田代直希「このメンバーで歩んで行くことにワクワク」
10月6日、琉球ゴールデンキングスが本拠地でシーホース三河と激突。前半を終えた時点で2桁のリードを許すが、後半に自慢の堅守で盛り返し80-76で今シーズン初勝利を挙げた。
試合序盤、琉球はビッグマンのジャック・クーリーが前半だけで3ファウルなどファウルがかさむことでリズムを崩し、攻守が噛み合わない。一方の三河は、エースのダバンテ・ガードナーに加えて岡田侑大が高確率でシュートを沈め、前半だけで15得点と大暴れ。前日に続いて三河が2桁のリード、42-30で前半を折り返す。
しかしハーフタイム、佐々宜央ヘッドコーチから次のような喝を受けた琉球の選手が奮起する。「前半は昨日みたいになって、ハーフタイムで久しぶりに怒ってしまいました。僕もそうですけど審判に抗議してしまっていた。自分たちのパフォーマンスが悪いのに、審判のせいにするのはあり得ない。後半、バスケットボールをしっかりやろうと言いました」
その結果、これまた昨日と同じく琉球が持ち前の激しいディフェンスからのトランジションが増えて反撃を開始する。また、昨日は29本6本成功と沈黙した3ポイントシュートが、満原優樹の6本中3本成功を筆頭に、この試合では20本中9本成功と効果的に決まることで、点差を詰めた。
指揮官は石崎を称賛「コート上のコーチでいてくれた」
第4クォーター、さらに守備の強度を強めた琉球に三河は受け身となってしまい、このクォーターだけで5ターンオーバーと攻撃がうまく回らない。残り4分14秒、琉球は並里成のフリースローで追いつくと、直後にターンオーバーを奪取し、小野寺祥太が値千金の3ポイントシュートをねじ込んでついに勝ち越し。ラスト5分でわずか3失点と、三河のハイパワーオフェンスを抑え込んで見事な逆転勝利を収めた。
この試合、琉球は指揮官が「彼はすごすぎです」と絶賛するジョシュ・スコットが17得点12リバウンド、小野寺が16得点、満原が11得点8リバウンド。並里も第4クォーターだけで8得点を挙げる活躍だった。しかし、その中でも佐々ヘッドコーチが、試合後の会見で真っ先に言及したのは11分半の出場で2リバウンドの福田真生、12分半の出場で5得点2アシストの石崎巧だった。
「真生は献身的にルーズボールを追い、ディフェンスでは金丸との追いかけっこになるところで頑張ってくれました。石崎に関しては、三河みたいなチームはすごく状況判断が良い。うまく合わせてくるので、それに対してがむしゃらに頑張ってもいなされる。そこに対する仕掛けが必要な状況で、コート上のコーチでいてくれました。僕のコミュニケーション不足のところも埋め、オフェンスを組み立ててくれました」
「守備のエナジーの良さ」が引き寄せた勝利
振り返れば今オフの琉球は、アイラ・ブラウン、古川孝敏、橋本竜馬、須田侑太郎と実績ある選手が続々と退団し、チーム力の低下を懸念する声も少なくなかった。
それでも昨シーズンからの残留組でキャプテンの田代直希は、「チームが集まった早々はすごく不安でしたけど、大きく崩れることはない実感を持って開幕を迎えられていました。そしてタレントがいないと言われている中で三河さん相手にしっかり戦えたので、このメンバーで歩んで行くことにワクワクしています」と、手応えを深めている。
また、佐々ヘッドコーチが「2試合続けて70点台に抑えることができたのは良かった」と言ったように、リーグ随一の破壊力を持つ三河の強力オフェンスを食い止めて、チームの屋台骨である堅守が健在であることを証明した。その上で、指揮官は昨シーズンとの違いをこう続ける。
「去年は固くディフェンスをしていましたが、今年はギャンブルではなく、激しくディナイしてからのパスカットで速攻が出ます。その守備のエナジーの良さはオフシーズンから感じていて、それが形になってくれました」
ネームバリューはなくなったかもしれない。しかし、積極的に仕掛ける守備から強引にでも自分たちの流れに持っていくスタイルで琉球は頂点を目指す。そんな強烈なメッセージを感じ取れた今シーズン初勝利だった。
10月6日のB1 9試合の結果
島根63-66名古屋D
SR渋谷83-78千葉
富山88-71三遠
京都72-69滋賀
秋田70-77大阪
琉球80-76三河
北海道72-67横浜
A東京94-84新潟
川崎75-69宇都宮