久々の出場となったトレイ・ジョーンズが違いを作る
3月17日に行われた千葉ジェッツとシーホース三河の第2戦。前半で60-29と勝負を決めた前日の第1戦よりも勢いを増した三河に対しても、千葉の優位は揺るがなかった。攻守ともにチーム力の高さを見せ付けて95-74で勝利し、これで連勝を7に伸ばしている。
三河は開幕からここまで46試合で先発ポイントガードを務めた生原秀将をベンチに置き、熊谷航が初先発。アグレッシブなプレーでチームに勢いを与えるが、マッチアップする相手は日本代表の先発ポイントガードを務める富樫勇樹であり、チームの連携面でも千葉が上とあっては食らい付くのが精一杯。
さらに千葉にはトレイ・ジョーンズという秘密兵器がいた。ケガで戦列を離れた後、ギャビン・エドワーズとジョシュ・ダンカンが優先して起用されたために今年に入って出場機会のなかったジョーンズが、第1クォーター半ばに投入されて久々にコートに立つと2番ポジションに入り、こちらも特別指定選手の岡田侑大とマッチアップ。ここを攻め立てることで千葉が早々に2桁のリードを奪った。
こうなると三河は3番ポジション、4番ポジションのところで優位を作りたいが、3番の金丸晃輔を原修太が激しいディフェンスで抑え、逆に連続3ポイントシュートを沈めてリードを広げる。それでは4番ポジションのケネディ・ミークスはと言うと、ポストプレーからリングに向かって振り返るタイミングを狙って仕掛けるダブルチームに苦しみ、前半でフィールドゴール15本中成功わずか3本と大ブレーキ。それでも加藤寿一が3本の3ポイントシュートを沈めて、37-47と10点ビハインドで踏ん張って前半を終えた。
ハイペースの試合運びで強みを最大限に生かす
後半に入り、三河のエースである金丸に火が付く。千葉のディフェンスは強度を落とさず付いているにもかかわらず、次々とシュートを沈めて反撃開始。ファウルがかさんだ千葉を攻め立て、岡田の3ポイントシュートで一時は3点差まで追い上げた。
それでも千葉は慌てない。富樫勇樹は「金丸選手のシュートが入っていましたが、タフショットは打たせていたので」と、いくら金丸であってもそのペースが続かないと判断していた。しかも速い展開は千葉の望むところ。岡田の3ポイントシュートが決まった直後にリスタートから富樫、マイケル・パーカーと繋ぐファストブレイクを決め、そこから走る展開に持ち込む。
第3クォーター残り4分、パーカーが強烈なプレスディフェンスで金丸のターンオーバーを誘い、そのまま走ってレイアップへと持ち込むことで64-53と再びリードを2桁に広げる。三河にとって痛恨なことに、この時プレッシングをかわそうとした金丸が足首を痛めてプレー続行不能に。シュートが当たっている加藤を入れて立て直しを図るが、千葉も警戒を強めて自由にプレーさせない。ここを勝負どころと見た千葉は堅守からの速攻を見事に体現し、三河を一気に突き放した。
第4クォーター開始時点で76-58。さらに桜木ジェイアール不在でほぼフル出場しているアイザック・バッツとミークスは、千葉の速いテンポにもう付いていけなかった。しかも大野篤史ヘッドコーチはオフィシャルタイムアウトの数秒前にわざわざタイムアウトを使ってディフェンスの緩みを指摘。結果、最後まで攻守のインテンシティを保ち、危なげなく勝利を収めた。
三河の指揮官は若手を称賛「絶対に無駄にならない」
最終スコア95-74で千葉の勝利。「自分たちがどういうチームなのか、何を持ち味で、どうやって勝ってきているのかを全員が共通理解を持っている」と、大野ヘッドコーチも評価するパフォーマンスだった。
敗れた三河だが、鈴木ヘッドコーチは若い熊谷や岡田の奮闘を喜び、「次に繋げられたゲーム」と評価する。桜木が故障離脱中、復帰したばかりの金丸も再びケガをしての連敗に「キツいですよ。ただでさえ勝ち星が少ないのにケガ人もいて」と語るが、「普通ならガクッと来るところだけど、モチベーションを上げるのは私の仕事」と指揮官にブレはない。
「昨日は前半ボロボロでしたが後半トントンにできて、今日は第1クォーターがダメでしたが第2クォーター以降は互角にできました。こういう強いチームを相手に素晴らしいアリーナで若い選手が成長できたのは、絶対に無駄にならない。必ず爆発します。もちろん勝ちたくてやっているし、負けたのは悔しいですが、収穫があった試合です」
千葉はリーグ最速で40勝に到達。レギュラーシーズンは残り13試合で、昨シーズンの46勝を上回るペースとなっている。三河は痛い連敗で24勝23敗。ワイルドカード2位でのチャンピオンシップ出場権争いはシーズン最終盤まで続くことになりそうだ。