23得点8リバウンド、エースの期待に応える働き
皇后杯の準決勝第2戦、JX-ENEOSサンフラワーズは富士通レッドウェーブに91-77と勝利した。先行しながらも富士通をなかなか引き離せない展開だったが、後半に入って勢いを上げ、さらに第4クォーターの勝負どころでもう一伸び。町田瑠唯がフィールドゴール18本中13本成功の33得点という超絶パフォーマンスで牽引した富士通を、チーム一丸のバスケで振り切った。
JX-ENEOSの渡嘉敷来夢は23得点8リバウンドとエースの期待に応える働き。前半は9得点だったが、後半にスイッチが入ると、エースに引っ張られるようにチームも勢いを増した。
前半にシュートタッチがあまり良くなかったことを渡嘉敷は「シューティングする時間がなかったので」と弁解する。「言い訳にしちゃいけないですけど全然入らなくて。そこはしっかりアップしてアジャストしなければいけない。もうちょっとゴール下はしっかり決めないと」
それでも「以前はゾーンを攻め切れないこともあったんですが、今日は一人ひとりが攻め気があったし外も当たったし、それは良かった」と、高さのない富士通のゾーンディフェンスをきっちり攻略できたことに手応えを感じている。
明日のファイナルの相手はトヨタ自動車アンテロープス。「みんな得点能力が高いという印象です。代表選手が多いのでしっかりディフェンスしないと。一人当たるとみんな当たるようなところがあるので、それを逆に『一人ダメだったらみんなダメ』にするようなディフェンスをしなきゃいけない」と意気込みを語る。
先に決勝進出を決めたトヨタに「明日みとけよ(笑)」
チームとしてはディフェンスからのブレイクを徹底することが、明日のファイナルに勝つためのポイントになる。ただ渡嘉敷にはエースとしての得点を取る覚悟も持っている。「良い時間帯にはみんな点を取れますが、悪い時に誰がってなると自分であったりアース(宮澤夕貴)だと思うので、そこでしっかり踏ん張れれば」
そう語ると同時に、チームプレーの意識も忘れないのが渡嘉敷らしいところだ。「あとは自分からの展開で、自分がボールを持てばみんな中に寄るので、そこでさばくことでそこの選手が生きる、そのアシストも意識してやっています。味方が気持ち良く打てるように、オフェンスリバウンドもタイミングを見ながらですけど積極的に行ければと思います」
今日の第1試合、トヨタ自動車はデンソーのエース、髙田真希を徹底的に抑え込むことで勝機を見いだした。それは渡嘉敷も認識しており、「今日髙田さんが結構苦しんでいたのもあったので、それを見ながら参考にできたら」と、明日の試合に向けた準備も怠らない。
『女王』JX-ENEOSには常勝が期待されるし、「負けたくないので」と語る渡嘉敷を始め、それに応える覚悟が全員にある。「昨日も今日も気持ちは同じで、試合前には緊張していたんですけど、試合になったらいつも通りペースを作って点数を取ってやっていこうと。今日みたいな入りだとちょっと苦しいので、出だしからチーム全員でしっかりディフェンスしてプッシュして、という意識でやりたいと思います」
ちなみに今日は、先にトヨタの決勝進出を見届けての試合だった。「先にトヨタが決めて、うれしそうな顔して『頑張ってね』みたいに言われたんですけど、『明日見とけよ』って(笑)。もう勝負は始まっているんで」と渡嘉敷は笑みを見せる。どれだけタイトルを取っても現状に満足せず、次の1勝を貪欲に狙う。その意識がある限り、JX-ENEOSは常に優位に立っている。