文・写真=鈴木栄一

トランジションオフェンスで圧倒した千葉

3月28日、千葉ジェッツが敵地とどろきアリーナに乗り込んで川崎ブレイブサンダースと対戦した。持ち味である高速オフェンスから次々と得点を重ね、97-78で圧勝している。

第1クォーター、まず主導権を握ったのは川崎で、長谷川技の3ポイントで7-0と先行する。その後に千葉も追い上げるが、このクォーターで11得点を挙げたニック・ファジーカス、さらに3オフェンスリバウンドに6得点のジョシュ・デービスの奮闘で川崎が28-18と突き放した。

しかし、第2クォーターに入ると状況は一転。千葉はセンターのギャビン・エドワーズがディフェンスリバウンドを取ると、自らボールを運びゴール下まで攻め込むなど、得意のトランジションオフェンスが機能。そして、第1クォーターとは逆にオン・ザ・コートで千葉の「2」、川崎の「1」となったサイズの優位も生かし、堅いディフェンスでわずか11失点に抑えたことで44-39と逆転して試合を折り返す。

第3クォーターになっても千葉の勢いは止まらない。控えガード陣で良いリズムだったこともあり、第2クォーターは出場時間0だった富樫勇樹が不完全燃焼に終わった前半のうっぷんを晴らすかのように大暴れ。3本の3ポイントシュートなどこのクォーターだけで15得点をマーク。さらに小野龍猛も得意のポストアップから8得点を挙げて、オフェンスで川崎を圧倒する。

結局、32得点とビッグクォーターを作った千葉が第4クォーターを前に76-58と大量リード。第4クォーターは余裕の展開で、リーグ屈指の強豪対決を制している。

守備を立て直した結果、得意のオフェンスが機能

千葉の大野篤史ヘッドコーチは試合をこう総括する。「第1クォーターで川崎さんにいいようにボールを動かされ、インサイドアウト、オフェンスリバウンドと得意なことをされてしまったのがジャンプスタートを許した理由でした。ただ、そこからディフェンスを立て直して、トランジションオフェンスで自分たちのスタイルを第2クォーター以降は貫くことができた。選手たちがディフェンスのトーンをセットしてくれたことが勝因でした」

また、24日、25日の三遠ネオフェニックス戦(100点、97点)に続いての大量点と、絶好調なオフェンスについては次のように手応えを語っている。「トランジションオフェンスにつなげるためにディフェンスをハードにしなければいけない。リバウンドを取らないといけない。そして、しっかり走るという意識が全員に植えつけられてきています。ハーフコートについては自分たちのアドバンテージがどこにあるのか、どこで攻められたら相手が嫌なのかを選手がしっかり判断してオフェンスをつなげている。それが点数の伸びている要因かと思います」

一方、ホームで大敗を喫した川崎の北卓也ヘッドコーチは「97点取られていますので、千葉さんの強みであるブレイクをとめられなかった。あとは小野(龍猛)選手のインサイドを起点にやられてしまいました」と、大量失点の原因としてオフェンスの終わり方が悪かったと見ている。

「第2クォーターの出だしは、ボールを動かして良いスクリーンを使って良いシュートを打てていました。しかし、スタートのメンバーを戻した時、そこにボールが集まって1対1からのタフショットを打たされ、走られてしまいました。ディフェンスが悪いというより、シュートが入らないので走られてしまう。オフェンスでもっと良い終わり方をしないと、どういうシステムを作っても走られて、そこから失点してしまいます」

オン「1」の戦いぶりに課題を残す川崎

今シーズン、川崎の大きな課題と言えるのが、オン「1」の時間帯。「第2クォーターの得点は課題で徐々に改善されつつあります」と指揮官が語るように成長してはいるが、一方で上位陣との対戦ではまだまだ厳しいところをあらためて露呈してしまった。

それは24日の栃木戦、第2クォーターの7点を皮切り、翌日の同カード、そしてこの日の試合と、オン「1」となる第2、第3クォーターの計6つのクォーターで1回も20点以上がなしという結果が端的に物語っている。

千葉はこの勢いに維持し、31日、4月1日と敵地に乗り込んでの難敵・レバンガ北海道戦。一方、川崎は30日、31日に地区首位のアルバルク東京を迎え撃つ。東地区の過酷なサバイバルレースを生き残れるのか、どちらも引き続きタフな試合が続く週末となる。