9連勝にも慢心なし「40分間安定できる精神力を」
千葉ジェッツは11月に入ってから負けなしの9連勝。通算成績を14勝7敗として東地区の4位以下を大きく引き離した。いや、アルバルク東京と栃木ブレックスの『2強』に割って入ろうとしている、と言うべきか。
試合内容も勝利を重ねるごとに向上している。誰一人として手を抜くことのないチームディフェンスが機能することで、ゴール下の『番人』であるヒルトン・アームストロングの存在感も一際増してくる。オフェンスではタイラー・ストーン(15.2)、富樫勇樹(13.0)、小野龍猛(12.7)、石井講祐(12.1)、マイケル・パーカー(11.1)、そしてアームストロング(10.5)と、実に6選手が1試合平均2桁得点をマーク。突出したスコアラーはいないが、どこからでも点の取れるチームとなっている。
そんなチームをオフェンス面で牽引するのが富樫だ。左手親指を骨折した西村文男を欠く中、司令塔としてゲームメークするだけでなく、果敢なアタックを繰り返してここまでチーム2位の得点も記録。どの試合でも30分前後のプレータイムを得て、持ち味を存分に発揮している。
富樫はチームについてこう語る。「結果として9連勝しているので、すごくチームの雰囲気が良いです。毎試合、課題やミスはありますけど、その中でも勝ち切れているのがいいですね」
富樫がまだ納得できていないのは、チームとしてのパフォーマンスにムラが出てしまう部分だ。「時間帯によって良い時と悪い時があります。特にオフェンスがダメだとディフェンスまでダメになってしまう部分がある。そういう時間帯を減らす努力をしないと」
それでも、悪い時間帯をしのいでいるからこその9連勝だ。「プロのバスケットボールの試合で、40分間で全部うまくいくことはないです。ディフェンスで40分間安定してプレーできるような精神力をチームとしてつけていかないといけないかなと思います」
「自分のスタイルを貫いて、評価してもらいたい」
3日の試合後の囲み取材では、先日に代表監督を退任した長谷川健志ヘッドコーチのことも話題に挙がった。「長谷川さんにはずっと代表候補に選んでもらっていました。最終予選の切符を手にしたりと結果を残していたので残念です」と富樫は言う。
「ただ、東京オリンピックに向けて日本の協会は動きました。新しいヘッドコーチに選んでもらえるような選手になってプレーするだけです。選ばれるかどうかはその人の好き嫌いがあって、自分は身長もそうですしプレースタイルからしても、好かれる時もあれば好かれない時もあります。それについては仕方ないことで、それでも自分のスタイルを貫いて、自分のプレーで評価してもらいたいと思っています」
2019年のW杯、そして2020年の東京五輪。日本のバスケットボールの浮沈を懸けた挑戦が始まろうとしている。「東京オリンピックに出られるかどうかは来年から始まるW杯予選の結果がすごく大きいので、選手としては『本当にすぐ』だと思わないといけないです」
代表は新体制でのスタートを切るが、その時に圧倒的なパフォーマンスを見せていればいい。富樫は自分のプレースタイル、自分の信じるバスケットボールを信じて戦い続ける。