富樫勇樹

「感覚はゼロに近かった」の状態で6得点6アシスト

アーリーカップ2日目、船橋アリーナでの千葉ジェッツvs宇都宮ブレックスでは、7月末の右手骨折でワールドカップを欠場した富樫勇樹がサプライズ出場した。

わずか3回の練習参加からの実戦で、「利き手でボールをほぼ触れていなかったので、感覚はゼロに近かったです」と本人が語るように、調整不足での試合とあって、6アシストを記録したもののフィールドゴール10本中1本成功のみの6得点4ターンオーバーと精彩を欠き、試合も75-84で敗れた。

ただ、まだシーズン開幕前であり、ここで25分試合でプレーできたこと自体がチームにとっても彼自身にとっても大きな収穫。ここでの復帰について本人にとっては、ケガを負った時からも目標としていたタイミングだと明かす。

「試合に出ないと感覚は戻りません。そしてアーリーカップとマカオのテリフィック12が開幕前の最後のプレシーズンです。ここで出なかったらマカオに実戦経験なしで行くことになり、それはちょっと嫌でした」

ちなみに試合当初、富樫は右手に黒のテーピングをしていたが、後半途中になってそれを外す。その理由を「テーピングは手のひらまで巻いていたので、ボールが滑りました。それで後半、ちょっと違う巻き方をしたんですけど、『それだったら意味ないよね?』とトレーナーと話して外しました」と説明した。テーピングなしでも問題ないぐらい状態は良くなっているようだ。

富樫勇樹

「開幕がオリンピックに向けてのスタートになる」

今日の試合には敗れたが、チームの状況には手応えを感じている。「チームとしてそんなに悪いとは思わないです。正直、去年の方が良くなかった。去年は開幕節に連敗してしまいましたが、それもおかしくない状態でした。自分は代表で離れていましたが、周りの調子が上がっていないと聞いていました。それに比べて今年は良いです」

本人にとって無念の欠場となったワールドカップについては、こう振り返る。「最後の2試合に関して八村(塁)選手がいなかったことも含めてあれですけど、最初の2試合に関しては良いところも見えたと思います。でも、差もはっきり見えました」

そして、この差を埋めるためには「どのチームも八村選手に対して、今後ああいう厳しいディフェンスをずっとしてきます。だからこそ周りがステップアップするしかない。(渡邊)雄太、塁に頼りすぎるのではなく、Bリーグの選手の成長が良い結果に繋がっていきます」と何よりもBリーガー勢のさらなる成長が欠かせないと主張する。

新シーズンは、東京オリンピックへ向けての大事な年となる。富樫にとっては「レギュラーシーズン開幕がオリンピックに向けてのスタートになる。この1年、五輪に向けてのアピールの場になっていくと思います」と意気込み。開幕からパワー全開で行くためにも明日のアーリーカップ、そしてテリフィック12で、状態を上げることに集中する。