デイビオン・リード

2シーズンぶりのNBA「多くの時間を無駄にしたから、その分を取り戻したい」

デイビオン・リードを知っているファンはそう多くはないだろう。2017年のNBAドラフト32位でサンズに指名され、2017-18シーズンにサンズで21試合に出場したが、2018-19シーズンの開幕直前に解雇された。このシーズンはペイサーズと2ウェイ契約を結ぶも本契約を勝ち取るには至らず。NBAでの出場試合数は2シーズンで31試合で、以後はGリーグが主戦場となった。

その彼は今シーズンになって、健康安全プロトコル入りする選手が続出してロスター枠が拡大されたことでNBAに戻って来た。昨夏にナゲッツの一員としてサマーリーグに参加した彼は、その時は本契約を勝ち取れなかったものの12月にナゲッツと10日間契約を3度結び、今年になって2ウェイ契約を結んだ。

彼の役割はウイングディフェンダーで、相手の得点源に自由を与えないことだ。リード自身も「とにかく点を取られないこと、そして勝つこと。気にするのはその2つだけ。ディフェンスには自信がある」と語っている。

それでも現地1月15日のレイカーズ戦で、リードには『3つ目』に意識しなければならないことがあった。レブロン・ジェームズとのマッチアップだ。NBAの歴史に残る『生ける伝説』と、契約を得ることに汲々としてきた選手では格の違いは明らか。だが、「僕のルーキーシーズンはレブロンに殺されたようなもの」と語る彼にとっては、ようやく訪れたリベンジのチャンスだった。

「ルーキーイヤーにレブロンとマッチアップした。彼は僕をポストアップで押し込み、ファウルで止められればまだマシで、エンドワンを取られることもあった。全く歯が立たず、みじめだったよ。レブロンと対戦したのはあのシーズンだけ。それでも、彼を相手に守る機会は必ず来ると信じていた。あの時より身体は強くなったし、経験を積んで簡単にファウルせず守るやり方も学んだつもりだ。だから気合いが入りまくっていたよ」

今回はレブロン相手に守ることができた。レブロンのアイソレーションに対してヘルプなしで耐え、ボールを手放させるシーンは、彼の言葉を聞けば重みが増す。一度弾いたボールをレブロンが持ち直した後、リードは両手を叩いてレブロンを挑発した。次の瞬間にスピードに乗ろうとするレブロンのコースを読み、動きを止めた。レブロンはボールロストせずに味方にパスしたが、24秒バイオレーションでレイカーズの攻撃は失敗に終わっている。

レブロンはキャブズ時代に対戦したサンズのルーキーのことなど覚えていなかっただろうが、今回のマッチアップでレブロンの記憶に『デイビオン・リード』の名は刻み込まれたはずだ。

レブロンというトラウマを乗り越えた後、彼にはNBAプレーヤーとして活躍し続けるというチャレンジが待っている。「ナゲッツはサマーリーグとトレーニングキャンプに呼んでくれて、今回は契約も与えてくれた。NBAに戻って来ることはできたけど、僕はまだ満足していない。球団もここで満足してもらっては困ると思っているだろう」

「2ウェイ契約を結んだから、少なくとも今シーズン終了まではここにいられる。僕にとっては毎日がチャレンジだ。最後の最後までできる限りのハードワークをして、ハシゴを上り続けるんだ。ディフェンスは得意だし、3ポイントシュートも大学時代には40%の確率で決めていた。今のチーム状況では毎試合で求められる役割が変わるけど、それにも対応したい。NBAでの最初の挑戦ではチャンスが巡って来なかった。それで多くの時間を無駄にしたから、その分を取り戻したい」