今野紀花

「これまでで一番チームとして息が合っていて手応え」

女子バスケットボール日本代表は、『FIBA女子アジアカップ2025』の準決勝進出決定戦でニュージーランド代表を撃破し、今日の20時半から優勝の大本命である開催国、中国との大一番に臨む。

ニュージーランド戦は相手のフィジカルに苦戦して優位を作れないまま前半を終えた。プレッシャーがかかる状況の中、第3クォーターに22-8のビッグランを生み出す原動力となったのが今野紀花だ。3点リードの残り4分半に3ポイントシュートを沈めると、直後のポゼッションでスティールから速攻を決める。今野のビッグプレー連発にニュージーランドはたまらずタイムアウトを取るが、日本の勢いは止まらない。今野が再び得点を決めたことで12点リードで第4クォーターに入り、そのままリードを守りきった。

今野は26分半の出場で13得点4アシスト2リバウンド1スティール1ブロックを記録。攻守の活躍がどれだけ日本の力になっていたかは、出場時間の得失点が+30だったことが示している。

今野は、次のように試合を総括する。「課題だったディフェンスが機能して、ターンオーバーもまだまだ多いですが今日は11と抑えられました。後半はすごくボールが回って、良いバスケが展開できたと思います」

「前半は私がガードをした時に流れがあまり良くなく、停滞させてしまった印象でした。後半はチーム全体として足が動いて、パスも回っていました。これまでで一番チームとして息が合っていて、今日はそこが手応えでした。

今野紀花

「選手自身も手応えをつかみ始めて良い流れに」

自らの見事な活躍について「グループフェイズの3試合は全然アグレッシブなプレーができていなかったので、今日は積極的に行こうと意識したのが良かったと思います」と語る。

特に目立っていた第3クォーターについては「ディフェンスから頑張ってああいうプレーを決めると流れが来て、突き放すトリガーになります。次の試合でもそういう場面を出せる活躍をしたいです」と振り返る。

コーリー・ゲインズはポジションレスのバスケットボールを指向しており、179cmのサイズと非凡なハンドリング能力を生かした大型ガードとして今野はその象徴的な存在となっている。ボールプッシュの役割を積極的に担っているが、それでも大会前の強化試合では「2番が8割、1番が2割という意識でした」と語るように、ポイントガードが主体ではなかった。

それが今では「徐々にポイントガードをやる時間が増えてきて、今は五分五分の意識です」と変わっている。ゲームメークを担う司令塔の責任感が消極的なプレーに繋がっていた部分もあったが、ニュージーランド戦では「2番として思い切りやっていた感覚に戻して、考えすぎずにアグレッシブにやりたい」と、気持ちを切り替えたことが効果的なドライブなど持ち味を発揮することに繋がった。

今野だけでなく、この試合の日本代表は各自がより自身の強みを発揮したプレーを見せ、ようやく噛み合ってきた印象が強い。「徐々に選手自身も手応えをつかみ始めて、良い流れになっています。明日も全員で良いバスケをして勝って、決勝に繋げたいです」

そう今野が語るように、この良い流れをキープして中国戦では出だしから日本らしさを貫いてほしい。