「去年も通った道なのでなんとか乗り越えたい」
「ワイルドカードから外れた試合でした」
秋田ノーザンハピネッツの前田顕蔵ヘッドコーチは、千葉ジェッツをホームに迎えた水曜ナイトゲーム終了後の会見でこう語った。
4月20日、秋田が千葉に67-88で敗れた一方で、ワイルドカード3位にいたシーホース三河が89-81で大阪エヴェッサに勝利し、ワイルドカード2位を争う2チームの順位が逆転。秋田はワイルドカード3位に転落した。
千葉戦の立ち上がりは点の取り合いとなった。千葉は原修太が3ポイントシュートやドライブを決めれば、秋田もジョーダン・グリンが2本の3ポイントシュートを沈め、開始6分間は13-13と拮抗した。しかし、ベンチから出場したクリストファー・スミスに速攻やステップバックスリー、さらにブロックショットを許したことで千葉にリズムを与えてしまった。その結果、残り約3分半を2-12と圧倒され、第1クォーターを15-25で終えた。
第2クォーターになると川嶋勇人が積極的なペイントアタックで秋田のオフェンスを活性化させた。また、シュートタッチが良いグリンは、3ポイントラインから離れていても積極的にシュートを打っていき、一時は2点差にまで詰め寄った。しかし、その直後のポゼッションで千葉にイージーシュートを許してしまい、1ポゼッションの壁を崩すことができずに、10点ビハインドで前半を終えた。後半も秋田は2桁前後の点差で千葉に食らいついたが、得点を決めても単発で終わってしまい、リズムに乗り切ることがないまま67-88で敗れた。
秋田は現在、ビッグマンのコルトン・アイバーソンが左足負傷により欠場しているため、外国籍選手はグリンとアレックス・デイビスの2人しかいない。この試合で秋田は、マンツーマンや1-3-1、2-3ゾーンなど、いろいろなディフェンスを敷いたが、ペイント内での得点で千葉に36点(秋田は24点)を許したように、インサイドを狙われた。
ただ、前田コーチはアイバーソンを欠いている状況に「難しいのは明確」としつつ「去年も通った道なのでなんとか乗り越えたい」と言う。「オフェンス力があるチームに対して、自分たちのディフェンスをぶつけたいですが、人数がいないし、相手はインサイドを狙ってきます。そこをカバーすることでズレができているのも見えているけど、難しい。ただ、やってくることは分かっているので、そこに対してどれだけ遂行力を上げられるか、チームとして徹底できるかだと思います」
「チームとして崩れない、精神的にも崩れない。ここがすごく大事になってくる」
ワイルドカードから外れる痛い1敗を喫した秋田だが、前田コーチは「選手には『下を向く必要はないし、ただどうやって良くなるかだけを考えてほしい』と言いました」と言う。「残り7ゲームはどれも難しくなるけど、その中でどれだけ勝ちに繋げていけるか。同じ方向を見てバスケットができるか。あとは、どれだけあきらめないか。そういうところになってくると思う」
こう語った前田コーチは「千葉に負けたことより、どうやって良くなっていけるか。そっちに意識を持っていきたい」と、千葉戦での学びを続けた。「これをしたらこうなる、という予測がついている中で失点が起こっているので、そこの遂行力がすごく重要になります。あとは今日は空いているシュートが落ちているケースがたくさんあったので、状況判断も含めて個人のステップアップ。チームとしては戦術の理解と遂行力、あとは崩れないこと。チームとして崩れない、精神的にも崩れない。ここがすごく大事になってくると思います」
秋田と言えば、攻めのディフェンスやルーズボールなどに食らいつく泥臭いプレーが持ち味のチームだ。しかし、千葉戦の前半はあまり泥臭いプレーが見られなかった。後半になると、中山拓哉がルーズボールに飛び込んだりとハッスルプレーを見せて、いつもの秋田らしい積極性が増した。
中山は「今日に限らず、ここ何試合かはフィフティ・フィフティのボールで負けているシチュエーションが多かったので、チームとしてもそこはやらなきゃいけないと話していました」と明かした。「試合の入りはオフェンスの部分で良かったですが、ディフェンスはイージーにやられている場面が多かったです。試合はスタートで出る5人がもっとタフに戦っていかないといけません。最初の時点で試合の強度が決まるので、僕やポイントガードの長谷川(暢)だったり、2人でもっと強度を高めていきたいです」
ワイルドカード圏内から外れたとはいえ、チャンピオンシップ出場の可能性が断たれたわけではない。前田コーチが「残り7ゲームでどうやって取り返していけるか。もちろん、あきらめませんし、前を向いてやっていきます」と語ったように、秋田のクラブ初のチャンピオンシップ出場に向けた戦いは終わっていない。彼らが残り7試合でどんなバスケットを見せてくれるのか注目だ。