上田隼輔

高岡HC「これからのシーズンがすごく楽しみになってくる」

富山グラウジーズは12月20日、アウェーに乗り込んで川崎ブレイブサンダースと対戦。積極的なアタックを40分間続けることで確率良くシュートを沈めて87-71と勝利し、今シーズン2勝目を挙げた。

富山は出だしでニック・ファジーカスを起点とした川崎オフェンスを封じる。また、センターのイヴァン・ブバが、ファジーカスがカバーし切れないアウトサイドから連続でシュートを決めるなど、攻守で川崎の大黒柱に重圧を与えた。こうして試合の流れを引き寄せた富山は、第1クォーターで21-11と先手を取る。

第2クォーター以降も、富山はファストブレイクポイントで17-5と圧倒したように、攻守の素早い切り替えによって、イージーシュートを増やして得点を重ねた。また、3ポイントシュートが19本中10本成功と、効果的に決まったことで的を絞らせないオフェンスを展開した。こうして、最初からずっとリードをキープする危なげない試合運びで会心の勝利を挙げた。

高岡大輔ヘッドコーチは「中々、勝てないシーズンが続いている中でやっと2勝目をつかむことができました。1つ自分たちの正解が見えた試合だと思います。今日の勝ちを弾みにして、次のゲームに向かいたいと思います」と語る。

そして結果だけでなく、内容面でも大きな手応えを得たと続ける。「僕の経験上、負けが続くチームはどこかしら方向性がズレたり、分解してしまったりします。勝つか負けるかの展開になった時、自分たちから崩れてしまうのが課題でしたが、今日は自分たちの戦いを40分間続けられたのが大きいです」

「(勝てないことで)選手たちはどうしても自信を失っていました。それが、こうして理想の得点、失点で勝てたことで試合の後、選手たちの表情に自信が満ち溢れていました。これからのシーズンがすごく楽しみになってくると思います」

上田隼輔

「期待されているのは、スタッツに残らないディフェンスの部分です」

富山の上田隼輔は17分17秒のプレータイムで9得点2スティールを記録。そして前半、後半ともに大事な出だしで活躍し、チームに勢いを与えた。冒頭でも紹介したが、第1クォーターの立ち上がりで川崎がファジーカスのミスマッチを攻めようとした時、マークについていたのは上田だった。ゴール下へのアタックを簡単に許さずにタフショットを打たせ、シュート失敗へと繋げた。また、10点リードで迎えた第3クォーターの出だしに富山はいきなりオフェンスリバウンドを取られてのセカンドチャンスポイントと嫌な形で失点したが、次のポゼッションで上田が3ポイントシュートを沈めた。さらに直後の川崎のインバウンドパスをスティールし、そこからレイアップを成功と、見事な連続得点で試合の流れを大きく引き寄せた。

「(負けが続いている)自分たちが置かれている状況で、リーグの中でも上位の川崎さんに勝てたことは僕個人、チームにとって自信になります。自分たちの課題である、どんな状況でもチームが一つになって我慢できたことが勝因だと思います」

こう上田は試合を振り返ると、攻守ともにインパクトを与えた自身のプレーについて次のように語る。「自分がスタートで使われて期待されているのは、スタッツに残らないディフェンスの部分です。今日はニック(ファジーカス)選手とのマッチアップが多かったですが、これからも相手の重要な選手を自分が守ることで、チームが良い方向に行くようにしていきたいです。ニック選手はリーグを代表する選手で、すべてを止められた訳ではないですが、重要な場面でも止めることはできたのは自信になります」

上位チームを相手に価値ある勝利を挙げた富山だが、一方で今の成績は2勝20敗のB2降格圏内だ。昨シーズンはシーズン最終戦になんとかB1残留を決めたが、今シーズンも苦しい戦いが続いている。

「去年も長い連敗は経験しましたが、シーズン最初の15連敗は去年以上だったのでキツイ部分はありました」と上田は率直な気持ちを明かすが、それでも気持ちが折れることなく戦い続けている。それは平日のアウェーゲームでも会場に詰めかけて声援を送り続けるなど、チームがどんな苦境に陥ってもサポートしてくれるファンがいるからだ。

上田は語る。「応援してくれる方たちがいる限り自分たちは下を向けないです。だからこそ連敗の中でもチームで上を必ず向こうって言っています。ベンチに座っている時だけでなく、コートに立っている時でも皆さんのブーストはよく聞こえます。いろいろな場所で試合をしていますが、富山のブースターが一番だと思っています」

この勝利は富山にとって大きな成功体験となる。「今日の試合のように厳しい場面でも我慢して戦えば、必ず自分たちが勝利をつかめると思います」と上田が語るように、今回のプレーを継続できれば、富山は浮上できるはずだ。