アルバルク東京

文=丸山素行 写真=B.LEAGUE

我慢の時間帯を乗り切ったA東京の底力

アルバルク東京がホームのアリーナ立川立飛に滋賀レイクスターズを迎えた第2戦。滋賀のチェンジングディフェンスに苦しめられ、終盤に3点差まで詰め寄られるも、そこで逆転を許さず要所を締めたA東京が、70-65で勝利した。

A東京はボールと人が連動し、ズレを作ってオフェンス優位の状況を作るも、肝心のフィニッシュが決まらない。ガニ・ラワルのインサイド、マーカス・ブレイクリーのドライブを止められず先行されたが、途中出場の齋藤拓実の速攻で追いつき、第1クォーターを14-14で終える。

馬場雄大と田中大貴のパスミス、ザック・バランスキーがオフェンスファウルを犯すなど、A東京はなかなか波に乗れなかったが、強度の高いディフェンスで滋賀にイージーシュートを一切許さず、得点源の両外国籍選手や狩野祐介を封じたことで、我慢の時間帯を乗り切る。

竹内譲次の3ポイントシュートで逆転すると、アレックス・カークがオフェンスリバウンドからシュートファウルを誘発し、速攻のシュートミスを押し込んでバスケット・カウントを奪うなど、ペイント内で力を発揮してリードを2桁に乗せた。

滋賀は第2クォーター終盤にブレイクリーが早くも4つ目のファウルを犯しベンチへ退く苦しい展開となったが、果敢にオフェンスリバウンドに飛び込み、狩野が得点に繋げ、高橋耕陽が連続でタフショットをねじ込むなど、8点差に詰めて前半を終えた。

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効果的だったチェンジングディフェンス

迎えた後半、4ファウルのブレイクリーを最初から起用する滋賀に対し、A東京はしっかりディフェンスを崩して、ミルコ・ビエリツァが7得点、安藤誓哉が6得点を挙げるなど、アウトサイド主体のオフェンスを展開。第3クォーター残り5分を切り、ビエリツァの3ポイントシュートでこの日最大となる15点のリードを奪った。

それでも、滋賀を指揮するショーン・デニスが「チェンジングディフェンスをすることによって、相手に快適にプレーできない環境を作った。それがシュートの確率に影響させた」と言うように、マンツーマンとマッチアップゾーンなど多彩な守備でA東京を惑わし、滋賀はこれ以上のリードを許さずに踏ん張る。

12点ビハインドで最終クォーターを迎えた滋賀は、残り8分を切った場面で、ここまで献身的なプレーで踏ん張りを支えてきた荒尾岳も4つ目のファウルをコールされてしまう。インサイドの2選手が4ファウルとなったことで崩れてもおかしくなかったが、逆に集中力が増し、2選手ともファウルアウトになることなく堅守を継続した。

すると、中村功平が特別指定とは思えぬ強気なプレーを披露し、5得点3アシストとチームに勢いをもたらす。アグレッシブにゴールを狙う高橋のミドルシュートが決まり、滋賀は残り2分30秒で3点差に詰め寄った。

だが、タイムアウトを要請したA東京は、安藤のドライブ、カークのセカンドチャンスポイントで立て直し、同点を許さない。残り11秒には、高橋に3ポイントシュートを許し3点差まで迫られるが、ファウルゲームを乗り切り、常に5点前後のリードを保ったA東京が逃げ切った。

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「彼らの活躍はクラブの将来にとっても良い兆し」

A東京を指揮するルカ・パヴィチェヴィッチは「滋賀はデニスヘッドコ―チの下、しっかりとコーチングされたチームですので、本当にタフな試合になりました」と、敵将に敬意を示しながらも、「40分間ハードに戦った結果、勝利することができました。選手たちにはよく戦ってくれたと伝えました」と、試合を通して常に安定した戦いを見せた選手を称えた。

これでA東京は今シーズン最長の7連勝を達成。18得点を挙げた安藤は「バイウィーク前に7連勝できてほっとしています。自分もそんなにシュート率が高いわけではなかったですが、結果的に18得点取れて、特に第3クォーターに自分のシュートで流れを作ることができた部分は良かった」と安堵した。

一方、滋賀のデニスコーチは、接戦に持ち込んだチームを称え、「最後まで素晴らしいファイトができた試合でした。A東京さんを相手にこういう試合ができたのはクラブとしても良い結果」と総括。さらに、チームに勢いをもたらした高橋と中村の名前を挙げ、「若手の高橋、中村が活躍してくれました。彼らの活躍はクラブの将来にとっても良い兆し」と、スッキリした表情で会見を終えた。

苦しみながらも7連勝を達成したA東京。若手の活躍が光り、強豪を追い詰めた滋賀。約1カ月の中断期間を迎える前に成果が出て、ともに実りの多い試合だったに違いない。