『全国学生フリースローチャレンジ』は新型コロナウイルス感染症の影響で全国大会の中止が続く夏に、学生プレーヤーがチームとして何かに取り組み、ソーシャルディスタンスを保ちつつ全国のライバルに挑戦できる場を提供したいとして企画され、日本バスケットボール協会の主催によりこの8月に行われている。年齢を問わず高校生まで参加できるが、ミニバスチームが前期大会で優勝するジャイアントキリングもこの大会の魅力。その優勝チームの記録(25本)を上回ったのが三菱電機コアラーズだ。冒頭から良いテンションでチャレンジを楽しみながら、一つも落とすことなく28本を記録。チャレンジに参加した濱口京子と、MCとしてチームを盛り立てた川井麻衣に話を聞いた。

濱口京子「無になりつつ、チャレンジを楽しむ」

──まずは『全国学生フリースローチャレンジ』に挑戦しようと思ったきっかけを教えてください。

川井 SNSで見ていたので大会があるのは知っていて、トップリーグに所属している私たちがやったらファンの方々に喜んでもらえると思っていました。そこにマネージャーさんから「やろう」と声を掛けてもらって、やることになりました。フリースローを打つ5人はマネージャーさんが決めて、私が助っ人じゃないけどしゃべる役でした。

濱口 もともとそんなにしゃべるキャラというわけではないよね。どうしてそうなったんだろう(笑)。

川井 先輩たちだけどイジらないと面白くないと思って、前日の夜に結構考えてきました。トヨタ自動車アンテロープスさんのチャレンジでは選手紹介が面白くて何回も見ちゃって、「これを超えなければいけないんだ」とちょっとプレッシャーもあったんですけど、みんな笑ってくれたので手応えは80点ぐらいです(笑)。

──ノーミスで28本、すごい記録を叩き出しました。かなり練習したのでは? コツはありますか?

川井 練習でも25本か26本入ったので「もう本番行っちゃおうか」という緩い感じで入りました。

濱口 すごく無心でした。入れようと思うのではなく無心で、自分のタイミングが来たから打つ、みたいな。普段のフリースローのテンポじゃないので、ラインに立って無心、またラインに立って無心、みたいな。その結果があの数字です。

川井 もうボンボンボンボン入るので、こっちも「あれー?」って(笑)。

濱口 事前にどうしたら良いかみたいな話も全然していなくて、普通にルール通りにやっただけなので。でも、逆に「入れよう」と思うと力が入っちゃうので、自分のタイミングで打つことですね。無ですよ(笑)。無になりつつ、みんなでチャレンジしていることを楽しむ。こういうゲームをすることは普段ないので、全員が楽しんで、力が抜けたことが良かったのかもしれないです。

川井 あんなに入ると思っていなかったので、もう完璧です。打っているみんながテンポ良く、またリラックスして良い表情でやっていたんですよ。正面で見ていた私が多分一番力が入っていて、20本行った時に「ここからや!」と力が入って、変な声で「おー↑ケイ」って言っているんです(笑)。あの変な掛け声がなかったら29本行っていたかもしれない……。

濱口 私もそう思います。もしかしたら30本行けたかも。

川井 リベンジしますか?

濱口 その時は選手紹介もまた考えるんだよ?

川井 もう無理だよ、あれ以上は無理(笑)。

──チャレンジは1回練習しただけで一発撮りでしたが、川井選手は選手紹介の練習はどれぐらいしたんですか?

川井 みんな私が言ったことに対してポーズを合わせるので、流しで練習をちょっと。あとは私が個人で発声練習を(笑)。

濱口 でも結構、渡邉(亜弥)にダメ出しされていたんですよ。「もうちょっとテンション上げてよ」とか(笑)。

三菱電機コアラーズ

川井麻衣「私は打ってないですけど、イェーイ!(笑)」

──学生向けですがプロも挑戦してSNSに投稿しています。トヨタ自動車アンテロープスのチャレンジは意識しましたか?

川井 それはもう意識しますけど、さりげなく勝ちました。私は打ってないですけど、イェーイ!(笑)

濱口 私は練習の時に1本外していたんですけど、プレッシャーを感じることなく楽しむことができました。多分みんな遊ぶのが得意なのが良かったんだと思います。川井の変な掛け声で集中が途切れそうになりながらも、やりながら「めっちゃオモロいやん」と思ってて、良い感じに力が抜けました。連続で決めてて力が入るところで「良いよ良いよー」みたいなことを言ってくれて、「やめてー」と思いながらリラックスできたのは良かったです。打つ以外のメンバーも大事ですね。

──三好南穂選手と馬瓜エブリン選手にも取材したのですが、あのノリだと『打倒コアラーズ』で28本を超えてくる気がします。

濱口 その時はやり返します! 学生の大会なので私たちは参加しているだけですけど、特別賞を作ってください(笑)。

川井 さらっと行きましょう。気づいたらコアラーズがまた超えてる、みたいな感じで(笑)。その時はもっと上を行く選手紹介をまた考えて、三好さんとエブリンさんを倒す感じで行きます。私はシュート打たないので、そっちで頑張らないと!

──両チームにもう一回ずつ取材する気がしてきました(笑)。とはいえあと1カ月でWリーグの新シーズン開幕で、ファンとしてはこちらも楽しみです。開幕に向けた抱負と、コアラーズを応援する方々へのメッセージをお願いします。

濱口 私は移籍して、みんなから良い刺激をもらってすごく新鮮な気持ちでバスケットができています。私は逆に今までの経験をみんなに伝えたいと思っていて、そこで良い化学変化を起こして、今までにないコアラーズのバスケットを見せたいです。移籍して来てからファンの皆さんにまだお会いできていないのですが、試合を通してたくさんの方とお会いして、また新たなコアラーズのファンになっていただけるように頑張りたいと思います。

川井 ここ数年にしてはメンバーが大幅に入れ替わって、個性豊かなメンバーが揃いました。また違ったコアラーズのバスケットを見せられると思っています。激戦区になりますが1位で勝ち抜けられるように頑張ります。 ファンの皆さんと一緒に戦いたいと思いますので、今シーズンもご声援よろしくお願いします。