文=鈴木健一郎 写真=B.LEAGUE

桜木ジェイアールが老獪なプレーで琉球を手玉に取る

シーホース三河と琉球ゴールデンキングスの第2戦。前日は三河がホームゲームを落としていた。第3クォーターに突き放され、終盤に追い上げるも届かないという展開での敗戦。それを受けて、前日の追い上げで主役となり、琉球に冷や汗をかかせた比江島慎が欠場。身内に不幸があったということでベンチ登録から外れ、さらに金丸晃輔もベンチに回ってプレーせず。代わって先発したのは西川貴之と松井啓十郎。KJこと松井にとっては三河に加入した今シーズン、初のスタメン起用となった。

『飛車角落ち』の三河だが、立ち上がりから前日の借りを返すべく全員がファイト。桜木ジェイアールのポストプレーを軸に得点し、そこからアウトサイドに展開。西川、松井の連続3ポイントシュートが飛び出すが、琉球では前日に活躍した田代直希とハッサン・マーティンがこの日も攻守にハッスルし、主導権を与えない。それでも第2クォーター、普段は出番の少ない森川正明が得点にリバウンドにと活躍し、三河が30-29と1点リードで前半を終える。

試合が大きく動いたのは第3クォーターだった。立ち上がりに2つ連続で橋本竜馬にファウルを犯した岸本隆一がベンチに下がったことで琉球がバランスを崩す。津山尚大、石崎巧と控えポイントカードが橋本の嫌らしいハンドチェックに苦しみ攻撃を組み立てられずに得点が止まる。さらには桜木ジェイアールがベテランの味を発揮。フィジカルで優位に立つアイラ・ブラウンやハッサン・マーティンに対し、あからさまにファウルを誘うことで強さを発揮させずに自分が主導権を握る。ここからは三河の一方的な展開となり、琉球は貴重なタイムアウトを2度使うも流れを変えられなかった。

松井を始め出場機会を得た選手が堂々のプレー

コートに戻った岸本が第3クォーターのラストプレーでブザービーターの3ポイントシュートを決め、さらにはシューティングファウルも誘う4点プレーを決めるが、後半それまでは26-3という大差。このビッグクォーターを金丸、比江島が不在のまま作り出す、三河の底力を痛感させられる10分間で、勝敗はほぼ決してしまった。

最終スコアは69-54。鈴木貴美一ヘッドコーチは敗れた第1戦を「みっともないゲームになってしまった」と反省し、ディフェンスを意識させたと語る。「しっかりオフェンスではなくてディフェンスでイニシアチブを取るということをしました。琉球の得意なところをスカウティングして、ここを止めないといけないという約束事を選手が実行してくれた」

比江島と金丸を欠いて戦うことは試合直前に伝えたという鈴木ヘッドコーチ。その時に「いないから怖いな」ではなく「いないからみんなで頑張らないといけない」という顔つきを見て勝利を確信したと語る。

シーズン初先発、そして三河では最長となる33分半のプレータイムを与えられた松井は12得点、さらには古川孝敏とのマッチアップで自由を与えず抑え込むディフェンスでの貢献も光った。比江島と金丸を欠いての戦いに「それでもウチは勝てるんだというところを見せたかった」と松井は言う。「そういう意味では10人でしっかりとチームとして戦って、ディフェンスから第1クォーターが始まって試合を通して良い結果につながったと思います。

松井だけでなく西川と森川も持ち味を発揮。セカンドユニットが課題と言われる三河にとっては会心の勝利となった。西地区1位の琉球と1勝1敗、三河は45勝10敗で全体勝率トップをキープしている。