川崎ブレイブサンダース

文=丸山素行 写真=B.LEAGUE

フリースローで勝利を取りこぼした三遠

川崎ブレイブサンダースvs三遠ネオフェニックスの第1戦。拮抗した展開が終盤まで続くも、最終盤に三遠が4本連続でフリースローをミスして勝機を逸した一方で、川崎が残り9秒に篠山竜青の3ポイントシュートで逆転し、83-81で薄氷の勝利を収めた。

先行したのは三遠で、ボールと人が連動する理想のバスケを展開。田渡修人が3本すべての3ポイントシュートを決めて最大で8点をリードする。それでも第1クォーターで12得点を荒稼ぎするニック・ファジーカスの働きもあり、川崎が追撃した。

第2クォーターにはバーノン・マクリンのインサイドを強調した川崎が逆転してオフィシャルタイムアウトを迎えると、青木保憲が直前のターンオーバーを帳消しにするブザービーターの3ポイントシュートで締め、44-39と川崎がリードした。

その後も、シュートチェックをモノともせず高確率でミドルシュートを沈めていったファジーカスを軸に、川崎がこの日最大となる9点のリードを奪う。それでも、三遠を指揮する藤田弘輝ヘッドコーチが「ファジーカス選手のシュートがあれだけ高確率で入りましたが、我慢し続けてディフェンスを頑張った」と評したように、三遠は川嶋勇人や田渡が速攻を連発し、突き放されることなく、逆に点差を縮めた。

4点ビハインドで最終クォーターを迎えた三遠は、ここでジョシュ・チルドレス、ウィリアム・マクドナルド、太田敦也のビッグラインナップで勝負に出る。3番起用のチルドレスがズレを作ると、空いたスペースでインサイドを攻めた太田が6得点を挙げ67-65と逆転に成功した。

それでも川崎も引かず、ファジーカスを起点にノーマークを作り、青木が3ポイントシュートを沈めて再逆転。ここからリードチェンジを繰り返して試合は終盤を迎えた。

川崎ブレイブサンダース

「三遠さんのミスで勝ちが転がり込んできた」

三遠が2点リードして迎えた残り30秒、川嶋がファウルを誘発しフリースローを獲得したが、これを2本とも失敗。マクドナルドがオフェンスリバウンドを奪い、鈴木達也がファウルゲームによるフリースローのチャンスを再び得るも、2投とも外してしまう。

九死に一生を得た川崎は、ファジーカスとのピックでスペースが空いた隙を突き、篠山竜青が3ポイントシュートを沈めて土壇場で逆転。ファウルゲームを乗り切った川崎が勝利を収めた。

苦しみながらも勝利を手にし、川崎の北卓也ヘッドコーチは「結果的に勝利できたことは良かった」と語ったが、「三遠さんのミスで勝ちが転がり込んできた」と、内容には不満気。特に速攻からの得点が0に終わったことについては、「トランジションもチャンスはあるが、狙えていないというか、そのチャンスを見逃している。ウイングの選手が走ってくれないとブレイクは出ない」と課題を挙げた。

対照的に三遠の藤田ヘッドコーチは敗戦の中からも収穫を見いだした。実際、最終盤のフリースローのミスを除けばプレー内容は川崎を上回っており、「これ以上のゲームはできないと思いました。選手が頑張ってくれて、あとは勝ち切るだけでした」とスッキリした表情を浮かべた。

ファジーカスに31得点を奪われはしたが、最終クォーターは2点に抑え、勝利まであと一歩のところまで追い詰めた。「後半は特に、ファジーカス選手との駆け引きも良くできて、ディフェンスの約束事を粘り強く遂行できた」と善戦を振り返った。

課題を露呈しながらも勝機を逃さなかった川崎が連勝するか、それとも我慢強く戦い抜いた三遠が雪辱を果たすか。勝って良いムードでリーグ戦の中断を迎えられるのはどちらだろうか。