文=丸山素行 写真=B.LEAGUE

桜木のインサイドで主導権をにぎった三河

中地区首位を独走するシーホース三河が横浜ビー・コルセアーズのホーム、横浜国際プールに乗り込んだ。桜木ジェイアールの個人技で序盤から主導権を握ると、最終クォーターに金丸晃輔の連続ゴールで突き放し、92-70で横浜を退けている。

オン・ザ・コートが「1」の第1クォーター、序盤は互いに点を取り合い拮抗するが、桜木の強みを存分に生かした三河が先行する。ダブルチームに来ないと読んだ桜木は老獪なテクニックを駆使し、内外から得点を重ねていく。オフェンスリバウンドを4本奪取、7本のフリースローをすべて沈めた桜木の13得点の活躍に引っ張られた三河が第1クォーターから25-18とリードした。

第2クォーターに入ると、ボールをプッシュする田渡凌がオフェンスにリズムを与えた横浜が反撃を開始。残り5分33秒には桜木が個人2つ目のファウルを犯しベンチに退き、直後のオフェンスで満田丈太郎が3ポイントシュートを沈め、31-33と2点差に迫った。

しかし、この横浜に流れが行きかけた場面で西川貴之が3ポイントシュートを返してオフィシャルタイムアウトに。三河はここでディフェンスを修正し、アイザック・バッツとコートニー・シムズがインサイドで力を発揮。ともにバスケット・カウントを獲得するなどリードを広げた。

「そろそろ汗をかいていいかな」金丸の覚醒で決着

13点ビハインドで後半を迎えた横浜は、ハシーム・サビート・マンカがオフェンスリバウンドから得点し、細谷将司の3ポイントシュートなどで食らいつくも、桜木の1on1を止められない。オンザコート「1」の時間帯で圧倒的な存在感を見せる桜木に、このクォーターで12得点を許し、逆にリードを広げられていく。残り3分16秒、金丸のゴール下が決まり68-48と点差は20の大台に。だが横浜は集中力を切らさず、9-0のランで12点差まで詰めて最終クォーターを迎えた。

三河は桜木を休ませ金丸へとボールを預けるが、フィニッシュが決まらず得点が伸び悩む。だが比江島慎が2ブロックショットを記録するなど、ここ一番の集中を見せたディフェンスが機能し、10点前後のまま試合は推移する。

そして鈴木貴美一ヘッドコーチが「前半7分前後で代えて出さなかったので、通常であれば今日は調子が悪いのかなと下げてしまうでしょうけど、僕はそろそろ汗をかいていいかなって。必ず入ってくると信じていた」と言う金丸がここから爆発する。

金丸は約6分間で2本の3ポイントシュートを含む6本のフィールドゴールをすべて成功させる16得点と覚醒。金丸の得点で反撃の芽を摘み、横浜の得点をわずか10点に封じた三河は、苦戦はしたものの20点差をつけて大勝した。

三河は今日にも中地区優勝の可能性アリ

勝利した三河の鈴木貴ヘッドコーチは「今日はいつもより早めにメンバーチェンジをして、若手がしっかり経験できて最終的に20点離して勝てたのは良かった」と総括。第2クォーターでは比江島と金丸が全休したが、ベンチメンバーが役割をこなしリードを広げたことを収穫に挙げた。

敗れた横浜の尺野将太ヘッドコーチは「シーホースさんに対し、どこを最優先で守るのかというところはしっかりエクスキュートしてくれた。選手がミスをしたというよりも、こちらの戦術面での準備が三河さんに上回られてしまった」とコメント。

その優先度の面については、第2戦があるため詳しくは明かさなかったが「失点の部分である程度スコアに反映されたかなと思う部分はあります」と話した。比江島を0得点に抑えた一方で、桜木にシーズンハイの31得点を許した偏りがあり、インサイドよりもシューター陣をケアしたということだろう。

三河は今日の勝利で連勝を13に伸ばした。もし第2戦に勝利し、名古屋ダイヤモンドドルフィンズが敗れれば、今日にも中地区優勝が決定する。