは優勝するチームには絶対にあってはいけないこと。(プレータイムのシェアについて)強度の高いディフェンスをやるためには、長くても1試合25分くらいがちょうどいいです。ただ、勝つために余裕がなくなったらずっと出しておく選手もいるかもしれない。ダメだったら主力でも試合に出さない選手はいる。勝つためにどうしたら良いのか、情は抜きでやっていきたいです」
開幕連勝スタートを飾った後の試合でこのように指揮官が語るのは、あくまで目指すのは頂点のみであるから。「会見の場でこういう事を言うのは選手も聞くからです」と、した上でこう続ける。
「チャンスはもちろん与えるし、成長してほしいです。ただ、それがいつまで続くのかは僕にも分かりません。東地区にいてチャンピオンシップに出られるかも正直わからない。1試合ずつ大切に戦って1、点でも勝つ試合を詰めていかないといけない。その危機感はずっとあります。昨シーズン、最後に1勝足りなくて地区優勝を果たせなかった。そこの部分はかなり大きいです。毎試合、絶対に勝つ姿勢で臨むことが大事で、それがゆくゆくはチャンピオンシップにも繋がっていきます」
宇都宮の目標は王座奪還のみ。そのためにはいかなる慢心も許さない、指揮官の強い覚悟をあらためて感じた宇都宮の戦いぶりだった。